JP2568588Y2 - 前照灯 - Google Patents

前照灯

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JP2568588Y2
JP2568588Y2 JP1992028796U JP2879692U JP2568588Y2 JP 2568588 Y2 JP2568588 Y2 JP 2568588Y2 JP 1992028796 U JP1992028796 U JP 1992028796U JP 2879692 U JP2879692 U JP 2879692U JP 2568588 Y2 JP2568588 Y2 JP 2568588Y2
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謙二 粂
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Ichikoh Industries Ltd
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、車両用の前照灯として
好適なように改良した、H4バルブを用いた前照灯に関
するものである。このH4バルブはアメリカ合衆国の規
格ではHB2と呼ばれる。
【0002】
【従来の技術】図2は、H4バルブを用いた自動車用前
照灯を示し、(A)は水平断面図、(B)は正面図であ
る。本図2は従来例を描いたものであるが、本考案の実
施例にも共通する。すなわち、この従来例に本考案を適
用して改良した場合も、本図2の縮尺および投影方向に
おいては改良による形状の変化が現われない。ランプハ
ウジング1の前面開口部を覆ってレンズ2が装着され、
上記ランプハウジングとレンズとで囲まれた灯室内に回
転放物面状の反射面を有するリフレクタ3が設置されて
いる。上記リフレクタ3の焦点F付近にH4型の光源バ
ルブ4が配置されて、該リフレクタ3に取り付けられて
いる。このH4型バルブの構造および焦点Fとの関係の
詳細については図3を参照して後述する。5は、リフレ
クタ3に設けられたバルブ取付座、6は防水用のゴムカ
バー、7はゴムカバー押えリングである。光源であるH
4バルブ4から出射してリフレクタ3に入射した光は光
軸Zとほぼ平行に反射されてレンズ2を通過し、左右方
向の拡散を受けて灯具前方に投射される。
【0003】図3は前記H4型バルブを示し、(A)は
斜視図、(B)は背面図である。ガラス製の管球4a内
に、光軸Z上に位置するようにメインフィラメント4b
とサブフィラメント4cとが配列されている。このH4
バルブ4は、上記のメインフィラメント4bを前述した
リフレクタ3(図2(A))の焦点Fに位置せしめて用
いられ、このメインフィラメント4から出射してリフレ
クタ3で反射された光は矢印Z方向の平行光束となる。
上述のごとくメインフィラメント4bを焦点Fに位置せ
しめるので、サブフィラメント4cは矢印Z方向の平行
光束とはならず、適宜に収束傾向を与えられる。この収
束光束は灯具前方の点で交差し、拡散光束となって投射
される。(これはリフレクタ3による反射光の性状を説
明したものであり、実際にはレンズ2を通過する際、さ
らに左右方向の拡散を受ける)。
【0004】さらに、サブフィラメント4cから出射す
る光束は、図3(A)に示したシェード4dによって下
半部を遮られるので、リフレクタ3の反射面の上半部に
のみ光束が入射して反射される。この光束は前述のごと
く一旦収束して交差した後に前方へ投射されるので、図
2(A)に示した光軸Zが水平となるように本従来例の
灯具を設置して灯具前方に設けたスクリーンを照射した
場合、図4に示すような配光パターンが得られる。同図
(A)はレンズ2を取り外してリフレクタ3による反射
光束でスクリーンを照射したときの反射光束パターン8
を示し、同図(B)はレンズ2を装着して上記反射光束
パターン8を左右に拡散したときのレンズ通過光パター
ン9を示している。前記のシェード4dはサブフィラメ
ント4cの下方を覆っているが、その上縁は光軸Zを含
む水平面とは完全に一致していない。その構成は交通法
規が左側通行であるか右側通行であるかによって異な
り、いずれの場合もシェード4dは左右非対称の形状に
なっている。図3(C)はシェード4dの形状を示す模
式図であって、H−Hは水平線を示し、線Mは当該H4
バルブの上下方向の中心線である。点Zは光軸が紙面と
交わった点を示し、前述したサブフィラメント4cはこ
の点Zと同心に位置している。右側通行用のH4バルブ
は、光軸と垂直な面でサブフィラメント付近を切断して
バルブ後方から矢印Z方向に見ると、図3(C)のよう
に見える。右側通行用のH4バルブは反矢印Z方向に見
ると同(C)図のように見える。すなわちシェード4d
の上縁は、自己車線側は水平面で上部を切り取られた形
になっており、対向車線側は15°斜下方に切り下げら
れた形になっている。右側通行用のH4バルブの場合、
図3(B)に示すようにバルブ中心線Mを垂直線V−V
に一致せしめ、レンズを取り外してスクリーンを照射し
たときの配光パターンは図4(A)のごとくになる。8
aは15°カットライン、8bは水平カットラインであ
る。このパターンは、前記シェード4dの影が反転され
た形に現われているものであって、反転する理由は前述
した収束光束が1点で交差した後に拡散しているからで
ある。この図4(A)のパターンは図2(B)で示した
レンズ2によって左右に拡散され、図4(B)のごとく
になる。図2(B)に示した2aは水平カットライン付
近を水平方向に拡散させるプリズムが設けられている区
域であり、2bは15°カットラインを斜方向(傾斜1
5°)に拡散させるプリズムが設けられている区域であ
る。この(B)図のパターンは右側通行用であって、H
−Hはスクリーン上の水平線、V−Vはスクリーン上の
垂直線、Zは前照灯の光軸の延長線がスクリーンと交わ
っている点である。自己走行車線側(V−V線の右側)
は対向車に眩惑を与えないで道路前方を照射し、対向車
線側(V−V線の左側)は上向きの光を投光していない
(H−H線上方にパターンがハミ出していない)。図3
(A),(B)に示した4eは、このH4バルブを取り
付けて位置決めするための突起、4fは給電用の端子で
ある。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】図4に示した従来例の
配光パターンにおけるレンズ通過光束パターン9の水平
カットライン9bは、水平線H−Hと一致していて、水
平方向よりも上方に投光していない。このため対向車に
対して眩惑を与えないので安全である。ところが、この
水平カットライン9bがシャープであって明暗の差が際
立っているため障害物の視認を却って困難ならしめる場
合が有る。このため、例えばアメリカ合衆国規格では水
平カットラインが過度にシャープでないことを求めてい
る。本考案は上述の事情に鑑みて為されたものであっ
て、H4バルブのシェードに改造を加えることなく、レ
ンズのプリズム構成にも改造を加えることなく、簡単な
構成によってレンズを通過した光束パターンの水平カッ
トラインの明暗変化を緩やかならしめた前照灯を提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本考案の構成を、その実施例に対応する図1(A)
を参照し、かつ、従来例を描いた図3(B)と比較して
説明すると、従来例においては図3(B)に示したごと
く、H4バルブの縦方向中心線Mを垂直線V−Vと一致
せしめて装着されていた。本考案においては図1(A)
に示すごとく上記の中心線Mを垂直線V−Vに比して微
小角度(θ=1°)だけ傾けて装着することにより、リ
フレクタによる反射光束パターンの水平カットライン1
0b(図1(B))を水平線Hよりも上方へ斜めに約1
゜突出せしめ 上記の水平カットラインを、レンズのプリ
ズム2a(図2(B))で水平方向に拡散することによ
ってぼかす。
【0007】
【作用】上記のようにH4バルブを光軸Zの回りにθ=
1°だけ回動せさて取りつけると、図1(B)に示すよ
うに反射光束パターン10の水平カットライン10bが
θ=1°だけ傾く。この傾いた水平カットライン10b
をレンズによって往復矢印11のごとく水平方向に拡散
させると該水平カットライン10bがぼかされる。この
ため、レンズを通過した光束のパターンは水平カットラ
インの明暗差が際立たなくなる。
【0008】
【実施例】図1(A)は本考案の1実施例を示し、従来
例における図3(B)に対応する背面図である。この実
施例は前記従来例に本考案を適用して改良したものであ
って、図3(B)と同一の図面参照符号を付したものは
前記従来例におけると同様ないし類似の構成部分であ
る。なお、本実施例は従来例における図3(A)に示し
たH4バルブ4と同様のH4バルブを用いており、該H
4バルブの断面模式図は同3(C)と同様である。そし
て本実施例の前照灯の水平断面図は従来例における図2
(A)と同様である(いま仮に、水平断面を著しく拡大
して詳細を記入した場合を考えると、本実施例の水平断
面図は該図2(A)と僅かに異なるが、この程度の縮尺
で、この方向から見た図(水平断面図)では、本考案の
適用による変化が図に現われない)。そして、本実施例
においては従来例における図2(B)と同様のレンズ2
を用いた。従来例のH4バルブは、図3(B)に示すご
とく、その上下方向の中心線Mを垂直線V−Vと一致せ
しめてリフレクタに装着するように構成されている。そ
して、このように装着して用いたとき図4に示したよう
な配光パターンが得られる。これに比して本実施例では
図1(A)に示すごとく、H4バルブ4を光軸Zのまわ
りに僅かに回動させ、その中心線Mを垂直線V−Vに対
して角θ=1°だけ傾ける。これにより、本実施例の前
照灯からレンズ2を取り外したときの反射光束パターン
10は図1(B)のようになり、水平カットライン10
bは水平線H−Hよりも角θ=1°だけ上方に突出する
方向に傾く。これに伴って15°カットライン10aの
傾斜角は14°になるが、実用上の影響は生じない。前
記のようにして水平線H−Hに対して1°だけ傾斜した
水平カットライン10bが、レンズ2のプリズム2a
(図2(B)参照)によって往復矢印11のごとく水平
方向の拡散を受けるので、レンズを通過した光束は図1
(C)のパターン12となり、その水平カットライン1
2bは僅かにぼかされて水平線H−Hの上方にハミ出
す。これにより、水平カットラインの明暗差が際立たな
くなり、対向者に眩惑を与えない範囲内で自己車運転者
の路上障害物の視認性が改善される。
【0009】
【考案の効果】以上に説明したように、H4バルブを用
いた前照灯に本考案を適用すると、該H4バルブのシェ
ードや前照灯のレンズを改造することなく、該H4バル
ブの装着姿勢を光軸まわりに回動させて取り付けるとい
う簡単な構成により、配光パターンの水平カットライン
付近の明暗変化を緩やかならしめ、路上障害物の視認性
を向上させることができる。これにより、前照灯の主要
構成部材の互換性を損うことなく、輸出仕向先それぞれ
の交通法規に適合し得るという優れた実用的効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の1実施例を示し、(A)はH4バルブ
の背面図、(B)はレンズを取り外した状態での反射光
束による配光パターン図表、(C)はレンズを通過した
光束による配光パターン図表である。
【図2】H4バルブを用いた前照灯の1例を示し、
(A)は水平断面図、(B)は正面図である。
【図3】H4バルブの1例を示し、(A)は斜視図、
(B)は背面図、(C)は要部断面図である。
【図4】H4バルブを用いた従来例の前照灯における配
光パターンの説明図である。
【符号の説明】
1…ランプハウジング、2…レンズ、2a…水平カット
ラインを拡散するプリズム、2b…15°カットライン
を拡散するプリズム、3…リフレクタ、4…H4バル
ブ、5…バルブ取付座、8…従来例における反射光束の
配光パターン、8a…15°カットライン、8b…水平
カットライン、9…従来例におけるレンズを通過した投
光光束の配光パターン、9a…15°カットライン、9
b…水平カットライン、10…本考案の実施例において
レンズを取り外したときの配光パターン、10a…15
°カットライン、10b…水平カットライン、11…レ
ンズのプリズムによる拡散方向を示す矢印、12…本考
案の実施例においてレンズを通過した投光光束の配光パ
ターン、12a…15°カットライン、12b…水平カ
ットライン、M…光源バルブの中心線。

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転放物面状リフレクタの焦点付近にメ
    インフィラメントを位置せしめてH4バルブを設置した
    前照灯において、上記H4型バルブを光軸の回りに角度
    1゜回動せしめて左右方向に傾け、上記リフレクタによ
    る反射光束パターンの水平カットラインを水平線よりも
    上方へ斜めに約1゜に突出せしめてあり、 かつ、上記水平カットライン付近の光束がレンズを通過
    する区域に、通過光束を水平方向に拡散するプリズムが
    設けられていて、レンズを通過した光束のカットライン
    がぼかされるようになっている ことを特徴とする前照
    灯。
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