JP2568819Y2 - 前処理装置の処理液槽 - Google Patents

前処理装置の処理液槽

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JP2568819Y2
JP2568819Y2 JP1845392U JP1845392U JP2568819Y2 JP 2568819 Y2 JP2568819 Y2 JP 2568819Y2 JP 1845392 U JP1845392 U JP 1845392U JP 1845392 U JP1845392 U JP 1845392U JP 2568819 Y2 JP2568819 Y2 JP 2568819Y2
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関 笙 平 尾
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、タンク内に貯留された
処理液を当該タンク内に配設した熱交換器によって使用
温度に加熱する前処理装置の処理液槽に関する。
【0002】
【従来の技術】金属表面等に塗装を行う場合、塗料のつ
きまわり性を向上させると同時に、塗装不良を防止して
均一な塗膜を形成するために、脱脂処理,化成処理,洗
浄処理等の前処理を行う。この場合に、脱脂処理,化成
処理においては、その脱脂液の温度及び化成処理液の温
度を、例えば50〜60℃及び48〜55℃程度まで夫
々加熱することとしているので、前処理装置には、通
常、前処理液を所定温度に加熱する熱交換チューブから
成る熱交換器を備えた処理液槽が接続されている。
【0003】このような処理液槽は、例えば図3,図4
に示すように、縦長の円筒状のタンク1の下部に、処理
液を回収する流入口11が形成されると共に、流出口1
2が上部に形成され、当該タンク1の上面開口部から、
縦長に形成された複数本の熱交換チューブ13が垂直に
挿入されて互いに平行に立設されている。
【0004】この熱交換チューブ13は、上端が閉塞さ
れ、下端が開口されて成る外管14に、両端が開口され
て成る内管15が挿入された二重管構造に形成され、タ
ンク1の下端側に二段に形成された熱媒供給室16及び
熱媒排出室17に内管15及び外管14の下端開口部が
夫々接続されて支持されている。
【0005】そして、前記熱媒供給室16から内管15
に供給されたスチーム等の熱媒が、熱交換チューブ13
の上端で折り返して外管14と内管15の隙間を通り、
外管14を介してタンク1内の処理液を所定の使用温度
まで加熱した後に、熱媒排出室17から排出するように
成されている。
【0006】そして、この処理液槽は、タンク1が縦長
であるから底面積を小さくすることができ、狭い所にも
設置することが可能であり、また、熱交換チューブ13
は垂直に立設されているので、油脂分等の異物が付着し
難い等の利点を有していた。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】ところが、熱交換チュ
ーブ13は、処理液と接触する表面積が小さいため、熱
効率が悪く、処理液の加熱に時間がかかるという難点が
あった。また、熱交換チューブ13の内管15から供給
されるスチーム等の熱媒が、熱交換チューブ13内の上
端で折り返されて、外管14と内管15の間に形成され
た環状の隙間を通り抜ける際に吸熱されて凝集し、一部
が液体化されて熱媒排出室17に流入するが、当該熱媒
排出室17を貫通して配設されている前記内管15は、
耐熱金属製の普通の管で形成され、流通する熱媒によっ
てその表面は非常に高温となっているため、液体化した
熱媒が熱媒排出室17内で内管15の表面に接触する
と、瞬間的に気化して爆発音を発したり、その急激な膨
張による衝撃によって時には内管15等を破壊する虞さ
えあった。
【0008】そこで本考案は、処理液との接触面積を大
きくして熱効率を高めることができる熱交換器を備え、
しかも吸熱されて液体化した熱媒が排出される際に、急
激に気化することのない前処理装置の処理液槽を提供す
ることを技術的課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に、本考案による前処理装置の処理液槽は、縦長に形成
された円筒状のタンク内に貯留された処理液を、当該タ
ンク内に配設した熱交換器によって使用温度に加熱する
前処理装置の処理液槽であって、前記熱交換器が、前記
円筒状のタンク内に配設されて熱媒流通部と処理液流通
部を交互に形成する複数の同心円状の伝熱壁と、前記各
熱媒流通部内に立設される一端を開口した複数本の熱媒
供給管とから構成され、当該各熱媒供給管が断熱層を有
する多重管で形成されると共に、前記各熱媒流通部の一
端が前記熱媒供給管から供給される熱媒を下方に折り返
すように蓋体によって閉塞され、熱媒が前記熱媒供給管
を成す多重管の表面と前記熱媒流通部の伝熱壁との間に
形成される隙間を通り抜けて排出されるように成されて
いることを特徴とする。
【0010】
【作用】本考案によれば、タンク内に配設される複数の
同心円状の伝熱壁によって熱媒流通部と処理液流通部と
が交互に形成され、処理液は、各処理液流通部の伝熱壁
と接触することにより使用温度に加熱されることとなる
が、この伝熱壁の表面積は、従来の熱交換チューブの表
面積に比して格段に大きいため、熱効率を向上させるこ
とができ、処理液を短時間で昇温させることが可能とな
る。
【0011】また、各熱媒流通部内には、同心円に沿っ
て複数本の熱媒供給管が所定間隔で立設されているか
ら、各伝熱壁に均一にしかも効率良く熱を伝えることが
でき、処理液も均一に加熱することができる。さらに、
熱媒供給管が、断熱層を有する多重管で形成されている
ため、その表面は余り高温とならないので、熱媒供給管
の表面と前記熱媒流通部の伝熱壁との間の隙間を通り抜
けて一部が液体化された熱媒が、排出される際に前記熱
媒供給管の表面に接触しても、従来のように瞬間的に気
化して爆発音を発したり、急激な膨張によって熱媒供給
管等を破壊することもない。
【0012】以下、本考案の実施例について、図面に基
づいて説明する。図1は、本考案に係る処理液槽の一例
の内部を示す側面図、図2はその要部を示す断面図であ
る。図中1は、塗装の前処理に使用する脱脂液,化成処
理液等の処理液を回収して貯留するタンクであって、縦
長に形成された円筒状の容器で成り、処理液を回収する
流入口11が下部に形成されると共に、流出口12が上
部に形成されている。
【0013】そして、タンク1内には、耐熱金属板で成
形した複数の同心円状の伝熱壁2,2・・・が配設さ
れ、当該伝熱壁2,2・・・によって熱媒流通部3a,
3b,3cと処理液流通部4a,4b,4cが交互に三
段に渡って形成されている。また、一段目の熱媒流通部
3a内には、1本の熱媒供給管5がタンク1の中央に立
設され、二段目の熱媒流通部3b内には、6本の熱媒供
給管5,5・・・が伝熱壁2の同心円に沿って所定間隔
で立設され、さらに、三段目の熱媒流通部3c内には、
9本の熱媒供給管5,5・・・が立設されている。
【0014】この熱媒供給管5は、両端が開口された耐
熱金属製の二重管6で形成され、空気層の断熱性によ
り、管の内壁の高熱が管の表面に伝導しにくいようにな
っている。そして、タンク1の下端側には熱媒供給室1
6及び熱媒排出室17が二段構造に形成され、前記各熱
媒供給管5,5・・・の下端開口部が熱媒供給室16に
接続されると共に、前記各熱媒流通部3a,3b,3c
の下端開口部が熱媒排出室17に接続されて支持されて
いる。
【0015】また、熱媒流通部3aの上端開口部は円板
状の蓋体7aで閉塞され、熱媒流通部3bと3cの上端
開口部は、リング状の蓋体7b及び7cによって夫々閉
塞され、各熱媒供給管5の上端開口部から供給される熱
媒を下方に折り返すように成っており、装置全体で熱交
換器Hを構成するようになっている。
【0016】また、各処理液流通部4a,4b,4cに
は、棒状のワイヤブラシから成る縦長のスクレーパー
8,8・・・が、上方から挿入されると共に、円板状の
回動部材9に係合され、当該回動部材9には回転軸10
が連結されタンク1の上蓋21に支承されている。な
お、回転軸10は電動モータ又は手動ハンドルに連結さ
れて回転されるようになされ、前記回転部材9の回転に
よって、各スクレーパー8,8・・・は、各伝熱壁2,
2・・・の表面に沿って周回し、その表面に付着した油
脂分等の異物を掻き取るように成っている。
【0017】以上が本考案の一例構成であって、次にそ
の作用について説明する。まず、流入口11から脱脂
液,化成処理液等の処理液をタンク1内に流入させると
同時に、タンク1の下端側の熱媒供給室16に高温のス
チーム等の熱媒を供給する。
【0018】熱媒供給室16内の熱媒は、各熱媒供給管
5,5・・・の下端側開口部から流入して、その上端側
開口部から各熱媒流通部3a,3b,3c内に噴出す
る。そして、その熱媒は各熱媒流通部3a,3b,3c
の上端を閉塞する蓋体7a,7b,7cに衝突して下方
に折り返されて、各熱媒供給管5,5・・・と各熱媒流
通部3a,3b,3cとの間の隙間を通り、徐々に吸熱
されて一部が液体化して熱媒排出室17から排出され
る。
【0019】この際、熱媒供給管5は、空気による断熱
層を有する二重管6で形成されているため、この空気層
の断熱性によって表面は余り高温にならないので、液体
化した熱媒が、熱媒排出室17内で熱媒供給管5の表面
に接触しても、従来のように瞬間的に気化して爆発音を
発したり、急激な膨張による衝撃で熱媒供給管5等が破
壊されることがない。
【0020】そして、熱媒の流通によって高温に加熱さ
れた各伝熱壁2,2・・・の表面に各処理液流通部4
a,4b,4c内の処理液が接触することにより、その
処理液は所定の使用温度まで加熱される。なお、各伝熱
壁2,2・・・の表面積は、従来の熱交換チューブの表
面積に比して格段に広いため、熱効率が良く、処理液を
短時間で加熱でき、熱媒の熱を有効に利用することがで
きる。
【0021】そして、所定の使用温度に加熱された処理
液は、流出口12から排出され、被塗物の前処理に循環
使用される。また、前処理装置から回収されてタンク1
内に流入する処理液には、被塗物表面から洗い落とされ
た油脂分やゴミ等が含まれているので、これらが伝熱壁
2,2・・・の表面に付着することとなる。
【0022】したがって、所定時間運転したところで、
タンク1の回転軸10を電動モータや手動ハンドルによ
って回転させ、回転部材を回転させて棒状のスクレーパ
ー8を伝熱壁2に沿って周回させると、前記油脂分等の
異物が掻き取られ、伝熱壁2の表面にスケールが形成さ
れることがなく、熱効率を常に一定にすることができ
る。なお、この伝熱壁2の壁面の清掃は、スクレーパー
8を周回させるだけで簡単にしかも短時間で行うことが
でき、従来のようにスクレーパーを熱交換チューブの全
幅に渡って上下動させる必要もないので構造の複雑なネ
ジシャフト等を設ける必要もなくなった。
【0023】
【考案の効果】以上述べたように、本考案の前処理装置
の処理液槽によれば、処理液は、タンク内の各処理液流
通部の伝熱壁と接触することにより使用温度に加熱され
ることとなり、この伝熱壁の表面積は、従来の熱交換チ
ューブの表面積に比して格段に広いため、熱効率を向上
させることができ、処理液を短時間で昇温させることが
できるという優れた効果がある。
【0024】さらに、熱媒供給管が、断熱層を有する多
重管で形成されているため、その表面は余り高温となら
ないので、熱媒供給管の表面と前記熱媒流通部の伝熱壁
との間の隙間を通り抜けて液体化された熱媒が、排出さ
れる際に前記熱媒供給管の表面に接触しても、従来のよ
うに瞬間的に気化して爆発音を発したり、急激な膨張に
よって熱媒供給管等を破壊することがないという優れた
効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案による前処理装置の処理液槽の一例の内
部を示す側面図。
【図2】本考案による前処理装置の処理液槽の一例を示
す断面図。
【図3】従来技術を示す断面図。
【図4】その内部を示す側面図。
【符号の説明】
H・・・熱交換器 1・・・タンク 2・・・伝熱壁 3a,3b,3
c・・・熱媒流通部 4a,4b,4c・・・処理液流通部 5・・・熱媒供
給管 6・・・多重管(二重管) 7a,7b,7
c・・・蓋体

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縦長に形成された円筒状のタンク(1)
    内に貯留された処理液を、当該タンク(1)内に配設し
    た熱交換器(H)によって使用温度に加熱する前処理装
    置の処理液槽であって、前記熱交換器(H)が、前記円
    筒状のタンク(1)内に配設されて熱媒流通部(3a,3b,3
    c)と処理液流通部(4a,4b,4c)を交互に形成する複数の同
    心円状の伝熱壁(2)と、前記各熱媒流通部(3a,3b,3c)
    内に所定間隔で立設される一端を開口した複数本の熱媒
    供給管(5)とから構成され、当該各熱媒供給管(5)
    が断熱層を有する多重管(6)で形成されると共に、前
    記各熱媒流通部(3a,3b,3c)の一端が前記熱媒供給管
    (5)から供給される熱媒を折り返すように蓋体(7a,7
    b,7c)によって閉塞され、熱媒が前記熱媒供給管(5)
    を成す多重管(6)の表面と前記熱媒流通部(3a,3b,3c)
    の伝熱壁(2)との間に形成される隙間を通り抜けて排
    出されるように成されていることを特徴とする前処理装
    置の処理液槽。
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