JP2598142B2 - 信号変換装置および信号変換方法 - Google Patents

信号変換装置および信号変換方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、デジタル通信に関する。特に、A法則(A
規則、A−law)またはμ法則(μ法則、μ−law)によ
り符号化・復合化されるに適した電気通信システムにお
いて、エコーをキャンセルするために、伝送ラインにデ
ジタル損失パッドまたは利得パッドが挿入されるような
信号変換にともなう量子誤差を軽減する装置に関する。
〔従来の技術〕
信号変換装置は、第1の形式の入力信号を第2の形式
の出力信号に変換する。これらの第1および第2の形式
は、それぞれ、アナログまたはデジタルの何れの場合も
有り得る。従って、変換装置により、アナログ/デジタ
ル変換、デジタル/アナログ変換、デジタル/デジタル
変換、またはアナログ/アナログ変換が与えられる。本
発明は、最後のアナログ/アナログ変換を除く任意の変
換を与える装置に関するが、特に、入力がデジタル形式
で、出力がアナログ形式への変換に際し利用される。
多くの通信アプリケーションにおいて、アナログ信号
は、離散的なデジタル信号レベルに変換される。このア
ナログ信号は、実際には、音声、データ、ファクシミ
リ、ビデオなど、どのような情報を表すものでもよい。
量子化には、アナログ信号の標本の大きさを幾つかの離
散的な出力レベルの1つに割り当てることが必然的に含
まれる。この過程では、本質的に、「まるめ」、即ち量
子化による誤差が発生する。この量子化誤差は、境界ど
うしの間に存在する一連の振幅レベルが、それより遥か
に少数の離散的なデジタル信号レベルに結びつけられる
結果生じるものである。
前記の誤差は、エコーを減衰させる回路に通常の処理
手続きに伴ってデジタル損失パッドが導入されるような
通信網では、特に深刻である。当然のことながら、この
ような損失パッドは、情報信号も減少させる。しかし、
ある長さ以下の回路においては、情報信号のレベルが、
除去すべきエコーおよび許容される最小の情報信号レベ
ルを充分上まわるので、前記のようなパッドが、エコー
消去装置やエコー抑制装置を使用する代替となり、費用
もそれほど高くない。限界の回路長は、いろいろある
が、一般に1000マイル(1600Km)以下である。
挿入される回路損失は、回路の特定の利用状況により
異なるため、各回路は特定の損失計画に順応するように
処理される。更に、異なった損失計画に従って構成され
た回路どうしを、互いに接続する場合、所定量の利得を
情報信号に導入することがしばしば必要となる。
損失パッドまたは利得パッドを使用すると、、量子化
された信号が、所定の損失または利得によって変更され
て、離散的なデジタル信号レベルの1つに正確に対応し
なくなることがあるので、情報信号に対する量子化誤差
が更に増大する。従って、新たにまるめ誤差が、導入さ
れることになる。この新しい量子化誤差により、音声シ
ステムにおいては歪みが増大する一方、データ、ビデ
オ、およびファクシミリなどのシステムにいては、著し
い許容できないレベルの誤差が生じ得る。利用者のモデ
ムが、デジタル情報をアナログ信号に変換して、通信網
の他の利用者と相互に接続する通信路を介して伝送する
ようなシステムにおいては、特にそうである。そのよう
なシステムにおいては、情報の減衰およびエコーによ
り、モデム内部のエコー消去装置またはエコー抑制装置
がそれらの信号を正しく認識する能力が制限され、伝送
誤り率が著しく増加する。更に、前記の新しい量子化誤
差は、変化し、かつ予測不可能なため、この問題に対す
る現在の解決方法では、まだ成功を収めていない。
従って、本発明の目的は、量子化誤差を低減する装
置、特に、A法則またはμ法則により符号化・復合化さ
れ、伝送ラインにデジタル損失パッドまたは利得パッド
が挿入されるようなデジタル通信回路に適した量子化誤
差低減装置を提供することである。
〔発明の概要〕
デジタル通信回路において離散的なレベルの損失また
は利得を導入することにより発生する新しい量子化誤差
は、対数表現で直線的な関係(等比数列の関係)に従う
量子化レベルを表すデジタル信号を用いることによっ
て、除去することが可能である。つまり、前記のような
量子化レベルによって形成された順序集合における任意
の量子化レベルは、その隣接する量子化レベルとスカラ
ー値との積に等しい。このスカラー値は、連続した量子
化レベルの任意の部分集合に対して一定で、かつ他の部
分集合に対する同様な一定スカラー値の倍数である。何
れの場合も、導入されるデジタル損失またはデジタル利
得が、前記のスカラー値の倍数に相当するならば、利得
パッドまたは損失パッドを導入した後のデジタル信号は
全量子化レベルの1つに必ず正確に対応するので、前記
のような利得パッドまたは損失パッドを導入しても、量
子化誤差が発生することはない。
量子化レベルの間のこのような関係は、アナログ/デ
ジタル変換またはデジタル/アナログ変換を行う装置に
は、全て取り入れることができる。更に、量子化レベル
の間のこのような関係を利用することにより、ある1つ
のデジタル信号を他のデジタル信号に対応付けされる符
号器の入力または出力の何れか一方のレベル間の関係を
定義することが可能である。周知のμ規則符号化/復号
化法(μ−law codec)またはA規則符号化/復号化法
(A−law codec)を利用したシステムにおいては、本
発明の量子化誤差低減機能を有する信号変換装置を用い
ることが望ましい。
〔実施例〕
本発明により、種々の通信システムで、利得パッドま
たは損失パッドを挿入することに伴い発生する前記の新
しい量子化誤差を除去することができる。第1図に、2
カ所に本発明を適用したシステムの例を示す。
通信網100は、その一方の箇所において、導線101およ
び102を介し、その通信網に接続されている利用者の間
で情報を通信する。導線101にて受信され、結果的に導
線102に現れる情報は、アナログ信号である。交換局103
において、導線101上のアナログ信号は、アナログ/デ
ジタル(A/D)変換器104によってデジタル信号に変換さ
れ、次に、スイッチ105を介して適切な送出通信路へ選
択的に通信される。この送出通信路(波線106によって
表す)は、単一の通信回線でも、他の交換局を含む多数
の通信回線からなっていてもよい。何れの場合も、導線
101からの情報は、結果的に交換局107に到達し、そこ
で、スイッチ108、デジタル利得パッド(またはデジタ
ル損失パッド)109、およびデジタル/アナログ(D/A)
変換器110を介して、導線102へと通信される。スイッチ
108は、適切な交換機能を与えることにより、結果とし
て、導線101上の情報が導線102に通信される。デジタル
利得パッド(またはデジタル損失パッド)109は、周知
の回路設計標準に従って、所定デシベル(dB)の利得ま
たは損失を与える。一般に、不要なエコーを減衰させる
場合は、パッド109により損失を与える。この損失の量
は、周知の標準、即ち「固定」損失計画、または「実
質」損失計画などの損失計画によって、決定される。こ
の損失量は一般的に、計画の種類およびスイッチによっ
て相互接続される施設の長さによって変わる。前記以外
の場合は、パッド109により利得が与えられるが、これ
は、異なる損失計画を用いて設計された回路どうしが直
列に接続される場合に、最も一般的に行われる。また、
パッド109は、必要な利得または損失を与えるだけでな
く、減衰または増幅されたデジタル信号をA/D変換器で
使用される離散的なデジタル信号の集合の1つに対応さ
せる。これは、これらの離散的なレベルだけがD/A変換
器110によって、解明できるからである。変換器110は、
パッド109のデジタル出力を受信し、このデジタル信号
を導線101でのアナログ波形を減衰した波形に変換す
る。
他方の箇所においては、通信網150が、導線151から受
信されたアナログ情報を通信し、この情報を導線152へ
伝送する。通信網100の場合と同様に、アナログ/デジ
タル変換器153により、アナログ情報は、デジタル形式
に変換され、スイッチ154を介して、適切な送出通信路
に切り替えられる。前述のように、この送出通信路(波
線155により表す)は、最低1つの通信回線を表す。交
換局107も、通信網100の場合と同様の交換機能およびD/
A変換機能を与える。実際、通信網100および150の間の
唯一の機能的な相違は、通信網150では、エコーを減衰
させるための適切な利得または損失の導入が、アナログ
損失パッド158を介してアナログ信号に対して行われ
る、ことだけである。
アナログ利得パッド(またはアナログ損失パッド)15
8においては、増幅または減衰された信号の振幅が連続
した値を持つので、量子化誤差は決して導入されること
はないが、一方で、アナログ利得パッドまたはアナログ
損失パッドの導入を利用することには、いくつか不利な
点がある。第1に、必要とする利得および損失の量は、
通信網においてスイッチによって相互接続される実際の
中継線および加入者線によって、変化する。従って、利
得または損失を与えるべき最適な場所は、スイッチであ
る。スイッチの制御装置であれば、与えられた相互接続
を見分けられるので、切り替えられた信号に必要な利得
パッドまたは損失パッドをソフトウェアによって追加す
ることができるからである。しかし、現在の大多数のス
イッチは、デジタル式であるため、デジタル・スイッチ
においてアナログ式の利得パッドまたは損失パッドを使
用するには、余分な費用を掛けて、そのアナログ利得パ
ッドまたは損失パッドの前後にA/DおよびD/A変換器を設
置する必要がある。第2に、アナログ式の利得パッドま
たは損失パッドは、ソフトウェアが組み込まれたデジタ
ル式の利得パッドまたは損失パッドとは反対に、調節可
能な「ハードウェア」である。このようなハードウェア
は、通信網の管理が複雑になり、利得パッドまたは損失
パッドの調節のために係員を派遣する必要があり、これ
によって、新たに、調節を誤る可能性が生じる。最後
に、アナログ式の装置では、必要な利得パッドまたは損
失パッドに必要とされる精度を達成することが困難な場
合がある。結果として、通信網100に示したように、利
得パッドまたは損失パッドをデジタル回線(ライン)に
直接加える方が有利である。
通信網100に関して言えば、デジタル利得パッドまた
はデジタル損失パッドの挿入により、アナログ/デジタ
ル信号変換の過程に本質的に内在する量子化誤差に加え
て、新たな量子化誤差が生じる。
次に進む前に、いくつかの基本原理を概説する。アナ
ログ/デジタル変換の過程には、アナログ信号波形を標
本化(標本の採取)し、更に各標本の大きさを多数の離
散的な信号レベルの1つに量子化することが、必然的に
含まれる。一般に、標本を量子化した出力レベルは、そ
のアナログ信号の標本の大きさに最も近い大きさの出力
レベルである。これらの出力レベルは、各々に特有の符
号語が割り当てられ、その符号語が伝送される。その逆
の過程、即ちデジタル/アナログ変換においては、前記
のデジタル符号語は、逆にアナログ信号標本に変換され
る。単位時間に充分な数の標本がデジタル的に符号化さ
れる場合には、元のアナログ信号が再構成される。アナ
ログ信号波形の標本を、多数の離散的信号レベルの1つ
に割り当てる過程においては、1つの有限な範囲に含ま
れる大きさの標本は、全て同一の信号レベルに割り当て
られるために、本質的に、量子化誤差則ち「まるめ」誤
差が生じる。更に、回線にデジタル利得パッドまたはデ
ジタル損失パッドを導入する過程においては、新たな量
子化誤差が現れる。この新たな量子化誤差により、A/D
変換過程で生じた本来の量子化誤差が減少する場合もあ
るが、この新たな量子化誤差のために、電気通信回路の
動作を妨げるほど初期の量子化誤差が増加することが多
い。例えば、μ規則またはA規則を取り入れたA/D変換
器では、歪信号は、せいぜい、情報信号より僅か35.5〜
39.3dB低いに過ぎない。損失パッドまたは利得パッドの
導入により生じる新たな量子化誤差の発生にともなう歪
レベルは、せいぜい、情報信号より僅か30.9〜36.1dB低
いに過ぎない。信号歪率が減少すると、例えば、通信網
に接続した利用者のモデム内部のエコー消去器の動作が
妨害されることもある。
第2図に、利得パッドまたは損失パッドを挿入するこ
とに伴う新たな量子化誤差が発生する様子を示す。波形
200は、一連のデジタル符号語に変換すべきアナログ入
力信号波形である。量子化の過程で使用される離散的な
デジタル信号レベルの集合の例を、棒グラフ201により
示す。その値は、−7、−6、−5・・・+6および+
7であり、グラフ201の右側には、その出力レベル(O
L)が示される。これらの割り当てられた各出力レベル
は、2つの決定レベル(DL)の間に広がる所与の範囲に
当てはまる大きさを持つアナログ信号標本を表す。これ
らの決定レベルは、−7.5、−6.5、・・・+6.5、+7.5
であり、グラフ201の左側に示す。任意の所与の出力レ
ベルに対する決定レベル対は、その出力レベルに最も近
い2つの決定レベルである。例えば、出力レベル−2に
対する決定レベルは、−1.5および−2.5である。従っ
て、アナログ信号標本の大きさが、波形200の領域201、
即ち値+2.5および+3.5の間にあれば、その標本は出力
レベル+3に量子化される。ここで、6dBの損失パッド
を与えると仮定する。この6dBの損失パッドの挿入は、
+3のデジタル信号レベルを2で割ることに等しい。し
かし、その結果の値1.5は、利用可能なデジタル信号レ
ベルには該当するものがない。その結果、その値1.5を
+1または+2の何れか一方に割り当てることにより、
新たな量子化誤差を招くことになる。ここでdB損失を挿
入しても、必ずしも新たな量子化誤差を招くとは限らな
いことに注意を要する。例えば、領域202、即ち決定レ
ベル3.5および4.5の間にある入力アナログ信号波形の標
本は、出力レベル+4に量子化される。このデジタル出
力レベルに6dBの損失を導入すると、利用可能な出力レ
ベルの1つに丁度対応する+2という値になる。この2
次的な量子化誤差の結果として、受信した元のアナログ
信号が最終的に再構成された場合、その信号は減衰して
いるだけでなく、不規則な歪を含んでいる。波形250
は、波形200のデジタル表現を6dBの損失で減衰させたデ
ジタル表現から再構成したアナログ信号である。
第3図に、前記の新たな量子化誤差の予測不可能性を
示す。第3図の横軸(X軸)は、μ規則のA/D変換器の
一部に重複することなく隣接する11の区間401〜411を示
す。このX軸上の小数は、各区間の境界値の平均を正規
化電圧で示すものである。前記の入力区間の各々に対す
る出力レベルは、Y軸上に正規化電圧でプロットされ、
そこから水平に点線が引かれている。丸点412〜423は、
各入力信号区間に対するμ規則出力レベルへの1dBの損
失パッドの挿入に正確に対応するデジタル信号相当値を
示す。これらの点は、全て1直線上にある。四角で囲ま
れた点412′〜423′は、出力レベル412から423の各々を
損失パッドを挿入して量子化した結果の信号レベルを示
す。従って、数字のみで示した点とその各々にダッシュ
(′)を付けた点との隔たりが、1dBの損失パッドの挿
入により挿入された新たな量子化誤差を表すことにな
る。ここで419および419′は実質的に互いに重なり合っ
ているので、区間407に相当するアナログ信号標本の大
きさに対しては、実質的に新しい量子化誤差は導入され
ない。しかし、その他のほとんどの区間に位置するアナ
ログ信号標本の大きさには、無視できないほどの量子化
誤差が導入される。これは、所与の点およびそのダッシ
ュ付きの点、例えば414および414′、415および415′、
ならびに423および423′の間には、著しい隔たりがある
ことからも明かである。
本発明に従う量子化レベルの間の関係は、 yn+1=kyn (1) と、表すことができる。ここで、kは所定のスカラー
量、yは量子化レベル、添え字nは任意の量子化レベル
を示す指標(インデックス)である。従って、添え字n
+1は、全ての量子化レベルからなる順序集合におい
て、与えられた任意の量子化レベルのnに隣接する量子
化レベルに充てられている。
式(1)は、量子化レベルの間の関係を定義する。こ
のようなレベルの各々は、通信網において伝送される1
つのデジタル信号に対応する。式(1)の関係を取り入
れた装置としては、例えば、A/D変換器がある。この場
合、各量子化レベルは、A/D変換器のデジタル出力信号
の1つに関係付けられる。または、これとは別に、各デ
ジタル信号を別のデジタル信号に対応させる符号化装置
に供給されるデジタル信号に、量子化レベルを関係付け
ることもできる。このような使用例としては、例えばμ
規則またはA規則の符号化のような量子化レベルの関係
を取り入れたデジタル信号から、式(1)の量子化レベ
ル関係を表すデジタル信号に変換することがあげられ
る。その他の可能な応用例としては、反対の状況があ
り、この場合、量子化レベルが、信号変換装置への入力
に関係付けられる。D/A変換器、またはデジタル/デジ
タル符号化器が、そのような装置に当たる。D/A変換器
では、式(1)を表すデジタル信号が、アナログ信号波
形に変換され、一方、デジタル/デジタル変換器におい
ては、式(1)の関係を取り入れたデジタル信号が、例
えばμ規則またはA規則などの他のフォーマットに変換
される。
前述のように、式(1)におけるkの値は、必要なdB
利得またはdB損失がこの換算因数の倍数となるように、
選択する必要がある。例えば、式(1)は、次のように
書くことができる。
log(yn+1/yn)=log k (2) ここで、logは10を底とする対数表現である。式
(2)に20を掛けると次のようになる。
20log(yn+1/yn) =電圧または電流の比を表すdB利得またはdB損失 =20log k (3) 従って、k=1.05925の時、間隔が0.5dBの場合に相当
する。k=1.05925として、0.5dBの倍数であるdB利得パ
ッドまたはdB損失パッドを与えることは、現在のデジタ
ル信号によって表される量子化レベルから、そのパッド
数だけ量子化レベルを上方または下方に移動することに
より、実現される。数えられた量子化レベルは、0.5dB
の増分を表す。同様にして、電力比を表す希望のdB損失
またはdB利得を求めるには、kに付いて解く前に、式
(3)における20を10に変更する必要がある。
式(1)の関係を取り入れたA/D変換器の場合、アナ
ログ信号入力の大きさの区間どうしの関係は、任意であ
るが、できれば、区間どうしが、隣接し、重複していな
いことが望ましい。望ましい関係は、一例として、次の
ように表すことができる。
(ynyn-11/2<Xn<(ynyn+11/2 (4) つまり、量子化レベルyによって表される任意の区間
xは、下限(ynyn-11/2から上限(ynyn+11/2までの
広がりを持つ。
式(1)および(4)によって定義される関係は、μ
規則またはA規則の何れを表す関係とも異なる。例え
ば、μ規則では、nを任意のレベルとした場合、n+1
番目の量子化レベルは、 yn+1=1/2(Xn+Xn+1) (5) と表される。ここで、XnおよびXn+1は、量子化レベルy
n+1に関係付けられたアナログ信号の大きさの区間の下
限および上限である。更に、 Xn+1=Xn+k (6) である。ここで、kは、nの16個の値の各範囲ごとに異
なるスカラー定数である。換言すれば、μ規則において
は、ある入力の区間に関係付けられた量子化レベルは、
その区間に対する境界値の算術平均である。その結果、
μ規則における量子化レベルは、互いに直線的な関係に
ある。それに対して、本発明においては、任意の量子化
レベルの対数は、量子化レベルの順序集合における隣接
する量子化レベルの対数とある定数の対数との和に等し
い。これは、式(1)の両辺の対数を取ることにより、
導かれる。更に、式(4)によって、所与の入力区間の
下限は、その区間に対する量子化レベルと、その直前の
区間に対する量子化レベルとの幾何平均として、定義さ
れる。この任意の入力区間の上限は、この区間に対する
量子化レベルと、その隣接する区間に対する量子化レベ
ルとの幾何平均として定義される。
第4図に、本発明を取り入れた典型的なA/Dデジタル
符号化器を示す。A/D変換器400は、周知の連続近似型で
あり、アナログ信号の各標本は、対応するMビット(M
は所定の整数)のデジタル符号語に割り当てられる。こ
の種のA/D変換器では、符号語の割当は、各比較に対し
異なった決定レベルを用いて各標本の比較を続けること
により、行われる。
第4図に示したように、A/D変換器400は、標本化器40
1を備え、これにより、入力アナログ波形IXを標本化
し、各標本を比較回路402に送信する。回路402におい
て、各標本は、重み抵抗回路網404で生成され導線403に
現れる決定レベルIrefと比較される。比較回路402は、
比較の度毎に、その標本値のIrefに対する大小を表すバ
イナリー出力信号を与える。論理回路405は、そのバイ
ナリー出力を受信すると、パス406を介して重み抵抗回
路網404内部のスイッチS1〜Snを制御することにより、
比較回路402に供給される次の決定を指示する。これら
のスイッチの各々を所定の方法で操作することにより、
基準信号を変化させている。これは、比較を続けるにし
たがって、割り付けられた可能なデジタル符号語の個数
が、最後の一個になるまで順次減少するように、梯子回
路網の抵抗R1〜Rnを加減することにより、行われる。こ
のようにした場合、残った1個の符号語が、導線407に
出力される。このようにして出力された符号語は、その
アナログ信号標本の量子化レベルに値が最も近い量子化
レベルに対応した符号語である。各符号語のビット表現
は、自由である。しかし、2の補数計算を用いることな
どにより、全ての符号語のビット表示が、順番に割り当
てられるならば、その方が望ましい。
アナログ信号の標本の量子化レベルに値が最も近い量
子化レベルに対応する符号語を決定するために、各量子
化レベルは、1対の決定レベルに関係付けられる。決定
レベルの各対は、第2図に示すように、1つの量子化レ
ベルを挟んでいる。本発明によれば、符号語の集合に関
係付けられている量子化レベルの集合は、式(1)の関
係にしたがう、即ち、各量子化レベルは、その隣接する
量子化レベルのスカラー量k倍である。決定レベルの対
が各量子化レベルを挟み、かつ任意の隣接する量子化レ
ベルの間に唯一の決定レベルが存在する限り、決定レベ
ルの値からなる任意の集合を使用することができる。し
かし、割り当てにおける誤差を少なくするためには、決
定レベルを量子化レベル間の中央に配置することが望ま
しい。従って、決定レベルの集合も、式(1)の関係に
したがうことが望ましい。換言すれば、全ての決定レベ
ルを組み合わせる場合、決定レベルを値の小さい順に配
列し、更に、一番目以降の各決定レベルが、前の決定レ
ベルと一定のスカラー量kとの積に等しくなるようにす
る。決定レベルの間に、このような関係を与えるには、
重み抵抗回路網404の抵抗値が式(1)の関係に従うよ
うに回路網404を設計する方法がある。式(1)の関係
に対する適切な抵抗値の決定方法は、周知のとおりであ
る。
第5図に、本発明を具体化するD/A変換器500を示す。
D/A変換器500は、前段の変換器400によって生成された
Mビットの符号語を導線501から受信すると、これを電
圧源梯子回線502に受信する。この梯子回路は、周知の
ように、パス501の各導線に現れる特定の論理状態に応
じて関係付けられた電圧を出力する。これらの電圧は、
パス503に現れると、乗算器(電圧マルチプレクサ)504
に結合され、導線505にアナログ信号の標本が形成され
る。各アナログ信号標本は、パス501から受信したMビ
ットのデジタル符号語の1つに対応している。具体的に
は、アナログ信号の各標本値は、A/D変換器における各
符号語に対応する量子化レベルの1つに等しい。本発明
を取り入れるには、全てのアナログ信号標本が式(1)
に従うように、電圧源梯子回路を周知の容量で設計する
だけでよい。
第6図は、デジタル/デジタル変換器である。同図に
おいて、量子化レベルの第1の集合に関係付けられた第
1のデジタル信号は、量子化レベルの第2の集合に関係
付けられた第2のデジタル信号に変換される。ここで
は、μ規則またはA規則などの周知の量子化レベル集合
に関係付けられたデジタル符号語と、式(1)の関係
(以降、dB規則と称する)に従う量子化レベル集合との
間における、変換の可能性に付いて考える。この装置
は、既知である任意の量子化レベル集合に関係付けられ
た符号語からdB規則へ変換するようにも、その逆に変換
するようにも、動作することができる。
デジタル/デジタル変換器600は、直列/並列変換器6
02、メモリ604、および並列・直列変換器606を備えてい
る。導線601に現れる第1のデジタル符号語の各々のM
ビットは、直列/並列変換器602により並列配列へと変
換され、メモリ604には、第1のデジタル符号語に対応
する第2のデジタル符号語が記憶された探索テーブルが
格納されている。これらの第2のデジタル符号語は、各
アドレスに応じてメモリから読み出され、パス605を介
して、並列/直列変換器606に送信される。並列/直列
変換器606によって、第1の各デジタル符号語に対する
第2の符号語が、一連の流れとして出力され、導線607
に現れる。
第1の各符号語に対応する第2の符号語(メモリに記
憶される)を決定するには、第1の各符号語に対応する
量子化レベルを、第2の符号語に対応する量子化レベル
と比較すればよい。第1の符号語に関係付けられた各量
子化レベルに対して、第2の符号語に関係付けられた量
子化レベルの中から、値が最も近いものを1つ選ぶだけ
である。そして、この選択された量子化レベルに対応す
る第2の符号語が、メモリに記憶される。デジタル信号
の間でこの種の変換を行うと、量子化誤差が生じる。し
かし、dB規則と他の形式との間の変換においては、kを
適切に選択することにより、この誤差は、低減すること
ができる。例えば、μ規則とdB規則との間の変換に関し
ては、区間を次のように設定すれば、量子化誤差を低減
することができる。即ち、隣接する正の量子化レベル1
〜6の間では3.008dBの区間、隣接する正の量子化レベ
ル7〜30の間では0.762dBの区間、隣接する正の量子化
レベル31〜127の間では0.376dBの区間とする。A規則の
場合、量子化誤差を低減するには、区間を、隣接する正
の量子化レベル1〜7の間では3.008dB、隣接する正の
量子化レベル8〜16の間では0.762dB、隣接する正の量
子化レベル17〜128の間では0.376dBと設定する。これら
のkの値である3.008:0.762:0.376の比率は、8:2:1にな
っている。0.376dBのデジタル損失値、およびその倍数
では、μ規則/dB規則変換に関する最大より0〜30dB低
い出力レベルに対しては、信号の歪は変化せず、A規則
/dB規則変換に関する最大より0〜36dB低い出力レベル
に対しては、信号の歪は変化しない。
従って、本発明の効果として、本発明のdB規則を使用
することにより、最大より35〜64dB低い入力信号に対す
る信号の歪が著しく改善されるため、信号を新たな歪に
より劣化させることなく、デジタル損失パッドまたはデ
ジタル利得パッドを挿入する利点を利用することが可能
となる。更に、本発明のdB規則を用いれば、単なるデジ
タル的な加算または減算により、必要とする利得または
損失を与えることができる。現在のところ、μ規則また
はA規則では、処理上、デジタル利得パッド挿入のため
の乗算なり、デジタル損失パッド挿入のための除算に先
立ち、概算化(まるめ処理)に精度を与えるために、8
ビットから14ビットへの変換を行う必要がある。
本発明の説明は、いくつかの開示した実施例に関して
行ってきたが、当業者には、その他の構成も明かであろ
う。例えば、A/D変換器、D/A変換器、およびデジタル/
デジタル符号化器に対して特定の構成を開示したが、本
発明によれば、例えば、処理単位を、それぞれビット、
語、およびレベルとする装置などを含め、種々の構成の
変換器および符号化器を具体化することが可能である
【図面の簡単な説明】
第1図は、利得パッドまたは損失パッドを利用した通信
システムを示すブロック図、 第2図は、第1図のデジタル利得パッドまたはデジタル
損失パッドの挿入により発生する新たな量子化誤差の影
響を表すグラフ図、 第3図は、μ規則符号化器によって与えられる伝達関数
の部分に対し、第1図のデジタル利得パッドまたはデジ
タル損失パッドの挿入によって生じる新たな量子化誤差
の予測不可性を表すグラフ、 第4図は、本発明を取り入れたアナログ/デジタル信号
変換装置のブロック図、 第5図は、本発明を取り入れたデジタル/アナログ信号
変換装置のブロック図、 第6図は、本発明を取り入れたデジタル/デジタル信号
変換装置のブロック図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−209209(JP,A) 特開 昭63−234642(JP,A) 特開 昭56−24897(JP,A) 特開 昭50−143458(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】A法則またはμ法則により符号化されたデ
    ジタル信号を伝送するライン(106)接続され、前記ラ
    イン(106)から受信した入力信号にデジタル的に損失
    または利得を挿入するパッド(109)と、このパッド(1
    09)からのデジタル信号をアナログ信号に変換するD/A
    変換器(110)とを有するデジタル交換局(107)におい
    て、 前記D/A変換器は、前記ラインを伝送するエコーを消去
    するために、複数の入力信号範囲の1つに該当する値を
    有する入力信号(xn)を受信する手段(401,501,601)
    と、 前記入力信号範囲の各々に対応するよう、出力信号範囲
    をそれぞれの入力信号範囲に関係付ける手段(402,404,
    405)と、 前記関係付ける手段により、各入力信号に関係付けられ
    た出力信号(Yn)を出力する手段(407,505,607)と、 を有し、 前記出力信号範囲の全体は、その信号値の大きさの順に
    順序集合を形成し、 前記順序集合の出力信号の1つの信号値(yn+1)は、信
    号値の小さい側に隣接する出力信号値(yn)と所定の因
    数(k)との積に等しく(yn+1=k yn)、 前記因数(k)は、前記順序集合の異なる部分集合毎
    に、異なる値を有し、これらの異なる値の対数は、それ
    ぞれ互いに倍数の関係にある ことを特徴とする信号変換装置。
  2. 【請求項2】前記入力信号範囲の各々の範囲(xn)は、
    上限値と下限値とを有し、前記上限値と下限値とは、そ
    れを挟む2つの隣接する出力信号値(yn-1,yn,yn+1)の
    幾何平均に等しい((ynyn-11/2<Xn<(y
    nyn+11/2) ことを特徴とする請求項1記載の装置。
  3. 【請求項3】A法則またはμ法則により符号化されたデ
    ジタル信号を伝送するライン(106)接続され、前記ラ
    イン(106)から受信した入力信号にデジタル的に損失
    または利得を挿入するパッド(109)と、このパッド(1
    09)からのデジタル信号をアナログ信号に変換するD/A
    変換器(110)とを有するデジタル交換局(107)におい
    て、 (A)複数の入力信号範囲の1つに該当する値を有する
    入力信号(xn)を受信するステップと、 (B)前記入力信号範囲の各々に対応するよう、出力信
    号範囲をそれぞれの入力信号範囲に関係付けるステップ
    と、 (C)前記のステップの処理の後、各入力信号に関係付
    けられた出力信号(yn)を出力するステップと、 からなる信号変換方法において、 前記(B)の関係付けるステップは、受信した入力信号
    に、デジタル的な損失または利得を挿入するステップを
    有し、 前記出力信号範囲の全体は、その信号値の大きさの順に
    順序集合を形成し、 前記順序集合の出力信号の1つの信号値(yn+1)は、信
    号値の小さい側に隣接する出力信号値ynと所定の因数
    (k)との積に等しく(yn+1=kyn)、 前記因数(k)は、前記順序集合の異なる部分集合毎
    に、異なる値を有し、これらの異なる値の対数は、それ
    ぞれ互いに倍数の関係にある ことを特徴とする信号変換方法。
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