JP2568157Y2 - 吐水口および浄水器 - Google Patents

吐水口および浄水器

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JP2568157Y2 JP1993028781U JP2878193U JP2568157Y2 JP 2568157 Y2 JP2568157 Y2 JP 2568157Y2 JP 1993028781 U JP1993028781 U JP 1993028781U JP 2878193 U JP2878193 U JP 2878193U JP 2568157 Y2 JP2568157 Y2 JP 2568157Y2
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健士 松川
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【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、浄水器に使用する吐水
口、より詳しくは、浄水器内において微生物が繁殖する
のを防止するための吐水口に関する。
【0002】近年の河川の水質の悪化に伴って、一般家
庭に供給されるいわゆる水道水には不快な味や臭気をも
たらす不純物が残存し、それを除去するための浄水器の
需要が年々増加している。
【0003】このような浄水器では、中空糸による濾過
や活性炭による吸着などが利用され、残存する不純物が
除去される。このような浄水器において生じる重大な問
題点は、水道水中の微生物類の殺菌のために使用されて
いる塩素までが除去されてしまう点である。
【0004】通常、浄水器は、水道水のタップに直接ま
たは配管により取り付けられ、浄水器の吐水口から不純
物が除去された浄水が得られる。浄水器には中空糸や活
性炭を収納する空間部があるが、浄水器により製造され
た浄水が全部浄水器外に出てしまうのではなく、少なく
とも幾らかの浄水は、そのような空間部に残存または滞
留してしまう。
【0005】浄水器の吐水口は、通常開口したままであ
り、その開口部を通じて浄水器の周囲の雰囲気(周辺の
空気)と浄水が残存する空間部は流体的に連絡されてい
る。即ち、浄水器の周辺の流体、例えば気体、特に空気
は、吐水口から開口部を通って空間部に入ることができ
る構造になっている。空気中には多数の微生物類が含ま
れているので、流体的に連絡している構造を浄水器が有
するということは、そのような空間部に微生物が入り込
むことを意味する。
【0006】先に説明したように、浄水器内に残存する
水から殺菌作用を有する塩素が除去されているので、外
部から微生物類が入ってくると、その微生物は残存する
水の中で容易に繁殖できることになる。浄水器を頻繁に
使用する場合は、微生物が繁殖する時間が殆どないので
特に問題とはならないが、浄水器の使用を一旦止めてい
る時間が長くなると微生物の繁殖が問題となる。
【0007】このような浄水器内における微生物類の繁
殖を防止するために、活性炭に銀を固定させたり、ある
いは浄水器内の水を排出しようとする工夫がなされてい
るが、いずれも十分に満足できるものではない。
【0008】
【考案が解決しようとする課題】従って、浄水器内にお
ける微生物類の繁殖を防止するための新たな手段を提供
することが望まれている。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、第1の要旨で
は、本考案は、浄化された水が通過する微多孔質基材に
光半導体セラミックスが固定されている浄水器用吐水口
を提供する。更に、もう1つの要旨では、本考案は、浄
化された水が光半導体セラミックスを固定させた微多孔
質基材を通過する吐水口を有して成る浄水器を提供す
る。
【0010】本考案において、浄水器とは、現在市販さ
れている一般的な家庭用または業務用の浄水器であっ
て、水道のタップに直接または配管により取り付けるこ
とができるもので、濾過や吸着操作により水道水の不純
物を除去するものを意味する。従って、浄水器は、例え
ば適当な濾材および/または吸着剤を含んで成る。しか
しながら、本考案においては、水道水に含まれる不純物
を除去するための何等かの手段を有し、不純物を除去し
た結果、微生物類(例えば大腸菌)が繁殖することにな
ってしまう浄水器をも包含するものとして使用する。
【0011】本考案において、吐水口とは、浄水器の機
能により不純物が除去された水(従って、浄化された
水)がその最終的な使用のために浄水器から外部に出る
開口部を意味する。
【0012】本考案において、光半導体セラミックスと
は、光の照射により光半導体的特性を示すセラミックス
である。これは、光エネルギー変換作用を有して有機物
を分解できる物質であり、光によって励起されるもので
ある。光半導体セラミックスの具体例としては、TiO2
(とりわけアナターゼ型のチタニア)、CdSe、SrTi
3などを挙げることができる。本考案に適用できる光
半導体セラミックスの詳細については、「工業材料」
(1992年10月号(Vol.40,No.12)第99
−108頁)に記載されており、これらが微生物類(例
えば大腸菌、緑膿菌、ブドウ球菌、枯草菌、酵母および
黒色麹菌)に対して殺菌作用を有することが明らかにさ
れている。
【0013】光半導体セラミックスは、単独で使用して
もよいが、例えば白金、銀のような別の金属を光半導体
セラミックスに担持させたものを本考案の光半導体セラ
ミックスとして使用するのが好ましい。この場合、銀の
ような金属を用いることにより電気化学的セルが形成さ
れ、殺菌(または制菌)効果が促進される。ここで、担
持とは、光半導体セラミックスに金属を固定することを
意味する。
【0014】この殺菌作用については、光半導体セラミ
ックスを固定させた微多孔質基材に微生物が付着した場
合、光半導体セラミックスの酸化還元機能により殺菌作
用が発現するものと考えられる。一般的に、この光半導
体セラミックスに寿命はなく、その殺菌作用は、光半導
体セラミックスが存在する限り継続し、その殺菌作用が
減衰することはない。
【0015】先に説明したように、光半導体セラミック
スは、光(例えば可視光線や紫外線)により励起される
ので、本考案においては、光半導体セラミックスに光が
照射される必要がある。この意味で、光半導体セラミッ
クスを固定させた微多孔質基材は、吐水口の最先端また
はその近傍に位置する必要がある。この場合、光が光半
導体セラミックスに直接(即ち、光源からの直接光が)
照射される必要は無く、光が完全に遮断されるような状
態でなければ十分である。例えば、間接光が光半導体セ
ラミックスに当たれば十分である。
【0016】光半導体セラミックスを固定させる微多孔
質基材は、浄化された水を使用するためにそれが通過で
き、光半導体セラミックスを保持することができれば十
分である。従って、液体が通過できるように連続した開
口を有する必要がある。具体的には、有機繊維(例えば
ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ポリオレフィ
ン、セルロース、蛋白質などの繊維)や無機繊維(例え
ばガラス、黒鉛、アルミナなどの繊維)の不織布、織
物、編物などのシート状製品、金属(例えばステンレス
鋼、ニッケル合金、銅合金など)やプラスチック(例え
ばポリオレフィン、ポリアミドなど)などのメッシュや
穿孔したプレート、粉末焼結体などを微多孔質基材の具
体例として挙げることができる。
【0017】先に説明したように、光半導体セラミック
スの殺菌作用は、光半導体セラミックスと微生物が接触
して付着する必要があるので、光半導体セラミックスを
固定する微多孔質基材は大きい比表面積を有するのが好
ましいが、この場合、開口の寸法は、水の流れに対して
抵抗があまり大きくならないようにする必要がある。従
って、金属メッシュ、不織布や織物、編物、粉末焼結体
などを微多孔質基材として使用するのが好ましい。
【0018】具体的には、空孔径が50〜100μm程
度のポリエステルやアクリル繊維から作られた織物や編
物を使用できる。また、金属(例えばステンレス鋼、ニ
ッケル合金など)メッシュを使用する場合、50〜15
0メッシュのメッシュを使用できる。
【0019】本考案において、固定とは光半導体セラミ
ックスを微多孔質基材に結合させることを意味し、ま
た、光半導体セラミックスの微多孔質基材への固定は、
使用する微多孔質基材および光半導体セラミックスに応
じて周知の方法を適用する。例えば、周知の方法には、
溶射、塗装などの方法のほか、基材原料(例えばポリマ
ー)への練り込み等の方法が含まれる。
【0020】例えば、溶射法によって光半導体セラミッ
クスをバインダー(例えばウレタン、酢酸ビニル)を介
在させて微多孔質基材に固定してもよいが、光半導体セ
ラミックスと微生物との接触の確率を高めるためには、
バインダーを介在させずに直接的に微多孔質基材に固定
させることが望ましい。微多孔質基材がポリマー材料、
紙、繊維製品など高温劣化を起こし易い素材である場
合、あるいは素材が金属であっても熱容量が小さい場合
の直接固定には、いわゆる低温溶射法の適用が本考案の
目的には最も有効であり、この方法で作成した光半導体
セラミックス固定微多孔質基材は殺菌性および形状付与
性の両面から最適である。
【0021】溶射により微多孔質基材に適用された光半
導体セラミックスは、一般的に皮膜の形態であり、その
厚さは、通常、10〜400μm程度であれば、本考案
の目的を十分に達成できる。溶射法および低温溶射法に
ついては、周知の方法であり、これらについては先に引
用した「工業材料」を参照できる。
【0022】
【考案の好ましい態様】次に、添付図面を参照して本考
案を更に詳細に説明する。図1は、本考案の浄水器の吐
水口部分の断面を模式的に示す。また、図2は、吐水口
に配置する種々の要素の分解図を模式的に示す。
【0023】図1から理解できるように、本考案の浄水
器の吐水口10には、光半導体セラミックス固定微多孔
質基材12(例えば低温溶射法によりアナターゼ型のチ
タニアを固定させたアクリル不織布、(株)信州セラミ
ックス製、製品名「光半導体クロスFGPCTAG−A
P」)の両側にメッシュA14(例えば目開き50メッ
シュのステンレス鋼金網)およびメッシュB(例えば目
開き30メッシュの二重構造のステンレス鋼金網)16
が支持体として配置され、双方のメッシュが光半導体セ
ラミックス固定微多孔質基材12を支持している。
【0024】勿論、光半導体セラミックス固定微多孔質
基材自体が十分な強度を有する程度の剛性を有する場合
にはそのような支持体を配置する必要はなく、また、必
要に応じて一方を省略することも可能である。支持体が
存在する態様において、光半導体セラミックス固定微多
孔質基材に対して外部に位置する支持体(図1の場合1
4)は、可能な限り、光半導体セラミックス固定微多孔
質基材に照射される光を遮断しないようにするのが好ま
しい。
【0025】また、吐水口の水道のタップ側には適当な
材料(例えばNBR)のパッキン18が配置され、吐水
口キャップ20を浄水器本体(一部のみを図示、場合に
より、浄水器の吐水管であってもよい。)22に例えば
ネジ留めにより締結することにより、光半導体セラミッ
クス固定微多孔質基材12およびメッシュ14および1
6の周縁部はパッキン18によりシールされる。図示し
た態様では、光半導体セラミックス固定微多孔質基材1
2は一層であるが、光半導体セラミックス固定微多孔質
基材を複数層重ねてもよい。その場合、微生物類と光半
導体セラミックスとの衝突(接触)を考慮すると、複数
の層の開口が少なくとも部分的には重ならないようにす
るのが好ましい。
【0026】図示した態様から明らかなように、浄水は
図1の矢印Xに示すように下方に向かって吐水口から浄
水器の外部に排出され、一般的には光半導体セラミック
ス固定微多孔質基材12は、照明から光を直接照射され
ることは余りないと考えられるが、通常間接光が光半導
体セラミックス固定微多孔質基材を照射するので、本考
案において光半導体セラミックスの活性化についてはこ
れは特に問題とならない。
【0027】図2は、図1に示したパッキン18、メッ
シュB16、光半導体セラミックス固定微多孔質基材1
2およびメッシュA14を順に平面図(半分のみ図示)
にて分解した状態で示す。
【0028】
【考案の効果】本考案の吐水口を有する浄水器を使用す
ることにより、浄水器を長時間使用しない場合であって
も、浄水器中に残留する水中において大腸菌のような微
生物が繁殖することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本考案の浄水器の吐水口部分の模式
的断面図である。
【図2】 図2は、図1の吐水口部分の要素を分解した
状態で平面図にて模式的に示す。
【符号の説明】
10…吐水口、12…光半導体セラミックス固定微多孔
質基材、14…メッシュA(支持体)、16…メッシュ
B(支持体)、18…パッキン、20…吐水口キャッ
プ、22…浄水器本体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C02F 1/50 540 C02F 1/50 540F 550 550B 560 560C B01J 35/02 B01J 35/02 J (56)参考文献 特開 平5−92192(JP,A) 特開 平5−49861(JP,A) 特開 平4−22438(JP,A) 特開 平4−305290(JP,A) 特開 昭59−136188(JP,A) 実開 昭62−43695(JP,U) 実開 平2−117090(JP,U) 実開 平5−7394(JP,U) 特公 平2−9850(JP,B2) 実公 平3−8393(JP,Y2)

Claims (8)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 浄化された水が通過する微多孔質基材に
    光半導体セラミックスが固定されている浄水器用吐水口
    であって、該微多孔質基材は最先端またはその近傍に位
    置する金属メッシュである吐水口。
  2. 【請求項2】 光半導体セラミックスは、それに担持さ
    れた金属を含んで成る請求項1の吐水口。
  3. 【請求項3】 浄化された水が光半導体セラミックスを
    固定させた微多孔質基材を通過する吐水口を有して成る
    浄水器であって、該微多孔質基材は吐水口の最先端また
    はその近傍に位置する金属メッシュである浄水器。
  4. 【請求項4】 光半導体セラミックスは、それに担持さ
    れた金属を含んで成る請求項3の浄水器。
  5. 【請求項5】 担持されている金属は銀である請求項2
    記載の浄水器用吐水口。
  6. 【請求項6】 光半導体セラミックスは、低温溶射法に
    より微多孔質基材に固定されている請求項1、2または
    5の浄水器用吐水口。
  7. 【請求項7】 担持されている金属は銀である請求項4
    記載の浄水器。
  8. 【請求項8】 光半導体セラミックスは、低温溶射法に
    より微多孔質基材に固定されている請求項3、4または
    7の浄水器。
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