JP2593976Y2 - 紐調節用固定具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、袋物の開閉紐、衣服裾
の締縛紐、帽子の顎紐等の縛り調節紐の締め具合を調節
し固定する紐調節用固定具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の紐調節用固定具は、径方
向に紐通し孔を穿設した外筒と、この外筒に嵌合し軸部
の径方向に貫通した紐通し孔を有する嵌合子と、該嵌合
子を摺動させるバネの三部品からなっており、特開昭６
２−１１１４１４号公報、特開昭６３−２７２３０２号
公報には、部品点数を少なくするために、前記嵌合子の
下部にバネを一体的に設けたものが開示されている。

【０００３】これらの紐調節用固定具は、嵌合子をバネ
に抗して外筒内へ押し込み、外筒の紐通し孔と嵌合子の
紐通し孔を一致させた状態で紐通し孔に紐を貫通させ、
所定位置で嵌合子を復元させ、紐通し孔の食い違いによ
って紐を蛇行させて固定しようとするものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかし、これらの紐調
節用固定具は、バネの力による押圧であるために緩み易
く十分な紐固定ができない点及びバネの損傷により早期
に紐固定機能を喪失する点に解決すべき課題があった。

【０００５】本考案の目的とするところは、紐通し主体
に対して、これにスライド自在に被冠された操作用外筒
をスライド操作するだけで、簡単かつ確実に長さ調節固
定ができ、またバネを使用することなく長期にわたって
優れた紐止め機能を発揮する紐調節用固定具を提供する
ことにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案の紐調節用固定具
は、上記課題を解決するものであって、袋物開口縁、衣
服裾等に装着された縛り調節用紐の締め具合を調節し固
定するために使用する紐調節用固定具であって、紐通し
主体１とこれを差し込むようにした操作用外筒２との二
部品からなり、紐通し主体１は、縛り調節用紐Ｂのそれ
ぞれの両端部が、前記差し込み方向とは逆の方向から挿
入される紐通路３を併設するとともに、該紐通路３を挟
んで対向する外壁面の一方又は両方に、紐通し方向に徐
々に膨出して自由端部外面が膨出部５となり且つ膨出部
５に加わる力でその内面側が前記紐通路３内へ撓んで突
出するようにした片持梁状の押圧弾体６を一体形成した
扁平筒部４で構成して、紐通し主体１に対する操作用外
筒２の紐通し方向へのスライド操作若しくは操作用外筒
２に対して紐通し主体１を差し込み方向への押し込みに
より、操作用外筒２の内面で前記押圧弾体６の膨出部５
を押圧して撓ませて、押圧弾体６の自由端部内面側によ
って、前記紐通し主体１に通された紐の両端部のそれぞ
れを、押圧固定するようにした構成を特徴としている。

【０００７】

【作用】上記のように構成された紐調節用固定具への紐
の装着は、例えば、操作用外筒２の一端開口部側から、
縛り調節用紐Ｂのそれぞれの両端部を挿入通過させるこ
とに続いて、それぞれの紐端部を、紐通し主体１の紐通
路３に差し込み方向とは逆の方向から通した後、紐通し
主体１を操作用外筒２に差し込み、紐が押圧弾体６の自
由端部内面側で押圧されない状態において長さ調節し、
調節設定された紐を、紐通し主体１と操作用外筒２との
長さを短縮させる方向に両端から押圧してスライドさせ
ることにより、紐通し主体１の片持梁状の押圧弾体６を
撓ませその自由端部内面を紐通路３内へ突出させて押圧
固定するようにし、また紐固定状態にある紐通し主体１
と操作用外筒２とを両側へ引っ張って前記とは逆方向へ
スライドさせると、押圧弾体６による紐の押圧が解除さ
れて自由に長さ調節できるようになる。

【０００８】

【実施例】図１は本考案に係る紐調節用固定具の分解平
面図、図２は紐調節用固定具の正面図、図３は図１のＡ
−Ａ線における紐固定状態の断面図であって、合成樹脂
製の紐通し主体１とこれが差し込まれる操作用外筒２と
からなる。

【０００９】前記紐通し主体１は、縛り調節用紐Ｂの両
端部がそれぞれ独立して後記押圧弾体６の自由端部を拡
開する方向に通過するように仕切り壁１１で仕切って紐
通路３を併設した扁平筒体４の、各紐通路３を挟んで対
向する外壁面の両方に、紐通し方向に徐々に膨出して自
由端部外面が膨出部５となり且つ膨出部５に加わる力で
その内面側が前記紐通路３内へ撓んで突出するようにし
た片持梁状の押圧弾体６を一体形成するとともに、差し
込み側を先端部、その反対側を後端部と定め、紐通し主
体１の先端部であって押圧弾体６の存在しない外壁面で
ある対向側面に抜け止め突起７と、紐通し主体１の後端
部に指掛け操作用のフランジ９とを形成した構成とす
る。

【００１０】また前記操作用外筒２は、紐通し主体受け
入れ側を先端部、その反対側を後端部と定め、その後端
部に指掛け操作用のフランジ９を一体に形成するととも
に、差込用穴８の先端部内面であって、挿入される前記
紐通し主体１の抜け止め突起７が対応する位置に、前記
フランジ９を設けた後端部で解放状態とした摺動係止用
凹溝１０を形成した構成とする。

【００１１】上記のように構成した紐通し主体１と操作
用外筒２とは、紐通し主体１が操作用外筒２の差込用穴
８に差し込まれた状態における差し込み方向の軸線上の
外側端部となる、紐通し主体１と操作用外筒２の後端部
に、それぞれフランジ９が形成されたものとなり、また
紐通し主体１の先端部であって押圧弾体６の存在しない
外壁面である対向側面に抜け止め突起７が、操作用外筒
２の内面に形成した軸線方向の摺動係止用凹溝１０が嵌
り、紐通し主体１が差し込みとは逆方向へ抜けないよう
に組立結合される。

【００１２】この組立結合は、紐を通してからするか通
す前にするかは任意であるが、通常は通す前に組立結合
した状態において流通させることが、部品の紛失を招か
ないことから好ましく、その手順は、紐通し主体１を差
し込み側端部から、操作用外筒２のフランジ９が無い側
の開口部から差込用穴８内へ、合成樹脂の弾性変形を利
用して無理に差し込んで、抜け止め突起７と摺動係止用
凹溝１０とを係合させることにより結合する。

【００１３】そして、紐通し主体１の押圧弾体６の膨出
部５が、操作用外筒２の差込用穴８内面によって押圧さ
れない状態において、操作用外筒２のフランジ９がわか
ら縛り調節用紐Ｂの両端部を紐通し主体１の紐通路３に
通す。

【００１４】この状態では押圧弾体６の自由端内面は紐
通路３内へは突出していないから、縛り調節用紐Ｂの両
端部を自由に移動させて長さを調節し、長さが決まった
ところで、押圧弾体６の膨出部５を押圧する方向へ操作
用外筒２をスライドさせると、膨出部５が操作用外筒２
の差込用穴８の内面で押圧されて押圧弾体６が撓み、そ
の自由端部内面が紐通路３内へ突出して紐面を押圧し固
定するようになる。

【００１５】また操作用外筒２を前記とは逆方向へスラ
イドさせると、押圧弾体６が復帰して紐押圧が解除さ
れ、縛り調節用紐Ｂは自由に長さ調節できるようになる
のである。

【００１６】なお上記実施例及び図面においては、扁平
筒体４の各紐通路３を挟んで対向する外壁面の両方に押
圧弾体６を設けた場合について説明したが、紐通路３を
挟んで対向する外壁面の一方に押圧弾体６を形成しても
紐の調節固定に影響はなく、また、独立して通過する紐
通路３を併設した扁平筒体４は、紐通路３を仕切る仕切
壁１１を無くして紐両端部を一緒に挿通するようにした
場合も、同等の作用効果が得られる。

【００１７】

【考案の効果】本考案に係る紐調節用固定具によれば、
操作用外筒２の紐通し方向へのスライド操作により、操
作用外筒２の内面で前記押圧弾体６の膨出部５が押圧さ
れて押圧弾体６が紐通路３内に向かって撓み、前記紐通
し主体１に通された紐の両端部のそれぞれを、押圧弾体
６の自由端部内面側で押圧固定するようになるととも
に、二部品からなる簡単な構造であって、製作、組み立
てが容易で、また紐通し主体１に対して、これにスライ
ド自在に被冠された操作用外筒２をスライド操作するだ
けの簡単な操作で長さ調節ができ、緩みを生じることな
く確実に固定ができるところの紐調節用固定具を安価に
提供できる。

【００１８】また、縛り調節用紐の両端部を平行な各紐
通路３に通し、それぞれを各別に押圧弾体６で押圧する
ようにしたから、縛り調節用紐Ｂの一端部の調節時に他
端部の紐の移動調節の影響を受けることなく別々に調節
することができる。

【００１９】さらに請求項２に記載のように、紐通し主
体１の差し込み側を先端部、その反対側を後端部と定
め、また操作用外筒２の紐通し主体受け入れ側を先端
部、その反対側を後端部と定め、それぞれの後端部にフ
ランジ９を一体に形成するとともに、紐通し主体１の差
し込み側端部であって押圧弾体６の存在しない外壁面で
ある対向側面に抜け止め突起７を、また操作用外筒２の
内面に前記抜け止め突起７が嵌って軸線方向に摺動でき
るようにした摺動係止用凹溝１０を、それぞれ形成した
場合には、紐通し主体１のフランジ９が操作用外筒２の
紐通し方向への必要以上の摺動を阻止するようになり、
またそれぞれに設けたフランジ９は、紐通し主体１と操
作用外筒２とを相互に離間方向へスライドさせる場合に
指の掛りとなって、スライド操作が容易となるととも
に、抜け止め突起７が摺動係止用凹溝１０と係合して紐
通し主体１と操作用外筒２との不用意な分離も無く、構
成部品の紛失を招かない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る紐調節用固定具の分解平面図であ
る。

【図２】本考案に係る紐調節用固定具の分解正面図であ
る。

【図３】図１のＡ−Ａ線における紐固定状態の断面図で
ある。

【符号の説明】

１ 紐通し主体 ２ 操作用外筒 ３ 紐通路 ４ 扁平筒体 ５ 膨出部 ６ 押圧弾体 ７ 抜け止め突起 ８ 差込用穴 ９ フランジ １０ 摺動係止用凹溝 １１ 仕切り壁 Ｂ 縛り調節用紐

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 袋物開口縁、衣服裾等に装着された縛り
   調節用紐の締め具合を調節し固定するために使用する紐
   調節用固定具であって、紐通し主体１とこれを差し込む
   ようにした操作用外筒２との二部品からなり、 紐通し主体１は、縛り調節用紐Ｂのそれぞれの両端部
   が、前記差し込み方向とは逆の方向から挿入される紐通
   路３を併設するとともに、該紐通路３を挟んで対向する
   外壁面の一方又は両方に、紐通し方向に徐々に膨出して
   自由端部外面が膨出部５となり且つ膨出部５に加わる力
   でその内面側が前記紐通路３内へ撓んで突出するように
   した片持梁状の押圧弾体６を一体形成した扁平筒部４で
   構成して、紐通し主体１に対する操作用外筒２の紐通し
   方向へのスライド操作若しくは操作用外筒２に対して紐
   通し主体１を差し込み方向への押し込みにより、操作用
   外筒２の内面で前記押圧弾体６の膨出部５を押圧して撓
   ませて、押圧弾体６の自由端部内面側によって、前記紐
   通し主体１に通された紐の両端部のそれぞれを、押圧固
   定するようにしたことを特徴とする紐調節用固定具。
2. 【請求項２】 紐通し主体１の差し込み側を先端部、そ
   の反対側を後端部と定め、また操作用外筒２の紐通し主
   体受け入れ側を先端部、その反対側を後端部と定め、そ
   れぞれの後端部にフランジ９を一体に形成するととも
   に、紐通し主体１の差し込み側端部であって押圧弾体６
   の存在しない外壁面である対向側面に抜け止め突起７
   を、また操作用外筒２の内面に前記抜け止め突起７が嵌
   って軸線方向に摺動できるようにした摺動係止用凹溝１
   ０を、それぞれ形成した請求項１記載の紐調節用固定
   具。