JP2573779C - - Google Patents

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JP2573779C
JP2573779C JP2573779C JP 2573779 C JP2573779 C JP 2573779C JP 2573779 C JP2573779 C JP 2573779C
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、一般に、予め選択された化学種のイオンを半導体ウェハにインプラ
ンテーションする装置及び方法に係り、特に、イオンビームに対して半導体ウェ
ハを位置設定すると共にイオンビームで半導体ウェハを走査させるような装置及 び方法に係る。より詳細には、本発明は、例えば、10ミリアンペア以上のホウ
素イオンビーム及び35ミリアンペア以上の砒素イオンビームといった高いビー
ム電流を発生することのできるイオンインプランテーション装置においてウェハ
を処理する技術についての3つの相互に関係のある特徴に係る。これら3つの特
徴とは、ウェハをヒートシンクに取付けるかもしくはクランプすること、ウェハ
をイオンビームで走査すること、及びこの走査中にイオンビームに対してウェハ
の向きを定めることに関するものである。 【0002】 【従来の技術】 大規模集積回路(LSIC)チップの製造は、最近の10ないし15年間にわ
たり世界中で最も重要な産業の1つとなった。この技術により、メインフレーム
及びミニコンピュータシステムと、マイクロコンピュータシステムとの両方にお
いてその性能/コストが著しく改善され、これらのシステムは、家庭用のコンピ
ュータ及び専用のオフイスコンピュータの分野で益々増え続けている。又、LS
IC技術により、工業用プロセス及び装置のための通信及び実時間制御システム
においてその性能が相当に進歩すると共に、そのコストが低下した。LSIC分
野における本発明の要点を理解するため、集積回路(IC)製造に関する幾つか
の背景情報について述べるのが有用であろう。 【0003】 半導体プロセスでのイオンインプランテーションの利用 ICチップに対する半導体装置の集積の規模及びこのような装置の作動速度は
、過去数年間にわたって著しく改善された。これらの改善は、IC製造装置にお
ける幾多の進歩や、バージン半導体ウェハをICチップへと処理する際に用いら
れる材料及び方法の改良によって可能とされている。製造装置の最も著しい進歩
は、集積回路製作用エッチング装置の改良と、導電率を変える不純物のイオンを
半導体ウェハにインプランテーションする装置の改良である。 【0004】 集積回路の密度及びそれらの作動速度は、主として、半導体ウェハ上のマスク
層に回路素子のパターンを形成するのに用いられる集積回路製作用エッチング装 置の精度及び分解能によって左右される。然し乍ら、密度及び作動速度は、又、
ウェハ内のドープ領域、即ち、導電率を変える不純物が相当の濃度で追加される
領域、のプロファイルをいかに厳密に制御するかによって左右される。ウェハの
ドーピングの厳密な制御は、イオンインプランテーション技術及び装置を用いて
最良に達成することができる。イオンインプランテーションのみに仍って得られ
るドーピングの均一性は、幾何学的に小さい装置を製造する上で重要である。イ
オンインプランテーションによって得られる個々のウェハについてのドーピング
の均一性、ドーピングレベルの再現性、及びウェハごとの均一性は、高密度装置
の製造収率を著しく向上させる。 【0005】 イオンインプランテーション装置に望まれる特徴 イオンインプランテーションの技術を用いてLSIC装置を製造する分野で強
く望まれることの1つは、インプランテーションを実施する経費、特に、LSI
C製造工程においてより一般的となってきている分量の多いインプランテーショ
ンを実施する経費、を著しく増加することなく、イオンインプランテーション装
置のウェハ処理容量を改善することである。特に、分量の多いインプランテーシ
ョンサイクルにおいて、イオンインプランテーション装置のウェハ処理容量を決
める主たるパラメータは、イオンビーム電流である。現在製造されているイオン
インプランテーション装置は、イオンビーム電流発生容量が非常にまちまちな多
数の色々な装置であって、このような装置は、一般に、低電流装置、中電流装置
及び大電流装置に分類される。 【0006】 本発明は、特に、大電流イオンインプランテーション装置の性能要求を満たす
ことに向けられる。現状における大電流のイオンインプランテーション装置は、
2ないし3ミリアンペア(mA)の有用なホウ素イオンビーム電流及び約10な
いし12mAの砒素イオンビーム電流を発生する装置である。10mA以上のビ
ーム電流は、ビームエネルギーが150キロボルト程度であり、上記の全ての領
域でのウェハ処理技術に対して特殊な問題を招く。 【0007】 より高い製造効率を得るため、半導体製造業界では、分量の多いインプランテ
ーションに対しウェハの処理容量を高めるようなビーム電流の更に大きいイオン
インプランテーション装置の開発が待たれている。1984年8月15日に出願
されたデレク・エイトケン(Derek Aitken)氏の「イオンインプランテーション
装置及び方法(APPARATUS AND METHODS FOR ION IMPLANTATION)」と題する米国
特許出願第641,027号には、現状の技術の場合よりも数倍も大きな有用な
イオンビーム電流を発生することのできるイオンビームライン技術が開示されて
いる。より詳細には、エイトケン氏の特許出願に開示された新規なイオン光学技
術及びイオンビームライン成分技術を用いると、10mA以上のホウ素イオンビ
ーム電流及び30mA以上の砒素イオンビーム電流を得ることができる。この技
術は、エイトケン氏の大電流ビーム技術としてここで取り上げる。 【0008】 これらのレベルのイオンビーム電流により、ウェハの処理容量を著しく改善す
る新規なイオンインプランテーション装置が形成される。これらイオンビーム電
流は、約150キロボルト(KV)までのイオンビームエネルギーにおいて発生
することができる。これらの電流レベル及びエネルギーレベルを有するイオンビ
ームは、4キロワット以上の全ビーム出力を含む。このように出力の高いイオン
ビームでは、イオンインプランテーション工程中のウェハの走査、取り付け、方
向付け、及び冷却に対して特定の追加要求が生じる。特に、このように出力が高
いビームの場合は、完全バッチ式のイオンインプランテーション装置におけるウ
ェハの処理及び走査に対して厳しい条件が課せられ、半導体業界の高度な要求を
満たすためには次のような仕様に合致しなければならない。 【0009】 1)直径6インチ(15cm)の半導体ウェハ25個より成る1つのバッチを同
時に走査する。 2)ウェハ全域の分量の均一性及びバッチごとの分量の均一性を、約0.75
%未満の変化に維持する。 3)ホトレジストパターンがゆがまないように、最大ウェハ温度を80℃未満
に維持する。 【0010】 4)ウェハの一方の縁から他方の縁まで又はその中心から縁までのインプラン
テーション角度の変動を回避する。 5)収率の低下を招くようなウェハの汚染や他の種との交配汚染を回避する。 6)ウェハへの機械的又は熱ストレスによる損傷を回避する。 7)ウェハ走査系統のウェハ装填及び取外し操作の完全自動化を容易にする。 【0011】 【発明が解決しようとする問題点】 イオンインプランテーション装置においてウェハを処理及び操作する現状の技
術は、その能力に限度がある。これらは、今日の大電流イオンインプランテーシ
ョン装置の性能要求に合致することが困難である。更に、これらは、エイトケン
氏の大電流ビーム技術によって形成される形式のイオンビーム出力レベルを有す
る次の時代のイオンインプランテーション装置の設計及び性能要求に合致するに
不充分である。 【0012】 これまで、ウェハをイオンビームで走査すると共に、走査機構に組み合わされ
たヒートシンク素子にウェハを取付ける装置及び方法に付いて種々な技術が知ら
れている。 ビーム電流が大きく且つビーム出力が高い場合には、或る方向、即ち、高速走
査方向に比較的速度の速いビームでウェハを機械的に走査するのが重要であると
分かっている。他の走査方向については、ゆっくりとしたウェハの機械的走査を
用いるか或いはビーム自体の静電もしくは電磁走査を用いるかの両方が知られて
いる。 【0013】 走査ホイール又はドラムにウェハを取付けて保持すると共に、効率のよいヒー
トシンクを取付けてウェハとヒートシンクとを良好に熱接触することによってウ
ェハに必要とされる冷却を果たすために、色々な装置及び方法が用いられている
。公知装置の多くは、ウェハの縁でウェハをヒートシンクにクランプするような
クランプ機構を用いている。遠心力を利用してウェハをヒートシンクに押しつけ ウェハの全面をヒートシンクに対して良好な熱接触状態に維持することも知られ
ている。 【0014】 或る装置においては、ウェハの汚染を防ぐためにベアリング及び潤滑剤を真空
室から取り除くように配慮されているが、このプロセスでは、全プロセスチャン
バのような装置の大部分を動かすための高価で且つ複雑な機構が用いられている
。 インプランテーションの角度を約7度のオフ角度から0度のインプランテーシ
ョン角度まで変えるために、交換可能なホイール及び交換可能なヒートシンク素
子が示唆され或は使用されている。一般に、これらの解決策は、複雑な取り付け
機構を伴い、1つの機械において別々のインプランテーション角度を用いる場合
、インプランテーションの経費が高くなると共に機械の使用が難かしくなる。 【0015】 公知技術で教示もしくは示唆されているウェハ取り付け、冷却及び走査のため
の装置の中で、大電流のインプランテーション装置、特に、エイトケン氏の大電
流ビーム技術によって可能とされるビーム出力のインプランテーション装置に対
し上記した全ての設計要求を首尾よく満たすものは皆無である。 【0016】 【問題点を解決するための手段】 そこで、本発明の主たる目的は、半導体ウェハをイオンインプランテーション
するための改良された装置及び方法を提供することである。 本発明の別の目的は、半導体ウェハを大電流高出力のイオンビームで走査する
改良された装置及び方法を提供することである。 【0017】 本発明の特定の目的は、直径6インチ(15cm)の半導体ウェハ25個より成
るバッチ全部を走査することのできる改良されたウェハ走査装置を提供すること
である。 本発明の更に別の目的は、半導体ウェハに悪影響を与えることなく少なくとも
4KWのイオンビーム出力を取り扱うことのできる改良されたウェハ走査及び冷 却装置を提供することである。 【0018】 本発明の更に別の目的は、ウェハの前面に接触するようなクランプ機構を用い
ることなく走査中にヒートシンクにウェハを保持することができる改良されたウ
ェハ取付け及び走査装置を提供することである。 本発明の更に別の目的は、イオンビームに対して色々な向きのインプランテー
ション角度でウェハ走査機構のヒートシンク素子にウェハを取付ける改良された
装置を提供することである。 【0019】 本発明の更に別の目的は、イオンビームに対してウェハの二重の機械的走査を
実行する簡単で且つコストの低い改良された装置及び方法を提供することである
。 本発明の1つの特徴は、半導体ウェハを二重走査移動においてイオンビームで
走査する装置にある。この装置は、イオンビームを発生するイオンビーム線装置
を含んでいる。走査ホイール組立体は、複数の半導体ウェハを支持し、ホイール
の中心軸に対して回転することができる。駆動構成体は、一方向にウェハをビー
ムで走査するように走査ホイール組立体をその中心軸に対して回転させる。走査
構成体は、走査ホイールとイオンビームを前記の一方向と直交する方向に相対的
に走査移動させる。走査ホイール組立体は、中心ハブと、このハブに取付けられ
ていてそこから半径方向外方に延びた複数の別々のスポークアームと、各スポー
クアームの外端に各々形成された複数の円筒状のヒートシンク素子とを備え、こ
れらのヒートシンク素子は、これに半導体ウェハを取付ける構成体を含んでいる
。各スポークアームの巾は、ヒートシンク素子の最大巾より実質的に小さい。走
査構成体は、ヒートシンク素子及びこれに関連したスポークアームが走査移動の
一端においてはイオンビームから完全に外れそして走査移動の他端においてはス
ポークアームの一部分のみがイオンビーム内に入るように、或る距離の走査移動
を生じさせる。 【0020】 各々のヒートシンク素子は、これを通して延びる冷却流体チャンネルを形成し ているのが好ましい。走査ホイール組立体は、ヒートシンク組立体の冷却流体チ
ャンネルの各々と冷却流体をやり取りしてイオンビームにより発生した熱をそこ
から運び去るような配管構成体を備えている。各ヒートシンク挿入体は、導電性
の金属本体を備えていて、これは、ヒートシンク組立体に隣接する第1取付面と
、イオンビームに対向する第2取付面とを形成している。熱伝導性弾力性材料の
第1の層が第1取付面に取り付けられ、熱伝導性弾力性材料の第2の層が第2取
付面に取付けられて、ウェハ取付面として働く。ヒートシンク挿入体は、冷却さ
れたヒートシンク組立体に取り付けられたウェハの全面にわたりこのヒートシン
ク組立体に対して良好な熱伝導性を与える。 【0021】 本発明のこの特徴により、ウェハ走査装置は、個々のヒートシンク素子上の2
5個のウェハより成るバッチ全部を取り扱うことができると共に、4キロワット
以上のビーム出力負荷を取り扱うことができる。走査ホイール組立体の構造は、
この組立体及びこれに取付けられたウェハにほんの一部分の時間だけイオンビー
ムが当たるような構造とされる。これにより、走査ホイール組立体にかゝる積算
負荷が相当に減少されると共に、比較的簡単で然も効率のよい水冷系統によりウ
ェハの温度を損傷限界レベル以下に維持するに充分なウェハ冷却を果たすことが
できる。 【0022】 本発明の別の特徴は、走査ホイール組立体を高い角速度で回転する時にクラン
プ機構を使用せずに遠心力を利用して走査中にウェハをヒートシンクに容易に保
持できるような走査ホイール組立体及び取付駆動構成体にある。この構成体は、
ウェハに対するビームのインプランテーション角度が0度である時にもこのよう
な遠心力による保持を果たすことができる。 【0023】 本発明のこの特徴に用いられる駆動構成体は、走査ホイール組立体を取り付け
ると共にこの走査ホイール組立体を回転する取付駆動構成体を備え、即ち、この
取付駆動構成体は、中心軸がイオンビームの方向に対してイオンビームの発生源
に向かって僅かな角度で傾斜されるような状態で走査ホイール組立体を取り付け 、そしてウェハを一方向にビームで走査するように中心軸に対して走査ホイール
組立体を高い回転速度で回転させる。ヒートシンク素子の各々は、取付面領域を
形成し、予め決められた距離だけ中心軸から離間される。各々のウェハ取付構成
体は、ヒートシンク素子に取り付けられてウェハ取付面を形成するヒートシンク
挿入体を備え、ウェハ取付面は、これに支持される予め決められたサイズの半導
体ウェハと少なくとも同等の大きさの直径を有しそしてイオンビームの方向に対
して0度となる、又イオンビームの方向に対して僅かに傾斜した角度となるよう
に配向されることができる。いずれにせよ、ウェハに直角な線は、中心軸と交差
して、大きな鋭角を定める。ウェハと走査ホイール組立体の回転軸とのこの向き
により、走査ホイール組立体を高い回転速度で回転すると、ウェハ取付面に直角
に実質的な遠心力成分が発生し、ウェハは取付面にぴったりと保持される。 【0024】 各々のヒートシンク素子は、走査ホイール組立体が回転中である時にウェハを
ウェハ取付面に拘束するように、ヒートシンク挿入体に隣接してその半径方向最
外点にウェハ停止面を形成するのが好ましい。走査ホイール組立体が高い回転速
度で回転されていない時にウェハをウェハ停止面に一時的に押しつけるためにウ
ェハクランプ構成体がヒートシンク素子に取り付けられる。このウェハクランプ
構成体は、ウェハ取付面と反対側でヒートシンク素子に取り付けられた一対のク
ランプフィンガを備えているのが好ましく、このクランプフィンガはバネ偏位構
成体によってウェハの縁に押しつけられるが、走査ホイール組立体が高い速度で
回転する時には、慣性構成体がバネ偏位力に対抗し、クランプフィンガをウェハ
の縁から引っ込める。このようにして、ウェハは、インプランテーションプロセ
ス中にウェハに対して直角な遠心力成分のみによってウェハ取付面に保持される
。 【0025】 遠心力でウェハを保持する本発明の特徴により、ウェハとヒートシンクとの間
に良好な熱伝導性が与えられるという効果が発揮され、然も、ウェハの縁部分を
取り巻くクランプ構成体の材料がスパッタリング汚染の原因となったり或いは既
にインプランテーションされた種がクランプの材料中に入り込んだりすることは ない。又、クランプがウェハ表面の縁部分に接触するところでホトレジストが剥
げることによって生じる汚染の原因も排除される。 【0026】 本発明の別の特徴は、空気中と真空中との間に移動式のシール構成体を必要と
しないような真空室において半導体ウェハをイオンビームで走査する装置にある
。イオンビーム装置は、イオンビームを発生し、これを真空室に向ける。中心軸
を有していて複数の半導体ウェハを支持した走査ホイール組立体が設けられる。
取付駆動構成体は、走査ホイール組立体を、その中心軸がイオンビームの方向に
ほゞ平行な向きとなるようにして真空室内に取り付け、中心軸のまわりで走査ホ
イール組立体を回転し、イオンビームに対して走査ホイール組立体をイオンビー
ム方向に直交する方向に移動させ、半導体ウェハをイオンビームで2次元的に走
査するようにする。 【0027】 取付駆動構成体は、真空室内に配置された走査アームと、この走査アームの一
端に走査ホイール組立体を取り付けて中心軸の周りで回転させるような回転取付
構成体とを備えている。第1の駆動構成体は、走査ホイール組立体を回転させる
。第2の取付構成体は、イオンビーム方向にほゞ平行な軸の周りで回転するよう
に走査アームをその他端に取り付ける。この第2の取付構成体は、一端が走査ア
ームに取付けられたシャフトを備え、このシャフトは、真空室の壁を貫通して延
びている。真空室の外部のベアリング構成体は、シャフト構成体を回転するよう
にジャーナル軸受する。第2の駆動構成体は、ベアリングにおいてシャフトを回
転する。真空室の壁とシャフト構成体との間に協働するように取付けられた真空
シール構成体は、真空中対空気中の回転式のシャフトシール構成体をなす。 【0028】 本発明の好ましい実施例は、駆動及び制御構成体を簡単化するように走査アー
ムを駆動する独特の解決策を用いるもので、走査ホイールの作用半径、即ち、走
査ホイールの中心からイオンビームの中心までの距離に対して逆に変化するよう
な低い走査速度をイオンビームに対して得るようにする。基本的に、この解決策
は、相似三角形による位置設定及び駆動構成体の利点を利用するもので、これは 、駆動装置を、直線駆動装置まで簡単化すると共に、駆動装置の制御を、距離の
直線的な追跡と、簡単な回路構成による速度に対する制御まで簡単化する。 【0029】 イオンビームの軸Iと、走査ホイール組立体の中心軸Aと、第2の取付手段の
軸Bとにより、2つの一定の辺BA及びBI並びに第3の辺AIを有する三角形
が形成され、この第3の辺は、走査アームがビームに対して前後に走査を行なう
時に長さが変化する。第2の駆動構成体は、距離AIの変化率が距離AIの大き
さと逆に変化するように走査アームを駆動し、ピボットアームがその一端におい
てシャフトに取付けられていると共に、直線駆動手段が軸Eの周りで回転するよ
うに取付けられて点Dにおいてピボットアームの他端に取付けられ、直線駆動手
段は、ピボットアームの他端を軸Eに向けて移動させる。軸Eの位置及び取付点
Dは、点B、D及びEが三角形BAIと相似の三角形BDEを形成するように予
め選択される。第2の駆動構成体は、更に、直線駆動手段がピボットアームを動
かす時に距離DEの信号を発する追跡構成体と、この信号で示された距離DEの
逆数の関数として直線駆動手段の駆動速度を制御して、距離DEの変化率が距離
DEの大きさと逆に変化し更に相似の三角形であることによって距離AIの対応
変化率が距離AIの大きさと逆に変化するようにする駆動制御構成体とを備えて
いる。 【0030】 第1の駆動構成体は、走査アーム自体に収容された電気モータを用いることが
できる。或いは又、電気モータを真空室の外部に取り付けることができ、走査ア
ームを回転するシャフトを中空シャフトとして形成してその中に駆動シャフトを
ジャーナル軸受しこれを外部のモータで回転することにより、回転駆動機構を設
けることができる。上記の駆動シャフトは、次いで、ベルト又はチェーン伝動構
成体を駆動し、下部のシャフトから、上端が走査アームにジャーナル軸受された
シャフトへ出力を伝達して、走査ホイール組立体が駆動される。 【0031】 この構成では、回転式の真空シール手段のみが用いられ、これは、回転シャフ
トの周りに信頼性の高い密封を確保する回転式のフェロ・フロイディングシー ルであるのが好ましい。全ての潤滑面は、真空室の外部にあり、高価で且つ複雑
なスライド式のシール手段は必要とされない。 本発明の種々の特徴全部をウェハ走査装置に組み込んだ時には、前記したよう
にこのような装置に所望される全ての仕様を容易に満たすことができる。この装
置は、エイトケン氏の大電流ビーム技術によって得られるビーム出力を取り扱う
ことができる。走査ホイール組立体は、修理及び交換を容易にするように、モジ
ュール式の部品で形成することができる。走査ホイール組立体は、ウェハ装填装
置と容易にインターフェイスすることができ、このウェハ装填装置は、ウェハが
ヒートシンク挿入体に接触するまで一時的なクランプフインガを引っ込める機構
を用いることにより、個々のヒートシンク挿入体及びクランプ構成体にウェハを
引き渡す。 すなわち、本発明に従ってイオンビームにより半導体ウェハを走査する装置は
、イオンビームを発生して投射する手段、複数の半導体ウェハを支持し、ウェハ
処理室内に回転するように取り付けられている走査ホイール組立体、この走査ホ
イール組立体をそれの中心軸の周りで回転する回転手段及びイオンビームの一側
から他側へすべての半導体ウェハが横切るように走査ホイール組立体をそれの中
心ハブの回転軸に垂直な方向に前後に動かす手段を備え、前記の走査ホイール組
立体の中心ハブの回転軸はイオンビームの進行方向とそれの回転軸とによって決
まる面内でイオンビームの進行方向に対して第1の小さい角度でイオンビームの
源の方へ傾斜しており、前記の中心ハブへ取り付けられている複数のスポークア
ームは前記の中心ハブの回転軸に垂直な方向に延び、各スポークアームの端に取
り付けたウェハ取付けパドルは前記の回転軸に垂直な方向に対して第2の小さな
角度をなしており、この小さな第2の角度は前記の走査ホイール組立体の回転中
ウェハ取付け面にウェハを押しつける遠心力のウェハへの垂直成分を生ぜしめて
ウェハ取付け面にウェハを保持し、前記の回転手段はこの遠心力のウェハへの垂
直成分を生ぜしめるに足る速度で前記の走査ホイール組立体をそれの中心軸の周
りで回転し、前記のウェハ取付けパドルはそれを通っている冷却流体チャンネル
と、これらの冷却流体チャンネルを前記の中心ハブに接続するパイプとを有して
いることを特徴としている。 【0032】 本発明の他の目的、特徴及び効果は、添付図面を参照した以下の詳細な説明よ
り明らかとなろう。 【0033】 【実施例】 第1図は、イオンインプランテーション装置10を示しており、この装置は、
ウェハ処理室11を備え、スライド式のフロントドア12がオーバーヘッド軌道
13に支持されていると共に、シールされた点検ポートが設けられている。室1
1上の位置へスライドされると、ドア12によって真空室が完成する。適当な真
空シール及び把持構成体(図示せず)が処理室の側壁に対してドア12をぴった
りと保持する。真空ポンプ装置(図示せず)は、真空室11の内部と連通し、こ
の室を排気して、効果的なイオンインプランテーションに必要とされる真空雰囲
気を形成する。イオンビーム発生及び分析装置は、真空室11の後壁を経て延び
る後方加速装置14を介して真空室にイオンビームを送り込む。イオンビーム発
生及び分析装置は、上記のエイトケン氏の特許出願に開示されたものであるのが
好ましい。 【0034】 走査ホイール組立体15は、真空室11内に取付けられる。走査ホイール組立
体15は、中心ハブの周りに円形に配列された25個のウェハ取付パドル15A
を備えている。走査ホイール組立体15について、以下に詳細に述べる。走査ホ
イール組立体15は、その中心軸の周りで高速度で回転されると共に、走査アー
ム組立体17の底部の軸の周りで回転歳差運動を行なうように取付けられ、走査
アーム組立体17は、真空室の底部にあるウェル11Aへと延びている。 【0035】 取付駆動構成体16は、走査ホイール組立体15を真空室11に取付けるもの
であり、走査ホイール組立体の二重回転及び歳差走査を行なう種々の取付構成体
及び駆動構成体を備えている。取付駆動構成体16の主たる要素は、走査アーム
17であり、これは駆動アーム18に直結され、この駆動アームは、モータ及び
親ネジ駆動構成体19によって駆動される。ボール型のカップラ20は、駆動ア ーム18を親ネジ駆動構成体19の移動キャリッジ(図示せず)に結合する。駆
動構成体19は、ブラケット21に回転可能に取付けられる。駆動アーム18に
取付けれたモータ22は、ベルト駆動伝達構成体23を駆動し、この構成体23
は、中空の走査アームハウジング17内に取付けられたベルト駆動手段(図示せ
ず)を備えていて、走査ホイール組立体15を迅速に回転するための駆動力を与
える。 【0036】 真空室11内に取付けられたストッパ支柱組立体24及び25は、駆動アーム
構成体18が親ネジ駆動構成体19から切り離された時に走査ホイール組立体1
5の歳差走査位置を制限する。 ウェハ取扱装填構成体は、別の室26内に設けられており、この室は、半導体
処理のための清潔な室の壁と便利に接続される装填ロックドア27を備えている
。ウェハ装填系統は、標準ウェハカセットに対して位置28に配置されたヒート
シンクパドルとウェハをやり取りする構成体を備えている。ウェハ取扱装填構成
体の好ましい形態が、「半導体処理装置においてウェハを取り扱うシステム及び
方法(Systems and Methods fot Wafer Handling in Semiconductor Processequ
ipment)」と題するストーンストリート(Stonestreet)氏等の米国特許出願に開
示されている。 【0037】 第2図ないし第5図は、走査ホイール組立体15の幾つかの構造細部を示すも
ので、その他の構造細部は他の図面に示して説明する。走査ホイール組立体15
は、中心ハブ組立体30を備え、この組立体30には、複数の別々のヒートシン
ク組立体31及び冷却流体供給構成体32が支持される。取付構成体33は、個
々のヒートシンク組立体31をハブ組立体30のバックプレート34に取付ける
。シャフト、ベアリング及びロータリ真空シールの複合構成体40によってハブ
組立体30は、その中心軸Aの周りで回転するように取付けられ、複合構成体4
0は、走査ホイール組立体を走査アーム組立体17に対して回転されるようにす
る。この構成体の細部は、他の図面に示され、これについては以下で説明する。 【0038】 第4図及び第5図は、個々のヒートシンク組立体31をハブ組立体30のバッ
クプレー卜34に取付けるための好ましい構成体を示している。個々のヒートシ
ンク組立体31の各々は、取付フランジ31Aを備え、このフランジは、各側に
半円形の欠切部39を有し、これは、バックプレート34に取付けられた取付カ
ラー36に対し固定素子として働く。このようにして、個々のヒートシンク組立
体31の各々は、バックプレート34に正確に配置され、位置保持されて固定さ
れる。ねじ切りされたスタッド35は、位置設定カラー36を通して延びている
。このねじ切りされたスタッド35は平らなワッシャ37が取付けられ、スタッ
ド35に対してナット38がねじ込まれて、ワッシャ37に締め付けられる。こ
の取付構成では、個々のヒートシンク組立体31がバックプレート34に非常に
正確に固定されると共に、保守及び修理のために容易に取外し及び交換できるよ
うな形態でしっかりと取付けられることが明らかであろう。 【0039】 さて、第6図ないし第10図を参照し、個々のヒートシンク組立体31の詳細
な構造及び構成について説明する。各々のヒートシンク組立体31は、第1のス
ポークアーム区分41と、このスポークアーム41に対して僅かな角度で延びた
第2のスポークアーム区分42とを備えている。このスポークアーム構成体の後
端には、半円形の取付孔44を有する取付フランジ43があり、これは、前記し
たように走査ホイールのバックプレートに取付けられる。スポークアーム組立体
の外端には、一般的に円形のヒートシンクパドル45があり、これには、ヒート
シンク挿入体46が支持されて、固定構成体47で固定され、その詳細は第9図
に示され、以下で説明する。ヒートシンクパドル45にはその外端にウェハ縁抱
束具48が取付けられ、これは、ヒートシンク挿入体46及びウェハクランプ構
成体49と協働し、走査ホイール組立体が休止しているか成いは高速運動へと加
速されている時に半導体ウェハ80をヒートシンク挿入体46の前面に保持する
。 【0040】 ウェハクランプ組立体49は、調整可能なブラケット50を備え、これは、ス
ポークアーム区分42に取付けられ、そして、一対の慣性アクチュエータアーム 51と、軸53の周りで回転するように取付けられたウェハクランプ素子52と
を支持している。軸53上のバネ素子54は、クランプ素子52をウェハ80の
縁に押しつける。高速回転走査中に発生する高い遠心力のもとでは、慣性アクチ
ュエータ素子51が外方へ回転し、クランプ素子52をウェハ80の縁から離れ
させる。アクチュエータ素子51に働く遠心力はクランプ素子52に働く遠心力
より実質的に大きいから、慣性アクチュエータ51は軸53の周りで回転し、ク
ランプ素子52をウェハの縁から離れさせる。このようにして、クランプ素子5
2は、ウェハのイオンインプランテーションを妨げない。ウェハは、以下で述べ
るように遠心力によってヒートシンク挿入体46に保持される。クランプ素子5
2は、実際のイオンインプランテーション中に、スパッタされた汚染物やそこか
ら放出された交配汚染物がウェハの前面80へとまっすぐに進まないような位置
に配置される。 【0041】 ウェハ縁クランプ組立体49は、図3に示すようにウェハ移行位置28に取付
けられた機械的なアクチュエータ構成体28Aと協働し、ウェハの装填中及び取
外し中にウェハクランプ構成体を引っ込めたり開放したりする。機械的なアクチ
ュエータ構成体は、適当な設計のものでもよいが、クランプ素子52をウェハ8
0の縁から引っ込めそして開放するように慣性アクチュエータアーム51を押し
つけたり開放したりする手段を備えたものとする。 【0042】 ヒートシンク冷却チャンネル60は、ヒートシンクパドル45内に形成され、
スポークアーム区分41及び42の入力チャンネル61及び出力チャンネル62
と連通する。入力チューブ63は、冷却流体を入力チャンネル61に連通し、そ
して出力チューブ64は、出力チャンネル62からの戻り流体を結合する。入力
チューブ63及び出力チューブ64は、以下で述べるように走査ホイール組立体
のハブに配置された冷却流体ヘッダ組立体と流体をやり取りする。ブラケット組
立体65は、入力及び出力チューブ63及び64をヒートシンク組立体31の後
端に支持する。ブラケット65は、入力及び出力チューブにかかる遠心力に反作
用するものであって、走査ホイール組立体の高速回転中に、これらチューブが接 合されてスポークアーム41にシールされる点に生じる実質的なストレスを排除
するものである。 【0043】 図9は、ヒートシンク挿入体46の構造及び構成、特に、取付構成体47の詳
細を示す。ヒートシンク挿入体46は、導電性金属で形成された円筒状ディスク
状の素子である。ヒートシンクパドル45の取付面70には、熱伝導性弾力性材
料の一般的に円形のシート72が取付けられ、ヒートシンク挿入体46とヒート
シンクパドル45との間に良好な熱伝導性が与えられる。ヒートシンク挿入体4
6の背面にはスタッド73が取付けられ、これは、ヒートシンクパドル45の孔
71に受け入れられる。スタンドオフワッシャ74及びねじ切りされたボルト7
5は、スタッド73の内部にねじ切りされた孔と協働し、ヒートシンク挿入体4
6をヒートシンクパドル45の前面70に取付ける。スタッド75を締め付ける
と、ヒートシンク挿入体46の背面が導電性エラストマ72に圧着され、これら
表面にわたって良好な熱伝達性が得られる。導電性エラストマのシート77がヒ
ートシンク挿入体46の前面に取付けられる。導電性エラストマのこの薄いシー
トは、ヒートシンク挿入体46と、エラストマシート77の前面で画成された取
付面に支持された半導体ウェハとの間に良好な熱結合を与える。 【0044】 冷却流体(この目的のためには、冷えた水でよい)をヒートシンクパドル45
の冷却チャンネル60に実質的に流すと共に、ヒートシンク挿入体46とヒート
シンクパドル45との間に良好な熱結合が得られることにより、エラストマパッ
ド77の表面に取付けられた半導体ウェハが非常に効果的に冷却される。以下で
詳細に説明するように、ヒートシンク挿入体46のウェハ取付面は、ヒートシン
クパドル46の取付面70に対して3.5度の角度で傾斜されるのが好ましい。
この角度と、スポークアーム41に対するヒートシンクパドル45の角度と、走
査ホイール組立体15の軸A−Aの傾斜との組み合わせにより、走査アーム組立
体の高い回転速度の回転中にエラストマ取付面77にウェハを押しつける実質的
な遠心力成分が形成される。これにより、ウェハの背面全体にわたり、ウェハと
エラストマの表面との間に良好な熱接触が与えられ、イオンビームによってウェ
ハ に発生した熱は、ヒートシンク挿入体46、エラストマ層72及びヒートシンク
パドル45を経て、冷却チャンネル60に流れる冷却流体へと効果的に直列に伝
達される。高い伝達効率を得るためには、冷却流体の流れが乱流であるのが好ま
しい。 【0045】 インプランテーション中に熱伝導エラストマ77に取付けられたウェハを冷却
する効率と、本発明の他の特徴とによって、本発明の装置は、ウェハに当たるイ
オンビームの出力が8KWであるような状態のもとでも、ウェハを80℃より低
い温度に効果的に保つことができる。この冷却効率により、半導体ウェハへの熱
的な損傷も排除されるし、或いは、イオンビームの化学的な種がインプランテー
ションされるウェハ面もしくは領域を画成するように半導体ウェハの面に形成さ
れたホトレジストパターンの熱的な歪も排除される。 8KWビーム出力のもとで半導体ウェハの効果的な冷却を達成できるのは、ス
ポークアーム区分41及び42がヒートシンクパドル及び挿入体の直径よりも相
当に狭くされたヒートシンク組立体71の設計のみによるものである。図3に示
すように、個々のヒートシンク組立体31は、イオンビーム14Aによりゆっく
りとした走査方向に走査され、走査サイクルの両端では行き過ぎるように走査さ
れる。走査アーム組立体15が右側へ完全に走査された時には、ヒートシンク挿
入体に取付けられたウェハがイオンビームの作用から完全に外れる。同様に、走
査ホイール組立体15が最も左の位置にある時には、ウェハが反対側でイオンビ
ームから完全に外れる。図3に示す右側への行き過ぎ走査位置では、イオンビー
ムが、当然、ウェハに隣接したスポークアーム領域においてヒートシンク組立体
31に当たる。然し乍ら、図1及び図2から明らかなように、この行き過ぎ走査
位置においてイオンビームに曝される走査ホイール組立体の全表面積は、走査ホ
イール組立体の全円形面積のほんの一部分に過ぎない。大部分の時間中は、イオ
ンビームがヒートシンク組立体の個々のスポークアーム間を通過する。ビームが
この開いた領域を通過する時には、走査ホイール組立体が加熱されない。 【0046】 従って、本発明のスポークアーム及びヒートシンクパドル構成体は、二重走査 イオンインプランテーション工程中に走査ホイール組立体にかかる全熱負荷を相
当に減少する。個々のヒートシンクパドル及びヒートシンク挿入体がイオンビー
ムに対してウェハを支持する時には、ウェハの面がイオンビームに曝されないよ
うな開いた領域が個々のヒートシンクパドル間に生じることが明らかである。こ
れにより、イオンインプランテーション工程中に走査ホイール組立体にかかる全
熱負荷が更に減少される。全熱負荷のこの減少により、本発明の走査ホイール組
立体では、ほとんどの走査移動中イオンビームが走査ホイールの固体部分に衝突
するような公知の走査ホイール設計において可能であったものよりも相当に高い
イオンビーム出力を使用することができる。 【0047】 図10と図9を比較することによって明らかなように、ヒートシンク挿入体4
6は、斜めのウェハ取付面77を図9に示すようにスポークアーム区分42に近
づくように傾斜させるか或いは図10に示すようにスポークアーム区分42から
離れるように傾斜させて配置することができる。図10に示す挿入体46の取付
構成では、ウェハの外縁の種々の部分を受け入れるように若干変更されたウェハ
縁拘束具48Aが設けられる。図10に示すヒートシンク挿入体46の変更され
た部分は、エラストマ層77の表面に取付けられたウェハに対するイオンビーム
のインプランテーション角度に変化を与えるものである。以下で述べるように、
図9に示されたヒートシンク挿入体46の向きでは、インプランテーション角度
が7度とされ、図10に示されたヒートシンク挿入体46の向きでは、インプラ
ンテーション角度が0度とされる。図10と図9とを比較すると、ヒートシンク
パドル45の取付面70に対するイオンビームの向きが不変であることが明らか
であろう。然し乍ら、取付面が3.5度傾斜するようにヒートシンク素子46の
向きを変えると、図9と図10の場合ではインプランテーション角度が全部で7
度変化する。 【0048】 図9に示されたヒートシンク挿入体46の構造並びに図6及び図7に示された
ウェハ縁クランプ構成体49の構造から明らかなように、本発明のヒートシンク
組立体31は、色々な直径のウェハを容易に受け入れられる。特に、図7に示さ れたように、クランプ構成体49のブラケット50は、色々な直径のヒートシン
ク挿入体46を受け入れるようにその位置を調整することができる。縁拘束具4
8の形状を簡単に変更するだけで、色々な直径のヒートシンク挿入体46をヒー
トシンクパドル45に受け入れることができる。又、ヒートシンクパドル45の
全直径を変更することにより、色々なサイズのウェハを受け入れるようにヒート
シンク組立体31自体を変更できることも明らかであろう。従って、本発明の装
置は、3インチないし8インチのウェハ直径を容易に受け入れることができる。
然し乍ら、処理室をより大きなものにしなければ、8インチのウェハ25個を受
け入れることはできない。 【0049】 さて、図11及び図12を参照し、走査アーム17及び走査ホイール組立体1
5の各取付及び駆動構成体について詳細に説明する。走査駆動アーム18は、中
空シャフト90に支持され、このシャフトは、真空室の壁11Aの前壁92に取
付けられた荷重支持ベアリング及びロータリ真空シール構成体にジャーナル軸受
される。ベアリング91は、シャフトを自由に回転させ、シャフト90の周りに
はフェロ・フロイディックの回転シール93があって、これは、シャフトの周り
の空気対真空のシールを果たし、真空室の壁11Aをその外側の雰囲気から隔離
する。中空の走査アームハウジング94は、シャフト90に支持されて、このシ
ャフトと共に回転する。従って、図1に示されたねじ駆動構成体19は、駆動ア
ーム18を回転駆動させる。走査アーム組立体17の走査アームハウジング94
は、軸Bの周りで回転し、走査ホイール組立体15を支持する走査組立体の上端
を軸の周りの或る円弧において移動させる。 【0050】 図11は、図12並びに図1ないし図3に示された走査ホイール組立体15を
回転させる好ましい駆動構成体の一部も示している。中空の駆動シャフト96は
、中空シャフト90の一端に取付けられたベアリング組立体97と、中空シャフ
ト90の他端に取付けられた第2のベアリング組立体98とにジャーナル軸受さ
れる。これにより、中空シャフト96は、中空シャフト90内でこれと同心的に
回転することができる。ベルト駆動ホイール99は、走査駆動アーム18に隣接 した中空シャフト96の一端に取付けられる。第2のベルト駆動ホイール100
は、走査アームハウジング94内で中空シャフト96の他端に取付けられる。ベ
ルト駆動ホイール99は、図1に23で示された全走査ホイール駆動構成体の一
部分を構成し、モータ22により駆動される駆動ホイールに接続されたベルトに
よって図示されたように駆動される。 【0051】 ベルト駆動ホイール99、シャフト96及びベルト駆動ホイール100の構成
体は、図12に示された走査ホイール組立体15の回転力を中空の走査アームハ
ウジング94の内部に伝達する。駆動ベルト100Aは、走査アーム組立体17
の下端にあるベルト駆動ホイール100から、図12に示すように走査アーム組
立体17の上端にあるベルト駆動ホイール101へ出力を伝達する。一対の冷却
流体ホース102及び103は、中空シャフト96を経て中空の駆動アームハウ
ジング94の内部へ接続され、導入及び戻り冷却流体を、図12に示すように駆
動アーム組立体17の上部に取付けられた回転ヘッダ構成体104に供給する。 【0052】 さて、図12を参照し、走査ホイール組立体15の走査駆動構成体のその他に
部分について説明する。一般的に、走査ホイール組立体15、特に、バック支持
プレート34は、中空の駆動シャフト105に支持され、この駆動シャフトは、
走査アームハウジング94の上方前壁に取付けられたベアリング構成体106に
おいて軸Aの周りで回転するようにジャーナル軸受される。フェロ・フロイディ
ックの真空対空気シール構成体107は、真空室11と、中空シャフト105の
内部、ひいては、中空走査アームハウジング94の内部との間に真空対空気の回
転式シールを与える。ベルト駆動ホイール101は、中空駆動シャフト105に
取付けられ、イオンインプランテーション工程中に高い回転速度で走査ホイール
組立体15を回転させる回転駆動力を与える。ギア駆動装置106Aは、ホイー
ルの回転を追跡する絶対値デジタイザを駆動する。 【0053】 冷却水供給構成体32は、中空の管110を備え、この管は、便利なスペーサ
配置構成体を用いて中空駆動シャフト105内に同心的に取付けられる。上記の スペーサ配置構成体は、管の内部領域を経て一方の方向に流体を通過できるよう
にすると共に、管110と駆動シャフト105との間の環状の外側領域を経て流
体を通過できるようにする。中空の管110及び駆動シャフト105は、ヘッダ
組立体104の回転シール構成体と協働し、内部及び環状の冷却剤チャンネルに
流れる冷却流体に対し、水圧対空気のシールを与える。 【0054】 流体分配ブロック112が、走査ホイールのハブ30の前面に取付けられてお
り、このブロックは、複数の半径方向に配置された放出流体チャンネル114を
含み、これらの流体チャンネルは、個々のヒートシンク組立体31の流体供給管
64と連通している。結合チャンネル115の同様の半径方向配列体が管63か
らの戻り流体を戻り流体チャンネル110Aに連通させる。114で示されたよ
うな結合シール構成体が管63及び64を密封状態で分配ブロック112へ結合
する。 【0055】 図11及び図12に関連して図1を参照すれば、駆動モータ22は回転数の高
い駆動力をベルト駆動ホイール99へ与え、これにより、シャフト96が回転さ
れると共に、ベルト駆動ホイール100が対応的に回転されることが明らかであ
ろう。この回転数の高い駆動力は、動力伝達ベルトによって図12のベルト駆動
ホイール101へ結合され、これにより、シャフト105及び全走査ホイール組
立体15が高い回転速度で回転される。 【0056】 以上の説明から明らかなように、周囲の雰囲気を真空室11内の真空から分離
するための非常に簡単且つ効果的な構成体である真空対空気の回転シャフトシー
ルを用いるだけで、走査ホイール組立体15のための高い回転速度の駆動力と、
走査アーム組立体17のための低速の歳差走査駆動力との両方が与えられる。典
型的に、走査ホイール組立体15は、イオンインプランテーション工程中に約1
200ないし1400rpm で回転される。走査アーム組立体は、典型的に、個々
のヒートシンクパドル及びその上のウェハを約2ないし12サイクル/分の割合
でイオンビームを通して前後に送るようなサイクルで、前後に歳差運動する。走 査アーム組立体17に対して回転駆動構成体を用いることにより、走査ホイール
組立体15を低速で走査運動させるための移動式の真空対空気シール構成体の必
要性が実際上排除される。回転式のフェロ・フロイディックの真空対空気シール
は、公知装置に用いられている移動式のシール構成体よりも非常に安価であり、
より効果的で、且つ信頼性が高い。これにより、二重走査駆動装置が全体的に非
常に簡単になると共に信頼性が増す。 【0057】 走査ホイール組立体15のための高い回転数の駆動力は、別の構成体によって
も与えられることを理解されたい。例えば、電気モータを中空の走査アームハウ
ジング94内に直接取り付け、走査アーム組立体を支持するシャフト15に実質
的に直接的に駆動力を伝達することができる。然し乍ら、冷却流体はホースを通
して走査アームハウジング94の内部に送り込むのが好ましく且つ便利であるか
ら、図11に示した中空駆動シャフト96を用いた同心的な駆動構成体は、走査
ホイールの駆動力を中空の走査アームハウジングの内部に結合する効果的な方法
を与える。特に、これにより、走査アーム組立体17の全重量が減少されると共
に、走査ホイール組立体及び走査アームの駆動方向を逆転する際に打ち勝たねば
ならない軸Aに対する全慣性モーメントが減少される。保守及び必要に応じて修
理を容易にするという目的については、駆動モータを外部に取付けるのが好まし
い。 【0058】 さて、図13を参照し、走査ホイール組立体と、これを真空室に対して回転さ
せるための取り付けと、イオンビームの方向とについての重要な幾何学的な関係
を説明する。この説明は、図13、並びに図3、図6、図9及び図10を用いて
行なう。図3及び図13に示すように、走査ホイール組立体15の回転軸Aは、
真空室の後壁に直角な線に対して傾斜されている。特に、軸A−Aは、イオンビ
ームの方向に平行な線に対して約7度傾斜している。説明上、イオンビームの方
向は、図13に示された直角座標系XYZの1つの軸を定めるものとし、この座
標系のY軸が、イオンビームの方向によって定められるものとする。この直角座
標系のX軸は、イオンビームの方向に垂直であり、XZ平面は、イオンビームの 方向線と、走査ホイールの回転軸A−Aとの両方に交差する。回転軸A−Aは、
走査アーム組立体17が軸B−Bに対して回転する時に小さな円弧を描くことを
想起されたい。然し乍ら、回転軸A−AについてのZ座標位置のこの変化は、実
際上は無視することができる。重要なことは、回転軸A−Aの7度の傾斜により
、この軸がイオンビームのY座標方向に対して小さな鋭角となるようにされ、従
って、軸A−Aがこの小さな鋭角でイオンビーム方向と交差するということであ
る。0度のインプランテーション角度を用いた時でも、ヒートシンク挿入体上の
ウェハ面に直角に実質的な遠心力を与えることができるのは、軸A−Aのこの傾
斜によるものである。 【0059】 図13に示すように、軸A−Aの7度の傾斜により、スポークアーム区分41
が、X軸に対して、即ち、イオンビームに垂直な線に対して、対応的に7度傾斜
される。ヒートシンクパドル45は、ヒートシンク挿入体の取付面がスポークア
ームに対して約10.5度傾斜されるように、スポークアーム41に対して傾斜され
る。さて、図13に示されたヒートシンク挿入体46Aを参照すれば、これは、
図9に示されたヒートシンク挿入体の位置に対応するものであり、ウェハ取付面
77は、パドルに対して加算的に3.5度の角度に順斜され、スポークアーム41
に対して合計14度の角度に傾斜される。スポークアームは、座標系のX軸に対
して7度に傾斜されるので、ウェハ取付面77とスポークアームとの間の14度
の角度により、ウェハ取付面77とXZ平面との間に7度の傾斜が生じる。これ
により、ウェハ取付面77上のウェハに対する7度のイオンインプランテーショ
ン角度として、Y座標軸を定めるイオンビーム方向とウェハ取付面77に直角な
線との間の角度が7度となる。 【0060】 図13において、46Bは、図10に示したヒートシンク挿入体46の逆の向
きを示している。X軸に対するヒートシンクパドルの取付面の角度は、3.5度で
あるから、減算方向におけるウェハ取付面77の3.5度の傾斜により、ウェハ取
付面77がXZ平面と平行になり、従って、イオンビームの方向は、図13及び
図10に示すようにウェハ取付面77に対して実質的に直角となる。然し乍ら、 図13に示すヒートシンクの向き46A及び46Bの場合には、ウェハ取付面7
7に直角な線が大きな鋭角で走査ホイール組立体の回転軸A−Aに交差する。従
って、軸Aの周りでの回転中には、ビームのインプランテーション角度が7度で
あるか0度であるかに拘りなく、ウェハ取付面に直角な遠心力成分が発生される
。 【0061】 図14及び図15は、ヒートシンク上のウェハに作用する遠心力を示している
。図14に示す場合には、遠心力がウェハの平面に対して7度の角度で作用し、
従って、ウェハをヒートシンクに押しつける実質的な力成分、もっと詳細に言え
ば、ウェハをヒートシンクのエラストマパッドに押しつける実質的な力成分が得
られる。大きな遠心力成分により、ウェハは縁拘束素子48Aに対して押しつけ
られる。これに対応して、図15に示されたように、インプランテーション角度
が7度の時には、走査ホイール組立体の高速回転によりウェハに生じる遠心力が
ウェハの平面に14度の角度で与えられ、遠心力の大きな直角成分が生じて、ヒ
ートシンクのエラストマパッドにウェハを押しつける。 【0062】 この点について示した図面並びに図13に示された本発明の実施例に用いられ
る幾何学的な角度は、本発明の一般的な考え方を示す一例に過ぎない。この一般
的な考え方とは、回転軸A−Aが、一般的にイオンビームの方向及びこの回転軸
によって定められた平面内において小さな鋭角でイオンビーム源に向かって傾斜
されることである。別の平面において回転軸を傾斜した場合にも、ヒートシンク
取付面に直角な遠心力がウェハに生じるが、走査ホイール組立体が回転する時に
一定のインプランテーション角度を与えない。図13に示す特定の幾何学形状は
、7度及び0度のインプランテーションに対する互いに逆向きの取付方向におい
て同じヒートシンク挿入体を使用できるという点で好ましい。走査ホイール組立
体の回転軸を10度傾斜し、走査ホイール組立体の主後面34に対するスポーク
アームの傾斜を適当に調整した場合にも、同じ結果が得られることが分かった。
軸A−Aを、図13に示す7度に代わって10度で傾斜させ、スポークアームを
、図13に示す10.5度に代わって13.5度で傾斜させた場合にも、ヒートシン ク挿入体46は、互いに対抗する方向の7度及び0度のインプランテーションに
使用できる。この場合の唯一の相違点は、7度及び0度の両方のインプランテー
ション状態において、ウェハをヒートシンクに押しつける遠心力の大きな垂直成
分が与えられることである。0度のインプランテーションの場合、ウェハにかか
る遠心力の角度が10度に増加し、そして7度のインプランテーション状態の場
合、ウェハに遠心力のかかる角度が17度となる。 【0063】 然し乍ら、回転軸の傾斜角度を増加することによってウェハに直角な遠心力を
増加することはできるが、走査ホイール組立体の全寸法を同じに保つ場合には、
この増加した角度を受け入れるように真空室11の深さを増大しなければならな
い。走査ホイールの軸Aの傾斜角を或る程度変えることはできるが、この角度を
小さな鋭角に維持し、軸B−Bに対する走査ホイール組立体の回転歳差において
、ウェハ取付面と後加速管14から放出されたイオンビームとの間の距離が一方
の行き過ぎ走査位置と他方の行き過ぎ走査位置とで著しく変化しないようにする
のが好ましい。これは、ウェハに当たるイオンビームが一定のスポットサイズを
もたない場合、即ち、ビームの全てのイオンがY座標方向に実質的に平行に進ま
ない場合に重要となる。 【0064】 図16は、色々な幾何学的形状のヒートシンク挿入体を用いてインプランテー
ション角度を0度と7度との間で変えるような走査ホイール組立体に本発明の一
般的な考え方を使用できることを示している。これは、本発明のこの特徴の一般
性を示している。 図17及び図18は、小さなサイズのウェハに使用できる小さな真空室及び小
さな走査ホイール組立体を用いた本発明の別の実施例を示している。この別の実
施例においても本発明の一般的な考え方は同じであり、その一般的な詳細につい
て以下に説明する。 【0065】 図17は、カセットと、このカセットをトンネル181に沿って装填ロック構
成体182へ自動的に供給するウェハ取扱装置(図示せず)とを備えたイオンイ ンプランテーション装置180を示している。装填ロック構成体は、ウェハカセ
ットをウェハ装填位置183付近に位置設定し、ウェハを走査ホイール組立体1
90に直列に装填したりここから取り外したりする。走査ホイール組立体は、イ
オンビームIに対してここに述べるように走査移動を行なうためにイオンインプ
ランテーション真空室184内に取付けられ、イオンビームは、添付図面に実質
的に垂直にその面から出てくるように投射される。図17に示すように、真空室
184は、ドア185によってシールされ、真空ポンプ188の作動により真空
室が所望の低い作動圧力に排気される。ドア185は、スライド部材187に沿
って開閉の往復移動を行なうように支持組立体186に取り付けられ、室184
に接近できるようにする。 【0066】 走査ホイール組立体190は、複数のウェハヒートシンク組立体189を備え
、これらの組立体は、回転走査中に個々のウェハを支持すると共に、ウェハのた
めのヒートシンクの作用も果たす。図18に示すように、ヒートシンク組立体1
89は、パドル状のウェハ支持体189Aと、アーム区分189Bとで構成され
る。ヒートシンク組立体189は、バネ偏位ヒンジ171又はこれと同様のもの
を介してウェハ支持ベース172に取付けられ、このベースは、ハブ192に取
付けられる。 【0067】 ベース172は、多数の色々なやり方で構成することができる。例えば、ベー
スは、軽量のアルミニウムのような金属の円形プレートで構成されるのが好まし
い。或いは又、軽量であることが重要な場合には、ベース172は、ベースプレ
ート172Bと、これに接合されるか或いはこれと一体的に形成された個々の支
持アーム172Aの半径方向配列体とによって構成され、その1つ或いはそれ以
上がヒンジ固定のヒートシンク組立体189の各々を支持するのが好ましい。ハ
ブ192は、半径方向揺動アーム組立体193の制御のもとで弧230に沿って
半径方向に走査移動するように取付けられる。ハブ192は、ハブ軸Aの周りで
回転するように走査アームハウジング194内に回転可能に取付けられる。ハウ
ジング194自体は、点Bにおいてシャフトの周りで回転するように取付けられ 、駆動アーム96によって駆動される。 【0068】 ハウジング194は、内部が大気圧に保たれた中空の走査アームである。これ
により、熱の除去が容易にされ、走査系統に関連した粒子が真空室から分離され
、駆動モータ197をハブ軸Aに任意に取付できるようにされる。走査アーム駆
動構成体、走査ホイール駆動構成体、並びにそれらの取付構成体は、図11に示
された構成体と同様である。 【0069】 走査ホイール駆動モータ197は、隣接するピボット点Bに取付けられて、は
め車ベルト198又はチェーン駆動装置を駆動し、歯付きプーリ199(図18
)、ホイールハブ192及び走査ホイール組立体190を回転させる。ピボット
アーム196は、シャフトによってハウジング194に一定の角度でしっかりと
取付けられ、ハブ192及び走査ホイール組立体190をピボット点Bの周りで
往復枢着回転させる。直線走査アーム駆動装置200は、固定のピボット点Eに
取付けられ、ピボット点Dにおいてピボットアーム196に取付けられる。走査
アーム駆動モータ205は、経路220の沿って走査アーム駆動装置200を往
復運動させ、駆動揺動アーム196を枢着回転させ、これにより、ハブ192及
び走査ホイール組立体を弧230に沿って往復走査移動させる。 【0070】 走査ホイール組立体190の他の素子が図18に示されている。ホイールハブ
192及びプーリ199は、室壁101に取付けられたフェロ・フロイディック
回転式真空シール/ベアリング組立体102によって互いに協働するように取付
けられる。パドル支持ブロック203は、ホイールハブ102の上部に取付けら
れる。水のような冷却材はしなやかな管状アーム91を経てウェハヒートシンク
組立体189へ循環される。1つの実施例において、各アーム91は、一対のス
テレンススチール管224を備えている。各管224の一端は、取付具206に
よって支持ブロック203に固定され、そしてその他端は、取付具207によっ
て関連パドル189に固定される。以下に述べる可変角度のパドル取付構成体を
用いる時には、各管224は、ループ204を組み込むことによってしなやかな ものとされる。或いは又は、ステンレススチール管に代わって可撓性の管を用い
てもよい。これらの管及びヒートシンク組立体189を通る冷却水は、固定の冷
却水供給シャフト及び戻りシャフト213及び214によって流される。即ち、
水は、加圧供給源(図示せず)から固定の水供給シャフト213を経て送られ、
上部管224、チャンネル217を経て循環され、次いで、チャンネル118、
下部管224及び戻りシャフト214を経て放出される。供給シャフト213と
パドル支持ブロック203との間には環状シール216が取付けられており、供
給管と戻り管を分離すると共に、支持ブロックのための回転シールを果たす。 【0071】 ヒートシンク組立体189の枢着運動により、個々のヒートシンク組立体18
9が回転される。この運動は、ホイール組立体の平面を実質的に横切る弧即ち経
路240に沿ったもので、これは、走査ホイール組立体190の回転により生じ
た遠心力から得られる。調整可能なストップ組立体208は、プレート209と
、調整可能なストップネジ211とを有し、これは、螺条が切られていて、ロッ
クナット212により予め選択された位置にロックすることができる。調整可能
なストップネジ211は、経路240に沿ってパドルの位置を選択するのに用い
られ、ひいては、イオンビームの経路Iに対するパドル189(支持断面189
Aの面)及びウェハの角度を選択するのに用いられる。 【0072】 図1ないし図3に説明を戻すと、公知の二重走査装置の場合と同様に、走査ホ
イール組立体15の低速走査及び高速走査に関する幾何学的なファクタは、一方
の行き過ぎ走査位置から他方の行き過ぎ走査位置への低速走査サイクル中に、高
速走査速度又は低速走査速度の片方又は両方を変更しなければならないようにな
っている。ウェハ面にわたるインプランテーションの分量を均一にするためには
、全イオンインプランテーション工程中にウェハの各基本的な表面積をイオンビ
ーム内に留める滞留時間を均一にしなければならない。 【0073】 走査ホイールの中心から一定のイオンビーム位置までの距離をrとすれば、走
査ホイールに対して1/rの速度駆動関係を得るように、本発明の低速走査構成 体を実施する方法は多数あることが明らかであろう。本発明の好ましい実施例で
は、走査アームに対して相似三角形式の取付及び駆動構成体が使用され、これに
より、低速走査駆動装置の機械的及び電気的な制御機能が大幅に簡単化される。
本発明のこの特徴は、図19及び図1に関連して最もよく説明することができる
。 【0074】 図19に示されたように、走査ホイール15の軸A、イオンビームの中心I及
び走査アーム16の回転軸Bは、三角形BAIを形成する。本発明によれば、ピ
ボットアーム18の長さと、軸Bに対する直線駆動構成体19の回転点Eの位置
は、三角形BDEが三角形BAIと相似になるように選択される。これは、各三
角形の包含角が同じで且つ辺の長さが比例することを意味する。 【0075】 この相似の取付関係により、点Eに向かう点Dの駆動速度を距離DEの逆数の
関数として制御して、点Iの方向における点Aの対応速度を距離AIの逆数の関
数として制御することができる。位置追跡装置250は、距離DEを追跡し、こ
れに対応する出力信号DEを発生する。除算回路251は、DE信号を速度制御
関数信号K/DEに変換する。但し、Kは、走査速度を決定する可変定数である
。このK/DE信号は、モータ制御回路252へ送られ、これは、K/DEの制
御関数に基づいてモータ19Aの速度を制御する。 【0076】 相似三角形の取付/駆動関係は、ピボットアーム18を走査アーム16と整列
して移動させることに等価な相似三角形BD’E’を考えることによって容易に
理解できよう。この構成は、幾何学的な点からは完全に等価であるが、明白な理
由から物理的なハードウェアにおいて使用するのは不便である。図示されたよう
に、点D’の瞬時速度は、ベクトルVD1であり、点Aの瞬時速度は、ベクトル
VA1である。1/r(即ち、1/AE)という関係をもたねばならないのは、
D’E’方向及びAI方向におけるこれらベクトルの成分である。 【0077】 長さD’E’を追跡し、その値に基づいてE’方向におけるD’の速度を制御 することにより、D’E’方向における走査速度が自動的に与えられ、これは、
D’E’の値に逆比例すると共に、相似であることにより、距離AIの値にも逆
比例する。従って、A及びDの各々が円弧において移動し、それらの瞬時速度ベ
クトルの方向が一定に変化しても、距離DEを追跡して1/DEの関数として速
度を制御することにより、速度ベクトルの方向の変化が自動的に補償されると共
に、いかなる走査位置においても軸Aとイオンビームの中心Iとの間の線に沿っ
たベクトル成分に基づいて制御が行なわれる。 【0078】 明らかなように、モータ及びギア構成体を用いて走査アーム16を駆動するこ
とができると共に、複雑なコンピュータ形成アルゴリズムを用いてモータの速度
を制御し、1/r走査関数を得ることができる。この構成では、走査アームに対
する取付構成体の利点が利用されるが、これを実施するにはより経費がかゝる。 図1に示されたイオンインプランテーション装置では、これに用いられるイオ
ンビーム線上に部品やウェハ取扱及びウェハ走査組立体に対し高度で精巧なコン
ピュータ制御が使用される。従って、監視及びその他の信号ラインを走査アーム
組立体17に接続することができ、高速走査モータ22と、低速走査親ネジ駆動
構成体19のモータの両方をコンピュータで制御して、半導体ウェハのバッチを
完全に自動制御処理し、走査ホイール組立体上の25個の各ウェハに規定のイン
プランテーション分量の予め選択されたイオン種を与えることができる。この完
全なコンピュータ制御は、分量監視構成体と一体化され、これらの構成体は、装
置の実質的に全部の二重走査サイクルにわたってイオンビーム電流レベルを監視
できるような走査ホイール組立体の設計によって容易なものとされる。整数回の
低速走査サイクルに最終的な目標分量がウェハに均一にインプランテーションさ
れるように、必要に応じて、低速走査サイクルの数及び走査サイクルの速度をイ
ンプランテーション工程中に変更することができる。従って、低速走査駆動につ
いての全コンピュータアルゴリズムは、多数の複雑なファクタを含むことになる
が、これらのファクタは、電子技術及びコンピュータに精通した技術者であれば
、容易に理解して加味することができ、この高度な能力は、前記した本発明の設
計概念によって可能とされる。 【0079】 本発明の実施例の以上の説明から、電流が非常に大きいイオンインプランテー
ション装置においてウェハ取扱及び走査装置に必要とされる全ての特徴が得られ
ることが明らかであろう。 1)直径6インチまでのウェハ25個より成る全バッチの走査が、本発明によ
り走査ホイール組立体に設けられた25個の個々のヒートシンク組立体によって
行なわれる。 【0080】 2)変動率0.75%未満の均一な分量が、本発明による二重走査駆動構成体
の高速及び低速走査運動の正確な制御によって容易に達成される。上記の構成体
は、慣性が小さく且つ摩擦が低い簡単で且つ信頼性の高い装置である。走査ホイ
ール組立体の開放領域特徴により、正確な実時間電流測定、累積分量の正確な測
定及び走査サイクルの確実な制御が容易に行なわれ、インプランテーションの最
終的な目標分量を得るための精度及び均一性が得られる。 【0081】 3)4KWのビーム出力において80℃未満のウェハ温度を維持することがで
きる。これは、スポークアームとウェハヒートシンクパドル及び挿入体との間で
走査ホイール組立体が開放形態とされると共に、ヒートシンクパドルに水冷チャ
ンネルが設けられ、ウェハと冷却流体との間に効果的な熱伝達機構が与えられ、
更に、ウェハの面に直角な遠心力成分を効果的に用いて、インプランテーション
中の機械的なウェハクランプ作用を回避することにより達成される。 【0082】 4)平らなウェハ取付面を有するヒートシンク組立体の設計及びウェハ走査装
置の走査移動によってインプランテーション角度の変動が回避される。 5)ウェハ縁クランプを排除すると共に、従来の真空対空気のシール構成体を
回避することによって汚染源が相当に減少される。全ての潤滑面は、真空室の外
部にある。スパッタ汚染を減少するため、走査中にイオンをさえぎる走査ホイー
ルの表面積が最小とされる。 【0083】 6)冷却が困難なウェハ縁クランプや、機械的なストレスを招くドーム状のウ
ェハ取付面を回避することにより、ウェハに対する機械的及び熱的なストレスに
よる損傷が実質上なくされる。 7)走査ホイール組立体及び個々のヒートシンクパドルが真空室の片側付近の
ウェハ移送ステーションに容易に配置されるので、ウェハの装填及び取外しの完
全な自動化が容易に達成される。本発明による走査ホイール組立体の設計特徴及
びその駆動構成体により、全インプランテーション工程のコンピュータ制御によ
る自動化も容易に達成される。 【0084】 本発明によるウェハ走査装置の設計及び作動上の特徴、エイトケン氏の大電流
ビーム電流技術、ストーンストリート氏の特許出願に開示された自動ウェハ取扱
及び装填装置、及び高度なコンピュータ制御式の自動化機能の組み合わせにより
、半導体産業の高度な要求に合致するように性能が著しく改善されたイオンイン
プランテーション装置が提供される。 【0085】 本発明の種々の実施例の以上の説明から明らかなように、特許請求の範囲に規
定された本発明の範囲から逸脱せずに多数の色々な修正及び変更がなされ得るこ
とが当業者に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明によるウェハ走査装置を組み込んだイオンインプランテーヘョン装置の
斜視図。 【図2】 本発明による走査ホイール組立体の前面図。 【図3】 本発明によるウェハ走査装置の部分破断上面図。 【図4】 本発明によるウェハ走査装置のヒートシンク組立体に対する取付構成体を示す
部分平面図及び断面図。 【図5】 本発明によるウェハ走査装置のヒートシンク組立体に対する取付構成体を示す
部分平面図及び断面図。 【図6】 本発明による走査ホイール組立体のためのヒートシンク組立体の上面、背面及
び前面図。 【図7】 本発明による走査ホイール組立体のためのヒートシンク組立体の上面、背面及
び前面図。 【図8】 本発明による走査ホイール組立体のためのヒートシンク組立体の上面、背面及
び前面図。 【図9】 本発明によるヒートシンク組立体の部分断面図。 【図10】 本発明によるヒートシンク組立体の部分断面図。 【図11】 本発明による走査ホイール組立体のための取付及び駆動構成体を示す断面図。 【図12】 本発明による走査ホイール組立体のための取付及び駆動構成体を示す断面図。 【図13】 本発明によるウェハ走査装置の作動原理を説明するのに有用な図。 【図14】 本発明によるウェハ走査装置の作動原理を説明するのに有用な図。 【図15】 本発明によるウェハ走査装置の作動原理を説明するのに有用な図。 【図16】 本発明によるウェハ走査装置の作動原理を説明するのに有用な図。 【図17】 本発明によるウェハ走査装置の別の実施例を示す前面図及び部分断面図。 【図18】 本発明によるウェハ走査装置の別の実施例を示す前面図及び部分断面図。 【図19】 本発明による合同三角形式の取付及び駆動構成体を示す低速走査制御構成体の
概略図。 【符号の説明】 10 イオンインプラテーション装置 11 ウェハ処理室(真空室) 12 フロントドア 14 後加速系統 15 走査ホイール組立体 15A 取付パドル 16 取付及び駆動構成体 17 走査アーム組立体 18 駆動アーム 19 モータ及び親ネジ駆動構成体 22 モータ 23 ベルト駆動の伝達構成体 24、25 ストップ支柱組立体 26 個別の室 27 装填ロックドア 30 中心ハブ組立体 31 ヒートシンク組立体 32 冷却流体供給構成体 33 取付構成体 34 バックプレート 40 ベアリング及びロータリ真空シール構成体 41 スポークアーム 43 取付フランジ 44 半導体取付孔 45 ヒートシンクパドル 46 ヒートシンク挿入体 48 ウェハ縁拘束具 49 ウェハクランプ構成体 51 アクチュエータアーム 52 クランプ素子 60 ヒートシンク冷却チャンネル 80 半導体ウェハ

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 イオンビームを発生して投射する手段、複数の半導体ウェハを
    支持し、ウェハ処理室内に回転するように取り付けられている走査ホイール組立
    体、この走査ホイール組立体をそれの中心軸の周りで回転する回転手段及びイオ
    ンビームの一側から他側へすべての半導体ウェハが横切るように走査ホイール組
    立体をそれの中心ハブの回転軸に垂直な方向に前後に動かす手段を備え、前記の
    走査ホイール組立体の中心ハブの回転軸はイオンビームの進行方向とそれの回転
    軸とによって決まる面内でイオンビームの進行方向に対して第1の小さい角度で
    イオンビームの源の方へ傾斜しており、前記の中心ハブへ取り付けられている複
    数のスポークアームは前記の中心ハブの回転軸に垂直な方向に延び、各スポーク
    アームの端に取り付けたウェハ取付けパドルは前記の回転軸に垂直な方向に対し
    て第2の小さな角度をなしており、この小さな第2の角度は前記の走査ホイール
    組立体の回転中ウェハ取付け面にウェハを押しつける遠心力のウェハへの垂直成
    分を生ぜしめてウェハ取付け面にウェハを保持し、前記の回転手段はこの遠心力
    のウェハへの垂直成分を生ぜしめるに足る速度で前記の走査ホイール組立体をそ
    れの中心軸の周りで回転し、前記のウェハ取付けパドルはそれを通っている冷却
    流体チャンネルと、これらの冷却流体チャンネルを前記の中心ハブに接続するパ
    イプとを有し、前記のウェハ取付けパドルは前記の走査ホイール組立体の周縁で
    相互に離されていることを特徴とするイオンビームにより半導体ウェハを走査す
    る装置。 【請求項2】 複数のスポークアームは中心ハブへ取り外せるように取り付け
    られている請求項1に記載のイオンビームにより半導体ウェハを走査する装置。 【請求項3】 各スポークアームは第1のスポークアーム部分と、この第1の
    スポークアーム部分に対して第2の小さな角度で延びる第2のスポークアーム部
    分とを備え、そして前記のウェハ取付けパドルはこの第2のスポ ークアーム部分へ固定されている請求項1に記載のイオンビームにより半導体ウ
    ェハを走査する装置。 【請求項4】 ウェハ取付けパドルは、走査ホイール組立体が高速回転してい
    ないときウェハ取付け面にウェハを一時的に押しつけているウェハクランピング
    手段を有している請求項1に記載のイオンビームにより半導体ウェハを走査する
    装置。 【請求項5】 ウェハクランピング手段が、一対のクランプ素子と、ウェハ取
    付け面と反対の側でウェハ取付けパドルへ前記のクランプ素子を取り付ける手段
    とを含み、このクランプ素子を取り付ける手段はウェハ取付け面上のウェハの縁
    にクランプ素子を押しつけるバネ手段と、走査ホイール組立体が高速回転すると
    き前記のクランプ素子を前記のウェハの縁から引き戻すように前記のクランプ素
    子に働く弾性力に対抗する慣性アクチュエータ手段を含み、それによって高速回
    転中は半導体ウェハに垂直な遠心力の成分だけで半導体ウェハをウェハ取付け面
    に保持するようにした請求項4に記載のイオンビームにより半導体ウェハを走査
    する装置。

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