JP2563067B2 - 葉面散布用カルシウム肥料と散布方法 - Google Patents
葉面散布用カルシウム肥料と散布方法Info
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Description
による生理障害を軽減するため、植物の葉面散布に用い
るカルシウム肥料と散布方法に関する。
する重要な養分であるが、土壌の酸性化等により吸収不
良を起こし、しばしば欠乏症状を呈する。その対策とし
ておこなう土壌へのカルシウムの施肥も、欠乏症状の発
生時期が植物の生育期後半に起こるため、事前の予測が
難しく効果的な対策とはなり得ない。また、カルシウム
の吸収は土壌の水分の吸収とともに行われるため気象要
因によって左右され、土壌中に充分な量のカルシウムが
存在しても欠乏症が発生する場合がある。更に、植物体
内でのカルシウムの移行は他の元素に比較して遅く、永
年作物では部分的な欠乏も多くみられる。特に果樹の果
実に対する欠乏は、根からの吸収から1年後に移行する
ため、土壌への施肥は即効性にかけている。よって、そ
の対策として、欠乏症状が現われる部分に直接カルシウ
ムを吸収させるようにしたカルシウム肥料の葉面散布が
有効となっている。現在、この葉面散布用のカルシウム
肥料としては、溶解度の高いカルシウム塩(塩化カルシ
ウム,蟻酸カルシウム,EDTAカルシウム等)が実用
化されている。なお、2種以上のカルシウムを組み合わ
せた製剤として、炭酸カルシウムと水溶性カルシウムを
組み合わせた製剤が同一出願人(特公昭59−1992
3)によって実用化されているが、これは果実の浮皮を
防止するためのものであるとともに、炭酸カルシウムは
不溶性(数PPM/l)であり、カルシウムの吸収には殆ど関
与せず、内容が異なるものである。
葉面散布用のカルシウム肥料は、養分転換期や高温時な
どのように条件の悪い時に葉面散布をおこなうと、植物
体にストレスを与え、しばしば薬害が発生する。この薬
害は、作物によって異なるが、特に落葉果樹での発生が
多い。この薬害について、当初は、塩化カルシウムの塩
素によるものと考えられていたが、他のカルシウム塩で
も同様の症状が見られることから、薬害症状はカルシウ
ムイオンにより発生することが推測される。また薬害症
状は斑点状を示し、どのカルシウム塩でも共通の症状を
呈することから、カルシウムイオンによる薬害と考えら
れる。ただし、塩の形態により薬害の発生程度が異なる
事から、組み合わせる陰イオンにより薬害に影響が現わ
れると考えられる。また、溶解率の低いカルシウム塩の
葉面散布は、薬害の発生は無く安全ではあるが、カルシ
ウム欠乏症に対する効果は低い。このようにカルシウム
欠乏症状による果物,野菜の損傷は大きな問題であり、
その対策として採用されているカルシウムの葉面散布に
よる薬害に対して、その解決が望まれていた。本発明
は、前記事情に鑑みてなされたもので、前記問題点を解
消した葉面散布用カルシウム肥料と散布方法を提供しよ
うとするものである。
は高溶解性のカルシウム塩10〜50%、低溶解性のカ
ルシウム塩90〜50%の割合で混合した葉面散布用カ
ルシウム肥料とすることによって前記課題を解消した。
また、本発明は高溶解性のカルシウム塩と、低溶解性の
カルシウム塩とを混合希釈し、これを葉面散布して、散
布後における葉面上の希釈倍率の低下に対応してカルシ
ウム塩の溶解率を低下させるようにすることによって前
記課題を解消した。本発明によって薬害等の発生が防止
できた。
いものが殆どであり、葉面に付着した散布液は乾燥過程
において散布時より濃くなり、薬害発生の原因となって
いる。この状況を緩和するために、本発明では高溶解性
のカルシウム塩と低溶解性のカルシウム塩を混合処方す
る事によりカルシウムイオン濃度の上昇を抑え、薬害を
回避するものである。また、陰イオンの濃度も低く抑え
られ、陰イオンによる薬害の助長も抑制出来る。本発明
は、溶解度の異なる2種以上のカルシウム塩を組み合わ
せることにより、散布溶液中のカルシウムイオンが過剰
にならないようにコントロールするものである。すなわ
ち、溶解度の高い(5〜50g/100cc)カルシウ
ム塩を10〜50%と、溶解度の低い(0.05〜3g
/100cc)カルシウム塩を90〜50%との混合物
を水に溶解させ、この溶液を植物体の葉面に散布するこ
とによりカルシウムを安全かつ効率的に吸収させようと
するものである。ここで、前記溶解度の高いカルシウム
塩として、たとえば塩化カルシウム,酢酸カルシウム等
があり、前記溶解度の低いカルシウム塩として、たとえ
ば第1リン酸カルシウム,硫酸カルシウム等がある。
0%と、第1リン酸カルシウム90〜40%とを表1に
示す配合内容で混合物を作成し、これを各0.4%濃度
の水溶液とし、以下述べる要領で散布試験をおこなっ
た。また、全く散布をしない場合(比較例1)、塩化カ
ルシウムのみの場合(比較例2)、第1リン酸カルシウ
ムのみの場合(比較例3)について比較した。比較例の
散布濃度も同じ0.4%溶液とした。
し、6月上旬〜7月上旬の間に、15日間隔を置いて3
回、0.4%溶液の散布をそれぞれおこなった。散布に
際してはりんごの果実に直接かかるよう充分量散布し
た。調査項目は、薬害と、ビターピットの発生率と、果
肉及び果皮中のカルシウム含量とを調査した。調査時期
は、薬害については散布後5日目に、ビターピットにつ
いては収穫時に、カルシウム含量は、収穫時に前記調査
をおこなったあと、原子吸光光度法によって分析した。
なお薬害とは葉周辺の黄化,ハンテンを、またビターピ
ットはりんごのカルシウム欠乏による生理障害の結果、
果実に現われるハンテンである。表2に、この調査結果
を示す。なお表中、+は薬害の発生を、−は発生のない
ことを示す。
ムの0.4%溶液)で、発生が確認され、実施例5,6
でも若干の発生がみられた。ビターピットの発生率につ
いては、比較例1(無処理)の場合に比較して、実施例
1〜6及び比較例2で効果が確認されたが、比較例3
(第1リン酸カルシウム0.4%溶液)では効果は少な
かった。カルシウム含量も同様で、実施例1〜6及び比
較例2で含量の上昇がみられたが、比較例3は無処理
(比較例1)にやや勝る程度であった。
いが、薬害の発生がみられ不可である。また、実施例6
もカルシウムの吸収が良く、ビターピット発生率が少な
いが、薬害の発生が僅かではあるがみられること、実施
例5も同様な傾向がみられるが薬害の発生は殆ど無視で
きる程度であることから、実施例1〜実施例5の範囲、
即ち塩化カルシウム10〜50%、第1リン酸カルシウ
ム90〜50%の範囲にある散布溶液が好ましい。
倍率に対する溶解率の変化を示す。水量の減少(希釈倍
率の低下)にともないカルシウム塩の溶解率も減少し、
薬害の原因であるカルシウムイオン濃度の急激な上昇を
抑えている。すなわち、散布後、葉面が次第に乾燥して
ゆくに従いカルシウム塩の溶解率が低下し、薬害の発生
を防止している。
塩と低溶解度のカルシウム塩を組み合わせたカルシウム
肥料を用いて葉面散布を行うことによって、カルシウム
塩単独の場合より、薬害を発生させることなく安全に効
率良くカルシウムを吸収させる事ができる。また、従来
の高溶解性のカルシウム塩だけでなく、低溶解性のカル
シウムを使用することが出来、人にとっても安全性の高
い葉面散布剤の製造が可能となる。
釈倍率に対する溶解率の変化を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 高溶解性のカルシウム塩10〜50%、
低溶解性のカルシウム塩90〜50%の割合で混合した
ことを特徴とする葉面散布用カルシウム肥料。 - 【請求項2】 高溶解性のカルシウム塩と、低溶解性の
カルシウム塩とを混合希釈し、これを葉面散布して、散
布後における葉面上の希釈倍率の低下に対応してカルシ
ウム塩の溶解率を低下させるようにしたことを特徴とす
る葉面散布用カルシウム肥料の散布方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5151779A JP2563067B2 (ja) | 1993-06-23 | 1993-06-23 | 葉面散布用カルシウム肥料と散布方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5151779A JP2563067B2 (ja) | 1993-06-23 | 1993-06-23 | 葉面散布用カルシウム肥料と散布方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0710666A JPH0710666A (ja) | 1995-01-13 |
JP2563067B2 true JP2563067B2 (ja) | 1996-12-11 |
Family
ID=15526119
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5151779A Expired - Lifetime JP2563067B2 (ja) | 1993-06-23 | 1993-06-23 | 葉面散布用カルシウム肥料と散布方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2563067B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP3135503B2 (ja) | 1996-08-09 | 2001-02-19 | 花王株式会社 | 肥料吸収促進剤組成物及び肥料組成物 |
US6387147B2 (en) | 1998-02-06 | 2002-05-14 | Kao Corporation | Fertilizer composition |
KR101119272B1 (ko) * | 2009-03-30 | 2012-03-15 | 김원대 | 농작물을 유효성분으로 함유하는 약학적 조성물 |
-
1993
- 1993-06-23 JP JP5151779A patent/JP2563067B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0710666A (ja) | 1995-01-13 |
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