JP2574502B2 - 可溶性ココア製品の製造方法 - Google Patents

可溶性ココア製品の製造方法

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JP2574502B2 JP2062821A JP6282190A JP2574502B2 JP 2574502 B2 JP2574502 B2 JP 2574502B2 JP 2062821 A JP2062821 A JP 2062821A JP 6282190 A JP6282190 A JP 6282190A JP 2574502 B2 JP2574502 B2 JP 2574502B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は改良された特性を有する可溶性ココア製品の
製造プロセスに関する。
ココアの風味を有する飲料を作る為のインスタント粉
末のような、可溶性ココア製品を製造する為の公知のプ
ロセスは今のところ不満足なものである。従って作られ
た製品は、官能特性及び調和に関して欠点を呈する。飲
料として、これらは、例えば、不溶粒子が存在すると共
に表面に脂肪浮遊物が存在する不安定な溶液をもたら
す。その他、公知のプロセスは通常不満足な収率をもた
らす。可溶性ココア製品は通常、ココアニブ（nibs）、
ココア粉末のようなココア材料を抽出することにより作
られる。
米国特許第3,615,659号は、チョコレート風味飲料を
製造する為のプロセスを開示する。このプロセスは、 80℃未満の温度で水によりココアを抽出する工程と、 抽出物を110乃至130℃に加熱する工程と、 続いて不溶性物質を沈殿させる為に20乃至５℃に冷却
する工程と、 不溶性物質を分離すると共に飲料を殺菌する工程と、 を具備する。
このプロセスによれば、収率を増加させる為に澱粉分
解酵素がココアと水の混合物に添加される。
上記米国特許第3,615,659号によるプロセスの欠点の
第１は、開始材料の脂肪が、その溶解性挙動により、可
溶性ココア成分の十分な抽出を妨害し、製品の調和に悪
影響を及ぼすということである。
この為、本発明は、矯正可能な程度を考慮し、水によ
るココア粉末の抽出及び引続く抽出物の濃縮に基づき、
改良された官能特性及び／または利用に最適な改良され
た特性を有する可溶性ココア製品の製造プロセスを提供
することを目的とする。
上記目的を達成する為、本発明のプロセスは、水によ
る抽出に先立ち、ココア粉末がアルコール、特にエタノ
ールによる抽出を受け、残留物が水抽出の為の初期生成
物とされる。水による抽出は、先ずココア粉末から脂肪
を除去する。これとは別に、ココア粉末中に含有される
テオブロミンの僅か一部分及び少量の未確認ココア物質
がアルコール相に移される。
アルコールのタイプ、抽出時間及び温度に依存して、
脂肪及びテオブロミンの抽出はある範囲で変化可能であ
る。抽出の為にエタノールを使用すること、高温を適用
すること、及び２つの連続する工程でアルコールにより
抽出すること、が非常に有利であることが立証された。
アルコールによる処理は、望ましくは60乃至80℃の範囲
の温度で実行される。このようにすると、脂肪はココア
粉末から事実上完全に除去される。
アルコールに不溶性の残留物は残留アルコールから分
離される。これは望ましくは乾燥によりなされる。次
に、上記残留物は、望ましくは約90℃の温度で水により
抽出される。
本プロセスの他の特徴は、請求の範囲の従属項に開示
される。２抽出工程の使用は、水による抽出にも非常に
有利であることが立証されており、例えば、抽出された
ココア成分のシェアが増大する。
請求項７及び８に記載される特徴は特に実際上重要で
ある。これらの請求項によれば、アルコール抽出の残留
物は先ず酵素処理を受ける。望ましくは、アミログルコ
シダーゼのような澱粉分解酵素が使用される。従って、
澱粉は水溶性分解生成物に分解される。次の水による抽
出において、これらの生成物は水抽出物中を通過し、上
記抽出物が、酵素的に処理されなかったココア粉末の水
抽出物に比較して水溶性物質の増大したシェアを含有す
るようになる。
洗浄及び濃縮後、本発明に従って作られたココア粉末
からの含水抽出物は、飲料、菓子等を作る為の水溶性ベ
ース物質として使用される。上記親物質は液体状若しく
は乾燥後にまた粉末状となる。
不溶成分は、望ましくはセパレータ内で含水抽出物か
ら分離される。濃縮の為、真空中での水の蒸発が適当
で、また粉末を作る為の濃縮物乾燥は、例えば冷凍乾燥
により実施可能となる。水抽出から得られる固体残留物
は主に、60％の水含有量を有するセルロースからなる。
その他、これは不溶性ココア成分を含有する。このセル
ロースリッチ残留物は乾燥され、食物繊維が豊富なココ
ア及びチョコレート製品を作る為の繊維リッチ材料とし
て使用可能となる。
従来技術と比較して本発明に係るプロセスの利点は、
高収率で、ココア粉末からなる水溶性ココア製品を製造
することを保証し、ここで、上記ココア製品は優れた官
能特性及び利用の為に最適な優れた特性を有する。
第１図は本発明に係るプロセスを示すダイアグラムで
ある。
このダイアグラムによれば、開始材料ココア粉末、望
ましくは、脂肪含有量が10乃至12％で、粒子寸法が15乃
至30μｍの高脱油分ココア粉末は、アルコールと、望ま
しくは、エタノールと混合される。混合物の濃度は60乃
至80℃、特に70℃に維持される。高温で約30分間この混
合物を攪拌すると良好な結果が得られる。次に、上澄み
液アルコール相がデカンタ内で分離される。抽出の効率
は、もしアルコール抽出の残留物がアルコールによる第
２の抽出を受けると増加可能となる。これにより得られ
る残留物は、これを乾燥する（もし必要であれば真空中
で）ことにより、残留アルコールから分離される。アル
コール抽出物はアルコール、テオブロミン及び／または
脂肪を回収する為に更に処理される。アルコールは蒸留
により回収され、次に別の抽出に使用可能となる。上記
アルコール分離残留物が乾燥された後、これは酵素処理
を受けることができ、これにより次続の水抽出の効率が
増加可能となる。望ましくは、酵素処理は、酵素の特定
条件下（含水物水溶液、温度約70℃）において、酵素ア
ミログルコシダーゼによって実施される。酵素処理を停
止させる為、混合物は短時間（約３分）90℃に加熱さ
れ、酵素が不活性とされる。
実際の水抽出は、アルコール抽出の酵素処理残留物に
行われるか、アルコール抽出のアルコール分離残留物に
直接行われる。この為、乾燥残留物は水と1:4の比で混
合され、この混合物は、30分から３時間に亘って混合さ
れながら90℃に加熱される。酵素処理残留物が既に含水
サスペンションとして存在していると、上記混合物はこ
こで水と固体（乾燥残留物）との比が4:1に設定される
だけである。含水混合物の液体及び固体成分はデカンタ
内で分離される。得られる液体はココア抽出物である。
残される固体残留物は、別の主として不溶性ココア物質
との混合物である、60％の水シェアを有するセルロース
である。本プロセスを改良する為、水抽出の残留物は再
び水によって抽出される。この条件は第１の水抽出のそ
れらと対応する。再び、水抽出物と残留物とはデカンタ
内で分離される。乾燥後、残りの残留物が繊維材料とし
て使用される。水抽出物は、セパレータ内で固体成分を
洗浄され、続いて濃縮される（もし必要であれば乾燥す
るまで）。
請求の範囲に記載されるプロセスは例示の実施例によ
って、以下に詳述される。
実施例 混合タンク内において、50kgココア粉末（脂肪10乃至
12％、粒子寸法15乃至30μｍ）及び200のエタノール
が30分間70℃で攪拌される。この混合物は次に、液体相
と固体残留物（ペースト状物質）とを分離するデカンタ
に通される。液体アルコール層は、エタノール、脂肪、
テオブロミン及び非常に少量の別の未確認ココア成分を
含有する。ペースト状残留物は、部分的に若しくは完全
に脱油分されたココア粉末で、減少されたテオブロミン
含有物を有する。上記残留物は依然残留エタノールを含
有する。
上記エタノール抽出はペースト状残留物に対して繰返
される。エタノール及び残留物は再び20乃至30分間70℃
で混合される。その後、液体相及び残留物はデカンタ内
で再び分離される。
ペースト状残留物はここで残留アルコールを除去する
為に乾燥される。この為、上記残留物は望ましくは回転
ドライヤ内で処理される。このようにして、流動性生成
物が得られる。残留アルコールはプロセスの他の工程中
にもまた除去可能となる。粉末状の本発明に係るココア
製品を製造する時、残留アルコールは、例えば、最終冷
凍乾燥中に除去可能となる。
アルコール抽出から得られたペースト状若しくは乾燥
残留物は、水により抽出される。この為、上記残留物
（71kg）は275の水と混合され、30分間90℃に加熱さ
れる。水と残留物との比は4:1である。含水相と固体残
留物とはデカンタ内で分離される。このようにして得ら
れた液体がココア抽出物である。上記残留物は、上記条
件下で別の水抽出を受ける。得られる第２水抽出物は第
１水抽出物と混合され、固体成分を洗浄する為にセパレ
ータに通される。その後、抽出物は真空装置内で濃縮さ
れる。濃縮物は次に、冷凍乾燥により粉末状（水含有量
約４％）に変換される。本発明により作られる可溶性コ
コア製品の収率は、開始材料ココア粉末に対して25重量
％である。
表Ｉは、開始材料として使用されたココア粉末、エタ
ノールにより抽出されたココア粉末、及び最終製品の成
分を、特に脂肪及びテオブロミン含有量について示す。
表は、エタノールで処理された時、ココア粉末の脂肪
含有量及びテオブロミン含有量が次第に減少していくこ
とを明確に示している。
ココア粉末がプロセスの初めの方で脱脂肪されるとい
う事実は、次の水抽出によい影響をもたらす。水溶性成
分は、脱脂肪後、より容易に抽出媒体水に適合し、従っ
て高抽出収率が得られる。脱脂肪後に得られる含水抽出
物は優れた調和を有し、何故なら、表面に脂肪が全く浮
遊しないからである。
脱脂肪中にまた影響を受けるココア粉末内のテオブロ
ミン含有量の減少は、最終製品の味を改良する。その味
の特性及び刺激的効果故に、テオブロミンはココア製品
にとって原則的に望ましい物質である。しかし、高濃度
において、その苦みの要素が顕著となり、製品に対して
悪影響をもたらす。これは非脱脂肪ココア粉末の水抽出
物の濃縮の場合である。テオブロミンは水に容易に溶解
し、水抽出物中に入る。水抽出物が濃縮されると、テオ
ブロミン含有量は、他の多くのココア物質と比較して、
比率が過剰に増大し、味として好ましくなく感じられ
る。
表１から分かるように、乾燥状態で2.77％のテオブロ
ミン含有量のココア粉末（乾燥状態で10.70％の脂肪）
を使用すると、エタノールによる第１抽出によりテオブ
ロミン含有量が2.41％に減少し、第２抽出で2.02％に減
少する。最終製品は3.79％のテオブロミンを含有する。
【図面の簡単な説明】
第１図は本発明に係るプロセスを示すダイアグラムであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−22146（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−239872（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−243942（ＪＰ，Ａ)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】ａ）ココア粉末を60℃乃至80℃の範囲内の
    温度のエタノールでの抽出に供し、脂肪及びテオブロミ
    ンを含有する抽出物と、脂肪及びテオブロミン含有量が
    減少したココア粉末残留物とを得る工程、 ｂ）前記抽出物とココア粉末残留物とを分離する工程、 ｃ）前記ココア粉末残留物を、60℃乃至80℃の範囲内の
    温度のエタノールでの抽出に供し、脂肪及びテオブロミ
    ンを含有する抽出物と、脂肪及びテオブロミン含有量が
    さらに減少したココア粉末残留物とを得る工程、 ｄ）前記抽出物とココア粉末残留物とを分離する工程、 ｅ）前記工程ｄ）からのココア粉末残留物を水と混合
    し、得られた混合物を60℃乃至95℃の範囲内の温度で撹
    拌して、水性抽出物及びココア粉末残留物を得る工程、 ｆ）前記水性抽出物とココア粉末残留物とを分離する工
    程、 ｇ）前記工程ｆ）からのココア粉末残留物を水と混合
    し、得られた混合物を60℃乃至95℃の範囲内の温度で撹
    拌して、水性抽出物及びココア粉末残留物を得る工程、 ｈ）前記水性抽出物とココア粉末残留物とを分離する工
    程、及び ｉ）前記工程ｆ）及び工程ｈ）で得られた水性抽出物を
    濃縮して、可溶性ココア粉末を得る工程を具備する、脂
    肪及びテオブロミン含有量が減少した可溶性ココア製品
    の製造方法。
  2. 【請求項２】工程ｅ）において、工程ｄ）からのココア
    粉末残留物の水に対する割合が、1:4である特許請求の
    範囲第１項記載の可溶性ココア製品の製造方法。
  3. 【請求項３】工程ｇ）において、工程ｆ）からのココア
    粉末残留物の水に対する割合が、1:4である特許請求の
    範囲第２項記載の可溶性ココア製品の製造方法。
  4. 【請求項４】エタノールによるココア粉末の抽出が、約
    70℃の温度で行なわれる特許請求の範囲第１項記載の可
    溶性ココア製品の製造方法。
  5. 【請求項５】工程ｅ）が約90℃の温度で行なわれる特許
    請求の範囲第１項記載の可溶性ココア製品の製造方法。
  6. 【請求項６】工程ｇ）が約90℃の温度で行なわれる特許
    請求の範囲第５項記載の可溶性ココア製品の製造方法。
  7. 【請求項７】工程ｆ）からの水性抽出物と、工程ｇ）か
    らの水性抽出物とを混合し、不溶粒子を混合物から除去
    し、乾燥するまで混合物を濃縮する特許請求の範囲第１
    項記載の可溶性ココア製品の製造方法。
  8. 【請求項８】前記ココア粉末が、脂肪含有量が10乃至12
    重量％の高脱脂ココア粉末である特許請求の範囲第１項
    に記載の可溶性ココア製品の製造方法。
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