JP2597208B2 - ナトリウム―硫黄電池の残存容量推定方法 - Google Patents

ナトリウム―硫黄電池の残存容量推定方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ナトリウム−硫黄電池に係り、特に、電池
の残存容量を精度よく推定するとともに、電池内の単電
池破損の有無、個数を検査するに好適な電圧測定法及び
データ処理方法に関する。
〔従来の技術〕
従来の技術としては、電池の通電電流を積算すること
により、初装荷時を始点として放電深度を算出し、理論
放電容量との差から残存容量を得る方法が一般的であ
り、測定精度を上げることにより残存容量の精度を上げ
るようにしていた。鉛蓄電池の場合には、電解液の比重
を測定して放電深度を推定する方法もある。また、特殊
な方法として、特開昭60-166875号公報に記載のよう
に、直流電圧に重畳して、交流電圧を印加し流れる電流
の高調波を測定し、予め判っている残存容量状態での値
と照合して、残存容量を推定する方法も提案されてい
る。しかしながら、精度よく残存容量を推定するための
有効な手段は、確立されていない。なお、放電深度と
は、直並列単位ごとに得られ、Na2S3組成を100%とした
パーセンテージで示され、残存容量とは、放電容量(放
電深度100%)に達するまでに残存する組電池のAh容量
をいう。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上記従来技術には以下の問題点があ
る。
第1の例では、多数回の充放電サイクルを繰返す間に
電流値及び積分時の誤差が蓄積して、精度が低下する
点、及び、基本単位である単電池を多数本、直並列接続
する組電池の場合には、上記単電池の破損により、組電
池内の電流の配分が大きく変り、外部電流の積算から得
られる放電深度は、単電池の放電深度を表さなくなると
いう問題がある。逆に、単電池毎に電流を測定しようと
するならば、膨大な測定量となる上、誤差の観点から有
効な手段とはならない。
第2の比重測定の例は、鉛電池等、電解液を用いる電
池では可能であるが、ナトリウム−硫黄電池のように、
固体電解質を用いる電池には適用できない。
第3の例では、予め残存容量と高調波成分との関係を
得ておく必要がある。
本発明の目的は、単電池を多数本、直並列接続したナ
トリウム−硫黄電池において、予め設定する必要なく、
精度よく残存容量を推定することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するための本発明方法は、ナトリウム
硫黄電池内で単電池を直並列接続した最小単位、つま
り、外部回路を開いた差異にも循環電流がその内部で流
れ得る閉じた回路を持ち単位毎に起電力を測定し、それ
に対応した理論的な放電深度を算定した後、それらの起
電力の差異から破損単電池の個数を推定して、その組電
池単位内の単電池に流れる電流値の補正係数を求め、か
つ、この補正係数と上記放電深度の内、最大の深度を示
した放電深度とを用いて、電池全体の残存容量を算定す
るという方法である。
また、上記起電力を測定する際には、充放電電流停止
直後の電圧変化を指数関数を含む関数形に近似すること
によって、極めて長時間後に漸近していく真の起電力の
値を短時間に推定することができる。
〔作用〕
上記の構成によれば、ナトリウム硫黄電池の充放電停
止時の残存容量を短時間の内に算定し、これを始点とし
て、従来通り、電池の通電電流を積算し、かつ、上記補
正係数を掛けることにより、長時間の充放電サイクルの
繰返しが続いても、精度の高い残存容量が常時得られる
ことになるとともに、破損単電池の個数が推定できるこ
とから、電池の補修時間の推定が可能となる。
すなわち、請求項1記載発明によれば、ナトリウム−
硫黄電池の組電池の残存容量を推定することができ、ま
た、破損単電池数を推定することができるので、メンテ
ナンスを計画的に実施することができる。また、請求項
2または3記載発明によれば、残存容量を常時モニタす
ることができるようになる。また、請求項4記載発明に
よれば、放電深度の推定を短時間で行うことが可能とな
り、請求項5または6記載発明によれば、その精度をさ
らに向上させることができる。
以下本発明の作用原理を適宜図面を用いて詳述する。
ナトリウム硫黄電池の最小構成単位である単電池は、
負極活物質として溶融ナトリウムを、正極活物質として
硫黄あるいは多硫化ナトリウムを用い、電解質として、
ナトリウムイオン伝導性を有するβ″−アルミナ等の固
体電解質を用いる。放電時には、ナトリウムは電子を遊
離してイオンとなり、固体電解質を通って正極内に入っ
て、硫黄と反応して多硫化ナトリウムとなり、この際、
外部から流れこんでくる電子を結合して中性化して、放
電反応を終える。正極内では、放電が進むにつれてナト
リウムが増加し、Na2S5,Na2S4,Na2S3、というよう
に、多硫化ナトリウムの硫化度が低下していく。通常、
Na2S3の融点が約285℃であり、Na2S2となると、融点が1
000℃以上に上昇してしまうため、運転温度を300〜350
℃程度として、Na2S3を放電限度とする。つまり、Na2S3
に達するに必要なNaの量を電荷量に換算することによ
り、理論放電容量とすることができる。実用上は、ナト
リウムがNa2S3をこえて供給されても、多硫化ナトリウ
ムが正極内で部分的に凝固し始めて、内部抵抗が上昇す
るため、電池の機能が損われることになり、Na2S3を放
電限度とすることが適当である。
また、ナトリウムがNa2S3に達するまで供給されない
ように電池を構成する場合には、ナトリウム量を電荷量
に換算した値をそのまま放電限度とし得る。通常は、ナ
トリウムと硫黄の量のモル比を2:3程度として、高いエ
ネルギ密度を得られるように単電池を構成する。充電時
には、起電力よりも高い電圧を外部から逆にかけてやる
ことにより、多硫化ナトリウムから電子を取ってイオン
化し、イオンとなったナトリウムが固体電解質を放電時
と逆に通過して、負極内に戻り、そこで電子を受け取っ
て中性化して充電反応を終る。この時、充電が進んで正
極内の多硫化ナトリウムの硫黄の割合が多くなると、硫
黄単体が析出するようになるが、硫黄は電子伝導性を有
しないため、充電末期には、高い内部抵抗を有するよう
になる。そこで通常は、上記放電容量を100%として10
〜15%程度が実用上の充電限度となり、正極内に若干の
ナトリウムを残した状態で充電を終了する。従って、通
常の運転領域は、放電容量に対して、10〜15%の位置か
ら、最大100%の間となる。
第2図は、ナトリウム−硫黄電池の起電力を示してい
る。ナトリウム−硫黄電池の起電力は、放電深度によっ
て異なる変化を示し、正極内のナトリウムと硫黄のモル
比が2:5に達するまでは、正極内は、硫黄単体とNa2S5
混合体で、起電力は約2.07Vで一定となる。Na2S5の状態
より放電が進行した状態では、Na2S5,Na2S4,Na2S3
等の混合体となり、総体としては、放電深度に対してほ
ぼ直線的に低下し、Na2S3での約1.76Vに達する。従っ
て、Na2S5より進んだ放電深度では、起電力を知ること
により、放電深度を同定することができる。
しかし、この理論値は、ナトリウムと硫黄の組成が均
一である場合の値であり、実際には、有限の体積を持つ
正極内で起電力の異なる組成が分布する場合があり、外
部から真の起電力を測定するのは困難な場合が多い。つ
まり、第3図に示すように、放電停止後の電圧は、ゆっ
くりと真の起電力に漸近していく変化が起こり、真の起
電力に漸近するまでには、数時間がかかる。
本発明においては、この電圧の変化を、 V(t)=E0−(E0−V0)e−αt ……(1) に関数近似することによって、充放電停止後、短時間の
内に真の起電力を推定できるというものである。ここで
V(t)は、測定される電圧値を、E0はV(t)が漸近
していく真の起電力を、V0は、時刻t=0における電圧
値を各々表わしている。これまでに述べた事柄は、単電
池を対象にしているが、この手法は、以下の実施例で説
明する単電池を多数個直並列接続した組電池にも有効で
あることが分っている。
〔実施例〕
以下本発明の一実施例を図面を参考にして説明する。
はじめに具体的なナトリウム−硫黄電池の構成例とそ
の動作について述べる。一般にナトリウム−硫黄電池の
単電池は、製作上の制約、等から数十ワット程度である
が、実用上、例えば、電力貯蔵用や電気自動車用に用い
るには、数キロワットから数メガワットの出力が必要と
なる。そこで、単電池を多数本直並列に接続して、所定
の電圧、電流を得るようにする。
第1図は、このように考えて構成されたナトリウム−
硫黄電池の組電池の構成例を示す。第1図において、単
電池2は、1本以上を直列接続されて直列単位4を作
る。これを複数本並列接続して直並列単位6を構成す
る。さらに、これを直列に1ヶ以上接続して組電池8と
する。なお、ナトリウム−硫黄電池は、高温作動型であ
るため、通常、断熱構造体である保温箱10に収納され
る。このように構成された組電池では、単電池2の定格
電流をI0、平均放電電圧をV0、直並列単位6の中の直列
数をn、並列数をm、直並列単位6の個数をNとすれ
ば、外部端子12a,12bの両端では、およそ、mI0の定格電
流にてnNV0の平均電圧が得られる。電圧計14は直並列単
位6の両端の電圧を計るためのものであり、電流計16は
組電池8の通電電流を計るためのものである。
この組電池8は、運転、温度管理、保守の単位であ
り、通常数キロワットから数十キロワットの出力に構成
される。さらに、大きな電力の蓄電が必要な場合には、
この組電池を直列あるいは並列接続する。
この組電池8の動作は、前記単電池2の動作を重ね合
わせたものに他ならない。従ってすべての単電池2が健
全に動作している場合には、第2図に示した起電力の変
化をnN倍した形の起電力をもつ。直並列単位6の内部で
は、直列単位4の抵抗値の差異によって、電流の分配は
均一とはならず、従って、直列単位毎に放電深度が異な
る状態で充放電が進行するが、起電力は、それら異なる
放電深度の平均値に対応した値である。充放電を停止し
た直後には、電圧計14で測定される直並列単位6の電圧
は、第3図に示したような変化を示す。この休止中に
は、放電深度、即ち、起電力の異なる直列単位4の間で
電荷のやりとりが起こっている。つまり、放電深度の浅
い直列単位は起電力が高いため、他の直列単位を充電す
る形で放電する。従って、測定される電圧の変化は、起
電力の平均値の変化であり、前記単電池2の内部の変化
による起電力の変化をn倍したものである。従ってこの
直並列単位6の充放電停止直後の電圧変化を前記単電池
の場合と同様に関数近似することによって、短時間で直
並列単位6の起電力、すなわち放電深度を知ることがで
きる。
組電池8の中の全ての単電池2が健全な場合には、上
述のようにして得られる各直並列単位6の放電深度は等
しい。何故ならば、通電される電流は同じだからであ
る。しかしながら、単電池が破損した場合には状況は異
なる。
ナトリウム−硫黄電池の破損は、基本的には、固体電
解質の劣化破損である。その結果、確実に起こるのは、
起電力の低下である。単電池外部での短絡でも、外部か
ら見れば、起電力の低下と等価である。内部抵抗の変化
は一定ではなく、健全な状態より大きくなる場合も小さ
くなる場合もあり、また経時変化も様々である。
今、単電池2が破損し、起電力が低下すると、直並列
単位6の他の健全な直列単位4から起電力の差に対応し
た電流が流れこむ。その結果、破損単電池を含む直列単
位は充電され、直列単位内の健全な単電池は、前述のよ
うに充電末期の高抵抗域に達する。そして、破損した単
電池を含む直列単位は実質的に開路状態となる。この過
程は、直列数n、並列数m、および破損単電池の内部抵
抗値によって進行速度が異なるが、最終的には、破損し
た単電池を含む直列単位は実質的に切離されるので、当
初m本あった直列単位4は(m−1)本となる。
また、以上の過程が進行する間、健全な直列単位は実
質的に放電量の方が充電量より多くなり、破損した時点
での破損した単電池を含む直列単位の放電深度分の充電
量を負担する。従って、最大で放電容量の1/m−1だ
け、放電側に放電深度がずれる。また、破損した単電池
を含む直並列単位内の健全な直列単位は、健全な直並列
単位内の直列単位に比べて、平均でm/m−1倍の電流が
流れる。従って、健全な直並列単位と破損した単電池を
含む直並列単位の放電深度を比べれば、必らず後者の方
が深度が進んでいることになる。
この結果、組電池内の直並列単位毎の電圧を測定し
て、得られた放電深度の比較を行なうことにより、特定
の直並列単位内が健全であるかどうかのチェックでき、
放電深度がずれていれば、単電池の破損が起こっている
ことが分り、それを記録することができる。
さて、組電池の残存容量は、最も放電深度の進んだ直
並列単位内の単電池が放電容量に達するまでの組電池外
部から見たAh容量である。上記に記した操作の後、この
残存容量を求める方法には以下の2つがある。
第1の方法は、最大の放電深度を示した直並列単位の
放電深度と健全直列単位数kとにより、その時点での組
電池の残存容量を、 (残存容量)={100−(最大の直並列単位放電深
度)}/100 ×(単電池の放電容量)×k……(2) とし、これを始点として以後、電池計16で得られる積算
電流量を放電を正として減量していくことにより、常
時、残存容量を知ることができる。
第2の方法は、前記の操作により各直並列単位の放電
深度が得られた後、それを始点として、以後、電流計16
で得られる積算電流量を、各直並列単位の健全直列単位
数kで除することにより単電池の充放電量とし、これを
単電池の放電容量で除することにより放電深度の増減に
換算して、各直並列単位の放電深度を更新する。ある時
点における組電池の残存容量は、更新された各直並列単
位の放電深度のうち、最大のものから前記(2)式を用
いて得ることができる。
以下、本発明の一実施例を第4図により説明する。
直並列単位6を直列に接続し、保温箱10に収納した組電
池8において、電圧計14は直並列単位6の両端の電圧を
測定し、電流計16は外部端子12a,12bを流れる電流を測
定する。直並列単位6の起電力E(符号18)は、充放電
停止直後の直並列単位6の電圧の時間変化から推定さ
れ、直並列単位6の放電深度D(符号20)は、前記起電
力18と理論値を照合することにより得られる。
直並列単位6の健全直列単位数K(符号22)は、前記
放電深度20を直並列単位間で相互に比較することにより
得られる。組電池8の充放電量Ah(符号24)は電流計16
によって測定された電流値を時間積分したもので、常時
参照できる。組電池8の残存容量R(符号26)は、直並
列単位6の放電深度20の内、最大のもの、及びその直並
列単位6の健全直列単位数22、及び、組電池8の充放電
量24とから算定される。
放電深度算出に当っては、前記第2図に基づく理論
式、 E=A(D−B)+C (D>60%) ……(3) (A,B,Cは定数) を適用するが、Dを誤差1%程度に同定するためには、
Eを最低4桁以上の精度で得る必要がある。そこで電圧
計14には、最低5桁、好ましくは、7桁程度の分解能力
を有する計測器を用いる。この電圧計14によって得られ
た電圧の変化を直並列単位6に前述の(1)式である。
V(t)=E−(E−V(0))e−αt ……(1)′ に関数近似してEを求めるのであるが、本実施例では以
下のようにした。つまり、(1)′式を微分した。
に対して、時刻、t1,t2(t1<t2)での微係数を近似し
て、 とし、更に、時刻t2,t3(t2<t3)での値 とから、辺々割って、 とし、この(7)式から、t=t2〜t3でのα値を得る。
これを何点か採取して平均のαを求め、このαを用い
て、Eを求める。本実施例では、6秒間隔で電圧を測定
し、3分間サンプリング(30点)した後上記の演算を施
して、Eを求めた。こうして得られたEを用いて放電深
度D(%)を求めた結果、およそ1%程度の誤差で、放
電深度が正しいことが分った。
次にこのようにして得られた各直並列単位6の放電深
度20を相互に比較し、放電深度が進んでしまっているも
のがないか調べる。その結果、進んでいるものがあれ
ば、その直並列単位6の健全直列単位数22のカウンタを
1つ減らす。この操作によって、直並列単位6毎の放電
深度20と健全直列単位数22は、充放電停止時に更新され
る。但し、起電力が約2.07Vのn倍の場合は、放電深度
が同定できないため、更新はできない。
さて、組電池の残存容量は、最も放電深度の進んだ直
並列単位に注目して算出すればよい。つまり単電池の放
電容量をA0とし、更新の時点でのその直並列単位の放電
深度をD0、その時点から積算充放電量(放電を正に、充
電を負にとる)をAh、健全直列単位数をk0とすれば、残
存容量 Rは、 R=k0×A0×(100−D0)/100−Ah ……(8) にて得られ、Ahの積分が更新されれば、常時、Rは更新
される。
以上の手法に加えて、直並列単位毎の平均温度を測定
して、起電力から放電深度を算出する際に用いれば、さ
らに精度が向上する。ナトリウム−硫黄電池の起電力
は、温度が上昇すると低下することが分かっており、前
述の(3)式中の定数A,B,Cは、温度に対して、何点か
が文献に与えられている。
また、本手法の過程の中で、破損単電池数を概略把握
できるので、組電池の補修時期を決定することができ
る。
〔発明の効果〕
本発明によれば、ナトリウム−硫黄電池の組電池の残
存容量が精度よく常に監視することができるので、運転
中でも、その後の運転計画が容易となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図はナトリウム−硫黄電池の構成例を示す説明図、
第2図はナトリウム−硫黄電池の放電深度に対する起電
力の変化を表わすグラフ、第3図は放電停止直後の電池
電圧の変化の様子を表わすグラフ、第4図は本発明の一
実施例の概念を示す説明図である。 2……単電池、4……直列単位、6……直並列単位、8
……組電池、14……電圧計、18……直並列単位の起電力
E、20……直並列単位の放電深度D、22……直並列単位
の健全直列単位数k、24……組電池の充放電量Ah、26…
…組電池の残存容量R。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 波東 久光 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式 会社日立製作所日立工場内 (72)発明者 安島 浩美 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式 会社日立製作所日立工場内 (72)発明者 大島 正明 東京都千代田区内幸町1丁目1番3号 東京電力株式会社開発研究所内 (72)発明者 藤原 昇 東京都調布市西つつじケ丘2丁目4番1 号 東京電力株式会社技術研究所内

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ナトリウム−硫黄電池の単電池を1個以上
    直列に接続した直列単位を、複数並列接続して直並列単
    位とし、これを更に複数直列接続してなるナトリウム−
    硫黄電池の組電池の残存容量を推定する方法において、 前記直並列単位毎に充放電停止状態での起電力から放電
    深度を推定し、これに該放電深度の該直並列単位間相互
    の差異から得られる該直並列単位内の健全なる前記直列
    単位の数による補正を行うことにより、前記組電池の残
    存容量を算定することを特徴とするナトリウム−硫黄電
    池の残存容量推定方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のナトリウム−硫黄電池の
    残存容量推定方法において、 前記各直並列単位の放電深度を、起電力による推定時か
    らの組電池の積算電流量に前記健全直列単位数の補正を
    加えて該直並列単位内の単電池の充放電量とし、さら
    に、単電池の放電容量で除することによって放電深度の
    増減に換算することにより更新し、その最大の放電深度
    から組電池の残存容量を算定することを特徴とするナト
    リウム−硫黄電池の残存容量推定方法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載のナトリウム−硫黄電池の
    残存容量推定方法において、 前記各直並列単位の放電深度を推定した時点で、前記健
    全直列単位数の補正を加えて組電池の残存容量を算定
    し、その後の更新は組電池の積算電流量を減量して行う
    ことを特徴とするナトリウム−硫黄電池の残存容量推定
    方法。
  4. 【請求項4】請求項1に記載のナトリウム−硫黄電池の
    残存容量推定方法において、 前記起電力による放電深度の算定を行うに当たり、充放
    電停止後の電圧変化を指数関数を含む関数形に近似する
    ことによって、該直並列単位の起電力を短時間で推定す
    ることを特徴とするナトリウム−硫黄電池の残存容量推
    定方法。
  5. 【請求項5】請求項4に記載のナトリウム−硫黄電池の
    残存容量推定方法において、 前記起電力の推定を、時刻tにおける前記直並列単位毎
    の測定電圧をV(t)、この電圧V(t)が漸近してい
    く真の起電力をE0、時刻t=0における電圧をV0とする
    と、自然対数の底をe、べき指数をαとして、 V(t)=E0−(E0−V0)e−αt なる関数形に近似することを特徴とするナトリウム−硫
    黄電池の残存容量推定方法。
  6. 【請求項6】請求項4に記載のナトリウム−硫黄電池の
    残存容量推定方法において、 前記起電力の推定を、時刻をt、自然数をn、測定電圧
    をV、自然対数の底をe、べき指数をαとして、 なる関数式から時刻tn+1ないしtn+2におけるべき指数α
    値を演算し、このα値の平均値から求めるものであるこ
    とを特徴とするナトリウム−硫黄電池の残存容量推定方
    法。
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