JP2591873B2 - 銅化合物及びその製造方法 - Google Patents

銅化合物及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、銅化合物及びその製造
方法に関し、特に、銅酸化物超電導体の製造に用いられ
る銅化合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】銅酸化物超電導体の合成には主として固
相反応法、液相反応法(ゾルゲル法、共沈法)、気相反
応法(スパッタ法、蒸着法、CVD法)の3つがある。
固相反応法は、プロセスが単純で合成が容易であり、液
相反応法は低温での合成、バルク、フィルム、ファイバ
ー等への形状付与の可能性を有している。また、気相反
応法は薄膜の形成が可能である。このように3つの合成
方法はそれぞれに特徴を有しており、目的に応じて使い
分けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、液相反
応法においては、その特徴である低温合成あるいは形状
付与が充分には実現されていない。例えば、低温合成に
ついては、銅酸化物超電導体の1つである124型超電
導体(YBa2Cu48)の合成が挙げられている。こ
の124型超電導体(YBa2Cu48)(Natur
e Vol.336(1988) p660)は80K
級の高温超電導体であるが、そのYの一部をCaで置換
することによりTcが90Kまで上昇する(Natur
e Vol.341(1989) p660)ことが報
告されている。このCaを含む124型超電導体は、高
圧酸素下で合成されたものであるが、Tcが比較的高
く、熱的にも安定であり、実用上重要な材料であると考
えられる。しかし、その合成は高圧酸素下での処理を必
要とし、合成上の困難があった。最近、共沈法を用いて
Caを含む124型超電導体を常圧下で、比較的低温
(820℃)で合成した例(Physica C Vo
l.173(1991) p208)が報告された。し
かしながら、そのTcは85KとCaドーブによるTc
の上昇は小さく、超電導転移もブロードであった。この
原因は、820℃という温度がCaを含む124型超電
導体の合成には高すぎたためと考えられる。
【0004】また、形状付与については、これまでに、
アルコキシド原料からの加水分解、重縮合反応による銅
酸化物超電導体のバルク、フィルム、ファイバー等の前
駆体は合成されていない。
【0005】アルコキシドを用いたゾルゲル法は、加水
分解、重縮合反応により原子レベルで均質な前駆体を合
成することにより、低温合成あるいは形状付与を可能に
する優れた手法である。しかしながら、従来、銅酸化物
超電導体の合成においては、必須元素である銅の適切な
アルコキシド原料がなく、適切な加水分解、重縮合反応
を起こさせることができずに低温合成あるいは形状付与
が実現できなかった。例えば、村上らの、Caを含まな
い124型超電導体を常圧下、低温での合成方法(Ja
pan J.Appl.Phys. Vol.29(1
990) p2720)をCaを含む124型超電導体
の合成に適用した場合、Cu以外の元素についてはアル
コキシド原料を用いるが、Cuについては硝酸塩原料を
用いることになり、この結晶水が他のアルコキシド原料
を一瞬にして加水分解して粉末として析出させ、また、
硝酸基はBaと選択的に結合して析出し、Cuの硝酸塩
原料を混合した瞬間に全ての金属成分は粉末状になり、
ファイバー等にすることができず、また、Caドーブの
効果を充分には実現できないこと(Tcon=85K)
を本発明者らは見いだした。またメトキサイド、エトキ
サイド、ブロボキサイド、ブトキサイド等の一般的なC
uのアルコキシド原料は、実用的レベルの溶解度を有し
ないことも見いだした。
【0006】本発明は、この問題を解決するためになさ
れたものである。
【0007】本発明の目的は、ゾルゲル法による銅酸化
物超電導体の合成において、本来のゾルゲル法の特徴で
ある低温合成あるいは形状付与を実現させるためのゾル
ゲル法用銅原料を提供することにある。
【0008】前記ならびにその他の目的及び新規な特徴
は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の銅化合物は、銅原子にセカンダリーブトキ
シ基(BuO)及び水酸基(OH)が結合した化学式B
uO−Cu−OHで表されることを最も主要な特徴とす
る。
【0010】本発明の前記銅化合物の製造方法におい
て、液相中での銅原子を有する金属塩と他の金属のセカ
ンダリーブトキサイド及び他の金属の水酸化物とを混合
し、銅原子にセカンダリーブトキシ基及び水酸基を結合
させることを特徴とする。
【0011】本発明の前記銅化合物の製造方法におい
て、銅のセカンダリーブトキサイドの加水分解反応を用
いることを特徴とする。
【0012】
【作用】前述した手段によれば、本発明の銅化合物は、
ブタノール溶媒中で0.05M程度の溶解度を有し、他
のアルコキシドを分解せず、しかも、水を添加すること
により加水分解反応を起こし、ゾルゲル法による合成に
おいて有用であることが確認された。これをCaを含む
124型超電導体の合成に適用した場合、常圧下で75
0℃という低温でしかも40時間という124型超電導
体の合成としては、比較的短時間でほぼ単一相の(Y
0.95Ca0.05)Ba2Cu4y(y〜8)超電導体が合
成された。この超電導体は、124相によるシャープな
X線回折ピークを示し、電気抵抗での超電導転移開始温
度Tc(on)が89K、ゼロ抵抗温度Tc(R=0)が84K
という高い温度でのシャープな超電導転移を示し、ま
た、磁化測定でも超電導転移開始温度Tcmag(on)が
90Kからのシャープな超電導転移を示した。超電導体
積分率もCaをドーブしていない試料と同等の値を示
し、Caドーブによる結晶性の劣化も小さいと考えられ
た。
【0013】従って、本発明の銅化合物は、ゾルゲル法
に用いた場合、Caを含む124型超電導体のような低
温でなければ合成されないような銅酸化物超電導体を合
成することができる。
【0014】また、前述のCaを含む124型超電導体
の合成で使用した混合溶液をチタン酸ストロンチウム基
板上にスピンコートし、空気中で加水分解させた後75
0℃、酸素気流中で10時間熱処理した結果、Tc(on)
=79K、Tc(R=0)=70Kのc軸配向膜を得た。
【0015】従って、本発明の銅化合物はゾルゲル法に
用いた場合、フィルム状に形状付与できる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて、具
体的に説明する。
【0017】(実施例1)本発明の銅化合物の具体的な合成方法について説明す
る。
【0018】実施例1の銅化合物の合成は、セカンダリ
ーブタノール中での塩化第二銅とナ トリウム・セカンダ
リーブトキサイド、水酸化ナトリウムとの反応を用い
た。
【0019】この実施例では、まず、ナトリウム金属を
セカンダリーブタノールに溶解し、ナトリウム・ブトキ
シド溶液を調製する。そして、その溶液に、水を加え、
このナトリウム・ブトキシドを加水分解して、ナトリウ
ム・セカンダリブトキサイドと水酸化ナトリウムが溶解
したセカンダリーブタノール溶液(溶液A)を得た。
【0020】次に、塩化第二銅をセカンダリーブタノー
ルに溶解した溶液(溶液B)に、上記溶液Aを加えて、
塩化第二銅とナトリウム・セカンダリーブトキサイドと
水酸化ナトリウムとで次式に示す反応を生じさせた。
【0021】 CuCl2+Na(OBu)+NaOH→(BuO)・Cu・OH+2NaCl↓反応の結果、濃緑色の懸濁液を得た。得られた懸濁液を
固形分除去のため遠心分離し、銅化合物のブタノール溶
液を得た。上記反応を確認するために分離された固形分
をX線回折により分析した結果、図8に示すX線回折図
が得られた。この図8によれば、固形分中にNaClが
存在することが確認され、上記反応が生じていることが
証明された。なお、この銅化合物のブタノール溶液の誘
導体ブラズマ発光(ICP)分析の結果、銅としての濃
度は0.05Mであった。
【0022】また、上記の反応により生成した銅化合物
の化学式を同定するために核磁気共鳴(NMR)による
分析を行った。この分析では、上記プロセスにおいて、
溶液Bをセカンダリーブタノールに代えて重水素による
DMF(ジメチルフォルムアミド)を用い、この溶液B
に溶液Aを乾燥して得たナトリウム・セカンダリーブト
キサイドと水酸化ナトリウムとの混合粉末を添加する以
外は、同様にして反応を生じさせて、濃緑色の懸濁液を
得た。そして、この懸濁液を遠心分離して固形分を除去
した銅化合物のDMF溶液をNMRにより分析し、その
結果、図9のチャートを得た。図9のチャートによれ
ば、検出されたピークのうち、ピーク群(D)(E)は
反応において使用した溶媒であるDMF溶液のメチル基
であり、一方、ピーク群(A)(B)(C)(F)
(G)は、銅化合物を構成する各炭化水 素基によるもの
であり、この結果から、前記反応が生じたと推定され、
銅原子にセカンダリーブトキシ基と水酸基とが結合した
銅化合物が合成されたことが確認された。また、この溶
液が、他種のアルコキシドを分解してしまうかどうかを
調べるために、Y、Ca、Baの3つのブトキサイドが
溶解したブタノール溶液に銅化合物溶液を添加した。混
合溶液は濁ることなく、本実施例の合成方法により銅化
合物は、他のアルコキシドを分解しないことがわかっ
た。
【0023】また、銅化合物溶液に水を添加すると一瞬
にして懸濁し、遠心分離すると濃緑色固形物と透明溶媒
とに分離した。透明溶媒中には、銅成分は存在しないこ
とがICP分析によりわかった。
【0024】以上の結果から、本実施例1の合成方法に
よる銅化合物は、ブタノール溶媒中に0.05モル
(M)程度溶解し、他のアルコキシドを分解せず、ま
た、アルコキシドと同様に加水分解することがわかり、
ゾルゲル法に有用であることがわかる。
【0025】前述の合成方法で、溶液A中のu原
0.06モルに対して、溶液B中のナトリウム・セカン
ダリーブトキサイドと水酸化ナトリウムの合計が0.1
2モルになるようにして溶液A中の水酸化ナトリウムの
量(モル)を変化させて反応させた後の銅化合物量(モ
ル)との関係を調べた。その結果を図10に示す。図1
0によれば、水酸化ナトリウムのが0モルでは、溶液
中のCu濃度はほとんど0(検出限界以下)であった。
このことは、銅にセカンダリーブトキシ基が2個結合し
た銅化合物は、ブタノール中に溶解しないことを示して
いる。一方、水酸化ナトリウムのが0から0.06モ
までは、銅化合物の量は水酸化ナトリウムの量にほぼ
一致して直線的に増加している。このことは、ブタノー
ル中に溶解している銅化合物が、1分子当たり水酸基を
1個有していることを示している。水酸化ナトリウムの
量が0.06モルを越えると、溶液中に溶解している銅
化合物量は急激に減少し、過剰な水酸化ナトリウムによ
り加水分解が進行していることがわかる。
【0026】このことから、合成に用いた反応において
は、塩化第二銅とナトリウム・セカンダリーブトキサイ
ド、水酸化ナトリウムとの反応は、前述の反応式のとお
りに進行することがわかった。従って、本実施例1の合
成方法による銅化合物は、銅原子にセカンダリーブトキ
シ基と水酸基が結合しているものと考えられる。
【0027】(実施例2) 本発明の銅化合物を別の方法で合成した実施例2を説明
する。
【0028】(1)様々な銅原子を有する金属塩からの
合成 硝酸銅 硝酸銅の3水塩の結晶水の一部を取り除き、約1水塩と
してセカンダリーブタノールに溶解させた。明るい青色
を呈した溶液に、銅に対し同当量のナトリウム・セカン
ダリーブトキサイドが溶解したブタノール溶液を投入
し、撹拌混合した。溶液は混合の瞬間に青色から濃緑色
に変化し懸濁した。遠心分離後の溶液は、濃緑色で、I
CP分析の結果、銅成分の濃度は0.02Mであること
がわかった。この溶液に水を添加したら、透明溶媒と濃
緑色固形物に分離した。
【0029】酢酸銅の1水塩酢酸銅の1水塩をセカンダ
リーブタノールに溶解させた。溶解度は小さかった が、一部が溶解し青色を呈した溶液が得られた。この溶
液に、銅に対し同当量のナトリウム・セカンダリーブト
キサイドが溶解したブタノール溶液を投入し、撹拌混合
した。溶液は混合の瞬間に青色から茶色に変化し懸濁し
た。遠心分離後の溶液は茶色で、ICP分析の結果、銅
成分の濃度は0.005Mであることがわかった。この
溶液に水を添加したら、透明溶媒と茶色固形物に分離し
た。
【0030】酢酸銅の無水塩 酢酸銅の1水塩を100℃で乾燥させ、青緑色から黒色
に変化した粉末をセカンダリーブタノールに溶解させ
た。溶解度は小さかったが、一部が溶解し緑色を呈した
溶液が得られた。この溶液に、銅に対し同当量のナトリ
ウム・セカンダリーブトキサイドと同当量の水酸化ナト
リウムが溶解したブタノール溶液を投入し、撹拌混合し
た。溶液は混合の瞬間に緑色から茶色に変化し懸濁し
た。遠心分離後の溶液は茶色で、ICP分析の結果、銅
成分の濃度は0.004Mであることがわかった。この
溶液に水を添加したら、透明溶媒と茶色固形物に分離し
た。
【0031】以上の結果から、本発明の銅化合物の合成
に用いる銅原子を有する金属塩としては、溶媒中で誘導
基の交換反応を起こすものであればよいことがわかる。
また、結晶水は、銅に対し同当量程度であれば、銅化合
の形成に役立つことがわかる。
【0032】(2)様々な金属のセカンダリーブトキサ
イド及び水酸化物を用いた合成 実施例1の合成方法でナトリウムのセカンダリーブトキ
サイド及び水酸化物をリチウム、バリウム、ストロンチ
ウムのセカンダリーブトキサイド及び水酸化物に置き換
えて合成を試みた。いずれの場合も0.05モル(M)
程度の濃度を有する銅化合物の溶液を得た。この溶液に
水を添加したら、透明溶媒と茶色固形物に分離した。
【0033】この結果から、本発明の銅化合物の合成に
用いるセカンダリーブトキサイド及び水酸化物として
は、溶媒中で銅原子を有する金属塩と誘導基の交換反応
を起こすものであればよいことがわかる。
【0034】(3)銅のセカンダリーブトキサイドの加
水分解を用いた合成 塩化銅のセカンダリーブタノール溶液とナトリウム・セ
カンダリーブトキサイドのセカンダリーブタノール溶液
を混合して銅のセカンダリーブトキサイドとNaClの
懸濁液を得た。懸濁液の一部を取り出し、遠心分離した
結果、懸濁液は透明溶媒と緑色固体に分離した。透明溶
媒中にはCuはほとんど存在しないことがICP分析に
よりわかった。これに対し、懸濁液に水を添付し撹拌混
合した場合、遠心分離後の溶液中にはCuが0.03M
の濃度で溶解していた。この溶液に水を添加したら、透
明溶媒と茶色固形物に分離した。
【0035】この結果より、本発明の銅化合物は、一旦
銅のセカンダリーブトキサイドを合成した後の加水分解
反応によっても合成できることがわかる。
【0036】(実施例3) 本発明の銅化合物をCaを含む124型超電導体の合成
に適用した実施例3を説明する。
【0037】図1は、本発明の銅化合物を適用する12
4型超電導体(YBa2Cu48)の結晶構造を説明す
るための模式図であり、1はバリウム(Ba)、2は銅
(Cu)、3は格子の交差上にある酸素(O)、4はイ
ットリウム(Y)である。
【0038】図2は、Caを含む124型超電導体の合
成のフローチャートである。それぞれY、Ca、Baの
ブトキサイドが溶解した3つの溶液と、本発明の銅化合
のブタノール溶媒をY:Ca:Ba:Cuが(1−
x):x:2:4(x=0、0.05)となるように計
量し(ステップ101)、70℃、アルゴン気流中で2
0時間混合した(ステップ102)。この溶液に室内の
空気を50ml/minの流量で30分間導入し、加水
分解を起こさせた(ステップ103)。懸濁した液を1
20℃で真空に引きながら蒸発乾燥させてゲル化した
(ステップ104)。得られたゲル粉を真空中500℃
で1時間乾燥させて乾燥粉末とした(ステップ10
5)。そして、乾燥粉末を金型成形し(ステップ10
6)、それぞれの温度で酸素気流中で40時間焼成した
(ステップ107)。図3は、x=0.05のゲル粉と
750℃、800℃でそれぞれ焼成した試料の粉末X線
回折パターンを示す図である。図3から、ゲル粉は残留
物であるNaClの回折ピーク以外に回折ピークはな
く、Caを含む124型超電導体の構成成分であるY、
Ca、Ba、Cuは、アモルファスの形態で存在し、偏
析していないことがわかる。また、焼成した試料はいず
れも、124相によるシャープな回折ピークを示し、不
純物相による回折ピークはほとんど認められない。図4
にx=0.05の750℃、800℃でそれぞれ焼成し
た試料の電気抵抗率の温度依存性を示す。両者はTc(o
n)は同じだが、Tc(R=0)は750℃で焼成した試料の
方が高く超電導転移がシャープであることがわかる。こ
のことよりX線回折パターンではわかりにくいが、Ca
を含む124型超電導体は、常圧下で、800℃では一
部分解が始まり結晶性が劣化し始めていると考えられ
る。図5は、750℃で焼成したx=0とx=0.05
の試料の粉末X線回折パターンを示す図、図6は、75
0℃で焼成したx=0とx=0.05の試料の電気抵抗
率の温度依存性を示す図、図7は、750℃で焼成した
x=0とx=0.05の試料の磁化率の温度依存性を示
す図である。x=0とx=0.05の試料は、両者とも
124相によるシャープな回折ピークのみを示し、ま
た、電気的にも磁気的にもシャープな超電導転移を示
し、特性の良好な124型超電導体あることがわか
る。このように良好な特性を有するCaを含む124型
超電導体を常圧下で合成した例は他になく、本発明の銅
化合物を原料として用いる方法は、低温合成において顕
著な効果があるといえる。
【0039】また、本発明の銅化合物を原料として用い
る低温合成法は、他の銅酸化物超電導体の合成において
も効果が認められた。例えば、本発明の銅化合物とY、
Baのブトキサイドを原料として用いて123型超電導
体を真空下で合成した場合、従来よりも50℃程度低い
600℃で合成された。
【0040】(実施例4) 本発明の銅化合物を124型超電導体薄膜の形成に適用
した実施例4について説明する。
【0041】前記実施例3で作製した混合溶液をチタン
酸ストロンチウム基板上にスピンコートした。これを空
気中で加水分解し、真空中、500℃で1時間乾燥させ
た後、酸素気流中、750℃で10時間熱処理した。合
成された膜は、黒色半透明で、約1μmの膜厚を有して
いた。通常のθ−2θスキャンによるX線回折の結果、
124型超電導体の(001)ピークのみが観測され、
合成された膜は124型超電導体のc軸配向膜であるこ
とがわかった。電気抵抗率の温度依存性を測定した結
果、Tc(on)=79K、Tc(R=0)=70Kの超電導転
移を示した。
【0042】この結果から、本発明の銅化合物は、銅酸
化物超電導体フィルムの形成に有効であることがわか
る。また、加水分解反応を適切にコントロールすること
により、バルク、ファイバー等への形状付与も可能にな
るものと予想される。
【0043】以上、本発明を実施例に基づき具体的に説
明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものでは
なく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能
なことは言うまでもない。
【0044】例えば、本発明は、123型超電導体(Y
Ba2Cu37)やビスマス系超電導体等の合成におい
ても、その前駆体の均質性により通常の固相反応法より
も短い時間で合成できるという効果を有することは、勿
論である。
【0045】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれ
ば、加水分解反応をコントロールすることにより銅酸化
物超電導体の前駆体を、バルク、フィルム、ファイバー
等の所望の形状に形成することが可能となる。また、低
温でなければ合成されないような銅酸化物超電導体を、
あるいは通常の銅酸化物超電導体であっても従来よりも
低い温度で短時間で合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例3の124型超電導体(YB
2Cu48)の結晶構造を説明するための模式図、
【図2】 本発明の銅化合物をCaを含む124型超電
導体の合成に適用した実施例3の合成の流れ図、
【図3】 本実施例3に係るx=0.05のゲル粉及び
焼成した試料の粉末X線回折図形、
【図4】 本実施例3に係るx=0.05の焼成した試
料の抵抗率−温度特性図、
【図5】 本実施例3に係るx=0とx=0.05の焼
成した試料の粉末X線回折図形、
【図6】 本実施例3に係るx=0とx=0.05の焼
成した試料の抵抗率−温度特性図、
【図7】 本実施例3に係るx=0とx=0.05の焼
成した試料の磁化率−温度特性図
【図8】 本発明の実施例1における遠心分離された固
形物のX線回折チャート図、
【図9】 本発明の実施例1によって生成した銅化合物
の核磁気共鳴(NMR)分析によるチャート図、
【図10】 本発明の実施例1の反応における水酸化ナ
トリウム量と銅化合物との関係を示した図。
【符号の説明】
1…バリウム(Ba)、2…銅(Cu)、3…格子の交
差上にある酸素(O)、4…イットリウム(Y)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 郡山 慎一 東京都江東区東雲1丁目14番3 財団法 人 国際超電導産業技術研究センター 超電導工学研究所内 (72)発明者 池町 隆明 東京都江東区東雲1丁目14番3 財団法 人 国際超電導産業技術研究センター 超電導工学研究所内 (72)発明者 山内 尚雄 東京都江東区東雲1丁目14番3 財団法 人 国際超電導産業技術研究センター 超電導工学研究所内

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅原子にセカンダリーブトキシ基(Bu
    O)及び水酸基(OH)が結合した化学式BuO−Cu
    −OHで表されることを特徴とする銅化合物。
  2. 【請求項2】 液相中での銅原子を有する金属塩と他の
    金属のセカンダリーブトキサイド及び他の金属の水酸化
    とを混合し、銅原子にセカンダリーブトキシ基及び水
    酸基を結合させることを特徴とする請求項1に記載の銅
    化合物製造方法。
  3. 【請求項3】 銅のセカンダリーブトキサイドの加水分
    解反応を用いることを特徴とする請求項1に記載の銅
    合物製造方法。
JP3314943A 1991-11-28 1991-11-28 銅化合物及びその製造方法 Expired - Fee Related JP2591873B2 (ja)

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