ところで、単電池の故障ひいてはモジュールの故障の要因は、単電池の内部短絡又は外部短絡と考えられる。
単電池の外部短絡は、単電池内の活物質の漏洩による外部短絡ループの形成が挙げられる。単電池の内部短絡はベータ管の破損等による短絡が挙げられる。
これら単電池の外部短絡及び内部短絡は、上述したブロック毎の電圧変化を把握することで検出することができるが、短絡による電圧変化は、急激ではなく、比較的長い期間にわたって徐々に行われるため、検出精度が低いと、故障が発生した際の初動行為が遅延するというリスクがある。そこで、電圧変化の検出精度を高めることが考えられるが、電圧変化を検出する手法とは異なった手法での故障検出手法の提案が望まれている。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、2以上のモジュールが積載されたモジュール列の上部のガス(雰囲気)を引き込んで、該ガスに含まれる活物質の濃度を検知することで、異常の発生の検出、通報を早期に実施することができる二次電池異常通報システムを提供することを目的とする。
[1] 本発明に係る二次電池異常通報システムは、多数の二次電池の単電池が収容されてなる2以上のモジュールが鉛直方向に積載されたモジュール列と、前記モジュール列の上部から下部にかけて配管された導管と、前記モジュール列の下部に設置され、且つ、前記導管内の被測定ガスを引き込んで、該被測定ガスに含まれる活物質の濃度を検知する検知ユニットと、少なくとも前記検知ユニットの出力に基づいて異常の発生を検出し、通報する通報部とを有することを特徴とする。
モジュールでの通常動作で発生した熱によって温められた空気は、上方に移動し、モジュール列の上部に向かって流通する。すなわち、熱による上昇気流が発生することになる。従って、二次電池から漏洩した活物質を含むガス(被測定ガス)は、この上昇気流によってモジュール列の上部に移動することになる。被測定ガスは導管を通じて、モジュール列の下部に設置された検知ユニットに導かれる。そして、モジュール列において火災が発生した際あるいは火災が発生する直前では、漏洩した大量の活物質を含む被測定ガスが熱による上昇気流によってモジュール列の上部に向かう。そのため、導管には高濃度の活物質を含む被測定ガスが入り込み、検知ユニットに導かれることになる。その結果、検知ユニットにて容易に異常の発生を検出することができ、異常の発生を早期に通報することが可能となる。特に、モジュール列の上部に上昇した被測定ガスを導管を通じてモジュール列の下部に引き込んで、検知ユニットに導くようにしたので、検知ユニットを高温の雰囲気に晒すことがなくなり、熱による誤動作や破損を回避させることができる。
[2] 本発明において、前記モジュール列は、箱状の筐体内に収容され、前記筐体は、正面に設けられた吸気開口部と、上部に設けられた排気開口部とを有し、前記導管は、前記排気開口部から前記筐体の下部にかけて配管されていてもよい。
[3] 本発明において、前記検知ユニットは、チャンバールームと、前記導管内のガスを前記チャンバールームに引き込んで排気するポンプと、前記チャンバールーム内の前記被測定ガスに含まれる活物質の濃度を検出するガスセンサーと、前記ガスセンサーにて検出された濃度と予め設定された濃度上限値とを比較する第1コンパレータとを有し、前記第1コンパレータでの比較結果を前記通報部に出力してもよい。
[4] この場合、検知用電源と第1検知用回線で配線され、前記検知ユニットは、前記第1コンパレータの出力に応じて前記第1検知用回線との接続部分を開放又は短絡する接点を有し、前記通報部は、前記検知ユニットの接続部分の開放又は短絡に応じた前記第1検知用回線の電圧変化に基づいてガス濃度の異常の発生を通報してもよい。
[5] さらに、前記第1検知用回線の末端に並列に接続された第1終端抵抗を有し、前記通報部は、前記第1検知用回線の断線に伴う電圧変化に基づいて、前記第1検知用回線の断線の発生を通報してもよい。
[6] [4]又は[5]において、さらに、前記検知ユニットが接続された第2検知用回線を有し、前記検知ユニットは、さらに、前記ガスセンサーの出力と予め設定された出力下限値とを比較する第2コンパレータと、前記第2コンパレータの比較結果に応じて前記第2検知用回線との接続部分を開放又は短絡する第2接点とを有し、前記通報部は、前記検知ユニットの接続部分の開放又は短絡に応じた前記第2検知用回線の電圧変化に基づいてセンサー異常の発生を通報してもよい。
[7] [4]又は[5]において、さらに、前記検知ユニットが接続された第2検知用回線を有し、前記検知ユニットは、さらに、前記ポンプの排気流量と予め設定した下限流量値とを比較する第3コンパレータと、前記第3コンパレータの比較結果に応じて前記第2検知用回線との接続部分を開放又は短絡する第2接点とを有し、前記通報部は、前記検知ユニットの接続部分の開放又は短絡に応じた前記第2検知用回線の電圧変化に基づいてポンプ異常の発生を通報してもよい。
[8] [4]又は[5]において、さらに、前記検知ユニットが接続された第2検知用回線を有し、前記検知ユニットは、さらに、前記ガスセンサーの出力と予め設定された出力下限値とを比較する第2コンパレータと、前記ポンプの排気流量と予め設定した下限流量値とを比較する第3コンパレータと、前記第2コンパレータと前記第3コンパレータの比較結果に応じて前記第2検知用回線との接続部分を開放又は短絡する第2接点とを有し、前記通報部は、前記検知ユニットの接続部分の開放又は短絡に応じた前記第2検知用回線の電圧変化に基づいて異常の発生を通報してもよい。
[9] [6]~[8]において、前記第2検知用回線の末端に並列に接続された第2終端抵抗を有し、前記通報部は、前記第2検知用回線の断線に伴う電圧変化に基づいて、前記第2検知用回線の断線の発生を通報してもよい。
[10] 本発明において、さらに、前記二次電池の運転を制御する電池制御装置を有し、前記通報部は、前記異常の発生を通報する際に、前記電池制御装置に対して運転停止信号を出力し、前記電池制御装置は、前記通報部からの前記運転停止信号の入力に基づいて、前記二次電池の運転を停止してもよい。
以上説明したように、本発明に係る二次電池異常通報システムによれば、2以上のモジュールが積載されたモジュール列の上部のガス(雰囲気)を引き込んで、該ガスに含まれる活物質の濃度を検知することで、異常の発生の検出、通報を早期に実施することができる。
以下、本発明に係る二次電池異常通報システムを例えばNaS電池に適用した実施の形態例を図1~図7を参照しながら説明する。
本実施の形態に係る二次電池異常通報システム10は、図1に示すように、二次電池貯蔵部を構成するパッケージ12と、検知部14と、通報部16とを有する。
パッケージ12は、複数の箱状の筐体18が横方向に配列された構成を有する。図1の例では、4つの筐体18(第1筐体18A~第4筐体18D)を横方向に配列させた例を示す。パッケージ12は、また、二次電池の運転を制御する電池制御装置20を有する。
各筐体18は、内部に、2以上のモジュール22が鉛直方向に積載されたモジュール列24が収容されている。図1の例では、5つのモジュール22を積載して1つのモジュール列24を構成した例を示す。また、筐体18の扉26等の側面には外部と通じる複数の吸気開口部28が設けられ、筐体18の上部には、外部と通じる排気開口部30と、排気開口部30の開口率を可変にする排気開口率調節機構32が設けられている。なお、図1では、2つの筐体18(第1筐体18A及び第2筐体18B)について、それぞれモジュール列24が見えるように、扉26を取り外した状態を示す。
そして、パッケージ12において、運転に伴って筐体18の内部で放散される熱は空気に伝搬し、筐体18の排気開口部30から排気される気体(空気)に伴って外部へ放出される。代わりに吸気開口部28から新たな気体(空気)が外部から入り込み、自然換気が行われる。このとき、排気開口率調節機構32によって排気開口部30の開口率が調節されることで、筐体18内部の熱量が調整される。なお、排気開口率調節機構32としては、例えば特開2004-55373号公報の例えば図3及び図4に記載された機構を好ましく採用することができる。
ここで、モジュール22の構造、特に、ハウジング34の構造について図2A及び図2Bを参照しながら説明する。
ハウジング34は、断熱容器であって、上面開口の箱体36と、下面開口の蓋体38とによって構成されている。
箱体36は、例えばステンレスからなる板材によって構成し、それ自体が中空部を有する箱状に形成されている。中空部は、気密的に封止された密閉空間であり、図示されない真空バルブによって、中空部と外部空間とが連通し得る構造となっている。中空部には、ガラス繊維を接着剤で板状に固化させた多孔質の真空断熱ボード40を装填して、箱体36を真空断熱構造としている。
蓋体38は、箱体36と同様に例えばステンレスからなる板材によって構成されている。その内面側(下面側)には、必要最小限の断熱性を得るための断熱材層42(図3参照)が配置されている。中空部44には、少なくとも2以上の脱着可能な断熱板46が積層充填されている。これらの構成により、蓋体38(上面)のみを大気断熱構造にして、且つ、ハウジング34の上面からの放熱量を制御可能にしている。
なお、箱体36の内部底面には、図3に示すように、緩衝材48、ヒーター50、補強板52、電気絶縁用のマイカシート54を積層して敷設した。ヒーター50は箱体36の1つの側面にも設置される。
ハウジング34には、箱体36と蓋体38とによって形成される内部空間56に、多数の単電池58(二次電池)によって形作られた1つの電池構成体60が立てた状態で収容されている。単電池58の破損、異常加熱、あるいは活物質の漏洩等に対応できるように、図示しないが、消化砂として珪砂が箱体36と電池構成体60との間隙に充填されている。
電池構成体60は、図4に示すように、2以上のブロック62が直列接続されて構成され、各ブロック62は、2以上の単電池58が直列接続した2以上の回路(ストリング64)が並列に接続されて構成されている。例えば8つの単電池58を直列接続して1つのストリング64を構成し、12個のストリング64を並列に接続して、1つのブロック62を構成し、4つのブロック62を直列に接続して1つの電池構成体60を構成する等が挙げられる。
一方、図1に示すように、検知部14は、導管66と、検知ユニット68とを有する。導管66は、各筐体18に対して、対応するモジュール列24の上部から下部にかけて配管されている。検知ユニット68は、モジュール列24の下部に設置され、且つ、導管66内の被測定ガスを引き込んで、該被測定ガスに含まれる活物質の濃度を検知する。すなわち、第1筐体18A~第4筐体18Dに対応して第1検知ユニット68A~第4検知ユニット68Dが設置される。
具体的には、導管66は、排気開口部30から筐体18の下部にかけて配管される。この場合、筐体18の内部に検知ユニット68を設置してもよいし、筐体18の外部に設置してもよい。検知ユニット68を筐体18の内部に設置した場合は、図5Aに示すように、導管66は、筐体18の内部の排気開口部30近傍の位置から筐体18の内部を通じて検知ユニット68に配管される。検知ユニット68を筐体18の外部に設置した場合は、図5Bに示すように、導管66は、筐体18の内部の排気開口部30近傍の位置から排気開口部30を経て筐体18の外部(上面及び側面)を通じて検知ユニット68に配管される。
また、導管66は、例えば金属製の管と樹脂製の管とをつなげることで構成されている。この場合、例えば直線部分に対応して金属製の管が配置され、屈曲部分(又は湾曲部分)に対応して樹脂製の管が配置される。金属製の管としては、例えば銅、銅合金、又はステンレスによる管が挙げられ、樹脂製の管としては、例えばフッ素樹脂製の管、例えばテフロン(登録商標)製の管が挙げられる。
さらに、検知部14は、図1に示すように、第1検知用回線70A及び第2検知用回線70Bと、第1検知用回線70Aの断線を検知する第1断線検知部72Aと、第2検知用回線70Bの断線を検知する第2断線検知部72Bと、を有する。
具体的には、図6に示すように、第1検知用回線70Aは、4つの第1接点Tm1と、第1終端抵抗Re1と、を有する。4つの第1接点Tm1は、検知用電源74と接地にかけてそれぞれ配線され、第1筐体18A~第4筐体18Dに対応してそれぞれ並列に接続されている。第1終端抵抗Re1は、終端において第1接点Tm1と並列に接続されている。
第1検知用回線70Aの両端(一方の端子76a及び他方の端子76b)には、通報部16に延びる第1ケーブル78Aが接続されている。この第1ケーブル78Aを介して、第1検知用回線70Aの両端電圧V1が通報部16に伝達されるようになっている。
同様に、第2検知用回線70Bは、4つの第2接点Tm2と、第2終端抵抗Re2と、を有する。4つの第2接点Tm2は、検知用電源74と接地にかけてそれぞれ配線され、第1筐体18A~第4筐体18Dに対応してそれぞれ並列に接続されている。第2終端抵抗Re2は、終端において第2接点Tm2と並列に接続されている。
また、第2検知用回線70Bの両端(一方の端子80a及び他方の端子80b)には、通報部16に延びる第2ケーブル78Bが接続されている。この第2ケーブル78Bを介して、第2検知用回線70Bの両端電圧V2が通報部16に伝達されるようになっている。
第1断線検知部72Aは、第1検知用回線70Aの他方の端子76bと接地との間に接続された断線検知用の第1抵抗R1と、該第1抵抗R1の両端電圧Vr1を検出する第1電圧検出器82Aとを有する。第1電圧検出器82Aとしては、例えば第1抵抗R1の両端電圧Vr1が正常範囲よりも低下した場合に異常を示す信号を出力する回路を好ましく採用することができる。
ここで、第1終端抵抗Re1と第1抵抗R1の各抵抗値は、以下のように設定される。すなわち、第1検知用回線70Aが断線していない場合に、第1終端抵抗Re1と第1抵抗R1との抵抗分圧により、第1抵抗R1の両端電圧Vr1が、第1電圧検出器82Aの正常範囲、例えば2Vとなるように設定される。そして、第1検知用回線70Aが断線した場合は、第1抵抗R1の両端電圧Vr1が、第1電圧検出器82Aの正常範囲よりも低下した電圧、例えば0Vとなる。この場合、第1電圧検出器82Aから断線を示す第1異常信号Sc1が出力され、通報部16に入力される。
第2断線検知部72Bは、第2検知用回線70Bの他方の端子80bと接地との間に接続された断線検知用の第2抵抗R2と、該第2抵抗R2の両端電圧Vr2を検出する第2電圧検出器82Bとを有する。第2終端抵抗Re2と第2抵抗R2の各抵抗値の設定、第2電圧検出器82Bの動作は、上述した第1断線検知部72Aと同様であるため、その重複説明を省略する。なお、第2検知用回線70Bが断線した場合は、第2電圧検出器82Bから断線を示す第2異常信号Sc2が出力され、通報部16に入力される。
一方、検知ユニット68は、図7に示すように、ガス濃度異常を検出するための第1検出装置84Aと、センサー異常又はポンプ流量異常を検出するための第2検出装置84Bと、を有する。
第1検出装置84Aは、チャンバールーム86と、導管66内の被測定ガスをチャンバールーム86に引き込んで排気するポンプ88と、チャンバールーム86内の被測定ガスに含まれる活物質の濃度を検出するガスセンサー90とを有する。また、第1検出装置84Aは、ガスセンサー90の出力(検出電流Ii)を出力電圧Viに変換する第1電流/電圧変換器92A(I/V)と、ガスセンサー90の出力電圧Viと予め設定された濃度上限値(電圧Vx)とを比較する第1コンパレータ94Aとを有する。第1検出装置84Aは、さらに、該第1コンパレータ94Aの出力に応じて、第1検知用回線70Aとの接続部分を開放又は短絡する上述した第1接点Tm1を有する。チャンバールーム86は、単位長さ当たりの容量を導管66よりも大きくすることで、チャンバールーム86内での被測定ガスの流量を一定にする機能を有する。これにより、ガスセンサー90での活物質濃度の高精度な検出を実現させることができる。
そして、例えば正常運転では、被測定ガスに微量の干渉ガス成分が含まれていることから、ガスセンサー90の出力(濃度)は濃度上限値を超えることはない。従って、第1コンパレータ94Aからは例えば低レベルの信号が出力され、第1接点Tm1は、第1検知用回線70Aとの接続部分を開放状態に維持する。第1筐体18A~第4筐体18Dに対応する全ての第1接点Tm1が開放状態であれば、第1検知用回線70Aの両端電圧V1は第1終端抵抗Re1の両端電圧となる。この電圧が第1ケーブル78Aを介して通報部16に伝達される。
そして、ある筐体18において火災が発生した際あるいは火災が発生する直前では、漏洩した大量の活物質を含む被測定ガスが熱による上昇気流によって排気開口部30に向かう。そのため、導管66には高濃度の活物質を含む被測定ガスが入り込み、対応する検知ユニット68に導かれることになる。その結果、ガスセンサー90の出力(濃度)は濃度上限値を超え、第1コンパレータ94Aからは例えば高レベルの信号が出力される。これにより、第1接点Tm1は、第1検知用回線70Aとの接続部分を短絡状態にする。第1検知用回線70Aに接続された4つの第1接点Tm1のうち、1つの第1接点Tm1でも短絡状態になると、第1検知用回線70Aの両端電圧V1はほぼ0Vとなる。この電圧が第1ケーブル78Aを介して通報部16に伝達される。
従って、第1検知用回線70Aの両端電圧V1を監視することで、正常運転状態か、あるいは第1筐体18A~第4筐体18Dのうち、いずれか1以上の筐体18で火災が発生した、あるいは火災が発生しそうであることを容易に検出することができる。
第2検出装置84Bは、ガスセンサー90の出力電圧Viと予め設定された出力下限値(電圧Vy)とを比較する第2コンパレータ94Bと、ポンプ88の排気流量を計測する流量計96とを有する。また、第2検出装置84Bは、流量計96の出力(検出電流Ij)を出力電圧Vjに変換する第2電流/電圧変換器92B(I/V)と、流量計96の出力電圧Vjと予め設定した下限流量値(電圧Vz)とを比較する第3コンパレータ94Cとを有する。第2検出装置84Bは、さらに、第2コンパレータ94Bからの出力と第3コンパレータ94Cからの出力の論理和を出力するOR回路98と、該OR回路98の出力に応じて、第2検知用回線70Bとの接続部分を開放又は短絡する上述した第2接点Tm2とを有する。
例えば活物質の濃度0~150ppmに対してガスセンサー90の出力(検出電流)が4~20mA(直流)とした場合に、ガスセンサー90の出力が4mA未満であれば、ガスセンサー90が異常(故障)状態であることがわかる。従って、この例において、出力下限値(Vy)を4mAに対応した電圧に設定すれば、ガスセンサー90が正常状態のとき、ガスセンサー90の出力は4mA以上であるから、第2コンパレータ94Bからは例えば低レベルの信号が出力される。
そして、例えば経時変化等によって、ある検知ユニット68のガスセンサー90が故障等した場合、上述のように、活物質の濃度に関わらず、ガスセンサー90の出力が4mA未満となるため、第2コンパレータ94Bからは例えば高レベルの信号が出力される。
同様に、ポンプ88によってガスを一定流量(例えば3リットル/min)で排気する設計にしているにも関わらず、流量計96での値が例えば2.5リットル/min未満であれば、ポンプ88の排気流量が低下していること、すなわち、ポンプ流量異常であることがわかる。従って、この例において、下限流量値(Vz)を例えば2.5リットル/minに対応した電圧に設定すれば、ポンプ88が正常状態のとき、ポンプ88の出力は2.5リットル/min以上であるから、第3コンパレータ94Cからは例えば低レベルの信号が出力される。
そして、例えば経時変化等によって、ある検知ユニット68のポンプ88の排気流量が低下した場合、上述のように、流量計96の値が2.5リットル/min未満となるため、第3コンパレータ94Cからは例えば高レベルの信号が出力される。
第2コンパレータ94B及び第3コンパレータ94Cからそれぞれ低レベルの信号が出力されていれば、第2接点Tm2は、第2検知用回線70Bとの接続部分を開放状態に維持する。第1筐体18A~第4筐体18Dに対応する全ての第2接点Tm2が開放状態であれば、第2検知用回線70Bの両端電圧V2は第2終端抵抗Re2の両端電圧となり、この電圧が第2ケーブル78Bを介して通報部16に伝達される。
反対に、第2コンパレータ94Bあるいは第3コンパレータ94Cから高レベルの信号が出力される、又は第2コンパレータ94B及び第3コンパレータ94Cから高レベルの信号が出力されれば、第2接点Tm2は、第2検知用回線70Bとの接続部分を短絡状態にする。第2検知用回線70Bに接続された4つの第2接点Tm2のうち、1つの第2接点Tm2でも短絡状態になると、第2検知用回線70Bの両端電圧V2はほぼ0Vとなり、この電圧が第2ケーブル78Bを介して通報部16に伝達される。
従って、第2検知用回線70Bの両端電圧V2を監視することで、センサーが正常か、あるいは第1筐体18A~第4筐体18Dのうち、いずれか1以上の筐体18のセンサーが異常であることを容易に検出することができる。
一方、通報部16は、図6に示すように、ガス濃度異常通報部100と、センサー異常通報部102と、第1断線異常通報部104Aと、第2断線異常通報部104Bとを有する。
ガス濃度異常通報部100は、第1ケーブル78Aを介して伝達される第1検知用回線70Aの両端電圧V1に基づいて、パッケージ12でのガス濃度異常の有無を判別し、この例では、両端電圧V1がほぼ0Vである場合に、ガス濃度異常の発生を通報する。例えばガス濃度異常通報部100は、少なくともパッケージ12の識別番号とガス濃度異常を示す識別コードを送信ファイルに格納し、該送信ファイルを監視センター等に向けて送信して、ガス濃度異常の通報を行う。この場合、インターネット等の公衆通信網や携帯電話網を経由して送信してもよい。また、通報は、監視センターのほか、現地使用者、現地管理者等に対して行ってもよい。また、データ通信による通報のほか、電話による通報も行うことで、ガス濃度異常に対する初動行為を早めることができる。
監視センターでは、受信した送信ファイルに格納されている内容からパッケージ12を特定する。さらに、監視センターでは、特定したパッケージ12に対応するデータベースにモジュール単位あるいはブロック単位に蓄積している二次電池の電圧データに基づいて、ガス濃度異常の発生源となっているモジュール22を特定する。そして、監視センターは、特定したパッケージ及びモジュールを現地使用者、現地管理者等に通報する。これにより、特定されたガス濃度異常の発生源を中心に対応処置を早期に行うことができ、被害の拡大を抑えることが可能となる。
次に、センサー異常通報部102は、第2ケーブル78Bを介して伝達される第2検知用回線70Bの両端電圧V2に基づいて、パッケージ12でのセンサー異常の有無を判別する。この例では、両端電圧がほぼ0Vである場合に、センサー異常の発生を通報する。例えばセンサー異常通報部102は、少なくともパッケージ12の識別番号とセンサー異常を示す識別コードを送信ファイルに格納し、該送信ファイルを監視センター等に向けて送信して、センサー異常の通報を行う。
第1断線異常通報部104Aは、第1断線検知部72A(第1電圧検出器82A)からの第1異常信号Sc1の入力に基づいて、第1検知用回線70Aの断線異常を通報する。例えば第1断線異常通報部104Aは、少なくともパッケージ12の識別番号と第1検知用回線70Aの断線異常を示す識別コードを送信ファイルに格納し、該送信ファイルを監視センター等に向けて送信して、第1検知用回線70Aの断線異常の通報を行う。
同様に、第2断線異常通報部104Bは、第2断線検知部72B(第2電圧検出器82B)からの第2異常信号Sc2の入力に基づいて、第2検知用回線70Bの断線異常を通報する。例えば第2断線異常通報部104Bは、少なくともパッケージ12の識別番号と第2検知用回線70Bの断線異常を示す識別コードを送信ファイルに格納し、該送信ファイルを監視センター等に向けて送信して、第2検知用回線70Bの断線異常の通報を行う。
また、通報部16は、ガス濃度異常、センサー異常、断線異常が発生した場合に、上述した通報に加えて、図1に示すように、電池制御装置20に対して運転停止信号Saを出力する。電池制御装置20は、運転停止信号Saの入力に基づいて、予め設定された運転停止のためのシーケンスに従って、二次電池の運転を停止する。
センサー異常、断線異常のときにも二次電池を運転停止するようにしたのは、センサー異常、断線異常のいずれか1以上の異常が発生している期間は、ガス濃度異常を検知できない状態になっており、ガス濃度異常が発生した場合の初動行為が遅延するおそれがあるからである。そこで、センサー異常、断線異常のときにも二次電池を運転停止することで、より安全性を高めることができる。
このように、本実施の形態に係る二次電池異常通報システム10においては、2以上のモジュール22が積載されたモジュール列24の上部の被測定ガスを引き込んで、該被測定ガスに含まれる活物質の濃度を検知するようにしたので、ガス濃度異常の発生の検出、通報を早期に実施することができる。特に、モジュール列24の上部に上昇した被測定ガスを導管66を通じてモジュール列24の下部に引き込んで、検知ユニット68に導くようにしたので、検知ユニット68を高温の雰囲気に晒すことがなくなり、熱による誤動作や破損を回避させることができる。
また、各検知ユニット68内のセンサー異常、並びに第1検知用回線70A及び第2検知用回線70Bの断線異常も検出して通報するようにしたので、検知ユニット68からガス濃度異常でない検知結果が出ているにも関わらず、実際は、ガス濃度異常が発生しているという状況を回避することができ、安全性を高めることができる。
上述の例では、1つのパッケージ12に4つの筐体18を設置した例を主体に説明したが、その他、1つのパッケージ12に1つの筐体18、2つの筐体18、3つの筐体18を設置した場合にも適用可能であり、もちろん、5つ以上の筐体18を設置した場合にも適用可能である。また、5つのモジュール22を積載して1つのモジュール列24を構成した例を示したが、その他、2つ以上のモジュール22、6つ以上のモジュール22を積載してモジュール列24を構成した場合にも適用可能である。
なお、本発明に係る二次電池異常通報システムは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。