JP2581868B2 - 熱交換器用高強度高耐食性アルミニウム合金クラッド材 - Google Patents
熱交換器用高強度高耐食性アルミニウム合金クラッド材Info
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Description
弗化物フラックスを用いたろう付やあるいは真空ろう付
によりラジエータやヒーターコアなどのAl熱交換器を
製造するに際して、その構造部材であるチューブ材やヘ
ッダープレート材などとして用いるに適した、ろう付性
が良好で、かつろう付後に高強度および高耐食性を有す
るAl合金クラッド材に関するものであり、特に薄肉で
用いられるチューブ材に適する。
のチューブ材やヘッダープレート材には、3003など
のAl−Mn系合金を芯材とし、片面にAl−Si系合
金のろう材、他の片面にAl−Zn系合金やAl−Zn
−Mg系合金の犠牲陽極材をクラッドした3層クラッド
材が用いられている。Al−Si系のろう材はチューブ
とフィンの接合、チューブとヘッダープレートとの接合
のためのものである。ろう付は不活性ガス雰囲気中で弗
化物フラックスを用いて行われたり、真空ろう付を用い
て行われることが多い。犠牲陽極材をクラッドした他の
片面は、使用中に内側(水側)になり、犠牲陽極作用を
発揮して芯材の孔食や隙間腐食を防止する。
化を求める要求が強く、チューブ材やヘッダープレート
材の薄肉化が必要となっている。そのためには材料の高
強度化特にろう付後の強度の向上が必要であり、高強度
化のために芯材中にMgを添加することが多くなってき
ている。しかし、Mgは耐食性を低下させるとともに、
ろう付性を害する。すなわち弗化物フラックスろう付の
場合はMgはろう付中に表面に拡散していき、弗化物フ
ラックスと反応するため、綿状生成物(Mgの弗化物)
が生成して付着したり、接合不良を生じたりする。ま
た、真空ろう付の場合も、ろう付性を害する。こうし
て、芯材中へのMgの添加量は最大でも0.5%、実用
上は0.2〜0.3に制限され、高強度化の妨げとなっ
ている。
は、犠牲陽極材にMgを添加することによっても向上す
る可能性がある。犠牲陽極材にMgを添加したクラッド
材に関しては、従来からいくつかの提案がある。
材やチューブ材の犠牲陽極材に、 MgとZn等を含有させる方法(特公昭63−28
704号)が、 ZnとMgを添加する方法(特開昭61−8949
8号)が、 SnとMgを同時添加する方法(特開昭56−16
646号、特開昭63−89641号)が、 比較的高濃度までのMgとZnを添加する方法(特
公昭62−45301)、 MgあるいはMgとZnなどを添加する方法(特開
平2−175093)、 が提案されている。
1.1%あるいは1.5%以下と少なく、孔食や隙間腐
食の防止のために添加されており、強度向上が得られな
い。
制し、熱間圧延時の割れを防止することを目的とし、上
記のMgの添加は耐孔食性の改善を目的としている
が、いずれもMgが高濃度の場合には芯材に拡散してあ
る程度の強度向上効果も得られる可能性がある。また、
上記はMgの芯材中への拡散により強度向上をはかっ
たものである。しかし、薄肉のチューブ材(クラッド
材)を作った場合、芯材の強度は犠牲陽極材から拡散す
るMgにより高くできても、犠牲陽極材の強度はMg添
加のみでは不足となり、クラッド材全体の強度を高くす
ることができない。すなわち、薄肉になると、芯材のみ
でなく犠牲陽極材の強度への寄与も大きくなり、犠牲陽
極材の強度も高くすることが必要となるのである。
やAl−Zn−Mg系合金を用いており、ろう付時にZ
nが芯材中へ拡散して0.1〜0.2mmの深さに及ぶ
濃度勾配を形成し、この拡散層を犠牲陽極層として芯材
を防食している。
き、即ち0.25〜0.3mm以上のときは有効である
が、クラッド材を薄肉化し、例えば0.25mm以下に
すると、Znの拡散深さ、即ち、犠牲陽極層の厚さが
0.1〜0.2mmでは大きすぎ、クラッド材の板厚の
多くが腐食代になってしまう。その結果、使用中、犠牲
陽極層の消耗と共に材料の強度が著しく低下し、問題に
なっている。
化には限界があった。
害することなく、すなわち、芯材のMg添加量を最大
0.5%に抑えたままで、ろう付後に高強度が得られ、
なおかつ、犠牲陽極層の厚さが大きくなりすぎないよう
なクラッド材を提供しようとするものである。
Mg添加量を最大0.5%に抑えたままで、ろう付け後
に高強度が得られる方法について検討し、犠牲陽極材中
に高濃度のMgとSiを添加すると、犠牲陽極材中のM
gの一部がろう付け中に芯材中へ拡散して、芯材を強化
し、また、犠牲陽極材そのものもMgとSiにより強化
されること、更に犠牲陽極材中のSiが多くなるとろう
付後冷却速度が小さいときに粒界腐食が生ずるが、Si
を適量にすれば粒界腐食が防止できることを見出し、本
発明を完成した。
を加えた結果、Znの様にろう付け中に芯材へ拡散する
速さが大きい元素を添加すると、芯材の表面に生じる拡
散層(犠牲陽極層)が厚くなってしまうのに対して、S
n、In、Gaの1種以上を微量添加すると芯材へ拡散
する速さが小さいために犠牲陽極層の厚さが大きくなら
ないこと、そしてクラッド率を変えることによって犠牲
陽極層の厚さを任意に調節できることを見出した。
た。
が、Mn:0.3〜2.0%(重量%、以下同じ)、C
u:0.25〜0.8%、Si:0.05〜1.0%、
Mg:0.5%以下を含有し、残部Alと不可避不純物
からなるアルミニウム合金で構成され、該芯材の片面に
複合された犠牲陽極材がMg:1.0〜2.5%、S
i:0.05以上0.20%未満を含有し、更に、I
n:0.2%以下、Sn:0.2%以下、及びGa:
0.2%以下の1種又は2種以上を含有し、残部Alと
不可避不純物からなるアルミニウム合金で構成され、か
つ、前記芯材の他の片面に複合された皮材がAl−Si
系合金のろう材で構成された熱交換器用高強度高耐食性
アルミニウム合金クラッド材である。
ついて述べる。
して犠牲陽極材との電位差を大きくし耐食性を向上させ
る。0.3%未満では効果が十分でなく、2.0%を越
えると鋳造時に粗大な化合物が生成し、健全な板材が得
られない。
陽極材およびろう材と芯材との電位差を大きくし、犠牲
陽極材およびろう材の犠牲陽極効果による防食作用を大
きくする。更に、芯材中のCuはろう付時に犠牲陽極材
中及びろう材中へ拡散してなだらかな濃度勾配を形成
し、芯材側が貴な電位、犠牲陽極材及びろう材の各々表
面側が卑な電位となり、その間になだらかな電位分布を
形成して腐食形態を全面腐食型にする。
果は、芯材中のCu量が0.25%未満では発揮されず、一
方、0.8 %を越えると芯材自体の耐食性が悪くなるとと
もに芯材の融点が下がって、ろう付時に局部的な溶融を
生ずるようになる。
に、ろう付中に犠牲陽極材から拡散してくるMgと共存
することになり、ろう付後の時効硬化により強度がより
高くなる。0.05%未満では効果が十分でなく、1.
0%を越えると耐食性が低下するとともに芯材の融点が
下がってろう付時に局部的な溶融を生ずるようになる。
があるが、ろう付け性を劣化させる。このため芯材中の
Mg含有量は0.5%以下にする必要がある。すなわ
ち、弗化物フラックスろう付の場合は、Mgが0.5%
を越えると、弗化物フラックスと反応して、ろう付性を
阻害したり、Mgの弗化物が生成して外観が悪くなる。
また、真空ろう付の場合は、Mgが0.5%を越えると
ろうが芯材を侵食しやすくなる。
させる。すなわちTiは濃度の高い領域と低い領域に分
かれ、それらが板厚方向に交互に分布して層状となり、
Ti濃度が低い領域が高い領域に比べて優先的に腐食す
ることにより、腐食形態を層状にする。その結果板厚方
向への腐食の進行を妨げて材料の耐孔食性を向上させ
る。0.35%を越えると鋳造時に粗大な化合物が生成
し、健全な板材が得られない。 その他の元素:Fe、Zn、Cr、Zrなどは本発明の
効果を損なわない範囲で含まれてもよい。ただし、Fe
は多量に含まれると耐食性を害するので0.7%以下に
するのが好ましい。Znは芯材の電位を卑にし、犠牲陽
極材及びろう材との電位差を小さくするので0.2%以
下にするのが好ましい。
に芯材中へ拡散し、芯材中のSiやCuとともに芯材強
度を向上させる。また、犠牲陽極材中に残存したMgは
Siとともに犠牲陽極材の強度を向上させる。そしてこ
れらの作用により、クラッド材全体の強度向上に寄与す
る。1.0%未満では効果が十分でなく、2.5%を越
えるとろう付時に局部溶融が生じ、好ましくない。
材中へ拡散するが、図1のような濃度分布を有するよう
になり、ろう材側へ大量に拡散して、ろう付性を阻害す
ることはない。また、クラッド製造中にも拡散が起こ
り、芯材と犠牲陽極材との境界では僅かな濃度分布を有
していることはいうまでもない。
せ、クラッド材全体の強度向上に寄与する。特に、犠牲
陽極材中に残存したMgとともに、時効硬化を生じて、
強度向上に寄与する。0.05%未満では効果が十分で
ない。Si量が多いほど強度は高くなるが、0.20%
以上になるとろう付後の冷却速度が小さいときに犠牲陽
極材およびその直下で粒界腐食を生ずる。
微量の添加により犠牲陽極材の電位を卑にし、芯材に対
する犠牲陽極効果を確実にする。その結果、芯材の孔食
や隙間腐食を防止する。その含有量が上限値を越えると
自己耐食性、圧延加工性が劣化するとともにろう付時の
拡散が多くなり、犠牲陽極層が厚くなってしまう。これ
らの元素を微量添加した場合、Znの場合と異なり拡散
が速くないのでろう付け後の拡散層の厚さがろう付前の
犠牲陽極材の厚さより大巾に大きくなることはない。従
って、腐食代の厚さを任意に、かつ、小さく制御するこ
とができる。
Cr、Zr、Mnなどは本発明の効果を損わない範囲で
含まれてもよい。但し、Cu、Mnは多量に含まれると
犠牲陽極材の電位を貴にするので各々0.05%、0.
5%以下にするのが好ましい。Znは犠牲陽極材の電位
を卑にするが、多く含まれると、ろう付中に拡散して犠
牲陽極層が厚くなるので0.5%以下にするのが好まし
い。
〜13%のSiを含む合金が用いられる。真空ろう付の
場合はAl−Si−Mg系合金やAl−Si−Mg−B
i系合金などが用いられる。
する。
牲陽極材用合金、およびろう材用合金4343の鋳塊を
準備し、芯材用合金と犠牲陽極材用合金について均質化
処理を行った。そして、犠牲陽極材用合金およびろう材
用合金を熱間圧延して所定の厚さとし、これらと芯材用
合金の鋳塊とを組み合わせて熱間圧延し、クラッド材を
得た。その後、冷間圧延、中間焼鈍、冷間圧延により厚
さ0.23mmの板(H14材)を作製した。クラッド
の構成はろう材を0.025mm一定とし、犠牲陽極材
を0.025〜0.050mmとした。
すとおりである。
−1.2%Mn−1.5%Zn合金からなる厚さ0.1
0mmのコルゲートフィンを乗せ、窒素ガス中で弗化物
フラックスを用いてろう付を行った。ろう付温度(材料
温度)は600℃であった。ろう付後板材とフィンとの
接合状況を目視観察により、また、芯材および犠牲陽極
材の溶融状況を断面金属組織により調べた。
(フィンと接触させることなく)弗化物フラックスろう
付と同じ条件で加熱した後50℃/minおよび15℃
/minの速度で冷却し、引張試験と腐食試験を行っ
た。腐食試験の方法は、外面側(ろう材側)については
CASS試験、30日間とし、内面側(犠牲陽極材側)
についてはCl-100ppm、SO4 2-100ppm、
HCO3 -100ppm、Cu2+10ppmを含む水溶液
中に浸漬し、8hrの間88℃に加熱し、その後室温ま
で放冷しながら16hr放置するというサイクルを繰返
し、3ケ月間行った。
No.1〜17の場合、ろう付性は良好で、引張強さも1
7kgf/mm2以上と高く、最大腐食深さも小さい。
が少ないために引張強さが低い。
付時に局部溶融が生じている。
ないために引張強さが低い。
付時に局部溶融が生じている。
n、InあるいはGaが多いために、内面側の腐食深さ
が大きい。
を含まないために、内面側の腐食深さが大きい。
ために、内面側の腐食深さが大きい。
張強さが低く、No.28は芯材のMnが多いために健全
な板材が得られていない。
強さが低く、外面側の腐食深さが大きい。
付時に溶融が生じている。
張強さが低い。
付時に溶融が生じている。
引張強さが低い。
付不良が生じている。
な板材が得られていない。
引張強さが低く、外面側の腐食深さが大きい。
材は弗化物フラックスろう付用あるいは真空ろう付用材
料として、高強度、耐食性で、かつ、ろう付性が優れた
Al熱交換器用クラッド材である。これによって、チュ
ーブ材やヘッダープレート材を薄肉にすることができ、
ラジエータやヒータの軽量化が可能である。
す断面図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 芯材が、Mn:0.3〜2.0%(重量
%、以下同じ)、Cu:0.25〜0.8%、Si:
0.05〜1.0%、Mg:0.5%以下を含有し、残
部Alと不可避不純物からなるアルミニウム合金で構成
され、該芯材の片面に複合された犠牲陽極材がMg:
1.0〜2.5%、Si:0.05以上0.20%未満
を含有し、更に、In:0.2%以下、Sn:0.2%
以下、及びGa:0.2%以下の1種又は2種以上を含
有し、残部Alと不可避不純物からなるアルミニウム合
金で構成され、かつ、前記芯材の他の片面に複合された
皮材がAl−Si系合金のろう材で構成されたことを特
徴とする熱交換器用高強度高耐食性アルミニウム合金ク
ラッド材。 - 【請求項2】 芯材が、Mn:0.3〜2.0%、C
u:0.25〜0.8%、Si:0.05〜1.0%、
Mg:0.5%以下、Ti:0.35%以下を含有し、
残部Alと不可避不純物からなるアルミニウム合金で構
成され、該芯材の片面に複合された犠牲陽極材がMg:
1.0〜2.5%、Si:0.05以上0.20%未満
を含有し、更に、In:0.2%以下、Sn:0.2%
以下、及びGa:0.2%以下の1種又は2種以上を含
有し、残部Alと不可避不純物からなるアルミニウム合
金で構成され、かつ、前記芯材の他の片面に複合された
皮材がAl−Si系合金のろう材で構成されたことを特
徴とする熱交換器用高強度高耐食性アルミニウム合金ク
ラッド材。
Priority Applications (4)
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---|---|---|---|
JP4030648A JP2581868B2 (ja) | 1992-02-18 | 1992-02-18 | 熱交換器用高強度高耐食性アルミニウム合金クラッド材 |
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EP93102473A EP0556798B1 (en) | 1992-02-18 | 1993-02-17 | Clad aluminum alloy material having high-strength, high-corrosion resistance for heat exchanger |
DE69307553T DE69307553T2 (de) | 1992-02-18 | 1993-02-17 | Hochfester korrosionsbeständiger Werkstoff aus plattierter Aluminium-Legierung für einen Wärmetauscher |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP4030648A Expired - Fee Related JP2581868B2 (ja) | 1992-02-18 | 1992-02-18 | 熱交換器用高強度高耐食性アルミニウム合金クラッド材 |
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JPS63303027A (ja) * | 1987-06-01 | 1988-12-09 | Mitsubishi Alum Co Ltd | 熱交換器用アルミニウムプレ−ジングシ−ト |
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-
1992
- 1992-02-18 JP JP4030648A patent/JP2581868B2/ja not_active Expired - Fee Related
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