JP2571890B2 - ニートソープの真空乾燥方法とその装置 - Google Patents

ニートソープの真空乾燥方法とその装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ニートソープ(石鹸
膠)を真空脱水処理し、かつ、その真空脱水にともなっ
て排出される気体を冷却して排出する方法、およびそれ
に用いる装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のニートソープの処理方法
およびそれに用いる装置としては、図4及び図5に示さ
れるものが知られている。すなわち、従来のものでは、
図5に示されているように、被処理物を供給する原料供
給装置1側から取り出されたニートソープを、加熱蒸気
との熱交換により加熱した後に真空乾燥塔2に供給し、
ここでニートソープを真空室9内に噴射し、飽和蒸気圧
により脱水処理するように構成してある。 そして、真
空室9の底部から供給されたニートソープを混練して取
り出す処理物抽出装置3と、前記真空乾燥塔2から排出
された気体を冷却する冷却装置4とを備えてニートソー
プの真空乾燥装置を構成し、この真空乾燥装置におい
て、前記冷却装置4を、図4に示すように、雨滴型のバ
ロメトリックコンデンサーを用いて、排出気体の流路を
横断する状態に水膜を形成し、ここで排出気体を低温の
水と強制的に接触させることにより、排出気体を冷却す
るように構成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来の技術によれば、次のような問題がある。 つまり、
高い真空度を得るためには、温度に対する飽和真空度の
関係から、冷却工程での冷媒となる水の温度が低い程よ
く、従って、水を冷却しながら循環させて使用する方法
が採られていたが、循環される水の中には、接触して捕
捉される石鹸の微粉が導搬されるため、水が濁り、ま
た、多量の石鹸の微粉がクーリングタワーに付着して冷
却効果を下げる結果、循環水の一部を常時循環系外に排
出し、その分、循環系に対して常時補給水を加えてやる
必要があり、大量の水を使用しなければならず、不経済
であった。また、クーリングタワーでは、水に対する不
純物の混入をかなりの範囲で許すことができる点では有
利であるものの、その機能上、入口と出口の温度差を5
℃程度にしか設定できないため、水温が30℃程度まで
上昇する夏期には、排出気体の冷却機能が低下して真空
度が上がり、乾燥処理に悪影響を及ぼす虞もあった。そ
の上、バロメトリックコンデンサーは、その真空度を維
持するために、水封槽の液面から11メートル以上の高
さ位置に設置しなければならず、装置全体が大型化する
とともに、メンテナンスを高所作業で行わなければなら
ないという困難さもあった。さらに、吸気装置として用
いられる真空ポンプにおいても、真空乾燥塔での脱水処
理に伴って生じる排出気体の他、バロメトリックコンデ
ンサーで使用する水中に含まれていた空気も排出する必
要があるため、排気容量の大きな真空ポンプが必要であ
った。本発明は、真空乾燥に際して排出される気体の冷
却を、効率よく経済的に行え、かつ、装置全体の大型化
やメンテナンスの困難さをも避けられるようにすること
を目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のニートソープの真空乾燥方法においては、 〔イ〕ニートソープを真空室内に噴射して脱水処理する
脱水工程。 〔ロ〕真空室内で脱水されたニートソープを混練して取
り出す抽出工程。 〔ハ〕真空室を出た吸引排出途中の気体を、冷媒との間
接熱交換により冷却する冷却工程。 〔ニ〕前記脱水工程の後に、抽出工程及び冷却工程を並
行して行う。上記〔イ〕〜〔ニ〕に記載の構成を備えた
ものである。また、同様の目的で、ニートソープを供給
する原料供給装置と、供給されたニートソープを真空脱
水処理するための真空乾燥塔と、真空乾燥塔内における
真空度を維持するように真空乾燥塔から気体を吸引排出
する吸気装置と、前記真空乾燥塔から供給されたニート
ソープを混練して取り出す処理物抽出装置と、前記真空
乾燥塔から吸気装置への排気流路の途中で排出気体を冷
却する冷却装置とを備え、さらに、前記冷却装置を間接
熱交換が可能なサーフェイスコンデンサーで構成するこ
とによってニートソープの真空乾燥装置を構成したもの
である。
【0005】
【作用】上記の技術手段を講じたことによる作用は次の
通りである。すなわち、間接熱交換を行うサーフェイス
コンデンサーでは、渦巻状の冷媒の通路と、排出気体の
通路とが伝熱板で隔てられていて、冷媒と排出気体とが
直接に接触することがなく、冷媒を汚さずにそのまま循
環させることができる。したがって、冷媒として、クー
リングタワーによって冷却された水を用いるだけに限定
されず、チラー水(冷凍機で冷却した水)の使用が可能
であり、四季を通じて一定の水温が保てる。また、排出
気体の通路と冷却水の通路とが完全に分離されていて、
排出気体の流路に外部気体の入り込む虞のないものであ
り、従って、排出気体を水封構造によって減圧状態に維
持する必要がないため、冷却装置を水封のために高所に
配置しなければならないという制約もない。
【0006】
【発明の効果】従って、本発明の方法および装置によれ
ば、従来のニートソープの真空乾燥方法および装置に比
べて、次の効果がある。 イ. 排出気体と冷媒とを直接接触させて熱交換を行う場
合のように、冷媒として用いる冷却水の一部を常時循環
系外に排出しなけばならない、という不経済さをなく
し、しかも、チラーで冷却された常時充分低温の水を用
いることができ、常時安定した冷却効果を得ることがで
き、これにともなって、乾燥効率も安定よく維持し易
い。 ロ. バロメトリックコンデンサーを用いた場合のよう
に、その真空度を維持するために冷却装置を水封槽の液
面から11メートル以上の高さ位置に設置しなければな
らないとい不都合もなく、冷却装置を低位置に配置して
構成することができ、装置全体の大型化を避け得るとと
もに、メンテナンスも行い易くなるという利点がある。 ハ. 吸気装置としては、真空乾燥塔での脱水処理に伴っ
て生じる排出気体を所定の真空度に維持するに足る能力
を持つものであればよく、バロメトリックコンデンサー
を使用した場合のように、熱媒として用いられる水中に
含まれる空気をも排出する必要がないため、比較的排気
量の小さな小型の真空ポンプなどを用いることができ
る。
【0007】
〔ニートソープの真空乾燥方法について〕
まず、本発明の真空乾燥方法について説明する。処理対
象となる被処理物質は、ニートソープ(石鹸膠)Aであ
る。そして、図1に示すように、本発明方法は、原料供
給装置1から供給されるニートソープAを、脱水処理す
る脱水工程と、脱水されたニートソープを取り出す抽出
工程と、吸引排出途中の気体を冷却する冷却工程との組
合せで構成されている。これらの各工程は次のようにし
て、順に行われる。
【0008】[1] 原料供給装置1の被処理物供給方向下
手側に真空乾燥塔2が配置されており、この真空乾燥塔
2の真空室9内で、ニートソープAが噴射されることに
よる真空脱水処理で脱水工程が構成されている。この脱
水工程では、前記原料供給装置1の原料槽6に貯留され
ていた含水率30〜33%のニートソープAを、真空乾
燥塔2に至る途中に設けた熱交換装置7で加熱蒸気と熱
交換させ、約130℃に加熱したのち、真空室9内でノ
ズルから噴射させている。この真空室9内の気圧はほぼ
50Torrに維持されるよう、吸気装置5が駆動制御
され、脱水されたニートソープAの含水率は約12%と
なる。 [2] 真空乾燥塔2の真空室9の底部には、螺旋スクリュ
ーと成形用ダイスとを備える押し出し機からなる処理物
抽出装置3を設けて、前記脱水されたニートソープAを
螺旋スクリューでの混練及び押し出し作用を加えながら
成形して取り出すように構成されており、この処理物抽
出装置3の押し出し作用が抽出工程となる。 [3] 真空乾燥塔2で脱水された真空室9内の蒸発気体の
温度は約50℃程度であり、吸気装置5の吸引作用で排
気流路11に流れ、サイクロン式集塵装置12,12を
経て、さらに冷却装置4に流れる。そして、冷却装置4
内で冷媒としての約25℃の冷却水と間接熱交換され、
吸気装置5側に排出される。この冷却工程では、冷却水
は、チラーからの供給水を用いる。 [4] 吸気装置5で吸い出された冷却後の気体は、気液接
触させて含有物をさらに除去した後、大気中に放出され
る。 [5] 前記[2] の抽出工程と、[3] の冷却工程とは、とも
に脱水工程に引き続いて同時並行して行われる。
【0009】〔ニートソープの真空乾燥装置について〕 次に、本発明の真空乾燥装置について説明する。本発明
のニートソープの真空乾燥装置は、図1に示すように、
ニートソープAを供給する原料供給装置1と、原料供給
装置1側から供給されたニートソープAを真空脱水処理
するための真空乾燥塔2と、真空乾燥塔2内における真
空度を維持するように真空乾燥塔2から気体を吸引排出
する吸気装置5と、前記真空乾燥塔2から供給されたニ
ートソープAを混練して外部へ取り出す処理物抽出装置
3と、前記真空乾燥塔2から吸気装置5への排気流路1
1の途中で排出気体を冷却する冷却装置4とを備えて構
成されている。
【0010】前記原料供給装置1は、ニートソープAを
貯留する原料槽6と、ニートソープAを加熱蒸気との間
接熱交換によって加熱する熱交換装置7と、原料槽6の
ニートソープAを前記熱交換装置7および真空乾燥塔2
側へ送り出す輸送ポンプ8とからなり、前記熱交換装置
7へは外部のボイラー(図外)から160〜170℃程
度の高温の蒸気が供給され、ニートソープAをおよそ1
30℃程度に加熱したのち真空乾燥塔2内に噴射し得る
ように構成されている。
【0011】前記真空乾燥塔2は、真空室9の上下中間
位置にニートソープAの噴射用ノズル10を備え、真空
室9の上部に排気流路11を接続してあり、真空室9の
底部に処理物抽出装置3への連通口を形成して構成され
ている。また、この真空乾燥塔2には、上部側が前記排
気流路11に連通し、下部側が前記真空乾燥塔の真空室
9底部に連通する状態にスクリューフィーダー12aで
接続した2機のサイクロン式集塵装置12が接続されて
いる。この構成によって、真空室9から排気流路11に
引き出された気体は、サイクロン式集塵装置12に送り
込まれて除塵されたのち冷却装置4側へ送り出され、脱
水処理されたニートソープAは真空室9の底部連通口か
ら処理物抽出装置3側へ送り出される。
【0012】前記処理物抽出装置3は、前記真空乾燥塔
2の真空室9に対して、その真空室9底部に設けた連通
口を介して連通する螺旋スクリューと、その送りだし方
向先端側に設けられる成形用ダイスとからなり、脱水さ
れたニートソープAを螺旋スクリューでの押し出し作用
を加えながら成形して取り出すように構成されているも
のであり、所謂、ニートソープAを混練して押し出しな
がら成形用ダイスを通過させる周知の押し出し成形機と
同様に構成されている。
【0013】前記冷却装置4は、図1乃至図3に示され
ているように、間接熱交換が可能なサーフェイスコンデ
ンサーによって構成してある。この冷却装置4は、外装
ケース13の内部に渦巻状に相隣る状態で二つの流路を
形成してあり、その流路の一方に前記排気流路11の排
気入り口11a側および排気出口11b側を接続し、他
方の流路に、冷媒として外部から供給されるチラー冷却
水を通す冷却水流路14の冷水入り口14aおよび冷水
出口14bが接続されている。また、この冷却装置4の
下部には、前記排気流路11及び冷却水流路14とは連
通しない状態で、間接熱交換のための隔壁に付着する結
露水を集めるドレンタンク15が配設されている。この
ドレンタンク15は、その下端出口に、さらに下方の貯
留タンク16に向けてドレン管17が連設され、その途
中に開閉弁18が設けてあるとともに、ドレンタンク1
5内での水位を検出するレベルセンサー19が設けてあ
って、水位が一定以上になると自動的に水抜きポンプ2
0を作動させて、ドレンタンク15内の水を排出するよ
うに構成されている。また、前記貯留タンク16と前記
冷却装置4の上部とが連通路21によって接続されてい
て、必要に応じて、その連通路21途中に介在させた掃
除用ポンプ22を作動させ、冷却装置4内部の掃除を行
うことができる。このとき、前記開閉弁18は開放して
おく。
【0014】前記吸気装置5は、冷却装置4の排気流路
11に接続された真空ポンプ23と、真空ポンプ23か
らの排気流路11に接続される後処理装置24とからな
り、冷却装置4の排出気体を吸引し、真空ポンプ23か
らの排出気体は後処理装置24に供給され、ここで気液
接触させて含有物をさらに除去した後、大気中に放出さ
れるように構成されている。
【0015】〔別実施例〕 (1) 前記原料供給装置1の加熱手段としては、熱交換
装置7を用いて蒸気との熱交換を行うものに限らず、各
種の加熱装置を採用することができる。 (2) 前記集塵装置12としては、サイクロン式のもの
に限らず、各種のものを採用でき、また、省略すること
も可能である。 (3) 前記冷媒としては、チラー水のみに限らず、水に
何等かの物質を混入したもの、あるいは、水以外の物質
であってもよい。
【0016】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】ニートソープの真空乾燥装置の全体を示す説明
【図2】サーフェイスコンデンサーを示す側面図
【図3】サーフェイスコンデンサーを示す平面図
【図4】従来のニートソープの真空乾燥装置の全体を示
す説明図
【図5】バロメトリックコンデンサーを示す断面図
【符号の説明】
1 原料供給装置 2 真空乾燥塔 3 処理物抽出装置 4 冷却装置 5 吸気装置 9 真空室 11 排気流路

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記〔イ〕〜〔ニ〕に記載の構成を備え
    てなるニートソープの真空乾燥方法。 〔イ〕ニートソープを真空室(9)内に噴射して脱水処
    理する脱水工程。 〔ロ〕真空室(9)内で脱水されたニートソープを混練
    して取り出す抽出工程。 〔ハ〕真空室(9)を出た吸引排出途中の気体を、冷媒
    との間接熱交換により冷却する冷却工程。 〔ニ〕前記脱水工程の後に、抽出工程及び冷却工程を並
    行して行う。
  2. 【請求項2】 ニートソープを供給する原料供給装置
    (1)と、供給されたニートソープを真空脱水処理する
    ための真空乾燥塔(2)と、真空乾燥塔(2)内におけ
    る真空度を維持するように真空乾燥塔2)から気体を吸
    引排出する吸気装置(5)と、前記真空乾燥塔(2)か
    ら供給されたニートソープを混練して取り出す処理物抽
    出装置(3)と、前記真空乾燥塔(2)から吸気装置
    (5)への排気流路(11)の途中で排出気体を冷却す
    る冷却装置(4)とを備え、さらに、前記冷却装置
    (4)を間接熱交換が可能なサーフェイスコンデンサー
    によって構成してあるニートソープの真空乾燥装置。
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