JP2578912Y2 - 調光装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、舞台などの演出照明の
ために用いられる調光装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】劇場の舞台などでは、複数の照明灯を使
って、その明るさや色を変化させ、演出を行っている。
これらの演出には、記憶レベル再生装置と効果照明演出
装置などが用いられる。記憶レベル再生装置は、予め装
置を操作して作り出したシーンと呼ばれる複数の照明灯
などの照明負荷の明るさの組合わせ状態を１つの単位と
して、番号を付けてリハーサル時に複数記憶しておくこ
とができる。演出時には番号によって記憶されたシーン
を順次呼出し、再生することができる。また、記憶レベ
ル再生装置に記憶される各シーンは、チャネルと呼ばれ
る単位で、調光器を介して各照明負荷の明るさを制御す
るための調光レベルの組合わせ状態である。この調光レ
ベルは、演出を行うためのレベルで、演出レベルと称す
る。効果照明演出装置は、その各シーン内で、ろうそ
く、雷および光の移動などを、特殊な光の効果状態とし
て照明によって再現する。

【０００３】図８は、従来の調光装置の構成例で、記憶
レベル再生装置１と効果照明演出装置２とが別々の装置
で独立して動作する。この構成では、記憶レベル再生装
置１によって再生されたシーンと同期させて効果照明を
行う場合、操作者の判断に基づいて手動で効果照明の操
作を行っている。しかし、再生されたシーン毎に別々に
効果照明パターンを再生する場合、それに同期して対応
する効果照明を再生しなければならないので、その操作
照明のパターンが多くなると、手動による操作が繁雑に
なり、操作者にとって負担が大きい。

【０００４】このことを改善する方法としては、図９、
図１０および図１１に示すような従来の調光装置の構成
例がある。この調光装置は、記憶レベル再生装置３と効
果照明演出装置４とから構成され、記憶レベル再生装置
３はパターン信号および演出レベルの信号を効果照明演
出装置４に与えている。図１０は記憶レベル再生装置３
の概略的な電気的構成を示し、図１１は効果照明演出装
置４の概略的な電気的構成を示す。

【０００５】図１０において、記憶レベル再生装置３
は、記憶再生管理装置５、記憶演出レベルメモリ６、再
生レベル作成装置７および記憶再生計算装置８などから
構成される。記憶再生管理装置５は、記憶演出レベルメ
モリ６に記憶されている各シーンの個々の照明負荷の演
出レベルを管理し、演出すべきシーンの再生を行うこと
ができる。シーンの再生を行う場合、記憶再生管理装置
５から記憶演出レベルメモリ６にその指示が与えられ、
その指示によって記憶演出レベルメモリ６は、再生する
シーンの記憶演出レベルを記憶再生計算装置８へ与え
る。記憶再生計算装置８は、与えられた記憶演出レベル
と、再生レベル作成装置７において設定された再生する
ためのフェーダレベルなどの演出レベルとによって、実
際に再生を行うための照明負荷の調光レベルを算出す
る。また、記憶再生管理装置５は、再生するシーンに対
応した効果照明のパターンに対して番号を設け、そのパ
ターン番号を指示するためのパターン信号を効果照明演
出装置４へ与える。さらに、再生レベル作成装置７で設
定された演出レベルが効果照明演出装置４へ与えられ
る。

【０００６】図１１において、効果照明演出装置４は、
再生パターン管理装置９、効果演出データメモリ１０、
ステップ管理装置１１および効果照明演出計算装置１２
などから構成される。再生パターン管理装置９は、記憶
レベル再生装置３によって再生されるシーンに対応する
効果照明のパターンを管理しており、記憶再生管理装置
５からのパターン信号によって指示されるパターン番号
で効果演出データメモリ１０内のパターンを選択する。
ステップ管理装置１１は、各パターンを構成する単位と
なるステップ番号を順次発生させて管理している。効果
照明の演出は、何段階かの照明負荷の状態によって構成
され、その個々の状態はステップと呼ばれる。ステップ
は、その照明負荷の状態に対応して番号が付けられてい
る。任意のパターン番号の効果照明の再生を行う場合
は、再生パターン管理装置９からパターン番号が効果演
出データメモリ１０に与えられる。ステップ管理装置１
１からは、そのパターンを構成するステップの番号が効
果演出データメモリ１０に与えられる。効果演出データ
メモリ１０は、効果演出を行うための各ステップ毎の照
明負荷の調光レベルが、レベルデータとして予め記憶さ
れ、与えられたパターン番号とそのステップ番号とによ
って、対応するレベルデータが効果照明演出計算装置１
２に与えられる。効果照明演出計算装置１２は、効果演
出データメモリ１０からのレベルデータと、再生レベル
作成装置７からの演出レベルとによって、実際に再生を
行うための照明演出レベルを算出している。すなわち、
効果照明の演出レベルを、記憶レベル再生装置３の再生
レベルによって制御している。また、再生パターン管理
装置９は、ステップ管理装置１１にリセット信号を与え
ることによって、ステップ管理装置からのステップ番号
の供給を停止させることができる。このようにして、記
憶レベル再生装置３によって再生されるシーン毎に効果
照明を自動的に演出することができる。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】図９〜図１１に示され
る従来の記憶レベル再生装置３および効果照明演出装置
４において、効果照明演出装置４にパターン信号を与え
て効果照明を開始させるタイミングとしては、シーンの
開始時と、前のシーンの終了時とがある。

【０００８】図１２は、記憶レベル再生装置３からパタ
ーン信号を、シーンが開始されるときに効果照明演出装
置４へ与える場合のタイムチャートを示す。この図にお
いて、ｔ１はシーン開始時刻、ｔ２は効果照明動作開始
時刻、Ｔ１はパターン信号が入力されてから効果照明動
作が開始されるまでの準備に要する遅れ時間をそれぞれ
表す。また、Ｓ１〜Ｓ４は効果照明のステップ番号を表
し、Ｓ１〜Ｓ４の４ステップの繰返し動作を行う。各ス
テップの進行時間は、全てＴ２とする。この場合、シー
ン開始時ｔ１にパターン信号が与えられてから効果照明
が開始されるまでＴ１時間かかり、パターンの呼び出し
などにかなりの時間を要するため、効果照明の動作の開
始が遅れてしまう。

【０００９】図１３は、記憶レベル再生装置３からのパ
ターン信号を、前のシーンの終了時に、効果照明演出装
置４へ与えられる場合のタイムチャートを示す。この図
において、ｔ１は前のシーンの終了した時刻、ｔ２は次
のシーン開始時刻を示す。Ｔ１，Ｔ２およびＳ１〜Ｓ４
の記号の内容について、図１２図示の対応する記号の内
容と同一である。この場合、シーンが開始する時刻ｔ２
の前に、効果照明が開始されてしまう。以上のように、
記録レベル再生装置３によって再生されたシーンに同期
して、効果照明演出装置の演出を行うことは困難であ
り、シーン開始時に効果照明のステップ状態が不安定状
態になるという問題がある。

【００１０】本考案の目的は、再生されたシーン毎に同
期して、効果照明演出を自動的に行うことができる調光
装置を提供することである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本考案は、複数の照明負
荷について、予め設定される調光レベルをシーン毎に再
生し、各シーンで効果照明演出が可能な調光装置におい
て、先に再生すべきシーンの終了時に、次のシーンにお
ける効果照明演出の準備を開始し、準備完了後は待機状
態となる演出制御手段と、次のシーンの再生開始を検出
し、開始時に演出制御手段の待機状態を解除して、効果
照明演出も開始させる同期手段とを含むことを特徴とす
る調光装置である。

【００１２】

【作用】本考案に従えば、演出制御手段と、同期手段と
を含む調光装置が用いられる。演出制御手段は、先に再
生すべきシーンの終了時に、次のシーンにおける効果照
明演出の準備を開始し、準備完了後は待機状態となる。
同期手段は、次のシーンの再生開始を検出し、開始時に
演出制御手段の待機状態を解除して、効果照明演出を開
始させる。これによって、再生されたシーン毎に同期し
て、効果照明を自動的に演出することができる。

【００１３】

【実施例】図１は、本考案の一実施例の調光装置の電気
的構成を示すブロック図である。この調光装置は、記憶
レベル再生装置２１と、効果照明演出装置２２とから構
成され、記憶レベル再生装置２１から効果照明演出装置
２２へパターン信号と演出レベルとを与えている。

【００１４】図２は記憶レベル再生装置２１の概略的な
電気的構成を示すブロック図であり、図３は効果照明演
出装置４の概略的な電気的構成を示すブロック図であ
る。図２において、記憶レベル再生装置２１は、記憶再
生管理装置２５、記憶演出レベルメモリ２６、再生レベ
ル作成装置２７および記憶再生計算装置２８などから構
成される。記憶再生管理装置２５は、記憶演出レベルメ
モリ２６に記憶されている各シーンの個々の照明負荷の
演出レベルを管理し、演出すべきシーンの再生を行うこ
とができる。シーンの再生を行う場合、記憶再生管理装
置２５から記憶演出レベルメモリ２６にその指示が与え
られ、その指示によって記憶演出レベルメモリ２６は、
再生するシーンの記憶演出レベルの内容を記憶再生計算
装置２８へ供給する。記憶再生計算装置２８では、与え
られた記憶演出レベルと再生レベル作成装置２７におい
て設定された再生するためのフェーダレベルなどの演出
レベルとによって、実際に再生を行うための照明負荷の
演出レベルを算出する。また、記憶再生管理装置２５
は、再生するシーンに対応した効果照明のパターンに対
して番号を設け、そのパターン番号を指示するためのパ
ターン信号を効果照明演出装置２２へ与える。さらに、
再生レベル作成装置２７で設定された演出レベルが効果
照明演出装置２２へ与えられる。

【００１５】図３において、効果照明演出装置２２は、
再生パターン管理装置２９、効果演出データメモリ３
０、ステップ管理装置３１、効果照明演出計算装置３
２、規定のレベル発生回路３３および比較器３４などか
ら構成される。再生パターン管理装置２９は、記憶レベ
ル再生装置２１によって再生されるシーンに対応する効
果照明のパターンを管理しており、記憶再生管理装置２
５からのパターン信号によって指示されるパターン番号
でパターンを選択する。ステップ管理装置３１は、各パ
ターンを構成する単位となるステップ番号を順次発生さ
せて管理している。

【００１６】効果照明の再生を行う場合は、記憶レベル
再生装置２１からパターン信号が入力され、その信号に
同期して再生パターン管理装置２９からパターン番号が
効果演出データメモリ３０に与えられる。記録レベル再
生装置２１によるシーン再生時、記憶レベル再生装置２
１からそのシーンの演出レベルは、効果照明演出計算装
置３２と比較器３４とに入力される。比較器３４は、記
憶レベル再生装置２１からの演出レベルと、規定のレベ
ル発生回路３３で設定された規定レベルとを比較し、演
出レベルが規定のレベル以上になると、効果照明を開始
するタイミングと判断して、リセット信号を解除する。
比較器３４は、演出レベルが規定レベル未満のときは、
ステップ管理装置３１に対してリセット信号を与えてス
テップ動作を停止させるので、ステップ管理装置３１か
らステップ番号は出力されない。ステップ管理装置３１
のリセット信号が解除されると、ステップ動作が開始さ
れ、パターン信号を構成するステップの番号が、効果演
出データメモリ３０へ順次入力される。効果演出データ
メモリ３０には、効果演出を行うための照明負荷の各ス
テップ毎の照明負荷の演出レベルデータが予め記憶さ
れ、与えられたパターン信号とそのステップ番号とによ
って、対応するレベルデータが効果照明演出計算装置３
２に与えられる。効果照明演出計算装置３２は、効果演
出データメモリ３０からのレベルデータと、記憶レベル
再生装置２１からの演出レベルとによって、実際に再生
を行うための照明演出レベルを算出する。すなわち、効
果照明の演出レベルによって、記憶レベル再生装置２１
からの再生レベルを制御している。このようにして、記
憶レベル再生装置２１でのシーンの再生に同期して、ス
テップ管理装置３１からのステップ番号の供給が開始さ
れ、効果照明の演出を行うことができる。

【００１７】図４は、図１〜図３図示の調光装置におい
て、前のシーン終了時にパターン選択を行う効果照明の
ステップ動作のタイムチャートを示す。この図におい
て、ｔ１は前のシーンの終了時刻、ｔ１ａは効果照明準
備完了時刻、ｔ２は次のシーンの開始時刻をそれぞれ表
す。Ｔ１はパターン信号が入力されてから効果照明が準
備完了されるまでの遅れ時間、Ｔ１ａは効果照明開始の
待ち時間を表す。また、Ｓ１〜Ｓ４は効果照明のステッ
プ番号を表し、Ｓ１〜Ｓ４の４ステップの繰返し動作を
行う。各ステップの進行時間は、全てＴ２とする。この
場合、前のシーン終了時刻ｔ１にパターン選択を行い、
パターン信号が記憶レベル再生装置２１から出力され
る。パターン信号が入力されてからＴ１時間経過後、効
果照明準備完了時刻ｔ１ａとなる。ｔ１ａ時刻以後は、
効果照明開始の待機時間となり、ｔ１ａ時間からＴ１ａ
時間経過後の時刻ｔ２のシーン開始時に効果照明を同期
して開始する。この時刻ｔ２は、再生レベル作成装置７
の演出レベルが規定のレベル発生回路３３の規定レベル
に到達した時点である。したがって時刻ｔ２以後、記憶
レベル再生装置２１によって再生されるシーンに同期さ
せて、効果照明の演出を１ステップから起動することが
できる。

【００１８】図５、図６および図７は、本考案の他の実
施例の調光装置の電気的構成を示すブロック図である。
この調光装置は、記憶レベル再生装置４１と、効果照明
演出装置４２とから構成され、記憶レベル再生装置４１
から効果照明演出装置４２へパターン信号、演出レベル
およびリセット信号を与えている。図６は記憶レベル再
生装置４１の概略的な電気的構成を示すブロック図であ
り、図７は効果照明演出装置４２の概略的な電気的構成
を示すブロック図である。この実施例は、前述の実施例
に類似し、図２および図３と対応する部分には同一の参
照符を付す。ここで、注目すべきは、前述の実施例では
規定のレベル発生回路３３および比較器３４を効果照明
演出装置２２に設けていたが、この実施例では、それを
記憶レベル再生装置４１に設けている点である。したが
って、調光装置全体から見た場合は、基本的な構成およ
び処理内容は同一である。また、記憶レベル再生装置と
効果照明演出装置とを、一体となった装置としてもよい
のは、勿論である。

【００１９】

【考案の効果】以上のように本考案によれば、調光装置
において、先に再生すべきシーンの終了時に、次のシー
ンにおける効果照明演出の準備を開始し、準備完了後は
待機状態となり、次のシーンの再生開始を検出し、開始
時にその待機状態を解除して、効果照明演出を自動的に
開始することができる。したがって、シーンの再生開始
時に同期して、効果照明演出を確実に開始させることが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の調光装置の電気的構成を示
すブロック図である。

【図２】図１図示の記憶レベル再生装置の概略的な電気
的構成を示すブロック図である。

【図３】図１図示の効果照明演出装置の概略的な電気的
構成を示すブロック図である。

【図４】図１〜図３図示の調光装置において、前のシー
ン終了時にパターン選択を行い、シーン再生に同期した
効果照明のステップ動作を示すタイムチャートである。

【図５】本考案の他の実施例の調光装置の電気的構成を
示すブロック図である。

【図６】図５図示の記憶レベル再生装置の概略的な電気
的構成を示すブロック図である。

【図７】図５図示の効果照明演出装置の概略的な電気的
構成を示すブロック図である。

【図８】従来の調光装置の構成例を示す図である。

【図９】従来の調光装置の他の構成例を示す図である。

【図１０】図９図示の記憶レベル再生装置の概略的な電
気的構成を示す図である。

【図１１】図９図示の効果照明演出装置の概略的な電気
的構成を示す図である。

【図１２】記憶レベル再生装置からパターン信号を、シ
ーン開始時に効果照明演出装置へ与える場合を示すタイ
ムチャートである。

【図１３】記憶レベル再生装置からパターン信号を、前
のシーンの終了時に、効果照明演出装置へ与える場合を
示すタイムチャートである。

【符号の説明】

２１ 記憶レベル再生装置 ２２ 効果照明演出装置 ２５ 記憶再生管理装置 ２６ 記憶演出レベルメモリ ２７ 再生レベル作成装置 ２８ 記憶再生計算装置 ２９ 再生パターン管理装置 ３０ 効果演出データメモリ ３１ ステップ管理装置 ３２ 効果照明演出計算装置 ３３ 規定のレベル発生回路 ３４ 比較器

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の照明負荷について、予め設定され
   る調光レベルをシーン毎に再生し、各シーンで効果照明
   演出が可能な調光装置において、 先に再生すべきシーンの終了時に、次のシーンにおける
   効果照明演出の準備を開始し、準備完了後は待機状態と
   なる演出制御手段と、 次のシーンの再生開始を検出し、開始時に演出制御手段
   の待機状態を解除して、効果照明演出も開始させる同期
   手段とを含むことを特徴とする調光装置。