JP2568279Y2 - 立体駐車設備 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、多段式の立体駐車設備
の改良に関し、特にパレットの水はけ対策に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】従来より、立体駐車設備として、例えば
実開昭４９−１１３３８４号公報に開示されているよう
に、複数枚のパレットに車両を搭載して上下多段に格納
するようにした多段式（三段式）の立体駐車設備が知ら
れている。

【０００３】このような立体駐車設備では、車両格納状
態では複数枚のパレットを上下方向に所定間隔をあけて
保持するとともに、最下段のパレットに対する入出庫時
には該最下段のパレットのみを入出庫口で床面に接地さ
せる一方、最下段のパレットを除くパレットに対する入
出庫時には目的のパレットをその下方のパレットと共に
重ねて床面に接地させるようになされている。

【０００４】また、実公平５−２０８３８号公報には、
入出庫口のピット床面の入出庫口側端部に奥部に向かっ
て前下がりに傾斜する傾斜面を形成し、下段パレットの
入出庫口側端部下面に上記ピット床面の傾斜面に対応す
る傾斜面を形成するとともに、上段パレットの入出庫口
側端部上面に奥部に向かって前上がりに傾斜する傾斜面
を形成することにより、車両の乗降り性をスムーズに行
わせるようにした多段式（三段式）の立体駐車設備が提
案されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】ところが、上記の前者
の立体駐車設備では、最下段のパレットが直接に接地す
る床面は、水平面に形成されていることから、水はけが
悪く、屋外に設置した場合には雨水が溜まって構築物の
基部やパレットに錆が発生するおそれがあった。このよ
うな錆発生は、立体駐車設備が屋内に設置された場合で
あっても、車両を洗車後に十分に水切をせずに入庫した
場合や、雨天の時に入庫した場合にも起こり得、立体駐
車設備が屋外であると屋内であるとを問わず問題とな
る。とりわけ、塵芥収集車等を格納する場合には、一般
に洗車後に十分に水切をせずに入庫しているため、水溜
まりができ易くなる。

【０００６】一方、後者の立体駐車設備においても、ピ
ット床面の入出庫口側端部の傾斜面を除く他の床面部分
は、前者の立体駐車設備と同様に水平面に形成されてい
ることから、水はけが悪く、構築物の基部やパレットが
錆付き易くなる。

【０００７】本考案はかかる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、上記の後者の立体駐車
設備に採用した傾斜面を車両が格納される床面全体に亘
って拡げるとともに、床面奥部に排水手段を適切に講ず
ることにより、雨水や洗車後の水を傾斜面に沿って排水
手段側に導き、水はけを良くして構築物の基部やパレッ
トの錆付きを防止せんとすることにある。さらには、傾
斜面に沿って移動する車両を上記排水手段で移動規制
し、最下段の格納部に対する車両の大幅な位置ずれをな
くさんとすることにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本考案は、車両を搭載して上下多段に格納する複数
枚のパレットを備え、該各パレットは、車両格納状態で
上下方向に所定間隔をあけて保持されるとともに、最下
段のパレットに対する入出庫時には該最下段のパレット
のみが入出庫口で床面に接地する一方、最下段のパレッ
トを除くパレットに対する入出庫時には目的のパレット
がその下方のパレットと共に重ねられて床面に接地する
ように構成された多段式の立体駐車設備を対象とし、次
のような解決手段を講じた。

【０００９】すなわち、本考案の解決手段は、上記各パ
レットが接地する床面を入出庫口から奥部に向かって前
下がりに傾斜させる。さらに、床面奥部に入出庫方向と
直交する方向に延びる排水用の溝を凹設したことを特徴
とする。

【００１０】

【作用】上記の構成により、本考案の解決手段では、入
出庫口から奥部に向かって前下がりに傾斜する床面（最
下段の格納部）に車両が乗り入れると、雨水や洗車等に
よって濡れた車体から落下する水が床面の傾斜に沿って
床面奥部に向かって流れて行き、入出庫方向と直交する
方向に延びる排水用の溝に集められる。設備が屋外に設
置されている場合には、車両が乗り入れていない場合で
も同様にして雨水が上記溝に集められる。

【００１１】また、最下段のパレットに対する入出庫時
には該最下段のパレットが上記傾斜する床面に接地して
床面奥部に向かって前下がりに傾き、一方、最下段のパ
レットを除くパレットに対する入出庫時には目的のパレ
ットがその下方のパレットと共に床面奥部に向かって前
下がりに傾き、車体から落下する水はパレットの傾斜に
沿って床面に排出された後、床面を奥部に向かって流れ
て行き、上記と同様に排水用の溝に集められる。

【００１２】このことから、上記床面には雨水等の水が
溜まらず、水はけが良くなって構築物の基部やパレット
が錆付かない。

【００１３】さらに、車両を最下段の格納部、つまり床
面に直接格納する場合には、車両が床面の傾斜に沿って
床面奥部に移動するおそれがあるが、この移動する車両
の車輪が上記排水用の溝に係合して車両はそれ以上移動
せず、車両が大幅に位置ずれすることなく格納される。

【００１４】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明
する。

【００１５】図１は本考案の実施例に係る多段式（三段
式）の立体駐車設備Ａを示す。該立体駐車設備Ａは、所
定間隔をあけて床面１に立設された複数本の支柱２，
２，…と、該各支柱２を連結する複数本の梁３，３，…
とで構成された装置枠体４を備えてなり、該装置枠体４
には、車両Ｃを搭載して格納する２枚の上段パレットＰ
1 および下段パレットＰ2 が巻上げロープ５，５，…に
よって昇降可能に吊り下げられて配置されている。該各
巻上げロープ５は、上端の梁３に取り付けられた滑車
６，６，…を経て駆動モータ７側のドラム８に巻き掛け
られ、該駆動モータ７の起動により各巻上げロープ５を
同期して巻き上げあるいは巻き戻し、上記上段パレット
Ｐ1 および下段パレットＰ2 を昇降させるようになされ
ている。

【００１６】そして、上記各上段パレットＰ1 および下
段パレットＰ2 は、図１に示す如き車両格納状態で上下
方向に所定間隔をあけて保持されるとともに、最下段の
パレット（下段パレットＰ2 ）に対する入出庫時には該
下段パレットＰ2 のみが入出庫口９で床面１に直接に接
地する一方、図２に示す如き最下段のパレット（下段パ
レットＰ2 ）を除くパレット（上段パレットＰ1 ）に対
する入出庫時には入出庫しようとする目的のパレット
（上段パレットＰ1 ）がその下方の下段パレットＰ2 と
共に重ねられて床面１に接地するようになされている。
なお、上記上段パレットＰ1 および下段パレットＰ2 の
前端（図１および図２で左端）には車両Ｃが乗降りし易
いように前下がりのスロープが形成されている。そし
て、車両Ｃを上記上段および下段パレットＰ1 ，Ｐ2 と
その下方の床面１とに上下三段に格納するようにしてい
る。

【００１７】また、本考案の特徴として、上記各上段お
よび下段パレットＰ1 ，Ｐ2 が接地する床面１は、入出
庫口９から奥部に向かって（図１および図２で左から右
にかけて）所定の傾斜角αで前下がりに傾斜せしめら
れ、床面１に落下等した水がこの床面１の傾斜に沿って
奥部側に流れるようにしている。さらに、この床面１奥
部には、入出庫方向と直交する方向に延びる排水用のチ
ャンネル状の溝１０が凹設され、上記床面１を流れる水
をこの溝１０に集めて排出するとともに、床面１の傾斜
に沿って移動する車両Ｃの車輪ｃ1 を溝１０に係合せし
めて該車両Ｃのそれ以上の移動を規制するようにしてい
る。つまり、この溝１０は排水機能と共に車輪止め機能
をも有している。なお、溝１０の外側（図１および図２
で右端）の縁１０ａは内側（図１および図２で左端）の
縁１０ｂよりも高くなっていて車輪ｃ1 の係合効果を高
めている。

【００１８】このように、本実施例では、床面１を入出
庫口９から奥部に向かって前下がりに傾斜させ、かつ床
面１奥部に入出庫方向と直交する方向に延びる排水用の
溝１０を凹設していることから、上記床面１に乗り入れ
た車両Ｃから落下する雨水等の水を床面１の傾斜に沿っ
て奥部に向かって流して上記溝１０に集め、これにより
上記床面１に水が溜まることを防止して水はけを良くす
ることができ、構築物の基部（例えば支柱２の基部）や
上段および下段パレットＰ1 ，Ｐ2 の錆付きを防止する
ことができる。

【００１９】このことは、上段パレットＰ1 および下段
パレットＰ2 に対する入出庫時においても同様である。
すなわち、上記上段パレットＰ1 および下段パレットＰ
2 は床面１の傾斜に沿って奥部に向かって前下がりに傾
くので、車体から落下する水を上段パレットＰ1 および
下段パレットＰ2 の傾斜に沿って床面１に排出すること
ができ、その後は床面１を奥部に向かって流れて溝１０
に集めるのである。

【００２０】さらに、上記実施例では、車両Ｃを最下段
の格納部である床面１に直接格納する場合において、車
両Ｃが床面１の傾斜に沿って床面１奥部に移動する場合
に、該車両Ｃの車輪ｃ1 を上記溝１０に係合させて車両
Ｃのそれ以上の移動を規制することができるので、車両
Ｃを大幅に位置ずれすることなく格納部に格納すること
ができる。

【００２１】なお、上記実施例では、立体駐車設備Ａが
３段式のものである場合を示したが、パレットを３枚以
上用いて車両Ｃを４台以上格納するようにした多段式立
体駐車設備Ａにも適用できるものである。

【００２２】

【考案の効果】以上説明したように、本考案によれば、
複数枚のパレットに車両を搭載して上下多段に格納する
多段式の立体駐車設備において、最下段のパレットが接
地する床面を入出庫口から奥部に向かって前下がりに傾
斜させるとともに、床面奥部に排水用の溝を凹設したの
で、車体から落下する雨水等の水を床面に溜まらないよ
うに床面の傾斜や床面に接地して傾斜するパレットの傾
斜に沿って流して上記溝に集め、水はけを良くして構築
物の基部やパレットの錆付きを防止することができる。
さらに、車両を床面に直接格納する場合において、床面
の傾斜に起因して床面奥部に移動する車両の車輪を上記
溝に係合させて車両のそれ以上の移動を規制し、車両を
大幅に位置ずれすることなく格納することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】３つの格納スペースに車両を格納した状態を示
す三段式立体駐車設備の側面図である。

【図２】上段パレットおよび下段パレットを共に入出庫
口に下降させて重ねた状態を示す三段式立体駐車設備の
側面図である。

【符号の説明】

１ 床面 ９ 入出庫口 １０ 溝 Ａ 立体駐車設備 Ｃ 車両 Ｐ1 上段パレット Ｐ2 下段パレット

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両を搭載して上下多段に格納する複数
   枚のパレットを備え、該各パレットは、車両格納状態で
   上下方向に所定間隔をあけて保持されるとともに、最下
   段のパレットに対する入出庫時には該最下段のパレット
   のみが入出庫口で床面に接地する一方、最下段のパレッ
   トを除くパレットに対する入出庫時には目的のパレット
   がその下方のパレットと共に重ねられて床面に接地する
   ように構成された多段式の立体駐車設備であって、 上記各パレットが接地する床面は、入出庫口から奥部に
   向かって前下がりに傾斜せしめられ、かつ床面奥部に
   は、入出庫方向と直交する方向に延びる排水用の溝が凹
   設されていることを特徴とする立体駐車設備。