JP2572913B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

超音波診断装置

Info

Publication number
JP2572913B2
JP2572913B2 JP3277805A JP27780591A JP2572913B2 JP 2572913 B2 JP2572913 B2 JP 2572913B2 JP 3277805 A JP3277805 A JP 3277805A JP 27780591 A JP27780591 A JP 27780591A JP 2572913 B2 JP2572913 B2 JP 2572913B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wavefront
signal
blood flow
frequency
data
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP3277805A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05115477A (ja
Inventor
雅彦 権藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Olympus Optical Co Ltd filed Critical Olympus Optical Co Ltd
Priority to JP3277805A priority Critical patent/JP2572913B2/ja
Priority to US07/953,811 priority patent/US5349960A/en
Priority to DE69219050T priority patent/DE69219050T2/de
Priority to EP92308977A priority patent/EP0535962B1/en
Publication of JPH05115477A publication Critical patent/JPH05115477A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2572913B2 publication Critical patent/JP2572913B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、生体内の血流等の移
動物体の速度情報を映像化する超音波診断装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】ドップラ効果を利用して血流速度の分布
を測定し、超音波反射の映像と重畳して表示する超音波
診断装置は、カラードップラ装置と呼ばれ、例えば特公
平3−23050 号公報、特開平1−99541 号公報、特開平
2−268747号公報に開示されていると共に、広く用いら
れている。この血流速度分布の測定原理は、振動子アレ
イを用いた超音波ビームによりパルス波を一定周期で送
信し、反射体より反射波がかえってくるまでの時間を測
定するとともに、受信信号の周波数変化を検出すること
で、反射体の位置と動きを測定するものである。このカ
ラードップラ装置は、はじめのうちは心臓等の循環器系
を対象としていたが、最近ではドップラのもつ情報量の
多さから腹部臓器の診断にも多用されるようになってき
た。
【0003】図7は、従来のカラードップラ装置のドッ
プラ測定関連部の構成を示すものである。ここで、1は
振動子本体、2は振動素子、102 は遅延回路、103 は切
り換え回路、5は信号発生器、105 はパルス発生回路、
106 は加算回路、107 は受信増幅回路、10はバンドパス
フィルタ(BPF) 、11は90度移相器、12a,12bは乗算器、1
3a, 13bはローパスフィルタ(LPF) 、14a, 14bはA/D
コンバータ,113 は血流成分のみを取り出す MTIフィル
タ、114 は周波数成分を検出する自己相関回路をそれぞ
れ示す。
【0004】このカラードップラ装置においては、信号
発生器5の出力をパルス発生器105に供給して中心周波
数fo のパルスを発生させ、このパルスを切り換え回路
103および遅延回路102 を経て振動子本体1に供給し
て、超音波ビーム100 が所定の方向に向くように個々の
振動素子2を所定のタイミングで駆動している。また、
超音波ビーム100 を横切る血管101 内の血球からの反射
波は、振動子本体1の各振動素子2で電気信号に変換し
て遅延回路102 および切り換え回路103 を経て加算回路
106 で加算し、その出力を受信増幅回路107 で適正な大
きさに増幅した後、BPF10 で帯域外の雑音をカットし
て、乗算器12a, 12bおよびLPF13a, 13b で構成される直
交検波回路に供給し、これにより信号発生器5と90度移
相器11の出力である中心周波数fo の基準信号からの差
分周波数成分Δfを検出している。
【0005】ここで、差分周波数成分Δfは、血流のド
ップラ周波数で、このドップラ周波数は超音波ビーム10
0 と血管101 のなす角度に依存し、実際の血流速度Vの
ビーム方向速度成分Vdに対応する。このため、血流速
度は振動子本体1と血管101の間の角度に大きく依存す
ることになる。
【0006】直交検波回路を構成する LPF13a, 13bの出
力は、A/Dコンバータ14a, 14bでそれぞれデジタル信
号に変換して MTIフィルタ113 に供給し、ここで直交検
波出力に含まれる静止組織からの信号に対応する直流成
分の信号 (クラッタ信号) を取り除いて血流反射信号の
みを抽出し、その出力を自己相関回路114 に供給して差
分周波数成分Δfを測定し、これを図示しないデジタル
スキャンコンバータや表示器を用いて、組織の反射信号
の強さを表わすBモード像に重畳させて、赤や青で色付
けして表示している。なお、血球からの反射波のドップ
ラ成分は、ばらつきが多いため、ある方向に対して10回
程度送信を繰り返し、その平均を求めることによりドッ
プラの測定精度を向上させるようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のカラードップラ装置にあっては、低速血流の観
察時において静止組織からのクラッタ信号と血流信号と
の分離が困難であるために、測定不能になるという問題
がある。すなわち、このクラッタ信号と血流信号との分
離には、MTI フィルタ113 が用いられているが、このMT
I フィルタ113 はデジタル回路によって構成され、その
通過特性は、図8に示すように、応答特性とのかねあい
もあって、あまり急峻にできない。このため、クラッタ
信号を抑圧しようとすると血流信号まで減衰させる結果
となって、血流速度の小さい信号の観測ができなくな
る。また、ドップラ効果は超音波ビーム方向について生
じるため、距離方向の血流速度は検出できるが、ビーム
と直交する方向の血流については、その血流速度を測定
することができないという本質的な問題がある。
【0008】一方、超音波ビームは、各振動素子2から
の位相合成で作られるが、各振動素子2と反射体との関
係をミクロ的にみると、遠距離部の反射体を見込む角度
は、各振動素子2間で大幅な変化はないが、振動素子2
に近接したところでの反射体を見込む角度は、各振動素
子2間で大きく異なる。また、ドップラ効果は、振動素
子2から見た反射体までの見込み角度に大きく左右され
る。このため、近接した反射体の場合には、ドップラ周
波数に大きな偏差が生じ、測定精度が悪くなるという問
題がある。この問題は、ダイナミックフォーカス等を用
いて、近距離部の空間分解能を改善しても、解決するこ
とができない。
【0009】さらに、上述した従来のカラードップラ装
置においては、Bモード像を得るための通常の送信シー
ケンス以外に、微弱な血流情報を検出するためのドップ
ラ専用の時間幅の大きいパルスを送信するシーケンスが
ある。また、良好なドップラ信号を得るには、10回程度
のシーケンス間の平均操作が必要となる。このため、従
来のカラードップラ装置では、Bモード像のみの場合と
比べて、大幅にフレームレイトが低下したり、空間分解
能が低下するという問題がある。
【0010】この発明は、上述した従来の問題点に鑑み
てなされたもので、開口合成技術に空間周波数の概念を
取り入れることにより、Bモード像と同様に高い空間分
解能で、フレームレイトを低下させることなく、低速血
流も容易に測定できると共に、振動子面と平行な方向の
血流も測定できるよう適切に構成した超音波診断装置を
提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明では、アレイ状に並べた振動素子群と、そ
れらを切り替えるためのマルチプレクサと、このマルチ
プレクサの出力を増幅する受信増幅回路と、その出力を
複素数信号としてデジタル信号に変換するA/Dコンバ
ータと、該デジタル信号を各振動素子に対応させて、複
素数の波面データとして格納する波面メモリと、これら
波面メモリに格納した複素数の波面データに基づいて空
間周波数を求めるスペクトル分布検出器とを具え、この
スペクトル分布検出器で求めた空間周波数の直流成分か
ら超音波反射強度を求め、空間周波数の直流以外の周波
数成分から血流速度を求めるよう構成する。
【0012】
【作用】すなわち、この発明では、マルチプレクサによ
り振動素子を順次切り替えながら、送信・受信を繰り返
し、各振動素子によって得られた受信信号を波面データ
として波面メモリに格納し、これらの波面データから任
意の焦点を結ぶように時間調整してサンプリングし、こ
の一連のサンプリングデータを空間変数としてとらえて
スペクトル分布検出器により空間周波数を検出し、この
スペクトル分布により血流速度を求める。
【0013】ここで、スペクトル分布検出器で検出され
る空間周波数は、各振動素子と時間と共に変化する血球
の相対位置関係によって関連づけられ、例えば血球が近
づく場合はプラスの周波数、遠ざかる場合はマイナスの
周波数、左右に動く場合はプラスとマイナスの周波数成
分を含むことになる。したがって、このスペクトル分布
の違いを検出すれば、超音波ビーム方向の血流速度のみ
ならず、ビームと直交する方向の血流速度も測定するこ
とができる。また、この空間周波数の直流成分は、単純
に反射強度を表すので、これをBモード像のデータと
し、その他の周波数成分は血流成分を表すドップラデー
タとして表示することができる。
【0014】
【実施例】図1は、この発明の一実施例を示すものであ
る。図1において、1は振動子本体、2-1 〜2-7 は振動
素子、3は超音波パルス波面、4は振動素子を切り換え
るための先端部マルチプレクサ、5は信号発生器、6は
パルス発生器、7は送信アンプ、8は受信増幅回路、9
は受信増幅回路8の増幅度を制御するための STCコント
ロール回路、10はBPF、11は90度移相器、12a, 12bは
乗算器、13a, 13bはLPF、14a, 14bはA/Dコンバー
タ、15a, 15bはメモリを切り換えるためのメモリ用マル
チプレクサ、16は先端部マルチプレクサ4およびメモリ
用マルチプレクサ15a, 15bを送信毎に切り換えるための
切り換えコントロール回路、17は波面メモリ、18はアド
レス制御回路、19は高速フーリエ変換回路(FFT) 、20は
速度演算回路をそれぞれ示す。なお、波面メモリ17は、
振動素子2-1〜2-7 に対応して、実数部波面メモリA1〜A
7および虚数部波面メモリB1〜B7を具える。
【0015】この実施例では、まず、切り換えコントロ
ール回路16の指示により先端部マルチプレクサ4とメモ
リ用マルチプレクサ15a, 15bを、振動素子2-1 および波
面メモリA1, B1に切り換え、この状態で信号発生器5の
出力によりパルス発生回路6、送信アンプ7および先端
部マルチプレクサ4を経て振動素子2-1 を駆動し、超音
波パルス3を発生させる。この超音波パルス3による成
体組織および血球からの反射波は、振動素子2-1 で電気
信号に変換し、その受信信号を先端部マルチプレクサ4
を経て受信増幅回路8に供給して適正な大きさに増幅す
る。この時、遠距離部になるほど信号が小さくなるの
で、STC コントロール回路9の制御により時間と共に増
幅度を大きくする。
【0016】受信増幅回路8の出力は、BPF10 により余
分な雑音を取り除いた後、次段の乗算器12a, 12b、LPF1
3a, 13b および移相器11から成る直交検波回路に供給し
て、入力信号を(1) 式で示すベースバンド帯の複素数信
号g(t, x)に変換する。これら実数部と虚数部とに分離
された複素数信号は、それぞれA/Dコンバータ14aお
よび14b によってデジタル信号に変換した後、マルチプ
レクサ15a, 15bを経て実数部波面メモリA1および虚数部
波面メモリB1に時系列データとしてそれぞれ格納する。
【数1】 g(t,x) =a(t,x) +jb(t,x) ------- (1) ここに、a(t,x) は実数部データ、b(t,x) は虚数部デ
ータを示し、xは振動素子の空間位置を示す。
【0017】次に切り換えコントロール回路16の制御下
に、先端部マルチプレクサ4およびメモリ用マルチプレ
クサ15a, 15bにより、振動素子2-1 から振動素子2-2
へ、波面メモリA1, B1から波面メモリA2, B2へ切り換え
て、同様にして送信・受信を行い、その組織および血流
からの反射信号を時系列データとして波面メモリA2, B2
へ格納する。
【0018】以上の処理を繰り返して、全ての振動素子
2-1 〜2-7からの波面データを波面メモリ17に格納した
ら、その格納した波面データを開口合成法により処理し
て、各空間における超音波反射像を再現する。図2は、
開口合成法を説明するための図で、21a, 21bは超音波反
射体、22は波面メモリ、23は波面合成した結果を示すも
のである。ここで、振動素子2-1 から超音波パルスが送
波されると、反射体21a, 21bによって超音波パルスが反
射され、波面信号24-1として波面メモリ22に格納され
る。同様に、他の振動素子 (例えば2-7)から超音波パル
スが送波されると、その波面信号 (例えば24-7) が波面
メモリ22に格納される。これらの波面信号24-1や24-7
は、各振動素子2-1, 2-7と反射体21a, 21bの空間相対位
置関係が異なるために、それぞれ異なる波形となる。
【0019】したがって、ある任意の空間において、各
振動素子2-1 〜2-7 で焦点を作るように、波面メモリ22
内で伝搬時間の遅れ進みを調整して加算すれば、従来の
遅延回路によるビーム合成と同様に、方位指向性をもた
せることができる。これは一般に“Dilay and Sum ”と
呼ばれている。この合成する波面を、全ての空間を対象
にして合成すれば、反射体の分布の様子が得られる。
【0020】ここで、特筆すべきことは各振動素子2-1
〜2-7 単体での指向特性が広く、十分な方位分解能が得
られなくても、波面合成することにより振動子本体1の
もつ指向特性が鋭くなり、方位分解能が改善されること
である。これは、見方をかえれば、開口の小さな振動子
を大きい空間を移動しながら波面信号を検出し、それら
を全て用いて合成すれば、あたかも開口の大きい振動子
を用いたときと同じように鋭い指向特性が得られるもの
で、このことから開口合成といわれるゆえんである。
【0021】次に、反射体の動きを検出する原理を、図
3を用いて説明する。図3(a) は反射体21が静止してい
る場合を示すもので、前述した送受信のシーケンスによ
り波面メモリ22に一連の時系列データが格納される。そ
の時系列データを、反射体21の空間位置に応じた遅延時
間で・印25に示すようなサンプリングポイントでサンプ
リングすると、実線26で示すようなある瞬間における空
間データが得られる。次に、受信波の中間周波数におけ
る位相が90度遅れたところでサンプリングすると、破線
27で示すような空間データが得られる。この場合、これ
ら実線26および破線27のデータは、一組のペアとして複
素数信号として表すことができる。この空間データの周
期的な変化は、空間周波数と呼ばれるもので、この場合
はほとんど直流成分のみとなる。この空間データの空間
周波数成分を検出するために、図1に示す FFT19でフー
リエ変換すれば、P(f) に示すような空間スペクトルが
得られる。このスペクトルは、ある空間の1ポイントの
データを示すものである。
【0022】図3(b) は反射体21が近づいている場合を
示したもので、送受信のシーケンスが振動素子2-1 から
振動素子2-7 へ変わるのに従い、反射体21と振動素子2-
1 〜2-7 の距離が図3(a) の場合に比べて、だんだんと
短くなるため、波面メモリ22のデータも時間的にわずか
ずつずれた信号となる。この波面データを図3(a) の場
合と同じサンプリング時刻(・印25で示す) でサンプリ
ングすると、周期成分を持った信号が検出される。これ
を図1の FFT19でフーリエ変換すると、正の周波数の所
にピークを持った空間スペクトルが得られる。
【0023】図4は、この波面データが少しずつずれる
現象を分かりやすく説明したもので、上から順に反射体
21が振動子2に少しずつ近づいている状態を示したもの
である。反射体21と振動子2の距離が短くなるに従い、
受信波が早く到達するようになる。したがって、ある時
刻でサンプリングすれば、反射体21の移動の様子が位相
の変化となって現れてくるので、このサンプリングを90
度位相が異なる2箇所で行えば、複素数信号として表す
ことができる。
【0024】図3(c) は反射体21が振動素子列 (2-1 〜
2-7)と、すなわち超音波ビーム方向と直交する方向に平
行に動いている場合を示したものである。この場合に
は、送受信のシーケンスが、振動素子2-1 から振動素子
2-3 までは、反射体21の動きと共に空間距離が短くな
る。これに対し、振動素子2-4 から振動素子2-7 までの
送受信のシーケンスでは、反射体の動きと共に空間距離
が長くなる。このため、図3(a) の場合と同じ時刻でサ
ンプリングすると、正および負の周波数成分を持った信
号成分が検出される。これら正および負の周波数成分
は、複素数化したサンプリングデータによって見分けが
つくので、このデータをもとに図1の FFT19でフーリエ
変換を行えば、正の成分と負の成分の両方を持ったスペ
クトルが検出される。
【0025】なお、反射体21が振動素子列から遠ざかる
場合は、図3(b) の場合と反対となり、フーリエ変換の
結果、負のスペクトル成分が検出される。また、反射体
21が図3(c) の場合と反対方向に振動素子列と平行に動
く場合は、フーリエ変換の出力である移相スペクトルが
図3(c) の場合と異なるため、その方向も検出できる。
【0026】以上の説明から明らかなように、ある焦点
の反射信号を構成する複素信号は、図1に示すように入
力信号を乗算器12a, 12b、LPF13a, 13b 、移相器11を用
いた直交検波回路で検出できる他、相対的に位相が90度
ずれたところでサンプリングして検出することもでき
る。
【0027】図5は、開口合成法の波面合成により、超
音波ビームの指向特性が変化する様子を概念的に説明す
るもので、(a) は真正面方向、(b)および(c) の左右の
方向に指向特性を作る場合をそれぞれ示したものであ
る。28a, 28bおよび28c は、データをサンプリングする
ための時刻を示す整相波面である。また、29a, 29bおよ
び29c は、サンプリングデータを距離に応じて格納する
ためのメモリで、この図では整相波面の数に応じてメモ
リが用意されているが、実際にはもっとたくさんにな
る。メモリ22内の整相波面をこのようにいろいろと変え
ることで、任意の方向に指向特性を得ることができる。
【0028】この実施例では、図1に示すアドレス制御
回路18により波面メモリ17のアドレスを制御して上記の
整相波面を得、その波面データをもとに反射映像再生処
理を行う。すなわち、波面メモリ17に振動素子2-1 〜2-
7 に対応する全ての波面データを格納したら、アドレス
制御回路18で、ある方向の整相波面を構成するように時
間軸を調整して波面メモリ17のアドレスを制御し、これ
によりその整相波面の波面データg(x) を読み出す。こ
の波面データg(x) は、FFT19 に供給し、ここで、次式
により空間周波数を示すスペクトル分布G(w) を求め
る。
【数2】 ここで、l は、振動素子で構成するアレイ長を、P(w)
はパワースペトクルを、θ(w) は位相スペクトルを示
す。
【0029】波面データg(x) は、上述した説明から明
らかなように、実数部データA1〜A7(a(x) )と、虚数
部データB1〜B7(b(x) )とに分かれているので、FFT1
9 によりスペクトル分布G(w) を求めることにより、こ
のスペクトル分布G(w) の実数部データA(w) と、虚数
部データB(w) とから、上記の(4) 式および(5) 式をも
とにパワースペクトルP(w) および位相スペクトルθ
(w) を求めることができる。
【0030】FFT19 の出力であるスペクトル分布は、図
6に示すように、静止組織からの反射信号(クラッタ信
号)と血流からの反射信号とが重なったものとなる。こ
こで、静止組織からの反射信号は常に直流成分となるの
で、これをBモード像の信号源として出力する。また、
このスペクトル分布は、速度演算回路20に供給して周波
数弁別により血流信号を取り出したり、周波数スペクト
ル分布の形状により血流の大きさおよび方向を求めて、
ドップラ信号として出力する。ここで、血流速度の大き
さは、スペクトルの平均周波数に対応し、血流の方向は
図3を用いて説明したように、そのパワースペクトル分
布P(W) や位相スペクトルθ(W) の形状によって決定さ
れる。なお、速度演算回路20でのスペクトル分布の周波
数弁別は、容易に行うことができるので、血流の信号成
分を減算させることなく、クラッタ信号を含まない血流
信号のみを取り出すことができる。
【0031】速度演算回路20の出力であるドップラ信号
は、その情報に基づいて彩色して図示しないデジタルス
キャンコンバータ等により画像処理した後、Bモード像
に重畳させて表示する。
【0032】なお、この発明は上述した実施例にのみ限
定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能で
ある。例えば、上述した実施例では、振動子本体の振動
素子の数を7個として説明したが、実際にはもっとたく
さんの振動素子数(例えば、64個程度) で振動子本体を
構成する。このように、振動素子数を増加すれば、ビー
ム指向特性が鋭くなるので、空間分解能を向上すること
ができる。また、あるポイントの反射映像を作るための
全体の送受信シーケンスに要する時間が長くなることか
ら、血球のゆっくりした動きを検出することができる共
に、送受信シーケンスが増えることで、データ数も増え
るので、ドップラの測定精度も向上することができる。
【0033】さらに、上述した実施例では、FFT を用い
て空間周波数のスペクトルを求めたが、他のスペクトル
分布検出器を用いて空間周波数のスペクトルを求めるこ
ともできる。また、振動素子の配列は、直線上に限ら
ず、円周配列や、直線配列と円周配列との中間である通
称“コンベックス”と呼ばれているアレイ型配列とする
こともできる。このように振動素子の配列が変わった場
合には、その振動素子配列が所望の焦点を構成するよう
に、図1のアドレス制御回路18によって時間調整による
波面整合を行えばよい。
【0034】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、各振
動素子について得られた波面データをメモリに蓄え、こ
れらの波面データに基づいて空間周波数のスペクトル分
布を求めるようにしたので、その空間周波数の直流成分
から組織の反射強度を、それ以外の周波数成分から血流
速度を求めることができる。また、組織からの反射信号
と血流速度信号は、単にフーリエ変換の結果を用いて周
波数弁別することにより容易に分離することができるの
で、低周波成分の減衰もなく、かなり低速血流まで検出
することができる。さらに、空間周波数のスペクトル分
布の形状を求めることにより、超音波ビーム方向のみの
血流成分だけでなく、ビームと直交する方向についても
血流速度を求めることができる。
【0035】また、従来の超音波ビーム合成法では、各
振動素子の出力を用いてビーム合成し一括してそのビー
ム内の血流成分を求めていたので、特に至近距離におい
て測定精度が劣化するという問題があったが、この発明
では1個1個の振動素子と血球の動きの相対関係によっ
て空間周波数が決定されるので、至近距離においても血
球の動きが厳密に空間周波数に反映され、精度よく血流
速度を求めることができる。
【0036】さらに、この発明では、スペクトル分布検
出器の出力である直流成分からBモード像を求め、それ
以外の周波数成分から血流速度成分を求めるようにして
いるので、特別に血流速度を求めるための送信シーケン
スを設ける必要がない。また、通常の構成では、あるポ
イントの血球に対して数10回の反射エコーをもとに波面
合成して血流速度成分を検出するようにしているが、こ
の発明ではこのような平均操作が不要になる。したがっ
て、従来のBモード像と比べてフレームレイトが低下す
ることがないと共に、カラードップラのモードにおいて
も応答性のよい血流速度分布を映像化することができ
る。さらに、また、多数の送信シーケンスによって血流
速度を求めるようにしているので、最低測定速度が小さ
くなり、流速の小さい血管の観察も容易にできる。この
ように、流速の小さい血流も測定でき、また振動素子列
と平行(プローブの振動面と平行)な血流も測定できる
ことから、腹部臓器を対象とした診断にきわめて有用に
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す図である。
【図2】開口合成の概念を説明するための図である。
【図3】反射体の動きを検出する原理を説明するための
図である。
【図4】反射体の動きによって位相波面がずれることを
説明するための図である。
【図5】指向特性を変化させる概念を説明するための図
である。
【図6】周波数弁別によるクラッタ信号と血流信号の分
離を説明するための図である。
【図7】従来の技術を説明するための図である。
【図8】従来例におけるクラッタ信号と血流信号の分離
を説明するための図である。
【符号の説明】
1 振動子本体 2-1 〜2-7 振動素子 4 先端部マルチプレクサ 8 受信増幅回路 11 90度移相器 12a, 12b 乗算器 13a, 13b ローパスフィルタ(LPF) 14a 14b A/Dコンバータ 15a 15b メモリ用マルチプレクサ 17 波面メモリ 18 アドレス制御回路 19 高速フーリエ変換器(FFT) 20 速度演算回路

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アレイ状に並べた振動素子群と、それら
    を切り替えるためのマルチプレクサと、このマルチプレ
    クサの出力を増幅する受信増幅回路と、その出力を複素
    数信号としてデジタル信号に変換するA/Dコンバータ
    と、該デジタル信号を各振動素子に対応させて、複素数
    の波面データとして格納する波面メモリと、これら波面
    メモリに格納した複素数の波面データに基づいて空間周
    波数を求めるスペクトル分布検出器とを具え、このスペ
    クトル分布検出器で求めた空間周波数の直流成分から超
    音波反射強度を求め、空間周波数の直流以外の周波数成
    分から血流速度を求めるよう構成したことを特徴とする
    超音波診断装置。
JP3277805A 1991-10-01 1991-10-24 超音波診断装置 Expired - Lifetime JP2572913B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3277805A JP2572913B2 (ja) 1991-10-24 1991-10-24 超音波診断装置
US07/953,811 US5349960A (en) 1991-10-01 1992-09-30 Ultrasonic diagnosis apparatus
DE69219050T DE69219050T2 (de) 1991-10-01 1992-10-01 Ultraschalldiagnosegerät
EP92308977A EP0535962B1 (en) 1991-10-01 1992-10-01 Ultrasonic diagnosing apparatus

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3277805A JP2572913B2 (ja) 1991-10-24 1991-10-24 超音波診断装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05115477A JPH05115477A (ja) 1993-05-14
JP2572913B2 true JP2572913B2 (ja) 1997-01-16

Family

ID=17588514

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3277805A Expired - Lifetime JP2572913B2 (ja) 1991-10-01 1991-10-24 超音波診断装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2572913B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5074963B2 (ja) * 2008-03-13 2012-11-14 日立アロカメディカル株式会社 超音波診断装置
EP3424433A1 (en) * 2017-07-06 2019-01-09 Koninklijke Philips N.V. Methods and systems for processing an ultrasound image

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6417633A (en) * 1987-07-14 1989-01-20 Yokogawa Medical Syst Medical ultrasonic imaging apparatus
JPH01195846A (ja) * 1988-01-29 1989-08-07 Aloka Co Ltd 超音波診断装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05115477A (ja) 1993-05-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5349960A (en) Ultrasonic diagnosis apparatus
US4217909A (en) Directional detection of blood velocities in an ultrasound system
US4265126A (en) Measurement of true blood velocity by an ultrasound system
US5429137A (en) Acoustic scan conversion method and apparatus for velocity flow
JP5715594B2 (ja) フローパラメータイメージングのための方法及び装置
JP4365909B2 (ja) パルス反転ドップラー超音波診断画像処理方法及び装置
JP3462584B2 (ja) 超音波診断装置
JPH0120899B2 (ja)
EP0996366A1 (en) Method for operating an ultrasonic diagnostic imaging system
JP3251696B2 (ja) 超音波診断装置
JP3093823B2 (ja) 超音波ドプラ診断装置
EP2956798B1 (en) Subject information acquisition apparatus, subject information acquisition method, and program
US5431169A (en) Ultrasonic diagnosing apparatus
US5483962A (en) Complex MTI filter
US20070073152A1 (en) Systems and methods for acquiring images simultaneously
JP4369427B2 (ja) ドプラ速度検出装置及びそれを用いた超音波診断装置
JPH10165400A (ja) 超音波診断装置
JPH03155843A (ja) 超音波診断装置
JP2572913B2 (ja) 超音波診断装置
JP3281435B2 (ja) 超音波ドプラ診断装置
JPH0647043A (ja) 超音波診断装置
JP3018300B2 (ja) 超音波による物体のベクトル的速度計測装置
JPH08117227A (ja) 超音波診断装置
KR101809358B1 (ko) 새로운 평면파 합성을 이용한 초음파 도플러 영상 장치 및 그 제어 방법
JP4746758B2 (ja) Bモード及びカラー・フロー・モードでの強化された流れ撮像を結合することによる超音波画像表示

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19960820