JP2579641B2 - Zn含有Al合金押出加工用ダイス - Google Patents
Zn含有Al合金押出加工用ダイスInfo
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- JP2579641B2 JP2579641B2 JP62229141A JP22914187A JP2579641B2 JP 2579641 B2 JP2579641 B2 JP 2579641B2 JP 62229141 A JP62229141 A JP 62229141A JP 22914187 A JP22914187 A JP 22914187A JP 2579641 B2 JP2579641 B2 JP 2579641B2
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- Japan
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- die
- steel
- alloy
- dies
- extruding
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Description
【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、例えばA7003、A7075合金のように比較的
高率にZnを含有するAl合金の押出加工用ダイスに関し、
特にその鋼材組成の改善に関するものである。
高率にZnを含有するAl合金の押出加工用ダイスに関し、
特にその鋼材組成の改善に関するものである。
なお、この明細書において「%」はいずれも重量基準
で示すものである。
で示すものである。
従来の技術 Al合金の熱間押出加工用ダイスとしては、熱間金型用
の合金工具鋼としてのSKD61、SKD62などが用いられてい
る。SKD61は、C:0.32〜0.42%、Si:0.80〜1.20%、Cr:
4.50〜5.50%、Mo:1.00〜1.50%、V:0.80〜1.20%、残
部実質的にFeからなるものであり、また、SKD62は、C:
0.32〜0.42%、Si:0.80〜1.20%、Cr:4.50〜5.50%、M
o:1.00〜1.50%、W:1.00〜1.50%、V:0.20〜0.60%、残
部実質的にFeからなるものである。
の合金工具鋼としてのSKD61、SKD62などが用いられてい
る。SKD61は、C:0.32〜0.42%、Si:0.80〜1.20%、Cr:
4.50〜5.50%、Mo:1.00〜1.50%、V:0.80〜1.20%、残
部実質的にFeからなるものであり、また、SKD62は、C:
0.32〜0.42%、Si:0.80〜1.20%、Cr:4.50〜5.50%、M
o:1.00〜1.50%、W:1.00〜1.50%、V:0.20〜0.60%、残
部実質的にFeからなるものである。
発明が解決しようとする問題点 ところが、押出加工対象のAl合金が、比較的高率に亜
鉛を含有するAl合金である場合、即ち例えば7000系のAl
−Zn−Mg合金であるような場合、該押出材料中に含まれ
るZnがダイス鋼材中に拡散し、該鋼材を脆化せしめるこ
とに起因して、ダイス寿命が短いものとなるという問題
点があった。例えば、7003合金を押出加工する場合、平
均的に製品0.5ton以下の押出しでダイスに破損を生じ、
このダイス寿命の短いことが押出材の製造上大きな障害
となっていた。
鉛を含有するAl合金である場合、即ち例えば7000系のAl
−Zn−Mg合金であるような場合、該押出材料中に含まれ
るZnがダイス鋼材中に拡散し、該鋼材を脆化せしめるこ
とに起因して、ダイス寿命が短いものとなるという問題
点があった。例えば、7003合金を押出加工する場合、平
均的に製品0.5ton以下の押出しでダイスに破損を生じ、
このダイス寿命の短いことが押出材の製造上大きな障害
となっていた。
この発明は、このような問題点を解決するため、ダイ
ス鋼を組成面から改善することを意図してなされたもの
である。
ス鋼を組成面から改善することを意図してなされたもの
である。
問題点を解決するための手段 この発明は、Znによるダイス鋼材の脆化防止に、Cr、
Siの添加が有効であることの知見から、ダイス鋼材中の
Cr、Siの含有量を増大せしめることによって所期目的を
達成したものである。
Siの添加が有効であることの知見から、ダイス鋼材中の
Cr、Siの含有量を増大せしめることによって所期目的を
達成したものである。
即ち、この発明は、 Cr:6.0〜20% Si:1.2%を超え3.0%以下 を含有し、かつ、 C :0.32〜0.42% Mo:1.00〜1.50% V :0.20〜1.20% W :1.00〜1.50% を含有し、残部実質的にFeの組成を有する鋼材からな
る、Zn含有Al合金押出加工用ダイスを要旨とする。
る、Zn含有Al合金押出加工用ダイスを要旨とする。
そこで、本発明ダイスの合金組成の限定事項について
次に説明する。
次に説明する。
Crは、本来ダイス鋼に必要な強度、耐摩耗性、耐酸化
性等を付与するためにその含有を必須とするものである
が、本発明においてCrは、Znによる鋼材の脆化を防止す
る作用を有し、この作用を良好に実現せしめるために
は、6〜20%の範囲での高率含有を必要とする。即ち、
Cr含有量が6%未満では、それによって上記耐Zn効果に
おいて不十分であり、20%を超えるとかえって鋼材の靭
性の低下をもたらし、ダイスの破損を招き易いものとな
る。次に説明するSiも同様ダイス鋼のZnによる脆化防止
に有効なものであるが、Znに対する耐性をCrによって得
ようとする場合、その最も好適な含有量の範囲は概ね10
〜15%程度である。
性等を付与するためにその含有を必須とするものである
が、本発明においてCrは、Znによる鋼材の脆化を防止す
る作用を有し、この作用を良好に実現せしめるために
は、6〜20%の範囲での高率含有を必要とする。即ち、
Cr含有量が6%未満では、それによって上記耐Zn効果に
おいて不十分であり、20%を超えるとかえって鋼材の靭
性の低下をもたらし、ダイスの破損を招き易いものとな
る。次に説明するSiも同様ダイス鋼のZnによる脆化防止
に有効なものであるが、Znに対する耐性をCrによって得
ようとする場合、その最も好適な含有量の範囲は概ね10
〜15%程度である。
Siは、これも熱間ダイス鋼として所要の耐摩耗性、切
削性、焼入れ性等の諸性質を付与するためにその含有を
必須とするものであるが、本発明においてSiは、ダイス
鋼をZnによる脆化から護る作用も有し、この作用を良好
に実現せしめるためには、1.2%を超え3.0%以下の含有
量とすることが必要である。即ち、Si含有量が1.2%以
下では、それによって上記耐Zn効果において不十分であ
り、3.0%を超えて多量に含有せしめると、ダイス鋼の
靭性の低下をもたらす。
削性、焼入れ性等の諸性質を付与するためにその含有を
必須とするものであるが、本発明においてSiは、ダイス
鋼をZnによる脆化から護る作用も有し、この作用を良好
に実現せしめるためには、1.2%を超え3.0%以下の含有
量とすることが必要である。即ち、Si含有量が1.2%以
下では、それによって上記耐Zn効果において不十分であ
り、3.0%を超えて多量に含有せしめると、ダイス鋼の
靭性の低下をもたらす。
Cは、焼入れ性を付与するために0.3%以上の含有量
を必要とするが、0.5%を超えると靭性の低下をもたら
すため好ましくない。
を必要とするが、0.5%を超えると靭性の低下をもたら
すため好ましくない。
Mo、V、Wは、炭素工具鋼の欠点を取除き、工具鋼と
して必要な焼入れ性、切削性、耐熱性、耐衝撃性、耐摩
耗性、不変形性、持久性などの諸性質を与えるために添
加される特殊元素である。これらの添加によって高温に
おけるダイス寿命の増大効果をもたらす。上記諸性質を
与えるためには、Mo:1.00%以上、V:0.20%以上、W:1.0
0%以上の含有を必要とするが、上限値としてMo:1.50
%、V:1.20%、W:1.50%をそれぞれ超えると一般的に、
粗大な金属間化合物が生じ強度低下を招くというような
欠点が派生する。これらの特殊元素の最も好適な含有範
囲を示せば、 Mo:1.1〜1.4% V :0.3〜0.5% W :1.1〜1.4% 程度である。
して必要な焼入れ性、切削性、耐熱性、耐衝撃性、耐摩
耗性、不変形性、持久性などの諸性質を与えるために添
加される特殊元素である。これらの添加によって高温に
おけるダイス寿命の増大効果をもたらす。上記諸性質を
与えるためには、Mo:1.00%以上、V:0.20%以上、W:1.0
0%以上の含有を必要とするが、上限値としてMo:1.50
%、V:1.20%、W:1.50%をそれぞれ超えると一般的に、
粗大な金属間化合物が生じ強度低下を招くというような
欠点が派生する。これらの特殊元素の最も好適な含有範
囲を示せば、 Mo:1.1〜1.4% V :0.3〜0.5% W :1.1〜1.4% 程度である。
その他、熱間金型用鋼材として通常不純物として含有
が許容されるMn:0.50%以下、Ni:0.25%以下、Co:0.5%
以下、P:0.03%以下、S:0.03%以下の含有は、この発明
においても許容されるものである。
が許容されるMn:0.50%以下、Ni:0.25%以下、Co:0.5%
以下、P:0.03%以下、S:0.03%以下の含有は、この発明
においても許容されるものである。
発明の効果 この発明に係るダイスは前記のように、従来のSKD6
1、SKD62等の一般的に用いられている熱間金型用鋼材に
較べ、CrおよびSiの含有量の増大された鋼材よりなるも
のであることにより、7000系のZnを含有するAl合金を押
出加工する場合において後記実施例に示されるようにZn
の拡散による脆化を防止し、ひいてはダイス寿命を増大
し、生産性の向上に資することができると共に、ダイス
の破損防止のためにその肉厚を徒らに厚くする必要性が
なくなる結果、コスト低減、ダイス製作の歩留り向上を
はかることができる。
1、SKD62等の一般的に用いられている熱間金型用鋼材に
較べ、CrおよびSiの含有量の増大された鋼材よりなるも
のであることにより、7000系のZnを含有するAl合金を押
出加工する場合において後記実施例に示されるようにZn
の拡散による脆化を防止し、ひいてはダイス寿命を増大
し、生産性の向上に資することができると共に、ダイス
の破損防止のためにその肉厚を徒らに厚くする必要性が
なくなる結果、コスト低減、ダイス製作の歩留り向上を
はかることができる。
実施例 下記第1表の化学組成を有する各種鋼材をもって、そ
れぞれAl合金押出用ダイスを製作した。該ダイスは、第
1図に示されるような中空型材(A)の押出用のものと
し、第2図に示すように雄型(1)と雌型(2)の組合
わせによるポートホール型のものとした。なお、型材
(A)の形状は高さH=55.6mm、幅W=27.3mm、高さ方
向の対向側壁の肉厚t1=2.7mm、残りの対向側壁の肉厚t
2=3.7mmの寸法を有する断面略長方形のものとした。
れぞれAl合金押出用ダイスを製作した。該ダイスは、第
1図に示されるような中空型材(A)の押出用のものと
し、第2図に示すように雄型(1)と雌型(2)の組合
わせによるポートホール型のものとした。なお、型材
(A)の形状は高さH=55.6mm、幅W=27.3mm、高さ方
向の対向側壁の肉厚t1=2.7mm、残りの対向側壁の肉厚t
2=3.7mmの寸法を有する断面略長方形のものとした。
上記の各種押出用ダイスを用いてA7003アルミニウム
合金を押出加工し、ダイス寿命を比較すると共に、各ダ
イスのシャルピー衝撃試験を行ってその結果を比較し
た。なお、上記押出条件は、ビレット径:7インチ、ビレ
ット温度:500℃、ラム速度:0.1mm/sec、ダイス温度:450
℃とした。また、ダイス寿命の評価は、ダイスが破損す
るまでの型材生産量で行い、ダイス寿命が2.1ton以下で
あるものを不合格とし、2.1tonを超えるものを合格とし
た。上記の試験結果を第2表に示す。
合金を押出加工し、ダイス寿命を比較すると共に、各ダ
イスのシャルピー衝撃試験を行ってその結果を比較し
た。なお、上記押出条件は、ビレット径:7インチ、ビレ
ット温度:500℃、ラム速度:0.1mm/sec、ダイス温度:450
℃とした。また、ダイス寿命の評価は、ダイスが破損す
るまでの型材生産量で行い、ダイス寿命が2.1ton以下で
あるものを不合格とし、2.1tonを超えるものを合格とし
た。上記の試験結果を第2表に示す。
上記第2表の結果から判るように、本発明によるダイ
スは、従来のSKD62製ダイス(試料No.1)に較べ、ダイ
ス寿命を十分に増大しうるものであった。また、試料N
o.6のようにCrを過多に含有し、あるいはまた試料No.7
のようにSiを過多に含有する場合には、いずれもダイス
鋼の靭性低下により早期破損するものであることが確認
された。また、試料No.2、No.3のようにSiを過少に含有
する場合には、ダイス寿命が不十分であった。
スは、従来のSKD62製ダイス(試料No.1)に較べ、ダイ
ス寿命を十分に増大しうるものであった。また、試料N
o.6のようにCrを過多に含有し、あるいはまた試料No.7
のようにSiを過多に含有する場合には、いずれもダイス
鋼の靭性低下により早期破損するものであることが確認
された。また、試料No.2、No.3のようにSiを過少に含有
する場合には、ダイス寿命が不十分であった。
第1図はこの発明の効果の確認のために行った押出試験
の押出材の形状を示す断面図、第2図はそれに用いた押
出用ダイスの断面図である。 (1)……雄型、(2)……雌型、(A)……押出型
材。
の押出材の形状を示す断面図、第2図はそれに用いた押
出用ダイスの断面図である。 (1)……雄型、(2)……雌型、(A)……押出型
材。
Claims (1)
- 【請求項1】Cr:6.0〜20% Si:1.2%を超え3.0%以下 を含有し、かつ、 C :0.32〜0.42% Mo:1.00〜1.50% V :0.20〜1.20% W :1.00〜1.50% を含有し、残部実質的にFeの組成を有する鋼材からな
る、Zn含有Al合金押出加工用ダイス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62229141A JP2579641B2 (ja) | 1987-09-11 | 1987-09-11 | Zn含有Al合金押出加工用ダイス |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62229141A JP2579641B2 (ja) | 1987-09-11 | 1987-09-11 | Zn含有Al合金押出加工用ダイス |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6473054A JPS6473054A (en) | 1989-03-17 |
JP2579641B2 true JP2579641B2 (ja) | 1997-02-05 |
Family
ID=16887407
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62229141A Expired - Lifetime JP2579641B2 (ja) | 1987-09-11 | 1987-09-11 | Zn含有Al合金押出加工用ダイス |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2579641B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE69406524T2 (de) * | 1993-12-01 | 1998-03-12 | Sumitomo Light Metal Ind | Strangpressmatrize zum Strangpressen von Hohlkörpern aus zinkhaltigen Aluminiumlegierungen |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5524931A (en) * | 1978-08-08 | 1980-02-22 | Hitachi Metals Ltd | Tool steel for hot processing |
JPS5579857A (en) * | 1978-12-14 | 1980-06-16 | Daido Steel Co Ltd | Alloy with superior molten zinc corrosion resistance |
-
1987
- 1987-09-11 JP JP62229141A patent/JP2579641B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6473054A (en) | 1989-03-17 |
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