JP2584976B2 - スル−ザグリ−ン用ゴルフクラブ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、改良された質量中心の位置に成るクラブ
ヘッド構造を有するティーショットからグリーン面上に
打球を乗せるショットまでの、いわゆる、スルーザグリ
ーンでのショットに使用するスルーザグリーン用ゴルフ
クラブに関する。

（従来の技術） 従来のスルーザグリーン用のゴルフクラブおよびクラ
ブセットにあっては、第３図（ウッドクラブヘッド）及
び第４図（アイアンクラブヘッド）に示すように、ゴル
フクラブが静止の状態にあって、クラブヘッドの質量中
心位置（17）がシャフト（11）の中心を通りクラブヘッ
ド（10）を前部（打面側）と後部に二分割する中心面
（Ａ−Ａ′）に対して後部のクラブヘッド内に成るクラ
ブヘッド構造となっていた。

（発明が解決しようとする問題点） この従来のスルーザグリーン用ゴルフクラブの問題点
を図面にもとづいて説明すると次の通りである。

第６図及び第７図示のように、これら従来のゴルフク
ラブは、スイング中のインパクト直前の動的状態にある
時に、クラブヘッド質量の慣性力に起因してクラブヘッ
ド端側部分が前方（飛球方向）に反り（クラブが静止の
状態と比較して）、そして、その直後にインパクトを迎
える質量中心位置を有するクラブヘッド構造になってい
た。

従来のゴルフクラブのこの動的現象は、雑誌などにス
イングの連続写真として頻繁に紹介され、広く知られて
いる。参考文献、完全なスイングの探求（THE SEARCH F
OR THE PERFECT SWING;by Alaster ＆ John Stobbs,The
booklegger,grass vally,California）に、この動的現
象の測定結果（第７図）が発表されている。尚、第７図
において、このプレーヤーはプロゴルファーであり、イ
ンチ表示の数値はプラスが前方に反っていることを示
し、時間（秒）のマイナス表示はインパクト前の時間
（秒）を示す。

以上で明らかなように、従来のゴルフクラブは、スイ
ング中のインパクト直前の動的状態にあって、シャフト
の弾力によりクラブヘッドを後方に押し戻そうとする力
が働いている瞬間の直後にインパクトを迎えるクラブヘ
ッドの質量中心位置となっていたために、インパクトで
シャフトがねじれて打球の方向性を損ない易く、かつ、
同一条件下ではシャフトの弾力に比例して打球の飛距離
な損なわせるなどの欠点があった。しかも、この動的現
象は、クラブヘッドをダウンスイングで加速させ、クラ
ブヘッドがインパクトを迎える直前からインパクトまで
の大切な短い時間にクラブヘッド重量の軽減感が起こ
る。この軽減感はシャフトの弾力に抗してクラブヘッド
端側が前方に反る力（慣性力）に相当するものであり、
スイング軌道の正確なコントロールを困難にさせていた
原因の一つでもあった。

この発明の目的は、従来のスルーザグリーン用ゴルフ
クラブがもつ以上のような問題点を解消させ、優れた打
球特性と打ち易さを兼ね備えたスルーザグリーン用ゴル
フクラブを提供するにある。

（問題点を解決するための手段） この発明に係るスルーザグリーン用ゴルフクラブは、
第１図及び第２図に示されるように、クラブヘッドの質
量中心位置（16a,16b）は、シャフト（11）の中心を通
りクラブヘッドを前部と後部に二分割する中心面（Ａ−
Ａ′）より前部のクラブヘッド内とし、インパクトの衝
撃によるシャフトのしなり（反り）、又は、インパクト
の衝撃によるシャフトのしなり（反り）と慣性力に起因
するシャフトの動的しなり（反り）の両者を利用し、シ
ャフトの弾力により優れた打球特性と打ち易さを得よう
とするものである。尚、ここでクラブヘッドの前部とは
打面側を意味する。

又、このようなゴルフクラブによりゴルフクラブセッ
トを構成した場合には、それぞれのクラブヘッドの質量
中心（16a,16b）からそれぞれの中心面（Ａ−Ａ′）ま
での長さを変化させることによりスイング中のインパク
ト付近でのそれぞれのクラブヘッドの重量感（シャフト
の弾力に抗してクラブヘッド端側が反る力）を、例え
ば、それぞれのクラブ長、あるいは、それぞれのクラブ
の機能（一例として、ピッチングウエッジとサンドウエ
ッジは長さが同じ場合でも機能が異なる）に対して調整
することが出来る。

（作用） このようなゴルフクラブをスイングすると、クラブヘ
ッド端側はスイング中のインパクト直前の瞬間で、ゴル
フクラブが静止の状態と比較して、同一の位置（クラブ
ヘッドの質量中心が中心面に接している場合）か、ある
いは、後方に反り（クラブヘッドの質量中心が前部に成
る場合）、その直後にインパクトを迎えることになる。
この後者の場合を第５図に示す。

（実施例） この発明の構成を実施例の図面にもとづいて説明すれ
ば次の通りである。

第１図示のものは木材を主材としたウッドクラブ用ヘ
ッド構造の一例である。

従来のウッドクラブ用ヘッド構造と比較して、ソール
プレート（19）は無く、中心面（Ａ−Ａ′）は打面（1
2）から僅かに後退した形状をなし、くり抜き部（13）
を備え、その下部溝を木材板（14）で蓋を施し、かつ、
フェースインサート（15）を炭素鋼製としたことによ
り、クラブヘッドの質量中心（16a）の位置が中心面
（Ａ−Ａ′）に対してフェース面側の前部に位置するク
ラブヘッド構造のものである。

第２図示のものは炭素鋼を主材としたアイアンクラブ
用ヘッドの一例である。

従来のアイアンクラブ用ヘッドと比較して、中心面
（Ａ−Ａ′）はリーディングエッジ（18）から僅かに後
退した形状をなし、クラブヘッドの質量中心（16b）の
位置が中心面（Ａ−Ａ′）より前部に成るクラブヘッド
構造のものである。図するところに適切に成すことが出
来る。

この発明は上記実施例の以外にも、いろいろな変形が
考えられるが、これらはすべてこの発明に含まれるもの
である。

（発明の効果） この発明に成るゴルフクラブをスイングすると、イン
パクト直前の動的現象によって、インパクトの衝撃に対
してシャフトの弾力を効果的に利用することができ、優
れた打球特性と打ち易さを兼ね備えた画期的な効果を奏
する。更に、このようなゴルフクラブによって構成され
たゴルフクラブセットにおいては、各クラブヘッドの重
量感を各クラブの長さ、あるいは、機能等に対して最適
な条件に調整することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例としてのウッドクラブ用ク
ラブヘッドの正面図であり、第２図はこの発明の他の実
施例としてのアイアンクラブ用クラブヘッドの正面図で
あって、アドレスの状態でゴルファーと観察者が対面し
てクラブヘッドのトウ側から見た正面図である。 第３図は従来のウッドクラブ用クラブヘッド、第４図は
従来のアイアンクラブ用クラブヘッドの正面図である。 第５図はこの発明になるウッドクラブの、第６図は従来
のウッドクラブのスイング中のインパクト直前の動的状
態をしめす正面図である。 第７図は従来のウッドクラブのスイングの開始からイン
パクトまでのクラブヘッドの前後の動きを示す説明図で
ある。 （10）……クラブヘッド （11）……シャフト （12）……打面 （13）……くり抜き部 （14）……木材板 （15）……フェースインサート （16a、16b）……質量中心 （17）……質量中心 （18）……リーディングエッジ （19）……ソールプレート （Ａ−Ａ′）……中心面

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】少なくともクラブヘッド（10）とシャフト
   （11）を具備し、シャフト（11）の軸芯が打面（12）中
   央部およびクラブヘッド（10）の質量中心（16a,16b）
   を通らないゴルフクラブであって、 該ゴルフクラブが静止した状態にあって、グラブヘッド
   （10）の質量中心（16a,16b）の位置が、クラブヘッド
   （10）を打面（12）側である前部とその反対側の後部に
   二分割しシャフト（11）の中心を通る中心面（Ａ−
   Ａ′）より前部のクラブヘッド内にあることを特徴とす
   る、ティーショットからグリーン面上に打球を乗せるま
   での、いわゆる、スルーザグリーンでのショットに使用
   するスルーザグリーン用ゴルフクラブ。
2. 【請求項２】前記ゴルフクラブは、クラブヘッドの主な
   構造材料が非鉄金属、合成樹脂、又は、複合材料からな
   るアイアン型ゴルフクラブである、特許請求の範囲第１
   項に記載のスルーザグリーン用ゴルフクラブ。
3. 【請求項３】前記ゴルフクラブは、クラブヘッドの主な
   構造材料を非鉄金属、合成樹脂、又は、複合材料からな
   るウッド型ゴルフクラブである、特許請求の範囲第１項
   に記載のスルーザグリーン用ゴルフクラブ。