JP2562924B2 - スプリングリターン形コントロールモータ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はスプリングリターン形コントロールモータ、
特に停電等の非常事態に際し内蔵するスプリングにより
制御機構を作動せしめるようにしたスプリングリターン
形コントロールモータに関するものである。

（発明が解決しようとする課題） 第３図は従来のスプリングリターン形コントロールモ
ータの説明図であって１はリバーシブルモータ、２はモ
ータ軸、３は例えば空調用バルブやダンパー等を駆動す
る出力軸、４はこの出力軸３に固定した大歯車、５はこ
の大歯車４を前記モータ軸２に連結するための小歯車、
６は前記出力軸３が正方向に駆動回転されたとき、出力
軸３によって巻かれる渦巻き形のスプリング、７は前記
出力軸３に設けたカム、８はこのカムによって開閉され
るスイッチを示す。

第４図，第５図は前記モータ１に附設されたモータ制
御機構を示し、９はモータ１の固定子外匣の側面に固定
した摩擦素子、10はこの摩擦素子９に離接されるよう前
記モータ１の軸２及び歯車５に固定されたブレーキ板、
11はモータ１に対する通電が停止されているとき附勢さ
れてスピンドル12をバネ13に抗してモータ１の軸２から
離れるように軸方向に右方に抑制するためのアクチュエ
ータ、14は常時ブレーキ板10を摩擦素子９に係合する方
向にモータ軸２を抑制するためのブレーキバネ、15はモ
ータ１のロータ、16はステータコイルである。

このモータ１はモータ１のステータコイル16が励磁さ
れていないときはモータ１のロータ15がブレーキバネ14
によって押されて第４図に示すようにステータコイル16
より軸方向に右方に移動されブレーキ板10が摩擦素子９
に接しモータ１は停止している。

又モータ１のステータコイル16が励磁されるとモータ
１のロータ15がブレーキバネ14に抗して軸方向に左方に
移動しブレーキ板10が摩擦素子９から離間しモータ１は
回転可能となる。

更に停電等の事故の際にはアクチュエータ11が消勢さ
れバネ13によってスピンドル12を介してブレーキバネ14
に抗してモータ軸２及びブレーキ板10が第５図に示すよ
うに軸方向に左方に移動し、従ってモータ１が回転可能
な状態とされる。

このようなスプリングリターン形コントロールモータ
においてはステータコイル16を励磁してモータ１を正方
向に回転すれば歯車5,4を介して出力軸３が正方向に回
転し、例えば空調用バルブやダンパーを開き、このとき
同時にスプリング６が巻かれるようになる。

又通常の作動で空調用バルブやダンパーを閉じる場合
にはモータ１を逆方向に回転して同様の操作が行われ
る。

尚この場合にはスプリング６がモータ１と同様出力軸
３を同じく逆方向に回転するように作動する。

又空調用バルブやダンパーが開いている状態で停電等
の事故を生じた場合にはアクチュエータ11が消勢しモー
タ１のブレーキ板10の係合がバネ13の作用により解除さ
れ同時にスプリング６の力によって出力軸３が直ちに逆
方向に回転して前記空調用バルブやダンパーを速やかに
閉じるようになる。

然しながらこのような従来のスプリングリターン形コ
ントロールモータでは歯車45による減速比が通常1:3000
程度と大きく、モータ１を駆動しながらの回転中は問題
ではないがモータ１の駆動によって制限を受けなくなる
停電時にスプリング６に貯えられた力によって空調用バ
ルブやダンパーを閉じるよう逆回転された時には空調用
バルブやダンパーが完全に閉位置となる迄にモータ１の
ロータ15の回転が例えば約10000r.p.m.程度に上昇し、
従って空調用バルブやダンパーが完全閉位置になって出
力軸３の回転が突然停止した場合にはロータ15及び歯車
4,5に貯えられた極めて大きな慣性エネルギーによって
空調用バルブ、ダンパー又は歯車５が破壊する等のおそ
れがあった。

本発明の目的はこのような欠点を除去したスプリング
リターン形コントロールモータを得るにあたる。

（課題を解決するための手段） 本発明のスプリングリターン形コントロールモータ
は、リバーシブルモータと、このリバーシブルモータに
よって1:3000以上の減速比の減速機構を介して正方向に
駆動される出力軸と、この出力軸の正方向回転によって
巻かれるスプリングとより成るスプリングリターン形コ
ントロールモータにおいて、前記出力軸と減速機構間に
一方向クラッチを介挿せしめ、前記モータと減速機構が
逆方向に遊動した時上記出力軸との連結が解除されるよ
うにしたことを特徴とする。

（実施例） 以下図面によって本発明の実施例を説明する。

本発明においては第１図に示すように大歯車４と出力
軸３間に正回転の際大歯車４から出力軸３の方向に回転
を伝達するが逆回転の場合には回転を伝達しない一方向
クラッチ17を介挿せしめる。

尚この一方向クラッチ17としては例えば第２図に示す
ように出力軸３にその中心を固定した筒体18と、この筒
体18の外周に形成した複数の三角溝19と、前記筒体18の
外周面にその内周面を対接せしめ、外周を前記前記大歯
車４に固定した外筒20と、この外筒20の内周面と前記三
角溝19間に形成される空間内に介挿されるボール21とよ
り成る従来既知のものを使用する。

本発明のスプリングリターン形コントロールモータは
上記のような構成であるからモータ１の正回転時には一
方向クラッチ17を介してモータ１の回転が出力軸３に伝
達され、モータ１の逆回転時にはモータ１の回転は一方
向クラッチ17により遮断されて出力軸３には伝達されな
いようになる。然しながらこの逆回転時には出力軸３は
スプリング６の作用によって逆回転され、この逆回転時
の出力軸３の回転数は逆回転しているモータ１による規
制を受けるため回転数が大幅に上昇することはなく従来
と同様の作動が行われる。

又停電等の事故に際してスプリング６の作用で出力軸
３が逆回転される場合には出力軸３の回転は一方向クラ
ッチ17の筒体18、外筒20、歯車4,5を介してモータ１の
ロータ15に伝達され、空調用バルブやダンパーが完全閉
位置になる迄にはロータ15の回転数は前記のように大き
く上昇するが、前記完全閉位置となって出力軸３が停止
した瞬間にはクラッチ17の外筒20の歯車4,5、ロータ15
と共にクラッチ12の筒体18に係止されることなくフリー
にそのまゝ回転を続け、従ってこの慣性エネルギーによ
る各部の破損を未然に防止することができる。

（発明の効果） 上記のように本発明によれば停電等の事故に際し回転
伝達部分の慣性エネルギーによる各部の破損を防止でき
る大きな利益がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のスプリングリターン形コントロールモ
ータの説明図、第２図は一方向クラッチの断面図、第３
図は従来のスプリングリターン形コントロールモータの
説明図、第４図，第５図はモータのクラッチ及びブレー
キの説明図である。 １……リバーシブルモータ、２……モータ軸、３……出
力軸、４……大歯車、５……小歯車、６……スプリン
グ、７……カム、８……スイッチ、９……摩擦素子、10
……ブレーキ板、11……アクチュエータ、12……スピン
ドル、13……バネ、14……ブレーキバネ、15……ロー
タ、16……ステータコイル、17……一方向クラッチ、18
……筒体、19……三角溝、20……外筒、21……ボール。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】リバーシブルモータと、このリバーシブル
   モータによって1:3000以上の減速比の減速機構を介して
   正方向に駆動される出力軸と、この出力軸の正方向回転
   によって巻かれるスプリングとより成るスプリングリタ
   ーン形コントロールモータにおいて、前記出力軸と減速
   機構間に一方向クラッチを介挿せしめ、前記モータと減
   速機構が逆方向に遊動した時上記出力軸との連結が解除
   されるようにしたことを特徴とするスプリングリターン
   形コントロールモータ。