JP2549896B2 - 多重気相式潮汐差発電装置 - Google Patents

多重気相式潮汐差発電装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は海水の潮汐差を利用した発電装置に関する。
〔従来の技術〕
従来、海水の潮汐差を利用した発電装置は公知であ
る。例えば、海面上にコンクリート構体の気密空室を設
け、この気密空室内に海水の潮汐の変動を利用して海水
を導排水すると共に、この潮汐の変動による気密空室内
の空気流のエネルギーを機械エネルギーや電気エネルギ
ーに変換するようにしたものである。
〔発明が解決しようとする課題〕
然しながら従来より行われているこの種装置では空気
流のエネルギーを電気エネルギーに変換するための原動
機、発電機等の装置や気密室内には原動機等に空気を送
るための弁体等の手段が大型化し、而も構造が複雑とな
り、高価になる等の不都合があった。そして、いずれも
この種装置においては、圧縮空気を多層にわたって蓄積
し、これを電気エネルギーに変換させたものはなかっ
た。
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、
簡単な構造により海水の潮汐差のエネルギーによる圧縮
空気を生成し、この圧縮空気の利用によって発電を容易
かつ効率的に行うことが出来るようにした多重気相式潮
汐差発電装置を提供することを目的としている。
〔課題を解決するための手段〕
前記問題点を解消するため、本発明は潮汐差のある自
然海の中に下面が開放されて空気を留置できる各容器を
所定間隔をおき平行して多段状に固定した第1の容器群
と、潮汐差がない人工ダムの中に下面が開放されて空気
を留置できる各容器を所定間隔をおき平行して多段状に
固定した第2の容器群と、前記第1の容器群と前記第2
の容器群との間を交互に連通する通気パイプと、この通
気パイプに設けられ、前記第1の容器群の最上部の容器
から開始して前記第2の容器群の最下部の容器へと空気
を留置して移送するように調整することができるバルブ
を設けたことを特徴としている。
〔作用〕
満潮時に第1の容器群内に生成された圧縮空気は通気
パイプを介して第2の容器群に送られてその空気圧を維
持する。そして、第2の容器群に蓄積された圧縮空気を
干潮時により高圧にして第2の容器群に移送する。この
操作を繰り返すことによって潮汐差エネルギーを高圧の
圧縮空気に蓄積して発電機に作動させる。
〔実施例〕
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
図面中、第1図A及びBは第1、第2回目の干潮時で
の第1の容器群10における空気の留置状態を示す。第2
図C及びDは第1、第2回目の満潮時での第1の容器群
10における空気の留置状態を示す。第3図は第2図Cに
示す満潮時に得た圧縮空気を人工ダム12の第2の容器群
11に蓄積させるために通気パイプPを介して移送する状
態を示す。第4図は干潮時の第1の容器群10に第2の容
器群11に蓄積された圧縮空気を通気パイプPを介して移
送する状態を示す。
第1の容器群10は本実施例では4個の容器1、2、
3、4で構成されている。この4個の容器1、2、3、
4は下面が開放された容器であって、その内部に空気が
留置されるようになっている。そして、この4個の容器
1、2、3、4間に所定間隔を有して多段にわたり潮汐
差のある自然海Sに立設されている。この容器1、2、
3、4の海水への固定は、例えば、海底に支持柱を立設
し、この支持柱に容器1、2、3、4を固着するように
する。第2の容器群11は第1の容器群10と同様に4個の
容器5、6、7、8から構成され、前記容器1、2、
3、4と同じ構造となっている。そして、この容器群11
は潮汐差のない人工ダム12に設けられている。
そして、第1の容器群10と第2の容器群11との間に送
気用の通気パイプPが架設されている。この通気パイプ
Pは各段の容器1、2、3、4と容器5、6、7、8に
連結され、容器1、2、3、4と容器5、6、7、8の
上面隔離部に連通され、空気の移送により容器1、2、
3、4と容器5、6、7、8内部に空気が貯溜されるよ
うになっている。即ち、満潮時において圧縮空気を移送
するための通気パイプPが容器1と容器5との間、容器
2と容器6との間、容器3と容器7との間、容器4と容
器8との間に夫々連結されている。一方、干潮時におい
てより高圧となった圧縮空気を移送するための通気パイ
プPが容器5と容器2との間、容器6と容器3との間、
容器7と容器4との間に夫々連結されている。図示例で
は、容器1と容器5及び容器5と容器2とを連結する通
気パイプPが図示され、他の通気パイプの図示は省略し
てある。
Qは通気パイプPの作動を制御するバルブである。こ
のバルブQは前記通気パイプPの夫々に設けられ、この
バルブQの開閉動作によって容器群10、11に留置された
圧縮空気の移送を制御するようになっている。
このように構成された本発明では、第1図Aに示すよ
うに、干潮時には最上段の容器1は海面上にあって容器
1内に空気が留置されている。この時、容器2、3、4
は水中にあるので空気は留置されていない。そして、第
2図に示す満潮時に至ると、容器1内の空気は圧縮空気
となって容器1内に留置される。この容器1内の圧縮空
気を第1の容器群10の最上段の容器1と第2の容器群11
の最上段の容器5との間に連結された通気パイプPによ
り、バルブQの開放によって容器1の圧縮空気を容器5
に移送し、その空気圧を維持して容器5内に蓄積する
(第2図参照)。その後、干潮時において、前記容器5
内に蓄積された圧縮空気を今度は容器2に連結された通
気パイプPにより、バルブQの開放によって容器5の圧
縮空気を第1の容器群10の第2段目の容器2に移送する
(第4図参照)。このようにして第2段目の容器2(第
1図Bに図示する状態の容器)に通気パイプPによって
圧縮空気が蓄積される。
上記した作業を段階的に繰り返して最下段の容器4と
容器8に圧縮空気を留置することにより、高圧の圧縮空
気が連続的に生成される。このようにして得た潮汐差A
を圧縮空気に蓄積し、発電機にこの圧縮空気を作動させ
て発電を効率的に行うことが可能となる。本発明におい
ては、人工ダム12の容器5、6、7、8に蓄える順序は
最も高い圧力の圧縮空気を最初に最下段に行うことが望
ましい。すると、より低圧の圧縮空気が最下段の容器に
蓄積される。逆に、人工ダム12の中より圧縮空気を得る
時は、上段の容器にある圧縮空気から移送する。このよ
うにして、第1の容器群10と第2の容器群11とに多段に
わたって圧縮空気が滞留する利点があり、高効率の発電
に利用できる利点がある。
本発明によれば、圧縮空気を移送する毎に潮汐差エネ
ルギーは減少するが、潮汐差エネルギーは連続的に発生
するので問題はない。潮汐差エネルギーの減少は圧縮空
気を移送するのに潮汐差エネルギーの一部が失われるこ
と、移送用のパイプが死腔として圧縮空気が滞留する必
要があること、更に、海水中に少しづつ溶けていくこと
がその原因である。しかし、これらの問題は死腔には連
続運転すること、空気と触れる海水の動きを最小にして
空気中の成分の窒素や酸素が溶けるのを最小にすること
で、対処出来る。
〔発明の効果〕
本発明によてば、圧縮空気が多段にわたって貯溜させ
ることができ、高圧の圧縮空気を連続的に生成すること
が可能となり、構造的にも簡素化され、その操作も簡便
となりこの種装置にとって極めて有用なものを提供出来
る利点がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は干潮時での第1の容器群における空気の留置状
態を示す説明図、第2図は満潮時での第1の容器群にお
ける空気の留置状態を示す説明図、第3図は第1の容器
群に蓄えられた圧縮空気を第2の容器群に移送する状態
を示す説明図、第4図は第2の容器群に蓄えられた圧縮
空気を第1の容器群に移送する状態を示す説明図。 1、2、3、4、5、6、7、8……容器、10……第1
の容器群、11……第2の容器群、12……人工ダム、P…
…通気パイプ、Q……バルブ。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】潮汐差のある自然海の中に下面が開放され
    て空気を留置できる各容器を所定間隔をおき平行して多
    段状に固定した第1の容器群と、潮汐差がない人工ダム
    の中に下面が開放されて空気を留置できる各容器を所定
    間隔をおき平行して多段状に固定した第2の容器群と、
    前記第1の容器群と前記第2の容器群との間を交互に連
    通する通気パイプと、この通気パイプに設けられ、前記
    第1の容器群の最上部の容器から開始して前記第2の容
    器群の最下部の容器へと空気を留置して移送するように
    調整することができるバルブを設けたことを特徴とする
    多重気相式潮汐差発電装置。
JP63236962A 1988-09-21 1988-09-21 多重気相式潮汐差発電装置 Expired - Fee Related JP2549896B2 (ja)

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