JP2574725B2 - エンジンのトルク変動制御装置 - Google Patents

エンジンのトルク変動制御装置

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JP2574725B2
JP2574725B2 JP24052187A JP24052187A JP2574725B2 JP 2574725 B2 JP2574725 B2 JP 2574725B2 JP 24052187 A JP24052187 A JP 24052187A JP 24052187 A JP24052187 A JP 24052187A JP 2574725 B2 JP2574725 B2 JP 2574725B2
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博之 小田
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はエンジンのトルク変動制御装置、特にエンジ
ン出力軸にそのトルク変動に同期させてトルクを与える
電気駆動手段を備えたトルク変動制御装置に関する。
(従来の技術) 例えば、特公昭61−54949号公報によれば、エンジン
出力軸に設けられた回転界時極と、その内、外周に配設
されたフィールドコイルおよびステータコイル等とで構
成される始動充電装置が示されている。この装置によれ
ば、上記フィールドコイルに通電することにより回転界
磁極を所定の極性で励磁する一方、該回転界磁極の磁界
に対して所定の位相を有する回転磁界が形成されるよう
に上記ステータコイルにエンジン出力軸の回転に同期し
て電流を通電すれば、上記回転界磁極が回転磁界から連
続的に磁力を受けることにより、該回転界磁極が設けら
れたエンジン出力軸にトルクが与えられて、エンジンを
始動させることができ、またエンジン始動後に上記ステ
ータコイルに対する通電を停止すれば、励磁された回転
界磁極の作用で該ステータコイルに誘導起電力が発生す
ることにより、バッテリを充電することができるのであ
る。
また、この装置を用いてエンジン出力軸に発生する周
期的なトルク変動を抑制することもできる。つまり、ト
ルク変動によりエンジン出力軸のトルクが減少する時に
は、上記の始動装置としての使用時と同様の制御で該エ
ンジン出力軸にその回転方向のトルクを付与し、またト
ルクが増大する時には、上記の充電装置としての使用時
と同様の制御でエンジン出力軸に発電負荷を与えること
により、該出力軸のトルクを平滑化することができるの
である。
(発明が解決しようとする問題点) ところで、上記の装置により、エンジンの始動やトル
ク変動の制御を行う場合、ステータコイルに対する通電
制御のタイミングをエンジン出力軸の回転角に対して正
しく対応させることが重要である。つまり、始動制御に
おいて、エンジン出力軸にその回転方向のトルクを効率
良く与えるためには、該出力軸と一体回転する回転界磁
極とこれに磁力を作用させる回転磁界との相対位相が所
定方向に最も大きな磁力を発生させる状態にあることが
必要で、そのためにはステータコイルに通電する電流の
位相が回転界磁極の位相ないしエンジン出力軸の回転角
に対して所定の関係で正しく対応していなければならな
い。
また、トルク変動制御においては、エンジン出力軸に
対するトルクの付与と発電負荷の付与とを該出力軸のト
ルク変動に対して正しく同期させて行わなければならな
いが、そのためにはステータコイルに対する通電時期
(トルク付与時)と通電停止時期(発電負荷付与時)の
切換制御がエンジン出力軸の回転角に対して正確に対応
して行わなければならず、特に通電時期においては、上
記の始動制御時と同様の理由で、通電電流の位相がエン
ジン出力軸の回転角に正しく対応している必要がある。
そこで、この種の装置を用いて始動制御やトルク変動
制御等を行う場合には、エンジン出力軸の回転角を検出
するセンサを備え、このセンサの出力信号に基いてステ
ータコイルに対する通電電流の制御を行うのであるが、
その場合、エンジン始動時に次のような問題が発生す
る。
つまり、上記センサは、エンジン出力軸が回転してい
る時には該出力軸の回転角を検出することができるが、
エンジン停止中には出力軸がどの位置で停止しているか
を検出することができない。そのため、エンジン始動時
にエンジン出力軸にトルクを付与すべくステータコイル
に電流を供給しようとしても、エンジン出力軸に設けら
れた回転界磁極の位相が不明であるから、上記ステータ
コイルに対する定電電流を回転界磁極に対して最適の位
相に設定することができず、場合によっては、ステータ
コイルによって形成される回転磁界が回転界磁極に対し
てエンジン出力軸の回転方向と逆方向の磁力を作用さ
せ、エンジンを作動できないといった場合が生じ得る。
この問題に対しては、エンジン出力軸もしくは該出力
軸に設けられた回転界磁極の周囲に極く小さなピッチで
多数のセンサを配設し、始動時にいずれのセンサが信号
を出力するかによって該エンジン出力軸の回転角もしく
は回転界磁極の位相を検出することが考えられるが、こ
れはセンサの配設スペースやコスト等の面で実現は極め
て困難である。
そこで、本発明は、エンジンの始動時に、多数のセン
サを用いることなく、エンジン出力軸の回転角もしくは
回転界磁極の位相を容易に検出し得るようにして、始動
時におけるエンジン出力軸に対するトルクの付与制御
を、コストの上昇等を招くことなく、正しく行い得るよ
うにすることを目的とする。
(問題点を解決するための手段) 即ち、本発明は、エンジン出力軸に設けられた回転磁
界磁極と、通電時に該回転界磁極に磁力を作用させるス
テータコイルとを有し、上記エンジン出力軸の回転角に
同期して作動し該出力軸にトルクを与える電気駆動手段
を備えたエンジンのトルク変動制御装置において、上記
電気駆動手段によりエンジン出力軸に与えられるトルク
を検出するトルク検出手段と、電気駆動手段のステータ
コイルに通電する電流の位相を変化させる位相可変手段
とを設けると共に、エンジン始動時に、上記位相可変手
段により位相を変化させながらステータコイルに電流を
通電して、上記トルク検出手段により検出されるトルク
が最大値となった時に、エンジン出力軸の回転角をイニ
シャルセットする制御手段とを備えたことを特徴とす
る。
(作用) 上記の構成によれば、エンジン始動時に、制御手段に
より位相可変手段を作動させて位相を変化させながらス
テータコイルに電流を通電すれば、該ステータコイルに
よって形成される回転磁界の位相がエンジン出力軸に設
けられた回転界磁極の位相に対して変化することにな
り、これに伴って該回転界磁極に作用する磁力の大き
さ、即ちエンジン出力軸に与えられるトルクの大きさも
変化することになる。そして、このトルクがトルク検出
手段により検出され、その値が最大値となった時に、上
記制御手段がエンジン出力軸の回転角をイニシャルセツ
トすることにより、該回転角とステータコイルへの通電
電流の位相とが対応づけられることになる。従って、そ
れ以後は、この回転角に基いてステータコイルに対する
通電制御を行うことにより、エンジン出力軸に連続的に
トルクを与えてエンジンを始動させることができ、また
エンジンの始動後におけるトルク変動制御もエンジン出
力軸の回転角に応じて正しく行い得るようになる。
(実 施 例) 以下、本発明の実施例について説明する。
先ず、第1図により本実施例に係るトルク変動制御装
置の構造を説明すると、この装置1は、エンジン本体2
の端面から突出するクランク軸3に取り付けられたフラ
イホイール4を利用して構成され、該フライホイール4
の外周部に設けられた回転界磁極5と、その内、外周に
夫々配設されたフィールドコイル6及びステータコイル
7とを有する。
上記回転界磁極5は、第2図に示すように、フライホ
イール4の外周部に一定間隔を隔てて一体形成されて、
エンジン本体2側を向く多数の爪8a…8aを有する第1ポ
ールコア8と、該ポールコア8の各爪8a…8a間に夫々位
置し且つはエンジン本体2側を向く多数の爪9a…9aを有
する第2ポールコア9と、これらのポールコア8,9を両
者の爪8a…8a,9a…9aの先端部内側で結合する非磁性体
リング10とで構成されている。また、上記フィールドコ
イル6は、エンジン本体2の端面に磁界を遮断するアル
ミ製プレート11を介して固着されたフィールドコア12に
導線を巻付けた構成で、外周面が上記回転界磁極5(第
1,第2ポールコア8,9)の内周面に近接して対向するよ
うに、上記フライホイール4の外周部エンジン本体2側
に設けられた凹陥部4a内に収納されている。ここで、上
記フィールドコア12とフライホイール4および回転界磁
極5との各対向面間には微小な間隙が設けられている。
更に、上記ステータコイル7は、多数の鋼板の積層体で
なるリング状のステータコア13に導線を巻付けた構成
で、内周面が上記回転磁界極5の外周面に近接して対向
するように、上記ステータコア13がエンジン本体2とク
ラッチハウジング14との間に挾持されたリング状枠体15
に固着されている。ここで、このステータコイル7は、
第3図に示すようにステータコア13の内周側に一定間隔
で多数設けられたスリット13a…13aに導数を3相に分布
巻きすることにより3相コイルを構成している。
尚、第1図に示すように、上記フライホイール4の反
エンジン本体2側にはクランク軸3と変速機入力軸16と
を断接するクラッチ17が配設され、また上記フィールド
コイル6の内部及びステータコイル7の外周部両側には
これらのコイル6,7を夫々冷却する冷却水パイプ18,19,1
9が設けられている。
次に、第4図により上記トルク変動制御装置1の制御
システムを説明すると、このシステムは、コントロール
ユニット21と、上記フィールドコイル6に対する通電を
制御するフィールドコントローラ22と、上記ステータコ
イル7に対する通電を制御するインバータ23とを有し、
キースイッチ24をIG位置に操作した時及びST(始動)位
置に操作した時に、バッテリ25から上記コントロールユ
ニット21が直接、またフィールドコントローラ22及びイ
ンバータ23がリレー26を介して夫々給電されるようにな
っている。
上記インバータ23は、第5図に示すようにバッテリ25
の+側と−側との間に3つの電流制御回路231,232,233
を設けると共に、これらの回路231,232,233に各2個づ
つ直列に合計6個のスイッチング素子S1〜S6を設置し、
且つ各スイッチング素子S1〜S6に並列にバッテリ25の+
側に向って電流を通過させるダイオードD1〜D6を設置し
た構成で、上記各回路231,232,233における各2個のス
イッチング素子の間に上記ステータコイル7における3
相をなす第1,第2,第3コイル71,72,73が夫々接続されて
いる。そして、上記各スイッチング素子S1〜S6をパルス
信号によって断続的にON,OFFさせることによりステータ
コイル7に3相交流を供給するようになっており、その
場合に、上記パルス信号による各スイッチング素子S1
S6のON,OFF動作タイミングにより3相交流の位相を制御
することができ、またパルス信号のパルス幅変調により
3相交流の電流値を制御することができるようになって
いる。更に、スイッチング素子S1〜S6をOFFにした状態
でステータコイル7の第1〜第3コイル71,72,73に誘導
起電力を発生させれば、上記各ダイオードD1〜D6によっ
て整流された電流がバッテリ25側に取り出され、該バッ
テリ25を充電する充電装置として作動させることができ
るようになっている。
また、上記コントロールユニット21は、第4図に示す
ようにクランク軸3の基準位置からの回転角(クランク
角)を検出するクランク角センサ27からアンプ28を介し
て出力されるクランク角信号aと、上記キースイッチ24
をST位置に操作した時に該スイッチ24から出力される始
動信号bとを入力するようになっている。そして、該コ
ントロールユニット21は、上記始動信号bを入力した時
に、クランク軸3に始動のためのトルクを与える始動制
御を行い、また始動後においては上記クランク角信号a
に基いてクランク軸3のトルク変動を抑制するトルク変
動制御を行うようになっているが、これらの制御に先立
って、エンジン始動時にクランク軸3のイニシャルセッ
トの制御を行うようになっている。
次に、このイニシャルセット制御の具体的動作を第6
図のフローチャートに従って説明する。
先ず、キースイッチ24がST位置に操作されて、コント
ロールユニット21、フィールドコントローラ22及びイン
バータ23に対する給電が開始され、且つコントロールユ
ニット21に始動信号bが入力されると、該コントロール
ユニット21はフローチャートのステップP1からステップ
P2を実行して、フィールドコントローラ22に通電信号c
を出力することにより、該コントローラ22からフィール
ドコイル6に所定の電流値のフィールド電流(直流)を
供給させて、該コイル6により回転界磁極5を励磁させ
る。次いで、コントロールユニット21は、ステップP3
インバータ23の各スイッチング素子S1〜S6に制御信号
(パルス信号)d1〜d6を出力して、該インバータ23から
ステータコイル7にステータ電流(3相交流)を供給さ
せる。この時、コントロールユニット21は、上記各スイ
ッチング素子S1〜S6のON,OFF動作タイミングを変化させ
ることにより、第7図に示すように所定の極性で励磁さ
れた回転界磁極5の各ポール(第2図に示す爪)8a…8
a,9a…9aに対するステータ電流の位相を連続的に変化さ
せるように上記制御信号d1〜d6を出力する。そのため、
このステータ電流によって形成される回転磁界の回転界
磁極5(各ポール8a…8a,9a…9a)に対する位相が変化
して、該回転磁界により回転界磁極5の各ポール8a…8
a,9a…9aに作用する磁力の大きさが変化することにな
る。尚、第7図においては、簡素化のため3相交流であ
るステータ電流の1相のみを示し、またこれに対応させ
て各ポール8a…8a,9a…9aを3個に1個の割合で記載し
ている。
次に、コントロールユニット21は、ステップP4でクラ
ンク角信号aに基いてクランク軸3が回転したか否かを
判定し、回転した時に更にステップP5で上記信号aに基
いて算出される回転角加速度が最大値となったか否かを
判定する。この最大値は、上記フィールドコイル6に通
電しているフィールド電流の電流値と、ステータコイル
7に通電しているステータ電流の電流値に基いて算出さ
れる磁力の最大値に対応する値であり、従って回転角加
速度が最大値となったか否かの判定は、上記磁力に基い
てクランク軸3に与えられるトルクが最大値となったか
否かの判定に相当する。そして、ステータ電流の回転界
磁極5(ポール8a…8a,9a…9a)に対する位相が第7図
に実線で示すような関係、即ち正弦波の極大、極小値が
各ポール8a…8a,9a…9aに対応位置した時にクランク軸
3の回転角加速度ないしトルクが最大値となる。
そして、コントロールユニット21は、上記ステップP3
によるステータ電流の位相を変化させる制御を行いなが
ら回転角加速度の値をその都度算出し、これが最大値と
なった時、つまり第7図に実線で示す関係となった時
に、ステップP6でステータ電流に対するクランク角のイ
ニシャルセットを行う。
これにより、クランク角ないし回転界磁極5の位相と
ステータ電流との位相が対応づけられ、従って、以後、
クランク軸3の回転速度とステータ電流の周波数とを対
応させることにより、クランク軸3に最大のトルクが与
えられる状態が保持されて、エンジンが確実且つ効率良
く始動されることになり、また始動後においては、クラ
ンク軸3にトルク変動に同期してトルクと発電負荷とを
交互に付与することによるトルク変動抑制制御が正しく
行われることになる。
(発明の効果) 以上のように本発明によれば、エンジン出力軸に設け
られた回転界磁極と、通電時に該回転界磁極に磁力を作
用させるステータコイルとを有し、上記エンジン出力軸
の回転角に同期して作動して該出力軸にトルクを与える
電気駆動手段を備えたエンジンのトルク変動制御装置に
おいて、始動時に上記エンジン出力軸の回転角もしくは
回転界磁極の位相を、多数のセンサを用いることなく検
出することができて、回転界磁極の位相に対するステー
タ電流の位相を所定の関係に精度良く制御することが可
能となる。これにより、コストの上昇等を招くことな
く、エンジンの始動制御ないしトルク変動制御を確実且
つ効率良く行い得るようになる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の実施例を示すもので、第1,2図はトルク
変動制御装置の縦断面図及び斜視図、第3図は該装置に
おけるステータコイルの概略図、第4図は該装置のシス
テム図、第5図は第4図におけるインバータの構成を示
す回路図、第6図はイニシャルセット制御の動作を示す
フローチャート図、第7図は作用を説明する概略図であ
る。 1……トルク変動制御装置、3……エンジン出力軸(ク
ランク軸)、5……回転界磁極、7……ステータコイ
ル、21……制御手段(コントロールユニット)、23……
位相可変手段(インバータ)、27……トルク検出手段
(クランク角センサ)。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジン出力軸に設けられた回転磁界磁極
    と、通電時に該回転界磁極に磁力を作用させるステータ
    コイルとを有し、上記エンジン出力軸の回転角に同期し
    て作動し該出力軸にトルクを与える電気駆動手段を備え
    たエンジンのトルク変動制御装置であって、上記電気駆
    動手段によりエンジン出力軸に与えられるトルクを検出
    するトルク検出手段と、電気駆動手段のステータコイル
    に通電する電流の位相を変化させる位相可変手段と、エ
    ンジン始動時に該位相可変手段により位相を変化させな
    がらステータコイルに電流を通電して、上記トルク検出
    手段により検出されるトルクが最大値となった時にエン
    ジン出力軸の回転角をイニシャルセットする制御手段と
    が設けられていることを特徴とするエンジンのトルク変
    動制御装置。
JP24052187A 1987-09-24 1987-09-24 エンジンのトルク変動制御装置 Expired - Lifetime JP2574725B2 (ja)

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