JP2559605B2 - クロメート被膜用耐食性被覆剤 - Google Patents

クロメート被膜用耐食性被覆剤

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、亜鉛めつき及びクロメート皮膜が順次積層
されてなる鉄製基材のクロメート皮膜上に膜厚1〜30μ
mの耐食性塗膜を形成するための耐食性被覆剤に関し、
特に、ボルトナツト、板ばねクリツプ等の自動車用鉄製
パーツに好適な発明である。
この明細書で「水分散性」とは、化合物が安定して水
に分散可能な性質、即ち、水溶液、ヒドロゾル(コロイ
ド)を形成可能な性質をいう。
<従来の技術> 従来、自動車用鉄製パーツとして使用されているボル
トナツト等は、通常亜鉛めつき(亜鉛合金化めつきを含
む)が施され、さらに、亜鉛めつきの耐食性を向上させ
るためにクロメート皮膜の化成を行なつたものを使用し
ていた。
<発明が解決しようとする問題点> 昨今、海洋レジヤー(釣・ウインドサーフイン・ヨツ
ト等)熱の高まりに伴ない、長時間にわたる自動車の海
岸地放置、また、冬の高速道路における凍結防止剤の散
布等により、自動車の鉄製部品(特にボルト・ナツト等
の固着具)は、厳しい腐食性環境下にさらされることが
多くなつてきている。このため、自動車用鉄製パーツに
おける耐食性規格が、従来にもまして、厳格になつてき
ている。そこで、上記クロメート皮膜上に耐食性塗膜を
形成することが考えられるが、まだ、厳格な耐食性塗膜
を形成可能な耐食性被覆剤は、本発明者らが知見する限
りにおいては、存在しない。
<問題点を解決するための手段> 本発明者らは、上記問題点を解決するために、鋭意開
発に努力をした結果、下記構成のクロメート皮膜用耐食
性被覆剤に想到し得た。
本発明は、亜鉛めつき及びクロメート皮膜が順次積層
されてなる鉄製基材のクロメート皮膜上に膜厚1〜30μ
mの耐食性塗膜を形成するための耐食性被覆剤であつ
て、水分散性樹脂,水分散性シリカ及び特定のジルコア
ルミネート系カツプリング剤がそれぞれ特定割合からな
る組成物の水分散系からなることを特徴とする。
<実施の態様> 以下、本発明の実施の態様について説明をする。な
お、配合部数を示す「部」は、特にことわらない限り
「重量部」を意味する。
(1)鉄製基材の材料は、鋼材等の鉄合金も含む。
(2)亜鉛めつき層,クロメート皮膜は慣用の方法で形
成する。ここで、亜鉛めつきには、Zn−Sn、Zn−Fe、Zn
−Ni等の亜鉛合金めつきを含む。そして、亜鉛めつきの
厚みは通常1〜15μmとする。但し、他部材と頻繁に干
渉する自動車ホイール止め用ナツト等の特に耐擦傷性が
要求されるような場合には、めつき厚を40〜50μmとす
ることもある。また、クロメート皮膜の化成は、通常、
酸性浴を使用し、純クロメート浴又はクロムリン散混合
浴を使用する(「改訂3版、化学便覧・応用編」第1162
〜1163頁参照)。そして、クロメート皮膜の種類は、特
に限定されないが、無色・黄色クロメート(膜厚0.1〜
0.2μm)、又はオリーブ黒色クロメート(膜厚1〜2
μm)とする。
(3)上記クロメート皮膜上に形成する1〜30μm耐食
性塗膜は、下記組成物の水分散系からなる。
水分散性樹脂:100部、 ここで、水分散性樹脂としては、水分散可能な有機高
分子なら特に限定されないが、本発明者らが、試験検討
したところによると、アクリル酸共重合ポリエチレン
(PE)(但しアクリル酸含有率2〜50%、望ましくは15
〜30%)、エポキシ樹脂(但し、n=1500〜7000)、
さらには、大日本インキ化学工学株式会社から“デツク
フアインEN−0270;GN−0280"等の商品名で製造販売され
ている超高分子量の変性エポキシ樹脂等が望ましい。ま
た、耐サーマルシヨツク性見地からは、樹脂可撓性の優
れているアクリル酸共重合PEが望ましいと推定される。
粒径4〜20nmの水分散性シリカ…10〜50部、 ここで、水分散性シリカは、通常、コロイダルシリカ
として市販されている安定シリカゾル(SiO2濃度20〜40
%)を使用する。
また、水分散性シリカが水分散性樹脂100部に対して1
0部未満では、腐食電流の分散効果が得られず、耐腐食
性が得がたく、50部を超えると親水性が大きくなりすぎ
て、逆に腐食が促進されるおそれがある。
下記化学式で示される化合物のいずれかであるジルコ
アルミネート系カツプリング剤 上記以外のジルコアルミネート系カツプリング剤で
は、理由は不明であるが本発明の効果を奏し得ない。
また、当該カツプリング剤が水分散性樹脂100部に対
して0.3部未満では、水分散性樹脂とシリカとの間に十
分な結合性を得られず、5部を超えても、結合性が向上
せず、また、当該カツプリング剤は高価であり経済的に
不利となる。
この組成物の水分散系は、水の量の調整又は増粘剤
(一般に塗料で用いられるアクリル系重合体,ポリビニ
ルアルコール,CMC,メチルセルロース,アルギン酸等)
を添加して、1回の浸漬塗布により、所要膜厚の耐食性
塗膜が得られるようにしておくことが望ましい。この耐
食性塗膜の膜厚が1μm未満では所要の耐食性が得られ
ず、30μmを超えても、耐食性はほとんど向上せず、材
料的に不経済となる。
<発明の効果> 本発明のクロメート皮膜用耐食性被覆剤は、上記の如
く、水分散性樹脂、水分散性シリカ及び特定のジルコア
ルミネート系カツプリング剤がそれぞれ特定割合からな
る組成物の水分散系からなることにより、後述の実施例
で示す如く、亜鉛めつき鉄製基材上のクロメート皮膜に
適用した場合、従来では得られなかつた耐食性を、自動
車用鉄製パーツに付与可能となる。
なお、本発明の耐食性被覆剤を適用可能な自動車用鉄
製パーツとしては、上記の他に、例えば、ワツシヤー,
ブラケツト類,コイルばね、ジヨイントヒンジ,ラツチ
ストライカ,ラジエータキヤツプ,エンジンフツク等を
挙げることができる。さらには、この耐食性被覆剤は、
顔料等を入れれば、着色塗料(意匠用)として使用可能
となる。そうした場合は、従来にない着色塗膜特性、傷
ついても基材の腐食が促進されないという従来の着色塗
料では得られない効果を奏し、他の着色鉄製パーツにも
適用可能性を有するものである。
<実施例> 以下、本発明の効果を確認するために行なつた実施例
について、比較例とともに説明をする。
(1) 2mmtの鋼板(SPCC−D)製の試験片用ブランク
(70×150mm)上に、下記めつき浴を用いて5μmの亜
鉛めつきを行ない、さらに、下記クロメート浴を用いて
クロメート皮膜の化成を行なつて、各基材を調製した。
(2) ヘンシエルミキサーに、表示の水及びカツプリ
ング剤を各量入れて、10分間、撹拌した後、表示のコロ
イダルシリカ及び水分散性樹脂を各量加えて20分間撹拌
して各耐食性被覆剤を調製した。
そして、各耐食性被覆剤を用いて、浸漬法により各基
材に表示の膜厚の耐食性塗膜を形成して、試験片を調製
した。
各試験片には鉄素地まで達する傷を付け、JISZ−2371
に基づく塩水噴霧試験を行ない、赤錆発生迄の時間を測
定した。
各測定結果から、各実施例の耐食性被覆剤を使用した
試験片は、各比較例の耐食性被覆剤を使用した場合に比
して格段に耐食性が向上していることがわかる。なお、
耐食性塗膜を形成しなかつた場合の赤錆発生時間は200h
であつた。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】亜鉛めつき及びクロメート皮膜が順次積層
    されてなる鉄性基材のクロメート皮膜上に膜厚1〜30μ
    mの耐食性塗膜を形成するための耐食性被覆剤であつ
    て、下記組成物の水分散系からなることを特徴とするク
    ロメート皮膜用耐食性被覆剤。 水分散性樹脂… 100重量部、 粒径4〜20nmの水分散性シリカ… 10 〜50重量部、 下記化学式で示される化合物のいずれかであるジルコ
    アルミネート系カツプリング剤… 0.3〜 5重量部、
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JP5245131B2 (ja) * 2011-04-04 2013-07-24 日本表面化学株式会社 化成皮膜の仕上げ剤及び仕上げ処理の方法

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