JP2595716B2 - 静磁波デバイス - Google Patents

静磁波デバイス

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JP2595716B2 JP1148908A JP14890889A JP2595716B2 JP 2595716 B2 JP2595716 B2 JP 2595716B2 JP 1148908 A JP1148908 A JP 1148908A JP 14890889 A JP14890889 A JP 14890889A JP 2595716 B2 JP2595716 B2 JP 2595716B2
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【発明の詳細な説明】 〔概要〕 青磁波デバイスの素子構造に関し、 青磁波デバイス,とくに青磁波フィルタの同調可能な
周波数範囲を広げることを目的とし、 磁性膜と、前記磁性膜面と近接して配置された入力電
極および出力電極と、外部磁界印加手段とを少なくとも
備えた青磁波デバイスにおいて、 前記入力電極および出力電極は2本のマイクロストリ
ップラインのそれぞれの先端に連なり、かつ、各電極部
分の先端に近づくにしたがって、その幅が広くなるよう
に形成して青磁波デバイスを構成する。
〔産業上の利用分野〕
本発明は青磁波デバイス,たとえば、マイクロ波帯の
フィルタ,共振器,遅延線などに用いる素子構成,とく
に電極形状に関する。
近年、データ伝送の大容量化,高速化にともなって、
GHz帯のフィルタ,共振器,遅延線などの開発が進んで
いる。
磁性体の磁気共鳴を応用した青磁波デバイスはGHz帯
で良好な特性を有し、また、外部印加磁界を変化させる
ことにより、広い範囲で周波数,遅延時間などが変わる
という特徴がある。このような特徴は高周波数帯での電
子回路の設計上有用であり、かつ、新たな応用が開かれ
てきており、ますますその特性の向上が求められてい
る。
〔従来の技術〕
イットリウム・鉄・ガーネット(YIG)の球の磁気共
鳴特性を利用し、外部印加磁界を変えることにより、共
振周波数を大幅に変えられる静磁波デバイス,いわゆる
YIGフィルタが知られていた。しかし、このデバイスはY
IG球の加工やデバイスの組立,調整などが難しく、高価
であるなどの難点があった。
これに対し、最近になってよりコンパクトで製造し易
く,かつ、信頼性の高い薄膜構成の団体素子である静磁
波デバイスが多く提案されるようになった。
第6図はそのようなものゝ代表的な例を示したもの
で、従来の青磁波デバイスの分解斜視図である。
図中、40は磁性膜用基板で,たとえば、ガドリニウム
・ガリウム・ガーネット(GGG)、4は磁性膜で,たと
えば、前記GGG基板40の上に液相エピタキシャル(LPE)
法で形成された磁気的損失の小さいYIG膜である。6は
黄銅ブロックで、デバイスのベースを構成するとともに
グラウンドとして用いる。5はアルミナセラミック基
板、10′,20′はマイクロストリップラインで入出力電
極への給電線を形成している。
1′,2′は入力電極および出力電極で、それぞれマイ
クロストリップライン10′,20′の先端に連なり、ある
所定の距離を離して平行に配置されており、それぞれの
電極巾は図示したごとく一定である。
3はガラススペーサで、このガラススペーサ3を挟ん
で磁性膜4と入出力電極1′,2′が重ねられて素子が形
成される。なお、ガラススペーサ3は必ずしも必要では
なく、場合によっては磁性膜4に入出力電極1′,2′を
密着させて構成してもよい。
また、図中の矢印HDCは外部直流印加磁界を示し、こ
ゝには図示してない永久磁石あるいは電磁石により、必
要に応じ可変磁界を印加できるように構成されている。
なお、HDCは磁性膜4と平行で、かつ、静磁波の進行
方向と直角に印加する,いわゆる、MSSW(Magnetic Sta
tic Surface Wave)モード(表面波モード)の場合につ
いて示したものである。
第5図は静磁波フィルタの周波数特性を示す図で、た
とえば、第6図の構成のものに外部印加磁界HDCを、0.9
3〜2.61k0eの範囲で変化させた時の共振特性を示したも
のである。共振周波数はHDCにより可変であり、約2.8MH
z/0eの割合いで変化する。
挿入損失は5dB以下の周波数領域のものも得られる
が、全周波数範囲で一定ではなく、HDCの小さい領域,
すなわち低周波数領域と、HDCの大きい領域,すなわち
高周波数領域とで挿入損失が大きくなる傾向がある。
なお、測定はマイクロストリップライン10′を入力端
とし、20′を出力端としてネットワークアナライザーを
使用する通常法に従って行なったものである。
〔発明が解決しようとする課題〕
第4図は従来例の共振時挿入損失の周波数特性図で、
縦軸は挿入損失、横軸は周波数である。
図中、は入出力電極1′,2′の長さが4mm,巾が0.36
mmの場合、は同じく長さが4mm,巾が2mmの場合、は
同じく長さが4mm,巾が3mmの場合である。HDCを0.93k0e
から4k0eまで変えて共振特性を測定し、それぞれその中
心周波数における挿入損失をプロットしたものである。
すなわち、上記従来例では、入出力電極巾が小さいほ
ど、挿入損失の小さい領域が低周波側にあり、入出力電
極巾が大きくなると、挿入損失の小さい領域が高周波側
にずれる傾向があるが、10〜11GHzでどの場合も挿入損
失が急激に増大する。
しかも、入出力電極巾が大きくなると、低域側での挿
入損失の立ち上がりも高周波側にずれてくるので、結
局、入出力電極巾が大きくなると挿入損失の小さい領域
が狭くなるなどの問題があり、その解決が必要であっ
た。
〔課題を解決するための手段〕
上記の課題は、磁性膜4と、前記磁性膜4面と近接し
て配置された入力電極1および出力電極2と、外部磁界
印加手段とを少なくとも備えた静磁波デバイスにおい
て、前記入力電極1および出力電極2はマイクロストリ
ップライン10および20のそれぞれの先端に連なり、か
つ、各電極部分の先端に近づくにしたがって、その幅が
広くなるように形成した静磁波デバイスによって解決す
ることができる。
〔作用〕
本発明の静磁波デバイスは、入出力電極の巾を長さ方
向で先端に行くほど広くしてあるので、電極自身が電極
巾に相当する種々の周波数特性を持ち、したがって、そ
れによって構成された静磁波デバイスも広い周波数特性
を有するのである。
〔実施例〕
第1図は本発明の実施例装置の斜視図である。図中、
40は磁性膜用基板で,たとえば、厚さ0.5mmの(111)面
を有する鏡面仕上げをしたGGG単結晶板、4は磁性膜
で,たとえば、前記GGG基板40の上に液相エピタキシャ
ル(LPE)法で形成された磁気的損失の小さい厚さ20μ
mのYIG膜である。5は厚さ5mm,大きさ10×20mmの黄銅
ブロックで、デバイスのベースを構成するとともにグラ
ウンドとして用いる。5は厚さ0.4mm、大きさ10×20mm
のアルミナセラミック基板、10および20は巾0.36mm,厚
さ8μmのAuからなる50Ωのマイクロストリップライン
で入出力電極への給電線を形成しており、それを作るに
は,たとえば、アルミナセラミック基板5の上に50nmの
厚さにAuを蒸着し、マイクロストリップラインパターン
になるようにホトエッチングしたたのち、Auめっきを行
なって所定の厚さに形成している。
1および2は入力電極および出力電極で、それぞれマ
イクロストリップライン10および20の先端に連なり、対
向する電極の長辺を6mmの距離を離して平行に配置して
おり、電極部分の長さは4mm,マイクロストリップライン
との接続部の巾は0.36mm,最も巾の広い先端部の巾は3mm
で、斜辺部は直線で形成したものである。電極材料はマ
イクロストリップラインと同じくAuで、厚さ8μm,全く
同一のプロセスで、マイクロストリップライン10および
20と同時形成になるものである。
3はガラススペーサで、フィルタ特性における高域側
のスプリアスを抑制するために使用したもので、この実
施例の場合は厚さ200μmのガラス板を用い、ガラスス
ペーサ3を挟んで磁性膜4と入出力電極1,2を重ねて素
子を形成する。
なお、ガラススペーサ3は必ずしも必要ではなく、場
合によっては磁性膜4に入出力電極1,2を密着させて構
成してもよい。
また、図中の矢印HDCは外部直流印加磁界を示し、こ
ゝには図示してない永久磁石あるいは電磁石により、必
要に応じ可変磁界を印加できるように構成してある。
なお、HDCは磁性膜4と平行で、かつ、静磁波の進行
方向と直角に印加する,いわゆる、MSSWモード(表面波
モード)の場合について示した。
第2図は本発明の入出力電極パターンの実施例を示す
図で、同図(イ)の実施例(その1)は前記第1図の実
施例装置に使用した電極形状をわかり易く図示したもの
で、斜辺部は直線で構成されている。一方、同図(ロ)
の実施例(その2)は電極配置は実施例(その1)と同
じであるが、斜辺部を曲線,たとえば、指数関数的に変
化させた例である。勿論、曲線の形は指数関数的とは限
らず他の曲線であってもよく、要は電極先端に行くほど
巾が広くなり共振周波数における挿入損失の周波数特性
が広くなるようなものであればよい。
また、以上の実施例では、いずれも入出力電極の先端
の巾の広い方を対角線配置にしてあるが、ほゞ同一線上
にあるような対称配置にしても、同様な効果が得られ
る。
第3図は本発明の実施例装置の共振時挿入損失の周波
数特性図で、前記第1図で詳しく説明した実施例装置の
測定結果である。デバイスモードはMSSWモードとし、外
部印加磁界HDCを0.93k0eから5k0eまで変えて共振特性を
測定し、それぞれその中心周波数における挿入損失をプ
ロットしたものである。
なお、測定はマイクロストリップライン10を入力端と
し、20を出力端としてネットワークアナライザーを使用
する通常法に従って行なった。
図からわかるように、7〜13GHzまでの広い周波数範
囲にわたって挿入損失が7dB以下と、第4図に示した従
来例に比較して、大幅に改善されており、とくに、高周
波帯域へ同調可能範囲が広がった静磁波デバイスが得ら
れた。
〔発明の効果〕
以上述べたように、本発明によれば入出力電極の巾を
長さ方向で先端に行くほど広くしてあり、電極自身が電
極巾に相当する種々の周波数特性を持ち、したがって、
それによって構成された静磁波デバイスも共振時の挿入
損失が、広い周波数範囲にわたって低い値を持っている
ので、GHz帯における静磁波デバイスの性能および品質
の向上に寄与するところが極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例装置の斜視図、 第2図は本発明の入出力電極パターンの実施例を示す
図、 第3図は本発明の実施例装置の共振時挿入損失の周波数
特性図、 第4図は従来例の共振時挿入損失の周波数特性図、 第5図は静磁波フィルタの周波数特性を示す図、 第6図は従来の静磁波デバイスの分解斜視図である。 図において、 1は入力電極、2は出力電極、3はガラススペーサ、4
は磁性膜、5はアルミナ基板、6は黄銅ブロック、10,2
0はマイクロストリップライン、40は磁性膜用基板であ
る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁性膜(4)と、前記磁性膜(4)面と近
    接して配置された入力電極(1)および出力電極(2)
    と、外部磁界印加手段とを少なくとも備えた静磁波デバ
    イスにおいて、 前記入力電極(1)および出力電極(2)はマイクロス
    トリップライン(10)および(20)のそれぞれの先端に
    連なり、かつ、各電極部分の先端に近づくにしたがっ
    て、その幅が広くなるように形成したことを特徴とする
    静磁波デバイス。
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