JP2550359Y2 - アウトリガ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、クレーン装置付の運搬
用車両等に取り付けられるアウトリガ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】クレーン装置を備えた車両には、車体を
地面に対して安定に支持するためのアウトリガ装置が取
り付けられる。このアウトリガ装置は、水平に保持され
た接地板を車体に対して降下させて接地させることによ
り車体を支持する一方、その接地板を上昇させて車体の
下側等に格納することができるようになっている。この
ようなアウトリガ装置は、車体の前後左右の４箇所に設
けられることが多く、それぞれ車体の側方に水平に張り
出して、車体の支持安定性を向上させるものもある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、アウト
リガ装置は上記のように接地板の昇降機能および張出し
機能を有しているにもかかわらず、車体の支持という限
られた目的に使用されるだけである。このため、アウト
リガ装置の各機能を有効に利用すべきとの要請がある。

【０００４】本考案は、上記のような要請に応えてなさ
れたものであり、車体の支持以外の目的にも利用できる
ようにしたアウトリガ装置を提供することを目的とす
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本考案のアウトリガ装置では、接地板を、水平に
保持したまま接地位置と車体に設けられた荷台と同じ高
さ位置との間で昇降移動させる昇降手段を備えている。
そして、その接地板を昇降手段に水平倒伏状態および起
立状態間で起伏自在に取付け、かつそれら両状態におい
てロック保持できるようにしている。

【０００６】

【作用】このようなアウトリガ装置では、ある程度大型
の接地板を用いて、その接地板を水平倒伏状態にロック
保持して接地位置に下降させることにより、車体を地面
に対して安定に支持することができる。そして、その接
地板上に重量物を搭載して、昇降手段によりその接地板
を水平にロック保持したまま昇降させることにより、荷
台に対する重量物の積み卸しを行うためのリフト装置と
しても用いることができる。また、接地板を荷台と同じ
高さとなる位置において水平状態にロック保持しておけ
ば、荷台の面積を広げることができ、さらにその位置に
おいて起立状態にロック保持すれば、荷台に搭載した重
量物の落下を防止するための「あおり」として用いるこ
とができる。

【０００７】

【実施例】以下、本考案の好ましい実施例について図面
を参照しながら説明する。図１（Ａ），（Ｂ）には、本
考案に係るアウトリガ装置を備えたクレーン付運搬車１
０を示している。この運搬車１０は、クローラ式走行装
置を有する車体１１と、車体１１の後部（図における右
方をいう）の右側（図１（Ｂ）における上方をいう）に
水平旋回が自在に取り付けられた旋回台１２とを備えて
いる。旋回台１２の上部には、テレスコープ状に伸縮が
自在に構成されたクレーンブーム１３が起伏自在に取り
付けられており、そのクレーンブーム１３の先端部から
はフック１４が吊下げられている。

【０００８】このように構成されたクレーン付運搬車１
０によれば、重量物をフック１４に引っかけてクレーン
ブーム１３等を作動させることにより、その重量物を車
体１１の上面部（以下、荷台という）１１ａに積み込ん
だり地面に降ろしたりすることができる。そして、荷台
１１ａに積み込んだ重量物を、車体１１の走行を通じて
任意の場所に運搬することができる。

【０００９】ただし、クレーンブーム１３により重量物
を吊上げる際には、車体１１が不安定にならないように
車体１１を地面に対してしっかりと支持しておく必要が
ある。このため、車体１１の左右側部には、図２（Ａ）
に示すように、アウトリガ装置（本考案に係るアウトリ
ガ装置）２０，２０が取り付けられている。以下、それ
らアウトリガ装置２０，２０の構成について説明する。

【００１０】各アウトリガ装置２０は、接地板２１と、
昇降装置２２とを備えて構成されている。接地板２１
は、図１（Ａ）からも分かるように、車体１１の前後方
向長さよりもやや短い長手方向長さを有する長方形状の
板状部材である。昇降装置２２は、平行リンク２２ａ
と、この平行リンク２２ａを上下方向に揺動作動させる
べく、平行リンク２２ａと車体１１との間に取り付けら
れたアウトリガシリンダ（油圧シリンダ）２２ｂとから
構成されている。図１（Ａ），（Ｂ）に示すように、２
個１組となった昇降装置２２，２２は、車体１１の前後
方向に離れて取り付けられており、図２（Ｂ）に示すよ
うに、接地板２１を水平倒伏状態（鎖線で示した状態）
と起立状態（実線示した状態）との間で起伏自在に枢着
支持している。

【００１１】なお、接地板２１の前後端部における枢着
部側には、扇形のロックプレート２３が取り付けられて
おり、接地板２１が水平倒伏状態にある場合において、
そのロックプレート２３に形成されたピン穴２３ｈと平
行リンク２２ａの垂直連結部材２２ｃに形成されたピン
穴（図示せず）にロックピン（図示せず）を差し込むこ
とにより、接地板２１を水平倒伏状態にロック保持する
ことができる。また、同様にしてロックプレート２３に
形成されたピン穴２３ｈと車体１１に形成されたピン穴
（図示せず）を利用して接地板２１を起立状態にロック
保持することもできる。

【００１２】このように構成された各アウトリガ装置２
０では、昇降装置２２の作動により水平倒伏状態にロッ
ク保持された接地板２１を接地させることにより、車体
１１を地面に対して支持することができる。ここで、平
行リンク２２ａの揺動によって、図２（Ａ）に示すよう
に、接地板２１を車体１１から幅Ｈだけ張り出すことが
できる。さらに、ある程度大型の接地板２１を用いてい
るために、実質的には、接地板２１の先端部まで張り出
したものと同様の高い支持安定性を得ることができる。

【００１３】また、平行リンク２２ａを上方に揺動作動
させることにより、接地板２１を水平倒伏状態に保持し
たまま上昇させることができる。この際、図２（Ａ）に
鎖線で示したように、接地板２１の上面に重量物Ｇを搭
載すれば、アウトリガ装置２０をリフト装置として使用
することができ、図２（Ｂ）に示すように、接地板２１
を荷台１１と同じ高さとなる位置（以下、この位置を荷
台位置という。）まで上昇させれば、重量物Ｇを容易に
荷台１１に積み込むことができる。なお、このように接
地板２１を荷台位置に停止させておくことにより、荷台
１１ａに加えて接地板２１の上面も搭載スペースとして
使用することができ、荷台１１ａよりも大きな搭載物で
も安定した状態で搭載することができる。

【００１４】そして、図２（Ｂ）に示すように、荷台位
置に上昇した接地板２１を起立させてロック保持すれ
ば、その接地板２１は、いわゆる「あおり」としての役
割を果たす。これにより、重量物Ｇその他の搭載物、特
に管状長尺物を搭載した場合に、その長尺物が荷台１１
ａから転がり落ちるのを防止することができる。このよ
うに、本アウトリガ装置２０は、本来的役割である車体
支持装置として使用できるほかに、リフト装置および
「あおり」としても利用できるため、クレーン付運搬車
１０としての価値を向上させることができる。

【００１５】

【考案の効果】以上のように、本考案のアウトリガ装置
は、水平保持された接地板を接地させることにより本来
的役割である車体の支持を行うほか、接地板を水平倒伏
状態のまま昇降させることにより、リフト装置としても
用いることができる。さらに、荷台位置に上昇させた接
地板を、起立保持させることにより、荷台からの搭載物
の落下を防止する「あおり」としても用いることができ
る。したがって、このアウトリガ装置を用いれば、作業
車の多機能化・価値向上を容易に達成することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）は本考案に係るアウトリガ装置を備えた
クレーン付運搬車の側面図であり、（Ｂ）はそのクレー
ン付運搬車の平面図である。

【図２】（Ａ），（Ｂ）とも、上記クレーン付運搬車の
正面図である。

【符号の説明】

１０ クレーン付運搬車 １１ａ 荷台 ２０ アウトリガ装置 ２１ 接地板 ２２ 昇降装置 ２３ ロックプレート ２３ｈ ピン穴 Ｇ 重量物

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 水平に保持された接地板を接地させて車
   体を地面に対して支持するアウトリガ装置であって、 前記接地板を、水平に保持したまま接地位置と前記車体
   に設けられた荷台と同じ高さになる位置との間で昇降さ
   せる昇降手段を備えてなり、 前記接地板は、前記昇降手段に水平倒伏状態と起立状態
   との間で起伏自在に取り付けられており、かつそれら両
   状態においてロック保持されるようになっていることを
   特徴とするアウトリガ装置。