JP2569977Y2 - 空冷エンジンのフライホイールファン - Google Patents

空冷エンジンのフライホイールファン

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JP2569977Y2
JP2569977Y2 JP1993002812U JP281293U JP2569977Y2 JP 2569977 Y2 JP2569977 Y2 JP 2569977Y2 JP 1993002812 U JP1993002812 U JP 1993002812U JP 281293 U JP281293 U JP 281293U JP 2569977 Y2 JP2569977 Y2 JP 2569977Y2
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  • Structures Of Non-Positive Displacement Pumps (AREA)

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、空冷エンジンに使用す
るフライホイールファンに関し、特に、鋳鉄製のフライ
ホイールの外側面に合成樹脂製ファンを密着固定したフ
ライホイールファンに関する。
【0002】
【従来技術】一般に、空冷エンジンに使用するフライホ
イールファンは、フライホイール部分の外側面部からフ
ァンブレードが突設する状態で一体に鋳造して形成して
いた。ところが、フライホイールからファンブレードを
一体突設したものでは、ファン形成面を平滑に形成しな
ければ、起風した冷却風が乱流になりやすいため、ファ
ン形成面を機械加工しなければならず製造コストが高く
なるという問題があった。
【0003】このため、従来、薄い円板からファンブレ
ードを突出させた状態に合成樹脂で形成したファンを鋳
鉄で形成したフライホイール部分に密着固定させたフラ
イホイールファンが提案されている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】ところが、フライホイ
ールファンを鋳鉄製フライホイールと合成樹脂製ファン
部材とで構成した場合には、ファン部分の外周部分に質
量が集中することから、回転に伴い、このファン外周部
分が浮き上がり現象を生じ、ファンケースの内面に摺接
することがある。また、空冷エンジンのフライホイール
ファンの場合、点火タイミングを決定するためのマグネ
ットがフライホイールファンの外周面部分に設置される
のであるが、このマグネットをフライホイールの環状錘
部分に埋設配置したばあい、環状錘部分の前後厚みが厚
くなり、フライホイールファンとしての厚みが厚く、エ
ンジン全体が大型化するという問題もあった。本考案
は、このような点に着目してなされたもので、ファン外
周部の浮き上がりを防止できる小型のフライホイールフ
ァンを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに本考案は、鋳鉄製フライホイール(1)の外側面の中
央部と周縁とに亘って合成樹脂製ファン(2)のファン基
板部分(9)が覆うように構成し、フライホイール(1)の
周縁に形成した環状錘部分(4)の外周面にマグネット収
容部(7)を凹陥形成し、このマグネット収容部(7)の底
壁部分(8)をフライホイール(1)の外側面よりも外向き
に突出して形成するとともに、ファン基板部分(9)の周
縁部でのマグネット収容部(7)に対応する部分(12)を外
側に膨出形成して、このファン基板部分(9)の膨出部分
(12)でマグネット収容部(7)の外側面を覆うように構成
し、ファン基板部分(9)の膨出部分(12)に立設したファ
ンブレード(10)の突出量を、ファン基板部分(9)の他の
部分に立設したファンブレード(10)の突出量よりも少な
く形成して、ファンブレード(10)の外側端面が同一平面
に位置するように形成し、ファンブレード(10)の突出形
成領域でファン(2)をフライホイール(1)に固定するこ
とにより、ファン基板部分(9)の外周縁寄り部分での裏
面をフライホイール(1)の環状錘部分(4)での外側面に
圧接させたものである。
【0006】
【作用】本考案は、例えば図1と図2とに示すように、
次のように作用する。空冷エンジンを運転することによ
って、フライホイール(1)が回転駆動され、合成樹脂製
ファン(2)が冷却風を起こす。この冷却風は、ファン基
板部分(9)の外側面に沿ってファン(2)の中央部から周
縁部への遠心方向へ流れる。一方、フライホイール(1)
のマグネット収容部(7)は、マグネットを取り付ける関
係上、マグネット収容部(7)の底壁部分(8)がフライホ
イール(1)の外側面よりも外向きに突出する。そして、
それに合わせてファン基板部分(9)は、マグネット収容
部(7)に対応する部分(12)を膨出させてマグネット収容
部(7)の外側面を覆うようにしてある。このため、ファ
ン(2)の中央部からマグネット収容部(7)側へ流れる冷
却風は、ファン基板部分(9)の外側面に沿ってマグネッ
ト収容部(7)を滑らかに乗り越える。これにより、冷却
風はファン(2)からスムーズに流れ出て、エンジン本体
側へ送風される。また、ファン(2)をフライホイール
(1)に固定した状態で、ファン基板部分(9)の外周縁寄
り部分での裏面が、フライホイール(9)の環状錘部分
(4)での外側面に圧接するようにしてあることにより、
ファン基板部分(9)の外周縁とフライホイール(1)との
間に隙間が生じない。このため、たとえファン基板部分
(9)の裏面の中央側と、フライホイール(9)との間に隙
間があっても、その隙間にゴミや砂などが入り込むこと
がない。
【0007】
【実施例】図面は本考案の実施例を示し、図1はフライ
ホイールファンの中央縦断面図、図2はフライホイール
ファンの正面図である。このフライホイールファンは、
鋳鉄で鋳造したフライホイール部分(1)と合成樹脂で一
体形成したファン部分(2)とで形成してある。
【0008】フライホイール部分(1)は、中央部に形成
したボス部分(3)と外周縁部分に形成した環状錘部分
(4)とを連結壁(5)で連結した形状に形成してあり、ボ
ス部分(3)にエンジンのクランク軸と外嵌するテーパー
孔(6)が透設してある。また、連結壁(5)の外側面は、
外周縁側ほどエンジン側に後退する円錐面に形成してあ
る。
【0009】環状錘部分(4)の外周面の1カ所を凹陥形
成してマグネット収容部(7)が形成してある。このマグ
ネット収容部(7)の底壁部分(8)は環状錘部分(4)の外
側面から外向きに突出している。
【0010】ファン部分(2)はポリアセタール樹脂で一
体に形成してあり、フライホイール部分(1)の外側面に
沿う形状に形成した中高円錐状の基板部分(9)とこの基
板部分(9)の外周縁寄り部分で基板部分(9)から一体に
立ちあげた多数のファンブレード(10)とで形成してあ
る。そして、基板部分(9)の中央部にフライホイール部
分(1)のボス部分(3)に外嵌する嵌合穴(11)が形成して
ある。
【0011】そして、ファン部分(2)の基板部分(9)で
のフライホイール部分(1)のマグネット収容部(7)に対
応する部分(12)は外向きに膨出形成してあり、この膨出
部(12)に形成したファンブレード(10)は他の部分に形成
したファンブレード(10)よりもその突出量を短く形成し
てあり、ファンブレードの外側端が同一平面に位置する
ように形成してある。
【0012】このファン部分(2)とフライホイール部分
(1)とは、円周方向3等分位置でボルトにより確りと固
定できるように構成してある。そして、ファン部分(2)
とフライホイール部分(1)とを組み付けた状態では、フ
ライホイール部分(1)の連結壁(5)と基板部分(9)の裏
面との間に微小な隙間が形成され、かつ、ファン部分
(2)の基板部分(9)での外周縁寄り部分がフライホイー
ル部分(1)の環状錘部分(4)の外面に圧接して固定され
るようにしてある。
【0013】図3及び図4は、ファン部分(2)の浮き上
がりを防止する別の手段を示し、これは、フライホイー
ル部分(1)の連結壁(5)と基板部分(9)の裏面との間に
形成した微小な隙間を基板部分(9)の表面側に連通する
空気流通孔(13)がファンブレード(10)同士間に適当間隔
おきに形成してある。
【0014】このように形成したフライホイールファン
では、ファンブレード部分で形成された圧力風の一部
が、ファン部分(2)の基板部分(9)の裏面側に流れ込
み、フライホイール部分(1)の連結壁(5)と基板部分
(9)の裏面との間に形成した微小な隙間に入り込んだゴ
ミや砂を空気流通孔(13)から基板部分(9)の裏面側に流
れ込んだ圧力風で吹き飛ばすように構成したものであ
る。
【0015】
【考案の効果】本考案は、上記のように構成し作用する
ことから次の効果を奏する。エンジン全体の大型化を防
ぐため、フライホイールは比較的薄く形成してある。この
ため、フライホイールの周縁部に点火タイミング用のマ
グネットを配置しようとすると、マグネット収容部がフ
ライホイールの外側面から外向きに突出してしまう。こ
の場合、合成樹脂製ファンのファン基板部分の周縁部及
びファンブレードから上記マグネット収容部に対応する
部分を切り欠くだけで対処しようとすると、ファン基板
部分の切り欠きの縁と、マグネット収容部との間で隙間
が生じてしまう。このため、ファン基板部分の外側面に
沿って遠心方向へ流れていた冷却風の一部が、上記隙間
に入り込んで乱流を起こし、この乱流が冷却風のスムー
ズな流れを妨げる。しかも、上記隙間に冷却風が流れ込
むことで、その冷却風に含まれているゴミや砂などが、
ファン基板部分とフライホイールとの間に侵入して溜ま
ってしまう。これに対し、本考案は、ファン基板部分で
マグネット収容部の外側面を覆うので、ファンの中央部
からマグネット収容部側へ流れる冷却風は、ファン基板
部分の外側面に沿ってマグネット収容部を滑らかに乗り
越え、乱流を起こすことなくファンから流れ出る。従っ
て、薄く形成したフライホイールにマグネットを配置す
るために、マグネット収容部がフライホイールの外側面
よりも外向きに突出していても、冷却風は乱流を起こす
ことなくファンからスムーズに流れ出て、冷却風の送風
効率を高く維持できる。しかも、ファン基板部分を切り
欠いていないことで、その切り欠きの縁とフライホイー
ルのマグネット収容部との間で隙間が生じない分だけ、
冷却風に含まれているゴミや砂などが、ファン基板部分
とフライホイールとの間に侵入しない。
【0016】また、通常、フライホイールは鋳造される
ため、フライホイールの仕上げ精度はあまり高くなく、
ファン基板部分の裏側全体をフライホイールに隙間なく
密着させることができない。このため、ファン基板部分
とフライホイールとの間に隙間ができてしまい、ファン
基板部分の周縁と、フライホイールとの間からゴミや砂
などが上記隙間に入り込んで、ファンを浮き上がらせて
しまう。そして、このファンの浮き上がりによってファ
ンブレードとファンケースの内面とが摺接し、ファンブ
レードを摩耗させてしまう。これに対し、本考案は、フ
ァンをフライホイールに固定した状態で、ファン基板部
分の外周縁寄り部分での裏面が、フライホイールの環状
錘部分での外側面に圧接するようにしたので、ゴミや砂
などがファン基板部分の周縁と、フライホイールの環状
錘部分との間から侵入することが阻止される。つまり、
フライホイールの仕上げ精度が低いために、ファン基板
部分とフライホイールとの間に隙間ができても、ファン
基板部分の周縁と、フライホイールの環状錘部分との間
での密着性さえ確保しておくことで、ファン基板部分と
フライホイールとの間にゴミや砂などが入り込んでファ
ンが浮き上がることを防止できる。これにより、ファン
ブレードとファンケースの内面とが摺接せず、この結
果、ファンケース内面をファンに近接させて配置でき、
冷却風の送風効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フライホイールファンの中央縦断面図である。
【図2】フライホイールファンの正面図である。
【図3】異なる技術手段を採用したフライホイールファ
ンの縦断面図である。
【図4】図3のフライホイールファンの正面図である。
【符号の説明】
1…フライホイール、2…ファン、4…フライホイール
の環状錘部分、7…マグネット収容部、8…マグネット
収容部の底壁部分、9…ファンの基板部分、10…ファン
ブレード、12…基板の膨出部分。

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳鉄製フライホイール(1)の外側面の
    央部と周縁とに亘って合成樹脂製ファン(2)のファン基
    板部分(9)が覆うように構成し、 上記 フライホイール(1)の周縁に形成した環状錘部分
    (4)の外周面にマグネット収容部(7)を凹陥形成し、こ
    のマグネット収容部(7)の底壁部分(8)を上記フライホ
    イール(1)の外側面よりも外向きに突出して形成すると
    ともに、上記ファン基板部分(9)の周縁部でのマグネッ
    ト収容部(7)に対応する部分(12)を外側に膨出形成し
    て、このファン基板部分(9)の膨出部分(12)で上記マグ
    ネット収容部(7)の外側面を覆うように構成し、 上記ファン基板部分(9)の 膨出部分(12)に立設したファ
    ンブレード(10)の突出量を、上記ファン基板部分(9)の
    他の部分に立設したファンブレード(10)の突出量よりも
    少なく形成して、このファンブレード(10)の外側端面が
    同一平面に位置するように形成し、上記 ファンブレード(10)の突出形成領域で上記ファン
    (2)を上記フライホイール(1)に固定することにより、
    上記ファン基板部分(9)の外周縁寄り部分での裏面を
    フライホイール(1)の環状錘部分(4)での外側面に圧
    接させたことを特徴とする空冷エンジンのフライホイー
    ルファン。
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