JP2566126C - - Google Patents

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JP2566126C
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【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】 【0001】 本発明は、高密度の塗布型磁気記録媒体に関する。 【0002】 【従来の技術】 磁気記録媒体は、録音用テープ、ビデオテープ、コンピューターテープ、ディ
スクなどとして広く用いられている。磁気記録媒体は年々高密度化され、記録方
式もアナログ方式から、デジタル方式まで検討されている。この高密度化の要求
に対して、磁性層に金属薄膜を用いた磁気記録媒体が提案されているが、生産性
、腐食等の実用信頼性の点で磁性粉末を結合剤中に分散して、支持体上に塗布し
たいわゆる塗布型の磁気記録媒体が優れる。しかしながら、金属薄膜に対して塗
布型媒体は磁性物の充填度が低いために、電磁変換特性が劣る。 塗布型媒体の電磁変換特性の向上には、磁性体の磁気特性の改良、表面の平滑
化などがあり種々の方法が提案されているが、高密度化に対しては充分なもので
はない。 【0003】 またデジタル用の媒体の性能向上に対しては、磁性層の薄層化が知られている
。しかし原理的には有効ながら、塗布型媒体の薄層化には生産上の問題点がある
。それは磁性層の薄層化によってピンホール、すじと言った塗布欠陥が発生し易
く、充分な歩留まりが得られない。またカレンダーによる成形効果が小さくなる
ために表面性が悪く、電磁変換特性が良くない。 この様な問題を解決するためには、ある程度の厚みを有する非磁性層の上に1
μm以下の薄い磁性層を同時に形成させた後に、カレンダー処理を行なうことが
考えられる。この様な目的に使用できる手段として非磁性の粒状研磨剤、または
フィラーを下塗層に含ませることが提案されている。(特開昭62−22242
7号、特開平2−257424号) しかしながらこれらの技術の問題点として、磁性層と非磁性層を同時に塗布し
、上層の磁性体を配向するときに、磁場による磁性体の回転運動のため上下層の 界面での混合が発生し、充分な表面性がえられないばかりか、配向が充分に行な
われないので充分な電磁変換特性が得られなかった。 【0004】 そこで本出願人らは非磁性の鱗片状粒子で非磁性下層を形成させることによっ
て、上層の磁性粒子の配向性を改善しようと試みた。非磁性の鱗片状粒子層を設
けることに関してはグラファイトを用いた導電性中間層が提案されている。(特
開昭55−55438号)しかしながらこの様な物質では、配向性の改善はなさ
れるが、グラファイト自身には膜の補強効果がないため耐久性上不十分である。
この問題には、モース硬度5以上の無機粉体を混合する提案がなされている。(
特開昭60−125926号) 又、本出願人らは非磁性の針状粒子で非磁性下層を形成させることによって、
上層の磁性粒子の配向性を改善しようと試みた。非磁性の針状粒子層を設けるこ
とに関しては針状の蓚酸塩を用いた補強層が提案されている。(特公昭58−5
1327号)。 これら提案により配向性向上と耐久性の確保はなされるが、実際に媒体を製造
する段階では鱗片状粒子はスタッキングをおこしやすく、また、蓚酸塩のような
物質は結合剤への分散性がよくないため、磁性面の平滑性を損なうことが判明し
た。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 本発明の第1の目的は、優れた電磁変換特性を有し、生産性の優れた磁気記録
媒体を提供することにある。本発明の第2の目的は、RF出力が高く、かつ走行
耐久性に優れドロップアウトが少なく、ブロックエラーレート(BER)が低い
磁気記録媒体を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】 すなわち本発明の上記目的は、下記〜に記載の発明により達成できる。 非磁性支持体上に少なくとも非磁性粉末と結合剤を含む下層非磁性層を設け
、その上に強磁性粉末と結合剤を含む上層磁性層を設けた磁気記録媒体において 、前記上層磁性層の乾燥厚みが1μm以下であり、前記下層非磁性層の乾燥厚み
は0.5μm以上であり、かつ前記非磁性粉末の最も長い軸長r1と最も短い軸
長r2との比r1/r2が2.5以上20未満であることを特徴とする磁気記録媒
体。 非磁性支持体上に少なくとも非磁性粉末と結合剤を含む下層非磁性層を設け
、その上に強磁性粉末と結合剤を含む上層磁性層を設けた磁気記録媒体において
、前記非磁性粉末が針状比が2.5以上20未満であり、前記下層非磁性層の乾
燥厚みは0.5μm以上であり、かつ前記上層磁性層の乾燥厚みが1μm以下で
あり、前記強磁性粉末の最も長い軸長の平均径が0.3μm以下であることを特
徴とする磁気記録媒体。 本発明の磁気記録媒体において、好ましい態様を挙げれば、次のとおりである
。 (1)前記下層非磁性層は最も長い軸長が3μm以下の非磁性粉末を含むことを
特徴とする前記及びの磁気記録媒体。 (2)前記下層非磁性層はAl23(α、γ),Cr23,αFe23,ゲータ
イト,SiO2,ZrO2,CeO2,TiO2(ルチル、アナターゼ)の非磁性粉
末のうち少なくとも1種を含むことを特徴とする前記及びの磁気記録媒体。 (3)前記強磁性粉末はFe又はNi又はCoを主成分とする針状の強磁性合金
粉末であることを特徴とする前記及びの磁気記録媒体。 (4)前記磁気記録媒体が録音用テープ、ビデオテープ、コンピューターテープ
、ディスク用などのデジタル用であることを特徴とする前記及びの磁気記録
体。 【0007】 すなわち本発明は下層非磁性層の上に上層磁性層を塗布した、いわゆるウエッ
ト−オン−ウエットの塗布により複数層を設けた磁気記録媒体の改良を図ったも
のである。つまりウエット−オン−ウエット塗布では界面が柔らかいために互い
に他の層の影響を受けやすく、例えば、塗布後配向すると上層磁性層の強磁性粉
末が回転運動するが、その回転運動によって下層非磁性層がその影響を受け、界 面で混合が生じる。これを本発明では下層非磁性層に工夫を加えることにより、
界面で混合が生じない。従って、混合領域がない磁気記録媒体を初めて得たもの
である。 【0008】 この下層非磁性層と上層磁性層との界面において混合領域が生じないようにす
るための1つの発明は下層非磁性層に針状非磁性粉末を用いることである。従来
の粒状の非磁性粉末に比べ、針状の非磁性粉末が整列して存在すると未乾燥状態
でも強固な塗膜を形成し、上層磁性層の強磁性粉末が回転しても、その界面で混
合を生じない。 【0009】 このように本発明の基本思想は、下層非磁性層用塗布液として非磁性粉末を結
合剤に分散した分散液と強磁性粉末が結合剤に分散された上層磁性層用磁性塗料
を使用し、非磁性支持体上に該下層非磁性層用塗布液を塗設して、その上に上層
磁性層用磁性塗料を重層塗布するという条件下に製造され得るものであり、特に
その際上層磁性層厚を薄膜化、例えば、1μm以下に歩留り良く調製できる点に
ある。 【0010】 本発明は、該上層磁性層の乾燥厚みは1μm以下であり、かつ下層非磁性層と
上層磁性層の間に混合領域がない磁気記録媒体を与える。 ここで、下層非磁性層と上層磁性層の間に混合領域がないとは、具体的には、
下層非磁性層と上層磁性層との界面においては、上層磁性層成分と下層非磁性層
成分とが混在する領域がないこと、具体的には上層磁性層成分の強磁性粉末と下
層非磁性層成分の非磁性粉末とが該界面において混在しないことをいう。従って
、界面近傍での強磁性粉末および非磁性粉末の配向の乱れも少なく、表面性を改
善すると共に配向性が改善されるのでRF出力を高くし、BER(ブロックエラ
ーレート)、ドロップアウト等を効果的に低減する。また、磁性層を1μm以下
にすることで短波長記録に適する磁気記録媒体を安定に得ることができる。 【0011】 本発明の磁気記録媒体を製造するための具体的方法は特に制限されないが、特 に〜の発明において使用する手段を適用することができる。即ち、強磁性粉
末および/または非磁性粉末の形状、サイズ等の規定、結合剤の種類の選定等を
種々選択することにより製造できる。 本発明の特徴は、該上層磁性層の乾燥厚みは1μm以下であり、前記下層非
磁性層の乾燥厚みは0.5μm以上であり、かつ該下層非磁性層にr1/r2(即
ち軸比)を2.5以上20未満に規定した非磁性粉末を含有するものである。こ
のように形状を規定することにより、塗布時の流動配向で長手方向に非磁性粉末
が配向するので、上層磁性層の強磁性粉末への磁場配向による回転運動を抑止す
ることができ、結果的に該下層非磁性層と上層磁性層との界面の乱れを抑え、強
磁性粉末の配向も改善することができる。 【0012】 ここで、r1は最も長い軸長、r2は最も短い軸長であるが、非磁性粉末の具体
的形状は、基本的には任意であり、針状でも板状でもよく、電子顕微鏡等により
実測される。また、該軸とは厳密な意味での対称軸を意味するものではない。針
状の場合、r1は通常、即ち長軸長といわれるもので、3μm以下、好ましくは
1.5 μm以下の範囲であり(即ちr2は単軸長あるいは太さである)、好ま
しい軸比は5〜20である。鱗片状あるいは板状の場合は、r1は通常板径とい
われるものをさし、その値としては、0.01〜3μm、好ましくは0.05〜
1.5μmの範囲であり(即ちr2は板厚である)、好ましい板状比は5〜20
である。 【0013】 また、上層磁性層の強磁性粉末の物性、形状、サイズは特に制限はないが、好
ましくは最も長い軸長の平均径が0.3μm以下の針状強磁性粉末、板状強磁性
粉末で、具体例として針状強磁性粉末は、γ−Fe23、Fe34、Co−γ−
Fe23、CrO2、Fe−Ni合金、Fe−Ni−Co合金等の合金強磁性粉
末、板状強磁性粉末はバリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の六方
晶フェライト、及びCo合金粉末であり、特に好ましくはFeを主体とした合金
あるいは六方晶フェライトが挙げられる。 【0014】 本発明の特徴は、該上層磁性層の乾燥厚みは1μm以下であり、前記下層非
磁性層の乾燥厚みは0.5μm以上であり、かつ該下層非磁性層に針状比を2.
5以上20未満に規定した非磁性粉末を含有し、かつ上層磁性層に平均粒径を0
.3μm以下に規定した強磁性粉末を含有するものであり、特にと相違する点
は下層非磁性層の非磁性粉末の形状を針状に限定すると共に上層磁性層の強磁性
粉末の最も長い軸長の平均径を0.3μm以下に限定した点であり、微粒子化に
よる充填度の向上、出力の向上を計ることができる。 ここで、針状比とは、前記r1/r2において定義した場合の非磁性粉末の形状
を針状に限定した場合と同じ意味であるが、前記と区別するためにR1/R2と記
す。ここで、R1は最も長い軸長、R2は最も短い軸長である。R1としては、3
μm以下、好ましくは1.5μm以下の範囲であり、軸比としては好ましくは5
以上である。 【0015】 針状非磁性粉末としては、非磁性の金属(Cu、Cr、Ag、Al、Ti、W
等)あるいは酸化物が好ましく、例えば、Al23(α、γ)、Cr23、αフ
ェライト、ゲーサイト、SiO2(ガラスも含む)、ZrO2、CeO2、TiO2
(ルチル、アナターゼ)等が挙げられる。 また、下層非磁性層の厚みは0.5μm以上、特に0.5〜5.0μmが好ま
しい。下層非磁性層が0.5μmより薄いと生産性が低下すると共にカレンダー
成形性が劣化し充分な電磁変換特性が得られにくくなる。 強磁性粉末の形状は任意であり、例えば、針状でも板状でもよい。この場合の
平均粒径の定義も前記発明の軸比:r1/r2で定義したことがあてはまり、物
の違いを除きr1と同じ意味である。以下、r1/r2にならって強磁性粉末の軸
比をφ1/φ2と記す。強磁性粉末が針状の場合、φ1は、0.3μm以下、好ま
しくは0.25μm以下の範囲であり、かつφ1/φ2は2.5以上、板状の場合
は、φ1/φ2は2.5以上で、φ1は0.01〜0.3μm、好ましくは0.0
5〜0.2μmの範囲である。 【0016】 これら非磁性粉末を分散、結合するために用いる結合剤としてエポキシ基を含 有する樹脂を用いる場合には、この樹脂は、分子量3万以上のものである。エポ
キシ基は1×10-5〜20×10-4eq/g、好ましくは4×10-5〜16×1
-4eq/g含有される。エポキシ基の導入方法は公知の技術が適応できる。例
えば、グリシジル基を有するビニルモノマーを他のモノマーと共重合させるなど
があげられる。その他、このエポキシ基を含有する分子量3万以上の樹脂の製造
方法は下記エポキシ基含有塩化ビニル系樹脂の記載を適用できる。 また、この発明では、モース硬度5以上の研磨剤を下層非磁性層に非磁性粉末
との配合比が、非磁性粉末/研磨剤=95/5〜60/40となるように混在さ
せることが好ましく、これにより下層非磁性層、引いては磁気記録媒体の機械的
強度を増強し、いわゆる粉落ちを防止して、BER(ブロックエラーレート)、
ドロップアウトを低減すると共に耐久性を向上させることができる。 【0017】 モース硬度5以上の研磨材としてはα−Al23、Cr23、 α−Fe23、ZrO2、TiO2、TiC、SiO2、SiC、CeO2などが
挙げられる。該研磨材の粒子サイズは塗布される下塗の厚み以下が好ましく、0
.1〜5μ程度、更に好ましくは0.1〜2μである。粒子の形状は粒状、針状
どちらでも使用出来る。該鱗片状非磁性粉体と研磨材の混合比は95/5〜60
/40である。研磨材量が少ないと充分な耐久性が得られず、多すぎると鱗片状
粒子の上層磁性体配向効果が損なわれる。 【0018】 以下、本発明〜の規定に従って選択可能な一般的事項を挙げる。 本発明において上層磁性層および下層非磁性層は通常各々単層で構成されるが、
各々単層構成でも複層構成でも上記組成、規定条件を満足すればかまわない。以
下、上層磁性層、下層非磁性層を単に上層、下層という場合がある。 上記の非磁性粉末は必ずしも100%純粋である必要はなく、目的に応じて表面
を他の化合物で処理してもよい。その際、純度は70%以上であれば効果を減ず
ることにはならない。例えば、酸化チタンを用いる場合、表面をアルミナで処理
することが一般的に用いられている。強熱減量は20%以下であることが好まし
い。 上層の強磁性粉末含有率は70%以上が好ましい。強磁性粉末含有率が70%
未満では、充填度が低下して電磁変換特性が劣化する。ここでいう強磁性粉末含
有率とは(強磁性粉末)/(強磁性粉末+結合剤+添加剤等の磁性層に含有され
るもの)の重量%を表している。 【0019】 本発明の磁気記録媒体の磁気特性は磁場5KOeで測定した場合、角型比が各層
とも0.7以上、好ましくは0.8以上、さらに好ましくは0.9以上が好まし
い。 本発明に使用される強磁性粉末のσsは50emu/g以上、好ましくは70
emu/g以上であり、金属微粉末の場合は100emu/g以上が好ましい。
また、含水率は0.01〜2%とするのが好ましい。結合剤の種類によって強磁
性粉末の含水率は最適化するのが好ましい。 本発明の強磁性粉末としてコバルト変成酸化鉄を用いる場合は、2価の鉄の3価
の鉄に対する比は好ましくは0〜33.3%であり、さらに好ましくは5〜10
%である。また鉄原子に対するコバルト原子の量は0〜15%、好ましくは3〜
8%である。 【0020】 強磁性粉末のpHは用いる結合剤との組合せにより最適化することが好ましい
。その範囲は4〜12である。 強磁性粉末はAl、Si、Pまたはこれらの酸化物などで表面処理を施しても
かまわない。その量は強磁性粉末に対し0.1〜10%である。 上層の強磁性粉末は、可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、Sr等の無機イオンを
含む場合があるが500ppm以下であれば特に影響を与えない。 強磁性粉末としてはγ−FeOx(x=1.33〜1.5)、Co変性γ−Fe
Ox(x=1.33〜1.5)、FeまたはNiまたはCoを主成分(75%以
上)とする強磁性合金微粉末など公知の強磁性粉末が使用できる。これらの強磁
性粉末には所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y
、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、
Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、S r、Bなどの原子を含んでもかまわない。 【0021】 これらの強磁性微粉末にはあとで述べる分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防
止剤などで分散前にあらかじめ処理を行ってもかまわない。 上記強磁性粉末の中で強磁性合金微粉末については少量の水酸化物、または酸化
物を含んでもよい。強磁性合金微粉末の公知の製造方法により得られたものを用
いることができ、下記の方法をあげることができる。 複合有機酸塩(主としてシュウ酸塩)と水素などの還元性気体で還元する方法
、酸化鉄を水素などの還元性気体で還元してFeあるいはFe−Co粒子などを
得る方法、金属カルボニル化合物を熱分解する方法、強磁性金属の水溶液に水素
化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還元剤を添加して
還元する方法、金属を低圧の不活性気体中で蒸発させて微粉末を得る方法などで
ある。このようにして得られた強磁性合金粉末は公知の徐酸化処理、すなわち有
機溶剤に浸漬したのち乾燥させる方法、有機溶剤に浸漬したのち酸素含有ガスを
送り込んで表面に酸化膜を形成したのち乾燥させる方法、有機溶剤を用いず酸素
ガスと不活性ガスの分圧を調整して表面に酸化皮膜を形成する方法のいずれを施
したものでも用いることができる。 また、本発明に用いられる強磁性粉末は空孔が少ないほうが好ましくその値は
20容量%以下、さらに好ましくは5容量%以下である。 本発明に用いられる強磁性粉末は公知の方法に従って製造することができる。 【0022】 本発明の下層非磁性層、上層磁性層に使用される結合剤としては従来公知の熱
可塑系樹脂、熱硬化系樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物が使用される。尚、本
発明にあってはエポキシ基含有樹脂を用いることができ、該エポキシ基含有樹脂
にこれらを併用することができる。 熱可塑系樹脂としては、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子量
が1000〜200000、好ましくは10000〜100000、重合度が約
50〜1000程度のものである。 このような例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイ ン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、
メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニ
ルブチラール、ビニルアセタール、ビニルエーテル、等を構成単位として含む重
合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂がある。 【0023】 また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としてはフエノール樹脂、エポキシ樹脂
、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル
系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹
脂、ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポ
リオールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンとポリイソシアネートの
混合物等があげられる。 これらの樹脂については朝倉書店発行の「プラスチックハンドブック」に詳細に
記載されている。 【0024】 また、公知の電子線硬化型樹脂を使用することも可能である。これらの例とそ
の製造方法については特開昭62−256219号に詳細に記載されている。以
上の樹脂は単独または組合せて使用できるが、好ましいものとして塩化ビニル樹
脂、塩化ビニル酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール樹脂、
塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体、中から選ばれる少なくとも1種
とポリウレタン樹脂の組合せ、またはこれらにポリイソシアネートを組合せたも
のがあげられる。 ポリウレタン樹脂の構造はポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレ
タン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン
、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトンポリウレタ
ンなど公知のものが使用できる。 【0025】 ここに示したすべての結合剤について、より優れた分散性と耐久性を得るため
には必要に応じ、COOM、SO3M、OSO3M、P=O(OM)2、O−P=
O(OM)2、(以上につきMは水素原子、またはアルカリ金属塩基) 、OH、NR2、N+3、Rは炭化水素基)、SH、CN、などから選ばれる少
なくとも一つ以上の極性基を共重合または付加反応で導入したものを用いること
が好ましい。このような極性基の量は10-1〜10-8モル/gであり、好ましく
は10-2〜10-6モル/gである。 塩化ビニル系共重合体としては、好ましくは、エポキシ基含有塩化ビニル系共
重合体が挙げられ、塩化ビニル繰返し単位と、エポキシ基を有する繰返し単位と
、所望により−SO3M、−OSO3M、−COOMおよび−PO(OM)2(以
上につきMは水素原子、またはアルカリ金属塩基)等の極性基を有する繰返し単
位とを含む塩化ビニル系共重合体が挙げられる。エポキシ基を有する繰返し単位
との併用では、−SO3Naを有する繰返し単位を含むエポキシ基含有塩化ビニ
ル系共重合体が好ましい。 【0026】 極性基を有する繰返し単位の共重合体中における含有率は、通常0.01〜5
.0モル%(好ましくは、0.5〜3.0モル%)の範囲内にある。 エポキシ基を有する繰返し単位の共重合体中における含有率は、通常1.0〜3
0モル%(好ましくは1〜20モル%)の範囲内にある。そして、塩化ビニル系
重合体は、塩化ビニル繰返し単位1モルに対して通常0.01〜0.5モル(好
ましくは0.01〜0.3モル)のエポキシ基を有する繰返し単位を含有するも
のである。 エポキシ基を有する繰返し単位の含有率が1モル%より低いか、あるいは塩化
ビニル繰返し単位1モルに対するエポキシ基を有する繰返し単位の量が0.01
モルより少ないと塩化ビニル系共重合体からの塩酸ガスの放出を有効に防止する
ことができないことがあり、一方、30モル%より高いか、あるいは塩化ビニル
繰返し単位1モルに対するエポキシ基を有する繰返し単位の量が0.5モルより
多いと塩化ビニル系共重合体の硬度が低くなることがあり、これを用いた場合に
は磁性層の走行耐久性が低下することがある。 【0027】 また、特定の極性基を有する繰返し単位の含有率が0.01モル%より少ない
と強磁性粉末の分散性が不充分となることがあり、5.0モル%より多いと共重 合体が吸湿性を有するようになり耐候性が低下することがある。 通常、このような塩化ビニル系共重合体の数平均分子量は、1.5万〜6万の範
囲内にある。 このようなエポキシ基と特定の極性基を有する塩化ビニル系共重合体は、例え
ば、次のようにして製造することができる。 【0028】 例えばエポキシ基と、極性基として−SO3Nとが導入されている塩化ビニル
系共重合体を製造する場合には、反応性二重結合と、極性基として−SO3Na
とを有する2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリ
ウム(反応性二重結合と極性基とを有する単量体)およびジグリシジルアクリレ
ートを低温で混合し、これと塩化ビニルとを加圧下に、100℃以下の温度で重
合させることにより製造することができる。 上記の方法による極性基の導入に使用される反応性二重結合と極性基とを有す
る単量体の例としては、上記の2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸ナトリウムの外に2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸、ビニルスルホン酸およびそのナトリウムあるいはカリウム塩、(
メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチルおよびナトリウムあるいはカリウム塩
、(無水)マレイン酸および(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸−2−リ
ン酸エステルを挙げることができる。 【0029】 また、エポキシ基の導入には、反応性二重結合とエポキシ基とを有する単量体
として一般にグリシジル(メタ)アクリレートを用いる。 なお、上記の製造法の外に、例えば、塩化ビニルとビニルアルコールなどとの
重合反応により多官能−OHを有する塩化ビニル系共重合体を製造し、この共重
合体と、以下に記載する極性基および塩素原子を含有する化合物とを反応(脱塩
酸反応)させて共重合体に極性基を導入する方法を利用することができる。 ClCH2CH2SO3M、 ClCH2CH2OSO3M、 ClCH2COOM、 ClCH2PO(OM)2 【0030】 また、この脱塩酸反応を利用するエポキシ基の導入には通常はエピクロルヒド
リンを用いる。 なお、該塩化ビニル系共重合体は、他の単量体を含むものであってもよい。他
の単量体の例としては、ビニルエーテル(例、メチルビニルエーテル、イソブチ
ルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル)、α−モノオレフィン(例、エチ
レン、プロピレン)、アクリル酸エステル(例、(メタ)アクリル酸メチル、ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート等の官能基を含有する(メタ)アクリル酸
エステル)、不飽和ニトリル(例、(メタ)アクリロニトリル)、芳香族ビニル
(例、スチレン、α−メチルスチレン)、ビニルエステル(例、酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル等)が例示される。 【0031】 本発明に用いられるこれらの結合剤の具体的な例としてはユニオンカーバイト
社製:VAGH、VYHH、VMCH、VAGF、VAGD、VROH、VYE
S、VYNC、VMCC、XYHL、XYSG、PKHH、PKHJ、PKHC
、PKFE、日信化学工業社製:MPR−TA、MPR−TA5、MPR−TA
L、MPR−TSN、MPR−TMF、MPR−TS、MPR−TM、電気化学
社製:1000W、DX80、DX81、DX82、DX83、日本ゼオン社製
:MR110、MR100、400X110A、日本ポリウレタン社製:ニッポ
ランN2301、N2302、N2304、大日本インキ社製:パンデックスT
−5105、T−R3080、T−5201、バーノックD−400、D−21
0−80、クリスボン6109、7209、東洋紡社製:バイロンUR8200
、UR8300、RV530、RV280、大日精化社製:ダイフエラミン40
20、5020、5100、5300、9020、9022、7020、三菱化
成社製:MX5004、三洋化成社製:サンプレンSP−150、旭化成社製:
サランF310、F210などがあげられる。 【0032】 本発明に用いられる結合剤は上層にあっては、強磁性粉末に対し、5〜50重 量%の範囲、好ましくは10〜35重量%の範囲で用いられる。また、塩化ビニ
ル系樹脂を用いる場合は、5〜30重量%、ポリウレタン樹脂を用いる場合は2
〜20重量%、ポリイソシアネートは2〜20重量%の範囲でこれらを組合せて
用いるのが好ましい。 本発明〜に用いられる結合剤は下層にあっては、非磁性粉末に対し、合計
で5〜50重量%の範囲、好ましくは10〜35重量%の範囲で用いられる。ま
た、塩化ビニル系樹脂を用いる場合は、3〜30重量%、ポリウレタン樹脂を用
いる場合は3〜30重量%、ポリイソシアネートは0〜20重量%の範囲でこれ
らを組合せて用いるのが好ましい。 また、本発明にあっては、分子量3万以上のエポキシ基含有樹脂を用いる場合
、該樹脂を非磁性粉末に対し、3〜30重量%使用でき、かつエポキシ基含有樹
脂以外の樹脂を非磁性粉末に対し3〜30重量%使用でき、ポリウレタン樹脂を
用いる場合は3〜30重量%、ポリイソシアネートは0〜20重量%使用できる
が、エポキシ基は、結合剤(硬化剤を含む)全重量に対し、4×10-5〜16×
10-4eq/gの範囲で含まれることが好ましい。 【0033】 本発明において、ポリウレタン樹脂を用いる場合はガラス転移温度が−50〜
100℃、破断伸びが100〜2000%、破断応力は0.05〜10Kg/c
2、降伏点は0.05〜10Kg/cm2が好ましい。 本発明に用いるポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4
−4′−ジフエニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート
、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−
トルイジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフエニルメタント
リイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポ
リアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリ
イソシアネート等を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販さ
れている商品名としては、日本ポリウレタン社製:コロネートL、コロネートH
L、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネー
トMTL、武田薬品社製:タケネートD−102、タケネートD−110N、タ ケネートD−200、タケネートD−202、住友バイエル社製:デスモジュー
ルL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL等があり、
これらを単独または硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組合せで
下層、上層ともに用いることができる。 【0034】 本発明においては、上層および/または下層に必要に応じて任意の添加剤、例
えば、カーボンブラック等の帯電防止剤、研磨剤、着色剤、潤滑剤、分散剤等を
使用できる。 カーボンブラックはゴム用フアーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、
アセチレンブラック、等を用いることができる。 カーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用
しても、表面の一部をグラフアイト化したものを使用してもかまわない。また、
カーボンブラックを磁性塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかま
わない。これらのカーボンブラックは単独、または組合せで使用することができ
る。 【0035】 カーボンブラックは上層磁性層の帯電防止、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強
度向上などの働きがあり、これらは用いるカーボンブラックにより異なる。従っ
て本発明に使用されるこれらのカーボンブラックはその種類、量、組合せを変え
、粒子サイズ、吸油量、電導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに目的に応
じて使い分けることはもちろん可能である。 本発明で使用できるカーボンブラックは例えば「カーボンブラック便覧」(カ
ーボンブラック協会編)を参考にすることができる。 【0036】 本発明に用いられる研磨剤としてはα化率90%以上のα−アルミナ、β−ア
ルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人
造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪
素、窒化ホウ素、など主としてモース硬度6以上の公知の材料が単独または組合
せで使用される。また、これらの研磨剤どうしの複合体(研磨剤を他の研磨剤で 表面処理したもの)を使用してもよい。これらの研磨剤には主成分以外の化合物
または元素が含まれる場合もあるが主成分が90%以上であれば効果にかわりは
ない。これら研磨剤の粒子サイズは0.01〜2μmが好ましいが、必要に応じ
て粒子サイズの異なる研磨剤を組合せたり、単独の研磨剤でも粒径分布を広くし
て同様の効果をもたせることもできる。本発明に用いられる研磨剤の形状は針状
、球状、サイコロ状、のいずれでも良いが、形状の一部に角を有するものが研磨
性が高く好ましい。 【0037】 本発明に用いられる研磨剤の具体的な例としては、住友化学社製:AKP−2
0,AKP−30,AKP−50,HIT−50、日本化学工業社製:G5,G
7,S−1、戸田工業社製:100ED,140ED、などがあげられる。 これらの研磨剤はあらかじめ結合剤で分散処理したのち磁性塗料中に添加しても
かまわない。 研磨剤の使用量は、本発明においては、上層磁性層にあっては強磁性粉末の2
0重量%以下、下層非磁性層にあっては非磁性粉末の20重量%以下で使用され
る。 【0038】 潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果、などをもつ添加剤としては下
記のものが列挙される。 二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラフアイト、窒化ホウ素、フッ化
黒鉛、カーボンブラック等の固体潤滑剤。 シリコーンオイル、極性基をもつシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素
含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフイン
、ポリグリコール、アルキル燐酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、アルキル
硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、ポリフエニルエーテル、フッ素含有ア
ルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24の一塩基性脂
肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、および、これ
らの金属塩(Li,Na,K,Cuなど)または、炭素数12〜22の一価、二
価、三価、四価、五価、六価アルコール(不飽和結合を含んでも、また分岐して いてもかまわない)、炭素数12〜22のアルコキシアルコール、炭素数10〜
24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない
)と炭素数2〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれ
か一つ(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)とからなるモ
ノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エステル、アルキレ
ンオキシド重合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステル、炭素数8〜22の
脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミン、などの有機質潤滑剤が使用でき
る。 【0039】 これらの具体例としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリ
ン酸、ベヘン酸、ステアリン酸ブチル、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、
エライジン酸、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソ
オクチル、ミリスチン酸オクチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソ
ルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステアレート、アンヒドロ
ソルビタントリステアレート、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、があ
げられる。 また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、アルキルフ
エノールエチレンオキサイド付加体、等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エ
ステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホス
ホニウムまたはスルホニウム類、等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スル
フォン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基、などの酸性基を含むアニオ
ン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸また
は燐酸エステル類、アルキルベダイン型、等の両性界面活性剤等も使用できる。
これらの界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)
に詳細に記載されている。 【0040】 これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外
に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、等の不純分が含まれてもかま
わない。これらの不純分は30%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下 である。 本発明で使用されるこれらの潤滑剤、界面活性剤は下層非磁性層、上層磁性層
でその種類、量を必要に応じ使い分けることができる。例えば、下層非磁性層、
上層磁性層で融点の異なる脂肪酸を用い表面へのにじみ出しを制御する、沸点や
極性の異なるエステル類を用い表面へのにじみ出しを制御する、界面活性剤量を
調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の添加量を中間層で多くして
潤滑効果を向上させるなどが考えられ、無論ここに示した例のみに限られるもの
ではない。 また本発明で用いられる添加剤のすべてまたはその一部は、下層非磁性層用塗
料、上層磁性塗料製造のどの工程で添加してもかまわない、例えば、混練工程前
に強磁性粉末と混合する場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加
する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加す
る場合などがある。 【0041】 本発明で用いられる有機溶媒は任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン
、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール
、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロ
ヘキサノール、などのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル
、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコール
ジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、などのグリコ
ールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン
、などの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化
炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン、等の塩素化
炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等のものが使用できる。 【0042】 本発明の磁気記録媒体の厚み構成は非磁性支持体が1〜100μm、好ましく
は6〜20μm、上層磁性層は1μm以下、好ましくは1〜0.2μm、下層非
磁性層が0.5μm以上が好ましく、特に好ましくは0.5〜5μmである。上 層磁性層1μmを越えると電磁変換特性に対する薄膜化の効果がなくなり、下層
非磁性層が0.5μmより薄いと生産性が低下すると共にカレンダー成形性が劣
化し充分な電磁変換特性が得られなくなる。また、非磁性支持体性と下層非磁性
層の間に密着性向上のための下塗り層を設けてもよい。これらの厚みは0.01
〜2μm、好ましくは0.05〜0.5μmである。また、非磁性支持体性の磁
性層側と反対側にバックコート層を設けてもかまわない。この厚みは0.1〜2
μm、好ましくは0.3〜1.0μmである。これらの下塗り層、バックコート
層は公知のものが使用できる。 【0043】 本発明に用いられる非磁性支持体はポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアラミド、ポリカーボネー
ト、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフオン、アラミド、
芳香族ポリアミドなどの公知のフイルムが使用できる。これらの支持体にはあら
かじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理、などを
おこなっても良い。非磁性支持体として中心線平均表面粗さは0.1μm以下、
好ましくは0.05μm以下である。また、これらの非磁性支持体は単に中心線
平均表面粗さが小さいだけではなく、1μm以上の粗大突起がないことが好まし
い。また表面の粗さ形状は必要に応じて支持体に添加されるフイラーの大きさと
量により自由にコントロールされるものである。これらのフイラーとしては一例
としてはCa,Si,Tiなどの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系などの有機微
粉末があげられる。 【0044】 本発明に用いられる非磁性支持体のテープ走行方向のF−5値は好ましくは5
〜50kg/mm2、テープ幅方向のF−5値は好ましくは3〜30kg/mm2
であり、テープ長手方向のF−5値がテープ幅方向のF−5値より高いのが一般
的であるが、特に幅方向の強度を高くする必要があるときはその限りでない。 また、支持体のテープ走行方向および幅方向の100℃30分での熱収縮率は
好ましくは3%以下、さらに好ましくは1.5%以下、80℃30分での熱収縮
率は好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。破断強度は両 方向とも5〜100kg/mm2、弾性率は100〜2000kg/mm2が好ま
しい。 【0045】 本発明の磁気記録媒体の磁性塗料、非磁性塗料を製造する工程は、少なくとも
混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程
からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわかれていてもかまわない。本発
明に使用する強磁性粉末、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯
電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加し
てもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかま
わない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のため
の混合工程で分割して投入してもよい。 本発明の目的を達成するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として
用いることができることはもちろんであるが、混練工程では連続ニーダや加圧ニ
ーダなど強い混練力をもつものを使用できる。連続ニーダまたは加圧ニーダを用
いる場合は各粉末と結合剤のすべてまたはその一部(ただし全結合剤の30%以
上が好ましい)および粉末100部に対し15〜500部の範囲で混練処理され
る。これらの混練処理の詳細については特願昭62−264722号、特願昭6
2−236872号に記載されている。 【0046】 本発明では、特開昭62−212933号に示されるような同時重層塗布方式
を用いることにより、より効率的に生産することができる。 本発明の媒体を得るためには強力な配向を行う必要がある。1000G以上の
ソレノイドと2000G以上のコバルト磁石を併用することが好ましく、さらに
は乾燥後の配向性が最も高くなるように配向前に予め適度の乾燥工程を設けるこ
とが好ましい。 さらに、カレンダ処理ロールとしてエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリ
イミドアミド等の耐熱性のあるプラスチックロールを使用する。また、金属ロー
ル同志で処理することもできる。処理温度は、好ましくは70℃以上、さらに好
ましくは80℃以上である。線圧力は好ましくは200kg/cm、さらに好ま しくは300kg/cm以上である。 【0047】 本発明の磁気記録媒体の上層磁性層面およびその反対面のSUS420Jに対
する摩擦係数は好ましくは0.5以下、さらに0.3以下、表面固有抵抗は好ま
しくは10-5〜10-12オーム/sq、磁性層の0.5%伸びでの弾性率は走行
方向、幅方向とも好ましくは100〜2000kg/mm2、破断強度は好まし
くは1〜30kg/cm2、磁気記録媒体の弾性率は走行方向、長手方向とも好
ましくは100〜1500kg/mm2、残留のびは好ましくは0.5%以下、
100℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は好ましくは1%以下、さらに好まし
くは0.5%以下、もっとも好ましくは0.1%以下である。 上層磁性層中に含まれる残留溶媒は好ましくは100mg/m2以下、さらに
好ましくは10mg/m2以下であり、上層磁性層に含まれる残留溶媒が下層非
磁性層に含まれる残留溶媒より少ないほうが好ましい。 【0048】 上層磁性層が有する空隙率は好ましくは30容量%以下、さらに好ましくは1
0容量%以下である。 本発明の磁気記録媒体の磁気特性は磁場5KOeで測定した場合、テープ走行
方向の角形比は0.70以上であり、好ましくは0.80以上さらに好ましくは
0.90以上である。テープ走行方向に直角な二つの方向の角型比は走行方向の
角型比の80%以下となることが好ましい。上層磁性層のSFDは0.6以下で
あることが好ましい。 【0049】 【実施例】 次に実施例と比較例を示し、本発明を更に具体的に説明する。各例において、
「部」は特に指定しない限り「重量部」を意味する。 以下の処方で磁性塗布液、及び非磁性塗布液を調整した。 【0050】 実施例1−1 上層磁性層用磁性塗布液処方 強磁性粉末:Fe合金粉末(Fe−Ni−Co) 100部 組成;Fe:Ni:Co=92:6:2 Hcl600Oe、σs135emu/g 長軸長0.18μm,針状比9 塩化ビニル共重合体 10部 −SO3Na,エポキシ基含有 ポリウレタン樹脂 5部 −SO3Na含有,分子量45000 αアルミナ(平均粒径0.2μm) 5部 シクロヘキサノン 150部 メチルエチルケトン 150部 上記組成物をサンドミル中で6時間混合分散したのち、ポリイソシアナート(
コロネートL)及びステアリン酸5部、ステアリン酸ブチル10部を加えて磁性
塗布液を得た。 【0051】 下層非磁性層用塗布液処方 針状α−Fe23 100部 長軸長0.5μm 針状比10 カーボンブラック 5部 平均粒径20mμ 塩化ビニル共重合体 8部 −SO3Na,エポキシ基含有 分子量45000 ポリウレタン樹脂 5部 −SO3Na含有、分子量45000 シクロヘキサン 100部 メチルエチルケトン 100部 上記組成物をサンドミル中で4時間混合分散したのち、ポリイソシアナート(
コロネートL)及びステアリン酸5部、ステアリン酸ブチル10部を加えて下層 非磁性層用塗布液を得た。 【0052】 上記の塗布液をギャップの異なる2つのドクターを用いて、湿潤状態で塗布し
たのち、永久磁石にて配向処理後、乾燥した。その後にスーパーカレンダー処理
を行なった。塗布厚みは磁性層0.3μm、非磁性層3.0μmであった。この
様にして得られた原反を3.81mm幅に裁断しデジタルオーディオテープ(D
AT)を作成した。 その他の実施例、比較例は実施例1に対して、表1、2に示す因子を変更して
テープを作成した。また、Baフェライトの物性値は以下の通りである。 強磁性粉末:Baフェライト Hcl100Oe、σs 70emu/g 板径 0.05μm,板状比 5 【0053】 これらテープは以下の方法で評価し、結果を表1、表2に示した。 使用デッキ:SONY製DTC−1000 混合領域の有無の判別: サンプルの調製 サンプルテープをエポキシ樹脂ではさみ液体窒素で冷却し、これをテープの長
手方向、巾方向にミクロトームを用いて切断する。 観察 TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて倍率50000倍で上記切断面を観察し
、磁性層と非磁性層の界面近傍の磁性層中に含まれる非磁性粒子の個数を測定し
た。 【0054】 評価 磁性粒子の個数に対する非磁性粒子の個数の割合(%)を求めた。 混合領域がない・・・上記割合が0.5%以下 混合領域がある・・・上記割合が0.5%を越える i)粒子形状が異なる場合 例えば、上層磁性層の強磁性粉末が針状で下層非磁性層の非磁性粉末が粒状ま
たは鱗片状である場合、又は上層磁性層の強磁性粉末が板状で下層非磁性層の非
磁性粉末が粒状又は針状の場合は形状の異なるものの混ざり具合をみて混合領域
の有無を評価した。 ii)粒子形状は同じだが最も長い軸長の平均径が異なる場合 例えば、上層磁性層の強磁性粉末、下層非磁性層の非磁性粉末が共に針状だが
、前記平均径が異なる場合、又は上層磁性層の強磁性粉末が板状で、下層非磁性
層の非磁性粉末が鱗片状であるような場合は、その平均径の異なるものがどの程
度混ざっているかによって混合領域の有無を評価した。 【0055】 iii)粒子形状、平均径ともに等しい場合 上層磁性層と下層非磁性層の界面付近をマイクロオージェ電子分光分析法にて
各層に含まれる特有な元素を検知することにより、混合領域の有無を評価した。 再生出力:4.7MHz単一周波数の信号を入力し、再生信号をスペクトラム アナライザーに出力させ、信号のピーク値を読みとった。 スペアナはHP−3585A OdBは比較例1の磁性層単層のテ ープ BER(ブロックエラーレート):コンピューターにてランダム信号を24− 25変換した。スクランブルドインターリーブドNRZ−I信号を テスト信号とし、本テスト信号を記録/再生したデータをPR復調 して得たデータを、テスト信号と比較して、エラーを検出して、そ のエラーの比率をBERとする。 ドロップアウト:4.7MHz単一周波数の信号を入力、スレッシュホールド (DO) レベル−10dBで長さ0.5μSECのドロップアウトを ドロップアウトカウンターで測定した。 尚、本実施例においては、上層磁性層の乾燥厚みは、混合領域の有無の判断方
法と同様にしてサンプルを調整し、TEMで観察した切断面より測定した。 【0056】 【表1】 【0057】 【表2】 【0058】 表1〜表2の結果より明らかな如く、本発明の針状非磁性粉末を用いたサンプ
ルNo.実施例1−1〜1−7はRF出力の改善と同時にドロップアウトが少な
く、かつ低いBER(ブロックエラーレート)を示すことがわかった。 本発明の範囲に入らないサンプルNo.比較例1−1〜1−3はBER、ドロ
ップアウト、RF出力の少なくとも何れかが良好な結果が得られなかった。尚、
BERの目標レベルは10-4以下、ドロップアウトは100個以下、RF出力は
3.0dB以上である。 【0059】 【発明の効果】 下層非磁性層が湿潤状態の内に上層磁性層を同時又は逐次に塗布した、いわゆ
るウエット オン ウエットの塗布により複数層を設けた磁気記録媒体において
、その界面において混合領域を生じない磁気記録媒体、具体的には下層非磁性層
に針状又は鱗片状の非磁性粉末を用いることにより電磁変換特性が良好で生産性
に優れ、具体的にはRF出力が高く、走行耐久性に優れ、ドロップアウトがすく
なくかつブロックエラーレートの低い磁気記録媒体が得られる。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 非磁性支持体上に少なくとも非磁性粉末と結合剤を含む下層非
    磁性層を設け、その上に強磁性粉末と結合剤を含む上層磁性層を設けた磁気記録
    媒体において、前記上層磁性層の乾燥厚みが1μm以下であり、前記下層非磁性
    層の乾燥厚みは0.5μm以上であり、かつ前記非磁性粉末の最も長い軸長r1
    と最も短い軸長r2との比r1/r2が2.5以上20未満であることを特徴とす
    る磁気記録媒体。 【請求項2】 前記強磁性粉末の最も長い軸長の平均径が0.3μm以下であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。 【請求項3】 非磁性支持体上に少なくとも非磁性粉末と結合剤を含む下層非
    磁性層を設け、その上に強磁性粉末と結合剤を含む上層磁性層を設けた磁気記録
    媒体において、前記非磁性粉末が針状比が2.5以上20未満であり、かつ前記
    上層磁性層の乾燥厚みが1μm以下であり、前記下層非磁性層の乾燥厚みは0.
    5μm以上であり、前記強磁性粉末の最も長い軸長の平均径が0.3μm以下で
    あることを特徴とする磁気記録媒体。 【請求項4】 前記下層非磁性層は最も長い軸長が3μm以下の非磁性粉末を
    含むことを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の磁気記録媒体。 【請求項5】 前記下層非磁性層はAl23(α、γ),Cr23,αFe2
    3,ゲータイト,SiO2,ZrO2,CeO2,TiO2(ルチル、アナターゼ
    )の非磁性粉末のうち少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1又は請求
    項3に記載の磁気記録媒体。 【請求項6】 前記強磁性粉末はFe又はNi又はCoを主成分とする針状の
    強磁性合金粉末であることを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の磁気記録
    媒体。 【請求項7】 前記磁気記録媒体が録音用テープ、ビデオテープ、コンピュー
    ターテープ、ディスク用などのデジタル用であることを特徴とする請求項1又は
    請求項3に記載の磁気記録媒体。

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