JP2591650B2 - エネルギー分散方式薄膜x線回折法 - Google Patents

エネルギー分散方式薄膜x線回折法

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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、白色X線を利用して薄膜のX線回折測定を
行うX線回折法に関する。
[従来の技術] 最も一般的なX線回折法は、単色X線を利用するもの
で、試料に対するX線の入射角をθとすると、試料を角
度θで、X線検出器を角度2θで回転させて、回折ピー
クを測定する、いわゆるθ−2θ走査法である。しか
し、この方法で基板上の薄膜を測定すると、薄膜からの
回折強度が弱くなり、薄膜の下の基板からの回折の影響
が相対的に大きくなってしまう。
そこで、多結晶試料に対しては、試料に対するX線の
入射角を低入射角(たとえば2゜〜5゜)に固定して、
X線検出器だけを2θ回転する方法が知られている(こ
の方法では、試料台に薄膜アタッチメントを設ける)。
このようにすれば、薄膜を通過するX線の通過距離を長
くできて、薄膜からの回折強度を大きくすることができ
る。
[発明が解決しようとする課題] 上述の薄膜アタッチメント法においても、薄膜が薄く
なればなるほど、相対的に基板からの回折の影響が大き
くなり、鮮明な回折像を得るのは困難になってくる。
ところで、真空中において、薄膜の成長過程を“その
場”で結晶構造解析する要望がある。たとえば、真空蒸
着法や分子線エピタキシー法(MBE)で有機薄膜を形成
する場合、基板温度や蒸着速度などのパラメータを変化
させて結晶構造を制御できるが、そのためには、成長中
の薄膜の結晶構造を“その場”で観察することが望まれ
る。この“その場”解析に当たっては、真空槽内に分析
装置を持ち込まなければならない場合が多く、その分析
装置としてはなるべく可動部分のないものが好ましい。
そこで、上述の薄膜アタッチメント法を考えてみる
と、X線検出器を回転させる必要があって、この様な可
動部分を真空槽内に持ち込まなければならない。もちろ
ん、通常のθ−2θ走査法では試料台とX線検出器の両
方を回転させる必要があり、もっと大変である。すなわ
ち、これらの方法は、上述の真空中での“その場”解析
には向いていない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであ
り、その目的は、基板からの回折の影響をほとんど無く
すことができると共に、機械的可動部分を必要としな
い、エネルギー分散方式薄膜X線回折法を提供すること
にある。
[課題を解決するための手段] 本発明に係るエネルギー分散方式薄膜X線回折法は、
次の各段階を有することを特徴とする。
(a)被測定薄膜が基板上に形成されている試料を準備
する段階。
(b)白色X線を発散スリットを通過させてから前記薄
膜に照射して、薄膜と基板との境界面でX線を全反射さ
せる段階。
(c)前記試料からの回折X線を、ソーラスリットを通
過させてから、前記試料に対して相対位置関係が固定さ
れているX線検出器で測定する段階。
(d)前記X線検出器からの出力信号をエネルギー分析
して、各エネルギーにおけるX線検出強度をカウントす
る段階。
本発明を適用するための試料は、基板上に被測定薄膜
を形成したものである。基板と薄膜の材質については特
に制限されないが、薄膜と基板との境界面でX線を全反
射させるには、次に述べる条件を満足する必要がある。
一般に、二つの物質が十分平滑な境界面で接している
場合、電子密度が疎な物質から密な物質に向かって、X
線が境界面に対して微小な角度で入射すると、X線の全
反射現象が起こる。第5図において、真空から薄膜10に
向かってX線が入射する際の全反射の臨界角θc1は次式
で示される。
ここで、λ:X線の波長 e:電子電荷 m:電子質量 c:真空中での光速 na:薄膜の電子数密度 また、薄膜10から基板12に向かってX線が入射する際
の全反射の臨界角θc2は次式で示される。
ここで、nb:基板の電子数密度 本発明では、X線が試料に入射する入射角を低入射角
αに固定している。そこで、上述の(1)(2)式か
ら、一定の入射角αでX縁が入射したときにそれが全反
射を起こすときのX線の臨界エネルギーを、求めること
ができる。すなわち、真空から薄膜10に向かってX線が
入射する際の全反射の臨界エネルギーEc1は次式で示さ
れる。
ここで、h:プランク定数 また、薄膜10から基板12に向かってX線が入射する際
の全反射の臨界エネルギーEc2は次式で示される。
なお、全反射臨界エネルギー以下のエネルギーを有す
るX線が、全反射することになる。本発明の薄膜回折測
定に有効なX線エネルギーは、薄膜10の表面では全反射
せずに、基板12で全反射するようなX線エネルギーであ
る。すなわち、X線エネルギーEが Ec1<E<Ec2 ……(5) の範囲内となっているX線が有効である。第6図は、こ
のX線エネルギーの範囲を斜線で示してある。曲線14
は、一例として、タングステンX線管からの白色X線の
強度分布を示すものである。
以上の理由により、少なくとも Ec1<Ec2 ……(6) となるように、薄膜と基板の材質を選択する必要があ
る。
有機薄膜を回析測定する場合は、通常この条件を満足
する。この点を説明すると、(3)(4)式から明らか
なように、臨界エネルギーは電子数密度の(1/2)乗に
比例するから、この電子数密度(個数/cm3)で比較する
ことができる。有機薄膜の電子数密度は、例えば ステアリン酸 3.5×1023 フタロシアニン銅 5.0×1023 となり、一方、基板の例としての金属の電子数密度は、
例えば Au 4.7×1024 Ni 2.6×1024 となる。したがって、有機薄膜は金属より電子数密度が
一桁小さく、薄膜表面での全反射の臨界エネルギーは、
薄膜と金属基板の境界面での全反射の臨界エネルギーよ
りも小さくなる。
本発明ではX線検出器を固定している。そこで、白色
X線を利用してエネルギー分析を行えば、2θ=固定で
も回折像を得ることができる。この点を説明すると、結
晶の(hkl)面で回折されるX線のエネルギーEhklは次
式で示される。
ここで、n:反射の次数 dhkl:(hkl)面の格子面間隔 θ:ブラッグ角 本発明ではθ=固定であるから、X線のエネルギーを
決定すれば、格子面間隔を求めることができる。
X線検出器からの出力信号をエネルギー分析するに
は、この出力信号を多重波高分析器に入力すれば良い。
多重波高分析器の出力を計数計でカウントすれば、各X
線エネルギーにおけるX線強度を求めることができる。
そして、横軸にX線エネルギー、縦軸にX線強度をプロ
ットすれば、薄膜の回折像が得られる。
X線検出器としては、エネルギー分解能の良好なもの
が好ましく、たとえば半導体検出器が適している。
[実施例] 第1図は本発明を実施するためのX線回折装置の一例
を示す。X線源16と試料18とX線検出器20は、すべて固
定され、試料18に対するX線の入射角は微小角αに固定
される。図面では、理解を容易にするために、入射角α
を拡大して示してある。符号19はビームストッパであ
る。
X線源16は、封入式タングステンX線管で作られ、こ
のX線管の動作条件は45kV・20mAにされる。X線源16の
寸法は、1mm×10mmである。発射するX線は、白色X線
と特性X線とを含むものである。
発散スリット22の発散角は、3×10-3radである。試
料18で回折されたX線は、ソーラスリット24を通過し
て、X線検出器20に達する。ソーラスリット24の開き角
は2×10-3redである。X線検出器20は、純枠ゲルマニ
ウムによる半導体検出器であり、その分解能は500eV(1
7keVでの半価幅)である。
次に、この実施例で使用しているソーラスリット24の
構成を説明する。第2図はソーラスリットの配置を説明
する平面図である。本発明では、試料18に対してX線が
低入射角で照射されるために、試料18の照射幅wは、か
なり大きくとることができる。この広い試料幅からの回
折X線を分解能良く受光するためには、ソーラスリット
24の使用が不可欠となる。この実施例では、4個のソー
ラスリット24を利用している。各ソーラスリット24は、
第3図に示すように構成されている。すなわち、22枚の
スリット板26がスペーサ28を介して間隔を保って並べら
れている。スリット板26は、21.9mm×42.8mmの大きさで
厚さtが0.1mmの鋼板で作られている。スペーサ28の厚
さdは0.2mmである。このようなソーラスリット24を、
第4図に示すように配置してあるが、その理由は以下の
通りである。一般に、分解能を上げるには、光軸方向に
長いソーラスリットを準備すれば良いが、製作が困難と
なる。そこで、本実施例では、ソーラスリットをいくつ
かに分割してその製作を容易にした。この場合、隣接し
た光路にX線が入射しないようにするために、次の式を
満足させている。
ここで、t,d,L1,L2,L3,L4,a,b1,b2,b3の各記号は、第
3図と第4図に示す寸法である。
次に、実際の回折測定結果を示す。以下の実験は、第
1図の装置を使用して各種の薄膜の回折像を実際に測定
したものである。これらの結果から明らかなように、本
発明の方法によって、薄膜の回折像が明瞭に測定され
た。なお、これらの測定は空気中で実施されたものであ
る。
実験1 試料18として、オプティカルフラット(ガラス製)の
基板の上に、フタロシアニン銅の粉末を薄く塗布したも
のを準備した。入射角α=0.07゜とし、2θを10゜、12
゜、14゜にそれぞれ固定して、第7図に示す回折像を得
た。
実験2 オプティカルフラット上にAuを60nmの厚さで蒸着し、
これを基板とした。その上に、ステアリン酸を100nmの
厚さで蒸着して、被測定薄膜とした。この試料に対し
て、入射角α=0.07゜、2θ=10゜の条件で得られた回
折像を第8図に示す。
実験3 オプティカルフラットを基板とし、その上に、ステア
リン酸を300nmの厚さで蒸着して被測定薄膜とした。こ
の試料に対して、入射角α=0.05゜、2θ=10゜の条件
で得られた回折像を第9図に示す。図中、Trは、薄膜を
蒸着する時の条件に関するもので、蒸発源と基板との間
に配置された反射板の温度を示し、これは蒸着分子の運
動量に相当する。また、EC,VOは、グラフから求められ
た、薄膜入射の際の全反射臨界エネルギーである。
実験4 オプティカルフラットを基板とし、その上に、フッ化
ビニリデン(65モル%)とトリフルオロエチレン(35モ
ル%)との共重合体を、テトラヒドロフラン溶液でキャ
ストして、1μmの厚さの薄膜と、0.1μmの厚さの薄
膜を準備した。この試料に対して、入射角α=0.05゜、
2θ=10゜の条件で得られた回折像を第10図に示す。
[発明の効果] 以上説明したように本発明は、薄膜に白色X線を照射
して、薄膜と基板との境界面でX線を全反射させ、X線
検出器からの出力信号をエネルギー分析して、回折像を
得るようにしたので、基板からの回折の影響をほとんど
無くして鮮明な薄膜回折像を得ることができる。また、
機械的可動部分を必要としないので、真空中での“その
場”解析を容易にする。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を実施するための装置の一例の斜視図、 第2図はソーラスリットの配置を示す平面図、 第3図はソーラスリットの構成を示す斜視図、 第4図はソーラスリットの配置条件を説明する平面図、 第5図は薄膜と基板との境界付近でのX線の経路を示す
断面図、 第6図は本発明で有効に利用されるX線エネルギーの領
域を示す説明図、 第7図から第10図までは、実験1〜4の回折像を示すグ
ラフである。 10……薄膜 12……基板 16……X線源 18……試料 20……X線検出器

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の各段階からなるエネルギー分散方式薄
    膜X線回折法。 (a)被測定薄膜が基板上に形成されている試料を準備
    する段階。 (b)白色X線を発散スリットを通過させてから前記薄
    膜に照射して、薄膜と基板との境界面でX線を全反射さ
    せる段階。 (c)前記試料からの回折X線を、ソーラスリットを通
    過させてから、前記試料に対して相対位置関係が固定さ
    れているX線検出器で測定する段階。 (d)前記X線検出器からの出力信号をエネルギー分析
    して、各エネルギーにおけるX線検出強度をカウントす
    る段階。
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