JP2592687Y2 - 過負荷防止機構を有するカートン搬送爪 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、液体用充填包装機に使
用するカートン搬送装置に関するものであり、詳しく
は、このカートン搬送装置の循環チェーンに枢着するカ
ートン搬送爪に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、使用されていたガラス容器、金属
容器やプラスチック容器にかわって、最近では、清酒、
牛乳、果汁飲料、めんつゆなどの液体食品の広い範囲に
わたって、頂部が平面状や切妻屋根状の四角な液体用カ
ートンが使用されている。これらのカートンは、板紙を
基材層とし、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチ
レンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂や、アルミニウ
ム箔、酸化ケイ素蒸着膜、ポリ塩化ビニリデン、ナイロ
ンなどのバリヤ層などを積層した積層材料から形成され
ている。そして、これらのカートンに液体食品を充填す
る時には、液体用無菌充填包装機のカートン供給載置台
に、偏平なスリーブ状でカートンが供給され、充填機の
無菌室内で筒状に開口され、殺菌液を収容した洗浄槽に
浸漬されて殺菌されたのち、引き上げられて、洗浄用無
菌水を収容した殺菌槽に浸漬され、付着する殺菌液を洗
浄したのち引き上げられ、さらに、水滴除去マンドレル
によって付着する水滴が除去される。殺菌・水洗・水滴
除去工程を経たカートンは、引き続き、無菌室内で底部
が熱融着により封鎖され、液体食品が充填され、さら
に、頂部が熱融着により密封され、頂部が切妻屋根状や
平面状の四角なカートンが製造されていた。この液体用
無菌充填包装機のカートン搬送装置（３００）は、図３
に示すように、チェーンガイド（３２０）で位置規制さ
れながら回動する循環チェーン（３１０）に、ストッパ
ーピン（２０２）が摺動可能な円弧溝（２３０）を有す
るカートン搬送爪（２００）を、回転支点ピン孔（２０
１）に回転支点ピン（２０４）を挿入螺合して枢着され
たものであった。そして、このカートン搬送爪（２０
０）は、部分的に設けられたカートン搬送爪ガイド（３
３０）に当接する間はこのガイドにより位置規制され、
カートンを搬送可能となるように形成されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、カート
ン搬送中に何らかの原因でカートンの受渡し不良などの
事故が発生すると、カートン搬送爪が所定の位置にいた
るまではカートンを解放しないため、カートンが詰まる
いわゆるジャミングを起こして、カートン搬送爪を破損
したり、カートンガイドを曲げたり、さらには、循環チ
ェーンの捩じれなどの事故を発生することがあった。本
考案は、このようなジャミング事故が発生したときに、
機械部品の破損を防ぐ過負荷防止機構を有するカートン
搬送爪を提供するものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案は、液体用充填包
装機に使用するカートン搬送装置の搬送用循環チェーン
に枢着するカートン搬送爪において、このカートン搬送
爪が、図１（ａ）及び（ｂ）に示すように、カートン搬
送爪基部（１２０）と、このカートン搬送爪基部（１２
０）に回転支点ピン（１１３）で摺動可能に軸着するカ
ートン搬送爪爪部（１１０）とよりなり、カートン搬送
爪基部（１２０）に上部が球面状の圧着部材（１３３）
とスプリング（１３２）による過負荷防止機構（１３
０）を内設し、この過負荷防止機構（１３０）と相対す
るカートン搬送爪爪部（１１０）の接面に球面状の圧着
部材受凹部（１１２）を設け、この圧着部材受凹部（１
１２）に、過負荷防止機構（１３０）の圧着部材（１３
３）を付勢状態で圧着することを特徴とする過負荷防止
機構を有するカートン搬送用爪（１００）である。

【０００５】上述の過負荷防止機構（１３０）の圧着部
材（１３３）がカートン搬送爪爪部（１１０）の圧着部
材受凹部（１１２）を圧着する圧力は、カートン搬送爪
基部（１２０）のスプリング（１３２）の変形弾性力に
よるが、ジャミング発生時にカートン搬送爪や循環チェ
ーンなどの機械部品を破損しない範囲内でカートン搬送
爪爪部が開くように調整する。

【０００６】また、カートン搬送爪は、殺菌用薬剤や充
填する内容物に侵されにくく、耐熱性が良好なもので、
ステンレス鋼などの金属やシリコーンなどのプラスチッ
クを用いて作製する。

【０００７】また、過負荷防止機構（１３０）のスプリ
ング（１３２）には、コイルばね、板ばね、空気ばねな
どを使用する。

【０００８】

【作用】本考案のカートン搬送爪をカートン搬送装置の
搬送用循環チェーンに枢着した液体用充填包装機は、カ
ートン搬送中にカートンの受渡し不良などによりカート
ンが詰まるジャミング事故が発生しても、カートン搬送
爪爪部（１１０）は、図（ａ）及び（ｂ）に示すよう
に、カートン搬送爪基部（１２０）に、カートン搬送爪
爪部（１１０）の球面状の圧着部材凹部（１１２）にカ
ートン搬送爪基部（１２０）に設けられた過負荷防止機
構（１３０）の球面状の圧着部材（１３３）を、前もっ
て調整された過負荷防止機構（１３０）のスプリング
（１３２）の変形弾性力によって圧着嵌合させているだ
けであるため、ジャミング事故により発生する過負荷
が、カートン搬送爪爪部（１１０）とカートン搬送爪基
部（１２０）との圧着嵌合より大きくなると、圧着部材
凹部（１１２）と圧着部材（１３３）との圧着嵌合がは
ずれて、カートン搬送爪爪部（１１０）は回転支点ピン
（１１３）を支点に摺動回転して進行方向の後方に開
き、異常な過負荷を排除するため、カートン搬送爪（１
００）や搬送用循環チェーンなどの機械部品の破損が防
げる。

【０００９】

【実施例】図１（ａ）は、本実施例のカートン搬送爪の
平面図であり、その１点鎖線図は、爪部が進行方向の後
方に開いた状態を示している。（ｂ）は、このＡ−Ａ′
拡大断面図である。これらの図を用いて詳細に説明す
る。

【００１０】まず、図１（ａ）に示すように、搬送用チ
ェーンに枢着するための回転支点ピン孔（１２１）、ス
トッパピン（１２２）、円弧溝（１２３）、過負荷防止
機構（１３０）及びカートン搬送爪爪部（１１０）が軸
着する回転支点ピン孔（雌ネジ）（１２４）を有する角
形ブロック状のカートン搬送爪基部（１２０）をステン
レス鋼で作製した。なお、過負荷防止機構（１３０）
は、図１（ｂ）に示すように、スプリングストッパー
（１３１）、コイルばね（１３２，スプリング）、ステ
ンレスボール（１３３，圧着部材）及びボールストッパ
ー（１３４，圧着部材ストッパー）とより構成した。次
に、カートン搬送爪基部（１２０）に軸着するための回
転支点ピン孔（１１１）、過負荷防止機構（１３０）に
相対するステンレスボール受凹部（１１２，圧着部材受
凹部）を有する鉤形ブロック状のカートン搬送爪爪部
（１１０）をステンレス鋼で作製した。そして、作製し
たカートン搬送爪基部（１２０）とカートン搬送爪爪部
（１１０）とを所定位置で重ね合わせ、回転支点ピン孔
（雌ネジ）（１２４）と回転支点ピン孔（１１１）のを
回転支点ピン（１１３）で、カートン搬送爪爪部（１１
０）が摺動回転可能に係止して、本実施例のカートン搬
送爪（１００）を作製した。

【００１１】次に、作製した本実施例のカートン搬送爪
（１００）を、液体用無菌充填包装機の搬送装置の搬送
用循環チェーンに、回転支点ピン孔（１２１）に回転支
点ピン（１２５）を挿入して枢着した。この液体用無菌
充填包装機で、カートンの充填を連続的に行い、試験的
にカートンの受渡し不良によるジャミングを起こさせて
みたが、カートン搬送爪爪部が回転支点ピン（１１３）
を支点に摺動回転して進行方向の後方に開き、カートン
搬送爪爪部や搬送用循環チェーンなどの機械部品を破損
することはなかった。

【００１２】次に、作製した本実施例のカートン搬送爪
（１００）を、カートン搬送装置にジャミングが発生し
たときに、光電管方式のジャミングセンサーが作用し
て、図２に示すように、カートン搬送爪（１００）のカ
ートン搬送爪爪部（１１０）の前面に、爪部開きガイド
ピン（１４０）が突出して、強制的にカートン搬送爪爪
部（１１０）を開かせて、次々とカートンの搬送を中止
するシステムを有した液体用無菌充填包装機の搬送装置
の搬送用循環チェーンに、回転支点ピン孔（１２１）に
回転支点ピン（１２５）を挿入して枢着した。この液体
用無菌充填包装機で、カートンの充填を連続的に行い、
試験的にカートンの受渡し不良によるジャミングを起こ
させてみたが、ジャミングセンサーが作用して、カート
ン搬送爪爪部（１１０）の前面に、突出する爪部開きガ
イドピン（１４０）によって、カートン搬送爪爪部が回
転支点ピン（１１３）を支点に摺動回転して進行方向の
後方に開き、カートン搬送爪爪部や搬送用循環チェーン
などの機械部品を破損することはなかった。

【００１３】

【考案の効果】本考案のカートン搬送爪をカートン搬送
装置の搬送用循環チェーンに枢着した液体用充填包装機
は、カートンの搬送中にカートンの受渡し不良などでカ
ートンが詰まるジャミングが発生しても、カートン搬送
爪が、基部と爪部より構成されており、その爪部は、基
部と回転支点ピンと過負荷防止機構の圧着部材の圧着嵌
合とで連結したものであり、過負荷状態では、過負荷防
止機構の圧着部材の圧着嵌合が外れ、基部から爪部が回
転支点ピンを支点に摺動回転して進行方向の後方に開い
て過負荷を排除するため、カートン搬送爪爪部や搬送用
循環チェーンなどの機械部品の破損が防げる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）は、本実施例のカートン搬送爪の平面図
であり、１点鎖線図は、爪部が開いた状態を示してい
る。（ｂ）は、このＡ−Ａ′拡大断面図である。

【図２】本実施例のカートン搬送爪と、ジャミングセン
サーを有する充填包装機の爪部開きガイドピンとの位置
関係を示す説明図である。

【図３】（ａ）は、従来のカートン搬送装置において、
カートンが、カートン搬送爪で搬送される状態を示す説
明図であり、（ｂ）は、このカートン搬送爪の平面図で
ある。

【符号の説明】

１０……カートン １００，２００……カートン搬送爪 １１０……カートン搬送爪爪部 １１１，１２１，２０１……回転支点ピン孔 １１２……圧着部材受凹部 １１３，１２５，２０４……回転支点ピン １２０……カートン搬送爪基部 １２２，２０２……ストッパーピン １２３，２０３……円弧溝 １３０……過負荷防止機構 １３１……スプリングストッパー １３２……スプリング １３３……圧着部材 １３４……圧着部材ストッパー １４０……爪部開きガイドピン ３００……カートン搬送装置 ３１０……循環チェーン ３２０……チェーンガイド ３３０……カートン搬送爪ガイド

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】液体用充填包装機に使用するカートン搬送
   装置の搬送用循環チェーンに枢着するカートン搬送爪に
   おいて、このカートン搬送爪が、カートン搬送爪基部
   と、このカートン搬送爪基部に回転支点ピンで摺動可能
   に軸着するカートン搬送爪爪部とよりなり、カートン搬
   送爪基部に上部が球面状の圧着部材とスプリングによる
   過負荷防止機構を内設し、この過負荷防止機構と相対す
   るカートン搬送爪爪部の接面に球面状の圧着部材受凹部
   を設け、この圧着部材受凹部に、過負荷防止機構の圧着
   部材を付勢状態で圧着することを特徴とする過負荷防止
   機構を有するカートン搬送用爪。