JP2592539B2 - 小形アンテナ装置 - Google Patents

小形アンテナ装置

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【発明の詳細な説明】 〔概要〕 内寸が例えばλL/4以下の小形リッジ導波管にて構成
される小形アンテナ装置に関し、 導波管と自由空間との広帯域インピーダンス整合を容
易に行なえるこを目的とし、 リッジを設けられた導波管本体部の開口端部に、比誘
電率の異なる2個の誘電体部を、開口端部を覆うように
重ねて設けた構成とする。
〔産業上の利用分野〕
本発明は、内寸が例えばλL/4以下の小形リッジ導波
管にて構成される小形アンテナ装置に関する。
一般に、リッジ導波管の特性インピーダンスは自由空
間の特性インピーダンス377Ωより低く、例えばダブル
リッジ導波管の場合は200Ω前後である。従って、ダブ
ルリッジ導波管の場合、前端部がオープンのままでは自
由空間に対してインピーダンス不整合となり、導波管か
ら自由空間への電磁波への放射効率は低くなる。又、周
波数帯域を保ちつつその内寸をλL/4以下にした場合
(小形のダブルリッジ導波管)、その特性インピーダン
スは自由空間の1/3以下となり、自由空間への電磁波の
放射効率は更に低いものとなる。そこで、このような内
寸がλL/4以下の小形リッジ導波管を構成した場合、自
由空間への電磁波の放射効率を高める必要がある。
〔従来の技術〕
第4図は従来の一例の(ダブルリッジホーンアンテ
ナ)の構成図を示し、同図(A)は正面図、同図(B)
は断面図である。同図において、開口部1を末広り状に
なし、ダブルリッジ部2を開口部1に沿って構成してそ
の端部2aをテーパ状に細く構成する。このように、開口
部1を末広り状に構成することによって自由空間とのイ
ンピーダンス整合を図り、放射効率、受信効率を高めよ
うとするものである。
第5図は従来の他の例の構成図を示し、同図(A)は
正面図、同図(B)は断面図である。同図においてリッ
ジ導波管の内寸法a,bを、規定の導波管内寸より若干大
きくするようにし、リッジ導波管の根元75から開口部74
までの間で第一リッジ71と第二リッジ72の高さを徐々に
小さくするようにし、自由空間とのインピーダンス整合
を図って放射効率、受信効率を高めようとするものであ
る。
従来、この他に開口部先端に誘電体を取付けて自由空
間とのインピーダンス整合を図るものがある。
〔発明が解決しようとする課題〕
第4図及び第5図に示す各従来例は、開口部の形状が
大きいために小形化できず、特に、フェーズドアレイア
ンテナに不適当である問題点があった。第6図に示す如
く、リッジ導波管10を複数個三角アレイ状に配列してフ
ェーズドアレイアンテナを構成した場合、グレーティン
グローブ(不要ビーム)を発生させないための配列ピッ
チdの条件は、ビーム走査範囲を±θ、使用上限周波数
をfH、使用上限周波数fHにおける波長を入=C/fH(C
は光速)とすると、 にして表わすことができる。上式が示すように配列ピッ
チdはλが小さく(周波数が大に)なる程小となるた
め、周波数帯域を確保しようとすればアンテナに対する
形状寸法の制約も大となってくる。そして第4図、第5
図に示す従来例では、内寸がλL/4以下の小形リッジ導
波管(とくに導波管開口部)に適用する場合、周波数帯
域1オクターブ以上にわたる自由空間とのインピーダン
ス整合を行うことは困難である。
又、開口部先端に誘電体を取付けた従来例は、広帯域
にわたるインピーダンス整合が困難である問題点があっ
た。
本発明は、導波管と自由空間との広帯域インピーダン
ス整合を容易に行なうことができる小形アンテナ装置を
提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
第1図は、本発明の原理図を示し、同図(A)は正面
図、同図(B)は断面図である。同図中、30はリッジ、
31は導波管本体部である。33,34は比誘電率の異なる誘
電体部で、比誘電率の大なる誘電体部34が開口端部32
側、比誘電体率の小なる誘電体部が自由空間側となるよ
う重ね、重ねた2個の誘電体部で開口端部32を塞ぐよう
に導波管本体部31に取り付けられている。
〔作用〕
本発明では、一方の誘電体部33の比誘電体率を他方の
誘電体部34のそれに比して小に設定しており、一方の誘
電体部33で高域におけるインピーダンス整合を行なうこ
とができ、他方の誘電体部34で低減におけるインピーダ
ンス整合を行なうことができる。ここで、導波管本体部
31の内寸をλL/4以下にして、小型アンテナ装置を構成
した場合、その特性インピーダンスは100Ω前後になる
が、2個の誘電体部33,34の夫々の大きさを適宜設定す
ることにより、容易に1オクターブ以上の広帯域(例え
ば8GHz〜18GHz)にわたって自由空間の特性インピーダ
ンス377Ωと整合をとることができる。
〔実施例〕
第2図は本発明の第1実施例の構成図を示し、同図
(A)は正面図、同図(B)は断面図、同図(C)は同
図(A),(B)中の誘電体部を取除いた状態の正面図
である。同図中、15は本体部で、正面は矩形状をなし、
外径(10mm×8mm)及び内径(8mm×6mm=0.2/λ×0.1
)は長手方向上夫々均一とされており、内部には
ダブルリッジ部16(幅2mm、上下の間隔は0.5mm〜0.6m
m)が設けられ、その先端部16aはテーパ状とされてい
る。この場合、本体部15の内寸はλL/4以下であり基本
モードTE10におけるカットオフ周波数fc=6.7GHz、高次
モードTE20におけるカットオフ周波数fc=45GHzとなる
ように設定されている。17は第1誘電体部で、キャップ
形をなしており、本体部15の端部を覆うようにこの部分
に嵌合されている。第1誘電体部17の外径は13mm×11mm
(0.35λ×0.29λ)、厚さt1は4mm〜8mm(0.1λ
〜0.2λ)、比誘電率εは3〜4である。18は第2
誘電体部で、本体部15の端部に第1誘電体部17で固定さ
れている。第2誘電体部18の外径は10mm×8mm(0.27λ
×0.21λ)、厚さt2は0.5mm〜1.0(0.02λ
度)、比誘電率εは9〜10である。
ここで、第1誘電体部17及び第2誘電体部18を設ける
ことによって本体部15と自由空間との急激なインピーダ
ンス変化を避けることができ、特に、第1誘電体部17は
高域におけるインピーダンス整合を行なうことができ、
一方第2誘電体部18は低域におけるインピーダンス整合
を行なうことができ、VSWR(電圧定在波比)が低く抑え
られるように第1誘電体部17及び第2誘電体部18夫々の
大きさを適宜設定することにより、容易に1オクターブ
以上の広帯域にわたってインピーダンス整合を行なうこ
とができる。即ち、小形アンテナ装置を構成する場合、
本体部15の内径は第2図に示すように8mm×6mm(0.21λ
×0.16λ)と小さく、その特性インピーダンスは10
0Ω前後(使用周波数は8GHzで130Ω、使用周波数18GHz
で78Ω)になるが、第1誘電体部17及び第2誘電体部18
を設けることによって8GHz〜18GHzの広帯域にわたって
自由空間の特性インピーダンス377Ωと整合をとること
ができフェースドアレイアンテナに適当である。実測値
は、VSWR=2:1、アンテナゲイン0dBi(最大6dBi)、ビ
ーム幅70゜〜150゜である。なお、第1誘電体部17の厚
さt1を可変することにより、アンテナのビーム幅を可変
できる。
第3図は本発明の第2実施例を構成図を示し、同図
(A)は正面図、同図(B)は断面図、同図(C)は同
図(A),(B)中の誘電体部を取除いた状態の正面図
である。同図中、20は本体部で、正面は円形状をなし、
外径(10mm)及び内径(9mm)(0.24λ)は長手方向
上夫々均一とされており、内部にはダブルリッジ部21
(幅2mm、上下の間隔は0.5mm〜0.6mm)が設けられ、そ
の先端部21aはテーパ状とされている。上記内径は磁壁
部分20aの寸法である。22は第1誘電体部で、キャップ
形をなしており、本体20の端部を覆うようにこの部分に
嵌合されている。第1誘電体部22の外径は12mm(0.72λ
)であり、厚さ及び比電率は夫々第2図に示す第1誘
電体部17のそれと同じである。23は第2誘電体部で、本
体部20の端部に第1誘電体部22で固定されている。第2
誘電体部23の外径は10mmであり、厚さ及び比誘電率は夫
々第2図に示す第2誘電体部18のそれと同じである。
第2実施例における効果及び実測値は夫々第1実施例
のものと同様であり、第2実施例のものは、更に円形と
されているためにフェーズドアレイアンテナにおける素
子配列性にすぐれ、また矩形状の第1実施例に比してピ
ッチdを小さくとることができ、よりフェーズドアレイ
アンテナに最適である。
〔発明の効果〕
以上説明した如く、本発明によれば、導波管本体部の
開口端部に、比誘電率の異なる2個の誘電体部を重ねて
設けたため、導波管本体部の内寸がλL/4以下の小形ア
ンテナ装置において、容易に1オクターブ以上の広帯域
(例えば8GHz〜18GHz)にわたって自由空間とインピー
ダンス整合をとることができ、このため、特に、フェー
ズドアレイアンテナに適当である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の原理図、 第2図は本発明の第1実施例の構成図、 第3図は本発明の第2実施例の構成図、 第4図は従来の一例の構成図、 第5図は従来の他の例の構成図、 第6図はフェーズドアレイアンテナの概略図である。 図において、 15,20は本体部、 16,21はダブルリッジ部、 17,22は第1誘電体部、 18,23は第2誘電体部、 30はリッジ、 31は導波管本体部、 32は開口端部、 33,34は誘電体部 を示す。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リッジ(30)を設けられた導波管本体部
    (31)の開口端部(32)に、 比誘電率の異なる2個の誘電体部(33),(34)を、比
    誘電率の大なる誘電体部が該開口端部(32)側、比誘電
    率の小なる誘電体部が自由空間側となるよう重ね、重ね
    た2個の誘電体部(33,34)で該開口端部(32)を塞ぐ
    ように該導波管本体部(31)に取り付けてなることを特
    徴とする小形アンテナ装置。
  2. 【請求項2】上記導波管本体部(31)は、その内寸をλ
    L/4(λL:インピーダンス整合下限周波数fLにおける波
    長,λ=C/fL,C:光速)以下に設定してなることを特
    徴とする請求項1記載の小形アンテナ装置。
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