JP2572043Y2 - 吊下布取付具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、家庭用及び業務用のカ
ーテンや、劇場、病院などで使用される各種の膜類など
各種吊下布をカーテンレールや案内棒などの案内部材に
簡単に取付け、取外しができると共に、吊下布の開閉時
における取扱いを容易にした吊下布取付け具に関する。

【０００２】

【従来の技術】病院やホテル等で使用されているカーテ
ン類の殆どはリース商品であり、定期的に交換と洗濯が
なされている。この交換作業の効率化を図るためには、
その取外し及び取付けが簡単になされるようにすること
が肝要である。そこで、従来もカーテンレールや案内棒
などのカーテン案内部材に取り付けられたカーテンライ
ナーに対してカーテン着脱具を容易に着脱するために様
々な提案がなされている。

【０００３】例えば、特公昭４０−２７７０６号公報及
び実開昭５７−１４２９８６号公報に開示された吊下布
取付具は、長尺の雄雌いずれかの面ファスナーテープに
所定の間隔を隔ててカーテンライナーを取付ける一方
で、カーテンの上端縁の全長にわたり前記面ファスナー
に係着する相手方の面ファスナーテープを取付け、前記
カーテンライナーにカーテンを取付けるときは、面ファ
スナー同士を軽く押圧だけの操作で容易に取付けられ、
同ライナーからカーテンを外すときは単に面ファスナー
同士を剥離させるだけで済むというものである。

【０００４】また、実開平２−１０７３８７号公報に開
示された吊下布取付具によれば、カーテンライナーのカ
ーテン取付部に雄雌のいずれかの面ファスナーが貼着し
てあり、カーテンの上端に取付けられた相手方の面ファ
スナーと係着させることでカーテンを簡単に取付け或い
は取外しできるようにしている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかるに、上述の特公
昭４０−２７７０６号公報及び実開昭５７−１４２９８
６号公報に開示された吊下布取付具では、多数のカーテ
ンライナーが一枚の面ファスナーテープにより連結され
ているため、面ファスナー同士が係着されるカーテン上
端縁部が剛直化してしまい、カーテンの開閉時、特にカ
ーテン開放時においてはカーテンが容易には折り畳まれ
ず、またカーテンベルトで全体を束ねた場合にも美麗に
折り畳むことが不可能であって、外観が損なわれる。

【０００６】更に、これらの公報に開示された吊下布取
付具にあっては、一方の面ファスナーテープに対するカ
ーテンライナーの固着するための作業が必要であり、且
つ面ファスナーテープの使用する量が嵩むことになり、
コストアップにつながっていた。

【０００７】一方、上記実開平２−１０７３８７号公報
に開示された吊下布取付具の場合は、面ファスナーの使
用量が少なく済み、コストの面では有利であるが、個々
のカーテンライナーが独立しているため、カーテンの取
付けにあたってはカーテンライナーを一個ずつカーテン
の上端縁部に係着させる作業が必要であり、作業性の面
で極めて不利である。

【０００８】本考案は上記不具合を同時に解決するもの
であり、その目的は生産性に優れ、しかも製品の保管並
びに管理が容易であり、吊下布の取付け及び取外し作業
が簡単で、且つ吊下布の開閉時における取扱の容易性を
確保した吊下布の取付具を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、本考案は案内部材に沿って移動可能な布吊下部材と
上端縁に雄雌係着面をもつ面ファスナーの一方が取付け
られた吊下布との間に介在して、同吊下布の上端縁と前
記布吊下部材とを連結するための連結部材を備えた吊下
布取付具であって、１本以上の可撓性を有する線条に成
形一体化され、同線条の長さ方向に所定の間隔を隔てて
並設された係着片を有してなり、前記係着片の一面に上
記面ファスナーの雄雌係着面のうち他方の係着面を有し
てなることを特徴とする吊下布取付具を主要な構成とし
ている。

【００１０】またその好適な実施態様としては、前記係
着片が前記布吊下部材に着脱可能な取付部を有してな
り、更には前記係着片と前記布吊下部材とが一体成形品
からなる場合があり、その場合には少なくとも前記係着
片が前記案内部材に直交する軸線回りを回転自在とされ
てなる。

【００１１】また、前記面ファスナーの一方は、前記吊
下布の上端縁の全長にわたって連続して取り付けられる
場合と、前記係着片の取付け間隔と等間隔に間欠的に取
り付けられる場合とがある。

【００１２】

【作用】案内部材に吊下布を取付けるには、予め必要な
個数の布吊下部材の吊下部を下端面から突出させて布吊
下部材を案内部材に挿入すると共に、各吊下部を連結部
材に取り付ける。このとき、前記連結部材の各線条の一
端部は適宜手段により案内部材の一端部に移動しないよ
うに固着させてある。この状態で、前記連結部材の他端
部を長尺の案内部材に沿って緊張させると、１本以上の
線条間に所定の間隔をもって並設された多数の係着片が
案内部材と平行に所定の間隔をもって整列する。次い
で、吊下布の上端縁に取付けられた面ファスナーテープ
の係着面を、前記整列している係着片の面ファスナー係
着面に順次押し当てながら軽く押圧していき、吊下布の
取付けが終了する。また、吊下布を案内部材から取外す
場合は、単に吊下布の上端縁の左右いずれかの端部から
引き剥がすようにするだけで容易に取り外すことができ
る。

【００１３】前述のようにして案内部材に取付けられた
吊下布の開閉にあたっては、各係着片が可撓性ある１本
以上の線条により連結されているため、吊下布の上端縁
部は剛直とならず、極めて円滑な開閉動作を可能とする
ばかりでなく、特に吊下布の開放時における吊下布の束
ね形態は安定化しており、外観的にも美麗さが保持され
る。

【００１４】また、本考案に係る吊下布取付具にあって
は、１本以上の線条を連続的に供給しながら、同線条に
対して同時に係着片を成形一体化して連続的に製造され
るため、生産性に優れるばかりでなく、面ファスナーの
使用量も節約できコストの逓減につなげることができ、
しかも製品の保管及び管理が容易であり、使用にあたっ
ても必要な長さに線条を切断するだけで使用する連結部
材が得られる。

【００１５】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面に従って具体的
に説明する。なお、本考案は図示例に限定されるもので
ないことは、以降の説明により明らかにされる。特に、
図示例ではカーテン連結部材４に線条４１を２本使用す
る場合の例を挙げているが、この線条４１は２本に限定
されるものでなく、例えば１本でもよく、また３本以上
である場合もある。但し、全体としてカーテン連結部材
４の可撓性を損なってはならない。

【００１６】図１は本考案の代表的な構成をもつカーテ
ン取付具を使用したカーテン取付部の一部を分解して示
す斜視図であり、符号１は吊下布たるカーテンであり、
同カーテン１の上端縁には全長にわたって雌の面ファス
ナーテープ１１が添設されている。また、符号２は案内
部材たるカーテンレールであり、断面が略Ｃ状をなし下
面にスリット状の開口部２１を有する長尺型材からな
る。

【００１７】図示実施例によれば、本考案の吊下布取付
具は布吊下部材であるカーテンライナー３とカーテン連
結部材４とが別体として構成されている。本考案の吊下
布取付具は、後述するごとく前記カーテンライナー３と
カーテン連結部材４とを一体に構成する場合をも包含し
ている。前記カーテンライナー３は、駒状の本体３１の
上端左右に一対の転動コロ３２を有し、本体３１の下端
には垂直線回りに回転するフック３３が取り付けられて
いる。

【００１８】一方、上記カーテン連結部材４は本考案の
特徴部をなすものであり、図１により明らかなごとく平
行に配された２本一対の線条４１と、一対の線条４１に
上下端部をそれぞれ固着一体化された多数の方形の係着
片４２とからなる。前記線条４１は合成樹脂線条や合成
繊維製の糸条、組線条などからなり、強度と可撓性とを
兼ね備えている。前記係着片４２は前記線条４１の長さ
方向に所定の間隔を隔てて多数取り付けられており、同
係着片４２の一表面には雄の面ファスナー４３が貼着さ
れている。また、図示例では前記係着片４２の上端か
ら、前記カーテンライナー３のフック３３に引っ掛けら
れる環状の引掛部４２ａが突出して形成されている。
本考案によれば、かかる構成をもつカーテン連結部材４
の更に有利な点は、前記係着片４２が２本の線条４１と
一体化しながら連続的に成形できることにある。即ち、
係着片４２の成形用キャビティと２本の線条４１の案内
路とが形成された射出用成形金型に、２本の連続供給さ
れる線条４１を前記案内路を通して案内通過させなが
ら、同時に係着片４２を射出成形することにより、連続
する長尺の線条４１に前記着片４２を所定の間隔をもっ
て連続的に一体成形することが可能となる。こうして得
られるカーテン連結部材４は、生産性に優れていること
は勿論のこと、製品の保管にあたっても、リールに巻取
り、或いは収納ボックスに通常のテープを収納する場合
と同様に収納することができ、また使用時には必要とす
る長さの部分で線条４１を切断するだけで即座に対応す
ることができる。

【００１９】なお、前記実施例では係着片４２の表面
に、別に用意された雄の面ファスナー４３を貼着してい
るが、係着片４２のファスナー貼着面上に前記面ファス
ナー４３を同時成形することも可能である。なお、カー
テン１に取付ける面ファスナーとカーテン連結部材４に
取付ける面ファスナーの雄雌係着面は上述の例とは逆で
あってもよい。しかしながら、面ファスナーの係着要素
をフックとループとした場合、カーテン連結部材４に取
り付ける面ファスナーをフックが上向きの雄の面ファス
ナーとし、カーテン１に取り付ける面ファスナーを雌の
面ファスナーとするか、或いはカーテン連結部材４に取
り付ける面ファスナーを雌の面ファスナーとし、カーテ
ン１に取り付ける面ファスナーをフックが下向きの雄の
面ファスナーとすることが、カーテン１の自重に対して
外れにくいものを得るには有効である。特に前者の組合
せが面ファスナーの特性を利用するには有効である。

【００２０】上述のごとくして製造された本考案のカー
テン取付具を使用して、カーテンレール２にカーテン１
を取付けるには、図１に矢印で示すごとく予め必要な個
数のカーテンライナー３を、ガイドレール２の開口部２
１からフック３３が下方に突出するようにして挿入する
と共に、各フック３３をカーテン連結部材４の係着片４
２に形成された各引掛部４２ａに引っ掛けておく。この
とき、前記カーテン連結部材４の一端部は適宜手段によ
りカーテンレール２の一端部に移動しないように固着さ
せる。この状態で、前記カーテン連結部材４の他端部を
カーテンレール２に沿って引いて緊張させると、多数の
係着片４２がカーテンレール２に平行に所定の間隔をも
って整列する。次いで、カーテン１の上端縁に取付けら
れた面ファスナーテープ部分を、前記整列している係着
片４２の面ファスナー係着面に順次押し当てながら軽く
押圧していくだけでカーテン１の取付けが終了する。ま
た、カーテン１をカーテンレール２から取外す場合は、
単にカーテンの上端縁の左右いずれかの端部から引き剥
がすようにするだけで容易に取り外すことができる。

【００２１】こうして取付けられたのちのカーテン１の
開閉にあたっても、各係着片４２は可撓性ある２本の線
条４１により連結されているに過ぎないため、カーテン
１の上端縁部が剛直とはならず、極めて円滑な開閉動作
を可能とするばかりでなく、特にカーテン開放時におけ
るカーテン１の束ね形態が安定化しており、外観的にも
美麗さが保持される。しかも、本実施例のごとくカーテ
ンライナー３とカーテン連結部材４とが別体の場合は、
カーテン連結部材４の消耗時に同連結部材４だけを単独
で交換することも可能である。

【００２２】以上が本考案の代表的な実施例であるが、
上述の説明からも理解できるように、カーテン連結部材
４の他端部をカーテンレール２に沿って緊張させると、
多数の係着片４２は自動的に所定の間隔に整列されるた
め、該係着片４２の面ファスナー４３に係着するカーテ
ン１に取付けられた相手方の面ファスナーテープ１１
も、必ずしもカーテン幅の長さをもつテープである必要
がなく、カーテン１の上端縁に沿って、雌の面ファスナ
ーの小片を前記係着片４２の整列間隔と同一の間隔をも
って取付けるようにすることもできる。

【００２３】また、上記実施例ではカーテン連結部材４
とカーテンライナー３を別体として構成しているが、カ
ーテンライナー３のフック３３と係着片４２の引掛部４
２ａを無くして、直接カーテンライナー３の本体３１と
係着片４２とを結合させたものを一体成形することも可
能である。この場合にも、カーテンライナー３の本体３
１と係着片４２との連結部分を、図１に示した本体３１
とフック３３との連結部３３ａと同様に、本体３１に対
して係着片４２が回転自在となる連結構造とすることが
望ましいが、例えばカーテンライナー３が転動コロ３２
をもたず、図２に示すごとく単に本体３１の首部上端に
円形フランジ状の頭部３１ａを有する構造であれば、カ
ーテンライナー３がカーテンレール２の内部で垂直軸線
回りに回転可能であり、従って同ライナー部分と係着片
部分が一体となって垂直軸線回りに回転可能となるた
め、図１に示すごとき格別の転動コロ３２を採用する必
要はない。

【００２４】

【考案の効果】以上、詳細に説明したごとく本考案によ
れば、極めて簡単な操作でカーテンの取付け及び取外し
が可能であって交換のための作業効率が向上するばかり
でなく、カーテンの取付部である上端縁が剛直にならず
開閉動作が円滑になされるばかりでなく、特にカーテン
開放後のカーテンを束ねたときの形態が安定化してお
り、外観的にも優れたものとなる。

【００２５】更に、本考案のカーテン取付具は全てを連
続成形することが可能であるため、生産性に優れるだけ
でなく、面ファスナーの使用量が少なく且つ係着片同志
を線条により連結するため、従来のごとくテープ類の使
用量が少ないため大幅なコストダウンにつながる。ま
た、製品の保管及び製品管理も極めて容易であり、顧客
の多様な要求にも即座に応じることが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の代表的な実施例であるカーテン取付具
が適用されたカーテン取付部の一部を分解して示す斜視
図である。

【図２】本件考案のカーテン連結部材の変形例を示す一
部斜視図である。

【符号の説明】

１ カーテン（吊下布） １１ （雌の）面ファスナーテープ ２ カーテンレール（案内部材） ２１ 開口部 ３ カーテンライナー（布吊下部材） ３１ 本体３１ａ 頭部 ３２ 転動コロ ３３ フック ３３ａ 連結部 ４ カーテン連結部材 ４１ 線状 ４２ 係着片 ４２ａ 引掛部 ４３ （雄の）面ファスナー

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 案内部材(2) に沿って移動可能な布吊下
   部材(3) と上端縁に雄雌係着面をもつ面ファスナーの一
   方(11)が取付けられた吊下布(1) との間に介在して、同
   吊下布(1) の上端縁と前記布吊下部材(3) とを連結する
   ための連結部材(4) を備えてなる吊下布取付具であっ
   て、 前記連結部材(4) は１本以上の可撓性を有する線条(41)
   と成形一体化され、同線条の長さ方向に所定の間隔を隔
   てて並設された係着片(42)を有してなり、 前記係着片(42)の一面に、上記面ファスナーの雄雌係着
   面のうち他方(43)の係着面を有してなることを特徴とす
   る吊下布取付具。
2. 【請求項２】 前記係着片(42)と前記布吊下部材(3) と
   が一体成形品からなり、少なくとも前記係着片(42)は前
   記案内部材(2) に直交する軸線回りを回転自在とされて
   なる請求項１記載の吊下布取付具。