JP2569139B2 - イオンビーム加工方法 - Google Patents

イオンビーム加工方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はイオンビーム加工方法に係り、被加工物とし
て特にVLSI等の半導体装置を加工するに好適なイオンビ
ーム加工方法に関する。
〔従来の技術〕
第2図のように集束イオンビーム6によるVLSIの加工
において、多層配線の上層2を通して下層4を加工する
際に、再付着物5により、下層と下層の配線が短絡する
ことが重要な問題となっている。これまでこの問題に対
してほとんど有効な対策は得られていなかった。
イオンビーム加工装置は主としてマスクリペア装置と
して用いられてきたが、従来の一般的な加工方法は単純
な矩形走査による直方体状の加工を行なうものであっ
た。
また2段階加工を行なった例としては、フォーカスト
イオン ビーム マイクロ サージェリー フォー
エレクトロニクス、ミューシル、アイ、イーイーイー
エレクトロン デバイス レターズ EDL7,1986年5月
5日(“Focused Ion Beam Microsurgery for Electron
ics"C.R.MUSIL:IEEE ELECTRON DEVICE LETTERS EDL7,5,
MAY,1986)のFig1があるが、これは上下配線の接続をね
らったものであり、上下配線短絡防止とは正反対の効果
を生じさせたものである。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来技術においては、下層配線をとりだすために
イオンビームによって穴加工を施す際、上層配線と下層
配線とが短絡してしまい、LSIの配線加工の歩留りが低
下するという課題を有していた。
本発明の目的は、上記従来技術に鑑みて、イオンビー
ムによって穴加工する際、穴の底部になだらかな段差を
作って上下層の配線の短絡を防止するようにしたイオン
ビーム加工方法及びその装置を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的は、加工穴全面の加工と、一部のみの加工
を、段差部につける底面の角度に対応した堀り込み深さ
の比で、繰返すことにより達成される。
あるいは、加工穴全面の中で、深くほりこみたい部分
のドーズ密度をその他の部分よりも大きくしたスキャン
を繰返すことにより達成される。
即ち、本発明では、上記目的を達成するために、被加
工物の被加工領域に収束したイオンビームを偏向照射し
て被加工物を加工する方法を、被加工領域のうちの所定
の領域に収束したイオンビームを偏向照射するステップ
と、所定の領域内の一部に収束したイオンビームを照射
するステップとを1回または数回づつ交互に繰り返して
行うことにより、所定の領域の断面形状を、深さの異な
る加工面をなだらかに接続した形状に加工することによ
り行うようにした。
また、被加工物の被加工領域に収束したイオンビーム
を偏向照射して前記被加工物を加工する方法を、収束し
たイオンビームをドット照射によるデジタル・スキャン
して被加工領域のうちの所定の領域へのドーズ量を部分
的に多くしながら所定の領域に偏向照射を繰り返し行う
ことにより、所定の領域の断面形状を、深さの異なる面
をなだらかに接続した形状に加工することより行うよう
にした。
更に、多層配線を有する半導体素子に収束したイオン
ビームを偏向照射して前記半導体素子の下層配線を露出
させる加工方法を、半導体素子の表面の露出させるべき
下層配線の上部を含む領域に収束したイオンビームを下
層配線の上部の上層配線の断面形状に対応してドーズ量
を変化させて繰り返し偏向照射することにより上層配線
を除去加工して上層配線の下部の絶縁膜を露出させ、こ
の露出させた絶縁膜の一部に収束したイオンビームを照
射し絶縁膜の一部を除去加工して下層配線膜を露出させ
ることにより行うようにした。
〔作用〕
ところで第3図(a),(b)に示すように2段加工
で上下層の短絡を防止する方法が考えられる。この方法
では、配線2,配線4が第3図のように平坦な場合は、層
間絶縁膜により、短絡が防止される。しかし、第4図
(a)に示すように下層配線4のパターンのため上層配
線2にうねりが生じている場合は、第3図(b),
(c)に示すように1段目の加工穴8の底面に上層配線
2が残ってしまう。このため2段目の加工9を行う時に
側壁に再付着する配線材5により、下層配線4と上層配
線2が短絡してしまい、切断歩留りが良くない。
このためには第5図に示すように上層配線に応じた段
差を作らねばならない。第5図では一段目加工8を行っ
た後、上層配線2が残っている両サイドに追加工9を行
っている。上層配線2のうねりが小さい場合はこの方法
でよく、加工8と9を行った状態で加工穴の底面全てに
層間絶縁膜がかぶる。しかし第5図のように上層配線2
のうねりが大きい場合は、どうしても上層配線残り10が
生じてしまう。
前述のような配線切断の目的以外でも、集束イオンビ
ームで幅広い上層配線をはがし、下層配線の状態を光学
顕微鏡で見るニーズがある。この場合にも下層配線パタ
ーンのために上層配線がうねっており、これをきれいに
加工除去するためにはうねりに対応した加工が要求され
る。
そこで、本発明においては、第6図に示すように、部
分スキャンをわずかに行った時の深さd1の段差が、次の
全面スキャンにより右方へ進行する。これは第7図に示
すように平面(入射角0゜)よりも斜面の方がイオンビ
ームによるスパッタが早くすすむからである。
この段差の右方向への進む量は、全面スキャンの深さ
d2に比例する。従って部分スキャンと全面スキャンを交
互に繰返すことにより、段差の深さはd1の繰返し回数倍
で、段差の傾きはd1とd2の比により定まる。このように
下層配線等のうねりに合せた底面を有する穴をイオンビ
ーム(エネルギビーム)によってスパッタ加工すること
ができ上下配線等の短絡を防止することができ、LSI配
線の歩留りの向上をはかることができる。
〔実施例〕
本発明の一実施例を第1図により説明する。スキャン
1〜スキャン6において、奇数スキャンは全面スキャン
でそれぞれ0.5μm掘り込み、偶数スキャンは部分スキ
ャンでそれぞれ0.5μm堀り込んだ例である。
部分スキャン2で堀込んだ左側と右側の段差には、全
面スキャン3によりそれぞれ右側,左側へ進行する。そ
の後再び部分スキャン4を行うと、スキャン2で堀込ん
だ位置と同じ位置に堀込みが行われる。
これを繰返すと、部分スキャンにより作られた段差が
全面スキャンにより次々と左又は右方向へ進行していく
ので、結果としてなだらかな斜面を持つ段差をもつ穴が
出来る。
第2の実施例を第8図〜第10図にて説明する。これら
は段差を1つだけ作る加工例であり、全面スキャンと部
分スキャンの堀込み量の比を変えることにより段差の斜
面の角度を変えることができることを示している。
第8図は部分スキャンの堀込み量a=0.5μm,全面ス
キャンの堀込み量b=0.5μm,すなわち、a:b=1:1の場
合である。部分スキャンと全面スキャンを繰返すことに
より段差の斜面の傾き角45゜が得られる。
第9図はa:b=2:1の例である。斜面の傾き角は約60゜
となる。すなわち部分スキャンの堀込み量を大きくする
ことにより、急な傾き角を得ることが出来る。
第10図はa:b=1:2の例である。斜面の傾き角は約30゜
となる。すなわち部分スキャンの堀込み量を小さくする
ことにより、緩かな傾き角を得ることができる。
第8〜第10図では説明の簡単化のため傾き角をそれぞ
れ45゜,60゜,30゜とした。しかしこの傾き角は本来、被
加工物のスパッタ率の入射角度依存データ,被加工物の
スパッタされた粒子の飛散方向の角度分布データ,イオ
ンビームのエネルギ,イオンビームの電流密度分布,ス
キャン方法により変化するものである。我々は実験によ
り、この値を決定している。
第11図は、本発明の第3の実施例である。第8図に示
した実施例では部分スキャンを深さaに達する迄複数回
行い、全面スキャンを深さbに達する迄複数回行い、こ
れを繰返し行っている。この複数回のスキャンを極限迄
小さくすることを考えると、全面スキャンの中で、部分
的にドーズ密度を高くするという方法に致る。第11図
(a)はこの具体的方法として、部分的にスキャンピッ
チを密にしたものである。スキャンピッチが密なところ
では、ドーズ密度が高くなるのでより深い加工が施され
る。このような全面スキャンを繰返していくと、第8図
と同様に段差が左又は右へ進行し、なだらかな段差が作
られる。第8図での堀込み量の比a:bは、本実施例では
スキャンピッチの密度比でおきかえられる。第11図
(b)はスキャンの速度を部分的に変えることにより、
ドーズ密度を変える例である。
第12図は、全面スキャンの中で部分的にドーズ密度を
高くする具体的方法として、ドット照射における照射時
間(dwell time)やドット密度を変えたものである。デ
ジタル・スキャン方式の装置においては、この方法が容
易に行える。黒い大きな点が長い照射時間を、小さな点
が短い照射時間を表わしている。ドーズ密度は第12図に
示す如く加工穴の左,右端で高くなるので、第8図や第
12図の実施例と同様な段差進行が得られる。第8図の堀
込み量の比a:bは、本実施例では、ドット照射時間の比
あるいは、ドットの密度の比でおきかえられる。
本発明を具現化する装置の実施例を第13図に示す。本
発明では、スキャンの方法と、得られる加工形状の関係
は、試料の加工特性,ビームの径やプロファイルなどに
より決められる。従ってこの加工を行うためには、実験
結果やシミュレーション結果から得られたスキャン方法
データを、FIB加工装置に入力する必要がある。
第13図において、スキャン方法を作成するプロセッサ
13により、スキャン方法データ15が作成される。このデ
ータ15は、例えばとして0から12μm迄を10回スキャ
ンし、次いでとして0から3μm迄と9から12μm迄
を6回スキャンし、とを12回繰返す、というもので
ある。FIB加工装置は、集束イオンビーム鏡筒16,ブラン
キング電極17,ビーム偏向電極18,二次粒子検出器19,ス
テージ20,排気系21,及びメインコントローラ22とこの下
におかれるスキャンコントローラ23他図示の複数のコン
トローラから成る。スキャンコントロールデータ15は、
入力装置24よりスキャンコントローラ23に入力される。
入力装置24は例えばキーボード,フロッピドライバ,カ
セットテープリーダ,データ通信用インタフェース等で
ある。
スキャン方法作成プロセッサ13は、加工形状計算用デ
ータ(スパッタ率データ25,再付着計算用データ26,ビー
ム特性データ27)から加工形状の進行状態を計算し、目
標形状データ28に一致するようにスキャンデータ15を作
成する。あるいはプロセッサ13は、加工形状計算用デー
タ(部分スキャンと全体スキャンとの堀込み比率a:bに
すると段差の角度がいくつになるといった実験データ、
即ち部分スキャンと全体スキャンとの堀込み比率と段差
の角度との関係データ14)をもとに、目標形状データ28
に一致するようなスキャンデータ15を作成する。
このようなプロセッサを用いると第14図のような加工
方法が容易に得られる。すなわち第10図に示すように深
さ3μmの穴で深い部分がこれより1.5μm深い4.5μm
深さである穴がほしいが、段差の傾き角は30゜ではなく
第8図に示すような45゜でありたい場合である。この場
合は第8図の知見(a:b=1:1の時、傾き角が45゜とな
る)を基に、第14図に示すようにあらかじめ全面を2μ
m掘り込んでおいた上で、a=0.5μm,b=0.5μmの加
工を2.5回繰返すという解が得られる。
あらかじめ一様な深さに加工しておくことを行った
後、本発明のなだらかな段差を作る加工を実施すること
で、任意の深さ,段差,傾き角をもつ加工が可能とな
る。
また本発明のまた他の実施例として、第15図に示すよ
うに加工面をx方向とy方向にそれぞれ3つずつ計9つ
に分割し、ドーズ量を変える方法を示す。第16図(a)
に示すように加工面の左右両端の実線で囲んだ部分を深
さaだけ堀込み、次に(b)に示すように中央部を横に
長く実線で囲んだ部分を深さbだけ堀込み、更に(c)
に示すように加工面全面を深さcだけ堀込む。このa→
b→cを順次繰返すことにより、第8図に示したよう
に、段差が進行することで滑かな斜面を持つ底面が形成
されていく。この結果、第17図に示すような鞍形の底面
を得ることができる。堀込み量a,b,cを調整することに
よりx方向,y方向の斜面の角度や深さの差を変えること
ができる。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、加工穴の底面に
段差を作る場合に、下層配線のなだらかな曲面に合せて
なだらかな段差が得られるので、上下層配線の短絡が防
止され、多層配線LSIの配線加工の歩留りが向上する効
果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を示す断面図、第2図,第3図,第4図
及び第5図は本発明の作用を説明するための多層のLSI
にイオンビームによって穴加工を施した断面図、第6図
は本発明の原理を示す断面図、第7図はスパッタ率の入
射角依存性を示す特性図、第8図,第9図及び第10図は
本発明の一実施例である段差の進行を表わす断面図、第
11図、及び第12図は第8図、第9図及び第10図と異なる
本発明の他の実施例を示す図、第13図は本発明を実施す
る装置の一実施例を示す図、第14図は更に本発明の他の
一実施例を示す断面図、第15図、第16図及び第17図は更
に本発明の他の実施例を示す断面図である。 2……上層配線 3……層間絶縁膜 4……下層配線 5……再付着物 6……集束イオンビーム 7……段差 8……1段目の加工 9……2段目の加工 13……スキャン方法プロセッサ 16……集束イオンビーム鏡筒 18……ビーム偏向電極 22……メインコントローラ 23……スキャンコントローラ 24……入力装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 貴彦 東京都青梅市今井2326番地 株式会社日 立製作所デバイス開発センター内 (56)参考文献 特開 昭62−174918(JP,A) 特開 昭60−136315(JP,A) 特開 昭62−210625(JP,A) 特開 昭58−106750(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被加工物の被加工領域に収束したイオンビ
    ームを偏向照射して前記被加工物を加工する方法であっ
    て、前記被加工領域のうちの所定の領域に前記収束した
    イオンビームを偏向照射するステップと、前記所定の領
    域内の一部に前記収束したイオンビームを照射するステ
    ップとを1回または数回づつ交互に繰り返して行うこと
    により、前記所定の領域の断面形状を、深さの異なる加
    工面をなだらかに接続した形状に加工することを特徴と
    するイオンビーム加工方法。
  2. 【請求項2】被加工物の被加工領域に収束したイオンビ
    ームを偏向照射して前記被加工物を加工する方法であっ
    て、前記収束したイオンビームをドット照射によるデジ
    タル・スキャンして前記被加工領域のうちの所定の領域
    へのドーズ量を部分的に多くしながら前記所定の領域に
    偏向照射を繰り返し行うことにより、前記所定の領域の
    断面形状を、深さの異なる面をなだらかに接続した形状
    に加工することを特徴とするイオンビーム加工方法。
  3. 【請求項3】前記ドーズ量を部分的に多くすることを、
    前記ドットの照射時間を制御することにより行うことを
    特徴とする請求項2記載のイオンビーム加工方法。
  4. 【請求項4】前記所定の領域への偏向照射を、前記ドー
    ズ量を部分的に多く変化させる領域を徐々に拡大しなが
    ら繰り返し行うことを特徴とする請求項2又は3記載の
    イオンビーム加工方法。
  5. 【請求項5】多層配線を有する半導体素子に収束したイ
    オンビームを偏向照射して前記半導体素子の下層配線を
    露出させる加工方法であって、前記半導体素子の表面の
    前記露出させるべき下層配線の上部を含む領域に前記収
    束したイオンビームを前記下層配線の上部の上層配線の
    断面形状に対応してドーズ量を変化させて繰り返し偏向
    照射することにより上記上層配線を除去加工して前記上
    層配線の下部の絶縁膜を露出させ、該露出させた絶縁膜
    の一部に前記収束したイオンビームを照射し前記絶縁膜
    の一部を除去加工して下層配線膜を露出させることを特
    徴とするイオンビーム加工方法。
  6. 【請求項6】前記ドーズ量の変化を、前記イオンビーム
    の偏向走査する領域を変化させることにより行うことを
    特徴とする請求項5記載のイオンビーム加工方法。
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