JP2595917Y2 - 車両の格納式ステップ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案はトラックなど大型車両
の格納式ステップ装置に関する。

【０００２】

【従来技術】大型トラックなど高い位置にある運転席な
どへの乗り降りのため、実開昭６３−２０１８４９号公
報にもあるように、キャブ側面下部にステップが取付け
られている。

【０００３】図４は２段のステップを設けた場合を示し
てあり、キャブ１の側面にはドア２の下部に位置して、
上下に所定の間隔をもって２段のステップ３と４が配設
されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかし、大型トラック
の運転席は、例えば地上高が約１.３ｍの位置にあり、
このようなステップがあっても、乗り降りにはかなりの
労力を必要とする。

【０００５】本考案はステップを自動的に昇降させるこ
とによりキャブへの乗り降りを楽にした車両の格納式ス
テップ装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案は、１段の水平な
ステップをもつＬ字状をした上部ステップ及びその下方
の少なくとも２段の水平なステップをもつＺ字状をした
下部ステップとからなる多段ステップと、上部ステップ
の基端を車体に回動自由に取り付ける車体側の回動軸
と、上部ステップの下端と下部ステップの基端を回動自
由に連結する連結軸と、車体側の回動軸の下方に位置し
て駆動アームの回動支点が固定される回動軸と、この駆
動アームの先端を回動自由に連結する下部ステップの基
端折曲部の連結軸とを備え、かつ、回動軸と、車体側の
回動軸と、連結軸及び基端折曲部の連結軸により平行リ
ンクが形成されるように構成し、モータにより回動軸を
回転させて駆動アームの上方回動により格納位置、側方
回動により使用位置にするようにした。

【０００７】

【作用】キャブへの乗り降りの際には、モータを回転さ
せて駆動アームを側方に回動させると、Ｌ字状をした上
部ステップが車体側の回動軸を中心に旋回してステップ
を上方に向けた位置まで移動し、Ｚ字状をした下部ステ
ップが駆動アームにより同一の姿勢を保持したまま動か
されてＬ字状をした上部ステップの下方まで移動して、
車体側方のドア下方から突出する水平な多段ステップを
形成する使用位置となる。

【０００８】車両の走行時には、モータを逆回転させて
駆動アームを上方に回動させると、Ｌ字状をした上部ス
テップが車体側の回動軸を中心に逆旋回してステップが
倒れる状態まで移動し、Ｚ字状をした下部ステップが駆
動アームにより同一姿勢を保持したまま上方に動かされ
てキャブ側面のドアの下まで移動することにより、Ｌ字
状をした上部ステップとＺ字状をした下部ステップを格
納する格納位置となる。

【０００９】

【実施例】以下、図にしたがって本考案の実施例を説明
する。

【００１０】図１〜図３において、キャブ１の側面には
ドア２の下部に位置して自動的に昇降する多段ステップ
５が配置される。

【００１１】多段ステップ５は１段の水平なステップを
もつＬ字状をした上部ステップ７と、この下方に配置さ
れる少なくとも２段の水平なステップ８ａ、８ｂをもつ
Ｚ字状をした下部ステップ９とから構成され、これらに
より等間隔の水平な３段のステップが車両側面に向けて
斜め下方に形成される。

【００１２】上部ステップ７の基端の折曲部７ａが回動
軸１０によって車体側に回転自由に支持され、ステップ
６の前端から下がる連結板１１の下端に下部ステップ９
の上端が、回動軸１０と平行な連結軸１２により回動自
由に連結する。

【００１３】前記回動軸１０の下方に位置して、これと
平行に駆動アーム１３の回動軸１４が設けられ、この駆
動アーム１３の先端が下部ステップ９の基端折曲部９ａ
に回動軸１４と平行な連結軸１５を介して連結し、この
とき回動軸１０、１４と連結軸１２、１５を結んで、こ
れら駆動アーム１３と上下部ステップ７と９により、平
行リンクが構成されるように各軸間距離が設定される。

【００１４】駆動アーム１３は回動軸１４と一体的に結
合され、車体側に回転自由に支持されると共に、回動軸
１４に固設したピニオン１６にはモータ１７の回転軸に
取付けたウォーム１８が螺合し、モータ１７の回転によ
り駆動アーム１３を回動軸１４を支点にして旋回運動さ
せる。

【００１５】このモータ６は、図示しないがキャブ内部
であってドア２を開けたときには外部からも操作可能な
位置、例えば座席の近傍に配置したスイッチにより駆動
が制御されるようになっている。

【００１６】なお、ドア２の下面には格納した多段ステ
ップ５を外側から遮閉してフラットなサーフェイスを形
成するためのカバープレート１９が取付けられる。

【００１７】以上のように構成され、次に作用について
説明する。

【００１８】通常の走行時にはステップ５はドア２の直
ぐ下面の上昇位置に格納保持される。車両から降りると
きはドア２を開けてからスイッチを操作してモータ１７
を回転駆動する。駆動アーム１３が下方に旋回してい
き、上部ステップ７が回動軸１０を中心にして車体下面
から側方に向けて展開し、同時に平行リンク機構を介し
て、下部ステップ９がステップ８ａ，８ｂを水平な同一
姿勢を保持したまま、下方に旋回していく。そして上部
ステップ７のステップ６が水平な位置まで展開したら、
モータ１７を停止してその位置に保持する。下部ステッ
プ９のステップ８ａ，８ｂは水平のまま移動するので、
上部ステップ７が水平になった時点で、すべてのステッ
プ６及び８ａ，８ｂが水平になり、ドア２の下面におい
て斜め下方にせり出す多段ステップ５が形成される。こ
のため、キャブ１の地上高さが高くても、容易かつ安全
に乗降することが可能となる。

【００１９】これに対して多段ステップ５を車体下面に
格納する場合は、モータ１７を回転して駆動アーム１３
を上方に旋回させる。すると、上部ステップ７は回動軸
１０を中心にしてその場で回動し、ステップ６が完全に
車体下面へと移動する。これに伴い平行リンク運動によ
り、下部ステップ９が上方へと同一姿勢を保持したまま
移動していき、平行リンクの上死点位置で、車体側面か
ら完全に内側に入り込む。この状態でドア２を閉める
と、多段ステップ５はドア２の下面のカバープレート１
９によって覆われ、フラットなサーフェイスを形成す
る。このため、走行時の空力抵抗が減少すると共に、外
観上の見栄えもよい。

【００２０】なお、モータ６の制御はキャブ内に設置し
たスイッチにより行うので、外部からいたずら等により
誤操作される心配もない。

【００２１】

【考案の効果】以上のように本考案によれば、１段の水
平なステップをもつＬ字状をした上部ステップ及びその
下方の少なくとも２段の水平なステップをもつＺ字状を
した下部ステップとからなる多段ステップと、上部ステ
ップの基端を車体に回動自由に取り付ける車体側の回動
軸と、上部ステップの下端と下部ステップの基端を回動
自由に連結する連結軸と、車体側の回動軸の下方に位置
して駆動アームの回動支点が固定される回動軸と、この
駆動アームの先端を回動自由に連結する下部ステップの
基端折曲部の連結軸とを備え、かつ、回動軸と、車体側
の回動軸と、連結軸及び基端折曲部の連結軸により平行
リンクが形成されるように構成し、モータにより回動軸
を回転させて駆動アームの上方回動により格納位置、側
方回動により使用位置にするようにしたので、モータの
駆動により多段ステップが自動的に車体側面に向けて展
開するので、キャブに対する乗降が容易かつ安全とな
り、走行中は車体下面に格納されるので、走行上の支障
もなく、また、多段ステップはＬ字状をした上部ステッ
プとＺ字状をした下部ステップとに分割され、平行リン
ク機構によって連結されているので、格納時に非常にコ
ンパタトになり、キャブの下面に狭い空間しかないとき
にも設置することが出来、かつ、構造も簡単である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す側面図である。

【図２】同じく多段ステップの斜視図である。

【図３】同じくその側面図である。

【図４】従来例のキャブの斜視図である。

【符号の説明】

１ キャブ ２ ドア ５ 多段ステップ ６ ステップ ７ 上部ステップ ８ａ ステップ ８ｂ ステップ ９ 下部ステップ １３ 駆動アーム １７ モータ

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】１段の水平なステップをもつＬ字状をした
   上部ステップ及びその下方の少なくとも２段の水平なス
   テップをもつＺ字状をした下部ステップとからなる多段
   ステップと、上部ステップの基端を車体に回動自由に取
   り付ける車体側の回動軸と、上部ステップの下端と下部
   ステップの基端を回動自由に連結する連結軸と、車体側
   の回動軸の下方に位置して駆動アームの回動支点が固定
   される回動軸と、この駆動アームの先端を回動自由に連
   結する下部ステップの基端折曲部の連結軸とを備え、か
   つ、回動軸と、車体側の回動軸と、連結軸及び基端折曲
   部の連結軸により平行リンクが形成されるように構成
   し、モータにより回動軸を回転させて駆動アームの上方
   回動により格納位置、側方回動により使用位置にするこ
   とを特徴とする車両の格納式ステップ装置。