JP2582950B2 - プラズマ装置 - Google Patents

プラズマ装置

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JP2582950B2
JP2582950B2 JP3092104A JP9210491A JP2582950B2 JP 2582950 B2 JP2582950 B2 JP 2582950B2 JP 3092104 A JP3092104 A JP 3092104A JP 9210491 A JP9210491 A JP 9210491A JP 2582950 B2 JP2582950 B2 JP 2582950B2
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信哉 大森
孝夫 志村
富治 吉田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラズマ装置に係り、
特に原子力発電所等での改良工事で使用されるプラズマ
切断又はプラズマ溶接に好適な低ノイズ型のプラズマ装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プラズマ装置でのアークのスター
トは、火花放電を用いた高周波スタートが一般的であっ
た。この火花放電を用いた火花放電式プラズマ装置を図
3を参照して説明する。図3において、起動スイッチ2
1が投入されると、アークスタート回路22で高周波火
花放電が発生し、発生した高周波火花放電がカップリン
グトランス23で高周波電圧に変換され、プラズマ電源
24の出力する電圧に重畳されるように構成されてい
る。アークスタート回路22は、交流電源25と昇圧ト
ランス26と蓄電用コンデンサ27と火花ギャップ28
から構成される。またプラズマ電源24の出力端の一方
にノズル29を接続し、他方にはカップリングトランス
23を介してトーチ電極30が接続されている。このプ
ラズマ装置では起動スイッチ21が投入されることによ
り、交流電源25の電圧がアークスタート回路22の昇
圧トランス26に印加され、昇圧トランス26の二次側
に高電圧が発生する。この高電圧により、火花ギャップ
28で高周波火花放電が発生する。火花ギャップ28で
高周波火花放電が発生すると、カップリングトランス2
3の二次側に高周波電圧が発生する。カップリングトラ
ンス23の二次側に発生した高周波電圧はプラズマ電源
24の出力電圧に重畳されて、ノズル29とトーチ電極
30との間に絶縁破壊が生じ、プラズマアークを着火す
る。高周波火花放電によってプラズマアークが発生する
時、火花放電における絶縁破壊に起因してノイズが生じ
る。このノイズでは、絶縁破壊で生じるものであるか
ら、高周波発生周期や電圧レベルを一定することは難し
い。高周波発生周期は一般的に、50KHz〜20MH
zの広い周波数帯域となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の火花放電式のプ
ラズマ装置は、アークスタート回路22の火花放電によ
りプラズマアークを発生させるため、前述の通り、電磁
ノイズが発生する。また火花放電式プラズマ装置を備え
た溶接・切断装置は、可搬性のものとして構成され、作
業を行う場所に運搬されて溶接等の作業が行われる。こ
の場合、プラズマ装置の電源として、作業が行われる施
設の電源ラインを利用する。従って、前記の如くプラズ
マ装置でノイズが発生すると、このノイズは電源ライン
を伝わる。こうして、火花放電式プラズマ装置で発生す
るノイズは、電磁ノイズとして周辺空間に、又は電源ラ
インを伝わって他の装置に影響を与えることになる。こ
のため、プラズマ装置の周囲に電子的計装装置やコンピ
ュータ等が存在する場合、これらの装置の正常動作に対
し悪い影響を及ぼすというおそれがあった。
【0004】特に火花放電式プラズマ装置を備えた可搬
性の溶接・切断装置を、原子力発電所等の如き各種計装
装置やコンピュータが配設され且つこれらの計装装置等
の制御上重要な役割を有している環境に持ち込んで、溶
接・切断の作業を行う場合、大きな問題が発生する。そ
こで、従来、原子力発電所等では、かかる溶接・切断等
の作業を行う必要がある場合には、原子炉を停止する時
のみに当該作業を行うようにしていた。しかし、これで
は、原子炉が停止する時期が少なく且つ停止期間が短い
ため、必要な作業を十分に行うことができない。そこ
で、最近では原子力発電所が運転している最中にも、プ
ラズマ装置を備えた溶接・切断装置を用いて作業を行え
ることが要求されている。
【0005】プラズマ装置における従来のノイズ対策と
しては、電源ラインや制御ラインにノイズフィルタを付
設したり、装置周囲に電磁シールドを配設する等のこと
が実施されている。しかし、火花放電式プラズマ装置の
ように、高周波帯域が広く且つ一定でないものに対して
は、十分な抑制効果を生じさせることができない。
【0006】以上のことから、プラズマ装置において、
ノイズ発生源のノイズレベルを根本的に抑制するという
技術的な対応が必要とされる。
【0007】本発明の目的は、発生するノイズのレベル
を可及的に低減したプラズマ装置を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係るプラズマ装
置は、高周波電圧を電源電圧に印加して所定のプラズマ
アークを発生し、このプラズマアークで切断又は溶接を
行うプラズマ装置であり、コイルとコンデンサの直列回
路から構成される充放電回路を有し、このコンデンサに
充電した電荷を放電して高周波電圧パルスを発生するパ
ルス発生回路と、このパルス発生回路の出力する高周波
電圧パルスを電源電圧に重畳する高周波トランスを備え
るように構成される。この高周波トランスは、二次側で
立ち上がりが鋭敏な高圧パルス電圧を発生するものであ
り、特にフェライトコアを使用したものであることが望
ましい。
【0009】
【作用】本発明によるプラズマ装置では、コイルとコン
デンサの直列回路から構成される充放電回路を有し、こ
のコンデンサに充電した電荷を放電して高周波電圧パル
スを発生するパルス発生回路で高周波電圧を発生し、こ
れをプラズマ電源に重畳してプラズマアークを発生する
ようにしている。火花放電ではなく、パルス式の高周波
発生回路を用いて、発生周波数(周期)と電圧レベルが
一定した高周波電圧を確実に発生させ、これによって高
周波の周波数帯域を限定する。従ってプラズマアーク発
生時のノイズのレベルを低減する。
【0010】
【実施例】以下に、本発明に実施例を添付図面に基づい
て説明する。図1は、本発明に係るプラズマ装置の一実
施例の回路図を示す。1はプラズ電源であり、溶接又は
切断を行うプラズマアークを発生させるために利用され
る電源である。プラズマ電源1は2つの出力線を有して
いる。出力線の一方にはノズル2が接続され、他方には
高周波トランス3の二次側巻線を介してトーチ電極4が
接続されている。ノズル2とトーチ電極4の間に所要の
高電圧が印加されると、絶縁破壊が起こり、不活性ガス
雰囲気中で前記のプラズマアークが発生する。プラズマ
電源1は、溶接・切断作業が行われる施設に設けられた
電源を利用して所要の直流(例えば150V)を作り、
出力する。
【0011】上記回路に対してパルス発生回路5が付設
される。パルス発生回路5と電源回路部分とは、前記高
周波トランス3を介して電磁結合されている。パルス発
生回路5では、起動スイッチ6と、起動スイッチ6の信
号を受け内蔵する交流電源の交流に基づきタイミング信
号を出力するタイミング信号発生回路7と、このタイミ
ング信号を受けてパルス電圧を発生する充放電回路8を
備えている。
【0012】上記タイミング信号発生回路7には既知の
回路が使用される。また充放電回路8は、並列に接続さ
れたサイリスタ9と抵抗10、この並列回路に対して直
列に接続された直流電源11(例えば380V)、コイ
ル12、コンデンサ13から構成される。そして直流電
源11の陽極とコイル12との間に、前記高周波トラン
ス3の一次巻線が接続される。タイミング信号発生回路
7から出力されるタイミング信号は、サイリスタ9のゲ
ートに与えられる。
【0013】上記回路構成の動作を説明する。サイリス
タ9がオフの状態では、直流電源11からコンデンサ1
3に充電が行われる。この状態で、起動スイッチ6が投
入すると、タイミング信号発生回路7が動作し、充放電
回路8のサイリスタ9のゲートにオン信号が与えられ、
サイリスタ9がオンする。サイリスタ9がオンになる
と、コンデンサ13に充電された電荷が、放電される。
この放電のタイミングはタイミング信号発生回路7の出
力するタイミング信号の数で決定される。図2の(b)
にタイミング信号14の波形を一例を示す。タイミング
信号を作るためには、図2(a)に示す交流出力15を
利用する。図1では、交流15を出力する交流電源はタ
イミング信号発生回路7内に内蔵され、その図示を省略
している。タイミング信号14は、交流14の周期に合
わせて、例えば1周期に1回又は半周期に1回に作成す
る。タイミング信号に応じてサイリスタ9がオン・オフ
し、充放電回路8が充放電を繰り返すと、放電動作に対
応して立ち上がりの高い高周波パルス電圧が発生する。
このパルス電圧は、高周波トランス3の一次巻線に流
れ、その二次巻線に図2(c)に示すような立ち上がり
の速い高周波パルス電圧16を出力する。パルス電圧1
6が、プラズマ電源1からの出力線に重畳されると、ノ
ズル2とトーチ電極4との間の不活性ガス雰囲気中の絶
縁が破壊され、アーク放電が開始され、アークスタート
が完了する。
【0014】上記において、アーク起動を確実にするた
めには、高周波パルス電圧は所要の時定数を有し、波形
になまりがないことが条件になる。そこで、高周波トラ
ンス3では、フェライトコアを使用したものが望まし
い。その他の構造としては、二次巻線に大電流(例えば
150A)を流すため、絶縁物に例えばポリアミド繊維
使用し、耐熱温度(例えば180℃)を上げるようにし
た。更に、一次側と二次側との結合を良好にするため
に、一次側の巻線に0.1 t×50mm(Cu)を使い、結合
面積を広くしている。高周波トランス3において、例え
ば一次側電圧は約650V、二次側は約15KVであ
る。
【0015】前記本発明の実施例によれば、充分にノイ
ズを低減することができるが、更にフィルタ又はシール
ド部材を設けてノイズを除去することが可能となる。
【0016】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明は、
次の効果を奏する。高周波火花放電式のアークスタート
回路を使用しなくともよいので、高周波ノイズの発生を
少なくすることができる。コイルとコンデンサの直列回
路から構成される充放電回路を有し、このコンデンサに
充電した電荷を放電して高周波電圧パルスを発生するパ
ルス発生回路で高周波電圧を発生するパルス式高周波発
生回路を用いたため、高周波電圧を一定周波数で且つ一
定電圧で発生させることができ、プラズマアーク発生時
の周波数帯域を限定することができる。これにより、プ
ラズマアーク発生時の輻射ノイズや伝導ノイズを低減す
ることができ、プラズマ溶接・切断時の信頼性を向上す
ることができる。高周波ノイズの周波数帯域を狭くし且
つ限定できるので、フィルタやシールド材を用いるノイ
ズ防止効果を高めることができる。本発明による高周波
発生回路は、従来の高周波発生回路に代わるものであ
り、プラズマ溶接・切断装置自体の構成の変更は必要は
なく、導入が極めて容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラズマ装置の回路図である。
【図2】回路各部の波形図である。
【図3】従来のプラズマ装置の回路図である。
【符号の説明】
1 プラズマ電源 2 ノズル 3 高周波トランス 4 トーチ電極 5 パルス発生回路 6 起動スイッチ 7 タイミング信号発生回路 8 充放電回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 志村 孝夫 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 吉田 富治 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 羽田 光明 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社 日立製作所 機械研究所内 (56)参考文献 特開 昭57−79074(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高周波電圧を電源電圧に印加し、トーチ
    電極とノズル又は母材との間にプラズマアークを発生
    し、プラズマアークによる切断又は溶接を行うプラズマ
    装置において、コイルとコンデンサの直列回路から構成される充放電回
    路を有し、このコンデンサに充電した電荷を放電して
    周波電圧パルスを発生するパルス発生回路と、このパル
    ス発生回路の出力する前記高周波電圧パルスを前記電源
    電圧に重畳する高周波トランスを備えることを特徴とす
    るプラズマ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のプラズマ装置において、
    記高周波トランスは、コアにフェライトコアを使用
    し、上記高周波トランスの内部に設けられた絶縁物とし
    て、ポリアミド繊維を使用して、二次側に立ち上がりが
    鋭敏な高圧パルス電圧を発生することを特徴とするプラ
    ズマ装置。
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