JP2556500B2 - 液晶素子 - Google Patents

液晶素子

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JP2556500B2 JP2000987A JP2000987A JP2556500B2 JP 2556500 B2 JP2556500 B2 JP 2556500B2 JP 2000987 A JP2000987 A JP 2000987A JP 2000987 A JP2000987 A JP 2000987A JP 2556500 B2 JP2556500 B2 JP 2556500B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、液晶表示素子や液晶−光シヤツタ等で用い
る液晶素子、特に強誘電性液晶を用いた液晶素子に関
し、更に詳しくは液晶分子の初期配向状態を改善するこ
とにより、表示特性を改善した液晶素子に関するもので
ある。
[従来の技術] 強誘電性液晶分子の屈折率異方性を利用して偏光素子
との組み合わせにより透過光線を制御する型の表示素子
がクラーク(Clark)及びラガーウオール(Lagerwall)
により提案されている(特開昭56−107216号公報、米国
特許第4367924号明細書等)。この強誘電性液晶は、一
般に特定の温度域において、カイラルスメクチツクC相
(SmC)又はH相(SmH)を有し、この状態において
加えられる電界に応答して第1の光学的安定状態と第2
の光学的安定状態のいずれかを取り、且つ電界の印加の
ないときはその状態を維持する性質、すなわち双安定性
を有し、また電界の変化に対する応答も速やかであり、
高速ならびに記憶型の表示素子としての広い利用が期待
されている。
この双安定性を有する液晶を用いた光学変調素子が所
定の駆動特性を発揮するためには、一対の平行基板間に
配置される液晶が、電界の印加状態とは無関係に、上記
2つの安定状態の間での変換が効果的に起るような分子
配列状態にあることが必要である。たとえばSmCまた
はSmH相を有する強誘電性液晶については、SmCまた
はSmH相を有する液晶分子相が基板面に対して垂直
で、したがって液晶分子軸が基板面にほぼ平行に配列し
た領域(モノドメイン)が形成される必要がある。
ところで、強誘電性液晶の配向方法としては、一般に
ラビング処理や斜方蒸着処理などによる一軸性配向処理
を施した配向制御膜を用いる方法が知られている。
この従来からの配向方法は、そのほとんどが双安定性
を示さないらせん構造をもつ強誘電性液晶に対するもの
であった。例えば、ヨーロツパ公開特許第91661号公報
や特開昭60−230635号公報に開示された配向方法は、双
安定性を示さないらせん構造の状態下で強誘電性液晶を
ラビング処理したポリイミド、ポリアミド又はポリビニ
ルアルコール膜によって配向制御するものであった。
しかしながら、前述した如きの従来の配向制御膜をク
ラークとラガウオールによって発表された双安定性を示
す非らせん構造の強誘電性液晶に対する配向制御に適用
した場合には、下述の如き問題点を有していた。
[発明が解決しようとする問題点] すなわち、本発明者らの実験によれば、従来の配向制
御膜によって配向させて得られた非らせん構造の強誘電
性液晶でのチルト角θ(後述の第3図に示す角度θ)が
らせん構造をもつ強誘電性液晶でのチルト角(後述の
第2図に示す三角錐の頂角の1/2の値である角度)と
較べて小さくなっていることが判明した。特に、従来の
ポリイミドに代表される配向制御膜によって配向させて
得た非らせん構造の強誘電性液晶でのチルト角θは一般
に数度程度で、その時の透過率はせいぜい3〜5%程度
であった。
この様に、クラークとラガウオールによれば双安定性
を実現する非らせん構造の強誘電性液晶でのチルト角が
らせん構造をもつ強誘電性液晶でのチルト角と同一の角
度をもつはずであるが、実際には非らせん構造でのチル
ト角θの方がらせん構造でのチルト角より小さくなっ
ている。即ち、チルト角θが最大チルト角を採る為に
は、液晶分子の配向状態が第4図に示すユニフオーム配
向となっている必要があるが、実際には第5図に示す様
に隣接する各々の液晶分子がねじれ角αでねじれて配向
している事に原因するスプレイ配向状態となっている為
に、十分に大きいチルト角θを形成する事ができない問
題点があった。また、スプレイ配向状態下の液晶素子
は、第7図に示す様なパルス信号に対する光学応答特性
を示し、この光学応答特性がマルチプレクシング駆動を
行った時の表示画面でのちらつきの原因となる問題点が
あった。
上記の問題を解決するためには従来TN液晶素子に用い
られてきた耐久性を重視したポリイミド等の配向制御膜
以外の配向制御膜を用いなければならない。ところが、
高分子配向剤の分子骨格を上記の問題を解決するように
設計した場合かならずしも耐熱性等の耐久性を満足させ
ることはできないという問題がある。
従って、本発明の目的は、前述の問題点を解決するこ
と、すなわち少なくとも2つの安定状態、特に双安定性
を実現する非らせん構造の強誘電性液晶でのチルト角を
増大し、これによって画素シヤツタ開口時の透過率を向
上させ、なおかつ配向剤の耐久性も満足し安定な配向状
態を維持できる液晶素子を提供することにある。
又、本発明の別の目的は、マルチプレクシング駆動時
の画面にちらつきを生じない液晶素子を提供することに
ある。
即ち、本発明は、特定の配向制御膜を用いることによ
って、第4図に示すユニフオーム配向状態の強誘電性液
晶素子を実現することができ、これに伴ない第6図に示
す様なパルス信号に対する光学応答特性を示し、マルチ
プレクシング駆動時の画面にちらつきを生じない液晶素
子を実現することができる。
[問題点を解決するための手段]及び[作用] すなわち、本発明は一対の平行基板と、該一対の平行
基板の面に対して垂直な複数の層を形成している分子の
配列をもつ強誘電性液晶とを有する液晶素子において、
前記一対の平行基板のうちの少なくとも一方の基板が、
前記複数の層を一方向に優先して配向させる配向制御膜
を有し、該配向制御膜がエポキシ架橋性基の存在下で硬
化させた樹脂であることを特徴とする液晶素子である。
つまり、本発明で用いる特定の配向制御膜とは、エポ
キシ系架橋性基を含む化合物の被膜を硬化させたもので
あり、特にポリエーテル樹脂、グルカン樹脂およびポリ
オレフイン樹脂にエポキシ系化合物を架橋剤として反応
させて得た配向制御膜であり、該配向制御膜を用いるこ
とにより安定なユニフオーム状態の強誘電性液晶素子を
実現することができる。
又、本発明では主鎖化合物にエポキシ基を有し、酸無
水物、ジオール系化合物又はジチオール系化合物等を架
橋剤として反応させた樹脂を用いることもできる。
以下、本発明を詳細に説明する。
第1図(a)及び(b)は、それぞれ本発明の液晶素
子の実施態様を示す断面図である。第1図(a)に示す
液晶素子は、一対の平行配置した上基板11a及び下基板1
1bと、それぞれの基板に配線した透明電極12aと12bを備
えている。上基板11aと下基板11bとの間には強誘電性液
晶、好ましくは少なくとも2つの安定状態をもつ非らせ
ん構造の強誘電性液晶13が配置されている。
前述した透明電極12aと12bは、強誘電性液晶13をマル
チプレクシング駆動するために、それぞれストライプ形
状で配線され、且つそのストライプ形状が互いに交差さ
せて配置されていることが好ましい。
第1図(a)に示す液晶素子では、基板11aと11bにそ
れぞれ前述したエポキシ架橋性基を含む化合物の被膜を
硬化させて形成した配向制御膜14aと14bが配置されてい
る。
又、第1図(a)に示す液晶素子で用いた配向制御膜
14aと14bのうち何れか一方をエポキシ架橋性基を有する
樹脂の配向膜とし、何れか他方を前記配向膜以外の配向
制御膜とすることも可能である。この際に用いる配向制
御膜としてポリイミド、ポリアミドやポリビニルアルコ
ールで形成した被膜とすることができる。又、第1図
(b)に示す様に、本発明では第1図(a)の液晶素子
で用いた配向制御膜14bの使用を省略することも可能で
ある。
本発明では、前述した配向制御膜14aと14bに一軸性配
向軸を付与することができる。この一軸性配向軸は、好
ましくはラビング処理によって付与されることができ
る。この際、前述した一軸性配向軸を互いに平行方向と
することができるが、互いに交差させることも可能であ
る。
又、これらの配向制御膜14aと14bに絶縁膜としての機
能をもたせる際には、通常30Å〜1μ程度、好ましくは
40Å〜2000Å、さらに好ましくは50Å〜1000Åの範囲の
膜厚で形成させるとよい。
本発明の配向制御膜14aと14bに用いられるエポキシ架
橋性基を有する樹脂とは主鎖として用いられる。樹脂に
置換基としてついている水酸基、カルボキシル基、チオ
ール基等の官能基を有する化合物と下記一般式(I−
a)又は(I−b)で示される2つ以上のエポキシ基を
分子内に有するエポキシ系化合物を架橋剤として用いて
反応させることによって形成される。
(式中、R1,R2,R4及びR5は水素原子または、アルキル
基、アリール基又はアリール基を含むアルキル基、又は
ヘテロ原子を含むアルキル基を示し、R3は2価のアルキ
レン基、アリール基を含む2価のアルキレン基、ヘテロ
原子を含む2価のアルキレン基を示す。) (式中、R1,R4及びR5は水素原子またはアルキル基、ア
リール基又はアリール基を含むアルキル基、又はヘテロ
原子を含むアルキル基を示し、R3は2価のアルキレン
基、アリール基を含む2価のアルキレン基、ヘテロ原子
を含む2価アルキレン基を示し、R6及びR7はCH2
(n=3〜5)を示す。) 上記主鎖として用いられる樹脂とは、水酸基、カルボ
キシル基、チオール基等の官能基を有する共重合体であ
れば用いることができ、ポリエーテル系、ポリオレフイ
ン系樹脂等が挙げられる。
具体的には 又、一般式(I−a)又は(I−b)式で表わされる
架橋剤として用いられるエポキシ系化合物を具体的に示
すと、以下の様になる。但し、下記に示す化合物に限る
ものではない。
一方、本発明で使用されるエポキシ架橋性基を有する
樹脂としては、主鎖化合物にエポキシ基を有する樹脂に
架橋剤として酸無水物,ジオール系化合物又はジオール
系化合物等を反応させた樹脂を用いることもできる。
その際、架橋剤として使用する化合物は具体的に以下
に示すようになる。但し、下記に示す化合物に限るもの
ではない。
HOCH2 4OH,HS−CH2CH2−SH 又は、上述の配向制御膜を得る反応を行う際に媒体と
してアミン系化合物、又はルイス酸触媒を加えてもよ
い。
そして、これらエポキシ架橋性基を有する樹脂の配向
制御膜の形成法には、前記反応させる化合物を(具体的
にはエポキシ基と反応する官能基を有する樹脂と架橋剤
として用いるエポキシ系化合物)適当な溶剤に0.1重量
%〜20重量%、好ましくは0.2重量%〜10重量%の割合
で溶解させた溶液、或いはその前駆体溶液をスピンナー
塗布法、侵漬塗布法、スクリーン印刷法、スプレー塗布
法やロール塗布法などの方法によって塗布した後、所定
の硬化条件(例えば加熱)下で硬化させる方法を用いる
ことができる。
この際に用いる溶剤としては水、グリコール、グリセ
ロール、ビベラジン、トリエチレンジアミン、ホルムア
ミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、
メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、ベンゼン、
r−ブチロラクトンなどを挙げることができる。
又、塗布成膜後100℃〜300℃の加熱温度で処理すると
よい。次に、本発明の液晶素子に用いられる一対の平行
基板の面に対して垂直な複数の層を形成してなる分子の
配列をもつ強誘電性液晶について説明する。
第2図は、らせん構造を用いた強誘電性液晶セルの例
を模式的に描いたものである。21aと21bは、In2O3、SnO
2やITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極がコートされ
た基板(ガラス板)であり、その間に複数の液晶分子層
22がガラス基板面に対して垂直な層となるよう配向した
SmC(カイラルスメクチツクC相)の液晶が封入され
ている。太線で示した線23が液晶分子を表わしており、
この液晶分子23は、その分子に直交した方向に双極子モ
ーメント(P)24を有している。この時の三角錐の頂
点をなす角度がかかるらせん構造のカイラルスメクチツ
ク相でのチルト角を表わしている。基板21aと21b上の
電極間に一定の閾値以上の電圧を印加すると、液晶分子
23のらせん構造がほどけ、双極子モーメント(P)24
はすべて電界方向に向くよう、液晶分子23の配向方向を
変えることができる。
しかし、このらせん構造を用いた強誘電性液晶は、電
界無印加時には、もとのらせん構造に復帰するもので、
下述する双安定性を示さない。
本発明の好ましい具体例では、無電界時に少なくとも
2つの安定状態、特に双安定状態をもつ第3図に示す強
誘電性液晶素子を用いることができる。すなわち、液晶
セルの厚さを充分に薄くした場合(例えば1μ)には、
第3図に示すように電界を印加していない状態でも液晶
分子のらせん構造はほどけ、非らせん構造となり、その
双極子モーメントPa又はPbは上向き(34a)又は下向き
(34b)のどちらかの状態をとり、双安定状態が形成さ
れる。このようなセルに第3図に示す如く一定の閾値以
上の極性の異なる電界EaまたはEbを付与すると、双極子
モーメント電界Ea又はEbは電界ベクトルに対応して上向
き34a、又は下向き34bと向きを変え、それに応じて液晶
分子は第1の安定状態33aかあるいは第2の安定状態33b
の何れか一方に配向する。この時の第1と第2の安定状
態のなす角度の1/2がチルト角θに相当している。
このような強誘電性液晶を光学変調素子として用いる
ことの利点は2つある。第1に、応答速度が極めて速い
こと、第2に液晶分子の配向が双安定性を有することで
ある。第2の点を、例えば第3図によって説明すると、
電界Eaを印加すると液晶分子は第1の安定状態33aに配
向するが、この状態は電界を切っても安定である。又、
逆向きの電界Ebを印加すると、液晶分子は第2の安定状
態33bに配向して、その分子の向きを変えるが、やはり
電界を切ってもこの状態に留っている。又、与える電界
Eaが一定の閾値を越えない限り、それぞれの配向状態に
やはり維持されている。このような応答速度の速さと、
双安定性によるメモリー効果が有効に実現されるには、
セルとしては出来るだけ薄い方が好ましく、一般的に
は、0.5μ〜20μ、特に1μ〜5μが適している。この
種の強誘電性液晶を用いたマトリクス電極構造を有する
液晶−電気光学装置は、例えばクラークとラガバルによ
り、米国特許第4367924号明細書で提案されている。
本発明の液晶素子で用いることができる強誘電性液晶
としては、例えばp−デシロキシベンジリデン−p′−
アミノ−2−メチルブチルシンナメート(DOBAMBC)、
p−ヘキシロキシベンジリデン−p′−アミノ−2−ク
ロルプロピルシンナメート(HOBACPC)、p−デシロキ
シベンジリデン−p′−アミノ−2−メチルブチル−α
−シアノシンナメート(DOBAMBCC)、p−テトラデシロ
キシベンジリデン−p′−アミノ−2−メチルブチル−
α−シアノシンナメート(TDOBAMBCC)、p−オクチル
オキシベンジリデン−p′−アミノ−2−メチルブチル
−α−クロロシンナメート(OOBAMBCC)、p−オクチル
オキシベンジリテン−p′−アミノ−2−メチルブチル
−α−メチルシンナメート、4,4′−アゾキシシンナミ
ツクアシツド−ビス(2−メチルブチル)エステル、4
−o−(2−メチル)ブチルレゾルシリデン−4′−オ
クチルアニリン、4−(2′−メチルブチル)フエニル
−4′−オクチルオキシビフエニル−4−カルボキシレ
ート、4−ヘキシルオキシフエニル−4−(2″−メチ
ルブチル)ビフエニル−4′−カルボキシレート、4−
オクチルオキシフエニル−4−(2″−メチルブチル)
ビスフエニル−4′−カルボキシレート、4−ヘブチル
フエニル−4−(4″−メチルヘキシル)ビフエニル−
4′−カルボキシレート、4−(2″−メチルブチル)
フエニル−4−(4″−メチルヘキシル)ビフエニル−
4′−カルボキシレートなどを挙げることができ、これ
らは単独又は2種以上組合せて用いることができ、又強
誘電性を示す範囲で他のコレステリツク液晶やスメクチ
ツク液晶を含有させることができる。
又、本発明では強誘電性液晶としてカイラルスメクチ
ツク相を用いることができ、具体的にはカイラルスメク
チツクC相(SmC)、H相(SmH)、I相(Sm
I)、K相(SmK)やG相(SmG)を用いることが
できる。
第4図は、強誘電性液晶素子の電圧無印加時における
ユニフオーム配向状態を模式的に表わした断面図で、第
6図はその際のパルス信号に対する光学応答特性を表わ
している。すなわち、第4図は第3図に示す複数のカイ
ラルスメクチツク液晶分子で形成した垂直層32の法線方
向から見た断面図で、第4図中の41は第3図に示す液晶
分子33a又は33bの前述の垂直層32への写影(C−デレク
タ)を表わし、42は前述の垂直層32に対する液晶分子33
a又は33bの先端部を表わしている。従って、第4図によ
れば垂直層32内の液晶分子は互いに実質的に平行に配向
した状態を採り、チルト角θを最大チルト角に近ずけ
ることができる。この状態をユニフオーム配向状態とい
う。
これに対し、第5図は第4図と同様の方法で垂直層32
内の液晶分子の配列状態を表わしたものである。第5図
から判る様に垂直層32内の液晶分子41の先端部42が垂直
層の層厚方向に円周に沿って回転している。従って、基
板21aと21bに隣接する液晶分子は、互いに平行とはなっ
ておらず、垂直層32内の液晶分子は基板21aから21bに向
けて連続的にねじれた状態で配向していることになる。
この様な配向状態をスプレイ配向状態という。
このスプレイ配向状態は所定の電圧が印加された状態
下では、第4図に示すユニフオーム配向状態を採るが、
一旦印加電圧を遮断し、メモリー状態とした時に第5図
に示すスプレイ配向状態に戻ることが判明した。従っ
て、スプレイ配向状態では第7図に示す様に電圧印加状
態下では、ユニフオーム配向状態に基づく高い透過度の
光学特性を示すが、電圧無印加時ではチルト角θが小さ
いもとのスプレイ配向状態に戻ってしまうため、これに
基づく低い透過率の光学特性となっている。
これに対し、第4図に示すユニフオーム配向状態で
は、前述したスプレイ配向状態を採らないことから、第
6図に示す様に印加電圧遮断時のメモリー状態下でも電
圧印加時の高い透過率特性をそのまま維持することがで
きる。
すなわち、第6図では電圧10V,パルス幅500μsecのパ
ルス62を印加した時の透過率曲線61を表わしているが、
電圧OVのメモリー状態下でもパルス印加時の透過率を維
持していることが判る。第7図では同様の電圧10v,パル
ス幅500μsecのパルス72を印加した時の透過率曲線71を
表わしている。この透過率曲線71によれば、パルス印加
には高い透過率となっているため、これが駆動時のちら
つきに原因している。さらに、電圧OVのメモリー状態下
では透過率が急激に低下しているため、これが表示画面
での暗さに原因している。
本発明の好ましい具体例では、強誘電性液晶が第4図
に示すユニフオーム配向状態を採る上で交流印加前処理
が有効である。この交流印加前処理により、前述したチ
ルト角θをらせん構造でのチルト角と等しいか、ある
いは同程度の角度まで増大させることができる。この際
に用いる交流としては、電圧20〜500V、好ましくは30〜
150Vで周波数10〜500Hz、好ましくは10〜200Hzを用いる
ことができ、その印加時間を数秒〜10分間程度で交流印
加前処理を施すことができる。又、かかる交流印加前処
理は、液晶素子を例えば映像信号や情報信号に応じて書
き込みを行う前の段階で行われ、好ましくはかかる液晶
素子を装置に組み込み、かかる装置を操作する時のウエ
イトタイムで前述の交流印加前処理を行うか、あるいは
かかる液晶素子の製造時でも交流印加前処理を施すこと
ができる。
かかる交流印加前処理は、印加前のチルト角θがらせ
ん構造でのチルト角と同程度にまで増大させたチルト
角とすることができ、しかもかかる交流印加を除去した
後であってもその増大されたチルト角を維持することが
できる。
〔実施例〕
以下、本発明を具体的な実施例及び比較例を挙げて説
明する。
実施例1 ジクリシジルエーテル100mg、1.3−βグルコシド、
(カードラン和光純薬製)900mgをN−メチルピロリド
ン49gに溶かし、2重量%の溶液を調製したこの溶液をI
TO膜付きのガラス板上に回転数3000r.p.mのスピンナー
で60秒間塗布した。成膜後、約3時間の190℃加熱焼成
処理を施した。この時の塗膜の膜厚は、約400Åであっ
た。
この焼成後の被膜には、アセテート植毛布によるラビ
ング処理がなされ、その後、イソプロピルアルコール液
で洗浄し、平均粒径約1μmのアルミナーズを一方のガ
ラス板上に散布した後、それぞれのラビング処理軸が互
いに平行となる様に2枚のガラス板を重ね合せてセルを
作成した。
このセルのセル厚をベレツク位相板(位相差による測
定)によって測定したところ、約1μmであった。この
セル内にチツソ(株)社製の「CS−1011」(商品名)を
等方相下で真空注入してから、等方相から0.5℃/hで60
℃まで徐冷することにより配向させることができた。以
後の実験は60℃で行った。
尚、前述した「CS−1011」の相変化は、下記のとおり
であった。
(SmA;スメクチツクA相、ch;コレステリツク相、Iso;
等方相を示す) 直交ニコル下でこのセルを観察すると、一様で欠陥の
ない非らせん構造のカイラルスメクチツクC相を形成し
たモノドメインが得られていた。
次いで、上述した液晶セルに電圧70Vで周波数70Hzの
高電界交流を約1分間印加した(交流印加前処理)。こ
の時のチルト角θを測定したところ、18゜であった。
このチルト角θは、液晶セルにパルス電界(10V,500
μsec)を印加することにより、一方の安定状態に液晶
分子方向をそろえ、直交ニコル下で液晶セルを回転させ
ながら透過率光量が最も低くなる最暗状態となる位置を
見つけ、次に、前のパルスと逆極性のパルス電界(−10
V,500μsec)を印加することによって、もう一方の安定
分子配列状態に移転させて明状態とした後、再び液晶セ
ルを回転させて最暗状態となる角度を見つけることによ
って測定することができる。この2つの最暗状態の位置
は、液晶の安定な平均的分子軸を検出していることに対
応し、これら2つの状態の間の角度がチルト角2θに相
当している。
本実施例の液晶セルは、1ケ月以上の期間に亘ってチ
ルト角18゜を維持することが判明した。
又、本実施例の液晶素子を下記駆動条件でマルチプレ
クシング駆動したところ、ちらつきのない表示画面が形
成されていた。
駆動条件 (1)第1ステツプ; 走査線にパルス幅500μsec、電圧10Vの信号及び全信
号線にパルス幅500μsec、電圧−5Vの信号を一時に印加
する。
(2)第2ステツプ; 走査選択信号としてパルス幅500μsec、電圧10Vを使
用し、この信号を順次走査線に印加し、この走査選択信
号に同期させて、パルス幅500μsec、電圧5Vの信号とパ
ルス幅500μsec、電圧−5Vの信号を選択的に信号線に印
加する。
実施例2 下記III式に示すポリシクロヘキセンオキシト(800m
g)とメチルヘキサヒドロフタル酸無水物(200mg)をメ
チルエチルケトン199gに溶かし、0.5%メチルエチルケ
トン溶液を調製した。この溶液をITO膜付きのガラス板
上に回転数3000r.p.mのスピンナーで60秒間塗布した。
成膜後約3時間300℃加熱焼成処理を施した。この時の
塗膜の膜厚は約100Åであった。この基板を用いて実施
例1と同様なセルを作製し、実施例1と同様に電圧70ボ
ルトで周波数70Hzの高電界交流を約1分間印加した(交
流印加前処理)。この時のチルト角θを測定したところ
19.5゜であった。又、本実施例の液晶セルは、1ケ月以
上の期間に亘ってチルト角19゜以上を維持することが判
明し、書き込み時のちらつきはなかった。
実施例3 ポリアリルアルコール(重合度200)700mg,エチレン
グリコールジクリシジルエーテル200mg、およびメチル
ヘキサヒドロフタル酸無水物100mgをジメチルアセトア
ミド49gに溶かし、ジメチルアセトアミド溶液を調整し
た。
この溶液をITO膜付きのガラス板上に回転数3000r.p.m
のスピンナーで90秒間塗布した。成膜後約3時間200℃
加熱焼成処理を施した。この時の塗膜の膜厚は約200Å
であった。
この基板を用いて実施例1と同様なセルを作製し、実
施例1と同様に電圧70ボルトで周波数70Hzの高電界交流
を約1分間印加した(交流印加前処理)。この時のチル
ト角θを測定したところ19゜であった。又、本実施例の
液晶セルは1ケ月以上の期間に亘ってチルト角18.5゜以
上を維持することが判明し、書き込み時のちらつきはな
かった。
比較例1 実施例1の液晶セルを作成した時に用いたアミド変性
ポリビニルアルコール樹脂をポリイミド樹脂(3,3′,4,
4′−ジフエニルテトラカルボン酸無水物とp−フエニ
ルレンジアミンとを1:1のモル比で脱水縮合反応させて
得たポリアミツク酸の3.5重量%N−メチル−2−ピロ
リドン液による塗布膜を脱水閉環させて形成したポリイ
ミド)に代えたほかは、実施例1と全く同様の方法で液
晶セルを作成し、実施例1と同様の交流印加前処理を行
った。
この時の液晶セルのチルト角θを測定したところ、8
゜であった。又、この液晶セルを実施例1と同様のマル
チプレクシング駆動によって表示画面を形成したが、書
き込み時にちらつきが発生していた。
比較例2 実施例1の液晶セルを作成した時に用いたエポキシ架
橋ポリエーテル樹脂をポルビニルアルコールに代えたほ
かは、実施例1と全く同様の方法で液晶セルを作成し、
実施例1と同様の交流印加前処理を行った。
この時の液晶セルのチルト角θを測定したところ、1
7.5゜であった。さらに、この液晶セルがもつ18゜のチ
ルト角θの維持時間を測定したところ、2日目でそのチ
ルト角は15.5゜までに減少し、1週間後にはそのチルト
角は約10゜までに減少することが判明した。又、この1
週間放置後の液晶セルを実施例1と同様のマルチプレク
シング駆動によって表示画面を形成したが、書き込み時
にちらつきが発生していた。
〔発明の効果〕
本発明によれば、増大したチルト角を得ることができ
るユニフオーム配向状態の強誘電性液晶を実現すること
ができ、しかもこのユニフオーム配向状態を長時間に亘
って安定的に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)及び(b)は、それぞれ本発明の液晶素子
の実施態様を示す断面図、第2図はらせん構造の強誘電
性液晶を用いた液晶素子を模式的に表わす斜視図、第3
図は非らせん構造の強誘電性液晶を用いた液晶素子を模
式的に表わす斜視図、第4図はユニフオーム配向状態を
模式的に表わす断面図、第5図はスプレイ配向状態を模
式的に表わす断面図、第6図はユニフオーム配向状態で
の光学応答特性を表わす特性図、第7図はスプレイ配向
状態での光学応答特性を表わす特性図である。 11a……上基板、11b……下基板 12a,12b……透明電極、13……強誘電性液晶 14a,14b……配向制御膜 21a,21b……基板 22……液晶分子層、23……液晶分子 24……双極子モーメント、32……垂直層 33a……第1の安定状態、33b……第2の安定状態 34a……上向き双極子モーメント 34b……下向き双極子モーメント ……らせん構造でのチルト角 θ……非らせん構造でのチルト角 Ea,Eb……電界 41……液晶分子の垂直層への写影(C−デレクタ) 42……垂直層に対する液晶分子の先端部 61……ユニフオーム配向状態の透過率曲線 62,72……パルス 71……スプレイ配向状態の透過率曲線

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一対の平行基板と、該一対の平行基板の面
    に対して垂直な複数の層を形成している分子の配列をも
    つ強誘電性液晶とを有する液晶素子において、前記一対
    の平行基板のうちの少なくとも一方の基板が、前記複数
    の層を一方向に優先して配向させる配向制御膜を有し、
    該配向制御膜が、エポキシ系架橋性基の存在下で硬化さ
    せた樹脂であることを特徴とする液晶素子。
  2. 【請求項2】前記樹脂がエポキシ系架橋基により架橋さ
    れたポリエーテル樹脂である特許請求の範囲第1項記載
    の液晶素子。
  3. 【請求項3】前記樹脂がエポキシ系架橋基により架橋さ
    れたグルカン樹脂である特許請求の範囲第1項及び第2
    項記載の液晶素子。
  4. 【請求項4】前記樹脂がエポキシ系架橋基により、架橋
    されたポリオレフイン樹脂である特許請求の範囲第1項
    記載の液晶素子。
  5. 【請求項5】前記配向制御膜が一軸性配向軸を有してい
    る特許請求の範囲第1項記載の液晶素子。
  6. 【請求項6】前記一軸性配向軸がラビング処理によって
    付与された配向軸である特許請求の範囲第5項記載の液
    晶素子。
  7. 【請求項7】前記強誘電性液晶がカイラルスメクチツク
    相である特許請求の範囲第1項記載の液晶素子。
  8. 【請求項8】前記強誘電性液晶が無電界時に少なくとも
    2つの安定状態を示す液晶である特許請求の範囲第1項
    記載の液晶素子。
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