JP2559098B2 - 脊柱変形治療のための螺子付きフック - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は特許請求の範囲の請求項１に記載のフックに
係るものである。

胸郭の脊柱変形を外科治療することがしばしば必要と
なる。脊柱すなわち背骨の構造を復旧し、維持しなけれ
ばならない。このため背側か腹側かのどちらかに固定シ
ステムを使用する。背側システムは通常少なくとも一つ
の縦支持体から成るが、大抵の場合、左右の支持体と個
々の係留要素とを具備している。これらの係留要素は脊
柱と縦支持体との間に負荷移転結合を形成する。

背景技術 現在知られている、脊柱へ縦支持体を接続する３つの
手段は、ワイヤーセルクラージュ（wire cerclage:ワイ
ヤー締結），ペディキュラー・スクリュー（pedicular
screw）そして脊柱フックである。

ワイヤーセルクラージュは脊柱の棘突起と椎弓板（板
状部）に沿って配置される。患者にワイヤーセルクラー
ジュを取り付けるにはある危険が付きまとう。ワイヤー
セルクラージュが脊髄を傷つけるかも知らないからであ
る。加えて、ワイヤーは時間が経ち過ぎると、骨を切断
したり（局所的に高い張力がピークになるとそのワイヤ
ーの下で骨の吸収を生じさせる）、ワイヤーが切れてし
まうことがある。

ペディキュラー・スクリューは通常ペディキュラス
（pediculus）を通して椎にねじ込んでいく。ペディキ
ュラスは上部胸郭の脊柱では非常に狭くなっており、変
形となっているのではその位置を見つけるのは困難であ
る。それ故、この区域でペディキュラー・スクリューを
使用するのは非常に危険である。加えて、胸郭の脊柱の
区域にペディキュラー・スクリューを使用することを多
くの外科医は回避するのが普通である。

現在のところ脊柱フックが最も頻繁に使用される。そ
の状態によるが、脊柱フックを脊柱の椎弓板上に配置し
たり、脊柱のペディキュラス（椎弓根）もしくは横突起
に配置したりする。ワイヤーセルクラージュと対照的
に、脊柱フックの利点はストレスが骨の比較的広い区域
に移され、従って骨とフックとの接点で骨の吸収が殆ど
生じないことである。しかしながら、ペディキュラー・
スクリューと対照的に、脊柱フックの大きな欠点は、フ
ックが骨にしっかりと押しつけられたときだけフックは
ストレスを縦支持体へ移すことができるということであ
る。現在のシステムではこのような初期負荷（フックを
骨に押しつけるための負荷）を縦支持体を通してだけか
けれる。このことが、現在知られているフックで変形区
域の脊柱を処置することを非常に困難としている。ここ
に本発明はその解決手段を提供せんとするものである。
本発明は、脊柱にフックをしっかりとかつ安定して固定
できるようにしたフックを提供することに基礎を置いて
いる。

発明の開示 本発明は、特許請求の範囲の請求項１に記載の特徴を
有するフックによって上記の課題を解決している。

本発明のペディキュラー・フックは特に胸郭に適用す
るのに適している。付加的な螺子をフック・シャフトを
通して挿入することができるので骨から成る座部に本発
明のペディキュラー・フックはしっかりと押し込まれ
る。下方（尾方）から上方（頭方）へ（ペディキュラー
・フックの縦軸に対して約120°〜125°の角度で）フッ
ク・シャフトを通して脊柱の小関節面（脊柱関節突起）
の関節（facetjoint）の主体部分に上記螺子が挿入され
る。こうして、本発明のペディキュラー・フックはペデ
ィキュラー・スクリューのように力とトルクとを、骨か
ら成る固定部分（osseous anchorage）から滑落するこ
となく移すことができ、これは体節（分節）矯正の実施
の予備条件を形成する。

本発明は他にも次のような多くの利点を有する。

−本発明のフックは脊柱と独立の、安定した接続となる
のでそのフックは個別に取り扱える。

−治療しようとする脊柱の変形は変形の少ない側から段
階的に矯正できる。

−本発明のフック・アセンブリはペディキュラー・スク
リューの挿入よりも胸郭の範囲においてより確実であ
る。該フックはボーン・スクリュー（骨螺子）のための
穿孔ガイドとして同時に作用するからである。

−ボーン・スクリューの傾斜位置に基づいて骨から成る
場所に適切に本発明のフックは押し込まれることができ
る。

脊柱固定具内における縦支持体への本発明に従っての
固定（フックの固定）は多くの既知の方法で行える。こ
の目的のため、本発明のフックのシャフト部分は、例え
ばヨーロッパ特許出願公開明細書第0348272号に開示さ
れたような、縦支持体への接続を可能とする対応設計要
素を有する。

本発明のフックの臨床適用は既知のシステムに似てお
り、整形外科（Orthopade）（1989）18:118〜127に掲載
のジェイ．デボセット（J.Debousset）とワイ．コット
レル（Y.Cotrel）の「脊柱変形の治療におけるCD器具
（The CD−Instrumentation in der Behandlung von Wi
rbelsaulendeformitaten）」に詳述されている。

作用原理を説明している本発明の実施態様とその実施
方法は添付図に示されており、そして以下により詳細に
既述される。すべての添付図は実施態様としてペディキ
ュラー・フックを示している。

図面の簡単な説明 図１は、本発明のペディキュラー・フックの縦方向の
正面図である。

図２は、本発明のペディキュラー・フックに螺子を挿
通した部分断面図である。

図３は、本発明のペディキュラー・フックに別の螺子
を挿通した部分断面図である。

図４は、本発明のペディキュラー・フックを脊柱に埋
め込んだ様子を示す側面図である。

発明を実施するための最良の形態 図１に詳しく示すペディキュラー・フックは、縦支持
体５へ固定されるシャフト部分２とそれへ接続している
屈曲フックシャフト３とから本質的に構成されている。

シャフト部分２は、ヨーロッパ特許出願公開明細書第
517059号に詳述されている接続デバイス（固定手段）か
ら成る。

それは、円筒穿孔21を有する外部要素22と、軸１の周
りで回転できかつ穿孔21内で動ける内部要素23とから本
質的に成る。両要素22、23は２つの貫通開口24、25を有
し、これらの貫通開口24、25は両要素22、23の軸方向１
に対して交差して共同的に形成されていて縦支持体５を
受け入れる。縦支持体５を２つの穿孔24、25に挿入する
と、外部要素22の穿孔21内の内部要素23の軸方向の移動
は一方向では阻止され、そして２つの要素22、23の貫通
開孔24、25の角度範囲内にその回転は制限される。内部
要素23はそれの貫通開口25のため軸１に対して弾性変形
することができ、そしてそれの外側のネジ山26はナット
27と一致する。このナット27を介して内部要素23に軸方
向の張力がかかって、外部要素22に対して内部要素23を
軸方向に移動させようとすると、弾性変形され得る内部
要素23は伸長して外部要素22の同じ内部穿孔21に張力を
かけ、全接続デバイスとその中に挿入された縦支持体５
とを同時にブロックする。ナット27を扱うときはペディ
キュラー・フックを保持している適当な道具とソケット
レンチとの２つの道具（図示せず）によってナット27を
締めたり、緩めたりする。この道具はネジ回しのように
ナット27の縦方向の溝28に入れる。

縦支持体５がフック・シャフト３と必ずしも平行にな
る必要はないという利点をもって貫通開孔25が構成され
る。このことは本発明のフックが縦支持体５の組み立て
中に螺子４で不必要にストレスをかけられないようにす
る。そのようなストレスは螺子４をそれの骨内への係留
から引き離してしまう恐れがある。ひどい脊柱側弯症の
場合、100％の矯正はしばしば不可能である。このよう
な場合、縦支持体５へ（平行ではなく）垂直に貫通開孔
を開けたフックを使用するのが好都合である。これをつ
くるにはシャフト部分２の穿孔21をフック・シャフト３
に平行とする代わりにフック・シャフト３に直角に配置
して、実際の縦支持体を受け入れる貫通開孔を有する、
拡大プロフィールを持つ縦支持スペース（もしくは横支
持体）を受け入れるようにする。縦支持スペーサを介し
て縦支持体５をフックと中心だけでなく縦軸１からある
距離離して接続できる。縦支持スペーサ内の貫通開口は
閉じることも、開くこともでき、そしてフック・シャフ
ト３に対してある量だけ縦支持スペーサを回転できるよ
うに構成することができる。この実施態様（図示せず）
の利点は、縦支持スペーサの組み立て中心に不必要な力
を回避できるということにある。

シャフト部分２のための上に説明した好ましい接続デ
バイスの代わりに他の既知の接続システム、例えば欧州
特許出願公開明細書第348272号の縦支持体１へシャフト
部分２を固定する接続システムを使用してもよい。

フック・シャフト３の後部側34は凸状であって、それ
の自由端31は二本の脚部となっている。これら二本の脚
部33はペディキュラーの形に適合した凹み32を形成して
いる。二本の脚部33の長さはヨーロッパ特許出願公開明
細書第0517959号に詳述されているように、異なるよう
にしてもよい。フック・シャフト２の屈曲自由端31は縦
軸１にほぼ垂直にのびている。

フック・シャフト３の凸状の後部側34から凹状の前部
側35にのびる貫通穿孔36を開けて螺子４を受け入れる。
穿孔36の縦軸39は縦軸１に対して125°〜130°の角度α
を成しているのが好ましい。

図２に示すように、穿孔36の円筒部分37は螺子４の円
筒頭部41を受け入れる。図３に示すように、P36は球状
の部分38を有して、螺子４の球状頭部42を受け入れるよ
うにしてもよい。球状部分38を有する実施態様ではある
制限内で矢43で示すように螺子４は空間的に移動でき
る。他方、円筒部分37を有する実施態様では螺子４は案
内される。

穿孔36を円錐状に形成しても、円筒螺子４（図２）と
同じ効果が得られる。

図２に示すように、穿孔36に螺子４のネジ山44と少な
くとも傾斜が一致するねじ山40を切ることもできる。こ
の場合フック・シャフト３の凹状前部側35を骨から精確
に決めた距離に保持できる。この実施態様の別の利点は
螺子４が締めつけたによってフック内で張力を受けると
いうことである。このことにより螺子４は時間が経過し
ても骨から緩まなくなる。他の実施態様では、螺子の頭
部41、42が縦支持体５の真下に置かれているので螺子４
の緩みは阻止されている。

図４に示すように、脊椎６の下方小関節面関節（face
t joint）64と、椎間板61を隔ててその下にある脊椎８
の上方小関節面関節81との間に本発明のペディキュラー
・フックは挿入され、それにより後部側からシャフト３
が二股によってペディキュラ63を抱いている。脊椎６の
下方小関節面関節64に骨螺子４を係留して、長さ（71、
72、73、74）に応じて４つのコーティカル（cortical）
区域まで貫通、接触する。

産業上の利用可能性 脊柱側弯症の分節矯正はこの実施態様の主たる用途と
考える。脊柱側弯症の治療目的は脊柱を縦支持体の方へ
寄せることであり、そして捩じられた脊柱を反対に捩じ
ることにある。従来の治療具ではこれを行うのに脊柱を
只一段階で、前部面から矢状面へ縦支持体を回転するこ
とによって、矯正している（いわゆる全体矯正）。本発
明による矯正では脊柱に加わる逆捩じりトルクは非常に
僅かである。脊椎の先端におかれる尾方のフックは椎弓
板（lamina）に係留しなければならず、こうして実際に
は回動中心におかれることになるからである。

Claims (9)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シャフト部分（２）及びフック・シャフト
   （３）を具備しており、シャフト部分（２）の縦軸
   （１）を横切って縦支持体（５）を取り付けることがで
   き、フック・シャフト（３）の凸状後部側（34）と凹状
   前部側（35）とが前記の縦軸（１）から離れて屈曲して
   シャフト部分（２）へ接続されている脊柱変形治療のた
   めのフックにおいて、螺子（４）を受け入れる貫通穿孔
   （36）が前記の凸状後部側（34）から凹状前部側（35）
   へのびていることを特徴とする、脊柱変形治療のための
   フック。
2. 【請求項２】シャフト部分（２）の縦軸（１）に対する
   貫通穿孔（36）の縦軸（39）の角度αが115°〜130°で
   あり、好ましくは120°〜125°である請求項１に記載の
   フック。
3. 【請求項３】円筒状もしくは円錐状の頭部（41）を有す
   る螺子（４）を受ける円筒状もしくは円錐状の部分（3
   7）を貫通穿孔（36）が有する請求項１もしくは２に記
   載のフック。
4. 【請求項４】球状の頭部（42）を有する螺子（４）を受
   ける球状の部分（38）を貫通穿孔（36）が有する請求項
   １もしくは２に記載のフック。
5. 【請求項５】貫通穿孔（36）は少なくとも部分的に螺子
   （４）のネジ山（44）に一致するネジ山（39）を有する
   請求項１〜４のいずれかに記載のフック。
6. 【請求項６】フック・シャフト（３）の屈曲自由端（3
   1）がシャフト部分（２）の縦軸（１）にほぼ垂直にの
   びている請求項１〜５のいずれかに記載のフック。
7. 【請求項７】フック・シャフト（３）の屈曲自由端（3
   1）に凹み（32）が設けられており、該凹み（32）がフ
   ック・シャフト（３）の屈曲自由端（31）を二本の脚部
   （33）に分けている請求項１〜６のいずれかに記載のフ
   ック。
8. 【請求項８】該フックがペディキュラー・フックとして
   形成されている請求項１〜７のいずれかに記載のフッ
   ク。
9. 【請求項９】シャフト部分（２）が、縦支持体（５）を
   シャフト部分（２）の縦軸（１）に対して垂直に固定す
   ることができる固定手段（21、22、23、24、25、26、2
   7、28）を具備する請求項１〜８のいずれかに記載のフ
   ック。