JP2585969B2 - 三次元多軸織物複合材料の製造方法 - Google Patents

三次元多軸織物複合材料の製造方法

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JP2585969B2
JP2585969B2 JP6096910A JP9691094A JP2585969B2 JP 2585969 B2 JP2585969 B2 JP 2585969B2 JP 6096910 A JP6096910 A JP 6096910A JP 9691094 A JP9691094 A JP 9691094A JP 2585969 B2 JP2585969 B2 JP 2585969B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、三次元多軸織物プリフォームを
強化基材とし、熱硬化性樹脂をマトリックスとした三次
元多軸織物複合材料の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱硬化性樹脂をマトリックスとした繊維
強化複合材料の成形においては、成形中に発生する樹脂
の硬化反応による体積収縮、および硬化反応終了後の冷
却過程で発生する硬化樹脂の体積収縮により、複合材料
内部に残留応力が発生する。上記繊維強化複合材料が二
次元複合材料、例えば、積層構造物などの場合は、積層
面に垂直な方向に複合材料の収縮が可能であるため残留
応力の緩和が期待される。また、成形中にこの方向に加
圧することにより残留応力を低減することが可能であ
る。このため、二次元複合材料(積層構造物)の成形に
おいては、プレス成形、オートクレープ成形などの方法
がよく用いられている。
【0003】これに対し、三次元多軸織物複合材料の場
合は、強化繊維による三次元的拘束が生じるため、成形
中に発生する上記残留応力が緩和されず、二次元複合材
料の場合に比べその内部に欠陥が発生し易いという問題
がある。更に、強化基材である三次元多軸織物プリフォ
ームに変形を生じさせることなく成形する必要があるた
め、プレス成形、オートクレープ成形などのような特定
方向に圧力を加える成形方法は使用できない。このた
め、三次元多軸織物複合材料の成形では、レジントラン
スファー成形などの成形方法を用いるのが一般的であ
る。
【0004】この方法は、金型中に三次元多軸織物プリ
フォームを装填し、この金型内に熱硬化性樹脂を充填、
含浸した後、硬化させるというものである。例えば、こ
の種の複合材料の成形にあたり、金型内に上記プリフォ
ームを装填し、上記樹脂により充填、含浸させた後、1
5.5MPaの圧力を付与しつつ樹脂を硬化、成形する
方法が報告されている(第6回次世代産業基盤技術シン
ポジウム予稿集、日本産業技術振興協会発行(198
9)p239)。
【0005】この方法では、上記内部欠陥の発生を低減
する目的で、硬化過程の全体に亘って一定圧力を付与し
ているが、上記プリフォームの織り密度のバラツキから
生ずる樹脂溜り部にクラックが認められるという問題が
あり、しかも、硬化過程の全体に亘って圧力を付与する
ために、金型の保圧のための大型のバックアップ機構が
必要となり、生産性の向上の障害にもなる。
【0006】また、三次元多軸織物複合材料の成形に際
し、この複合材料を液状の加熱・加圧媒体中に浸漬した
状態で静水圧力下で成形する方法が報告されている(特
開平03−284937号)が、この方法は、熱硬化性
樹脂をマトリックスの対象とする三次元多軸織物複合材
料の成形に適したものでない。このように、熱硬化性樹
脂をマトリックスとした三次元多軸織物複合材料におい
て、確実に無欠陥な成形品を安価に製造できる製造方法
はなく、従来の上記製造方法の延長による限り極めて大
きな製造コストを必要とした。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の技術的課題
は、三次元多軸織物プリフォームを強化基材とし、熱硬
化性樹脂をマトリックスとした三次元多軸織物複合材料
の製造において、使用温度条件に合わせた、無欠陥で機
械的物性に優れた三次元多軸織物複合材料を安価に成形
できる製造方法を提供することにある。
【0008】また、前述した従来技術の問題点に対処
し、本発明者らは、先に、特願平06−024716号
として、熱硬化性樹脂の硬化過程でその流動性が実質的
に消滅する点での比容積が、常温またはそれよりも低い
複合材料の使用予定温度における比容積に比して小さく
なるのに必要な圧力を、熱硬化性樹脂の硬化過程で、そ
れが流動性を示す段階からその流動性が実質的に消滅す
るまで付与し、更にその後の圧力までも制御して成形す
る方法を提案しているが、その後の実験、研究により、
上記硬化反応が進行してその流動性が実質的に消滅する
時点に必要な圧力を付与し、流動性消滅後はその圧力を
除去して後硬化させても、実用的に問題のない三次元多
軸織物複合材料を成形できることを見出した。本発明
は、かかる知見に基づくものであり、その技術的課題
は、上記使用条件に合わせた無欠陥で機械的物性に優れ
た三次元多軸織物複合材料を、生産性よく一層簡易に成
形できる製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段、作用】上記課題を解決す
るために、本発明の方法は、三次元多軸織物プリフォー
ムを基材とし、熱硬化性樹脂をマトリックスとした三次
元多軸織物複合材料の製造方法において、上記熱硬化性
樹脂の硬化過程でその流動性が実質的に消滅する点での
比容積が常温またはそれよりも低い上記複合材料の使用
予定温度における比容積に比して小さくなるのに必要な
圧力を、上記硬化反応が進行しその流動性が実質的に消
滅する時点に付与し、その流動性消滅後は上記圧力を除
去し、後硬化させることを特徴とするものである。
【0010】また、上記方法においては、三次元多軸織
物プリフォームを容積可変な成形容器中に装填すると共
に、該成形容器内に熱硬化性樹脂を充填し、これを圧力
媒体を充填した圧力容器に収容して、所要の硬化温度の
下で上記圧力媒体の加圧により必要な静水圧を付与し、
上記熱硬化性樹脂の流動性消滅後は、上記成形容器を上
記圧力容器から取り出して後硬化させることができる。
更に、上記方法においては、三次元多軸織物プリフォー
ムを耐圧性の金型中に装填すると共に、該金型内に熱硬
化性樹脂を充填し、所要の硬化温度の下で必要な圧力を
該樹脂に付与し、上記熱硬化性樹脂の流動性消滅後は、
上記三次元多軸織物プリフォームを上記金型から取り出
して後硬化させることができる。
【0011】上述した本発明の方法において、強化基材
として使用する三次元多軸織物プリフォームは、炭素繊
維、金属繊維あるいはセラミック繊維などの強化繊維の
繊維束を多軸方向に配列して製織したものを用いること
ができる。複合材料の機械的特性を考慮した場合には、
この強化繊維として炭素繊維を用いるのが望ましい。ま
た、必要に応じて、予め強化繊維を熱硬化性樹脂を用い
てロッド状に成形し、この一方向性ロッド状複合材料を
多軸方向に配列して製織した三次元多軸織物プリフォー
ムを用いることも可能である。
【0012】一方、本発明においてマトリックスとして
用いる熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、あるいはフェノ
ール樹脂など、いかなる熱硬化性樹脂を用いることも可
能であるが、成形性および複合材料の物性を考慮すると
エポキシ樹脂を用いるのがより好ましい。
【0013】本発明において、上記三次元多軸織物プリ
フォームに熱硬化性樹脂を含浸させる方法としては、大
気圧中でポンプなどを用いて上記樹脂を送液する際に、
上記金型内を真空状態にした後、または上記プリフォー
ムを予め真空状態にした後、あるいは成形容器全体を真
空状態にした後、予め脱泡した上記樹脂を含浸させるよ
うにするのが、成形状態を良好にする意味で望ましい。
そして、上記樹脂を含浸させた上記プリフォームを加熱
硬化して成形する場合の硬化温度サイクルは、一定温度
で硬化成形する方法、あるいは複数の温度段階を経由し
て硬化成形する方法等の各種温度サイクルを採用するこ
とができる。
【0014】このような方法により成形された複合材料
の熱硬化性樹脂には、常温またはそれよりも低い使用予
定温度において、内部応力が作用していないか、または
内部圧縮応力が作用するために、使用条件に合わせて、
無欠陥で機械的物性に優れた三次元多軸織物複合材料を
得ることができる。しかも、上記硬化反応が進行してそ
の流動性が実質的に消滅する時点に必要な圧力を付与
し、流動性消滅後はその圧力を除去して後硬化させて
も、実用的に問題のない三次元多軸織物複合材料を成形
できるという知見に基づくものであり、そのため上記三
次元多軸織物複合材料を生産性よく一層簡易に成形する
ことができる。
【0015】本発明の方法について更に具体的に説明す
るに、三次元多軸織物プリフォームを強化基材とし、熱
硬化性樹脂をマトリックスとした三次元多軸織物複合材
料の成形時に発生する欠陥は、成形時の熱硬化性樹脂の
容積変化(主として収縮)によるものである。三次元多
軸織物複合材料の場合、成形時に強化繊維による三次元
的拘束があるため、上記成形時の収縮による残留応力P
は次式で表現することができる。
【0016】 P=K×(vG ーvR )/vG (1) ここで、K :樹脂の体積弾性率、vG :ある特定の成
形圧力下で樹脂が硬化過程で実質的に流動性を示さなく
なる点における比容積、vR :複合材料を実際に使用す
る圧力(一般には大気圧)下での常温または使用予定温
度(複合材料の使用温度が常温以下である場合のその使
用温度)における比容積、である。なお、一般に三次元
多軸織物複合材料に用いられる強化繊維は、炭素繊維、
金属繊維あるいはセラミック繊維などであるため、上記
(1)式では、その線膨張係数は樹脂の線膨張係数に比
べ小さく無視し得るものとしている。
【0017】この(1)式で、[(vG ーvR )/v
G ]の項は、成形時の残留歪量を示す項である。この項
が正の値をとる場合には樹脂に引張り応力が作用し、樹
脂に欠陥を発生させる原因となるが、ゼロまたは負の値
をとる場合には、樹脂には応力が作用していないか、ま
たは圧縮側の応力が作用するため、樹脂に欠陥が発生し
なくなる。したがって、樹脂の硬化過程において、その
流動性が実質的に消滅する点での樹脂の比容積が、常温
または使用予定温度での樹脂の比容積に比して小さくな
るのに必要な圧力を付与することにより、複合材料には
欠陥が発生しなくなる。
【0018】特定圧力下における樹脂の硬化過程で、そ
の流動性が実質的に消滅する点での比容積の値は、種々
の方法により測定することが可能である。例えば、ピス
トンを有するシリンダの圧力容器内に樹脂を封入し、特
定の圧力下で硬化させたときの体積変化を測定する方
法、またはPVT測定装置を用いて体積変化を測定する
方法(三谷ら、Proceedings of the third Japan inter
national SAMPE symposium, Dec, 7ー9, 1993, p 834 )
などである。
【0019】このような方法を用いて種々の圧力下で求
めた比容積の値を、基準とする比容積、即ち、常温また
は使用予定温度での樹脂の比容積(基準比容積という)
と比べることにより、上記欠陥を発生しない圧力を求め
ることができる。また、硬化過程での樹脂の比容積変化
挙動や圧縮率変化挙動を予め求めておき硬化過程で樹脂
の比容積が、上記基準比容積に比して小さくなるのに必
要な圧力を推定することも可能である。硬化過程での樹
脂の比容積変化挙動や圧縮率変化挙動は、上記のPVT
測定装置を用いて測定することができる。
【0020】そして、本発明者らは、上記基準比容積の
値に対し、硬化過程において樹脂に付与すべき必要な圧
力について検討した結果、この樹脂を圧縮するのに要す
る圧力は、樹脂の硬化過程の初期段階、即ち液状の樹脂
が流動性を消滅するまでの段階では、単調に減少するこ
とを見出した。従って、樹脂の硬化過程でその流動性が
実質的に消滅する点での比容積を上記基準圧力に等しく
するのに必要な圧力は、樹脂が未だ流動性を有している
段階において、樹脂を上記基準比容積に圧縮するのに必
要な圧力よりも小さく、流動性を有している段階の樹脂
を上記基準比容積に圧縮するのに不十分な圧力であるこ
とになる。
【0021】しかしながら、樹脂が未だ流動性を有して
いる段階において、この樹脂に作用させる圧力が、上記
基準比容積に圧縮するのに不十分な圧力であっても、硬
化過程でその流動性が実質的に消滅する点での比容積が
上記基準比容積に比して小さくなるのに必要な圧力を、
上記硬化反応が進行しその流動性が実質的に消滅する時
点に付与していれば、成形された複合材料には欠陥が発
生することはない。樹脂の流動により硬化収縮分が補わ
れるからである。
【0022】また、樹脂の流動性が実質的に消滅した後
に、樹脂の比容積が変化して、上記基準比容積の値とす
るのに必要な圧力が変化する場合がある。しかし、この
変化が、上述した基準比容積の値とするのに必要な圧力
を増加させなければならない場合でも、その流動性が実
質的に消滅する点での比容積が、上記変化後のその比容
積に比して小さくなるのに必要な圧力を、その流動性が
実質的に消滅する時点に付与していれば、このような樹
脂の比容積の変化があっても、成形された複合材料には
欠陥が発生することはない。
【0023】更に、熱硬化性樹脂の成形に当たっては、
樹脂が複数の温度段階を経由して硬化する場合がある。
それは、例えば、比較的低い温度で樹脂をその流動性が
消滅するまで硬化させた後、更に温度をあげて後硬化を
行う、という方法である。この場合、初期の比較的低い
温度で樹脂の流動性が実質的に消滅するまで硬化が進行
する場合には、この硬化過程で流動性が実質的に消滅す
る点での樹脂の比容積が、上記常温または使用予定温度
の何れか低い温度における比容積に比して小さくなるの
に必要な圧力を、その流動性が実質的に消滅する時点で
付与することにより、残留歪及び欠陥の無い複合材料を
成形することが可能となる。
【0024】けだし、この流動性が実質的に消滅した樹
脂について後硬化を行うに当たり、後硬化処理における
温度の再上昇に伴い樹脂は熱膨張を示すと考えられる
が、その流動性が消滅した後の三次元多軸織物複合材料
においては、成形された複合材料自体が内部に発生した
応力に耐える構造を有しており、複合材料内部において
上記熱膨張による引張り応力を相殺するので、後硬化過
程においては、樹脂の熱膨張に応じた圧力を作用させな
くとも、成形された複合材料には欠陥が発生することは
ないからである。
【0025】これらの知見に基づいて、上記熱硬化性樹
脂の硬化過程でその流動性が実質的に消滅する点での比
容積が、上記複合材料の常温または使用予定温度のいず
れか低い温度における比容積に比して小さくなるのに必
要な圧力を、上記硬化反応が進行しその流動性が実質的
に消滅する時点に付与すれば、無欠陥で機械的物性に優
れた複合材料を安価に成形でき、その流動性消滅後は、
成形された複合材料を耐圧を必要としない圧力容器に移
し換えることにより金型等を効率よく使用し、この複合
材料の時間当たりの成形個数を増加させることができ
る。
【0026】図面を参照して本発明の方法について具体
的に説明すると、図1は、本発明の方法を実施するため
の三次元多軸織物複合材料の製造装置を示している。本
装置は、圧力容器1と、それを加熱するヒータ2と、そ
のヒータ2を制御する温度制御装置3と、成形圧力を制
御する圧力制御装置4と、圧力容器1内に収容される成
形容器5とを備えている。
【0027】上記圧力容器1は、各種形状の複合材料の
成形に共通するもので、その外周にヒータ2を周設し、
このヒータ2の加熱温度は温度制御装置3により制御さ
れ、後述する硬化温度サイクルの下で、複合材料の硬
化、成形が行われる。この硬化温度サイクルにおける温
度を確認するために、圧力容器1に温度計を付設し、ま
た、圧力制御のための圧力計などを取付けている。圧力
容器1の内部には成形容器5が収容され、この成形容器
5の周囲は、上記圧力制御装置4により圧力制御される
圧力媒体6によって充填される。
【0028】三次元多軸織物プリフォーム8を装填する
成形容器5は、ピストン5aを有するシリンダ構造を成
す容積可変なものであり、このピストン5aを上記圧力
媒体6が押圧することにより、成形容器5内のエポキシ
樹脂7に静水圧を付与できるようにしている。成形容器
5の内部には、プリフォーム8が装填されると共に、あ
らかじめ脱泡した樹脂7が充填され、プリフォーム8が
樹脂7によって完全に含浸される。
【0029】使用する成形容器5は、圧力容器1中で静
水圧を受けるが、成形容器5の内部に充填された樹脂7
の圧力とバランスするため、必ずしも成形時の圧力に耐
える構造を有する必要はなく、プリフォーム8の形状を
保持するのに十分な強度を有し、かつ樹脂7の充填時に
容器が変形しない程度の強度を有すればよい。但し、成
形時に樹脂7の体積変化を妨げない構造のものである必
要がある。
【0030】成形容器5の構造例としては、図2に示す
ようなものを含めて各種のものが考えられるが、成形に
際して不都合がなければいかなる構造および材質のもの
を用いても差し支えない。同図(a)は、上記ピストン
5aをベローズ5bで置き換えたベローズ構造の例であ
り、同図(b)は、ゴム状のフィルム5cを用いて容器
口部を閉鎖し、樹脂7の容積変化に応じて変形する構造
のもの、同図(c)及び(d)は、樹脂7と圧力媒体6
とが直接接触してもよい場合に用いる圧力媒体6に対し
て解放されている構造のもので、同図(c)では多孔の
シート5dを、同図(d)では小孔5eを開設してい
る。
【0031】これらの構造以外に、例えば、成形容器を
変形容易な薄肉の容器としたもの、プラスチックなどの
剛性の低い材料を用いた容器を使用して、容器全体が変
形する構造のもの、変形容易な薄肉の容器中にプリフォ
ーム8の形状保持のため、更に容器の材質としては成形
条件下で耐えるものが適当であるが、樹脂7の移動が容
易な解放型の容器を設置する構造のものを用いることも
できる。また、成形品が容易に取り出せるように容器が
分割できる構造のものを使用することもできる。更に、
容器の材質としては成形条件下で耐えるものが適当であ
るが、樹脂7が実質的に示さなくなる点において耐え得
るものであれば、その後破損するようなものであっても
よい場合がある。
【0032】上記構成を有する製造装置により三次元多
軸織物複合材料を製造するに際しては、成形容器5中に
プリフォーム8を装填すると共に、樹脂7を充填、含浸
させ、更にこの成形容器5を圧力容器1中に配置する。
プリフォーム8に対する含浸方法としては、大気中でポ
ンプなどを用いて樹脂7を送液するが、プリフォーム8
を収容した成形容器5全体を真空容器中に納めて送液す
るなど、プリフォーム8を予め適宜手段で真空雰囲気に
おくのが有効である。更に、プリフォーム8を予め真空
状態に置き、予め脱泡した樹脂7により含浸するのが、
成形状態を良好にする意味で望ましい。樹脂7の含浸時
には、樹脂7が硬化時に体積減少を起こす分だけ余分に
成形容器5中に入れておく必要がある。
【0033】樹脂7を含浸した後、上記成形容器5を圧
力容器1中に配置し、圧力媒体6を封入した後、所定の
温度、圧力条件で成形を実施する。ここで、圧力媒体6
としては、シリコンオイルなどの液体で、必要な温度、
圧力下で安定であるものが好ましい。成形時に必要な圧
力は、圧力媒体6からピストン5aを経由して成形容器
5中の樹脂7に伝達される。
【0034】成形時には、樹脂7の硬化過程でその流動
性が実質的に消滅する点での比容積が、上記常温または
使用予定温度の何れか低い温度における硬化完了後の比
容積に比べて小さくなるのに必要な圧力を、樹脂の流動
性が実質的に消滅する時点に付与すればよい。その後
は、成形容器5を圧力容器1から取り出して、大気圧中
で後硬化させる。
【0035】また、三次元多軸織物複合材料の製造装置
は、従来の金型を使用したものであってもよい。図3
は、その金型を使用した製造装置を模式的に示してい
る。この装置によって複合材料を製造するに際しては、
金型10にプリフォーム8を装填して、予め脱泡した樹
脂7を上記金型10内に充填、含浸すべく樹脂加圧装置
11により樹脂タンク12からバルブ13及び14を介
して供給する。この場合、必要に応じて真空装置15に
より金型10内を真空状態にする。含浸終了後バルブ1
6を閉じ、上記金型10に周設されたヒータ17により
加熱し、加圧装置11により所要の圧力を付与しつつ硬
化、成形が行われる。
【0036】樹脂7が硬化初期にまだ流動性を示す段階
では、樹脂は金型中で上記圧力をもつことになるが、上
述したように、上記圧力を硬化過程の全過程に亘って作
用させておく必要はなく、この硬化過程で樹脂7の流動
性が実質的に消滅する点での比容積が、上記常温または
使用予定温度の何れか低い温度における硬化完了後の比
容積に比べて小さくなるのに必要な圧力を、樹脂の流動
性が実質的に消滅する時点に付与すればよい。樹脂7の
流動性が実質的に消滅した後は、成形体を金型から取り
出して、大気圧中で後硬化させる。この場合、金型10
及びそのバックアップ機構は、硬化過程において樹脂7
の流動性が実質的に消滅する時点での温度、圧力に耐え
る材質、構造である必要があるが、必ずしも後硬化過程
の温度、圧力に耐える必要はない。
【0037】
【実施例】以下に、本発明に係る製造方法の実施例を示
す。マトリックス用エポキシ樹脂7として、主剤のエピ
コート828(油化シェル社製)と硬化剤のエタキュア
ー100(Ethyl Corp. 製)を重量比100:24で混
合したものを脱泡して用い、この樹脂7を大気圧下で硬
化させた。硬化温度サイクルは次のようにした。即ち、
40分かけて40℃から80℃まで昇温し、80℃で1
5時間保持した後、80分かけて180℃まで昇温し、
180℃で4時間保持した後、約12時間かけて室温
(約20℃)まで冷却した。この場合の硬化後の樹脂7
の比容積は、20℃で0.860cm3 /gであった。
【0038】次に、上記エポキシ樹脂7の硬化過程にお
ける比容積と圧縮率とを前記PVT測定装置を用いて測
定した。この場合の硬化温度サイクルは上記サイクルと
同一とした。比容積は、圧力100kgf/cm2 の加
圧下における値を測定して求めた。また、圧縮率は、圧
力を±40kgf/cm2 変化させたときの比容積の変
化から求めた結果、図4のようになった。そして、これ
らの比容積と圧縮率とから樹脂7の比容積を0.860
cm3 /gとするのに必要な圧力を算出した結果を図5
に示す。
【0039】図4により、樹脂7の比容積は、80℃に
おける15時間の硬化過程で単調に減少して、15時間
経過後ほぼ一定値に収束し、また、その圧縮率は、初期
段階の8時間の硬化過程では単調に減少して、8時間経
過後から急速に減少することがわかる。この8時間経過
後からの変化は、この時点から樹脂7がガラス化し流動
性を消滅する状態になっていくことを示している。この
ような圧縮率の変化から求めた樹脂7のガラス化点は、
80℃に保持した場合には保持開始から9時間経過後で
ある。この保持開始から9時間経過後にその比容積を
0.860cm3 /gとするのに必要な圧力を図5より
求めると、その圧力は350kgf/cm2 である。
【0040】また、上記エポキシ樹脂の硬化過程におけ
る流動性について調べた結果、80℃に保持し、保持開
始から8時間経過後までは、流動性を保持していること
を確認した。この保持開始から8時間経過後にその比容
積が0.860cm3 /gとなるのに必要な圧力は、上
記図5より求めると400kgf/cm2 であり、上記
ガラス化点より求めた上記圧力とほぼ同一値になる。従
って、欠陥の無い三次元複合材料を成形するのに必要な
圧力は、少なくとも400kgf/cm2 であると推定
できる。
【0041】また、図5には、180℃の後硬化過程に
おいて樹脂7の比容積を0.860cm3 /gとするた
めに必要とされる圧力は約1000kgf/cm2 であ
り、硬化過程の初期段階においてこの比容積を0.86
0cm3 /gとするために必要とされる圧力は、約14
00kgf/cm2 であることが示されているが、上述
したように、硬化過程で樹脂7の流動性が実質的に消滅
する点での比容積が、上記常温または使用予定温度の何
れか低い温度における硬化完了後の比容積に比べて小さ
くなるのに必要な圧力、即ち400kgf/cm2 を、
樹脂7の流動性が実質的に消滅する時点に付与すれば、
上記のような高圧を付与することなく、欠陥の無い三次
元複合材料を得ることが可能である。
【0042】次に、樹脂7の流動性が実質的に消滅する
時点に圧力400kgf/cm2 を付与して成形された
三次元複合材料の欠陥の発生状況を、圧力150kgf
/cm2 を付与して成形されたものとの比較において調
査した。これには、断面0.81mm角、繊維含有率7
0%のエポキシ樹脂7をマトリックスとした炭素繊維強
化ロッド状一方向性複合材料を用いてロッド方式三次元
3軸織物プリフォーム8を作成した(X・Y軸方向:9
本×18本,Z軸方向:10本×10本を組み合わせて
作成したものであり、サンプルサイズは約16×16×
30mmである。)。
【0043】このプリフォーム8を、成形容器5として
内径30mm高さ45mmのポリプロピレン製容器(市
販の写真フィルム用容器)にいれ、脱泡した上記エポキ
シ樹脂7を用いて充填、含浸し気泡が残らないように注
意して蓋をした。本成形容器5は外圧を加えた場合容易
に変形するものである。その後、成形容器5を圧力容器
1中に入れ、シリコンオイルを圧力媒体6として所定の
圧力下で硬化、成形した。これに用いた硬化温度サイク
ルは上記温度サイクルと同一とした。
【0044】また、これに付与した圧力は、上記40℃
から80℃までの昇温期間及び80℃に保持して8時間
経過するまでは大気圧とし、8時間経過した後は400
kgf/cm2 とし、この400kgf/cm2 を4時
間保持した。そして、成形容器5を圧力容器1の外に取
り出し大気圧下で80℃に3時間保持した後、後硬化を
行った。この成形容器5は120℃付近で耐熱性がなく
なり、最終処理温度では破損したが、上記80℃での硬
化過程で実質的な固化が完了しているためこのものの成
形には何ら差し支えない。
【0045】成形されたこの複合材料の欠陥の発生状況
を調べたところ、このものの最外周に剥離が見られた
が、その内部には欠陥が見られなかった。一方、上記圧
力400kgf/cm2 に代えて圧力150kgf/c
2 を付与した場合のこの複合材料の欠陥の発生状況に
ついて調べたところ、複合材料全体に剥離欠陥が観察さ
れた。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の三次元多
軸織物複合材料の製造方法によれば、三次元多軸織物プ
リフォームを強化基材とし、熱硬化性樹脂をマトリック
スとした三次元多軸織物複合材料の製造において、使用
条件に合わせた、無欠陥で機械的物性に優れた三次元多
軸織物複合材料を安価に成形できる。即ち、圧力容器や
金型の耐圧性、耐熱性を、複合材料の欠陥を発生させな
いために必要とされる圧力に耐え得るに必要にして十分
なものに設計すれば良いので、装置コストの低減が図れ
るため安価に複合材料を成形でき、また、上記圧力を所
要時点に付与すればその後はこの圧力を保持する必要が
なく、圧力容器や金型を占有している時間が短くなるの
で、総じて成形に要する時間の短縮が図れるため、複合
材料の時間当たりの成形個数を増加させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施するための三次元多軸織物
複合材料製造装置を示す説明図である。
【図2】(a)〜(d)は、図1の製造装置の成形容器
の構造例を示す模式的断面図である。
【図3】本発明の方法を実施する他の三次元多軸織物複
合材料製造装置を示す説明図である。
【図4】本複合材料を構成するエポキシ樹脂の硬化過程
における圧縮率および比容積の推移を示すグラフであ
る。
【図5】同硬化過程の各段階において、同樹脂の比容積
を0.860cm3 /g(20℃)とするのに必要な圧
力の大きさを示すグラフである。
【符号の説明】
1 圧力容器 5 成形容器 6 圧力容器 7 エポキシ樹脂 8 三次元3軸織物プリフォーム

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】三次元多軸織物プリフォームを基材とし、
    熱硬化性樹脂をマトリックスとした三次元多軸織物複合
    材料の製造方法において、 上記熱硬化性樹脂の硬化過程でその流動性が実質的に消
    滅する点での比容積が上記複合材料の使用予定温度にお
    ける比容積に比して小さくなるのに必要な圧力を、上記
    硬化反応が進行しその流動性が実質的に消滅する時点に
    付与し、その流動性消滅後は上記圧力を除去し、後硬化
    させる、ことを特徴とする三次元多軸織物複合材料の製
    造方法。
  2. 【請求項2】複合材料の使用予定温度が常温であること
    を特徴とする請求項1に記載の三次元多軸織物複合材料
    の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の方法において、 三次元多軸織物プリフォームを容積可変な成形容器中に
    装填すると共に、該成形容器内に熱硬化性樹脂を充填
    し、これを圧力媒体を充填した圧力容器に収容して、所
    要の硬化温度の下で上記圧力媒体の加圧により必要な静
    水圧を付与し、上記熱硬化性樹脂の流動性消滅後は、上
    記成形容器を上記圧力容器から取り出して後硬化させ
    る、ことを特徴とする三次元多軸織物複合材料の製造方
    法。
  4. 【請求項4】請求項1または2に記載の方法において、 三次元多軸織物プリフォームを耐圧性の金型中に装填す
    ると共に、該金型内に熱硬化性樹脂を充填し、所要の硬
    化温度の下で必要な圧力を該樹脂に付与し、上記熱硬化
    性樹脂の流動性消滅後は、上記三次元多軸織物プリフォ
    ームを上記金型から取り出して後硬化させる、ことを特
    徴とする三次元多軸織物複合材料の製造方法。
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