JP2554657Y2 - 循環流動床装置の燃焼室における内壁面構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、石炭等の炭化物を主体
とする循環流動層を形成せしめて熱交換する循環流動床
装置の内壁面構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】この循環流動床装置は、炉内脱硫が可能
であるためＳＯｘの排出量の少なさに加えて、低温燃焼
が可能であるためにＮＯｘの排出が少なく炉外の脱硫、
脱硝設備が不要であり、瀝青炭から半無煙炭までの幅広
い石炭を使用でき燃料多様性を有し、さらには、設備自
体も信頼性において優れているという多くの利点があ
り、化学，鉄鋼設備の自家発電用のボイラとして広く用
いられるようになった。

【０００３】この利点をより活かすために、操業上、構
造上の種々の改良が加えられており、例えば、特公昭５
７−２８０４６号公報，特公昭５９−１３６４４号公
報，特開昭５９−１７９２９０号公報，特開昭５９−１
９７７２４号公報等には、循環させる石炭粉の粒度を初
めとする操業条件を規定することによって操業効率を上
げ得ることが開示されている。また、特開平２−１２２
８２６号公報，特開平３−９５３０３号公報，特開平３
−１０２１０１号公報等には、後流側の対流伝熱構造の
改善が提案されている。

【０００４】通常、図２に示すように、粉体燃料を燃焼
する燃焼室１と、ホットサイクロン２とシール機構３か
らなる粒子循環系と、過熱器４、節炭器５、空気予熱器
６からなる後部対流伝熱構造の３つの主要部とからな
り、燃焼室１に、循環粒子として、石炭粉，石炭灰，脱
硫用の石灰粉が投入され、燃焼室１の下部に２段に設置
されたノズルから、１次燃焼空気と２次燃焼空気が吹込
まれて流動床を形成する。循環粒子は、燃焼室を出たの
ちホットサイクロン２で捕集され、ニューマチックバル
ブから形成されるシール機構３を経て、燃焼室１へ再循
環する。一方、ホットサイクロン２を出た燃焼排ガス
は、ダクトを経て後流の対流伝熱部で熱交換後、バグフ
ィルタで集塵され誘引通風機を経て煙突から排出され
る。

【０００５】流動層を利用した燃焼装置は、多様な燃料
を安定した条件下で効率よく燃焼することができる特徴
を活かし、種々の分野で利用されているもので、この循
環流動床装置において、その全体の熱交換の機能の略５
０％を司る燃焼室の壁面は、熱交換のための水管を配列
した構造となっている。この燃焼室内に測温計その他の
計器類を挿入するためには、この計器類の挿入用管８を
炉壁外面から内壁を通して装着し、その周囲を耐火物施
工体９で固めた構造が通常採用されている。

【０００６】図３は、この計器類挿入用管８の装着状態
を燃焼室の内側から見た状態を示すもので、同図に示す
ように、耐火物施工体９は、その施工上から、計器類挿
入用管８の周囲を四角に囲った状態で施され、この耐火
物施工体９の端面には段部１０が形成され、その周囲に
は内壁を形成する水管１１が存在することになる。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】この循環流動床装置の
操業に際して、流動粒は燃焼室内を上昇するが、壁面近
くにおいては、流動粒は矢印Ａに示すように、壁面に沿
って比較的早い速度で流下する。そして、流動粒は計器
類挿入管８の周囲の耐火物施工体９の段部１０に当たっ
て転回し、耐火物施工体９に隣接する水管１１ａに衝突
し、その表面を摩耗し、長期の使用によって水管を破壊
することになる。

【０００８】本考案の目的は、循環流動床装置内の突出
部分における段差への流動層形成粒の流下衝突による跳
ね返りによる内壁形成水管の摩耗を防止するための有効
な手段を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本考案は、循環流動床装
置の水管を配置した内壁に、系外から計器類の挿入用管
を前記内壁を貫通して突出させ、前記挿入用管の周囲に
四角形の耐火物施工体を配設して、該耐火物施工体の各
端面に段部を形成し、前記耐火物施工体の上端面の段部
の左右の位置に、反射板を略垂直に設けたことを特徴と
する。

【００１０】

【作用】内壁面に沿って流下する流動層形成粒は、突出
物の段差面に当たって方向転換するが、段差面の端部近
くに設けた反射板によって反射して、水管に衝突する量
を低減して摩耗の程度を低減する。

【００１１】

【実施例】本考案を循環流動床装置の燃焼室内に挿入す
る計器類挿入用管を保持する耐火物施工体に適用した例
を示す。

【００１２】図１は、その実施例を示すもので上記図３
の従来例に対応する。

【００１３】同図に示すように、計器類挿入用管８を内
壁の内面に突出して設け、内壁を構成する水管１１を部
分的に覆った耐火物施工体９によって保持している。

【００１４】１２は本考案に係る反射板を示し、同反射
板１２は耐熱鋼製の板を略Ｌ字型に形成して、耐火物施
工体９の段部１０の上面の端部に取付けられている。

【００１５】この反射板１２は、耐火物の一部を突起さ
せた構造とした耐火物製であってもよい。

【００１６】この反射板１２によって、同図にＢとして
示す内壁面に沿って流下する流動層形成粒子は、段差面
に衝突したのち、反射板１２に当たってその整流作用に
よって隣接の水管１１ａとは反対方向に転換し、その表
面を摩耗することはない。

【００１７】

【考案の効果】本考案によって以下の効果を奏する。

【００１８】（１） 流下粒の衝突による内壁水管が磨
滅することがないので、装置自体の寿命が伸びる。

【００１９】（２） 本反射板を設置しない場合に通常
使用される耐火物突起回りの硬化肉盛り等の耐摩耗対策
を必要とせず、設備コストの削減と保守管理の容易さに
貢献する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の実施例と、その反射板による作用の
説明図である。

【図２】 循環流動床装置の全体構造の概要を示す。

【図３】 従来の循環流動床装置の燃焼室の突出物とそ
れによる影響を示す。

【符号の説明】

１ 燃焼室 ２ ホットサ
イクロン ３ シール機構 ４ 過熱器 ５ 節炭器 ６ 空気予熱
器 ８ 計器類の挿入用管 ９ 耐火物施
工体 １０ 施工体段部 １１，１１ａ
水管 １２ 反射板

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 日浦 文明 福岡県北九州市戸畑区大字中原46−59 新日本製鐵株式会社 機械・プラント事 業部内 (72)考案者 竹下 和博 千葉県富津市新富20−１ 新日本製鐵株 式会社 技術開発本部内 (72)考案者 田中 幸政 福岡県北九州市戸畑区大字中原46番地の 59 日鐵プラント設計株式会社内 (72)考案者 藤田 源治 福岡県北九州市戸畑区大字中原46番地の 59 日鐵プラント設計株式会社内

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 循環流動床装置の水管を配置した内壁
   に、系外から計器類の挿入用管を前記内壁を貫通して突
   出させ、前記挿入用管の周囲に四角形の耐火物施工体を
   配設して、該耐火物施工体の各端面に段部を形成し、前
   記耐火物施工体の上端面の段部の左右の位置に、反射板
   を略垂直に設けた循環流動床装置の燃焼室における内壁
   面構造。