JP2561234B2 - 抗炎症剤 - Google Patents

抗炎症剤

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JP2561234B2 JP56071298A JP7129881A JP2561234B2 JP 2561234 B2 JP2561234 B2 JP 2561234B2 JP 56071298 A JP56071298 A JP 56071298A JP 7129881 A JP7129881 A JP 7129881A JP 2561234 B2 JP2561234 B2 JP 2561234B2
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Description

【発明の詳細な説明】 この発明は炎症抑制乳、その製造方法及び炎症治療に
おけるその使用方法に関する。
炎症とはドールランドの医学辞典によると「組織の損
傷又は破壊によって引き起こされ、有害な物質及び損傷
された組織の両方を破壊し、希釈し又はさえぎる働きを
する局部的な防護反応」と定義されている。これは急性
の形態では痛み、熱、発赤、腫れ及び機能喪失という古
典的な症状の続発によって特徴ずけられる。組織学的に
は、これはその透過性及び血流の増大を伴った細動脈、
毛細血管及び細静脈の拡張、プラスマタンパク質を含
む、流体の滲出、及び炎症の焦点への白血球の移動を含
む一連の複雑な事象を含んでいる。
炎症反応とは上述のように定義される炎症によって特
徴ずけられるいずれかの反応である。炎症反応は異なる
疾病又は障害を伴うことのある身体的な不快さ、すなわ
ち苦痛及び機能の喪失を引き起こすことは当業者によく
知られている。従って、炎症反応を中和する効果を有す
る薬理学的物質を投与することは一般的な医療実務であ
る。これらの性質を有する物質は抗炎症剤として分類さ
れている。抗炎症剤は広範囲の障害の治療に用いられ、
しばしば異なる疾病の治療にも用いられる。抗炎症剤に
よる治療は疾病自体に対する治療ではなく、その徴候、
すなわち炎症に対するものである。
コルチコステロイドは抗炎症反応治療のために最も広
く用いられている一群の化合物である。タンパク質分解
酵素は抗炎症効果を有する別の群の化合物である。直接
的に又は間接的に副腎皮質にステロイドを生産させ分泌
させるホルモンもまた別の群の抗炎症化合物である。多
くの非ホルモン抗炎症剤が記載されている。ステロイド
系及び非ステロイド系の抗炎症剤の例は「医師のための
医薬、専門事項、生化学的薬剤机上便覧」(Physicia
n′s Desk Reference to Pharmaceuticals,Specialitie
s,and Biologicals,1979)に掲載されている。
天然及び合成コルチコステロイド製剤は血圧の上昇、
塩分及び水分の貯留、カリウム及びカルシウムの排泄増
加を含む数多くの強い副作用を引き起こす。さらに、コ
ルチコステロイドは感染の徴候を覆い隠し、感染性微生
物の伝染を助長することもある。これらのホルモンを妊
婦に使用することは安全であるとは考えられず、長期間
に渡るコルチコステロイド治療は胃機能亢進及び/又は
消化性潰瘍を引き起こす。これらの化合物による治療は
また糖尿病を悪化させ、精神障害を引き起こすこともあ
る。間接的に内発的なコルチコステロイドの生産を増加
させるホルモン系抗炎症剤も同様な悪い副作用を引き起
こす可能性を秘めている。非ホルモン系抗炎症剤は合成
生化学的化合物であり、これらは投与量が多くなると広
範囲な望ましくない副作用を引き起こし毒性である。従
って、現在利用可能な抗炎症剤は数多くあるが、安全で
効果的でありかつ副作用のない抗炎症剤は今なお必要で
ある。
もし例えば乳のような天然の食料品が抗炎症効果を持
っているならば、それは容易に投与でき、容易に入手で
き、かつ安全な治療組成物となる。
先行技術において、種々の治療効果を有する乳を製造
することが知られている。発明者は例えばムシ歯抑制効
果のある、ストレプトコツカス・ミュータンス(Strept
ococcus mutans)に対する抗体を含む乳を開示した(ベ
ック、英国特許1505513)。この乳はストレプトコッカ
ス・ミュータンス抗原で2度に渡って雌牛を免疫化する
ことによって得られる。発明者はまた抗関節炎効果を有
する乳を開示した(1978年2月6日出願の米国特許出願
875140)。ハインバッハは米国特許3128230において、
抗原混合物を雌牛に接種することによって得られる、グ
ロブリンα,β及びγ成分を含む乳について記載してい
る。ピーターセン(米国特許3376198及びカナダ特許587
849)、ホルム(米国特許出願628987)及びタナークら
(英国特許1211876)も抗体を含む乳について記載して
いる。しかしながら、上述の文献には抗炎症効果を有す
る乳を開示又は示唆しているものはない。
従ってこの発明の目的は抗炎症乳を提供することであ
る。
この発明の別の目的は抗炎症乳を生産する方法を提供
することである。
さらにこの発明の目的は動物の炎症を治療する方法を
提供することである。
これら及びこれ以後より容易に明らかとなるこれら以
外のこの発明の目的は、抗炎症因子を生産する状態に保
たれたウシ科の動物から採取した乳を動物に投与するこ
とから成る、動物の炎症治療法を提供することによって
達成される。
この発明は抗炎症効果を有する天然食料品(乳)及び
これを生産する方法を含む。この発明は抗炎症薬理学分
野の現状を意義ある程度にまで発展させたものである。
なぜなら、この発明の産物には悪い副作用がないからで
ある。抗炎症乳は動物及びヒトのあらゆる疾病及び負傷
に関連した炎症の治療に、天然食料品であるから副作用
の心配をすることなく使用することができる。抗炎症乳
で治療することができるヒトの疾病にはリューマチ性関
節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、急性及び亜急性粘
液嚢炎、急性非特異性腱炎、急性痛風関節炎、系統的紅
斑性狼瘡、系統的皮膚筋炎、急性リューマチ性心臓炎、
天疱瘡、水疱性皮膚炎、ヘペチフォーミス(hepetiform
is)、重症紅斑、多剥脱性皮膚炎、硬変、季節性多年性
鼻炎、気管支喘息、接触性皮膚炎、エトピック(etopi
c)皮膚炎、血清病、アレルギー性結膜炎、角膜炎、帯
状疱疹、眼性虹彩炎、瀰慢性葡萄膜炎、声帯炎、視神経
炎、交感性眼炎、症候性サルコイドーシス、レフレル好
酸球症、ベリリウム中毒症、及び赤血球貧血が含まれ白
血病、リンパ腫、結核及び髄膜炎を含む腫瘍性疾病の待
機的処置にも用いることができる。この点に関し、この
発明の生産物はこれらの疾病を治療するのではなく、む
しろその疾病の病状を治療するものであることを強調し
ておかなければならない。従って、この生産物は症状と
して炎症を示すあらゆる疾病及び負傷に用いることがで
きる。
この発明の方法において、ウシ科の動物には乳を分泌
するあらゆるウシ属の動物が含まれるが、雌ウシ、ヒツ
ジ及びヤギが好ましく、雌ウシが最も好ましい。
この発明は、抗原又は抗原混合物を周期的にブースタ
ー投与することによって免疫化されたある特定の状態に
ウシ科動物を持っていくと、そのウシ科動物は炎症を抑
えるのに非常に有益な乳を生産するようになるという発
見にその基礎を置いている。この効果は乳中に存在する
因子によって引き起こされ、ここではこの因子を「抗炎
症因子」と呼ぶ。この因子は免疫化されたすべてのウシ
科動物によって生産されるわけではない。雌ウシが種々
の疾病に対する通常の免疫化によって種々の抗原に対し
て免疫反応性になった場合でもこのような雌ウシの乳は
抗炎症因子を含まないという事実からわかるように、免
疫反応性の誘導だけでは抗炎症因子を出現させるのに不
十分である。
さらにこの因子はブースター注射によって免疫状態に
保たれたウシ科動物によって常に生産されるとは限らな
い。乳が望む効果を有するのは動物がある特異的な過免
疫状態にあるときだけであり、これをここでは「抗炎症
因子生産状態」と呼ぶ。この特殊な状態は十分に多い投
与量の抗原又は抗原混合物を周期的なブースターで投与
した場合に限り得られる。このような投与量をここでは
「抗炎症因子生産投与量」と呼ぶ。好ましい投与量はウ
シ科動物の一次感作に必要な投与量の50%以上である。
従って、これより少ない投与量では雌ウシが通常免疫状
態と呼ばれている状態にある場合でも抗炎症因子が乳中
に生産されないという、ブースター投与量の下限があ
る。抗炎症因子生産状態を達成するために最初の一連の
ブースター投与の後にウシ科動物の乳を試験することが
必要である。乳中にこの因子が含まれていない場合には
第二系列のブースターはより多い投与量で行なわなけれ
ばならない。この操作は乳中に抗炎症因子が現われるま
で繰り返す。
要約するとこの操作は次の段階からなる。
1. 抗原の選択 2. 第一の免疫化によるウシ科動物の感作 3. 免疫反応性が誘導されたことを確認するためのウシ
科動物血清の試験 4. 抗炎症因子生産状態を誘導し維持するための適当な
投与量のブースター投与 5. 乳の抗炎症効果の試験 6. 抗炎症因子生産状態にあるウシ科動物からの採乳 第一段階 あらゆる抗原又は抗原混合物を採用することができ
る。この抗原はウシ科動物の免疫系が反応する細菌性、
ウィルス性、細胞性又は他のあらゆる物質でよい。第一
段階における臨界点は、抗原がウシ科動物に免疫反応性
を誘導できなければならないということである。抗原は
感作を引き起こすあらゆる方法によって投与される。好
ましくは多価抗原が使用される。
第二段階 免疫化の好ましい方法は筋肉内注射である。もっと
も、投与量が免疫反応性を誘導するのに十分であるなら
ば静脈内注射、腹腔内注射、経口投与、座薬等の他の方
法を用いることもできる。投与量は通常、細胞数106
ないし1020個好ましくは108個ないし1010個、最も好ま
しくは2×108個である。
第三段階 第3段階はウシ科動物が抗原に対し反応性を有するか
否かを決定することである。免疫学の分野における当業
者に知られた免疫反応性を試験するための数多くの方法
がある。(「免疫学及び免疫化学における方法」(Meth
ods in Immunology and Immuno−Chemistry),William,
C.A.Chase,W.M.Academic Press,N.Y.,London(vols1−
5)(1977))。これらの例には皮膚感受性試験、刺激
抗原に対する抗体の存在を調べるための血清試験、宿主
から得た免疫細胞が抗原と反応する能力を調べるための
試験が含まれる。どの試験を採用するかは用いられた抗
原の性質により大きく左右される。好ましい方法では抗
原として複数の細菌種から成る多価ワクチンを用い、ウ
シ科動物の血清中の凝集する抗体の存在を該ワクチンを
投与する前後で調べる。ワクチンによる免疫化の後に乳
中に抗体が出現することは免疫反応性の指標であり、こ
の時点で第四段階に進むことができる。免疫反応性を誘
導するために必要な抗原の最低量は用いられる抗原の種
類に依存する。
第四段階 第四段階は抗炎症因子生産状態を誘導し、維持するこ
とである。ウシ科動物が一度感作されたことを示したな
らば、一定の時間間隔をおいて適当な投与量のブースタ
ー投与を繰り返すことによってこの状態を誘導する。投
与の間隔は抗原の性質に依存する。多価の細菌性抗原の
場合には2週間のブースター間隔が最適である。さら
に、ブースター投与によって免疫トレランス状態が誘導
されてはならない。これは動物を抗炎症因子生産状態か
ら動物が抗炎症因子の生産をやめる免疫トレランス状態
へ移行せしめる。
また、例えば異なる免疫化操作の組み合わせを使用す
ること、すなわち最初の免疫化に筋肉内注射を用い、ブ
ースター注射には静脈注射を用いること等も可能であ
る。感作及び抗炎症因子生産状態の誘導のために多くの
異なる免疫化方法の組合わせが当業者にとって可能であ
ろう。
第五段階 第五段階は乳の抗炎症効果を試験することである。ラ
ット足試験(rat paw test)が抗炎症剤のための標準的
な動物試験である。(ウィンター・シー・エイ、リスレ
イ・ジー・エイ、ナス・ジー・ダブリュ、「抗炎症剤の
試験のためのラットの後足にカラゲーニンで誘導された
浮腫」(Carrageenin−Induced Edema in the Hind Paw
of the Rat as an Assay for Antiinflammatory Drug
s),Proc.Soc.Exp.Biol.Med.,544−547(1967))。
種々の他の試験も用いることもできる(ワトニック・エ
イ・エス及びサビン・シー「ラットにおけるアジュバン
トで誘導された関節炎及び実験的アレルギー性脳脊髄炎
に対するクロニキシン及びベタメサゾンの効果」(The
effects of Clonixin and Bethamethasone on Adjuvant
−Induced Arthritis and Experimental Allergic Ence
phalomyelitis in Rats),Jap.J.Pharm.22,741−74
8)。もっとも、ラット足試験が利用可能な最も簡単で
直接的な試験であり、すべての抗炎症剤に対して満足で
きるものであることが示されている。この試験には少量
のカラゲーニンを成熟した白いラットの足の肉趾に注射
する操作が含まれる。この操作により炎症反応が誘導さ
れることが知られている。注射後数時間以内に炎症反応
のためにラットの足が腫れる。腫れの程度は体積測定に
より及び/又はラットの足の重量変化により決定するこ
とができる。抗炎症剤はラットの足の炎症を抑える能力
を有する。
第六段階 第六段階は乳の採取及び処理である。乳は常法により
採取することができるが、乳の抗炎症効果を守るために
特殊な処理が必要である。この抗炎症剤は熱に対して感
受性である。従って、低い温度の低温殺菌が必要であ
る。低温殺菌の温度は140℃を超えてはならない。低温
殺菌に続き、脂肪を常法により除去し、乳を噴霧乾燥す
る。抗炎症因子が破壊されないように乳を低温で真空下
で濃縮することを除いて従来の噴霧乾燥の方法を用いる
ことができる(例えばコシコウスキー・エフの「チーズ
及び醗酵乳製品」(Cheese and Fermented Milk Produc
ts)2nd.Ed,1977を参照のこと)。最終産物は抗炎症効
果を有する乳粉末である。
もちろん、液体乳、濃縮乳産物及び酸性ホエー分画の
ような生物学的活性因子を含む乳分画を用いることもで
きる。
この発明の乳は温血動物の炎症抑制に影響を与えるあ
らゆる量で投与することができる。一日当りの投与量は
液体乳で1mlないし10であり、これは炎症の特定の環
境やその動物種に依存する。
食料品が高温度で処理され生産物の抗炎症性が不活性
化されない限り、脱脂乳をもちろん食料品に含ませるこ
とができる。150℃未満の温度が好ましい。例えばプリ
ンやヨーグルトを抗炎症乳でつくることができる。
さらに、脱脂乳をほぼ室温で酸処理し(乳のpHを4.2
ないし4.6にする)、カゼインを沈澱させて分離する
と、その酸性ホエー上清分画が抗炎症因子を含むことが
発見された。この酸性ホエー分画もまたシロップ、アイ
スクリーム、キャンディ、飲料水、家畜飼料等に加える
ことができる(コシコウスキー、前掲書446ページ参
照)。
一般的に発明を記載してきたが、次の実施例によって
この発明を一層よく理解できるであろう。これらは例示
のためだけに用意したものであって、他に明示なき限り
発明を限定する意図はない。
実施例1 5頭の雌ウシを大腸菌(ATCCNo.13076)に対して免疫
化した。第一次免疫化は生理食塩水中に懸濁された加熱
殺菌した大腸菌細胞を含むワクチンを筋肉内注射するこ
とによって行なった。細菌細胞の濃度は4×108個/mlで
あった。5ml(2×109個の細胞)の投与量で1週間に1
回、連続4週間筋肉内注射した。乳を第5週中に採取
し、大腸菌に対する抗体の存在を試験した。大腸菌に対
する抗体の存在はミクロ凝集法を用いて決定した。この
方法は異なる希釈率の乳ホエーを緩衝液に懸濁された一
定の濃度の大腸菌細胞と反応させる操作を含む。乳中に
抗体が存在すると細菌細胞が凝集する。乳を逓減的に希
釈すると抗体の濃度が低すぎて凝集反応が起こらなくな
る点に到達する。凝集を引き起こすことができる最大希
釈が抗体のタイターである。乳中に高濃度の抗体が存在
することが免疫化操作が雌ウシの免疫系にこの抗原に対
する感作を引き起こした現われである。第1表に第一次
免疫化の前後における5頭の雌ウシの大腸菌に対する抗
体のタイターの比較を示す。
すべての場合、免疫化の後には大腸菌に対する乳のタ
イターの意義ある増加が見られた。この結果より、我々
は免疫化により大腸菌に対する雌ウシの感作が引き起こ
されたと結論した。免疫反応状態を誘導したので、14日
間隔で雌ウシに同一投与量の抗原をブースター注射し、
毎日乳を採取し抗炎症脱脂粉乳を得るための処理を行な
うべき抗炎症因子生産状態の時期を確立し維持した。
上述の方法によって誘導した抗炎症脱脂乳を、抗炎症
効果を調べるためにラット足試験を用いて試験した。
10匹の成熟した白色のラットに20mlの水に10mgの抗炎
症乳を懸濁したものを毎日連続5日間餌として与えた。
第5日にラットの右足に1%カラゲーニンの塩溶液を0.
1ml注射し、注射後24時間にラットを殺し左右の足を切
断して重量を測定した。左足と右足の間に統計的に意義
ある差異が存在するか否かを決定するために、スチュー
デント一対T分布テスト(Studen′s paired T test)
を用いて実験群の左足の平均重量を右足のそれと比較し
た。抗炎症乳の代わりに同量の普通の脱脂乳を用いて第
2群のラットについて同じ実験を行なった。第3群のラ
ットについては乳を含まない水のみを与えて同じ実験を
行なった。この実験の結果を第2表に示す。
水を与えたラットの右後足の平均重量は、カラゲーニ
ンの注射によってつくられた腫れのために左足の平均重
量よりも意義ある程度に重い。同じ結果が普通の脱脂乳
を与えた群のラットについても得られたが、抗炎症脱脂
粉乳を与えたラットでは左右の足の平均重量には意義あ
る差異が認められない。この結果はこの発明の生産物が
炎症反応を抑制することを明確に示している。
比較例1 ブースター注射において使用した大腸菌細胞数を1×
103個にしたことを除いて実施例1と同じ操作を行なっ
た。この場合、大腸菌に対する乳中の抗体の存在によっ
て雌ウシが免疫状態にあることは示されたが、このウシ
から得られた乳がラットの足の炎症を抑制しないことか
ら抗炎症因子生産状態にはないことが示された。
実施例2 感作のための抗原に異なる細菌、すなわち腸炎菌(Sa
lmonella enteritidis)を用いたことを除いて実施例1
と同じ実験を繰り返した。この抗原を用いて生産された
乳を用いて行なった抗炎症試験により、この乳も抗炎症
因子を有することが示された。
実施例3 第3表に掲げた細菌株から成る多価ワクチンを抗原と
して用いたことを除き、実施例1と同じ実験を行なっ
た。異なる細菌株は等重量の凍結乾燥細菌細胞を混合す
ることによって一つにまとめ、これを塩水で希釈して実
施例1で用いた濃度に等しくした。この抗原を用いて生
産された乳の抗炎症試験の結果も陽性であった。
ここで、この実施例において生産された乳はこの発明
の発明者によって1978年2月6日に出願された米国特許
出願875140に開示された発明の好ましい態様において生
産された乳と同一のものであることに注意しなければな
らない。この出願中の特許において、この実施例の乳は
また非常に有益な抗関節炎性を持っていることを開示し
た。この乳の抗関節炎性は、関節炎患者の血液中のリュ
ーマチ因子の濃度を下げる性質を有する抗体の存在に起
因する。乳中に存在する抗体と、同じ乳中に存在する抗
炎症因子とを共働させることももちろん可能である。こ
の場合、抗炎症因子は関節の炎症を和らげ、抗体はリュ
ーマチ因子の濃度を下げる。
もっとも、(a)この乳から単離された抗体は抗炎症
効果を有さない、(b)アレルギーやテニス肘のような
非関節炎の症状をこの乳でうまく治療することはできな
い、(c)抗炎症因子が血中のリューマチ因子の濃度を
下げることを説明すべき機構がない、ということに注意
しなければならない。これらの事実より、乳の抗炎症性
及び抗関節炎性はそれぞれ異なった因子によって持たら
されており、抗炎症因子は抗体ではないことが示されて
いる。すなわち、本発明の抗炎症剤は、上記乳から、よ
り具体的には、上記ホエー分画から、常法により抗体を
分離した残りの部分を有効成分とするものである。
実施例4 細菌細胞に代えてタンパク質ホルモン(hCG)を抗原
として用いたことを除き、実施例1と同じ実験を行なっ
た。
この実験では、10mgの絨毛膜性生殖腺刺激ホルモンを
5mlの生理食塩水に溶かして第一次免疫化及びその後の
ブースター免疫化の両方に用いるためのワクチンを製剤
した。この抗原を用いて生産された乳の抗炎症試験の結
果も陽性であった。
実施例5 雌ウシの感作及びブースター注射に用いた細菌性抗原
を動物細胞抗原に代えたことを除いて実施例1と同じ実
験を行なった。この実験では第一次免疫化及びブースタ
ー注射に使用するワクチンをつくるために10mlのラット
の乳腺腫瘍組織を用いた。ラットから採取した乳腺腫瘍
から得た腫瘍組織10mgをホモジェナイズすることによっ
てワクチンをつくった。腫瘍を完全にホモジェナイズ
し、得られた物質を実施例1と同じ第一次免疫化及びブ
ースター免疫化日程を用いて雌ウシに注射した。免疫反
応性の誘導と過免疫状態の維持のためにこの抗原を用い
て生産された乳の抗炎症試験の結果は陽性であった。
実施例6 確立された方法に従ってストレプトコッカス・ミュー
タンスの菌株を培養した。ストレプトコッカス・ミュー
タンスAHT(a抗原群)、BHT(b抗原群)、10449(c
抗原群)、及び6715(d抗原群)を透析したトリプトー
ス(tryptose)培地で培養した。細胞は4000gの遠心で
集め、pH7.0の0.1Mリン酸緩衝液塩水で5回洗った。細
胞を60℃で30分間加熱することによって不活性化し、4
種類の細菌細胞数の合計が最終的に5×108個/mlになる
ように再懸濁した。この製剤を使用して2頭の雌ウシを
免疫化した。それぞれのウシをすべての4抗原群(a,b,
c及びd)のストレプトコッカス・ミュータンスから得
た新鮮な抗原を用いて2回に渡って免疫化した。次に雌
ウシのうち1頭を所望の乳産物を生産させるためにこの
発明の確立された方法に従って免疫化した。免疫化に続
いて、抗体タイターが最高に達するまでのウシの血液サ
ンプルを採取し、次に乳を採取した。乳を次に、確立さ
れた方法により乾燥させ、粉末化して抗炎症効果を有す
る粉乳を得た。
この実施例でつくられた乳は、ベック(この発明の発
明者)によって英国特許1505513に開示されたムシ歯抑
制乳と同一のものであることに注意しなければならな
い。
これらの実施例により、この発明の重要な原理、すな
わち免疫反応性を誘導し、抗炎症因子生産状態を維持す
るために使用される抗原の性質は異なっていてもかまわ
ないという原理が立証された。実施例1及び2に示すよ
うに単一の抗原を用いて抗炎症因子生産状態を維持する
ことは可能ではあるが、単一の抗原を用いた場合には実
施例3のように複数の抗原を用いた場合に比べてはるか
に免疫トレランス状態になりやすい。同じ論理がホルモ
ン、ウィルス、タンパク質及び毒素等を含む他の型の抗
原にもあてはまる。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)ウシ科動物を抗原で感作し、(b)
    該ウシ科動物に抗炎症因子生産状態を誘導し維持するた
    めに十分な量の抗原をブースター投与し、及び(c)そ
    の後該ウシ科動物から採取された乳から分画された、抗
    体を含まないホエー分画を有効成分とする抗炎症剤。
  2. 【請求項2】ホエー分画が、採取した乳を低温殺菌し、
    該乳から脂肪を除去して脱脂乳とする操作を経たもので
    ある特許請求の範囲第1項記載の抗炎症剤。
  3. 【請求項3】ホエー分画が、粉末状である特許請求の範
    囲第1項または第2項記載の抗炎症剤。
  4. 【請求項4】ホエー分画が、液状である特許請求の範囲
    第1項または第2項記載の抗炎症剤。
  5. 【請求項5】ホエー分画が、脱脂乳のpHを約4.2ないし
    約4.6に調整して酸性ホエー分画およびカゼイン分画を
    作り、該酸性ホエーを該カゼイン分画から分離して得た
    酸性ホエー分画である特許請求の範囲第2項ないし第4
    項のいずれか1項記載の抗炎症剤。
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