JP2550232Y2 - ベルト洗浄装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案はネットベルトまたはその
他のベルトを有するコンベヤに組み入れられ、そのベル
トを洗浄するための装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば食品生産ラインの中では、ネット
コンベヤを搬送に用いるほか、焼き、蒸し、予冷し、凍
結する等の工程に組み入れて使用している。そのためネ
ットコンベヤには油、食品くず、その他の汚れが付着す
るため、これを洗浄する必要が生ずる。

【０００３】従来、ネットベルト等を洗浄するにはそれ
を洗浄槽に浸漬し、シャワー、ブラッシング等を施して
いたが、落ちた汚れが槽内にたまり、２次汚染を起こす
原因となっていた。本件の考案者は２次汚染のメカニズ
ムについて研究を進めたところ、槽の汚れが落ちにく
く、特に四角い槽の内角部に次第に汚れが溜る傾向にあ
ること、洗浄槽の貯溜液量が大きいため液交換が遅れ気
味になり、汚れが進行し易いこと、洗浄槽がコンベヤの
下の床に据え置きされているのが通常のため、これをラ
イン外へ引き出して完全に清浄化するのが元々困難であ
ること、などが原因であることを見出した。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】本考案は前記の点に鑑
みなされたもので、その課題とするところは洗浄槽に汚
れが溜らない形状、構造を具備せしめ、液量を少なくし
て可動の容易化を図るとともに、洗浄液その他の薬品、
清水等の入れ換えを容易化し、ベルトの洗浄をより完全
に近付け、また２次汚染のおそれをなくすことである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
本考案は、ベルト洗浄装置としてベルト上面に幅方向に
接してベルト１の上面を下向きに押え、ベルトの洗浄箇
所を全幅にわたり洗浄液中に浸漬可能にするベルト押え
輪３と、この押え輪３に沿うように幅方向に設けられ、
ベルトに対して洗浄液中で噴流を噴射可能なノズル部材
４と、該押え輪３の下位に設けられ、ベルト移動方向に
沿ったおおむね円弧状の弧状面６とベルト１の通過が可
能な幅とを有し、押え輪３で押えられたベルト１とノズ
ルを浸漬させるだけの比較的少量の洗浄液を貯溜可能な
浅い洗浄槽７と、内部の洗浄液を廃棄するため洗浄槽７
の一部を軸支するとともに、洗浄槽７を傾斜させまた洗
浄位置へ戻す傾斜機構８とを洗浄装置に設けるという手
段を講じたものである。

【０００６】

【実施例】以下図面を参照して説明する。図１、図２に
示すように実施例に係る本案装置はコンベヤライン１０
の端部に設置されており、このコンベヤベルト１は横方
向（ほぼ水平）のベルト面を有し、コンベヤライン端部
の転輪に掛回された無端状のネットベルトである。

【０００７】本案装置の導入のために、このベルト１の
下方へ向きを変えるべき箇所にベルト下面に横方向に接
触可能な下方ガイド輪２が設けられている。この下方ガ
イドは単なるガイド面であっても良いが、回転輪の方が
作動が円滑になるのはいうまでもない。

【０００８】向きを変えたベルト上面に横方向に接して
ベルト１の上面を下向きに押えるベルト押え輪３が、前
記ガイド輪２の下流側に設けられている。ベルト押え輪
３はコンベヤフレーム１１の上部から吊り下げられた支
持材１２の下端に回転自由に軸支されている（図１、図
４）。１６は押え輪取り付け部材を示す。

【０００９】そのベルト押え輪３の前後に、押え輪３と
平行のパイプからなるノズル部材４が設けられている。
各ノズル部材４は前記の支持材１２の前後両面に突出し
たブラケット１３に取り付け部材１４によって固定さ
れ、ノズルとベルト押え輪３との間に通されるベルト１
に対して下方から蒸気（或いはエア）を噴射して汚れを
吹き上げるように多数の上向きのノズル孔１５を備えて
いる。

【００１０】この洗浄部位のさらに下流側には、浸漬位
置にあるベルト１を引き上げるように作用するベルト引
き上げ輪５が設けられるが、実施例の装置の場合コンベ
ヤライン端部の転輪を引き上げ輪５に用いている。

【００１１】前記ベルト押え輪３により下向きに突出さ
せられた状態にあるベルト１の下位に洗浄槽７が設置さ
れている。この洗浄槽７はベルト移動方向に沿った円弧
状の弧状面６と少なくともベルト１を通過させ得る幅と
を有する浅いもので、押えられたベルト１とノズル部材
４を浸漬させるために必要な量の洗浄液を貯溜可能な容
積を有し、また進行方向の内面は円筒状の曲面と鈍角か
らなり、汚れのたまる内角を有しない（図５）。

【００１２】洗浄槽７の上流側には、幅方向に間をあけ
て複数箇所、耳金状に支持片１７が設けられており、コ
ンベヤフレーム１１に取り付けられた相手片１８と支軸
９により回転可能に軸支されている（図６）。その洗浄
槽７は下流側を昇降可能にするため、下流側上縁の幅方
向に複数個設けた吊金具１９に傾斜機構８を接続するこ
とによって吊下げられる。

【００１３】洗浄槽昇降のための傾斜機構８は、前記吊
金具１９を介して洗浄槽先端を吊りあげる昇降用のチェ
ンまたはワイヤ等の索２０と、その索２０を巻き付けた
巻き輪２１と、巻き輪２１を駆動する駆動機構２２とか
らなり、駆動機構２２の回転輪２３には昇降範囲を制御
する機構が設けられている。

【００１４】その制御機構は洗浄槽先端の昇降量に対応
する角度範囲程度回転可能な回転輪２３に設けたピン等
の接触子２４と、昇降範囲の上限、下限に対応する角度
位置に配置されたリミットスイッチなどの検知器２５、
２６とを有する。

【００１５】洗浄槽先端から洗浄液を流し落す上記傾斜
機構８のほかに、洗浄液を傾斜させていない洗浄槽７の
弧状面６から排出するため、排出管２７が槽底に接続さ
れている。また洗浄槽７から流れ落ちた排水のため床面
３０は傾斜させて設けられる。各図中、２８は洗浄液供
給配管、２９はオバーフロー槽、３１は洗浄槽下流に設
置された仕上げ用シャワー、３２はそこへの給水系、３
３は排水系を示す。

【００１６】このように構成された本案装置においてベ
ルト１の洗浄を行なうときは、洗浄槽７を上昇位置に固
定して洗浄液をその中に満し、その後コンベヤを作動さ
せれば良い。ベルト１はベルト押え輪３により押えらえ
れながら洗浄液中を移動し、その間にノズル部材４のノ
ズル孔から蒸気またはエアの噴流の噴射を受けて浄化さ
れる。

【００１７】即ち、噴流はベルト１の汚れに作用してこ
れを振動させ、気泡によるバブリング効果でベルトに付
着している汚れを分離することができる。本考案の場合
洗浄槽７が浅いため噴流が消えにくく、効果的にベルト
を洗浄する。

【００１８】所定の洗浄を終えたならば、底部の排出管
２７の弁を開いて洗浄液を排出させる。ベルト洗浄作業
を終了したり、特に洗浄槽７を浄化するときは、傾斜機
構８を作動させて洗浄槽７を各図鎖線図示のように先端
を下に傾斜させることができる。このため槽内の洗浄が
容易になり、また洗浄槽７は弧状面６のみからなるの
で、全体の完全な洗浄が可能である。

【００１９】このベルトが食品生産ラインに組み込まれ
る場合、食品によってはベルト１を洗剤、薬品等で浄化
したうえ、清水で仕上げをするなど、複数の種類の液体
を洗浄槽７へ入れ換える必要が生ずるが、本考案によれ
ば、洗浄槽７の排水が容易なので、非常にスピーディな
作業が実現できる。

【００２０】

【考案の効果】本考案は以上の如く構成されかつ作用す
るものであるから次の効果を奏する。 １）洗浄槽７の内部は弧状面６からなるので、洗浄が容
易であり、また汚れも溜らない。 ２）弧状の槽形状のため、函形槽に比較して内容量が少
なく、消費液量の減少が見込める。 ３）内容量が少なく、かつ低水深、低水圧のため、洗浄
槽７の材厚を薄くして軽量化が可能であること。 ４）水深が浅いため蒸気配管、エア配管等の組み込みが
容易であり、発泡流による高い洗浄効果が得られる。 ５）コンベア端部などに一体に組み込んで、自動運転が
可能であり、洗浄操作が著しく容易化する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本案装置の実施例を示す側面図。

【図２】同上の一部破断平面図。

【図３】同じくコンベヤ端部から見た破断正面図。

【図４】洗浄部の側面説明図。

【図５】洗浄槽とその傾斜機構の斜視図。

【図６】要部の側面説明図。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−113023（ＪＰ，Ａ) 実開 昭64−28991（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−190219（ＪＰ，Ｕ) 実開 平１−180420（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭57−4990（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭38−23064（ＪＰ，Ｙ１) 実公 昭44−24549（ＪＰ，Ｙ１) 実公 昭47−13964（ＪＰ，Ｙ１) 実公 昭52−48089（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 転輪に掛回され回動可能な横方向のベル
   ト面を有するベルト１を洗浄するための装置であって、
   ベルト上面に幅方向に接してベルト１の上面を下向きに
   押え、ベルトの洗浄箇所を全幅にわたり洗浄液中に浸漬
   可能にするベルト押え輪３と、この押え輪３に沿うよう
   に幅方向に設けられ、ベルトに対して洗浄液中で噴流を
   噴射可能なノズル部材４と、該押え輪３の下位に設けら
   れ、ベルト移動方向に沿ったおおむね円弧状の弧状面６
   とベルト１の通過が可能な幅とを有し、押え輪３で押え
   られたベルト１とノズルを浸漬させるだけの比較的少量
   の洗浄液を貯溜可能な浅い洗浄槽７と、内部の洗浄液を
   廃棄するため洗浄槽７の一部を軸支するとともに、洗浄
   槽７を傾斜させまた洗浄位置へ戻す傾斜機構８とを具備
   していることを特徴とするベルト洗浄装置。
2. 【請求項２】 洗浄槽７を軸支する支軸９が洗浄槽７の
   上流側の端部に設けられており、傾斜機構８は洗浄槽７
   の下流側を昇降可能に吊り下げていて、洗浄液を槽の下
   流側の端部から下へ流し落すように構成された請求項第
   １項記載のベルト洗浄装置。
3. 【請求項３】 ベルト押え輪３よりも上流側にてベルト
   １が下方へ向きを変える箇所に設けられ、ベルト下面に
   幅方向に接触可能な下方ガイド輪２と、洗浄液に浸漬さ
   れているベルト１を引き上げるようにベルト押え輪３の
   下流側に設けられたベルト引き上げ輪５とを備えた請求
   項第１項記載のベルト洗浄装置。