JP2549646B2 - 液圧作動流体組成物 - Google Patents

液圧作動流体組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、液圧作動流体組成物、特に液圧ブレーキ及
びクラッチ系統に使用される安定性の優れた作動流体組
成物に関するものである。
(従来の技術) 従来の液圧作動流体組成物より成るブレーキ液として
は、吸湿性の大きいポリオキシアルキレングリコール及
びポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテ
ル類などが主に用いられている。
一方近年、道路設備の充実により、自動車のスピード
の増大、交通量の増加及びディスクブレーキの普及によ
ってブレーキ系統にかかる負担は益々大きくなってき
た。この様な背景から長期間の使用にも高い沸点を有す
るブレーキ液が要求されている。この要求に応えるべく
高沸点ブレーキ液の一つにほう酸エステルを多量に含有
するタイプがある。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら従来の前者のポリオキシアルキレングリ
コールおよびポリアルキレングリコールモノアルキルエ
ーテル類等よりなるブレーキ液は、大気中の湿気を吸収
することにより、沸点が著しく降下するという問題点が
ある。
また後者のほう酸エステルを多量に含有するブレーキ
液では、含水時の沸点降下は小さいが、ほう酸エステル
を含有することにより吸湿性が増大する。従って、低温
時の粘度が高くなり、ブレーキの応答性が悪化するとい
う問題点が有る。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、上記従来の問題点を解決すべく種々研
究の結果、ほう酸エステルを含有した従来のブレーキ液
とは本質的に異なる吸湿性の少ない、米国自動車安全基
準FMVSS No.116のDOT 4規格に合格するブレーキ液を開
発した。
すなわち、本発明の第1の発明の液圧作動流体組成物
は、下記(イ),(ロ)から成り、吸湿性の少ないこと
を特徴とする。
(イ) 次の一般式 (式中のR1及びR2は、エチレン基またはプロピレン基で
あり、n及びmは0〜6を示す)で表される平均アルキ
レンオキシド付加数が0.5〜1.8であるポリオキシアルキ
レングリコールモノベンジルエーテルを全重量の20〜90
%及び (ロ) 次の一般式 R3O(R1′O)(R2′O)lH ………(2) (式中のR1′及びR2′は、エチレン基またはプロピレン
基であり、R3は水素原子または炭素数1〜4のアルキル
基を示す。またk及びlは0〜5を示す。但し、k及び
lは同時に0となる場合を除く。)で表されるポリオキ
シアルキレングリコールモノアルキルエーテルを全重量
の10〜80%含むものである。
また、本発明の第2の発明の液圧作動流体組成物は、
下記(イ),(ロ),(ハ)から成り、上記第1の発明
よりも更に吸湿性の少ないことを特徴とする。
(イ) 次の一般式 (式中のR1及びR2は、エチレン基またはプロピレン基で
あり、n及びmは0〜6を示す)で表される平均アルキ
レンオキシド付加数が0.5〜1.8であるポリオキシアルキ
レングリコールモノベンジルエーテルを全重量の20〜80
%、 (ロ) 次の一般式 R3O(R1′O)(R2′O)lH ‥‥‥(2) (式中のR1′及びR2′は、エチレン基またはプロピレン
基であり、R3は水素原子または炭素数1〜4のアルキル
基を示す。またk及びlは0〜5を示す。但し、k及び
lは同時に0となる場合を除く。)で表されるポリオキ
シアルキレングリコールモノアルキルエーテルを全重量
の10〜50%及び (ハ) 次の一般式 (式中のR5,R6,R8及びR9は、エチレン基またはプロピレ
ン基、R7及びR10は、メチル基またはエチル基、R4は炭
素数1〜4のアルキレン基、p,q,r及びsは0〜4を示
す。但し、p,qが同時に0及びr,sが同時に0となる場合
を除く。)で表される二塩基酸エステルを全重量の0〜
50%含むものである。
(作 用) 式(1)のポリオキシアルキレングリコールモノベン
ジルエーテルはブレーキ液としての動粘度、ゴム膨潤性
及び吸湿性を確保するため用いるものであり、このポリ
オキシアルキレングリコールモノベンジルエーテルの動
粘度、ゴム膨潤性及び吸湿性は、平均アルキレンオキシ
ド付加数で決定され、この平均付加数が0.5未満ではゴ
ム膨潤性が大きくなりすぎ、また1.8を越えると動粘度
が大きくなりすぎかつ吸湿傾向も増大するため使用上好
ましくない。そして平均付加数を0.5〜1.8の範囲内に定
めるには、エチレン基あるいはプロピレン基の付加数を
6以下にする必要がある。
なお第1の発明において、成分(イ)の配合量を全重
量の20〜90重量%としたのは、20重量%未満では低吸水
の効果が認められず、一方90重量%を越えると粘度が高
くなり過ぎまたゴム膨潤度が大となり、好ましくない。
また、成分(ハ)を併用する第2の発明においては、
成分(イ)の配合量が全重量の20重量%未満では低吸水
の効果が認められず、一方80重量%を越えると粘度が高
くなり過ぎまたゴム膨潤度が大となり、好ましくないの
で全重量の20〜80重量%とする。
次に成分(ロ)の式(2)で表されるポリオキシアル
キレングリコールモノアルキルエーテルは、動粘度、ゴ
ム膨潤等を適正にすべき調整剤の役割を果たすものであ
り、式(2)においてR3基の炭素数が5以上ではゴム膨
潤が大となり、また粘度も大となり好ましくない。ま
た、粘度、ゴム膨潤を適正な範囲におさめるためにはk
及びlは0〜5である。但し、k及びlは同時に0とな
る場合を除く。
尚、第1の発明においては、成分(ロ)の配合量は、
10重量%未満ではその効果がなく、80重量%を越えると
吸湿性が低下して効果がなくなるので全重量の10〜80重
量%とする。
また、成分(ハ)を併用する第2の発明においては、
成分(ロ)の配合量は、10重量%未満ではその効果がな
く、50重量%を越えると吸湿性が低下して効果がなくな
るので全重量の10〜50重量%とする。
また、第2の発明においては、成分(ハ)の式(3)
で表される二塩基酸エステルは吸湿性を下げる役割を果
たすものであり、多量に使用すると、含水時に加水分解
が起こりやすくなり、pHの低下、金属部品の腐蝕につな
がるので、配合する場合には50重量%以下、好ましくは
20重量%以下の分量とする。
尚式(3)においてR4基はアルキレン基であるが、炭
素数が5以上では粘度が大となり好ましくない又p,q,r,
sは5以上ではやはり粘度が大となり好ましくない。
本発明の液圧作動流体には、酸化防止剤および金属防
錆剤を添加物として使用することができる。
(実施例) 以下本発明を実施例および比較例により説明する。
但し、実施例中のポリオキシアルキレングリコールモ
ノベンジルエーテルはすべて平均アルキレンオキシド付
加数を示す。
実施例1 次に示す成分を配合して液圧作動流体組成物を作製し
た。
実施例2 次に示す成分を配合して液圧作動流体組成物を作製し
た。
実施例3 次に示す成分を配合して液圧作動流体組成物を作製し
た。
実施例4 次に示す成分を配合して液圧作動流体組成物を作製し
た。
実施例5 次に示す成分を配合して液圧作動流体組成物を作製し
た。
比較例1 次に示す成分を配合して液圧作動流体組成物を作製し
た。
〔CH3O(C2H4O)3B −75重量% CH3O(C2H4O)3H −9 〃 C2H5O(C2H4O)4H −16 〃 比較例2 次に示す成分を配合して液圧作動流体組成物を作製し
た。
CH3O(C2H4O)3H −50重量% CH3O(C2H4O)2H −27 〃 C4H9O(C2H4O)(C3H6O)mH −23 〃 (分子量:1200) 上記実施例1〜5及び比較例1〜2の組成物につい
て、FMVSS No.116規格に基づいて、沸点、ウェット沸
点、動粘度及びゴム膨潤の項目を調べ、得た結果を表1
に示す。
又、吸湿性については、FMVSS No.116のウェット沸点
試験方法に従ってSAE RM−1が3.5w/w%に達した時の比
較値を表2に、この吸湿量の時の−40℃における動粘度
を表3に示す。
(発明の効果) 以上説明してきたように、第1の発明の液圧作動流体
組成物は、式(1)のポリオキシアルキレングリコール
モノベンジルエーテルを20〜90重量%、式(2)のポリ
オキシアルキレングリコールモノアルキルエーテルを10
〜80重量%含むものであり、また、第2の発明の液圧作
動流体組成物は、式(1)のポリオキシアルキレングリ
コールモノベンジルエーテルを20〜80重量%、式(2)
のポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテ
ルを10〜50重量%、式(3)の二塩基酸エステルを0〜
50重量%含む構成にしたことにより、表1〜3の結果か
もら明らかなように、FMVSS No.116規格に合格し、また
比較例の組成物に比し吸湿性並びに吸湿時の動粘度も低
く、優れた安定性を有するという効果が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 40:08 (56)参考文献 特開 昭58−29898(JP,A) 特開 昭63−66293(JP,A) 特開 昭63−17994(JP,A) 特公 昭49−8669(JP,B1)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(イ) 次の一般式 (式中のR1及びR2は、エチレン基またはプロピレン基で
    あり、n及びmは0〜6を示す)で表される平均アルキ
    レンオキシド付加数が0.5〜1.8であるポリオキシアルキ
    レングリコールモノベンジルエーテルを全重量の20〜90
    %及び (ロ) 次の一般式 R3O(R1′O)(R2′O)lH ‥‥‥(2) (式中のR1′及びR2′は、エチレン基またはプロピレン
    基であり、R3は水素原子または炭素数1〜4のアルキル
    基を示す。またk及びlは0〜5を示す。但し、k及び
    lは同時に0となる場合を除く。)で表されるポリオキ
    シアルキレングリコールモノアルキルエーテルを全重量
    の10〜80%含有したことを特徴とする液圧作動流体組成
    物。
  2. 【請求項2】(イ) 次の一般式 (式中のR1及びR2は、エチレン基またはプロピレン基で
    あり、n及びmは0〜6を示す)で表される平均アルキ
    レンオキシド付加数が0.5〜1.8であるポリオキシアルキ
    レングリコールモノベンジルエーテルを全重量の20〜80
    %、 (ロ) 次の一般式 R3O(R1′O)(R2′O)lH ‥‥‥(2) (式中のR1′及びR2′は、エチレン基またはプロピオ基
    であり、R3は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基
    を示す。またk及びlは0〜5を示す。但し、k及びl
    は同時に0となる場合を除く。)で表されるポリオキシ
    アルキレングリコールモノアルキルエーテルを全重量の
    10〜50%及び (ハ) 次の一般式 (式中のR5,R6,R8及びR9は、エチレン基またはプロピレ
    ン基、R7及びR10は、メチル基またはエチル基、R4は炭
    素数1〜4のアルキレン基、p,q,r及びsは0〜4を示
    す。但し、p,qが同時に0及びr,sが同時に0となる場合
    を除く。)で表される二塩基酸エステルを全重量の0〜
    50%含有したことを特徴とする液圧作動流体組成物。
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