JP2579340Y2 - ウオークイン機構付き縦型シートトラックの元位置復帰機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ウォークイン機構付き
縦型シ−トトラックの元位置復帰機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】シ−トトラックには実開昭６３−２６４
４３号公報および実開平３−７３２３０号公報に示され
ているように、形式上横型形式と縦型形式の２つの種類
のシ−トトラックがあり、またこれら両形式のシ−トト
ラックともウォークイン機構を備えたウォークイン機構
付きシ−トトラックがある。ウォークイン機構とは例え
ば２ドアの乗用車のフロントシートに配設されるもの
で、リアシートへの乗車時または同シートからの降車時
にフロントシートのシ−トバックを前倒しした場合に、
これと連動して作動してシ−トトラックを構成する可動
レールの固定レールに対するロックを解除し、フロント
シートを前方へ移動させてリアシートの乗員に対する乗
降を容易にすべく機能するものである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ところで、ウォークイ
ン機構付きシートトラックにおいては、乗員の乗降を容
易にするためにフロントシートを前方移動させるもので
あり、この場合乗員が乗車後にフロントシートが所定の
位置（元位置）へ確実に復帰させることができれば使い
勝手が非常に良い。このため、ウォークイン機構付き横
型シートトラックにおいては上記した実開昭６３−２６
４４３号公報に示されているように、元位置復帰機構を
備えた形式のものがある。しかしながら、上記した縦型
シートトラックにおいては元位置復帰機構を備えたもの
はなく、縦型シートトラックは特にロック機構が横型シ
ートトラックのロック機構とは構成上大きく相違するこ
とから、横型シートトラックの元位置復帰機構をそのま
ま縦型シートトラックの元位置復帰機構として採用する
ことは不可能である。従って、本考案の目的は、縦型シ
ートトラックにおける元位置復帰機構を提供することに
ある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案はウォークイン機
構付きシートトラックの元位置復帰機構に関するもの
で、車体フロアに固定される固定レールおよび同固定レ
ールに前後方向へ摺動可能に組付けられて一側面にてシ
ートを支持する可動レールを有するシートトラックと、
前記可動レールの一側面に配設されて同可動レールを前
記固定レールにロックして前記可動レールの摺動を規制
するとともに前記シートのシートバックの前倒しに連動
して前記可動レールのロックを解除して同可動レールを
前方へ摺動可能とするロック機構を備え、かつ、前記ロ
ック機構のロック解除動作に連動して動作し同ロック機
構の解除動作を保持して前記シートの前方への摺動を可
能とする保持手段と、前記固定レール側に設けられ前記
可動レールの前端位置から設定された元位置へ復帰した
前記保持手段の動作を解除して前記ロック機構をロック
動作させる保持解除手段を備えたウォークイン機構付き
縦型シートトラックにおいて、前記保持手段を、前記ロ
ック機構のロック解除ハンドルに回動可能に組付けられ
前記シートバックの前倒しに連動して一方向へ回動動作
する回動部材と、同回動部材に組付けられ同回動部材の
回動動作に連動して前進して前記可動レール側に係止さ
れて前記回動部材の回動動作を保持する係止部材と、前
記ロック解除ハンドルに固定され前記回動部材の一方向
への回動動作時にのみ同回動部材に係止されて同回動部
材を前記ロック解除ハンドルに連結する連結部材にて構
成し、かつ、前記保持解除手段を、前記固定レール側の
所定の部位に設けられ前記可動レールの元位置への摺動
復帰時に前進位置にある前記係止部材の先端部を押圧し
て前記可動レールに対する係止状態を解除する係止解除
部材にて構成したことを特徴とするものである。

【０００５】

【考案の作用・効果】このように構成した元位置復帰機
構においては、例えばフロントシート用のシートトラッ
クに配設される。しかして、当該フロントシートにおい
ては、シートバックを前倒しした場合にはシートバック
の動作に連動して可動レールの固定レールに対するロッ
クが解除され、フロントシートはヘルパスプリングの作
用により、または乗員により前方へ摺動される。この結
果、乗員のリアシートに対する乗車または同シートから
の降車が容易になる。この場合、元位置復帰機構におい
ては、保持手段を構成する回動部材がシートバックの前
倒しに連動して一方向へ回動動作して、回動部材は連結
部材を介して連結されるロック解除ハンドルを回動させ
てロック機構によるロックを解除するとともに、係止部
材を前進させて可動レール側に係止させる。これによ
り、回動部材、ロック解除ハンドルはその回動動作状態
を保持され、ロック機構のロック解除動作を保持する。

【０００６】また、このようなフロントシートのシート
バックを後方へ回動させて復帰させるとともに同シート
を後方へ摺動させて同シートが予め設定された元位置に
達すると、保持解除手段を構成する固定レール側に設け
た係止解除部材が可動レール側に係止状態にある係止部
材の先端部を押圧して、同係止部材を可動レール側から
離脱させる。これにより、回動部材、およびロック解除
ハンドルが回動復帰してロック機構のロックの解除保持
状態を解除する。この結果、ロック機構は可動レールの
固定レールに対するロック機能を回復して可動レールを
元位置にて固定レールにロックする。すなわち、フロン
トシートは元位置に確実に復帰する。しかして、元位置
復帰機構においては、保持手段の動作と、ロック解除ハ
ンドルの回動操作によるロック解除動作とを完全に切り
離しているため、ロック解除ハンドルの回動操作による
ロック解除をした際、保持手段が誤動作してロック解除
状態を保持するようなことがなく、また、ロック解除保
持を、ロック機構を構成するロック解除ハンドルの回動
を規制して行う構成のため、回動部材、係止部材の組付
けはロック解除ハンドル上であれば任意に部位でよく、
ロック機構の配設部位による規制はない。

【０００７】

【実施例】以下本考案の一実施例を図面に基づいて説明
するに、図１にはロック機構および本考案に係る元位置
復帰機構と一体のロック解除機構を備えたシ−トトラッ
クが示されている。当該シ−トトラック１０はフロント
シート用の縦型シ−トトラックであり、図１〜図４に示
されているように固定レール１１および可動レール１２
を備えている。固定レール１１は前後に設けた各ブラケ
ット１３ａ，１３ｂにて車体フロアに固定され、また可
動レール１２は固定レール１１に摺動可能に嵌合されて
いて、両レール１１，１２間に介在するローラ１４ａお
よびボール１４ｂの作用により前後方向へ円滑に摺動す
るように構成されている。

【０００８】可動レール１２の一側面には後部にヒンジ
プレート１５ａが固着されているとともに、ヒンジプレ
ート１５ａの一側面にはリアブラケット１５ｂが固着さ
れ、かつ可動レール１２の一側面の前部にはフロントブ
ラケット１５ｃが固着されている。ヒンジプレート１５
ａの後端部にはシートバックを構成する図示しないバッ
クフレームの下端部が前後方向へ回動可能に組付けら
れ、またリア、フロント両ブラケット１５ｂ，１５ｃに
はシートクッションが組付けられる。両レール１１，１
２においては図２および図３に示すように、固定レール
１１の下端部に多数の係合凹所１１ａが設けられてい
る。各係合凹所１１ａは固定レール１１の下端部に長手
方向に等間隔に位置している。また、可動レール１２の
下端部には１つの係合凹所１２ａが設けられている。こ
の係合凹所１２ａは、可動レール１２の前後方向への摺
動時に固定レール１１の各係合凹所１１ａに対向する部
位に位置している。

【０００９】ロック機構２０はシートトラックハンドル
２１およびトーションバー２２を備えたもので、ハンド
ル２１は本考案のロック解除ハンドルに該当し、可動レ
ール１２の一側面の略中央部に固着された支持ブラケッ
ト２３およびフロントブラケット１５ｃに回転可能に支
持されて、可動レール１２の一側面に沿って前後方向へ
延びている。トーションバー２２は略Ｌ字状に屈曲形成
されていて、先端が可動レール１２の一側面の前部に掛
止され、かつ屈曲部２２ａはハンドル２１の軸部を径方
向に貫通して支持ブラケット２３の下方の開口部２３ａ
を貫通している。トーションバー２２は図３および図４
の図示反時計方向へ捩られており、その屈曲部２３ａを
図３に示すように可動レール１２の係合凹所１２ａ、お
よび固定レール１１の多数の係合凹所１１ａのいずれか
に常に係合させている。なお、トーションバー２２の外
周にはロックレバーフック２４が固着されている。この
フック２４は本考案の連結部材に該当するもので、後述
するロック解除機構３０を構成する第１メモリフック３
１と係脱する。

【００１０】かかる構成のロック機構２０においては、
シ−トトラックハンドル２１を回動操作するとトーショ
ンバー２２が予め付与されている捩れ力に抗してさらに
捩られ、トーションバー２２の屈曲部２２ａが図３に示
す図示時計方向へ回動する。この結果、屈曲部２２ａは
図５（図４も合わせて参照）に示すように固定レール１
１の凹所１１ａの１つ，および回動レール１２の凹所１
２ａから離脱して可動レール１２の固定レール１１に対
するロックが解除され、可動レール１２は前後方向へ摺
動可能となる。この状態で可動レール１２はヘルパスプ
リング１６の付勢力により前方へ摺動する。なお、この
状態においては、第１メモリフック３１は回動されな
い。

【００１１】ロック解除機構３０は本考案の元位置復帰
機構を一体的に備えたもので、第１メモリフック３１、
第２メモリフック３２、スプリング３３、メモリプレー
ト３４、操作ケーブル３５および操作レバー３６を備え
ている。第１メモリフック３１は本考案の回動部材に該
当するもので、シートトラックハンドル２１の外周に回
転可能に組付けられた２つの腕部からなるもので、両腕
部はＬ字状を形成している。第２メモリフック３２は本
考案の係止部材に該当するもので、その下端部を第１メ
モリフック３１の上端部に回動可能に連結されており、
またスプリング３３はこれら両メモリフック３１，３２
に掛止されている。第２メモリフック３２はスプリング
３３により常に図示時計方向へ付勢されていて、その先
端部の端面３２ａが図１に示すように支持ブラケット２
３の上方の開口部２３ｂの開口縁部に当接している。

【００１２】メモリプレート３４は、本考案の係止解除
部材に該当する断面略Ｌ字状のもので、固定レール１１
の一側面の後部に固着されていて、その上面が固定レー
ル１１よりも可動レール１２の一側面側へ突出してい
る。メモリプレート３４の前端部は固定レール１１の略
中央部に位置しており、その上縁３４ａの前端面は前方
に向かって固定レール１１の一側面側へ漸次後退する傾
斜面３４ｂに形成されている。第２メモリフック３２の
先端端面３２ａはメモリプレート３４の上縁３４ａに対
向して位置している。

【００１３】操作レバー３６はフロントシートを構成す
るシートバックの一側に固着されている。また、操作ケ
ーブル３５においては、同ケーブル３５を構成するイン
ナワイヤが操作レバー３６と第１メモリフック３１とに
連結されていて、操作レバー３６の回動動作により第１
メモリフック３１を図３の図示時計方向へ回動するよう
になっている。第１メモリフック３１には係合突起３１
ａが突設されており、同フック３１の回動時には同突起
３１ａがロックレバーフック２４に係合して同フック２
４を同一方向へ回動させる。

【００１４】このように構成したロック機構２０および
ロック解除機構３０を備えたシ−トトラック１０におい
ては、常態においては可動レール１２がロック機構２０
により固定レール１１にロックされていて、図示しない
シートが前後方向の所望の位置に固定されている。この
状態でシ−トトラックハンドル２１を回動操作すると、
トーションバー２２の屈曲部２２ａが図３の図示時計方
向へ回動し、図４に示すように可動レール１２の係合凹
所１２ａおよび固定レール１１の係合凹所１１ａの１つ
から離脱する。これにより、可動レール１２は固定レー
ル１１に対するロックを解除されて前後方向へ摺動可能
となり、シートの前後方向の位置を所望の位置に調整す
ることができる。この場合には、ロック解除機構３０を
構成する第１メモリフック３１は回動されない。

【００１５】しかして、例えばリアシートの乗員が降車
すべくフロントシートのシ−トバックを前倒しすると、
操作レバー３６が回動して操作ケーブル３５のインナワ
イヤを伸張する。このため、第１メモリフック３１が図
３の図示時計方向へ回動し、これと同時にロックレバー
フック２４が第１メモリフック３１の係合突起３１ａに
係合して同フック３１と一体に回動する。この結果、第
２メモリフック３２が図５に示す状態から図６に示すよ
うに斜め上方へ移動して第２メモリフック３２が有する
爪部３２ｂが支持ブラケット２３の上方の開口部２３ｂ
の開口縁に係合し、かつ同メモリフック３２の先端面３
２ａがメモリープレート３４の上縁３４ａに当接してお
り、またシ−トバックの前倒し状態によりシ−トトラッ
クハンドル２１の図示反時計方向への回動が阻止されて
いる。このため、可動レール１２のロック機構２０によ
る固定レール１１に対するロック解除状態が保持され、
フロントシートはヘルパスプリング１６の作用により最
前方へ移動され、リアシートの乗員の降車を容易にす
る。

【００１６】また、最前方に位置しているフロントシー
トのシ−トバックを後方へ起立させると、操作レバー３
６は回動復帰して操作ケーブル３５のインナワイヤを弛
緩するが、第２メモリフック３２の爪部３２ｂが支持ブ
ラケツト２３の開口部２３ｂの開口縁に係合しているた
め第１メモリフック３１の回動復帰およびシ−トトラッ
クハンドル２１の回動復帰が阻止され、可動レール１２
の固定レール１１に対するロック解除状態がなお保持さ
れる。この間フロントシートを後方へ移動させることが
でき、同シートの後方への移動時には第２メモリフック
３２の先端面３２ａが固定レール１１の先端縁１１ｂに
摺接する。

【００１７】フロントシートが所定の位置まで移動され
ると第２メモリフック３２がメモリプレート３４の前端
部に達し、同メモリフック３２の先端面３２ａがメモリ
プレート３４の傾斜面３４ｂを経てその上縁３４ａに乗
り上げる。この結果、第２メモリフック３２は図７の２
点鎖線に示す状態から実線で示す状態に押動され、第２
メモリフック３２の爪部３２ｂが支持ブラケット２３の
開口部２３ｂの開口縁から離脱する。このため、第１メ
モリフック３１が回動復帰可能となり、トーションバー
２２の捩り力によりシ−トトラックハンドル２１が回動
復帰し、トーションバー２２の屈曲部２２ａが図３に示
すように可動レール１２の係合凹所１２ａと固定レール
１１の各係合凹所１１ａの１つに係合する。これによ
り、フロントシートは予め設定された位置に復帰して固
定される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係る元位置復帰機構を備え
たシ−トトラックの斜視図である。

【図２】同シ−トトラックを構成する固定レールと可動
レールの一部を示す斜視図である。

【図３】同元位置復帰機構を一体に備えたロック解除機
構の非作動時の正面図である。

【図４】同ロック解除機構の作動時の正面図である。

【図５】同シ−トトラックにおけるロック機構のロック
解除状態の要部を示す正面図である。

【図６】同ロック解除機構における元位置復帰機構の作
動時の要部を示す正面図である。

【図７】同ロック解除機構における元位置復帰機構の非
作動状態への移行時の要部を示す正面図である。

【符号の説明】

１０…シ−トトラック、１１…固定レール、１１ａ…係
合凹所、１１ｂ…先端縁、１２…可動レール、１２ａ…
係合凹所、２０…ロック機構、２１…シ−トトラックハ
ンドル、２２…トーションバー、２２ａ…屈曲部、２３
…支持ブラケット、２３ｂ…開口部、３０…ロック解除
機構、３１…第１メモリフック、３２…第２メモリフッ
ク、３２ａ…先端面、３２ｂ…爪部、３３…スプリン
グ、３４…メモリプレート、３４ａ…上縁、３４ｂ…傾
斜面、３５…操作ケーブル、３６…操作レバー。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車体フロアに固定される固定レールおよび
   同固定レールに前後方向へ摺動可能に組付けられて一側
   面にてシートを支持する可動レールを有するシートトラ
   ックと、前記可動レールの一側面に配設されて同可動レ
   ールを前記固定レールにロックして前記可動レールの摺
   動を規制するとともに前記シートのシートバックの前倒
   しに連動して前記可動レールのロックを解除して同可動
   レールを前方へ摺動可能とするロック機構を備え、か
   つ、前記ロック機構のロック解除動作に連動して動作し
   同ロック機構の解除動作を保持して前記シートの前方へ
   の摺動を可能とする保持手段と、前記固定レール側に設
   けられ前記可動レールの前端位置から設定された元位置
   へ摺動復帰した前記保持手段の動作を解除して前記ロッ
   ク機構をロック動作させる保持解除手段を備えたウォー
   クイン機構付き縦型シートトラックにおいて、前記保持
   手段を、前記ロック機構のロック解除ハンドルに回動可
   能に組付けられ前記シートバックの前倒しに連動して一
   方向へ回動動作する回動部材と、同回動部材に組付けら
   れ同回動部材の回動動作に連動して前進して前記可動レ
   ール側に係止されて前記回動部材の回動動作を保持する
   係止部材と、前記ロック解除ハンドルに固定され前記回
   動部材の一方向への回動動作時にのみ同回動部材に係止
   されて同回動部材を前記ロック解除ハンドルに連結する
   連結部材にて構成し、かつ、前記保持解除手段を、前記
   固定レール側の所定の部位に設けられ前記可動レールの
   元位置への摺動復帰時に前進位置にある前記係止部材の
   先端部を押圧して前記可動レールに対する係止状態を解
   除する係止解除部材にて構成したことを特徴とするウォ
   ークイン機構付き縦型シートトラックの元位置復帰機
   構。