JP2574105B2 - 有機化合物の接触転化触媒体及びそれを使用した接触転化反応方法。 - Google Patents

有機化合物の接触転化触媒体及びそれを使用した接触転化反応方法。

Info

Publication number
JP2574105B2
JP2574105B2 JP4218701A JP21870192A JP2574105B2 JP 2574105 B2 JP2574105 B2 JP 2574105B2 JP 4218701 A JP4218701 A JP 4218701A JP 21870192 A JP21870192 A JP 21870192A JP 2574105 B2 JP2574105 B2 JP 2574105B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
cation
zeolite
clay mineral
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP4218701A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07171400A (ja
Inventor
義文 平松
栄治 岩松
明 飯野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Kosan Co Ltd filed Critical Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority to JP4218701A priority Critical patent/JP2574105B2/ja
Publication of JPH07171400A publication Critical patent/JPH07171400A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2574105B2 publication Critical patent/JP2574105B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ゼオライトを含有する
有機化合物の接触転化触媒体及び該触媒体を用いる有機
化合物の接触転化反応方法に関し、更に詳しく言うと、
FCC用触媒、RFCC用触媒等の、特に、触媒に高耐
水熱性が要求される各種の接触転化反応プロセス用の触
媒あるいはその成分として好適に利用することができる
ゼオライト−粘土鉱物複合系触媒体と、該触媒体を、触
媒が反応時や再生時等の使用時に水熱条件下に曝される
各種の接触転化反応プロセスに利用して該反応プロセス
を有利に行うという反応方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】ゼオライトは、石油精製、石油化学、環
境浄化等の触媒やその成分として、また、ガス等分子の
吸着分離剤などとして広く利用されている。このような
用途においてゼオライトは、いずれかの過程において高
温水熱雰囲気に曝される場合が多く、そのため耐熱性及
び耐水熱性に優れたものが要求される。
【0003】しかしながら、従来のゼオライトの多くは
耐水熱性が不十分であるため、そのような用途において
はゼオライト特有の優れた機能を十分に保持することが
難しいという点が大きな問題となっている。
【0004】実際、ゼオライトあるいはそれを成分とす
るゼオライト触媒は、ゼオライトの種類、交換イオンや
添加金属等の選定によって多種多様な反応に高い活性を
示すことから工業上極めて重要な触媒であり、FCC、
RFCC等の種々の有機化合物の接触転化プロセス、C
Oの水素化、NOx の除去など、広範囲の分野に利用あ
るいは期待されているが、従来のゼオライト触媒には、
ゼオライトの耐水熱性が不十分であるため、これを触媒
反応時や触媒再生時に高温でスチーム雰囲気に曝すと触
媒活性が低下しやすいという重大な欠点がある。
【0005】このことは、以下に示す例によってより具
体的に説明される。例えば、炭化水素の接触分解プロセ
スでは、炭素質の析出によって被毒された触媒を再生し
た後、その再生触媒を再び接触分解反応に供するのが通
例であり、その再生処理はまず被毒触媒に付着する炭化
水素を水蒸気でストリッピングし、次いで酸素の存在下
で被毒触媒上の炭素質を燃焼させることを内容とする。
したがって、触媒の熱及び水蒸気に対する安定性が不十
分であると、再生時に触媒の活性や選択性が損なわれる
ことになる。従来のゼオライト触媒の場合には、こうし
たゼオライトの耐水熱性の低さに基づく問題が生じやす
く、上記の炭化水素の接触分解反応プロセスにおいて、
使用するゼオライト触媒が新鮮な状態で高い分解活性及
びガソリン選択性を有していても再生処理を行うごとに
それらはかなり低いレベルにまで低下してしまうという
ことがしばしば重大な問題点となっているのである。ま
た、触媒反応自体を高温で水蒸気雰囲気下で行う反応
(例えば、水和反応や水蒸気改質反応等の水蒸気を供給
する反応や脱水反応やCOの水素化反応等の水蒸気を生
成する反応など)場合にも、長時間の反応によって同様
に活性や選択性が損なわれてしまう。
【0006】そこで、ゼオライトの低い耐水熱性を改善
し、耐水熱性に優れたゼオライト触媒を調製する技術が
重要な課題となっている。
【0007】そのような耐水熱性の改善技術として、従
来各種の方法が提案されており、例えば、ゼオライトの
細孔内にコークスを沈着させた後、選択的に脱コークス
し、更に脱アルミニウム処理を行うという方法(特公平
3−27489号公報)、アンモニウム交換フォージャ
サイト型ゼオライト中に塩素イオンを共存させて水蒸気
雰囲気下で焼成する方法(特開昭62−241818号
公報)、SiO2 /Al23 モル比が特定の値以上の
ゼオライトをアンモニア含有水溶液中で処理し、Na成
分含量を所定値以下に低減した後、Csの中性塩を用い
てイオン交換する方法(特開平3−29584号公
報)、気流焼成アルミナとカオリンとシリカ系マトリッ
クス及び結晶性アルミノシリケートゼオライトを含有す
る触媒体を調製する方法(特公昭63−36291号公
報)などがある。
【0008】しかしながら、これら従来の改善技術に
は、工程が著しく複雑であったり、工程数が多いなどの
欠点があり、あるいは、使用する原料物質に規定がある
ため適用範囲が著しく狭い範囲に限定されるなどの不利
な点が多い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
を鑑みてなされたものである。
【0010】本発明の第一の目的は、ゼオライト含有触
媒について特定の成分を複合化することによってゼオラ
イトの耐水熱性等を改善し、触媒が使用時のいずれかの
工程において水熱条件下に曝される各種の触媒反応プロ
セスにおいても触媒性能の低下が少なく、有利に使用す
ることができ、しかも調製が容易であるなどの利点を有
する耐水熱性等が改善されたゼオライト含有触媒体を提
供することにある。
【0011】本発明の第二の目的は、上記本発明の耐水
熱性等が改善された触媒体を触媒あるいは触媒成分とす
る触媒を、触媒が水熱条件下に曝されることがある各種
の触媒反応プロセスにおける触媒として用いて、該反応
及びプロセスを有利に実施するという反応方法を提供す
ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、各種のゼオライト
に特定の種類のカチオンで交換されたカチオン交換粘土
鉱物を複合化させ、ゼオライトとカチオン交換粘土鉱物
を同一粒子内に含む触媒体とすることによって、該ゼオ
ライトすなわちゼオライト触媒の耐水熱性等の性能が著
しく改善され、該触媒体を触媒あるいは触媒成分とする
触媒が、炭化水素の接触分解反応等の触媒を水熱条件下
で使用する各種の触媒反応プロセス用の触媒としても安
定性よく有利に利用することができ、前記目的を十分に
達成することができることを見いだした。
【0013】また、上記カチオン交換粘土鉱物の粘土鉱
物として、スメクタイト特にスチブンサイトが有効であ
り、一方、該カチオン成分としてH+ や各種の金属の単
核あるいは多核カチオンが有効であること、また、ゼオ
ライトとカチオン交換粘土鉱物の他にマトリックス成分
を含有させた触媒体が実用上より好ましいことも見いだ
し、更には、該カチオンの種類やマトリックス成分とし
てどのようなものがより好ましいかについても明らかに
した。
【0014】本発明者らは、主として上記の知見に基づ
いて本発明を完成するに至った。
【0015】すなわち、本発明は、ゼオライトとカチオ
ン交換粘土鉱物からなり、カチオン交換粘土鉱物におけ
るカチオンが水素元素、周期表IIIA若しくはIII
B族の元素の単核カチオン並びに周期表IIIA及びI
IIB族の元素1種又は2種以上からなる多核カチオン
から選ばれる少なくとも1種のカチオンであることを特
徴とする有機化合物の接触転化触媒体を提供するもので
ある。
【0016】また、本発明は、前記本発明の触媒体の好
ましい態様として、ゼオライト、前記カチオン交換粘土
鉱物及びマトリックス成分からなることを特徴とする有
機化合物の接触転化触媒体を提供する。
【0017】更にまた、本発明は、上記本発明の触媒体
の好適な利用法として、触媒反応時及び/又は触媒再生
時若しくは前処理時に触媒を水熱条件下で用いる触媒反
応を、該触媒又はその成分として前記本発明の触媒体を
使用して行うことを特徴とする有機化合物の接触転化反
応方法を併せて提供するものである。
【0018】本発明の触媒体の構成成分若しくはその調
製原料として使用する前記ゼオライトとしては、特に制
限はなく、使用目的に応じて各種のものを選択して使用
することができ、具体的には、例えば、X型ゼオライ
ト、Y型ゼオライト、モルデナイト、ZSM型ゼオライ
トなどの合成または天然ゼオライトを挙げることができ
る。これらの中でも、Y型ゼオライト等が好ましく、特
に、超安定性Y型ゼオライトが好ましい。
【0019】なお、これらのゼオライトは、通常、H
+ 、アンモニウムあるいは多価金属カチオンから選ばれ
る1種又は2種以上のカチオンでイオン交換された形で
使用するのが好適である。また、必要に応じて、上記カ
チオン以外の他の活性成分、例えば、Pt等の遷移金属
など活性金属を金属微粒子や酸化物微粒子などを適宜担
持した状態で使用してもよい。更に、これらのゼオライ
トは、スチーミング処理や脱アルミニウム処理などの公
知の耐水熱性改善処理を施した形で用いてもよい。
【0020】これらのゼオライトは、1種のみを使用し
てもよいし、あるいは、2種以上を併用してもよい。
【0021】本発明の触媒体の構成成分若しくはその調
製原料として使用する前記カチオン交換粘土鉱物として
は、各種の粘土鉱物のカチオン交換体を使用することが
できる。したがって、該カチオン交換粘土鉱物における
粘土鉱物としては、カチオン交換性の粘土鉱物であれば
どのようなものでも使用可能であり、具体的には例え
ば、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブ
ンサイト、モンモリロナイト、バイデライト等のスメク
タイト、バーミキュライト、雲母などを例示することが
できる。これらの中でも、スメクタイトが好ましく、特
に、ヘクトライト、スチブンサイトが好ましい。
【0022】前記カチオン交換粘土鉱物は、これらの粘
土鉱物に所望のカチオンをイオン交換することによって
得ることができる。
【0023】前記カチオン交換粘土鉱物は、該交換カチ
オン成分として、水素元素、周期表IIIA若しくはI
IIBVA族の元素の単核カチオン並びに周期表III
A及びIIIBの元素1種又は2種以上からなる多核カ
チオンから選ばれる少なくとも1種のカチオンを含有し
ているものが使用される。これらの中でも、特に、H+
やAl及びLaの単核カチオン並びにAl及びLaの1
種又は2種以上からなる多核カチオンのうちの少なくと
も1種を該カチオン成分として有するものが好ましい。
【0024】前記カチオン交換粘土鉱物におけるこれら
のカチオンの種類や含有割合等の組成は、使用目的に応
じて適宜選定すればよい。なお、これらのカチオンは、
イオン交換法、含浸法など各種の方法によって導入する
ことができる。
【0025】本発明の触媒体は、これらの各種のカチオ
ン交換粘土鉱物のうちの1種あるいは2種以上を用いて
構成することができる。
【0026】本発明の触媒体は、少なくとも1種の前記
ゼオライトと少なくとも1種の前記カチオン交換粘土鉱
物からなるものであればよいが、必要に応じて、これら
以外の他の成分を含有させてもよい。特に、適当なマト
リックス成分を含有させて、触媒体の成形性や成形後の
強度(耐摩耗性等)の向上などを図ることも好適に行わ
れる。該マトリックス成分としては、通常のゼオライト
含有触媒に用いられるバインダー成分等の各種のものが
使用可能であるが、中でも特に、シリカ、アルミナ、シ
リカ−アルミナ、マグネシア、ジルコニア、チタニア及
びカオリン等の粘土鉱物のうちの1種又は2種以上から
なる成分をマトリックス成分として用いるのが効果的で
ある。なお、マトリックス成分等の他の成分の使用、不
使用にかかわらず、本発明の触媒体においては、前記ゼ
オライトと前記カチオン交換粘土鉱物が均一に混合若し
くは複合化されていることが望ましい。
【0027】本発明の触媒体における前記ゼオライトと
カチオン交換粘土鉱物の含有割合としては、該ゼオライ
トと該カチオン交換粘土鉱物の合計含有量当たりの該ゼ
オライトの割合が、通常、1〜99重量%、好ましく
は、10〜75重量%の範囲に選定するのが好ましい。
ここでもしゼオライトの含有割合が前記の基準で1重量
%未満であると、前記の含有量が少なすぎてゼオライト
特有の触媒機能が十分に発揮されなくなるし、一方、9
9重量%を超えるとカチオン交換粘土鉱物の含有割合が
少なすぎて、耐水熱性に優れた触媒とならないことがあ
る。
【0028】前記必要に応じて添加するマトリックス成
分の割合は、触媒体の全重量に対して、通常、99重量
%以下、好ましくは、90重量%以下の範囲に選定する
のがよい。このマトリックス成分の割合を99重量%よ
り多くするとゼオライトとカチオン交換粘土鉱物成分の
割合が少なくなりすぎて所望の十分な触媒活性が得られ
なくなる。
【0029】なお、前記カチオン交換粘土鉱物は、これ
と共に含有するゼオライトの耐水熱性や耐熱性(すなわ
ち、触媒体の耐水熱性及び耐熱性)を向上させる効果を
発揮するとともに、触媒体の成形性や成形後の耐摩耗性
等の強度を向上させるという効果も発揮する。したがっ
て、カチオン交換粘土鉱物の含有割合が十分に多い場合
には、必ずしも前記マトリックス成分を添加しないでも
触媒体の成形性や成形後の耐摩耗性等の強度を十分に確
保することも可能である。マトリックス成分はこうした
状況に応じて、適宜適量添加すればよい。
【0030】本発明の触媒体は、その調製手法としては
特に制限はなく、各種の方法によって調製することがで
きるが、例えば、次のようにして好適に調製することが
できる。
【0031】好ましい調製法の例として、下記のように
して、まずカチオン交換粘土鉱物を調製し、これに所定
のゼオライト、必要に応じて、マトリックス成分を混合
する方法という方法を例示することができる。
【0032】この方法の例では、まずカチオン交換粘土
鉱物を調製するが、これは、通常、所望のカチオン成分
を含有する調製原料化合物の水溶液(具体的には、例え
ば、所定の金属の塩化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、ア
ルコキシド等の塩類や塩化アンモニウム、硝酸アンモニ
ウム、鉱酸等の水溶液)を、0.01〜10Mの範囲の
所定の濃度に調製し、該水溶液を必要に応じて例えば室
温〜100℃の温度で適当な時間(例えば数分間〜数週
間程度)の時間熟成した後、該水溶液に所定の粘土鉱物
を所定の割合で混合し、室温〜100℃の温度で5分間
〜数週間の時間イオン交換し、得られた固体(イオン交
換体)をろ過し、適宜水やアルコール等によって洗浄
し、室温〜120℃の温度で空気乾燥することによって
好適に得ることができる。
【0033】こうして得られたカチオン交換粘土鉱物
を、所定のゼオライト、あるいは、ゼオライトとマトリ
ックス成分と所定の割合で混合し、例えばスラリー混合
法等の適当な混練手法等によって十分に混合する。その
後、必要に応じて水分を調整した後所望の形状に成形
し、更に乾燥する。この成形は、触媒体の使用形態に応
じて種々の形状に各種の方法を用いて行われる。例え
ば、流動床用触媒等の微粒子上の触媒体を得る際には、
スプレードライ法などが好適に採用される。なお、乾燥
は、通常、室温〜120℃の温度で空気中で行えば十分
である。
【0034】こうして得られた触媒体は、そのまま触媒
として使用することができるが、必要に応じて、適宜焼
成したり、水素処理等の適当な前処理を施してから使用
に供してもよい。焼成等の前処理は常法に従って行うこ
とができ、例えば、この焼成を、空気気流中、200〜
800℃の温度で、30分〜24時間程度行う方法など
も好適に採用される。
【0035】以上に示した方法は、本発明の触媒体の好
ましい調製法の例を示すものであり、本発明の触媒体
は、もちろん上記以外の方法によっても調製することが
できる。例えば、前記カチオン交換粘土鉱物を得るため
のイオン交換を、ゼオライト等と混合後行い、ゼオライ
トのイオン交換を同時に行う方法なども好適に採用する
ことができる。また、触媒体には、いずれかの時点で、
必要に応じて他の成分を含有させたり、担持してもよ
い。
【0036】以上のように、ゼオライトにカチオン交換
粘土鉱物を複合することによって、所望の触媒機能(活
性及び選択性)を有し、しかも、耐水熱性や耐熱性等の
安定性が向上したゼオライト含有触媒体を容易に得るこ
とができる。
【0037】本発明の触媒体の用途としては特に制限は
なく、各種の触媒反応に利用することができるが、特
に、触媒に高い耐水熱性が要求される反応プロセス用の
触媒あるいはその成分として好適に利用される。
【0038】すなわち、本発明の触媒体の特に好適な用
途として、触媒反応時及び/又は触媒再生時若しくは前
処理時に触媒を水熱条件下で用いる触媒反応を、該触媒
又はその成分として本発明の触媒体を使用して行うこと
を特徴とする反応方法を挙げることができる。
【0039】すなわち、本発明の触媒体は、触媒反応を
高温で水蒸気を供給したりあるいは水蒸気を生成するよ
うな水熱条件下で行うすべての反応プロセス、触媒再生
時に触媒が高温で水蒸気と接触する形式のすべての反応
プロセスなどに好適に利用することができる。
【0040】このような触媒が水熱条件下に曝される反
応プロセスにおける触媒反応としては、多種多様なもの
があり、どのような反応を対象としてもよい。こうした
触媒反応の代表的な例として、例えば、有機化合物の接
触分解反応、改質反応、芳香族化反応、不均化反応、ア
ルキル化反応、重合反応、縮合反応、異性化反応、水和
反応、脱水反応、水素化反応、脱水素反応など、あるい
は、これらのうちの少なくとも1種の反応からなる複合
反応など、更には、COやCO2 の水素化反応、自動車
の排ガス処理反応等の多種多様なもの反応を挙げること
ができる。
【0041】これらの中でも、本発明の触媒体は、特
に、有機化合物の接触転化反応を行う反応プロセス用の
触媒若しくはその成分として好適に使用される。
【0042】なお、反応器の形式としては、特に制限は
なく、任意のものが使用可能であるが、有機化合物の接
触転化反応を、流動床形式、移動床形式、あるいは、ス
ィングタイプリアクター形式、中でも特に流動床形式の
反応器によって行う方法が特に好適に採用される。
【0043】なお、反応や再生等のプロセス上の手法等
の他の点については、特に制限はなく、従来の手法等の
常法に従って行うことができる。
【0044】いずれの反応プロセスに用いる場合にも、
本発明の触媒体は耐水熱性及び耐熱性が著しく改善され
ているので、水熱条件下での長時間の反応や触媒の繰り
返し再生によっても活性や選択性の損傷が著しく抑制す
ることができ、反応やプロセス全体を有利に実現するこ
とができる。
【0045】
【実施例】以下に、本発明の実施例及びその比較例によ
って本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら
の実施例に限定されるものではない。
【0046】なお、以下の実施例には本発明の触媒体の
耐水熱性の良好さを示すために、スチーミング処理した
触媒体の例、X線分析による物性評価、クメンの分解反
応をテスト反応とする反応特性の評価結果、MAT評価
等について示し、これらに先立って、該実施例で用いた
本発明の触媒体(触媒組成物)の製造例を示す。
【0047】(1) 触媒体調製 製造例1 1N NH4Cl水溶液2リットルにNa−スチブンサ
イト(イオナイトT水沢化学製)20gを粉末として添
加し、80℃にて2時間攪拌混合して充分に分散させ
た。その後、溶液をろ過、純粋及びアルコールで洗浄し
た後、120℃で空気乾燥した。これを触媒組成物Aと
する。
【0048】製造例2 触媒組成物Aと公知の方法により自ら調製した超安定性
Y型ゼオライトをそれぞれ50重量部加熱混練し、触媒
組成物Bを調製した。
【0049】製造例3 0.1M AlCl3水溶液2リットルにNa−スチブ
ンサイト(イオナイトT 水沢化学製)20gを粉末と
して添加し、室温にて2日間放置した。その後、溶液を
ろ過、純粋及びアルコールで洗浄した後120℃で空気
乾燥した。これを触媒組成物Cとする。
【0050】製造例4 触媒組成物Cと超安定性Y型ゼオライトをそれぞれ50
重量部加熱混練し、触媒組成物Dを調製した。
【0051】製造例5 0.1M La(NO33水溶液を用い、製造例3と同
様にして調製した。これを触媒組成物Eとする。
【0052】製造例6 触媒組成物Eと超安定性Y型ゼオライトをそれぞれ50
重量部加熱混練し、触媒組成物Fを調製した。
【0053】実施例1 触媒組成物B(製造例2)をスチーミング処理(760
℃、100% H2O、6h)した。これを触媒組成物
Gとする。
【0054】実施例2 触媒組成物D(製造例4)をスチーミング処理(760
℃、100% H2O、6h)した。これを触媒組成物
Hとする。
【0055】実施例3 触媒組成物F(製造例6)をスチーミング処理(760
℃、100% H2O、6h)した。これを触媒組成物
Iとする。
【0056】比較例1 触媒組成物C(製造例3)をスチーミング処理(760
℃、100% H2O、6h)した。これを触媒組成物
Jとする。
【0057】比較例2 超安定性Y型ゼオライトをスチーミング処理(760
℃、100% H2O、6h)した。これを触媒組成物
Kとする。
【0058】実施例4 触媒組成物C(製造例3)と超安定性Y型ゼオライト及
びAl23をそれぞれ25重量部、25重量部、50重
量部加熱混練し、触媒組成物Lを得て、実施例1と同様
の処理を行った。これを触媒組成物Mとする。
【0059】比較例3 触媒組成物C(製造例3)とAl23をそれぞれ50重
量部加熱混練し、触媒組成物Nを得て、実施例1と同様
の処理を行った。これを触媒組成物Oとする。
【0060】比較例4 超安定性Y型ゼオライトとAl23をそれぞれ50重量
部加熱混練し、触媒組成物Pを得て、実施例1と同様の
スチーミングを行った。これを触媒組成物Qとする。
【0061】(2)物性評価 X線測定結果 実施例5 触媒組成物H(実施例2)中のゼオライトのU.D.を
求めた。結果を表1に示す。
【0062】実施例6 触媒組成物I(実施例3)中のゼオライトのU.D.を
求めた。結果を表1に示す。
【0063】比較例5 触媒組成物K(比較例2)のU.D.を求めた。結果を
表1に示す。
【0064】
【表1】 実施例7 触媒組成物D(製造例4)と触媒組成物H(実施例2)
のゼオライトピーク面積から結晶化度を求めた。結果を
表2に示す。
【0065】比較例6 比較例2の処理前と処理後のゼオライトピーク面積から
結晶化度を求めた。結果を表2に示す。
【0066】
【表2】 上記の結果からわかるように、カチオン交換粘土鉱物と
ゼオライトを共存させてスチーミングした時とゼオライ
トのみでスチーミングしたときでは、前者の方がゼオラ
イトのU.D.、結晶化度共に高い値を示した。このこ
とは、本発明の触媒体の方が耐水熱性が高いことを意味
する。
【0067】(3) 反応結果 (a)クメンのパルス反応 実施例8 触媒組成物G(実施例1)50mgを用い、反応温度4
50℃、He気流中(120cc/min)でクメンの
パルス反応を行った。結果を表3に示す。
【0068】実施例9 触媒組成物H(実施例2)を用い、実施例8と同条件で
クメンのパルス反応を行った。結果を表3に示す。
【0069】実施例10 触媒組成物I(実施例3)を用い、実施例8と同条件で
クメンのパルス反応を行った。結果を表3に示す。
【0070】比較例7 触媒組成物J(比較例1)を用い、実施例8と同条件で
クメンのパルス反応を行った。結果を表3に示す。
【0071】比較例8 触媒組成物K(比較例2)を用い、実施例8と同条件で
クメンのパルス反応を行った。結果を表3に示す。
【0072】
【表3】 カチオン交換粘土鉱物とゼオライトとの混合触媒は、カ
チオン交換粘土鉱物とゼオライトの各々から推定される
クメンの分解反応活性より高い。また、その値はゼオラ
イト単独で用いた場合を上回る活性を示す場合もある。
【0073】(b)MAT評価 実施例11 触媒組成物M(実施例4)の活性及び選択性をASTM
MAT(D 3907)(触媒の石油系炭化水素分解
活性評価法)により評価した。MATの反応条件はVG
O Feed 1.33g/75sec、触媒4g、触
媒/VGO=3.33(g/g)、反応温度は482℃
である。油性状は表4に示す。
【0074】
【表4】 比較例9 触媒組成物O(比較例3)の活性及び選択性を実施例1
1と同条件で評価した。結果を表5に示す。
【0075】比較例10 触媒組成物Q(比較例4)の活性及び選択性を実施例1
1と同条件で評価した。結果を表5に示す。
【0076】比較例11 FCC用触媒MRZ−204(触媒化成製)の活性及び
選択性を実施例11と同条件で評価した。結果を表5に
示す。
【0077】
【表5】 カチオン交換粘土鉱物、ゼオライト及びAl23を混練
後、スチーミングをした触媒は、カチオン交換粘土鉱物
とAl23またはゼオライトとAl23を混練した触媒
よりもMATの活性が高い。
【0078】実施例12 触媒組成物L(実施例4)の活性を実施例11と同条件
で評価し、触媒組成物M(実施例4)の評価結果と比較
した。表6に示す。
【0079】比較例12 触媒組成物P(比較例4)の活性を実施例11と同条件
で評価し、触媒組成物Q(比較例4)の評価結果と比較
した。表6に示す。
【0080】
【表6】 上記の結果から、カチオン交換スチブンサイト、超安定
性Y型ゼオライト及びAl23を加熱混練し調製した触
媒は、超安定性Y型ゼオライトとAl23を加熱混練し
調製した触媒に比べ、耐水熱性が高いことがわかる。
【0081】
【発明の効果】本発明の触媒体は、ゼオライトにカチオ
ン交換粘土鉱物という特定の成分を混合複合化している
ので、従来のゼオライト触媒に比べて、特に耐水熱性が
著しく改善されているので、触媒反応時や触媒再生時等
に水熱条件下に曝しても触媒活性や選択性等の触媒機能
の低下が著しく抑制され、したがって、特に、触媒が使
用時のいずれかの工程において水熱条件下に曝される各
種の触媒反応プロセス有利に使用することができる。ま
た、本発明の触媒体は、耐水熱性の触媒を得ると言う点
で、従来の方法に比べてその調製が著しく容易であると
いう利点も有する。
【0082】すなわち、本発明によると、上記のように
耐水熱性等が改善された高性能の各種のゼオライト含有
触媒体を提供することができる。
【0083】また、本発明によると、本発明の触媒体
を、特に、触媒が水熱条件下に曝されることがある各種
の触媒反応プロセスにおける触媒として用いて、該反応
及びプロセスを有利に実施するという実用上著しく有用
な反応方法を提供することができる。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゼオライトとカチオン交換粘土鉱物から
    なり、カチオン交換粘土鉱物におけるカチオンが水素元
    素、周期表IIIA若しくはIIIB族の元素の単核カ
    チオン及び周期表IIIA若しくはIIIB族の元素1
    種又は2種以上からなる多核カチオンから選ばれる少な
    くとも1種のカチオンであることを特徴とする有機化合
    物の接触転化触媒体。
  2. 【請求項2】 ゼオライト、カチオン交換粘土鉱物及び
    マトリックス成分からなり、カチオン交換粘土鉱物にお
    けるカチオンが水素元素、周期表IIIA若しくはII
    IB族の元素の単核カチオン及び周期表IIIA若しく
    はIIIB族の元素1種又は2種以上からなる多核カチ
    オンから選ばれる少なくとも1種のカチオンであること
    を特徴とする有機化合物の接触転化触媒体。
  3. 【請求項3】 マトリックス成分が、シリカ、アルミ
    ナ、シリカ−アルミナ、マグネシア、ジルコニア、チタ
    ニア及び粘土鉱物のうちの1種又は2種以上からなる成
    分である請求項2に記載の触媒体。
  4. 【請求項4】 ゼオライトが超安定性Y型ゼオライトで
    ある請求項1〜3いずれかに記載の触媒体。
  5. 【請求項5】 カチオン交換粘土鉱物における粘土鉱物
    がスメクタイトである請求項1〜4いずれかに記載の触
    媒体。
  6. 【請求項6】 スメクタイトがスチブンサイトである請
    求項5に記載の触媒体。
  7. 【請求項7】 触媒反応時及び/又は触媒再生時若しく
    は前処理時に触媒を水熱条件下で用いる触媒反応を、該
    触媒又はその成分として請求項1〜6いずれかに記載の
    触媒体を使用して行うことを特徴とする有機化合物の接
    触転化反応方法。
JP4218701A 1992-07-27 1992-07-27 有機化合物の接触転化触媒体及びそれを使用した接触転化反応方法。 Expired - Lifetime JP2574105B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4218701A JP2574105B2 (ja) 1992-07-27 1992-07-27 有機化合物の接触転化触媒体及びそれを使用した接触転化反応方法。

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4218701A JP2574105B2 (ja) 1992-07-27 1992-07-27 有機化合物の接触転化触媒体及びそれを使用した接触転化反応方法。

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07171400A JPH07171400A (ja) 1995-07-11
JP2574105B2 true JP2574105B2 (ja) 1997-01-22

Family

ID=16724067

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4218701A Expired - Lifetime JP2574105B2 (ja) 1992-07-27 1992-07-27 有機化合物の接触転化触媒体及びそれを使用した接触転化反応方法。

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2574105B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008503622A (ja) * 2004-06-22 2008-02-07 アルベマール・ネーザーランズ・ベーブイ 液状炭化水素仕込み物の品質を向上させる方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63270545A (ja) * 1987-04-28 1988-11-08 Nippon Oil Co Ltd 炭化水素転化触媒

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07171400A (ja) 1995-07-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5065257B2 (ja) 改質ゼオライトβ
US5378670A (en) Phosphorus zeolites/molecular sieves
RU2409422C2 (ru) Катализатор конверсии углеводородов
US3691099A (en) Treatment of aluminosilicate
EP0258726B1 (en) Cracking catalysts having aromatic selectivity
US3556988A (en) Method of preparing composite catalyst and hydrocarbon conversion therewith
EP0165011B1 (en) Catalytic cracking process
JP3383071B2 (ja) 新規ゼオライト触媒及びその製造方法
JPH0214102B2 (ja)
JP4818619B2 (ja) ナノポーラスゼオライト触媒表面を持つ触媒の調製方法
CA1135242A (en) Hydrocarbon cracking catalyst and process utilizing the same
US4125591A (en) Process for producing rare earth exchanged crystalline aluminosilicate
US4880787A (en) Cracking catalyst
US5037531A (en) Catalytic cracking process
CA1171054A (en) Hydrocarbon conversion catalysts and processes utilizing the same
US3393147A (en) Catalysts having improved thermal stability and method of preparing the same
US5071806A (en) Vanadium tolerant cracking catalyst
US3471410A (en) Incorporation of zirconia into fluid catalysts to reduce coke formation
US3391075A (en) Catalytic conversion of hydrocarbons with the use of a steam treated y type of crystalline aluminosilicate
CA1297089C (en) Cracking catalyst
US6165439A (en) Dealuminated NU-86 zeolite and its use for the conversion of hydrocarbons
GB2109696A (en) Method for preparing a zeolite- containing fluid cracking catalyst
JP2005504166A (ja) 有機化合物の接触分解におけるゼオライトitq−21の使用
JP2574105B2 (ja) 有機化合物の接触転化触媒体及びそれを使用した接触転化反応方法。
US3717587A (en) Catalyst and method of preparing the same