JP2550183B2 - 給水系統のクリーンアップ方法 - Google Patents

給水系統のクリーンアップ方法

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JP2550183B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、発電プラントの給水系統のクリーンアップ
方法に係り、特に、脱気器にて給水を加熱し給水加熱器
に導く給水系統、及び復水器からの復水を給水加熱器を
経由して脱気器に導く給水系統のクリーンアップ方法に
関する。
〔従来の技術〕
原子炉,ボイラ等の蒸気発生器で発生した蒸気をター
ビンに与えて仕事をし、その後復水を復水系統,給水系
統(以下特に必要のない限り単に給水系統と略称する)
を介して再度蒸気発生器に送る発電プラントにおいて
は、その起動時等に給水系統のクリーンアツプ操作を行
ない給水中に含まれる鉄分を除去したうえで蒸気発生器
への通水を行なう。このクリーンアツプ操作は、給水中
の鉄分が蒸気発生器やタービンに流入してスケールとし
て付着し、チユーブの過熱やタービン効率の低下を防止
するうえで重要である。
また、プラント停止時には給水系統の配管や機器内に
溶存酸素濃度の低い給水を満水にしたうえで次の起動ま
で保管し、あるいは窒素封入状態にして保管すること
で、配管や機器の内部が空気と接触して錆が発生するこ
とを防止している。
このように、発電プラントではその長期停止期間中に
給水系統に錆が発生したり鉄分が溶出したりすることを
防止するための措置を施し、かつ起動に先立ち給水系統
のクリーンアツプ操作を行なつているが、このクリーン
アツプ操作により目標とする鉄分濃度以下に到達するま
には数日以上を要している。
係るクリーンアツプ操作に関して、特開昭56−87900
号公報「復水・給水系統のクリーンアツプ方法」におい
ては、その過程において配管や機器の内部に不動態膜
(酸化鉄保護皮膜)を形成するのが良好であるとしてい
る。すなわち、この従来技術では給水に含まれる溶存酸
素濃度を、復水器に空気を導入することにより調整する
方法であつた。または、空気供給ポンプにより復水系統
に空気を注入することで復水中の溶存酸素を3段階に分
けて調整していた。さらにこの復水・給水を3段階に分
けて循環させる事により復水・給水系統の配管及び熱交
換器類の表面に安定した酸化鉄保護皮膜を形成する方法
である。
より具体的には、溶存酸素濃度10ppb以下の水を循環
させる第1の工程と、循環水中の鉄イオン濃度が上昇し
始めた後に溶存酸素濃度1〜8ppmの高酸素濃度水を循環
させる第2の工程と、循環水中の鉄イオン濃度及び腐食
性構成部材の腐食速度がそれぞれの設定基準値以下にな
つた後に溶存酸素濃度50〜200ppbの脱気水を循環させる
第3の工程からなる。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来技術は、復水の溶存酸素濃度を10ppb以下の
脱気水にした後で、さらに1〜8ppmの高濃度酸素水で循
環させ鉄イオンの腐食が減少した後に、又再び50〜200p
pbの脱気水にして循環させる方法であり溶存酸素濃度の
復水中の調整方法の複雑化及び3段階循環によるクリー
ンアツプ循環時間の長期化の問題があつた。
本発明は、溶存酸素濃度の調整を不要とし、クリーン
アツプ循環時間の大巾になる短縮化をもたらすクリーン
アツプ装置及び方法を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために第1の発明の給水系統のク
リーンアップ方法は、起動時に脱気器に補助蒸気を導入
して給水を加熱し加熱復水を給水加熱器に導く過程、給
水加熱器の前後弁を閉止して給水加熱器内を暖める過
程、給水加熱器の前後弁を閉止したまま、給水加熱器内
の給水を排出して大気を導入し乾燥放置する過程、給水
加熱器内に給水を導入し、脱気器からの給水を循環させ
る過程とからなる。また、第2の発明の給水系統のクリ
ーンアップ方法は、起動時に復水器からの復水を給水加
熱器をバイパスして脱気器に導くとともに、脱気器から
の復水を給水加熱器に導くように給水系統を構成する過
程、脱気器に補助蒸気を導入して復水を加熱し加熱復水
を給水加熱器に導く過程、給水加熱器の前後弁を閉止し
て給水加熱器内を暖める過程、給水加熱器の前後弁を閉
止したまま、給水加熱器内の復水を排出して大気を導入
して乾燥放置する過程、給水加熱器内の復水を導入し復
水を循環させる過程とからなる。
〔作用〕
水溶液に接した鉄Feは分極反応を生じ陽極,アノード
極では母材中の鉄Feが溶出して腐食が進行する。一方陰
極カソード極では、水溶液中の酸素と陽極からの電子2e
-によつて水酸化イオンOH-が生じる。この、両者の反応
により鉄は腐食して水酸化第1鉄Fe(OH)となり、さ
らにFe(OH)は水中の溶存酸素と反応してオキシ水酸
化鉄FeOOHに変化する。最終的にこのオキシ水酸化鉄は
不働態化した赤錆,三二酸化鉄Fe2O3と変化し母材の表
面に析出し保護皮膜となつて以後の母材からの鉄の溶
出,腐食反応を防止する。本発明では温水によつて生じ
た鋼管表面の水酸化第1鉄Fe(OH)と温水ブロー後の
大気中の酸素の導入により水酸化第1鉄Fe(OH)をオ
キシ水酸化鉄FeOOHに変化させ、さらに安定な不働態化
した三二酸化鉄α−Fe2O3又はγ−Fe2O3に反応を進行さ
せることにより鉄母材の表面に保護皮膜を作る。
〔実施例〕
以下本発明の一実施例について図面を用いて説明する
が、その前に通常の発電プラントの構成について第1図
を用いて説明する。
同図において、節炭器36,火炉37,気水分離器38,過熱
器39より成る蒸気発生器(この例は火力ボイラの例を示
している)にて発生した蒸気は、主蒸気止弁63,高圧タ
ービン60で仕事をしたあと蒸気発生器内の再熱器40にて
再熱され、再熱蒸気は再熱蒸気止弁64を介して中圧ター
ビン61,低圧タービン62に順次導かれて図示せぬ発電機
を駆動する。蒸気はその後復水器3にて冷却されて復水
となり復水ポンプ4,復水脱塩装置5,復水ブースターポン
プ6,グランドコンデンサ7,低圧給水加熱器10,11,15,1
6、脱気器19,ボイラ給水ポンプ用ブースターポンプ20,
給水ポンプ21,高圧給水加熱器25,26,27を介して蒸気発
生器へ通水する。
発電プラントは、通常運転時は上記の系統により給水
され、蒸気が導かれて発電を行なつているが、停止時に
は蒸気系統上の主蒸気止弁63,再熱蒸気止弁64が閉止さ
れる。また停止時には復水系統や給水系統上の主要な弁
(低圧給水加熱器入口弁9,14、低圧給水加熱器出口弁1
2,17、低圧給水加熱器バイパス弁13,18、ボイラ給水ポ
ンプ出口弁23,ボイラ給水ポンプバイパス弁22,高圧給水
加熱器入口弁24,同出口弁28,同バイパス弁29等)を適宜
閉止し、適宜の単位ごとに満水保管し、あるいは窒素封
入保管をしている。
そしてこの起動時には、低圧クリーンアツプ止弁32を
開放して、まず3−4−5−6−7−9−10−11−12−
14−15−16−17−19−32−3なる循環路(低圧クリーン
アツプ系統)を形成し、この中に蓄積された鉄分や錆を
復水脱塩装置5にて捕捉する。また必要に応じて低圧ク
リーンアツプブロー弁31を開放し鉄分や錆を含んだ復水
を系外へブローする。このブローにより減少した復水は
補給水タンク1から補給水ポンプ2を介して復水器3に
補給される。このようにして所定の鉄分濃度以下になる
と低圧クリーンアツプは完了し、高圧クリーンアツプに
移る。高圧クリーンアツプでは低圧クリーンアツプ止弁
32,低圧クリーンアツプブロー弁31を閉止し、代りに高
圧クリーンアツプ止弁30,高圧クリーンアツプ循環弁33
を開放して、脱気器19から更に給水ブースタポンプ20を
用いて20−21−22−24−25−26−27−30−33−3の循環
路(高圧クリーンアツプ系統)を形成し、この中に蓄積
された鉄分や錆を復水脱塩装置で捕捉し、あるいは高圧
クリーンアツプブロー弁34を開放して系外放出する。
さらにその完了後、高圧給水加熱器入口弁24を閉止、
高圧給水加熱器バイパス弁29,循環弁44を開放して、給
水ブースタポンプ20から更に29−36−37−38−41−44−
3の循環路に循環させ、あるいはブロー弁45を開して系
外へ放出する。
復水・給水系統は概ね以上のクリーンアツプ操作によ
り浄化されたのちにボイラに通水され通常運転へと移行
する訳であるが、このクリーンアツプの開始から完了ま
でには通常数日乃至10数日を要す。このことから、本発
明では配管や機器内面に酸化鉄保護皮膜を形成させるこ
とでクリーンアツプ時間の短縮化を図ろうとするもので
あり、このクリーンアツプ操作の中でもつとも鉄分や錆
の発生し易い高圧給水加熱器を対象として実施例を示し
たのが第1図である。
この第1図の高圧クリーンアツプ操作中に、高圧給水
加熱器25,26,27は、脱気器19から温給水を供給され、こ
の給水は止弁30,循環弁33を経由して循環している。
尚、温水は脱気器19での脱気作用のために補助蒸気止弁
35を介して導入した補助蒸気によつて復水があたためら
れたものである。次に高圧給水加熱器25,26,27はその前
後弁24,28,30が閉止され、その内部の温給水を高圧給水
加熱器水室ドレンブロー弁51を開放して排出するととも
に高圧給水加熱器水室ベント弁50を介して加熱器内に大
気が導入される。この大気導入により高圧給水加熱器内
部には酸化鉄保護皮膜が形成される。その後、弁50,51
が閉じられ、弁24,30が開放されて再度加熱器に給水を
導入し、給水を循環させる。
本発明のクリーンアップ操作は上記の如きものである
が、この操作により酸化鉄保護皮膜が形成され、クリー
ンアツプが早く完了することについて説明する、 第4図は、高圧給水加熱器に導入される給水の温度
(横軸)と、炭素鋼(高圧給水加熱器のチユーブ)の腐
食量(mg/cm2)とスケール付着量(mg/cm2)の関係をつ
ぎの条件下(試料は実機と同じ四三酸化鉄Fe3O4のスケ
ール、その給水中の濃度は100ppm,pHは9.3であり給水に
はアンモニア水NH4OHが混入されている。溶存酸素濃度
は10ppb以下、運転期間は100時間、鋼管の材質はSTB35
である。)で測定したものでありパラメータとして温度
と流速とをとつている。この図によれば、水温が150℃
前後で炭素鋼の腐食量は最大値を示し水温度が100℃前
後では腐食量は微少である傾向を示す。さらに水温が15
0℃を越え200℃程度になると鉄の腐食量は減少し、代わ
つて酸化鉄スケール(黒さび)四三酸化鉄Fe3O4付着量
が増加する。水温が300℃になると、スケール付着量が
格段に増加する。また、スケール付着量は流速が速いほ
ど多くなる。このため、例えば脱気器19で復水を加熱し
て、150℃前後まで昇温させた温水を用いて給水ブース
タポンプ20により、ボイラ給水ポンプ21をバイパスする
バイパス弁22を通過して高圧給水加熱器25,26,27の水室
側に通水し高圧クリーンアツプ止弁30を介して高圧クリ
ーンアツプ循環弁33を通して復水器3に回収するクリー
ンアツプを実施しても腐食量が多く、高圧給水加熱器2
5,26,27の炭素鋼管表面からの鉄の溶出によりクリーン
アツプがいつまでたつても完了しないことになる。これ
に対し、本発明では例えば約120℃に昇温した脱気器19
の貯水を前記の高圧クリーンアツプ系統で数時間循環さ
せて高圧給水加熱器25,26,27の加温を行なう。その後、
高圧給水加熱器25,26,27のバイパス弁29側に給水を切り
替えて高圧給水加熱器25,26,27からの溶出鉄分をボイラ
節炭器36に持ち込まない様にする。尚、給水はボイラ火
炉37,気水分離器38,ドレンタンク41を通過して、ボイラ
クリーンアツプブロー弁45にて、ボイラからの溶出鉄分
は系外へ排出される。この高圧給水加熱器加温時高圧給
水加熱器25,26,27の炭素鋼管表面においては第6図に示
す如く鉄母材のあらゆる表面で分極反応が進行して水酸
化鉄Fe(OH)が生じている。すなわち、第6図中の陽
極(アノード極)では、鉄Feがイオン化して、Fe−Fe2+
+2e-の反応が進行し鉄が溶出する。次に、第6図中の
陰極(カソード極)では、アノード極からの電子2e-
水中の溶存酸素O2と水H2Oにより の反応が進行して水酸化イオンOH-が生じる。この水酸
化イオンOH-と鉄イオンFe2+とが化合してFe2++2OH-→F
e(OH)の化学反応が進行し水酸化鉄が鉄母材の表面
に生じる。高圧給水加熱器25,26,27の水室に温水をある
一定時間バンキング後、当該給水加熱器の水室側ベント
弁50を開け、さらに水室ブロー弁51を開けて大気と温水
を置換しある時間乾燥放置する。この操作により炭素鋼
管の表面上の水酸化鉄Fe(OH)と大気中の酸素O2によ
という反応が進行して鋼管の表面にオキシ水酸化鉄FeOO
Hが形成され次に の反応が進行しオキシ水酸化鉄が水分と三二酸化鉄に分
解して鋼管の表面に安定な酸化鉄皮膜,三二酸化鉄Fe2O
3が形成される。この状態を第5図の(b)の水質条件
で示す。すなわち、例えば100〜120℃の水温であつてブ
ロー水のpHが9.3〜9.6の給水で加温したのち、大気にさ
らして乾燥放置させたときには、同図bのように炭素鋼
管の母材の表面上に薄く安定な(鉄の溶出を防ぎ、剥離
しない)三二酸化鉄Fe2O3保護皮膜が炭素鋼管の乾燥放
置操作により形成され、また給水の流動がない為、すな
わち給水を高圧給水加熱器25,26,27へ通水しない為、ス
ケール付着も生じず安定なFe2O3皮膜が母材表面上に形
成されている様子を示す。尚、第5図の(a)の条件下
(給水温度は200〜300℃,pHは9.3〜9.6,給水中の溶存酸
素濃度は10ppb以下、かつ流速は3.5m/sec)では黒さび
皮膜、四三酸化鉄Fe3O4が形成され、その上にスケール
が付着する。
ここで、母材上に形成される皮膜が赤さび(Fe2O3
となるか黒さび(Fe3O4)となるかは、酸化する時の温
度で定まり、150℃以下では赤さび、200℃以上では黒さ
びとなる。そしてこの黒さびの付着量は第4図からも明
らかなように給水の温度と給水の流速によつても変化
し、第5図aの高流速高温状態ではスケールが付着しや
すくなつている。この赤さびと黒さびとは母材からの鉄
の溶出を防止するという点では共通の性質を有するが、
赤さびが剥離しないのに対し、黒さびでは剥離しやすく
剥離して黒さび自身が循環して新たなスケールとして他
の場所に付着するという問題を有する。
このようなことから、第5図aとbのクリーンアツプ
方式について比較してみると、aの場合にはクリーンア
ツプ前に給水系統に存在した鉄分をブロー又は復水脱塩
装置により除去しつつ、その一方でクリーンアツプ運転
によりチユーブ上に新たな黒さびを形成しており、これ
がスケールとして循環することになるため、給水中の鉄
分濃度がすぐには減少しない。この点本発明では、剥離
しない赤さびを形成するため鉄分の新たな溶出はなく従
つてクリーンアツプ前に給水系統に存在した鉄分が系外
に除去されれば、給水中の鉄分濃度は速やかに減少す
る。
第3図は以上説明した本発明方法を高圧給水加熱器を
対象として実運転したときの実施実績を示しており、同
図(a)は高圧給水加熱器出口給水温度と脱気器貯水温
度、(b)は脱気器への補助蒸気量、(c)は循環流
量、(d)は高圧給水加熱器出口全鉄(イオン化鉄+懸
濁鉄)濃度を表わす。この実運転においては、給水加熱
器加温のために5時間ほどかけて補助蒸気量を増加さ
せ、過渡的に循環流量を減少させて高圧給水加熱器出口
給水温度を約120℃に上昇させた。尚、この状態では給
水加熱器出口給水温度と脱気器貯水温度はほぼ同じであ
り、給水温度が120℃に加温された結果、第4図で説明
したように腐食量が増大し鉄分濃度が上がる。次に、給
水が120℃に達した状態で給水加熱器バイパス弁を開き
給水加熱器出入口弁を閉じて10時間ほどバンキングを行
ない給水加熱器内を均一に120℃に保持した。このとき
脱気器への補助蒸気量を減少させて脱気器貯水温度は約
50℃としておく。次に高圧給水加熱器内の給水をドレン
弁51から排出して弁50により給水加熱器内に大気導入
し、3時間ほど乾燥放置した、最後に高圧給水加熱器に
再度給水(約50℃)を導入し、いわゆる高圧クリーンア
ツプ運転(系外ブロー及び給水の循環)を行なつたとこ
ろ、クリーンアツプ開始から約2時間で鉄分濃度は目標
値である50ppb以下の20ppbに急速に減少した。この一連
の処理に要した時間は約26時間であるが、従来高圧クリ
ーンアツプ運転のために3日以上かかつていることと比
較すると約1/3の時間で目標鉄分濃度を達成できた。
通常、給水系統の給水と接触する全機器表面積の80%
は給水加熱器であるといわれており、この部分に大気導
入し乾燥放置することは鉄分濃度を減少させる上で大き
な意味がある。
以上の本発明の原理について更に言及すると、鉄の腐
食反応は一種の電極反応であり、水素イオンH+又は水
酸イオンOH-濃度が関係する。そこで、鉄の電位と水素
イオン濃度の対数すなわちpH,pH=−log[H+]と電位
の関係を示したFe−水系のプルベイ線図を第7図に示し
て説明すると、火力発電プラントで行なわれている給水
へのアンモニア注入により、pHを9.3〜9.6にすると、第
7図中の電位が0で中性pH=7の点Dより第7図中の点
Gに移動することになりFeの腐食域から不働態域に接近
して来る。また、酸化済O2又はH2O2を添加する事により
第7図中のG点よりF点に移動させることになる。中性
水中では、D点よりC点に移動させていることになり、
両者ともにFeの腐食域から不働態域への移動を意味す
る。第7図中のD点→A点、又はG点→E点への移動は
中性又はアルカリ性水中での鉄の外部電源による不活性
域まで電位を低下させる防食対策の一例を示す。本発明
では前者の原理を利用してFeの表面に安定な酸化鉄皮膜
Fe2O3を形成して鉄の防食を行ない効果的なクリーンア
ツプを行なうものである。
第2図は、低圧クリーンアツプ系統に本発明を適用し
た例であり、その他の構成は第1図と全く同じであるの
でこの部分の構成・動作についてのみ説明する。
この第2図においては、まず弁9,12,14,17,31,32を閉
じ、弁13,18,52,55,56を開いて3−4−5−6−7−13
なる循環路を形成するとともに、脱気器19に補助蒸気を
導入し温給水で給水加熱器10,11,15,16を加温する。こ
のあと給水加熱器は弁52,9,12,14,17が閉じられてバン
キングされ、この間復水の循環は例えば3−4−5−6
−7−13−18−19−32−3のルートで行なわれる。次に
十分なるバンキングのあと弁59,54が開放され給水加熱
器内の復水の排水及び大気導入が行なわれ、その後乾燥
放置される。そして最後に、3−4−5−6−7−10−
11−12−14−15−16−17−19−32−3のルートで、通常
のクリーンアツプ処理が行なわれる。この低圧系統のク
リーンアツプの場合にも前記したと同様の効果が得られ
ることは言うまでもない。
以上、高圧給水加熱器と低圧給水加熱器のチユーブに
赤さびを積極的に形成して早期クリーンアツプ完了を図
るための手法について説明したが、その他の給水系統内
の配管等についても同様の手法により赤さびを形成する
ことが可能であることは言うまでもない。また本発明で
は温給水として100−120℃のものを与える例について説
明したが、これは赤さびを形成できる温度であればよ
く、このためには150℃以下の温度の給水が与えられれ
ばよい。但し、150℃以下であつても高温であるほど赤
さび形成の進行速度は早く早期完了が期待できるが、そ
の分多くの補助蒸気を必要とすることからこれらの事情
を考慮して適宜の温度を選択すべきである。また以上の
実施例では温水供給後、給水加熱器の前後を閉めきつて
バンキングを行なう例について述べているが、この処理
はチユーブ内に均一に加温できればよいのであつて省略
することもできる。この場合に給水が循環することでス
ケール付着が懸念されるが第4図に示すように給水温度
が低ければ殆ど問題になることはない。
〔発明の効果〕
以上述べたように、本発明は従来のプラント保管思想
あるいはクリーンアツプ思想上では鉄分や錆の発生上タ
ブーとされていた空気との接触(従来のものは給水中の
溶存酸素濃度をわずかに変更する程度のものであつた)
を大気開放、乾燥放置という手法で積極的に行なうこと
により、赤さびを形成させ早期クリーンアツプの完了を
図ることができたものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明のクリーンアツプ法を高圧給水加熱器
に適用したときの系統図、第2図は低圧給水加熱器に適
用したときの系統図、第3図は本発明によりクリーンア
ツプが早期完了することを示す実機実績、第4図は鉄の
腐食量とスケール付着量と温度との関係を示す実測デー
タ、第5図は、四三酸化鉄(黒錆)と三二酸化鉄(赤
錆)の形成状況を図示した図、第6図は鉄の分極反応を
説明するための図、第7図は、鉄の電位とpHと腐食域と
不働態域の関係を示すFe−水系のプルベイ線図である。 3……復水ポンプ、6……復水ブースタポンプ、9……
低圧1,2給水加熱器入口弁、10……低圧第1給水加熱
器、11……低圧第2給水加熱器、12……低圧第2給水加
熱器出口弁、13……低圧1,2給水加熱器バイパス弁、14
……低圧第3給水加熱器入口弁、15……低圧第3給水加
熱器、16……低圧第4給水加熱器、17……低圧第4給水
加熱器出口弁、18……低圧3,4給水加熱器バイパス弁、1
9……脱気器、20……ボイラ給水ポンプ用ブースタポン
プ、22……ボイラ給水ポンプバイパス弁、24……高圧給
水加熱器入口弁、25……高圧第1給水加熱器、26……高
圧第2給水加熱器、27……高圧第3給水加熱器、28……
高圧給水加熱器出口弁、29……高圧給水加熱器バイパス
弁、30……高圧クリーンアツプ止弁、31……低圧クリー
ンアツプブロー弁、32……低圧クリーンアツプ循環弁、
33……高圧クリーンアツプ循環弁、34……高圧クリーン
アツプブロー弁、35……補助蒸気供給弁、50……高圧給
水加熱器水室ベント弁、51……高圧給水加熱器水室ドレ
ンブロー弁、52a,b……低圧第3,4又は1,2給水加熱器温
水注入弁、54a,b……低圧第3,4又は1,2給水加熱器水室
ベント弁、55,56……低圧第3,4又は1,2給水加熱器復水
回収弁、59a,b……低圧第3,4又は1,2給水加熱器水室ド
レン弁。
フロントページの続き (72)発明者 堀川 頼昭 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式 会社日立製作所日立工場内 (72)発明者 山野辺 巧 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式 会社日立製作所日立工場内 (72)発明者 鈴木 達夫 東京都千代田区内幸町1丁目1番3号 東京電力株式会社内 (56)参考文献 特開 昭56−116983(JP,A) 特開 昭50−83242(JP,A) 実開 昭61−192108(JP,U)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】脱気器にて給水を加熱し給水加熱器に導く
    給水系統において、その起動時に脱気器に補助蒸気を導
    入して給水を加熱し加熱復水を給水加熱器に導く過程、
    給水加熱器の前後弁を閉止して給水加熱器内を暖める過
    程、給水加熱器の前後弁を閉止したまま、給水加熱器内
    の給水を排出して大気を導入し乾燥放置する過程、給水
    加熱器内に給水を導入し、脱気器からの給水を循環させ
    る過程とからなる給水系統のクリーンアップ方法。
  2. 【請求項2】復水器からの復水を給水加熱器を経由して
    脱気器に導く給水系統において、起動時に復水器からの
    復水を給水加熱器をバイパスして脱気器に導くととも
    に、脱気器からの復水を給水加熱器に導く過程、脱気器
    に補助蒸気を導入して復水を加熱し加熱復水を給水加熱
    器に導く過程、給水加熱器の前後弁を閉止して給水加熱
    器内を暖める過程、給水加熱器の前後弁を閉止したま
    ま、給水加熱器内の復水を排出して大気を導入して乾燥
    放置する過程、給水加熱器内の復水を導入し復水を循環
    させる過程とからなる給水系統のクリーンアップ方法。
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