JP2595001B2 - 中性子吸収遮蔽塗料 - Google Patents

中性子吸収遮蔽塗料

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は中性子吸収遮蔽塗料、特に高温において被塗
布物(以下基材という)に対してすぐれた密着性を示す
中性子吸収遮蔽塗料に関する。
〔従来の技術〕
従来、中性子吸収遮蔽塗料としては、シリコーンゴム
に炭化硼素を分散させたものが知られている(特開昭53
−73000号公報)。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来の塗料は、200℃以上の高温度になると塗膜に剥
離、クラツク等が発生するために表面温度が300℃程度
になる原子炉の圧力容器等には用いることが出来ないと
いう欠点があつた。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、前記欠点を解決した中性子吸収遮蔽塗料を
提供するものである。
すなわち、本発明は、シリコーン樹脂15〜80重量部、
炭化硼素15〜80重量部、低融点釉薬1〜50重量部の割合
で含有してなることを特徴とする中性子吸収遮蔽塗料で
ある。
以下本発明を詳しく説明する。
シリコーン樹脂は常温から300℃までの基材への接着
剤として使用する一方炭化硼素粉末に対しては結合剤と
して機能する。300℃以上の高温においては、熱分解に
より生成したSiO2が後述の低融点釉薬(以下、単に釉薬
という)と反応して基材とセラミックス結合的に密着す
る。シリコーン樹脂が15重量部未満では、低温での基材
への密着力が低下すると共に高温時に生成するSiO2の量
も少なくなり基材との密着力が低下する。一方、80重量
部を越えると熱分解的に発生するガス量が多くなり塗膜
にふくれが発生する。シリコーン樹脂としては、市販の
ものが使用できるが塗料とする際にはトルエン等の適当
な溶剤と共に使用するのが望ましい。又シリコーン樹脂
を有機溶剤に溶解した液状タイプのものや、シリコーン
樹脂にアルキル樹脂、アクリル樹脂、フエノール樹脂、
エポキシ樹脂等の樹脂を等重量程度以下を混合した有機
溶剤含有の変性シリコーン樹脂はそのまま使用できる
し、シリコーン樹脂単独使用に比べて、密着性、塗膜強
度、耐油性、耐溶剤性が向上するという利点がある。粘
度としては1000〜5000cps程度が炭化硼素粉末、釉薬粉
末と都合よく混合し塗布時の作業性もよい。
次に炭化硼素について説明すると、炭化硼素は中性子
を吸収遮蔽する役割を果す成分であり、15重量部未満で
は基材との密着力は良いが、塗膜厚みを厚くしないと中
性子遮蔽効果が十分に得られず作業性、経済性が悪くな
る。一方、80重量部を越えると逆に基材との密着力が低
下する。炭化硼素の粒径としては100μm以下が基材と
の密着性もよく好ましい。
次に釉薬成分について説明する。釉薬は、300〜700℃
の融点をもつもので、シリコーン樹脂の接着剤としての
効果が低下する温度300℃付近からとけはじめ、シリコ
ーン樹脂が熱分解する際に生成したSiO2と反応して結合
剤としての役割を果すものである。釉薬が1重量部未満
では結合成分が少なくなるため基材との密着力が低下し
塗膜が剥離したクラツクが発生したりする。一方、50重
量部を越えるとシリコーン樹脂より生成するSiO2に対し
過剰となり塗膜にクラツクが発生するようになる。特に
好ましい範囲は2〜20重量部である。釉薬としては市販
のものが使用でき、具体例としては、高鉛無アルカリフ
リツト、高鉛含リチウムフリツト、含鉛硼硅酸塩フリツ
ト、ストロンチウムフリツト、ビスマス硼酸塩、硼硅酸
塩フリツト、チタンフリツト、無鉛硼硅酸塩フリツト、
鉛カリフリツト、硼硅酸塩フリツト、高鉛硼硅酸塩フリ
ツト、高鉛硼硅酸塩フリツトである。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例及び比較例により更に具体的に
説明する。
実施例1〜4比較例1〜5 シリコンワニス(東芝シリコーン(株)製、固型分50
%)、炭化硼素(電気化学工業(株)製、粒径44μm以
下、純度92%)、融点が300℃の高鉛硼硅酸塩釉薬(北
陸エナメル(株)製「GT3601N」粒径44μm以下)を表
に示す配合割合で配合し、ボールミルで均一に混合し
た。このようにして得られた中性子吸収遮蔽塗料を巾20
cm、長さ20cm、厚さ3mmの鉄板にスプレー塗布し2mm厚の
塗膜を得た。これを表に示す温度で加熱処理し塗膜の剥
離、クラツクの状態を観察した。その結果を表に示す。
なお、物性測定は次の方法で行なつた。
基剤との密着性:JISK−5400−1979(碁盤目試験)に準
拠して行なつた。
○…塗膜に全く異常が認められなかつたもの。
×…塗膜に剥離、クラツクが生じたもの。
比較例6 さらに実施例1において、融点300℃の釉薬のかわり
に融点900℃の釉薬を用いた以外は同様に試験をしたと
ころ、塗膜の加熱処理温度を300℃としたときに塗膜に
剥離、クラツクが発生した。
〔発明の効果〕
本発明による中性子吸収遮蔽塗料を用いれば300℃以
上の高温においても塗膜に剥離、クラツクの発生が起こ
らない。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコーン樹脂15〜80重量部、炭化硼素15
    〜80重量部、低融点釉薬1〜50重量部の割合で含有して
    なることを特徴とする中性子吸収遮蔽塗料。
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