JP2554266B2 - 水−グリコール系作動液 - Google Patents

水−グリコール系作動液

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JP2554266B2 JP63011579A JP1157988A JP2554266B2 JP 2554266 B2 JP2554266 B2 JP 2554266B2 JP 63011579 A JP63011579 A JP 63011579A JP 1157988 A JP1157988 A JP 1157988A JP 2554266 B2 JP2554266 B2 JP 2554266B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、難燃性作動油の一種である水−グリコール
系難燃性作動液(以下、水−グリコール系作動液と記
す。)に関する。
〔従来の技術〕
油圧は産業界に広く取り入れられ生産性の向上に貢献
しているが、その中で高温の金属、電気スパーク、加熱
炉など火災の危険と共存する装置では、油圧作動油とし
て難燃性作動油が用いられている。
特に、水−グリコール系作動液は、難燃性作動油の中
で作動油性能と価格とのバランスが最も良好であること
から着実に需要が伸びており、鉄鋼、自動車、プラスチ
ック、工作機械など広範囲の産業に使用されている。
水−グリコール系作動液は、前述のように油圧装置が
高温の金属や加熱炉などと近接していることから作動液
が局部加熱を受けて熱酸化劣化を受けやすい使用環境に
ある。
しかしながら、これまでの水−グリコール系作動液
は、熱酸化安定性等の安定性が充分でないため、作動液
の劣化が促進され、油の寿命が短いのみならず、場合に
よっては、スラッジを発生して、バルブの作動不良を起
すなど種々の油圧装置のトラブルを誘発するといった問
題があった。
これまでの水−グリコール系作動液は、酸化防止剤を
全く添加していない(特開昭56−82892号)か、もしく
は酸化防止剤としてベンゾトリアゾール、メルカプトベ
ンゾイミダゾール、メルカプトベンゾチアゾールなどの
含窒素縮合環芳香族化合物(特開昭57−105491号、特開
昭59−38294号)が用いられてきたにすぎない。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら上記の手段をもってしても熱酸化等の劣
化に対し有効に対処されているとは言えなかった。
〔問題点を解決するための手段〕
そこで本発明者らは、かかる目的を達成すべく種々の
研究を重ねた結果、2,2′−チオジエタノール、3,3′−
チオジプロピオン酸の様なスルフィド構造を有する水溶
性有機含硫黄化合物が、水−グリコール系作動液の熱酸
化等の劣化を有効に防止できるという知見を得るに至り
本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は、次の一般式 (式中nおよびn′はそれぞれ独立に選択されえて1ま
たは2の数を表わす。) で表わされる水溶性有機含硫黄化合物の一種または二種
以上を含有することを特徴とする水−グリコール系作動
液に存する。
本発明による水−グリコール系作動液は、一般の水−
グリコール系作動液にさらに前述の水溶性有機含硫黄化
合物の一種または二種以上を加えた組成を有する。
この水溶性有機含硫黄化合物の具体例は、2,2′−チ
オジエタノール、3−((2−ヒドロキシエチル)チ
オ)−1−プロパノール、3,3′−チオジ−1−プロパ
ノール、2,2′−チオジ酢酸、3−((カルボキシメチ
ル)チオ)−プロパン酸、3,3′−チオジプロピオン酸
であり、本発明の水−グリコール系作動液中における配
合量は、約0.02〜5wt%、好ましくは、約0.1〜1wt%で
ある。
この水溶性有機含硫黄化合物の配合により安定性、特
に熱酸化劣化に対する安定性が大きく改善される。
水溶性有機含硫黄化合物を配合する水−グリコール系
作動液自体は、一般のものが使用できる。一般に、水−
グリコール系作動液は、約25〜50%のグリコール類、約
10〜20%の増粘剤、約35〜50%の水を基材とし、これに
油性剤、摩耗防止剤、液相防錆剤、気相防錆剤、金属不
活性剤、pH調整剤、消泡剤、着色剤、その他の添加剤を
加えた組成である。
増粘剤としては、通常ポリアルキレングリコールもし
くはそのアルキルエーテル誘導体のようなポリエーテル
型増粘剤が用いられ、その具体例としては、多価アルコ
ールのポリオキシアルキレンポリオール、例えばニュー
ポール75H90000(三洋化成品)などのポリオキシアルキ
レングリコール、ニューポールV−10−C(三洋化成
品)などのポリオキシアルキレントリオール、特開昭54
−105653号記載のポリオキシアルキレンポリオール;ポ
リアミドのポリオキシアルキレンポリオール例えば特公
昭51−44275号記載のポリオキシアルキレンポリオール
およびこれらの1種以上の混合物をあげることができ
る。
グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、プロピレン
グリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレン
グリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類
およびこれらグリコール類のモノアルキルエーテルが挙
げられる。
摩耗防止剤としては、オレイン酸などの不飽和脂肪
酸、ラウリン酸、ステアリン酸などの飽和脂肪酸、芳香
族脂肪酸、ダイマー酸などが挙げられる。
防錆剤としては有機アミン(モノエタノールアミン、
トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレン
トリアミン、シクロヘキシルアミン、モルホリン、1,4
−ビス(2−アミノエチル)ピペラジン、2−ヘプタデ
シル−1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリンな
ど)、有機アミン誘導体(上記アミンのアルキレンオキ
サイド付加物など)、前述のカルボン酸アルカリ金属
塩、シクロヘキシルアミンナイトライトなどがあげられ
る。実際上は前述のカルボン酸と有機アミンとの塩やカ
ルボン酸アルカリ金属塩を使用して油性向上剤と防錆剤
の両者を兼ねることもある。pH調整剤としては上述のよ
うな有機アミンやアルカリ金属の水酸化物をあげること
ができ、場合によっては油性向上剤または防錆剤と兼用
することができる。
金属不活性剤としては例えばエチレンジアミン4酢
酸、ジエチレントリアミン5酢酸、ジエチレントリアミ
ン5酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン5酢酸銅な
どのアミノカルボン酸およびその誘導体(とくに金属
塩)、グルコン酸ナトリウム、酒石酸などのオキシカル
ボン酸またはその誘導体(特に金属塩)などがあり、こ
れら化合物の単独または混合物を使用することができ
る。消泡剤としてはシリコン化合物の乳化物などがあげ
られる。
〔発明の効果〕
本発明品は従来品に比べて安定性に優れ、高温で使用
しても熱劣化を受けにくく、pH低下ならびに粘度低下率
も小さい。
〔実施例〕
以下に実施例および比較例に従って、発明品と従来品
との相違を具体的に説明するが、本発明は、これらに限
定されるものではない。
水−グリコール系作動液の安定性の実験室評価法とし
て、オートクレーブでの高温密閉試験を採用した。
すなわち、潤滑油の熱酸化安定性の試験法として知ら
れているロータリーポンプ酸化安定度試験(ASTM D−22
72)に準拠し、一部、試験条件を変更して用いた。具体
的には、試料50gを銅触媒とともにポンプに入れ、圧力5
kg/cm2Gで酸素を圧入した後、120℃でポンプを回転さ
せ、120分後の試料の性状変化を評価した。
第1表に実施した試料について処方を示した。また第
2表には、オートクレーブでの高温密閉試験の結果を示
した。
第2表から明らかなように、比較例4(市販品A)、
比較例5(市販品B)ならびに従来、水−グリコール系
作動液に添加されてきたベンゾトリアゾールや、鉱油系
の酸化防止剤として知られる2,6−ジ−tert−ブチル−
4−クレゾール(以下、DBPCと略す。)をそれぞれ添加
した比較例1、比較例2、比較例3はいずれも試験後の
pHや粘度の低下が著しく高い。
一方、本発明の水溶性有機含硫黄化合物を添加した実
施例1、実施例2および実施例3はいずれもpH低下、粘
度低下が著しく改善されている。
さらに実際の油圧装置での本発明の効果を確認するた
めに、第1図に示す油圧装置を作成し、市販品と本発明
品との性能比較を行った。
すなわち、試料10を密封タンク1内に入れ、これを
流量0.5/分でポンプ2で連続的に吸引し、試料を電
気炉4で300℃に加熱し、次に150℃のオイルバス5を通
過させ25℃に保った冷却槽6で冷却した後、タンク1に
戻すもので、一試料につき、200時間の連続運転を行っ
たのち、試料の性状変化を測定した。
結果は、第3表に示したとおり実施例4は比較例4の
従来の市販品に比べ、優れた安定性を有することが確認
された。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明において安定性を評価するために用い
た油圧装置システムのフローシートである。 1……密封タンク、2……ポンプ、3……モーター、4
……電気炉、5……オイルバス、6……冷却槽。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 145:26 135:26 129:40) C10N 30:10 40:08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の一般式 (式中nおよびn′はそれぞれ独立に選択されえて1ま
    たは2の数を表わす。) で表わされる水溶性有機含硫黄化合物の一種または二種
    以上を含有することを特徴とする水−グリコール系作動
    液。
JP63011579A 1988-01-21 1988-01-21 水−グリコール系作動液 Expired - Lifetime JP2554266B2 (ja)

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