JP2570078Y2 - 衝撃式破砕機の耐摩耗性チップの係止部保護構造 - Google Patents

衝撃式破砕機の耐摩耗性チップの係止部保護構造

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JP2570078Y2 JP1991062510U JP6251091U JP2570078Y2 JP 2570078 Y2 JP2570078 Y2 JP 2570078Y2 JP 1991062510 U JP1991062510 U JP 1991062510U JP 6251091 U JP6251091 U JP 6251091U JP 2570078 Y2 JP2570078 Y2 JP 2570078Y2
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【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は岩石などの破砕に使用す
る横型衝撃式破砕機の改良に係る。
【0002】
【従来の技術】岩石などを破砕して骨材として利用する
ためには、通常は一次,二次破砕用の圧縮式破砕機、例
えばジョークラッシャやコーンクラッシャで希望する粒
度近くまで粗砕したのち、衝撃式の破砕機(インパクト
クラッシャ)によってさらに三次破砕を加え、骨材とし
て所望の粒度および粒形の製品とする。この場合は破砕
効率の向上や運転経費の低減を目指した数多くの技術的
改良が蓄積されてきた。
【0003】例えば、図7に示すように実公平2−24
31号公報ではロータ3aをケーシング1aの中央に配
し、ケーシングの上方中央に被砕物の投入口5aを設け
このケーシングの左右両側上半部に上下二列に衝突板6
a,6bを回動自在、かつ打撃子4aの回転円との間隙
tを調整可能に取り付け、下部衝突板6bの下端をロー
タ中心を通る水平線の近傍に位置させ、ロータを正逆回
転自在とした構成を開示している。この技術では上部中
央から落下してきた被砕物が上下の衝突板で繰り返し衝
突して打撃子との間で何回も破砕作用を受けるから、破
砕効率が向上し、また十分に所望の粒度に達した被砕物
を下方の衝突板の先端と打撃子先端との間隙tを通過し
て排出されるから粒度の管理も容易であると謳ってい
る。さらに左右対称であるから一方の打撃子や衝突板が
摩耗した時は直ちに取り替えなくとも打撃子を反転しロ
ータを逆転すれば新品の状態と同じ条件に回復するこ
と、さらに上半部のケーシングを開閉自在としたため部
材の取り替えも容易であることを効果に挙げている。
の場合、衝突板に被砕物が衝突するから当然衝突板の表
面も摩耗して行くが、特にその下端部にその摩耗の進行
が著しく、その下端部の摩耗によって使用が不可能とな
ることが多い。そのため、衝突板の最下端面に耐摩耗性
のチップ7a,7bを装着し、摩耗が進めばこのチップ
だけを取り外して別の新品を取り付け衝突板としての機
能を再生するようにしている。さらに複数の衝突板の型
式の中でも、たとえば図8に示す米国特許第2,97
7,055号のように個々の破砕ブロック101,10
2,103が恰も一体的に連続した円弧を描いて打撃子
104の回転軌跡Rを取り囲む状態で取り付けられてい
る場合もあり、複数の衝突板とはいうものの、図7の従
来技術とは全く別異の形態を取っている設定もある。
【0004】しかしながら、前にも述べたように岩石な
どの原石は一次,二次の粗破砕において強烈な押圧力を
受けて圧潰し、急激に細粒化されている反面、偏平な形
状となり剥離の一歩手前にある潜在クラックも数多く内
在している。このような尖鋭的に角張った先端や稜線か
らなる偏平な骨材がコンクリート用骨材として配合され
スラリー状で型枠などの間へ流し込まれる時、その流動
性において、またはその充填性において決して好ましく
ない影響を与えることは言うまでもない。このように被
砕物が製品としての骨材に求められる形状を改善して流
動性を向上することは、破砕効率の改善と共に極めて切
実な課題でもある。出願人はこの課題を解決するため、
一枚以上の衝突板の下方に、上部が円弧状に傾斜し底部
が水平面よりなる断面逆L字形またはL字形のストック
ボックスを傾動自在に吊支し、上方の衝突板に衝突して
飛来する被砕物を主として反撥するよりは一時停留して
相互に擦過させる構成を開発した。この構成によれば被
砕物はロータによって跳ね飛ばされて下方のストックボ
ックスの水平面上で一次停留し、破砕が進むと共にこの
停留物が累積してほぼ安息角の状態に達するまで三角状
に集積し、停留物の表面は不規則な無数の凹凸が形成さ
れるから、次々とこの範囲に跳ね飛ばされた被砕物と停
留物とが衝突して表面同士を擦過し合って、角張った先
端や稜線が相互に削り合って角の取れた丸味を帯びた細
粒に表面を変化するというストックボックス自身の作
用、およびストックボックス水平面の先端で停留物を堰
止めて十分に粒形が改善されるまで相互に衝突させると
いう作用が発現し、骨材としての適性を向上させること
に成功した。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】ここに例示した従来技
術が破砕効率の向上や装置のメンテナンス、さらに別の
大きな課題である製品の粒径の改善に有利な効果をもた
らすことは十分理解できることである。またこのような
目的のため、例えば複数の衝突板を上下に積み重ねる方
式としては既に英国特許第1309560号明細書にお
いて発表され、また左右対称に衝突板を併設した方式と
しては特公昭54−4775号公報や特開昭60−99
352号公報など多数認められる。しかし上方に1枚以
上の衝突板を斜めに吊支し、下方にストックボックスを
吊支した構成においては、衝突板の下端面やストックボ
ックスの先端部にそれぞれ耐摩耗性のチップを取り付
け、摩耗後は相互の間隔を利用してチップの取り替えも
容易であるが、複数の不連続な衝突面を持っているため
破砕空間内に新たな課題を生じる。
【0006】すなわち、衝突板やストックボックスとチ
ップとは別の部材であるから、どのような方式にしろ係
止部が衝突板やストックボックスの端部近くにできる。
ところが被砕物が飛散し衝突し最も活発に破砕と整粒
用の進行するのがチップと打撃子との間であり、この作
用が例えば上下で複数同時に進行すると、下方のストッ
クボックスの表面で撥ね返された被砕物の一部がその角
度によっては上方の衝突板の裏側へ撥ね返り、裏側にあ
る係止部を直撃することがある。係止部はボルト,ナッ
トで螺合して締め付けたり固定ボスに穿ったテーパー孔
へコッタを打ち込んで係止したりしているが、ここへ硬
い岩石などが激しく衝突するとねじやコッタへ衝撃を加
えて変形したり破損する。従って稼働中にチップが脱落
してしまったりチップが摩耗したため取り外そうとした
とき容易に外れず取り替え作業が意外に難渋する原因と
なる。また図7で示した従来技術のように左右対称にロ
ータを挟んで複数の衝突板が具えられている型式では、
例えば主軸2aが時計方向へ回転する時は図の右側の衝
突板6a,6bだけで破砕作用が起り、左側の衝突板6
c,6dは破砕に無関係のようであるが、実際には衝突
板6a,6bでロータ側へ撥ね返された被砕物の一部が
打撃子4aに乗せられた状態でロータの回転に巻き込ま
れて半周し、衝突板6dの裏側へ慣性で叩きつけられて
チップ7dの係止部を破損することもよく見られる現象
である。これは、左右対象に衝突板とストックボックス
が配置され、破砕と整粒を並立させた構成に置き換えて
も何ら変ることなく直面する課題である。
【0007】本考案は以上に述べたとおり衝突板とスト
ックボックスを有する衝撃式破砕機におけるチップの取
り替えを容易に行なえるような係止部保護構造の提供を
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本考案に係る耐摩耗性チ
ップの係止部保護構造は、ケーシング1内で軸支され正
逆二方向に回転可能な主軸2の周囲に回転するロータ3
と、該ロータの外周部に取り付けた複数の打撃子4と、
前記ロータ3の周囲に斜め上方から吊支した耐摩耗性の
衝突板6と、該衝突板6の下方に、上部が円弧状に傾斜
し傾斜面91、中間が垂直面96、底部が水平面92か
らさらに先端をほぼ半直角に屈折した先端面93よりな
る断面ほぼL字形のストックボックス9を傾動自在に吊
支して破砕空間を形成し、さらに衝突板6の下端および
ストックボックス9の先端へ耐摩耗性のチップ7を着脱
自在に取り付けて、ケーシング中央に開口する投入口5
から投入する被砕物を破砕空間内で衝突と整粒を行なっ
て効率的な破砕と流動性のよい粒形に仕上げる衝撃式破
砕機に適用され、衝突板6の下端へ穿孔した貫通孔63
およびストックボックス9の先端面93へ穿孔した貫通
孔95へ、それぞれ内嵌する嵌合突起71と、衝突板6
の表面およびストックボックス9の先端面93に添着す
る耐摩耗部74と、該耐摩耗部74の後端からほぼ直角
に屈折したエプロン73よって一体的に耐摩耗性材で形
成するチップ7を嵌合係止して、前記嵌合突起71を係
止するチップの係止部8を破砕空間から遮蔽したことに
よって前記の課題を解決した。また、この構成のうち、
チップ7を形成するエプロン73に代えて、衝突板6自
体の下端およびストックボックス9の下端をほぼ直角に
屈折してエプロン61およびエプロン94を形成したも
のであってもよい。
【0009】
【作用】別の衝突板やストックボックスによって反撥し
た被砕物が衝突板先端の背後やストックボックスの背後
を目指して飛来しても、係止部を遮蔽するチップ自体や
衝突板下端、またはストックボックス先端を屈折して形
成するエプロンに当って反落し、係止部は被砕物の直撃
を受けることを免れ係止状態を保護される。従って係止
部が破損してチップが脱落したり、変形してチップを取
り外すことができなくなるようなトラブルがなくなる。
ここでいう破砕空間とは、現に破砕作用が進行している
ケーシング内の半分側だけの空間に留まらず、逆転して
破砕している反対側の破砕空間も含み、反対側の破砕部
の下方から半周して飛来する場合も無視できず、最下位
に吊支するストックボックスの先端係止部にも同様の構
成が必要となる。本考案の構成によれば、エプロンの形
成方法に2種類の形態があるが、このうち、チップ自体
を屈折して一体的にエプロンを形成するときは、エプロ
ンもきわめて高耐摩耗性を具えているから、供給される
被砕物の硬度が高く摩耗擦過作用が激しく進行する場合
でも比較的耐用期間を長く維持して係止部の保護作用を
継続し、また、被砕物直撃を受ける耐摩耗面と共にエプ
ロンも同様に摩耗した後、チップだけを取り替えれば保
護の機能を回復できるので好適である。これに反して被
砕物の硬度が比較的低く摩耗作用もさほど激しくはない
ときには、衝突板自体にエプロンを形成して衝突板の衝
突面の耐用期間が尽きるまで保護作用を保持できるよう
図ってもよい。
【0010】
【実施例】図1は本考案の実施例を示す正面断面図(図
の左半分は省略)であり、図7の従来技術と同じ型式の
正逆両回転する主軸2をケーシング1の中央に具え、主
軸によって回転するロータ3の外周には複数の打撃子4
を均等に取り付けている。被砕物はケーシングの上部中
央の投入口5からロータの真上へ落下供給させ、左右両
側上半部にそれぞれ吊支した衝突板6によって衝突破砕
作用を受ける。衝突板の下方先端には耐摩耗性のチップ
が着脱自在に装着されているが、この端面はほぼ直角
に下方へ屈折してエプロン61を形成し、チップの係止
部8を被砕物が飛び交う破砕空間Cから遮蔽して保護す
る。図2(イ),(ロ)は衝突板6だけを示した側面図
と正面図であって、この例では衝突板の先端を直角に屈
折してエプロン61を形成し、上部の段差62へ図3
(イ),(ロ)に示す耐摩耗性のチップ7を嵌合する。
チップ7の取付ボス71は衝突板の段差に穿った貫通孔
63を貫通して裏側へ突出し、コッター孔72へ楔を打
ち込んで両者を係止する。エプロン61は破砕空間Cか
ら飛来する被砕物がこの係止部8へ進入するのを遮げて
反落させる。
【0011】衝突板6の外側下方からロータ3の軸線の
レベルへかけてストックボックス9を吊支し破砕空間C
で飛散しつつ落下する被砕物Sは傾斜面91上を滑り落
ちて水平面92上に一時的に停留し、この上へ直撃する
被砕物と擦過し合って整粒作用を行なう。水平面92の
先端を下方へ向けて屈折した先端面93の先端をさらに
ほぼ直角に延伸しエプロン94を形成する。図4
(イ),(ロ)はストックボックス9だけを示した側面
図と正面図であって先端面93に貫通孔95を穿って
ップ7を先端面上に取り付ける。
【0012】図5(イ),(ロ)および図6(イ),
(ロ)はチップ7自体にエプロン73を設けた事例を示
す正面図および側面図であって、係止部8を保護する遮
蔽作用は衝突板下端、ストックボックス先端またはチッ
プ自身の先端の何れを下方へ延伸しても同様に得られ
る。また先端の屈折角度は直角に限らず、衝突板の肉厚
や砕料の反撥角度などの状態によって最適の角度を選
ぶ。
【0013】
【考案の効果】本考案は以上に述べたように被砕物が飛
散する破砕空間内で特に破砕による擦過摩耗の直撃を受
けやすい衝突板やストックボックスの下端へチップを装
着し、かつ、摩耗後のチップの取り替えが容易なように
チップの係止部の背後で吊支する下方のストックボック
との間に間隙を設けているにも拘らず、その間隙を縫
って飛来する被砕物の破片によって係止部へ直撃を受け
て脱落したり、破損や変形のために取り替え作業が困難
となるトラブルを解消する。このため作業能率の低下す
ることがなく装置の保全も容易となり実作業上の負担を
軽減する効果がある。さらに、破砕後の角張った先端や
稜線を相互に削り合って丸味を帯びた細粒に表面を変化
させる独特の整粒作用を、一層▲昂▼進するというスト
ックボックスを配置した破砕機独自の効果も看過できな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例を示す縦断面図である。
【図2】(イ),(ロ)で衝突板の側面図と正面図を示
す。
【図3】(イ),(ロ)でチップの正面図と側面図を示
す。
【図4】(イ),(ロ)でストックボックスの側面図と
正面図を示す。
【図5】(イ),(ロ)でチップの別の実施例の正面図
と側面図を示す。
【図6】(イ),(ロ)でチップのさらに別の実施例の
正面図と側面図を示す。
【図7】従来技術の縦断面図である。
【図8】さらに別の従来技術の縦断面図である。
【符号の説明】
1 ケーシング 2 主軸 3 ロータ 4 打撃子 5 投入口 6 衝突板 7 チップ 8 係止部 9 ストックボックス 61 エプロン 73 エプロン 91 傾斜面 92 水平面 94 エプロン C 破砕空間 S 被砕物

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシング1内で軸支され正逆二方向に
    回転可能な主軸2の周囲に回転するロータ3と、該ロー
    タの外周部に取り付けた複数の打撃子4と、前記ロータ
    3の周囲に斜め上方から吊支した耐摩耗性の衝突板6
    と、該衝突板6の下方に、上部が円弧状に傾斜し傾斜面
    91、中間が垂直面96、底部が水平面92からさらに
    先端をほぼ半直角に屈折した先端面93よりなる断面ほ
    ぼL字形のストックボックス9を傾動自在に吊支して破
    砕空間を形成し、さらに衝突板6の下端およびストック
    ボックス9の先端へ耐摩耗性のチップ7を着脱自在に取
    り付けて、ケーシング中央に開口する投入口5から投入
    する被砕物を破砕空間内で衝突と整粒を行なって効率的
    な破砕と流動性のよい粒形に仕上げる衝撃式破砕機にお
    いて、衝突板6の下端へ穿孔した貫通孔63およびスト
    ックボックス9の先端面93へ穿孔した貫通孔95へ、
    それぞれ内嵌する嵌合突起71と、衝突板6の表面およ
    びストックボックス9の先端面93に添着する耐摩耗部
    74と、該耐摩耗部74の後端からほぼ直角に屈折した
    エプロン73よって一体的に耐摩耗性材で形成するチッ
    プ7を嵌合係止して、前記嵌合突起71を係止するチッ
    プの係止部8を破砕空間から遮蔽したことを特徴とする
    衝撃式破砕機の耐摩耗性チップの係止部保護構造。
  2. 【請求項2】 請求項1において、チップ7を形成する
    エプロン73に代えて、衝突板6自体の下端およびスト
    ックボックス9の下端をほぼ直角に屈折してエプロン6
    およびエプロン94を形成したことを特徴とする衝撃
    式破砕機の耐摩耗性チップの係止部保護構造。
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US2977055A (en) 1958-07-02 1961-03-28 Bath Iron Works Corp Apparatus for pulverizing coal and the like

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