JP2546551B2 - γ及びβ二相TiAl基金属間化合物合金及びその製造方法 - Google Patents
γ及びβ二相TiAl基金属間化合物合金及びその製造方法Info
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- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C14/00—Alloys based on titanium
Description
微細組織のTiAl基金属間化合物合金及びその製造方
法に関する。
はみられない特異な性質を持つものが多く、機能性材料
あるいは構造用材料としての利用が研究されている。そ
の中で、Ni3Al,TiAl等は、温度が上昇するに
従って強度が低下せず上昇するという強度の正の温度依
存性を示し耐熱材料としての期待が高まっている。特に
TiAlは比重が3.8と軽量耐熱材料として、航空機
用材料への応用をめざし研究開発がされている。TiA
lを含めて金属間化合物の多くは一般の金属に比べて変
形能に乏しい性質を有し、室温での延性改善について多
くの研究がなされてきた。TiAl基金属間化合物につ
いては、その延性改善のため第三元素としてCrを添加
する例が、米国特許第4842819号公報、特開昭6
4−42539号公報、特開平1−259139号公報
などで開示されているが、いずれもCr添加による結晶
粒の微細化のみを意図したものである。
工し組織制御を施し、その変形能を向上しようとする試
みが行われている。例えばTiAl二元系合金の恒温鍛
造法については、製造方法が公開されている(特開昭6
3−171862号公報)。恒温鍛造処理の結果、結晶
粒径10〜20μmの等軸晶が得られ、800℃までの
高温での変形応力は向上したが、室温延性の改善は見ら
れなかった。さらに、重量%で33.5%Al−2%M
o−0.05%B−0.09%O残部Tiの金属間化合
物を熱間加工(熱間押出、恒温鍛造)によって結晶粒を
微細化し、高温での機械的特性を調べた結果、800℃
で80%を越える超塑性的伸びが得られた報告(日本金
属学会秋期大会シンポジウム講演概要(1989)P.
238)がある。信木らは、重量%で35%Al残部T
iを恒温鍛造することにより、平均粒径13μmの結晶
粒に制御し、高温引張試験の結果、歪速度感受性指数m
値が0.3以上を見いだした。さらに887℃〜104
7℃の間で温度を繰り返し急変して歪速度10−3s
−1で引張試験を行った結果220%の破断伸びが得ら
れたとの報告をしている(日本金属学会秋期大会シンポ
ジウム講演概要(1989)P.245)。
としてMoを添加して恒温鍛造を行い、γ粒内にβ相を
析出せしめた例が第53回超塑性研究会資料(199
0,1,30,1〜5頁)に報告されているが、そのm
値は1273Kで歪速度が5×10−4s−1よりも遅
い場合に0.3以上を示し、これ迄に得られた最高伸び
は230%であるとしている。
物は常温での延性が低いのみならず、高温においても通
常の金属に比べて加工性にすぐれているとは言えない。
上述の文献の内、日本金属学会秋期大会シンポジウム講
演概要(1989)P.245に開示されているよう
に、887℃〜1047℃の間の温度を繰り返し急変す
るような特別な加熱冷却処理を行っても歪速度10−3
s−1での引張試験を行った結果、せいぜい220%の
破断伸びしか得られてなく、また、第53回超塑性研究
会資料の報告でも1273K(約1000℃)の温度、
歪速度5×10−4s−1よりも低い場合(歪速度の明
確な記載がない。歪速度が遅い程破断伸びは大きくな
る。)での引張試験で得られた最高伸びが230%とあ
るに過ぎない。
軽量、耐熱性、高強度等の特性を有しているためたとえ
ば、スペースプレーンにおける超音速航空機や宇宙往還
機の機体表層部等の主要部品材料または自動車用エンジ
ンのバルブ材やターボチァージャーのローター等の自動
車部品等に適応が検討され、その加工延性の一層の向上
が求められている。本発明は従来技術では得られなかっ
た大きな破断伸びとm値を有する新規なTiAl基合金
及びその製造方法を提供するものである。更に本発明は
TiAl基金属間化合物特有の降伏強度を一層高めたT
iAl基合金を提供するものである。
達成するためにTiAl基金属間化合物合金(以下Ti
Al基合金と云う)に関し、鋭意研究を重ねた結果、T
i成分とAl成分の特定の組成範囲において、Crを第
三成分として添加し、これに均質化熱処理と所定の高温
加工処理を施すことによって、微細なγ粒の粒界にβ相
を析出せしめ、このβ相の延伸効果、結晶粒微細効果に
より容易に超塑性現象を得て、極めて高能率にTiAl
基合金を加工変形し得ることに成功したのである。
CrX但し、1%≦X≦5%、47.5%≦Y≦5
2%、X+2Y≧100%を基本成分とし、さらに結晶
組織が欠陥のない均質な30μm以下の等軸γ粒とその
粒界に析出したβ相からなる2相合金であり、しかも超
塑性現象の十分条件を満たすTiAl基合金である。上
記超塑性加工が可能なCr添加TiAl基合金は上記成
分のTiAl基合金に1000℃以上固相線温度以下
で、2〜100時間保持の均熱化処理と高温加工処理、
たとえば1100℃以上で歪速度5×10−3s−1以
下、加工率60%以上の恒温鍛造を行うことによって得
られる。
によって、高温変形能に優れた材料を得ようと鋭意研究
した結果を以下に説明する。先ずTiAl二元系では、
TiAl(γ)相は室温ではAlが49〜55%(原子
%、以下同じ)で単相領域を形成するが、室温変形能に
富む組成はTi3Al(α2)とγ相が交互に層状に析
出したラメラー相を形成する、Al濃度で40〜49%
の組成領域である。その内、ラメラー相を構成するα2
相の体積分率が高くなると、微細ラメラー組織が形成さ
れず、Al濃度で47〜49%で最も室温変形能に富む
といわれている(日本金属学会秋期大会一般講演概要集
1988.11.P498)。しかし、ラメラー相は1
185℃以上では不安定で変態を起こすために、高温変
形能の確保を目的とした本発明には適用できない。
の影響は、加工性の低下であることから、本TiAl基
金属間化合物合金においても溶製段階での酸素、水素等
のピックアップを可能な限り低減させる必要がある。
0.007wt.%、水素量0.0005wt.%のγ
単相高純度TiAl二元系材料を溶製し、先ずスタート
にその組織および機械的性質を調べた。1050℃で4
8時間の均質化熱処理を施すことにより、平均粒径が1
00〜200μm程度の不均一粗大結晶粒が得られた。
高温引張試験の結果、約1000℃で50%の伸び値が
得られたが、試料は全てネッキングを呈して破断してお
り、高温変形能の確保、即ち超塑性の発現には及ばない
と考えられる。
金属間化合物の再結晶温度よりも高温域で、しかも低歪
速度で変形し動的再結晶によって結晶粒制御を行うため
に、恒温鍛造を行った。この結果、結晶粒径約25μm
以下の等軸な微細粒が得られたが、高温(800〜13
00℃)における引張試験を行ったところ、1000℃
以上で170%の破断延びが得られたに過ぎなかった。
間化合物に第三元素としてCrを添加し、溶解後のイン
ゴットを均質化熱処理したところ、上記TiAl二元系
金属間化合物に比べて結晶粒径は更に細かくなり、40
〜100μmの細かな等軸組織が得られた。この場合、
高純度TiとAlを溶解原料とし、プラズマアーク溶解
等の汚染の少い、成分的中率の優れた溶解法で溶製する
ことが好ましい。
されたCr添加TiAl基合金に種々の高温加工処理を
施したところ、或る成分範囲の合金に所定の均質化熱処
理及び高温加工を行うと、1200℃、歪速度5×10
−4s−1における歪速度感受性指数m値0.40以
上、破断伸びが400%以上という驚ろくべき超塑性現
象を得ることができた。
明者らは次のような実験を行った。試料として二元系T
iAl金属間化合物(試料(A))とCr添加TiAl
基合金(試料(B))を選択し、プラズマ・アーク溶解
によって目標成分系組成がTi−50at%Al及びT
i−47at%Al−3at%Crのインゴットを溶製
し、1050℃96時間の均質熱処理を施した後、高温
加工処理用試験片35φ×42mmを放電加工によって
切出した。本実験では高温加工処理として以下のような
恒温鍛造を施した。恒温鍛造用の金型としてグラファイ
トを使用し、1×10−4Torr程度の真空雰囲気中
において、炉温を1200℃,1300℃に設定し、初
期歪速度5×10−4s−1、圧下率60〜80%の範
囲で変化させた。恒温鍛造によって組織制御したTiA
l材及びTiAlCr材からゲージ長さ11.5×3×
2mmの引張試験片を加工し、室温〜1200℃におい
て、歪速度を5.4×10−4〜5.4×10−2s
−1の範囲で変化させて引張試験を行った。
鏡組織を確認したところ、(1)プラズマアーク溶解に
よる溶製鋳塊では試料(A)(B)ともに(γ+α2)
層状組織であり、(2)均質化熱処理後では両試料とも
層状組織は殆んど消失して等軸晶となっており、試料
(A)の粒径は100〜200μm、試料(B)の粒径
は100μm程度であった。(3)恒温鍛造後ではいず
れの試料も再結晶によって更に微細となり、試料(A)
は粒径25μm、試料(B)は粒径18μmとなった。
ことを考慮し、恒温鍛造条件は加工度60%、初期歪速
度5×10−4s−1、鍛造温度1200℃とした。一
方試料(B)は、TiAl−Cr三元系で、加工度及び
初期歪速度は同じだが、鍛造温度は1300℃とした。
試料(A),(B)で鍛造温度を統一しなかった理由
は、試料(A)は、鍛造温度が高くなるほど再結晶後の
粒成長が進行し、再結晶粒の粗大化により微細粒超塑性
が起こりにくくなると考えたからである。即ち、TiA
l二元系では、鍛造温度1300℃において粒径が5
4.0μmとなり、鍛造温度1200℃の粒径25.0
μmよりも結晶粒粗大化が確認されたことによる。
ても結晶粒の粗大化は起らず、逆に試料(A)より微細
になり、更に特筆すべきことは試料(B)の結晶粒界に
γ相と異なる相が現われたことである。図1(a)は試
料(B)の再結晶状態を示す光学顕微鏡写真であるが、
この再結晶粒の粒界付近は図1(b)に示すようにγ相
と異なる相が確認された。図1(c)はこの粒界第二相
(B)とマトリックス相(A)を含む部分の透過電子顕
微鏡組織である。粒界第二相が結晶粒界に数μmの厚さ
で存在するのがわかる。更にこの相を透過電子顕微鏡(T
EM) 観察、エネルギー分散型X線分光(EDX) 分析、制限
視野回折(SAD) の併用により詳細に調査したところ、C
r 過剰のbcc構造のβ相であることが確認された。図
2は図1(c)で観察されたマトリックス相(図中
(A))と粒界第二相(図中(B))のそれぞれの制限視野
回析像(SAD) である。この電子回析図形から、図1
(c)中のマトリックスはTiAl相(図2(a))、そして
粒界第二相はβ相(図2(b))であることが解析され
た。なお図2(a),(b)中に記した数字はそれぞれの
ブラック反射点に対応する格子面指数である。
200℃、歪速度5.4×10−4s−1で破断伸び1
35%を示したが、試料(B)は同条件で400%以上
の破断伸びを示した。引張試験後の試料(B)の表面及
び断面を超高圧電子顕微鏡(HVEM)で観察したとこ
ろ、図3に示すように上記β相がγ粒界に薄く広がって
γ粒界全体を覆っており、またγ粒内の転位密度が比較
的に少い傾向が見られた。図中A,BはそれぞれTiA
l相、β相で、TiAl相内部で見られる平行線状の組
織は積層欠陥である。このことから高温変形において、
再結晶粒は粒界β相によって粗大化を阻止され、また該
β相がγの粒界すべりの潤滑として作用しているものと
考えられ、これが上記のような極めて大きな破断伸びを
得ることができた原因の1つと推察される。
l金属間化合物(γ相)に均質化熱処理を施すと共に、
この処理材に特に1100℃以上好ましくは1200℃
以上の高温域における恒温鍛造を行うことによってγ粒
界にβ相を形成せしめ、これにより超塑性変形を可能に
するところに特徴を有するが、何故にかゝるγ−β2相
のTiAl基合金が形成されるのか、更に説明する。
むbcc構造を呈する。低温ではhcp構造を呈するα
相として存在し、変形能に乏しい事から、Ti合金の成
分設計には添加元素として、このβ相を安定化させるも
のが候補とされている。TiAl金属間化合物(γ相)
は、単相では室温変形能に乏しく、高温においても活性
化される滑り転位を利用しても、1000℃でも50%
程度の引っ張り伸び値しか得られない。γ相の単相組成
範囲は、室温でのAl原子%にして約49〜55%だ
が、高温になるにつれて複雑に変化する。この単相範囲
の両側での共存相は、Ti過剰側ではTi3Al
(α2)相、Al過剰側ではTiAl2相である。変形
能の向上化にはTi過剰側の成分を選択する事によりα
2相との複相とし、析出形態をγ相とα2相の層状(ラ
メラー状)にする事が有効とされている。しかしこの複
相領域のα2相は、1125℃で共析反応((1)の反
応)でα相に変態し、さらに(2)の包析反応により1
285℃でβ相に変態し、高温での安定性に乏しい。 α2+γ→α (1) α→β+γ (2) 本発明におけるCrの添加は、Alと置換する方向で成
分系を選択している。TiとAlの成分比もTi過剰側
となっており、ラメラー(γ+α2)の形成され易い成
分になっている。しかし本発明材料の溶解熱処理材は組
織的には、電子顕微鏡観察(EDX分析)結果から、ラ
メラーの連続性は部分的に途絶えており、二元系で見ら
れる安定な連続的に形成されるラメラー組織とは大きく
異なっている。即ちラメラー組織の構成相であるα2相
がマトリックスγ相と完全な層状を形成せず、γ相中に
細長い島状に浮かんだ様相を呈する。さらにCrは、こ
の不連続ラメラー組織のα2相中にマトリックスγ相の
約4〜5倍濃縮する。このことはCr添加が、ラメラー
組織の安定性を低下させた事を意味し、α2相が安定に
存在できない事から、熱的に容易に変態することを示唆
するものである。また上記のEDX分析によると、α2
相中ではCrの濃縮した分、Alが著しく減少してTi
過剰なα2相となり、(1),(2)の反応により形成
されるβ相の体積分率は二元系に比べ著しく多くなる。
Ti−Al−Cr三元系状態図は、J.A.Taylo
r等(J.Met.,1953,p253−256)に
よって982℃まで報告されている。それによれば本発
明における成分系の範囲は982℃ではβ+γ二相領域
に近いγ領域である。さらに高温における状態図の報告
例は未だ皆無であるが、J.A.Taylor等の状態
図で高温になるにつれてβ+γ二相領域がTi過剰及び
Al減少方向にシフトすること、またCrがTi合金の
β相安定化元素である事等を考慮すると、982℃以上
では本発明における成分系の範囲はβ+γ二相領域にな
ると結論される。即ち、本発明におけるβ+γ二相領域
を得るためには温度領域を1100℃以上、好ましくは
1200℃以上でγ相の固相線温度以下にする必要があ
る。この理由は、この温度より低いと、本発明における
成分系の範囲ではγ相単相となり、β相の晶出が不可能
となるため、超塑性変形能を示すβ+γ二相を得る事は
できなくなるからである。
は、γ相が再結晶を起こして初期の不連続ラメラー組織
を破壊する必要がある。γ相の再結晶を引き起こすに必
要な加工温度及び加工度では、熱的に変態して形成され
たβ相は十分に変形に耐える事ができ、最終的には、再
結晶γ相が粒成長過程で変形を受けたβ相を障壁とし、
γ相粒界にβ相の偏析した組織になると考えられる。即
ちγ相が再結晶を起こすに必要な加工条件として、上記
温度領域では加工度60%以上が要求される。この加工
度より低いと未再結晶領域が形成され、γマトリックス
内部にβ相が残存してしまい超塑性が発現しない。一
方、歪速度が5×10−3s−1以上では再結晶組織の
ほかに加工変形組織が形成され、やはりβ相を粒界に偏
析させる事ができなくなる。また歪速度が5×10−5
s−1以下では微細再結晶γ粒が粒成長をおこし、微細
粒超塑性の効果が著しく低下し、本発明のような高温で
の超塑性が発現しないためである。
ース鍛造を施しても良い。即ち、シース材としてβ相或
いはα+β二相Ti合金を用いてカプセルを作製する。
本発明合金をカプセルに挿入し、蓋をした後に大気中に
て、鍛造温度1100℃、好ましくは1200℃以上、
初期歪速度0.5s−1、好ましくは5×10−2s
−1以下5×10−5s−1以上の初期歪速度で、加工
率60%以上のシース鍛造を行う。
述のように安定化するような組成が必要条件である。C
r添加量が5at.%よりも高い場合、溶解熱処理段階
でγマトリックス内部にTi,Al,Crの三元系から
なる析出物を形成し、後の高温加工を施してもこの析出
物が粒界に残存し、超塑性発現の障害になる。またCr
が1at.%よりも低いと溶解熱処理段階で形成された
α2相は、Cr量が少なく且つAl量が多くなり、その
後の変態を通しても十分な体積のβ相が形成されず、高
温加工処理を施しても微細再結晶組織が得られず、β相
の少ないγ相粗大再結晶粒になってしまい、超塑性現象
が発現しない。さらにTi濃度を47.5at.%より
低くするとγ相安定領域になり、超塑性を発現するに必
要な粒界β相の形成が不可能となる。Ti濃度が52a
t.%より高くするとβ相の体積分率が増加し、TiA
l基金属間化合物の持つ本質的な高温強度を低下させ
る。これらの条件のほかにAlの濃度をCr量+2Ti
量≧100%の不等式で限定する必要がある。この理由
は本三元系合金においてAl量がTi量よりも常に低く
なければ、上記(1),(2)の反応がおこり得ないか
らである。
ほど安定に存在すること、また二元系とは異なってマト
リックスγ粒の粗大化は粒界β相によって抑制されるこ
と、さらに本発明の目的である高温加工性の確保には、
粒径微細化ではなくβ相を粒界に析出させることが重要
であることなどが明らかになったが、本発明者の実験結
果によると、β相が粒界に存在する粒界占有率(全結晶
粒界面積に対するβ相の占有面積の割合)は20〜10
0%の範囲で、β相の体積分率は3〜20%の範囲が好
適であった。これらの組織的条件を満足させる高温加工
条件は、請求項4および5に記した条件となる。
のメカニズムが、粒界β相の変形によるマトリックス相
の塑性歪の緩和であることから、基本的にはγ相粒界に
β相が形成された組織が作られれば良い。しかし、γ粒
径が大きい場合、TiAl基金属間化合物の持つ高い強
度レベルを得ることができず、ある程度のγ微細結晶粒
が必要である。即ち、Hall−Petchの関係(強
度は粒径の逆数の1/2乗に比例する。)を満足すると
同時に、超塑性加工を発現させるのに必要な、粒界β相
を以下の体積分率で析出させるのに有効なγ粒径を30
μmとした。即ちこの粒径よりも大きい時、全温度領域
で強度レベルは低下するため、本発明の粒径上限を30
μmとした。
+γ二相合金を得るためには、β相の安定化するような
成分系を選択し、β相を粒界に偏析させるような高温加
工が必要である。
間化合物 1300℃で60%加工度、初期歪速度5×10-4s-1の恒温鍛
造材 高純度のTi(99.9wt.%) 、Al(99.99wt. %) とCr(99.3w
t.%) を溶解原料とし、プラズマ溶解によって約80mmφ
×300mm の標記合金成分系Cr 添加TiAl基金属間化合物
を溶製した。1050℃で96時間真空中にて均質化熱処理を
施した結果、結晶粒径80μmの等軸粒組織となった。表
1は均質化熱処理後の化学分析値である。このインゴッ
トから放電加工によって、35mmφ×42mmの円柱状インゴ
ットを切り出し、恒温鍛造を行った。鍛造は真空雰囲気
中にて、初期歪速度5×10-4s-1、試料温度1300℃で60
%圧下した。図1(a)に本試料の恒温鍛造後の組織写
真を示す。平均粒径18μmの等軸微細結晶粒からなる組
織と共に、結晶粒界に数μm以下の厚みを有する粒界第
二相が観察された。鍛造後のインゴット材より、ワイヤ
ーカットにてゲージ部寸法11.5×3×2mm3 の引っ張り
試験片を切り出し、真空雰囲気中にて歪速度及び試験温
度を変化させて引っ張り試験を行った。各試料について
試験温度、歪速度を一定にして試料破断まで試験を行
い、真応力−真歪線図を求めた。超塑性を示した結果の
一例として、1200℃の試験温度、5×10-4s-1の歪速度
で約 480%もの伸び値がえられた。超塑性を示す試料
は、ネッキングを示す事なくゲージ部が一様に変形して
いるのが観察され、粒界第二相が引っ張り後延伸してい
るのがみられた。また応力の歪速度依存性から算出され
る歪速度感受性指数(以下m値)は、真歪み0.1の値を
用いると1200℃では0.49という数字が得られた。これら
の真応力−真歪線図からm値を算出し温度依存性を示し
たのが図4である。この図から1000℃以上において、m
値は超塑性発現の指標である0.3を越えている事が明ら
かである。なお図4に後述する比較例3,6の結果も併
記する。
び値の温度依存性を図5に、0.2%降伏応力の温度依
存性を図6にそれぞれ示す。なお図5,6に後述する比
較例3,6の結果も併記する。この図5から1000℃
以上において、伸び値が著しく向上する事がわかる。ま
た図6から明らかなように降伏応力は比較例に比べ全温
度領域において極めて高い値を示し、組織制御の効果は
高温伸び値と強度の両方を同時に向上させる事がわか
る。
間化合物 1200℃で60%加工度、初期歪速度5×10-4s-1の恒温鍛
造材 実施例1と同一成分、同一熱処理を施した試料を、真空
雰囲気中にて、初期歪速度5×10-4s-1、試料温度1200
℃で60%圧下の恒温鍛造を行った。平均粒径約12μmの
等軸微細組織が得られ、粒界には数μm以下の厚みを有
する第二相が観察された。実施例1と同一方法により高
温引っ張り試験を行い、真応力−真歪線図を求めた。超
塑性を示した結果の一例として、1200℃の試験温度、5
×10-4s-1の歪速度で約 310%もの伸び値がえられた。
超塑性を示す試料は、ネッキングを示す事なくゲージ部
が一様に変形しているのが観察され、粒界第二相が引っ
張り後延伸しているのがみられた。また応力の歪速度依
存性から算出される歪速度感受性指数(以下m値)は、
真歪み0.1の値を用いると1200℃では0.41という数字が
得られた。これらの真応力−真歪線図からm値を算出し
温度依存性を図4に併せて示す。この図から1000℃以上
において、m値は超塑性発現の指標である0.3を越えて
いる事が明らかである。
び値の温度依存性を図5に、0.2%降伏応力の温度依
存性を図6にそれぞれ実施例1と併せて示す。この図5
から1000℃以上において、伸び値が著しく向上する
事かわかる。また図6から明らかなように降伏応力は比
較例に比べ全温度領域において極めて高い値を示し、組
織制御の効果は高温伸び値と強度の両方を同時に向上さ
せる事がわかる。
間化合物 900℃で60%加工度、初期歪速度5×10-4s-1の恒温鍛
造材 実施例1と同一成分、同一熱処理を施した試料を、真空
雰囲気中にて、初期歪速度5×10-4s-1、試料温度 900
℃で60%圧下の恒温鍛造を行った。組織は粒径約10〜30
μmの混粒組織が得られ、第二相がマトリックス内部に
不均一に分散し不連続ラメラー層を形成していた。実施
例1と同一方法により高温引っ張り試験を行い、真応力
−真歪線図を求めた。1200℃の試験温度、5×10-4s-1
の歪速度で約 118%の伸び値がえられ、試料はネッキン
グを示していた。また応力の歪速度依存性から算出され
る歪速度感受性指数(以下m値)は、真歪み0.1の値を
用いると1200℃では0.29という数字が得られた。これら
の真応力−真歪線図からm値を算出し実施例の結果と併
せて示したのが表2である。
び値及び0.2%降伏応力の結果を実施例と併せて表4
に示す。この表4から1000℃以上においても、実施
例のような伸び値の著しい向上は見られず、また降伏応
力は実施例に比べ全温度領域において劣る事が明らかで
ある。
間化合物 1200℃で40%加工度、初期歪速度5×10-4s-1の恒温鍛
造材 実施例1と同一成分、同一熱処理を施した試料を、真空
雰囲気中にて、初期歪速度5×10-4s-1、試料温度1200
℃で40%圧下の恒温鍛造を行った。組織は粒径約15〜80
μmの混粒組織及び未再結晶領域によって構成され、第
二相が粒界に一部析出しているのが観察された。実施例
1と同一方法により高温引っ張り試験を行い、真応力−
真歪線図を求めた。1200℃の試験温度、5×10-4s-1の
歪速度で約 140%の伸び値がえられ、試料はネッキング
を示していた。また応力の歪速度依存性から算出される
歪速度感受性指数(以下m値)は、真歪み0.1の値を用
いると1200℃では0.25という数字が得られた。これらの
真応力−真歪線図からm値を算出し実施例の結果と併せ
て示したのが表2である。
び値及び0.2%降伏応力の結果を実施例と併せて表4
に示す。この表4から1000℃以上においても、実施
例のような伸び値の著しい向上は見られず、また降伏応
力は実施例に比べ全温度領域において劣る事が明らかで
ある。
造材 高純度Ti(99.9wt.%) とAl(99.99wt. %) を溶解原料と
し、プラズマ溶解によって約80mmφ×300mm の標記合金
成分系の二元系TiAl基金属間化合物を溶製した。1050℃
で96時間真空中にて均質化熱処理を施した結果、結晶粒
径 120μmの等軸粒組織となった。表3は均質化熱処理
後の化学分析値である。このインゴットから放電加工に
よって、35mmφ×42mmの円柱状インゴットを切り出し、
恒温鍛造を行った。鍛造は真空雰囲気中にて、初期歪速
度5×10-4s-1、試料温度1200℃で60%圧下した。平均
粒径25μmの等軸微細結晶粒からなる組織が観察され
た。実施例1と同一方法により高温引っ張り試験を行
い、真応力−真歪線図を求めた。1200℃の試験温度、5
×10-4s-1の歪速度で約 135%の伸び値がえられ、試料
はネッキングを示していた。また応力の歪速度依存性か
ら算出される歪速度感受性指数(以下m値)は、真歪み
0.1の値を用いると1200℃では0.30という数字が得られ
た。これらの真応力−真歪線図からm値を算出し実施例
の結果と併せて示したのが表2である。
2%降伏応力の結果を実施例と併せて表4に示す。この
表4から1000℃以上においても、実施例のような伸
び値の著しい向上は見られず、また降伏応力は実施例に
比べ全温度領域において劣る事が明らかである。
間化合物 1200℃で60%加工度、初期歪速度5×10-4s-1の恒温鍛
造材 高純度Ti(99.9wt.%) 、Al(99.99wt. %) とCr(99.3wt.
%) を溶解原料とし、プラズマ溶解によって約80mmφ×
300mm の標記合金成分系Cr 添加TiAl基金属間化合物を
溶製した。1050℃で96時間真空中にて均質化熱処理を施
した結果、結晶粒径95μmの等軸粒組織となった。表5
は均質化熱処理後の化学分析値である。このインゴット
から放電加工によって、30mmφ×42mmの円柱状インゴッ
トを切り出し、高温鍛造を行った。鍛造は真空雰囲気中
にて、初期歪速度5×10-4s-1、試料温度1200℃で60%
圧下した。組織は粒径約15〜35μmの混粒組織によって
構成され、第二相がごく少量粒界に析出しているのが観
察されたが、実施例のそれと比較すると極めて少なかっ
た。実施例1と同一方法により高温引っ張り試験を行
い、真応力−真歪線図を求めた。1200℃の試験温度、5
×10-4s-1の歪速度で約 125%の伸び値がえられ、試料
はネッキングを示していた。また応力の歪速度依存性か
ら算出される歪速度感受性指数(以下m値)は、真歪み
0.1の値を用いると1200℃では0.27という数字が得られ
た。これらの真応力−真歪線図からm値を算出し実施例
の結果と併せて示したのが表2である。
び値及び0.2%降伏応力の結果を実施例と併せて表4
に示す。この表4から1000℃以上においても、実施
例のような伸び値の著しい向上は見られず、また降伏応
力は実施例に比べ全温度領域において劣る事が明らかで
ある。
間化合物 1200℃で60%加工度、初期歪速度5×10-2s-1の恒温鍛
造材 実施例1と同一成分、同一熱処理を施した試料を、真空
雰囲気中にて、初期歪速度5×10-2s-1、試料温度1200
℃で60%圧下の恒温鍛造を行った。平均粒径約10〜30μ
mの混粒組織と加工変形組織からなる不均質組織が得ら
れ、粒界第二相は実施例に比べ極少量観察され、マトリ
ックス内部にも観察された。実施例1と同一方法により
高温引っ張り試験を行い、真応力−真歪線図を求めた。
1200℃の試験温度、5×10-4s-1の歪速度で約88%の伸
び値がえられ、試料はネッキングを示していた。また応
力の歪速度依存性から算出される歪速度感受性指数(以
下m値)は、真歪み0.1の値を用いると1200℃では0.22
という数字が得られた。これらの真応力−真歪線図から
m値を算出し実施例の結果と併せて示したのが表2であ
る。
び値及び0.2%降伏応力の結果を実施例と併せて表4
に示す。この表4から1000℃以上においても、実施
例のような伸び値の著しい向上は見られず、また降伏応
力は実施例に比べ全温度領域において劣る事が明らかで
ある。
間化合物 均質化熱処理材 実施例1と同一成分、同一熱処理を施した試料の組織
は、粒径約80μmの等軸粒組織が得られ、第二相がマト
リックス内部に不均一に分散し不連続ラメラー層を形成
していた。実施例1と同一方法により高温引っ張り試験
を行い、真応力−真歪線図を求めた。1200℃の試験温
度、5×10-4s-1の歪速度で約42%の伸び値がえられ、
試料はネッキングを示していた。また応力の歪速度依存
性から算出される歪速度感受性指数(以下m値)は、真
歪み0.1の値を用いると1200℃では0.20という数字が得
られた。これらの真応力−真歪線図からm値を算出し実
施例の結果と併せて示したのが表2である。
び値及び0.2%降伏応力の結果を実施例と併せて表4
に示す。この表4から1000℃以上においても、実施
例のような伸び値の著しい向上は見られず、また降伏応
力は実施例に比ベ全温度領域において劣る事が明らかで
ある。
基合金は極めて大きな超塑性現象を呈するため、複雑な
形状の成形物を1回のプロセスで加工することができ、
従ってその適応分野を著るしく拡大することができるの
で本発明が有する工業的効果は甚大である。
織の顕微鏡写真である。 (b)は(a)の金属組織の拡大顕微鏡写真である。 (c)は(b)の金属組織の電子顕微鏡(TEM)観察
による電子顕微鏡写真である。
と粒界第二相(B)の制限視野回折像による結晶の構造
を示す電子回折写真である。
組織の超高圧電子顕微鏡(HVEM)観察による電子顕
微鏡写真である。
す図である。
示す図である。
を示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 原子割合でTiYAlCrX 但し、1%≦X≦5% 47.5%≦Y≦52% X+2Y≧100% を基本成分としかつ、粒径30μm以下の等軸γ粒の粒
界にβ相が析出した微細組織から成ることを特徴とする
超塑性現象を有するγ及びβ二相TiAl基金属間化合
物合金。 - 【請求項2】 γ粒の粒径が18μm以下である請求項
1記載のTiAl基金属間化合物合金。 - 【請求項3】 原子割合でTiYAlCrX 但し 1%≦X≦5% 47.5%≦Y≦52% X+2Y≧100% を基本成分としたTiAl基金属間化合物合金に100
0〜固相線温度(℃)の温度範囲で2〜100時間保持
する均質化処理を施し、次いで高温加工処理を施すこと
を特徴とするγ及びβ二相TiAl基金属間化合物合金
の製造方法。 - 【請求項4】 高温加工処理が1100℃以上の温度に
おいて、5×10−3s−1以下の初期歪速度と60%
以上の加工率による恒温鍛造を行う請求項3記載の製造
方法。 - 【請求項5】 温度範囲が1200〜固相線温度
(℃)、初期歪速度が5×10−5s−1〜5×10
−3s−1及び60%以上の加工率による恒温鍛造を行
う請求項4記載の製造方法。
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