JP2561011Y2 - 間伐材を利用するパネル - Google Patents

間伐材を利用するパネル

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JP2561011Y2
JP2561011Y2 JP3211492U JP3211492U JP2561011Y2 JP 2561011 Y2 JP2561011 Y2 JP 2561011Y2 JP 3211492 U JP3211492 U JP 3211492U JP 3211492 U JP3211492 U JP 3211492U JP 2561011 Y2 JP2561011 Y2 JP 2561011Y2
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忠男 日越
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株式会社ランドスケープ
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、山林の立木密度を疎に
して林木の発育を助けるために、林木の一部を伐採する
ことにより排出される間伐材を、コンクリート構築物の
壁面外装材等に使用することを目的とした間伐材を利用
するパネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、間伐材は太さや形状等に問題
点があるため利用用途が制限され、有効に活用される機
会の少ない木材であるとされている。しかし、最近では
これらの間伐材の有効な利用法が検討されており、例え
ば、従来ではコンクリートの面がむきだしのままである
ため周囲の自然環境と調和しないとされていた、治山工
事用コンクリート堰の表面等を間伐材によるパネルで被
覆することにより、自然の中に構築される人工的構造物
をできるだけ周囲の自然環境と調和させるような利用方
法が試みられている。
【0003】従来では、上記のような観点に基づいて、
コンクリート堰の表面とか土留擁壁の表面等に間伐材を
被覆パネルとして使用することが既に試みられている
が、従来におけるこの種の間伐材の利用法では、これら
の間伐材を背面に打設されるコンクリート壁面等の型枠
材として使用することを前提としている。そのため、多
数の間伐材はまず並列状に配列されて、夫々の間伐材が
連結金具により上下、左右方向に一体的に連結されると
共に、前記の連結金具により背面に打設されるコンクリ
ートとの付着力も得られるような構成の型枠パネルとし
て構成される。
【0004】
【考案が解決すべき課題】前記のように、従来における
コンクリート構築物の表面に間伐材を被覆する利用方法
では、並列状に配列された多数の間伐材が夫々連結金具
を介して上下、左右方向に一体的に連結されると共に、
前記の連結金具により背面に打設されるコンクリートと
の付着力も得られるような構成の型枠パネルとするの
で、コンクリート堰が完成された後に、パネルを形成す
る夫々の間伐材がコンクリート強固に固着されること自
体はよいとしても、パネルを形成する個々の間伐材が損
傷した場合には、損傷した間伐材を簡単に取り外して新
しい間伐材と交換することができないという問題点があ
る。
【0005】例えば、風水害などにより谷川に土石流が
発生した場合には、この土石流による岩石がパネルの表
面に衝突して、パネル面を形成する個々の間伐材に損傷
を与えることが考えられる。当然のことながらこのよう
な場合には、直ちに損傷した部分の間伐材をパネル面か
ら取り外して、その部分に新しい間伐材を取り付けると
いう補修作業が必要となる。しかし、前記のような従来
のパネルでは、夫々の間伐材が互いに外れることなく一
体的に固着されているので、前記のような補修作業を行
う際には、パネル面から損傷した部分の間伐材のみを取
り外して、その損傷した部分に新しい間伐材を補充する
という作業を簡単に行うことができず、パネル面を形成
する全ての間伐材を取り外すだけでなく、コンクリート
壁面も改修して、新しい間伐材と交換しなければならな
いという極めて大規模な補修作業を必要とすることとな
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本考案は、上記のような
従来における間伐材を利用したパネルの問題点を解決す
るために、夫々の間伐材の上下方向の連結構造および間
伐材とコンクリート面との連結構造を改善することによ
り、パネルを形成する個々の間伐材が損傷した場合で
も、損傷した部分の間伐材のみを簡単に取り外して、新
しい間伐材と交換することのできる間伐材を利用したパ
ネルの提供を目的とするものである。
【0007】本考案に係る間伐材を利用したパネルは、
上記の目的を達成するための具体的手段として、背面と
上下両面とを平坦面とした間伐材からなるパネル材の前
記背面に、複数個のあり溝を該パネル材の長さ方向と交
差する向きに設けて、前記の各あり溝内に、該パネル材
を背面のコンクリート壁面に連結するためのパネル支持
金具を装着した間伐材を利用するパネルであり、該パネ
ル支持金具が、帯状金属板の中央部に該金属板の両側対
称位置を同方向に向け傾斜状に折り曲げたありほぞを有
し、該ありほぞの両側における金属板両端部には前記あ
りほぞの前面長さ方向に沿った水平な切り込みを設け
て、該両端部の一部に前記ありほぞの前面と平行な支持
辺と、前記ありほぞの傾斜方向と反対の傾斜方向に向け
て折り曲げられたコンクリート壁面内への埋め込み固定
辺とを有していることを特徴とするものである。
【0008】
【作用】この考案に係るパネルでは、間伐材からなるパ
ネル材の背面に該パネル材の長さ方向と交差する向きに
あり溝を設けて、このあり溝内に前記パネル材のあり溝
と嵌合するありほぞを設けたパネル支持金具を取り付
け、これらのパネル支持金具の裏面に傾斜状に突設され
た固定辺を、パネル材の背面に打設されるコンクリート
内に埋め込み固定するので、該固定辺がコンクリート壁
面内に固定されることにより、各パネル材が前記支持金
具のありほぞを介してコンクリート壁面の表面に連結固
定される。
【0009】パネル材に取り付けられる支持金具は、夫
々固定辺によりコンクリート壁面内に固着されるが、夫
々の支持金具とパネル材とは、あり溝とありほぞとの嵌
合により連結されているだけで、別段釘やボルト等によ
り固着されていないので、土石流等によりパネル面を形
成する一部の間伐材に損傷が生じた場合に、その損傷の
生じた部分のパネル材とその上部のパネル材とを、あり
溝の方向に沿って上方に引き揚げることにより損傷した
パネル材を含む一部のパネル材を容易にコンクリート壁
面から取り外すことができる。また、パネル材が取り外
された部分のコンクリート壁面には、取り外されたパネ
ル材を支持していた支持金具のありほぞがそのまま突出
露呈しているので、これらのありほぞを使用して別の新
しいパネル材を取り付けることができ、従って損傷した
パネル材の取り替え補修作業を簡単に行うことができ
る。
【0010】
【実施例】次に本考案に係る間伐材を利用するパネル
を、図面に示す実施例により説明すると、図1はこのパ
ネルの背面方向より見た部分斜視図であり、このパネル
は、背面3と上下両面2とを平坦面とした、所定の長さ
の間伐材からなるパネル材1と、このパネル材1の前記
背面3に取り付けられる複数個の支持金具6とからなっ
ている。前記パネル材1の背面2には、複数個のあり溝
4が該パネル材1の長さ方向と交差する向きに適宜の間
隔をおいて設けられており、これらの各あり溝4内に、
該パネル材1を背面に構築されるコンクリート壁面5に
連結するための前記パネル支持金具6が取り付けられて
いる。
【0011】前記パネル支持金具6は、図2に示すよう
に、帯状金属板7の中央部に、該金属板7の両側対称位
置を同方向に向け傾斜状に折り曲げることにより、前記
パネル材1のあり溝4と対応するありほぞ8が設けられ
ている。また、該ありほぞ8の両側における金属板両端
部7aには、前記ありほぞ8の前面8aの長さ方向に沿
った平行する二本の水平な切り込み9を設けて、該両端
部7aの中央部分を前記ありほぞ8の前面8aと平行な
向きに折り曲げることにより、ありほぞ8の両側に突出
した垂直な一対の支持辺10が設けられている。更に、
前記両端部7aの上下部分を夫々前記ありほぞ8におけ
る両側傾斜面8bの傾斜方向と反対の傾斜方向に向けて
折り曲げることにより、背面のコンクリート壁面5内に
埋め込まれるように放射状に突出した一対の固定辺11
が設けられるような形状となっている。
【0012】コンクリート壁面5の表面に前記パネル材
1を被覆する際には、コンクリート壁面5を構築する前
の段階で、夫々のパネル材1をコンクリート壁面の型枠
を形成するためのパネル面として組み立てる。パネル材
1をパネル面状に組み立てる際には、予め前記パネル支
持金具6を夫々表面のありほぞ8がパネル材1のあり溝
4内に嵌合されるようにして取り付ける。また、夫々の
パネル材1の組み立てに際しては、図3に示すように、
夫々のパネル材1を、上方のパネル材1aと下方のパネ
ル1bとが互いに千鳥状に配列する。その結果、夫々の
パネル材1aに取り付けられる支持金具6は、該パネル
材1aの上下に配列されるパネル材1bによって位置的
に固定されることになり、この支持金具6自体を別段釘
やボルトによりパネル材1aに固定する必要がない。
【0013】上記のようにして、パネル材1によるパネ
ル面を形成した後、このパネル面の背面にコンクリート
を打設すると、支持金具6のありほぞ8の裏側に設けら
れた垂直な一対の支持辺10と放射状に突出する一対の
固定辺11とがコンクリート内に埋め込み固定され、コ
ンクリート壁面5が硬化した後は、各パネル材1が支持
金具6のありほぞ8により係止されたる形でコンクリー
ト壁面5の表面にパネル面状に配列固着される。
【0014】前記支持金具6におけるありほぞ8の両側
に設けられる垂直な一対の支持辺10は、図2に示すよ
うに、支持金具6のありほぞ8がパネル材1のあり溝4
内に嵌合したときに、パネル材1の背面3に添着されて
パネル材1に対する支持金具6の正確な取り付け状態を
維持すると共に、パネル材1のあり溝4の両側における
V字状のエッジ12をありほぞ8の傾斜側面8bとこの
支持辺10とにより挟着して、パネル材1が土石流等に
よる衝撃を受けた際にこのエッジ12が破損することを
的確に防止する。
【0015】図4は、別の実施例を示しており、この実
施例では、前記のようにパネル材1を一本づつ千鳥状に
配列してパネル面を形成するのではなく、複数本のパネ
ル材1を互いに並列させて一体に連結させたものをユニ
ットとし、これらのユニットパネル材を千鳥状に配列す
る場合であり、支持金具6が並列する複数本のパネル材
1の本数分に対応した長さLとなっている。この場合、
支持金具6のありほぞ8は、夫々のパネル材1における
同じ位置のあり溝4内に嵌合できるような連続した長さ
を有しており、また、該ありほぞ8の両側における金属
板両端部7aには、夫々のパネル材1の背面3に対応し
た位置に平行する二本の水平な切り込み9を設けて、該
両端部7aの中央部分に前記垂直な支持辺10と、この
支持辺10の上下に放射状の固定辺11とが夫々設けら
れるようになっている。
【0016】図4のような実施例の場合では、複数本の
パネル材1が共通の支持金具6により連結されるので、
ありほぞ8の両側に設けられる垂直な支持辺10は、支
持金具6のありほぞ8がパネル材1のあり溝4内に嵌合
した状態において、夫々のパネル材1の背面3に添着さ
れて、各パネル材1を同一の面で整然と支持すると共
に、前記のようにパネル材1のあり溝4の両側における
V字状のエッジ12を的確に保護することができる。
【0017】なお、上記の各実施例では、支持金具6に
おけるありほぞ8の両側に垂直な支持辺10と放射状の
固定辺11とを設ける場合に、ありほぞ8の両側の金属
板両端部7aに平行する二本の水平な切り込み9を設け
て、該両端部7aの中央部分を垂直な支持辺10とし、
この支持辺10の上下部分を夫々放射状の固定辺11と
したが、これらの支持辺10と固定辺11とは、必ずし
も平行する二本の水平な切り込み9によって三個の部辺
に形成されることを必要とするわけではなく、切り込み
9を一本として、いずれか一部が支持辺10となり、他
方が固定辺11となるようにしてもよい。
【0018】
【考案の効果】この考案では、パネル材のあり溝内に嵌
合される支持金具を、前記あり溝と対応するありほぞ
と、このありほぞの両側に設けられた一対の垂直な支持
辺と、コンクリート壁面内に埋設される一対の放射状の
固定辺とにより形成したので、夫々のパネル材を支持金
具が取り付けられた状態で型枠状に組み立ててからその
背面にコンクリートを打設することにより、固定辺を介
して全てのパネル材をコンクリート壁面に被覆固定する
ことができる。
【0019】また、この考案のパネルでは、互いに組み
立てられた夫々のパネル材およびコンクリート壁面に固
着される支持金具と夫々のパネル材とは、釘やボルト等
により固着されておらず、互いに上下方向に移動可能な
あり溝とありほぞだけにより係合されているので、土石
流などによりパネル面の一部におけるパネル材が損傷し
た場合には、その損傷した部分のパネル材をパネル面に
沿って上方に引き揚げて取り外すことができ、従って、
このとり外された部分に新しいパネル材を取り付けるた
めの交換補修工事を簡単に行うことができるという利点
を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係るパネルの構成を示す部分斜視図。
【図2】同装置の部分平面図。
【図3】パネル材の組み立て状態を示す部分斜視図。
【図4】他の実施例としてのパネルの構成を示す部分斜
視図。
【符号の説明】
1:パネル材 2:パネル上下両面 3:パネル背
面 4:あり溝 5:コンクリート壁面 6:支持金具 7:帯状金
属板 7a:金属板両端部 8:ありほぞ 8a:ありほ
ぞ前面 8b:ありほぞ両側傾斜面 9:切り込み 10:
支持辺 11:固定辺 12:あり溝エッジ

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 背面と上下両面とを平坦面とした間伐材
    からなるパネル材の前記背面に、複数個のあり溝を該パ
    ネル材の長さ方向と交差する向きに設けて、前記の各あ
    り溝内に、該パネル材を背面のコンクリート壁面に連結
    するためのパネル支持金具を装着した間伐材を利用する
    パネルであり、該パネル支持金具が、帯状金属板の中央
    部に該金属板の両側対称位置を同方向に向け傾斜状に折
    り曲げたありほぞを有し、該ありほぞの両側における金
    属板両端部には前記ありほぞの前面長さ方向に沿った水
    平な切り込みを設けて、該両端部の一部に前記ありほぞ
    の前面と平行な支持辺と、前記ありほぞの傾斜方向と反
    対の傾斜方向に向けて折り曲げられたコンクリート壁面
    内への埋め込み固定辺とを有していることを特徴とする
    間伐材を利用するパネル。
  2. 【請求項2】 パネル支持金具が、ありほぞの両側の金
    属板両端部に平行する一対の水平な切り込みを設け、該
    両端部の中央部に前記ありほぞの前面と平行な支持辺を
    有し、該支持辺の上下にありほぞの傾斜方向と反対の傾
    斜方向に向けて折り曲げられたコンクリート壁面内への
    埋め込み固定辺とを有している請求項1の間伐材を利用
    するパネル。
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