JP2599566Y2 - 電力測定システム - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、被測定線路の電力を
測定する電力測定装置とその測定データを解析するデー
タ処理装置とから成る電力測定システムに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、可搬型電力測定器は、測定時
間間隔などの測定条件を設定するための入力部を備えて
いて、また測定データの記録を付属するプリンタによっ
て行っている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ところが、この様な従
来の可搬型の電力測定器においては、全体に小型に構成
されているため携帯が容易で、種々の電力被測定部に接
続して用いることができるが、付属しているプリンタを
用いて、ロール紙を記録媒体として測定結果を印字する
ようにしているため、用紙長に限りがあり、長期間の測
定には不都合があった。また、付属しているプリンタは
用紙幅が狭く、１ライン分のドット数も少ないため、例
えば電力需要の傾向を示すいわゆるトレンドグラフなど
のグラフィクス関係のプリントアウトを高解像度で行う
ことができない。更に、測定開始日時、測定終了日時、
測定時間間隔ＰＴ比、ＣＴ比および記録インターバルな
どの測定条件データの設定を測定現場で行う必要があっ
た。

【０００４】この考案の目的は、小型で、例えば可搬型
とすることのできる電力測定装置を用い、且つ上述の各
種問題を解消した電力測定システムを提供することにあ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この考案の電力測定シス
テムは、測定期間および測定時間間隔に関する情報を含
む測定条件データおよび測定データの記録部を備えるＩ
Ｃメモリカードと、ＩＣメモリカードに書き込まれてい
る測定条件データを読み出す測定条件データ読出手段
と、前記測定条件データに基づいて、電力系統の線路に
接続された計器用変圧器と変流器の２次側出力信号をそ
れぞれサンプリングしディジタルデータに変換して入力
データを求める入力データ抽出手段と、前記入力データ
を基に前記線路の電力を測定データとして求める測定デ
ータ算出手段と、前記測定データ算出手段の求めた測定
データを前記測定条件データに基づいて前記ＩＣメモリ
カードに書き込む測定データ記録手段とを備えた電力測
定装置と、前記ＩＣメモリカードから測定データを読み
出す測定データ読出手段と、その測定データの解析を行
う測定データ解析手段と、前記測定データまたは解析結
果を印刷出力する印刷手段と、前記ＩＣメモリカードに
前記測定条件データを書き込む測定条件データ書込手段
とを備えたデータ処理装置、とからなる。

【０００６】

【作用】この考案の電力測定システムは、電力測定装置
とデータ処理装置およびデータ記録媒体としてのＩＣメ
モリカードとから成る。ＩＣメモリカードは測定条件デ
ータと測定データの記録部を備える。電力測定装置の測
定条件データ読出手段はＩＣメモリカードに書き込まれ
ている測定条件データを読み出し、入力データ抽出手段
は、測定条件データに基づいて、線路に接続された計器
用変圧器と変流器の２次側出力信号をそれぞれサンプリ
ングしディジタルデータに変換して入力データを求め、
測定データ算出手段は入力データを基に線路の電力を測
定データとして求める。測定データ記録手段は測定デー
タ算出手段の求めた測定データを測定条件データに基づ
いてＩＣメモリカードに書き込む。一方、データ処理装
置の測定データ読出手段はＩＣメモリカードから測定デ
ータを読み出し、測定データ解析手段はその測定データ
の解析を行い、例えば統計量を求める。印刷手段は測定
データまたは解析結果を印刷出力し、測定条件データ書
込み手段はＩＣメモリカードに測定条件データを書き込
む。

【０００７】上記測定条件データには、測定期間および
測定時間間隔を含んでいるので、以上の作用によって、
測定条件データの書き込まれたＩＣメモリカードを電力
測定装置に装着すれば、所定の期間に亘って所定の時間
間隔で測定データをＩＣメモリカードに順次蓄積するこ
とができ、予め定めた一定期間の測定を行った後、測定
データの蓄積されたＩＣメモリカードをデータ処理装置
に接続することによって、データ処理装置は測定データ
の読み取りおよび解析を行い、印刷出力を行うことがで
き、またこのデータ処理装置を用いてＩＣメモリカード
に対し測定条件データを書き込むことが可能となる。こ
のように電力測定装置自体では測定条件データの設定が
不要となり、また測定データやその解析結果の印刷は電
力測定器に付属のプリンタに制約されず、データ処理装
置側で行うことができるためトレンドグラフなどを高解
像度で印刷できるようになる。

【０００８】さらに電力測定装置自体は測定データの印
刷出力を行う必要がなく、ＩＣメモリカードに多量の測
定データを蓄積できるため、長期間の無人測定に対応す
ることが可能となる。また、ＩＣメモリカード内に測定
条件データを一度書き込んでおけば、電力測定装置を設
けた測定現場とデータ処理装置を設けた事業所間でＩＣ
メモリカードをやり取りするだけで、定時的な測定を容
易に行うことができるようになる。

【０００９】

【実施例】この考案の実施例である電力測定システムの
構成をブロック図として図１に示す。図１において電力
測定装置１は線路に接続された計器用変圧器ＰＴ１，Ｐ
Ｔ２と変流器ＣＴ１，ＣＴ２の２次側出力信号をそれぞ
れ入力して電圧値、電圧位相、電流値、電流位相および
電力の測定を行い、記録インターバルに従って測定デー
タをＩＣメモリカード２に順次書き込む。データ処理装
置３はデータ処理部４、ＩＣメモリカードリードライト
部５、表示部６、キー入力部７および印刷部８から成
り、ＩＣメモリカードリードライト部５は装着されたＩ
Ｃメモリカード２に対し各種データの読み書きを行う。
（図１においては電力測定装置側とデータ処理装置側の
何れにもＩＣメモリカードを示しているが、これは共通
のデータ媒体としてのＩＣメモリカードである。データ
処理部４は例えばパーソナルコンピュータなどから成
り、キー入力部７の入力内容を読み取り、表示部６に選
択すべき処理項目の表示などを行い、更に印刷部８に対
し測定データまたはその解析結果の印刷データを出力す
る。この印刷部８は幅の広い用紙に対しグラフィクスデ
ータを高解像度に印刷するプリンタから成る。

【００１０】図２は図１に示した電力測定装置１の構成
を示すブロック図である。図２においてアナログフィル
タ１１，１２，１３，１４はそれぞれＰＴ１，ＰＴ２，
ＣＴ１，ＣＴ２の二次側出力信号を入力して、電力の測
定に要する周波数帯域成分のみ通過させる。サンプルホ
ールド回路１５，１６，１７，１８はそれぞれアナログ
フィルタ１１，１２，１３，１４の出力を所定周期に同
期してサンプリングおよびホールドする。マルチプレク
サ１９はサンプルホールド回路１５〜１８の出力を選択
しＡ／Ｄコンバータ２０へ与える。Ａ／Ｄコンバータ２
０はマルチプレクサ１９を介してサンプルホールド回路
１５〜１８の出力信号をディジタルデータに変換する。
ＣＴＣ２１はサンプリング周期などを定める基本カウン
タである。ＣＰＵ２２はＲＯＭ２３に予め書き込んだプ
ログラムを実行する。ＲＡＭ２４はそのプログラムの実
行に際してサンプリングデータの一時記憶領域、電力演
算のための各種レジスタ等として用いる。ＩＣメモリカ
ードリーダライタ２６は装着されたＩＣメモリカードに
対しデータの書込制御および読出制御を行う。ＣＰＵ２
２はインタフェース２５を介してＩＣメモリカードに対
しデータの読み書きを行う。通常、ＣＰＵはＩＣメモリ
カードから測定条件データを読み込み、ＩＣメモリカー
ドに測定データを書き込むが、この電力測定装置自体も
ＩＣメモリカードに測定条件データを書き込む手段を備
えていて、現場において測定条件の再設定や変更を可能
としている。

【００１１】次に、ＩＣメモリカード内のデータの構成
例を図３に示す。図３のように測定条件データとして測
定開始日時、測定終了日時、測定間隔、記録インターバ
ル、ＰＴ比およびＣＴ比を記録する領域を備えていて、
ここで「測定開始日時」と「測定終了日時」はそれぞれ
年月日時分秒のデータから成り、測定を行う期間を示
す。「測定間隔」はどれだけの時間間隔で測定を行うか
を示すデータ、「記録インターバル」はどれだけの時間
間隔でＩＣメモリカードに測定データを書き込んでいく
かを示すデータである。また、「ＰＴ比」は計器用変圧
器の変圧比、「ＣＴ比」は変流器の変流比であり、入力
データから電力を算出する際、この比を参照する。これ
らの測定条件データは通常データ処理装置によって書き
込まれる。

【００１２】また、図３に示すように測定データは日時
データ、電圧値、電圧位相、電流値、電流位相および電
力の各データが順次書き込まれたデータ列から成る。こ
こで電圧値、電圧位相、電流値、電流位相および電力の
各データは電源周波数の一周期分のサンプリングを行っ
て求められる瞬時値である。「電圧位相」と「電流位
相」は例えばそれぞれＰＴ１入力を基準とした位相であ
る。また、「電力」は有効電力値と無効電力値からな
る。これらの測定データは電力測定装置によって書き込
まれる。

【００１３】次に、電力測定装置の処理手順をフローチ
ャートとして図４および図５に示す。

【００１４】図５は電力測定装置のメインの処理手順を
示すフローチャートであり、まず電力測定装置はＩＣメ
モリカードから測定条件データを読み取る（ｎ２１）。
その後、現時点が測定すべきタイミングであるか否かの
判定を行い、測定タイミングであれば、後述する各種演
算を行う（ｎ２２→ｎ２３）。記録タイミングであれ
ば、測定データをＩＣメモリカードに書き込む（ｎ２４
→ｎ２５）。また、電力測定装置自身の異常監視などを
行う（ｎ２６）。

【００１５】図４は図５におけるステップｎ２３の処理
手順を示すフローチャートである。

【００１６】まず図２に示したＰＴ１，ＰＴ２，ＣＴ
１，ＣＴ２の各入力信号をサンプリングし、そのディジ
タルデータをＲＡＭ２４内の所定領域に記憶する（ｎ１
→ｎ２）。その際、各入力信号は基本周波数の１周期分
のみ記憶し、サンプリングを行うごとに常に最新の１周
期分のデータを記憶するよう更新する。これに続いて、
１周期分のサンプリングデータをもとに電圧値、電圧位
相、電流値、電流位相および電力（有効電力，無効電
力）を算出する（ｎ３）。

【００１７】次にデータ処理装置側の処理手順をフロー
チャートとして図６に示す。まず処理すべき項目の表示
および操作者によるキー入力の読み取りを行う（ｎ３
１）。

【００１８】処理項目として「測定条件設定」が選択さ
れたなら、測定条件（測定開始日時、測定終了日時、測
定間隔、記録インターバル、ＰＴ比およびＣＴ比）をキ
ーから読み取り、これらの測定条件データをＩＣメモリ
カードへ書き込む（ｎ３２→ｎ３３→ｎ３４）。選択さ
れた処理項目が「測定データ解析」であれば、ＩＣメモ
リカードから測定データを順次読み出し、数値データお
よびトレンドグラフなどを印刷出力するための解析処理
を行い、これらの印刷データを印刷装置へ出力する（ｎ
３５→ｎ３６→ｎ３７→ｎ３８）。

【００１９】尚、実施例ではＩＣメモリカードに対して
電圧値、電圧位相、電流値、電流位相および電力の各瞬
時値を書き込む例を示したが、記録インターバルに従っ
て、前回の記録から今回の記録までの電力を平均化して
平均電力を書き込むことも可能である。また、瞬時電力
を積算して電力量を書き込むことも可能である。

【００２０】

【考案の効果】この考案の電力測定システムによれば、
測定現場では電力測定装置のみを用い、その電力測定装
置は電力の測定およびＩＣメモリカードに対する測定デ
ータの書込みを行うだけでよく、測定データなどの印刷
出力を行う必要がないため、長期間の無人測定が可能と
なる。一方、監視／管理を行う事業所などではデータ処
理装置のみを用い、そのデータ処理装置は可搬する必要
がないため、大型の印刷装置を用いて測定データまたは
その解析結果のグラフィクスデータなどを高解像度に印
刷できるようになる。さらに、データ処理装置によって
ＩＣメモリカードに測定条件データを記録するようにし
たため、測定条件の設定が容易となり、現場においては
簡単な操作で定時的な電力測定を行うことが可能とな
る。さらに、本願考案によれば、電力測定装置は、ＩＣ
メモリカードに書き込まれている測定期間および測定時
間間隔に関する情報を含む測定条件データに基づいて、
電力の測定およびＩＣメモリカードに対する測定データ
の書込みを行うため、たとえば、何年何月何日何時何分
から何年何月何日何時何分まで、何分間隔で測定を行う
かを予めＩＣメモリカードに書き込んでおくだけで、そ
の期間に亘ってその測定時間間隔で自動的に測定を行う
ことが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の実施例である電力測定システムの構
成を示すブロック図である。

【図２】電力測定装置の構成を示すブロック図である。

【図３】ＩＣメモリカード内のデータの構成例を示す図
である。

【図４】電力測定装置の処理手順を示すフローチャート
である。

【図５】電力測定装置の処理手順を示すフローチャート
である。

【図６】データ処理装置の処理手順を示すフローチャー
トである。

【符号の説明】

ＰＴ１，ＰＴ２−計器用変圧器 ＣＴ１，ＣＴ２−変流器

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 測定期間および測定時間間隔に関する情
   報を含む測定条件データおよび測定データの記録部を備
   えるＩＣメモリカードと、 ＩＣメモリカードに書き込まれている測定条件データを
   読み出す測定条件データ読出手段と、前記測定条件デー
   タに基づいて電力系統の線路に接続された計器用変圧器
   と変流器の２次側出力信号をそれぞれサンプリングしデ
   ィジタルデータに変換して入力データを求める入力デー
   タ抽出手段と、前記入力データを基に前記線路の電力を
   測定データとして求める測定データ算出手段と、前記測
   定データ算出手段の求めた測定データを前記測定条件デ
   ータに基づいて前記ＩＣメモリカードに書き込む測定デ
   ータ記録手段とを備えた電力測定装置と、 前記ＩＣメモリカードから測定データを読み出す測定デ
   ータ読出手段と、その測定データの解析を行う測定デー
   タ解析手段と、前記測定データまたは解析結果を印刷出
   力する印刷手段と、前記ＩＣメモリカードに前記測定条
   件データを書き込む測定条件データ書込手段とを備えた
   データ処理装置、とからなる電力測定システム。