JP2555109B2 - 地図データを用いたナビゲーションシステム - Google Patents

地図データを用いたナビゲーションシステム

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は自動車等移動体のナビゲーションシステムに
係り、特に地図データを用いて移動体の位置を高精度に
推定するのに好適な情報処理方法に関する。
〔従来の技術〕
従来の自動体等地表移動体のナビゲーションシステム
は例えば、日経エレクトロニクス誌1987年9月21日号の
第88頁,第89頁において述べられているごとく、移動体
に搭載された車速センサで検出した走行距離、同じく操
舵角センサで検出した操舵角あるいは磁気センサで検出
した姿勢角から得た走行方位角を用いて推定した自己位
置を地図データに重畳してディスプレイ表示する方法を
とっている。
また自己位置の推定精度を高めるためにGPS(Global
Positioning System)の受信機を搭載し、この情報を上
記走行距離,走行方位角データと組合せて用いる方法も
ある。
さらに推定した走行位置が誤差のため地図上の道路か
ら外れるのを防ぐため、地図データの道路の位置情報を
用いて、表示される推定走行位置を道路上に補正する方
法も知られている。その例は、SAEテクニカルペイパー
シリーズ870217(1987年)の67頁から72頁(SAE Techni
cal Paper Series 870217(1987)pp.67−72)において
論じられている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
上記従来技術の第1は、走行開始あるいは自己位置表
示開始時の自己の初期位置をもとに、刻々検出した走行
距離と走行方位角を積分してその後の各時点での走行位
置を求めるものであるため、初期位置,走行距離,走行
方位角の誤差が蓄積発散してゆく欠点がある。
上記従来技術の第2は、GPSを用いて自己位置を直接
推定できるので、位置誤差が時間とともに発散すること
はないが、数10mないし数100mの誤差が残る。
従って上記2つの従来技術では、推定した走行位置を
地図に重畳して表示すると、道路上を走行しているにも
かかわらず表示された位置が道路から外れてしまうとい
う問題があった。
上記従来技術の第3では走行位置表示を常に道路上に
保つことにより上記問題を解決している。しかし現実に
走行位置が表示された道路から外れ、裏路地など地図デ
ータの道路情報に含まれない位置にある場合に、強制的
に走行位置を道路上に表示してしまうという問題があっ
た。
本発明の目的は、移動体の走行位置の推定精度を高
め、道路地図と合致した表示を行なう手段を提供するこ
とにある。
〔問題点を解決するための手段〕
この目的は、以下の構成を採ることとした。
移動体の走行距離を検出する第1の検出手段および移
動体の走行方位を検出する第2の検出手段のうち少なく
とも一方と、地図上の地点で移動体が存在しうる確率を
示す事前確率分布を有する地図データを格納するメモリ
と、第1および第2の検出手段のうち少なくとも一方で
検出されたデータおよび事前確率分布を用いて、地図上
の地点で上記移動体が現在存在する確率を示す事後確率
分布を求め、求められた上記事後確率分布に基づいて移
動体が現在移動している移動地点を推定するデータ処理
手段と、推定された移動地点を表示する画像表示手段を
有する。
〔作 用〕
データ処理装置は、走行距離の検出値と走行方向の検
出値と地図データにもとづいて刻々の各地点の移動体の
存在確率すなわち走行地点の確率分布を求める。この確
率分布の最大値を取る点を走行地点の推定値とする。こ
こで地図データから与えられる道路上で大きくその他で
小さな値をとる走行地点の事前確率分布を用いて、事後
確率を算出するので、走行地点の推定値が誤まって道路
から大きく外れることがない。また、この確率分布に従
って地点ごとに例えば色を変えて地図データの上に重畳
して表示することにより、利用者は刻々走行地点の推定
状況をより的確に知ることができ、1つの走行地点のみ
を表示する方法に比べ推定誤差にまどわされる危険を低
減できる。
ここで本発明で用いる推定方式について説明してお
く。適当な時間間隔で標本化して得られる次の状態方程
式で表わされる確率過程を考える。 (xi)+ (1) (i=0,1,…) ここにはn次の状態ベクトル、はn次ベクトル関
数、 はn次の外力ベクトルである。iは時刻を表わ
す添字である。先験情報として の確率密度p
)が与えられているとする。一方各時刻で次の観
測方程式で表わされる外力に関するデータが得られると
する。 +Gi (2) (i=0,1,…) ここにはn次の観測ベクトル、はn次の白色雑音
ベクトルで、その確率密度p()が与えられていると
する。
さらに制約条件として条件付確率密度p(yi|xi
(i=0,1,…)が与えられているとする。
このとき観測データ (i=0,…,N−1)が与えられ
たとき、事後確率 p( 0, 1,…,xN| 0,…,yN-1) (3) を最大にする状態系列 (i=0,1,…,N)を求める推
定問題を考える。
この問題の解は次のように与えられる。(1),
(2)のモデルから(3)は p( 0, 1,…,xN| 0,…,yN-1) =p( 0, 1,…,xN-1| 0,…,yN-2) ・p(yN-1|xN-1)・p(xN|xN-1,yN-1) /p( N-1) (4) と表わせる。(4)式の両辺は IN=IN-1C( N, N-1) (5) 但し、 となる。問題はINを最大にする 0, 1,…, を求め
ることであるが、ここで を所与とした時の最大値JN
を考える。(5)式から JN ) =max{JN-1(xN-1 N-1)C( N, N-1)}
N-1 (7) N≧2 を得る。但し、 である。(1),(2)式のモデルから(8)式により
J1 )が、また(5)式によりC( N, N-1)が
計算できるので(7)式からJN )がN=2からN
の昇順に求められる。
このようにしてJN )が得られたとすれば(6)
式から となるので、これを最大にする がINを最大にする所
望の 0, 1,…, のうちの となる。 1,…,
N-1はこの から(7)式をNの降順に解くことによ
り、また最後の は(8)式から得られる。以上が推
定問題の解である。なおこのときの事後確率(3)は
(5)式から p(x0,x1,…,xN|y1,…,yN)=IN (10) で与えられる。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例をを用いて説明する。第1図
は本発明による移動体搭載のナビゲーションシステムの
構成図である。車輪の回転数の計量などの走行距離検出
手段1の出力である走行距離データと、走舵角の計測あ
るいは地磁気の計測などの走行方位検出手段2の出力で
ある走行方位データと、メモリ5中の地図データをもと
にデータ処理装置4は後述の方法で刻々の移動体の走行
位置の確率密度を計算する。その結果は地図データとと
もに画像メモリ6に書き込まれ画像表示装置7に表示さ
れる。運転者はこの表示から地図中の自己の走行位置を
知ることができる。
第2図は表示装置7への表示例である。画面20上に道
路等の地図データ21と走行位置情報22を表示する。該情
報は第3図に示す走行位置の確率密度30から作られる。
すなわち各点(x,y)の確率密度の大きさが読み取れる
表示を行なう。例えば大きさに応じて点の輝度あるいは
色を変えて表示する。
次にデータ処理装置4における走行位置推定処理の内
容について説明する。第4図のごとき幾何学モデルを考
える。地図座標系40で移動体の状態を=(x y)
と定義する。検出手段1および2から時間を一定間隔で
区切った時間帯ごとの移動体の走行距離Viおよび走行方
位θが与えられる。このとき経路41は次の確率方程式
で表わすことができる。 +Gi (11) (i=0,1,…) 但し、 ここに はViおよびθの検出誤差で白色雑音とみな
せる。いま走行開始あるいは自己位置表示開始時の自己
の走行位置の初期値 の確率密度p( )が与えら
れれば、それ以降の状態 の確率密度p( )は
(11)式から算出できる。(i=1,…)p(xi)の1σ
の境界線を示すと閉曲線42のごとくなる。外乱 のた
めに閉曲線42の囲む面積はiとともに増大する。すなわ
ち走行位置が次第に不確定となってゆく。ここで確率密
度p( )は例えば次のように与えることができる。
利用者が表示装置7に表示された地図画像中で自ら判断
した自己の現在位置を入力装置8により指示入力する。
処理装置4はその位置情報からp( )を求める。指
示入力された位置が地図表示の道路上にあるときは、第
9図のごとく該道路90上に指示位置と中心とした密度分
布91としてp( )を与える。指示入力位置が地図表
示の道路上にないときは、第10図のごとく指示位置を中
心とし(x,y)平面に拡がる密度分布100としてp(x0
を与える。密度分布形は例えばガウス分布とする。
地図データを用いた走行位置の推定は前述の事後確率
最大化方式により行なう。ここで地図データに従い、次
のように制限条件p( i| )(i=0,1,…)を与え
ておく。
表示された地図中の着目道路が自動車専用道路のごと
く道路外への出入のない区間である場合には第7図のご
とく道路70上に一様分布する確率密度71としてp(y|
x)を与える。また市街路のごとく地図中の道路外への
走行が可能な区間である場合には第8図のごとく道路80
を中心として分布する確率密度81としてp(y|x)を与
える。p(y|x)は地図データと合わせメモリ5に格納
しておくかあるいは処理装置4で道路の種別を判定して
求めてもよい。
さて与えられた状態方程式(11)、観測方程式(1
2)、初期確率密度p( )、観測データ (i=
0,…,N−1)に対し(3)の事後確率を最大にする状態
の系列 0, 1,…, を求める。まずN=1では
(8)式に従い、 として取りうるすべての値につい
てJ1 )を求める。これは を与えたときの事後
確率密度p( 0, 1| )の最大値に対応する。J
1 )はメモリ9に蓄え、次の時点で利用する。p
0, 1| )はメモリ4に送り表示する。N=2以
降の時点では第5図に示すごとく前時点に求めた N-1
を与えたときの事後確率p( 0, 1,…, N-1| 0,
…, N-2)の最大値に対応するコストJN-1 N-1)50
をメモリ9から読み出し、観測 N-151を用いて(5)
式により の取りうるすべての値についてC( N,
N-1)を求め、両者から(7)式によりJN )53を
求め、メモリ9に書き込む。(52)JN )は
与えたときの事後確率p( 0, 1,…, N| 0,…,
N-1)の最大値である。これをメモリ4に送り表示す
る。得られた事後確率の1σの境界線を示すと第6図の
60のごとくなり第4図の42より囲む面積は減少する。こ
れは推定誤差の減少を意味する。
各時点で表示される事後確率p( 0, 1,…, N|
0,…, N-1)は注目した を終端として、事後確率
最大の意味で最適経路をとった時の事後確率を示してい
る。これから現時点の走行位置を信頼度を含め読みとる
ことができる。確率の最大となる点が現在位置の期待値
である。第2図で道路が分岐し2つ以上の道路上に有意
な事後確率値がある場合には23のごとくそのすべてを表
示すればよい。もし過去の走行経路61を知りたい場合に
は次のような処理を装置4で行なえばよい。与えられた
終端点での状態 から(7)式をNの降順に解くこと
により最適経路の がNの降順に得られる。このとき
過去のdNを必要とするが、この目的のためには検
出手段1,2の出力をメモリ9に蓄えておき必要時に読み
出せばよい。
ここでJN )を取りうるすべての の連続値に
ついて計算する必要があるが、実際の処理では地図座標
を適当な間隔で標本化して得た各点について計算すれば
よい。
以上の実施例の検出手段1,2に加え、GPSなど他の検出
器3のデータを用いて走行位置を推定するには次のよう
に行なえばよい。検出器3に応じて観測方程式(12)を
定式化する。 )+ (i=1,2,…) (12) ここにはm次の観測ベクトル、はm次ベクトル関
数、はm次の白色雑音ベクトルで、その確率密度p
)が与えられているとする。
このとき(3)式の代りに(12)式の観測を加えて事
後確率 p( 0, 1,…, N| 0,…, N-1, 1,…,
(13) を最大化する。この問題は、(5)式において とおけば解を得るために必要な処理は上述と全く同様に
なる。なおGPSを用いた場合にはその出力から初期走行
位置の確率密度p( )を得てもよい。
なおメモリ9は書き込み,読み出しを行なうのでRAM
を用いればよい。メモリ5は読み出し導用なので例えば
CD−ROMを用い、あらかじめ地図データを記入しておけ
ばよい。
〔発明の効果〕
本発明によれば地図データを用いて移動体の走行位置
推定を行なうので、他の検出器データの誤差による推定
誤差の発散を抑える効果がある。
また走行位置の確率密度を地図上に表示するので、利
用者は推定結果の信頼度を知ることができ誤表示による
混乱を防ぐ効果がある。
さらに本発明の推定方式は各種検出器データを統一的
に扱うことができるので、GPS等の検出器を組合せ高精
度を図ることが容易となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の全体構成図、第2図は地図
および走行位置の表示例を示す図、第3図は走行位置の
確率密度を示す図、第4図は走行経路の幾何学的関係を
示す図、第5図は確率密度の推定手順を示す図、第6図
は推定された走行経路を示す図、第7図は自動車専用道
での走行位置の確率密度を示す図、第8図は市街路での
走行位置の確率密度を示す図、第9図は自動車専用道で
の初期位置の確率密度を示す図、第10図はその他地点で
の初期位置の確率密度を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 小坂 満隆 神奈川県川崎市麻生区王禅寺1099番地 株式会社日立製作所システム開発研究所 内 (56)参考文献 特開 昭61−56910(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】移動体の走行距離を検出する第1の検出手
    段および上記移動体の走行方位を検出する第2の検出手
    段のうち少なくとも一方と、 地図上の地点で移動体が存在しうる確率を示す事前確率
    分布を有する地図データを格納するメモリと、 上記第1および第2の検出手段のうち少なくとも一方で
    検出されたデータおよび上記事前確率分布を用いて、上
    記地図上の地点で上記移動体が現在存在する確率を示す
    事後確率分布を求め、求められた上記事後確率分布に基
    づいて上記移動体が現在移動している移動地点を推定す
    るデータ処理手段と、 推定された移動地点を表示する画像表示手段を有するこ
    とを特徴とする地図データを用いたナビゲーションシス
    テム。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項に記載の地図データ
    を用いたナビゲーションシステムにおいて、 上記データ処理手段は、上記事後確率分布の最大値とな
    る点を上記移動体の移動地点として推定することを特徴
    とする地図データを用いたナビゲーションシステム。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第1項に記載の地図データ
    を用いたナビゲーションシステムにおいて、 上記事前確率分布は、道路上は、他の地点より大きな値
    を取ることを特徴とする地図データを用いたナビゲーシ
    ョンシステム。
  4. 【請求項4】特許請求の範囲第1項に記載の地図データ
    を用いたナビゲーションシステムにおいて、 上記画像表示手段は、上記事後確率分布に応じた表示を
    することを特徴とする地図データを用いたナビゲーショ
    ンシステム。
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